以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
§1.(画像形成装置の全体構成及び動作)
図1は、本実施例の画像形成装置100の概略断面構成を説明するための図である。画像形成装置100は、中間転写体として中間転写ベルト51を装備した電子写真方式のカラー画像形成装置である。画像形成装置100の本体(装置本体)は、像形成手段として第1、第2、第3、第4、第5の5色分の画像形成部Pa、Pb、Pc、Pd、Peを有する。第1〜第5の画像形成部Pa〜Peは、図中矢印R51で示す中間転写ベルト51の回動走行方向に沿って上流側から下流側へと順に配置されている。
第1〜第5の画像形成部Pa〜Peは、本実施例では、この順番で透明(T)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成するためのものである。第1の画像形成部Paは、中間転写ベルト51上に透明トナーでトナー像を形成する透明画像形成手段を構成する。第2〜第5の画像形成部Pb〜Peは、中間転写ベルト51上に有色トナーでトナー像を形成する有色画像形成手段を構成する。
なお、本実施例では、各画像形成部Pa〜Peの基本的な構成及び動作は、使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同一である。従って、以下、特に区別を要しない場合は、何れかの色用に設けられた要素であることを表すために図中符号に与えた添え字a、b、c、d、eは省略して、各色用で区別せずに総括的に説明する。
画像形成部Pは、第1の像担持体としてドラム形の電子写真感光体、即ち、感光体ドラム1を有する。感光体ドラム1は、駆動源(図示せず)からの回転動力が伝達されて、予め設定されたプロセススピード(周速度)で回転駆動される。
感光体ドラム1の周囲には、次のプロセス機器が配置されている。先ず、帯電手段としての帯電ローラ2である。次に、露光手段としての露光装置3である。次に、現像手段としての現像器4である。次に、一次転写手段(一次転写部材)としての一次転写ローラ5である。次に、クリーニング手段としてのクリーニング装置6である。これらのプロセス機器は、感光体ドラム1の回転方向に沿って、上記の順番で配置されている。
図2をも参照して更に説明すると、画像形成部Pは、回転可能に軸支された感光体ドラム1を有する。この第1の像担持体としての感光体ドラム1は、円筒状の感光体(OPC:Organic Photoconductor)であり、図示矢印R1方向(反時計回り)に、予め設定されたプロセススピード(周速度)で回転駆動される。
帯電手段としての帯電ローラ2は、感光体ドラム1の表面に接触するように配置されている。帯電ローラ2は、感光体ドラム1に適度な押圧力で圧接する方向に付勢されており、その圧接力によって帯電ローラ2は感光体ドラム1の図示矢印R1方向への回転に従動して図示矢印R2方向に回転する。電源E1によって帯電ローラ2に所定の帯電バイアス電圧が印加されることによって、感光体ドラム1の表面は、所定の極性・電位に均一に帯電処理される。
感光体ドラム1の回転方向において帯電ローラ2の下流側には、露光装置3が配設されている。露光装置3は、画像情報に基づいてレーザ光をOFF/ONしながら、帯電済みの感光体ドラム1の表面を走査露光する。これにより、感光体ドラム1の露光部分の電荷を除去して、画像情報に応じた静電潜像(静電像)を形成する。
感光体ドラム1の回転方向において露光装置3の下流側には、現像器4が配置されている。現像器4は、トナー(非磁性トナー)とキャリア(磁性キャリア)とを有する二成分現像剤を収容した現像容器41を有する。現像容器41の感光体ドラム1に面した開口部内には、現像剤担持体としての現像スリーブ42が回転自在に設置されている。現像器4の図中上方には、補給用のトナーを収容した補給室47が設けられている。現像スリーブ42上に担持され、感光体ドラム1と対向した現像領域へ搬送された現像剤は、現像スリーブ42内に配置されたマグネットローラ43の磁気力によって穂立ちし、現像剤の磁気ブラシが形成される。この磁気ブラシは感光体ドラム1の表面上を擦る。これと共に、電源E2によって現像スリーブ42に現像バイアス電圧が印加される。これにより、静電潜像の露光部にトナーが現像され、感光体ドラム1上にトナー像が形成される。現像バイアス電圧としては、直流電圧と交流電圧とが重畳された交番電圧が印加される。
感光体ドラム1の回転方向において現像器4の下流側には、一次転写ローラ5が配設されている。一次転写ローラ5は、感光体ドラム1に向けて付勢されている。これによって、一次転写ローラ5が第2の像担持体としての中間転写ベルト51を介して所定の押圧力で感光体ドラム1の表面に圧接し、感光体ドラム1と中間転写ベルト51との間に一次転写部(一次転写ニップ部)N1が形成される。一次転写部N1には、中間転写ベルト51が挟まれており、電源E3によって一次転写ローラ5にトナーの極性と逆極性の転写バイアス電圧が印加されることによって、感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト51の表面に転写(一次転写)される。
トナー像が転写された後の感光体ドラム1は、その表面に付着した未転写のトナー(転写残トナー)などがクリーニング装置6によって除去される。クリーニング装置6は、クリーナブレード61及び搬送スクリュー62を有している。クリーナブレード61は、感光体ドラム1に当接し、感光体ドラム1の表面に残留した転写残トナーなどを回収する。回収された転写残トナーなどは、搬送スクリュー62によって排出され、廃トナー収容部である廃トナーボックス63に収容される。本実施例では、各画像形成部Pa〜Peから排出された廃トナーと、後述するベルトクリーナ60から排出された廃トナーとが、搬送経路(図示せず)によって1つの廃トナーボックス63に搬送されて収容される。廃トナーボックス63が満杯になった場合には、メンテナンス作業者やユーザによって交換或いは清掃される。
図1において、各画像形成部Pa〜Peの各感光体ドラム1a〜1eの下方には、中間転写ユニット59が配設されている。中間転写ユニット59は、第2の像担持体としての無端ベルト状の中間転写体である中間転写ベルト51を有する。又、中間転写ユニット59は、中間転写ベルト51が掛け渡される支持ローラとして、駆動ローラ55、従動ローラ58、及び二次転写対向ローラ56を有する。又、上記一次転写ローラ5a〜5eも、中間転写ユニット59に含まれている。更に、中間転写ユニット59は、二次転写手段(二次転写部材)としての二次転写ローラ57と、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーナ60とを有する。二次転写ローラ57は、二次転写対向ローラ56との間に中間転写ベルト51を挟持し、二次転写ローラ57と中間転写ベルト51との間に二次転写部(二次転写ニップ部)N2が形成される。
なお、中間転写ベルト51はPC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PI(ポリイミド)のような誘電体樹脂によって構成される。本実施例では、体積抵抗率108.5Ω・cm(JIS−K6911法準拠プローブを使用、印加電圧100V、印加時間60sec、23℃50%RH)、厚みt=100μmのPI樹脂を採用したが、他の材料、体積抵抗率及び厚みのものでもよい。
例えば、透明トナーと、有色トナー(Y、M、C、Kの各色のトナー)とを用いたフルカラー画像の形成時には、各画像形成部Pa〜Peの各感光体ドラム1a〜1eに各色のトナーでトナー像が形成される。各感光体ドラム1a〜1e上に形成された各色のトナー像は、それぞれの一次転写部N1にて、中間転写ベルト51を挟んで対向する一次転写ローラ5a〜5eから転写バイアスを受ける。これによって、各色のトナー像が、順に中間転写ベルト51上に転写(一次転写)され、中間転写ベルト51の図示矢印R51方向の回転によって、二次転写部N2まで搬送される。一方、このときまでに、給紙カセット8に格納されていた記録紙などの記録材(シート、被転写材)Sが、二次転写部N2まで搬送される。記録材Sは、給紙ローラ81によって給紙され、搬送ローラ82によってレジストローラ83まで搬送され、レジストローラ83によって中間転写ベルト51上のトナー像とタイミングを合わせて二次転写部N2に供給される。二次転写部N2において、二次転写ローラ57と二次転写対向ローラ56との間に印加される二次転写バイアスによって、記録材Sの表面にトナー像が一括で転写(二次転写)される。記録材Sに転写されることなく中間転写ベルト51上に残ったトナー(二次残トナー)などは、ベルトクリーナ60で除去され、廃トナーボックス63に回収される。
トナー像が転写された記録材Sは、定着手段としての定着装置7へと搬送される。定着装置7は、回転自在な定着ローラ71、この定着ローラ71に圧接して回転する加圧ローラ72、定着ローラ71の内部のヒータ73などを有する。記録材Sは、定着ローラ71と加圧ローラ72との間を通過する際に加圧、加熱され、その表面上の未定着トナー像が溶融して定着される。こうして、記録材S上にフルカラー画像が形成される。
なお、画像形成装置100は、リーダ部(図示せず)の原稿台ガラス上に載置された原稿を走査露光し、原稿情報をCCDによって電気的信号に変換し、A/D変換を行ってデジタル信号化する。或いは、画像形成情報100には、コンピュータ端末からデジタル信号としてデータ出力された原稿情報が送られてくる。そして、画像形成装置100は、デジタル信号化されたデータを画像処理ブロックで加工し、RGB信号をY、M、C、K信号に色変換した後、ガンマ補正、トナー用参照テーブル(以下、「LUT」という)変換処理を行ない、最後に2値化を実行する。その2値化された画像データを画像メモリとして、D/A変換し、露光用ドライバに転送し、プリンタ部において露光装置3を駆動させ、画像形成を行う。
本実施例の画像形成装置100の画像処理部200のブロック図を図7に示す。なお、本実施例では、画像処理部200は、装置本体の制御手段としての制御部90に設けられている。画像処理部200には、入力信号200aとして、リーダ部から或いは図示しないネットワーク上にて読み取られた、外部から送られてくる画像信号が送信されてくる。この画像処理部200はリーダ部に設けられることも、プリンタ部に設けられることもある。この入力信号200aをダイレクトマッピング色変換処理部201でY、M、C、Kの4色に色分解し、その画像データをガンマ変換処理部202にて、画像濃度に対応して信号変換し、ハーフトーン処理部203にてハーフトーン処理を行う。その後、プリンタ部の潜像形成手段である露光装置(レーザ露光光学系)3を駆動するレーザドライバ204を経由し、プリンタ部102にて画像露光を行い、画像形成が開始される。
本実施例では、有色トナーを用いる第2〜第5の画像形成部Pb〜Peでは、記録材S上のトナー量が0.5mg/cm2のとき、定着後の光学濃度が1.6になるように設定されている。又、透明トナーを用いる第1の画像形成部Paにより形成される画像のトナー量も、第2〜第5の画像形成部Pb〜Peと同程度のトナー量に設定されている。
§2.(パッチトナー像について)
次に、試験トナー像(参照画像、制御用画像)であるパッチトナー像(パッチ画像、トナーパッチ、制御用パッチ)の形成及びその検知について説明する。
第1〜第5の画像形成部Pa〜Peに対して、帯電条件、露光条件、現像条件、転写条件が設定される。その状態で、装置本体に設けられた制御部90が備える演算制御手段としてのCPU91は、同じく画像形成装置100に設けられた制御部90が備える記憶手段としてのROM92に記憶された濃度パターンデータを読み出すことで、パッチトナー像を形成させる。本実施例では、図3(a)に示すように、各画像形成部Pa〜Peの感光体ドラム1a〜1eから中間転写ベルト51に、パッチトナー像Tが一次転写される。
中間転写ベルト51の搬送方向(図示矢印R51方向)において第5の画像形成部Peの一次転写部N1よりも下流側、且つ、二次転写部N2よりも上流側で中間転写ベルト51に対向して、画像濃度検知手段としての濃度センサ21が配置されている(図1)。この濃度センサ21によって、中間転写ベルト51上のパッチトナー像Tの濃度レベルが検知される。
図3(a)に示すように、本実施例では光学センサとされる濃度センサ21は、ホルダ22に、LEDなどの発光素子23と、フォトダイオード、CdSなどの受光素子24とを組み込んで形成されている。濃度センサ21は、発光素子23から光を中間転写ベルト51上のパッチトナー像Tに照射し、パッチトナー像Tからの拡散光を受光素子24で受光することでパッチトナー像Tの濃度を測定する。一般的には、光を照射したときに反射してくる反射光には正反射光と拡散光がある。本実施例では、濃度センサ21として、拡散光型のものであって、入射角がθ=15°、反射角がψ=45°であるものを使用した。図3(b)は、一例として、シアントナーを検知する濃度センサ21の出力を示す。
なお、透明トナーについても、濃度センサ21によりほぼ同様な拡散光の検知結果を示す。即ち、透明トナーにおいても、上述のようにしてパッチトナー像Tの濃度を検知できる。
ここでいう濃度とは、濃度センサ21によって検知されたものであって、トナー載り量(mg/cm2)と同義であり、定着した記録材S上の画像濃度(反射濃度/透過濃度)とは意味が異なる。そのため、トナー載り量(mg/cm2)を測るトナー高さセンサを用いてもよい。以下、説明のため、濃度センサ21で検知されたパッチトナー像Tの濃度を「パッチ濃度」と呼び、定着した記録材S上の画像濃度を「最終画像濃度」と呼ぶ。
§3.(パッチ濃度制御について)
次に、パッチ濃度の検知結果に基づいて行われるパッチ濃度制御について説明する。先ず、現像コントラスト電位(潜像電位と現像バイアス電圧の直流成分値との差分)を横軸にとり、濃度センサ21の出力によるパッチ濃度を縦軸にとった特性(ガンマ特性)を図4(a)に示す。
このガンマ特性は、様々な因子により変化し易く、それによってパッチ濃度、即ち、トナー載り量の変化を発生させて、画像の安定性を損なう原因となり易い。一例として、潜像電位が20V変動し、即ち、現像コントラスト電位が予想に反して20V増えた場合を想定する。この場合、図4(a)に示すように、そのガンマ特性を示すグラフが上方にシフトする。図4(a)では、実線で示されるグラフが上方にシフトし、点線で示されるグラフとなる。そして、この変化量は、現像コントラストによって異なり、図4(a)に示す変動前との差分濃度ΔCを現像コントラスト電位に対してグラフで表すと、図4(b)に示すようになる。即ち、変動前後の差分濃度ΔCは、ある現像コントラストまでは緩やかに増え、そこから現像コントラストが上昇すると緩やかに減少するような変化が見られる。
そこで、通常の画像形成工程が実行される通常の画像形成時以外のタイミングで、潜像形成、現像、転写の各工程を経て中間転写ベルト51上にパッチトナー像Tを形成する。そして、パッチ濃度を濃度センサ21によって検知して、その検知結果に基づいて、ガンマ変換に使用される濃度信号を適正化するパッチ濃度制御を実行する。つまり、パッチ濃度制御では、図7に示すように画像形成装置100が有する画像処理部200におけるガンマ変換部202に備えられた、濃度信号とパッチ濃度との関係を示すテーブルであるLUTを補正する制御が実行される。本実施例では、パッチトナー像Tとしては、低い濃度から高い濃度まで複数の濃度部分を有する階調パッチが中間転写ベルト51上に形成され、そのパッチ濃度が濃度センサ21によって検知されて、階調制御が行われる。
なお、パッチトナー像Tは、より詳しくは、次のようにして形成される。即ち、画像形成装置100の制御部90の記憶手段たるROM92に記憶されたテストパターン(本実施例では階調パッチパターン)に基づいた画像情報が信号処理され、レーザドライバ204に送信される。この画像情報に従って、露光装置(レーザ露光光学系)3が駆動され、感光体ドラム1上に画像制御用潜像(試験トナー像用潜像)であるパッチ潜像が形成される。このパッチ潜像が現像器4によって現像されて、パッチトナー像Tが形成される。更に、本実施例では、この感光体ドラム1上に形成されたパッチトナー像Tが中間転写ベルト51に転写された後に、濃度センサ21によって検知される。
本実施例では、図6(a)に示すフローチャートに従った工程にて、LUT補正、階調制御が行われる。この制御は、装置本体の制御部90が備えたCPU91にて行われている。
先ず、中間転写ベルト51上の記録材Sに転写される画像領域外の非画像形成領域にパッチトナー像Tを形成し、そのトナー載り量であるパッチ濃度を濃度センサ21により検知する(S101、S102)。上記非画像形成領域としては、複数枚の記録材Sに対する連続画像形成を行う際の、感光体ドラム1における一の記録材Sに対する画像部とその次の記録材Sに対する画像部との間の非画像領域がある。或いは、1枚の画像形成の場合には、上記非画像形成領域としては、その画像形成直後の非画像領域がある。
次に、濃度センサ21によるパッチ濃度の検知量と目標値との差分ΔCを算出し(S103)、その検知量と目標値とのずれ量に基づき、ガンマ変換部202でのLUT情報を補正し(S104)、濃度を安定に保つ制御を行う。
なお、S103にて、目標値を予め定め、それとの濃度差分ΔCを求めることで、画像形成装置100の環境に応じて適切な制御ができ、ノイズなどの外乱に対して影響を受けにくく、色味の安定化を高い精度で実行することができる。しかし、必ずしも濃度差分ΔCを求める処理を行わなくても良く、濃度センサ21の検知結果と濃度信号との関係から直接LUTを補正しても良い。
ところで、ガンマ特性を変化させる因子は、潜像電位変化以外にも、トナーの帯電量変化による現像性や転写性の変化など様々あるが、時間経過とともに変動量が増加する場合が多い。つまり、濃度を精度よく管理するためには、上記パッチ濃度制御の間隔を短くすることが望ましい。しかしながら、前述のように、従来一般的に4色で画像形成を行っていた場合に比べ、透明トナーが加わることによって通常の4色の有色トナー像を順に読み込むサイクルに、透明トナー像を読み込む動作を割り込ませる必要がある。その結果として、有色トナーのパッチトナー像の結果を反映させる頻度が少なくなる。
§4.(パッチトナー像の形成制御について)
次に、本実施例において、有色トナーと透明トナーとでパッチ濃度制御の頻度を変更する制御について説明する。
本実施例の目的の1つは、4色の有色トナーに透明トナーを加えて5色のトナーで画像形成する画像形成装置において、透明トナーのパッチトナー像の形成数や形成頻度を低く抑えることである。又、これによって、ユーザに負担となるダウンタイム(調整動作などのために画像出力を行うことのできない期間)の発生や有色トナーの色味変動を軽減することも本実施例の目的の1つである。又、本実施例の目的の1つは、トナー消費によるコストを軽減でき、且つ、廃トナーボックスが早期に満杯になることを抑えることで、廃トナーボックスの容量の小型化を図ることである。そして、これによってメンテナンス性に優れ、且つ、高品位なカラー画像が得られる画像形成装置を提供することも本実施例の目的の1つである。
そこで、本実施例では、画像形成装置100は、パッチ濃度制御のためのパッチトナー像Tを形成するモードとして、次の2種類のモードを有し、透明トナーのパッチトナー像Tの形成頻度が有色トナーのパッチトナー像Tの形成頻度よりも少なくなるようにする。
本実施例では、先ず、パッチトナー像Tを形成するモードとして、パッチトナー像TをY、M、C、Kの4色の有色トナーで形成するモード(以下、単に「4色パッチモード」という。)が設定されている。各色のパッチトナー像Tは、低い濃度から高い濃度まで複数の濃度部分を有する階調パッチになっている。
又、本実施例では、パッチトナー像Tを形成する更にもう1つのモードとして、パッチトナー像Tを透明トナーと、Y、M、C、Kの4色の有色トナーとの5色のトナーで形成するモード(以下、単に「5色パッチモード」という。)が設定されている。
本実施例では、中間転写ベルト51に対向して配置された濃度センサ21は、スラスト方向(中間転写ベルトの搬送(進行)方向と直交する方向)の中央部に1個だけ配置している。そのため、パッチトナー像Tのスラスト方向の幅を20mm、搬送方向の幅を20mmとし、各色のパッチトナー像(複数の濃度部分を有する階調パッチ)Tを、搬送方向に順番に形成する。
図5(a)は、4色パッチモードにおいて中間転写ベルト51に形成されるパッチトナー像Tを示す。本実施例では、1回のジョブ(1つの画像形成開始指示で行われる単一又は複数の記録材に対する一連の画像形成動作)内でA4サイズ紙20枚毎にこの4色パッチモードを動作させる。
一方、図5(b)は、5色パッチモードにおいて中間転写ベルト51に形成されるパッチトナー像Tを示す。本実施例では、1回のジョブ内でA4サイズ紙40枚毎にこの5色パッチモードを動作させる。
要するに、本実施例では、5色全ての現像器4a〜4eを稼動させながら画像形成を行う場合において、A4サイズ20枚ごとに、4色パッチモードと5色パッチモードとを交互に繰り返すようにしている。
図6(b)は、本実施例におけるパッチトナー像の形成手順を示す動作フローチャートである。より具体的に言えば、図6(b)は画像形成条件を調整するための調整トナー像を形成する頻度(タイミング)の制御に関するフローチャートである。以下に、パッチトナー像の形成タイミングの制御手順について説明する。
5色のトナーを用いた画像形成が開始され(S201)、画像の形成枚数を積算していく(S202)。その画像形成枚数の積算カウント値がA4サイズの記録材Sに換算して40の倍数枚である場合(S202)、5色パッチモードのパッチトナー像T(図5(b))を形成し、パッチ濃度制御を実行する(S203)。又、積算カウント値が40の倍数ではなく、20の倍数であれば(S204)、4色パッチモードのパッチトナー像T(図5(a))を形成し、パッチ濃度制御を実行する(S205)。パッチ濃度制御を行った後、次の画像形成に移る(S206)。又、積算カウント値がいずれの倍数でもない場合は(S204)、パッチ濃度制御を実行せずに、次の画像形成に移る(S206)。これらの動作をジョブが終了するまで繰り返す(S207)。
このように、本実施例では、有色トナー及び透明トナーを用いて出力用の画像を形成する動作と動作の間に画像濃度制御のための試験トナー像を像担持体上に形成する動作が、繰り返して行われる。このとき、透明トナーによる試験トナー像の形成頻度は、有色トナーによる試験トナー像の形成頻度よりも少なくする。即ち、本実施例では、有色トナーと透明トナーを用いて画像を形成する動作と次の画像を形成する動作の間に、透明画像形成手段が像担持体上に試験トナー像を形成する頻度は、有色画像形成手段が像担持体上に試験トナー像を形成する頻度より低い。本実施例では、像担持体上に形成された試験トナー像の検知結果に基づき画像形成条件を制御する制御手段が、有色画像形成手段が試験トナー像を形成するタイミングと、透明画像形成手段が試験トナー像を形成するタイミングを制御する。そして、該制御手段は、上記各タイミングを制御すると共に、頻度の低い透明画像形成手段が試験トナー像を形成するタイミングを頻度の高い有色画像形成手段が試験トナー像を形成するタイミングに合わせる。
本実施例において、画像形成条件を調整するためのパッチ画像は紙間領域に形成する。図5(c)は画像形成条件調整用のパッチ画像を形成する領域を説明するための図である。本実施例において、各ステーション(画像形成部)の感光体ドラム1上に形成されたパッチ画像は、中間転写ベルト51上に転写される。このとき、調整用のパッチ画像をシートに転写すると、ユーザが意図しない画像が出力される。そのため、画像形成条件を調整するためのパッチ画像はシートに転写されるトナー像(画像)が形成されない領域(非画像部)に形成する。又、パッチ画像の濃度は感光体ドラム1の長手方向の画像が形成される領域における濃度を基準として補正するのが好ましい。本実施例の画像形成装置100は中間転写ベルト51上の画像領域と画像領域の間のいわゆる紙間領域に形成したパッチトナー像を検知する。
本実施例における上記の動作の流れのパッチトナー像Tの形成方法によれば、次の利点が得られる。Y、M、C、Kの4色の有色トナーについては、1回のジョブ内の画像形成枚数で20枚ごとにパッチトナー像Tが形成され、そのパッチ濃度の検知結果が反映されて各色のLUTにフィードバックされる。一方、透明トナーについては、1回のジョブ内の画像形成枚数で40枚毎にパッチトナー像Tが形成され、そのパッチ濃度の検知結果が反映されて透明トナーのLUTにフィードバックされる。このように透明トナーのパッチトナー像Tを形成して行うパッチ濃度制御の頻度を下げることによって、全色のトナー像についてのパッチ濃度制御に要する時間に対する、透明トナー像についてのパッチ濃度制御に要する時間の割合を減らせる。即ち、有色トナーのパッチ濃度制御の頻度を上げられるため、全色のトナーについて同じ頻度でパッチ濃度制御を行う場合に比べて、有色トナーのパッチ濃度、即ち、有色トナーのトナー載り量をより精度よく管理することが可能になる。又、透明トナーのパッチ濃度制御の頻度を下げることによって、トナー消費による経費を軽減することができる。
ここで、パッチトナー像Tを形成する本来の目的は、最終画像の濃度安定化にあることを考えれば、上述のように透明トナーのパッチ濃度制御の頻度を少なくする制御によって、透明トナーは有色トナーに比べて最終画像の濃度が不安定になることが推測される。しかし、透明トナーはそもそもグロスの均一性達成や、部分的にグロスの変化を持たせるなどが使用目的であるため、本質的に最終画像の濃度再現を目的とする有色トナーと使用目的が異なる。又、トナー載り量に対するグロス特性変化率が、有色トナーの載り量に対する最終画像の濃度変動率に比べ視覚的に鈍感であるという特徴を併せ持つ。
図8に、単位面積当たりの透明トナーの質量(トナー載り量)と光沢との関係の代表例を示す。グロス測定値は75°反射による。図8より明らかなように、透明トナーのトナー載り量と光沢との関係は、トナー載り量が増えれば記録材Sの凹凸によるグロスの低下を減じる方向であるため、同図に示した領域Aにおいては右上がりの関係を示す。例えば、トナー載り量0〜0.5mg/cm2の領域においては、グロス変動5に対し、トナー載り量変動は約0.1〜0.2mg/cm2である。ここで、例えば特開2003−207949号公報に示されるように、グロス変動5未満であれば、およそ均一な光沢度と認識できることに鑑みると、約0.1〜0.2mg/cm2のトナー載り量変動が許容範囲となる。
一方で、有色トナーは、本実施例ではトナー載り量0.5mg/cm2で最終画像濃度1.6であって、例えば中間調濃度0.4において、実用上問題のないレベルと考えられるΔE(色差)≦5を満たすためには、Δ0.1の濃度差以内に抑える必要が生じる。即ち、0.35〜0.45の濃度範囲内に変動を抑えなければならない。これはトナー載り量に換算すると約0.03mg/cm2となる。このように、光沢変動に対する透明トナーのトナー載り量の許容される変動範囲に比べ、有色トナーの最終画像濃度変動に対する有色トナーのトナー載り量の許容される変動範囲が極端に厳しいことがわかる。そのため、有色トナーに比較して、透明トナーのパッチ濃度制御の頻度を下げても、光沢変動として認識され難く、十分に使用可能である。
なお、本実施例では、明度値と濃度値は、X−Rite社製の分光濃度計MODEL:528を使用して測定した値を用いた。又、L*a*b*の値は、X−Rite社製の分光濃度計MODEL:528を使用して、観測光源D50、観測視野2°の測定条件下で測定した値を用いた。又、グロス値(投光角及び受光角ともに75°)はBYK−Gardner社製のmicro−TRI−glossのグロス計を使用して測定した値を用いた。
以上のように、本実施例の画像形成装置100では、5色のトナーを用いたフルカラー画像形成中に、透明トナーによるパッチトナー像Tの形成頻度を有色トナーによるパッチトナー像Tの形成頻度よりも少なくする。これにより、パッチトナー像Tの読み込み動作にかかるダウンタイムを低減することができる。又、相対的に有色トナーのパッチ濃度制御頻度を多くすることが可能になり、最小限のダウンタイムで有色トナーの階調再現、及び混色時の色味変動を抑えることが可能になる。
更に、透明トナーのパッチトナー像Tの形成頻度を最小限に留めたために、廃トナーを最小限に抑え、廃トナーボックス63がすぐに満杯となってしまうことを抑制することができる。そのため、メンテナンス作業を省くことができ、又生産性を損なうことなく安定した画像形成を行うことができる。又、透明トナーを採用する主目的であるグロスの均一な高品位な画像を損なうこともない。
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。従って、実施例1のものと同一又はそれに相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
実施例1では、透明トナー像のパッチ濃度制御の頻度を、有色トナーのパッチ濃度制御の頻度に比べて少なくすることで、パッチ濃度制御によるダウンタイムの増加、有色トナーについての制御精度の低下、トナー消費量の増加などの課題を解決した。
これに対し、本実施例では、Y、M、C、Kの4色の有色トナーについては、実施例1の場合と同様のパッチ濃度制御を実行する。一方、透明トナーについては、1回のパッチ濃度制御に形成するパッチトナー像Tの数を減らすことで、前述のような課題を解決する。
更に説明すると、有色トナー像においては、各濃度域での濃度再現性が求められるため、実施例に述べたように、低い濃度から高い濃度まで複数の濃度部分を有する階調パッチを形成する。典型的には、この階調パッチは、複数の濃度の異なる中間調濃度部分と、ベタ濃度(最高濃度レベル)部分とを有する。実施例1と同様、この階調パッチを、感光体ドラム1上に形成し、中間転写ベルト51に転写した後に、濃度センサ21によって検知し、階調制御を行う。
一方、透明トナーは写真原稿のような高光沢な画像再現に用いられる場合が多いため、図8に示した単位面積あたりの透明トナーのトナー載り量と光沢度との関係から、透明トナーが用いられるトナー載り量域は高めに限定される。
そこで、本実施例では、図9(b)に模式的に示すような5色パッチトナー像を用いる。なお、図9(a)は、実施例1で用いた有色トナー及び透明トナーにより同数のパッチトナー像Tを形成した5色パッチトナー像を比較として示す。
図9(b)は、有色トナーのパッチ濃度制御については実施例1と同様に複数の濃度部分を有する階調パッチによって行い、透明トナーのパッチ濃度制御についてはパッチトナー像Tを高濃度域に限定した、5色パッチトナー像を示す。典型的には、透明トナーによるパッチトナー像Tは、高濃度域としてベタ濃度(最高濃度レベル)部分を含む(本実施例では、ベタ濃度部分のみから成る)。図9(b)に示すように、透明トナーの高濃度域以外のパッチ部がないために、図9(a)に対して制御に要する領域、即ち、制御時間が減少していることが判る。
又、透明トナーに対するパッチ濃度制御時間の減少時間を利用して、例えば図9(c)に示すように有色トナー像の複数の濃度部分に対応するパッチトナー像を増やして制御することで、より精細な階調制御を実施することも可能になる。
このように、本実施例では、有色トナー及び透明トナーを用いて出力用の画像を形成する動作と動作の間に画像濃度制御のための有色トナー及び透明トナーによる試験トナー像を像担持体上に形成する動作が行われる。このとき、有色トナー及び透明トナーによる試験トナー像のうち少なくとも有色トナーによる試験トナー像は濃度の異なる複数個のものから成り、透明トナーによる試験トナー像の数は、有色トナーによる試験トナー像の数よりも少なくする。即ち、本実施例では、有色トナーと透明トナーを用いて画像を形成する動作と次の画像を形成する動作の間に、有色画像形成手段は濃度の異なる複数の試験トナー像を形成する。又、上記動作の間に、透明画像形成手段は有色画像形成手段が形成する試験トナー像の数よりも少ない試験トナー像を形成する。
なお、透明トナーは、高濃度域のみでパッチ濃度を管理しているために、ガンマ特性の変化によって高濃度域以外ではトナー載り量の変動が発生する場合がある。しかし、実施例1で説明したように、透明トナーに関しては、トナー載り量に対するグロス特性変化率が視覚的に鈍感であるため、光沢変動として認識されにくく、十分に使用可能である。
以上のように、本実施例の画像形成装置100では、5色のトナーを用いたフルカラー画像形成中に、透明トナーによるパッチトナー像Tの形成個数を有色トナーによるパッチトナー像Tよりも少なくする。これにより、パッチトナー像Tの読み込み動作に要するダウンタイムを低減することができる。又、相対的に有色トナーのパッチトナー像の形成個数を多くすることが可能になり、最小限のダウンタイムで有色トナーの階調再現、及び混色時の色味変動を抑えることが可能になる。
更に、透明トナーのパッチトナー像Tの形成個数を最小限に留めたために、廃トナーを最小限に抑え、廃トナーボックス63がすぐに満杯となってしまことを抑制することができる。そのため、メンテナンス作業を省くことができ、又生産性を損なうことなく安定した画像形成を行うことができる。又、透明トナーを採用する主目的であるグロスの均一な高品位な画像を損なうこともない。なお、実施例1及び2において、有色画像形成部と透明画像形成部を1つの画像形成装置に備える構成で説明したが、複数の装置から成る画像形成システムに適応してもよい。
実施例3
実施例1、2において一つの画像形成装置に有色トナー像を形成する部分と透明トナー像を形成する部分を備える画像形成装置について説明した。当然、前述の思想を有色トナー像を形成する画像形成装置と透明トナー像を形成する画像形成装置とから成る画像形成システムについて適応してもよい。
以下に、画像形成システムの概略構成と各装置の制御部の接続関係について説明する。その後、複数の画像形成装置で画像を形成する際の特有の問題について説明する。最後に、画像形成システムに上記思想を適応した場合において、好ましいパッチ画像形成タイミング制御についてフローチャートを用いて説明する。
§1.(画像形成システムの構成について)
有色画像形成装置の後処理装置として透明トナー像を形成することができる透明画像形成装置を連結する構成は、以下の点で好ましい。具体的には、既にフルカラー画像形成装置を所有しているユーザに対して、透明トナーと有色トナーで画像を形成することができる装置を買い替えるよりも少ない投資で済む。又、生産性の異なる様々なフルカラー画像形成装置に連結できるためユーザのニーズに合わせたシステムを提供できる。
以下に、画像形成システムの一例について図を用いて説明する。なお、エンジン部分(画像形成部)の詳細な構成は実施例1の構成と略同一であるため説明を省略する。
図10は、本実施例における画像形成システムの概略構成を説明するための図である。画像形成システムは主に有色トナー像を形成する有色画像形成装置500と、有色トナー像が定着されたシート上に透明トナー像を形成する透明画像形成装置700とから成る。有色画像形成装置500から透明画像形成装置700へのシートの搬送は搬送装置600により行われる。
有色画像形成装置500はイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像をシート上に形成する有色画像形成手段としての有色画像形成部CSを備える。有色画像形成部CSでパス(搬送経路)を搬送されるシート上に形成されたトナー像は、第1の加熱装置F1によって加熱されシートに定着される。有色画像形成装置500によって画像が形成されたシートは下流側に連結された搬送装置600へと受け渡される。
搬送装置600は、シートの搬送方向を切り替えるフラッパflを備える。これにより、カラー画像が定着されたシートを第1の排紙トレイT1へ排紙するか、透明画像形成装置700へと受け渡すかを切り替える。
透明画像形成装置700は、搬送装置600から受け渡されたシート上に透明画像形成手段としての透明画像形成部TSで透明トナー像を形成する。そして、透明トナー像が形成されたシートを第2の加熱装置F2で加熱し、透明トナー像をシートに定着させた後、第2の排紙トレイT2へと排紙する。
本実施例では、有色画像形成装置500、透明画像形成装置700として、シートへトナー像を直接転写する直接転写方式の画像形成装置を例に挙げているが、実施例1、2で説明した中間転写方式の画像形成装置であってもよい。なお、直接転写方式の画像形成装置では、各色のトナー像を担持する像担持体としての感光体上にパッチ画像を形成する。そして、この形成したパッチ画像を、画像濃度検知手段としての光学センサとされる濃度センサで検知する。
なお、各装置500、600、700は、シートを受け渡すために連結されている。画像形成システムとして動作するために、各装置500、600、700をそれぞれ制御する第1、第2、第3の制御手段としての制御部500c、600c、700cは、それぞれネットワークを介して接続されている。
§2.(システムの制御ブロック図について)
続いて、図11を用いて各装置500、600、700のコントローラ(制御部)500c、600c、700cの接続関係を説明する。本実施例の画像形成システムは、各装置500、600、700に制御部500c、600c、700cを備える。連結された際に、各装置500、600、700を統括制御するメイン制御部は、どのコントローラでもよいが、本実施例では有色画像形成装置500が備える制御部500cがシステムを統括制御するものとする。
各装置500、600、700の制御部500c、600c、700cは、演算制御手段としてのCPUと、記憶手段としてのメモリとを備えている。有色画像形成装置500の制御部500cは有色画像形成装置500の有色画像形成部CSを含む各部を制御する。同様に、搬送装置600の制御部600cはフラッパflを含む各部を制御し、透明画像形成装置700の制御部700cは透明画像形成部TSを含む各部を制御する。即ち、本実施例の画像形成システムは、有色画像形成装置500とされる第1の画像形成装置と、透明画像形成装置700とされる第2の画像形成装置と、を有する。第1の画像形成装置は、第1の像担持体上に有色トナー像を形成する有色画像形成手段と、第1の像担持体上に形成されたトナー像の濃度を検知する第1の検知手段と、を備える。又、第1の画像形成装置は、第1の像担持体上に形成された試験トナー像の検知結果に基づき画像形成条件を制御する第1の制御手段(画像形成条件制御手段)としての制御部500cを備える。一方、第2の画像形成装置は、第2の像担持体上に透明トナー像を形成する透明画像形成手段と、第2の像担持体上に形成されたトナー像の濃度を検知する第2の検知手段と、備える。又、第2の画像形成装置は、第2の像担持体上に形成された試験トナー像の検知結果に基づき画像形成条件を制御する第2の制御手段(画像形成条件制御手段)としての制御部700cを備える。
又、有色画像形成装置500の制御部500cは、制御部600c、700cを統括制御し、各情報を送受信手段としてのネットワークインターフェイスを介して送信することによってシステム全体を統括制御する。後述するように、本実施例では、制御部500cが、有色トナーと透明トナーを用いて画像を形成する動作と次の画像を形成する動作の間に、有色画像形成手段と透明画像形成手段が試験トナー像を形成するタイミングを制御する第3の制御手段(タイミング制御手段)として機能する。又、実施例1同様、有色画像形成装置500に外部ネットワークを介して入力される画像形成情報に基づきが画像形成システムは画像形成動作を行う。
§3.(画像形成モードとカウント方法について)
本実施例の画像形成システムは、有色トナーのみで画像を形成するモードと、有色トナーと透明トナーを用いて画像を形成するモードとを備える。以下に本実施例の画像形成枚数のカウント方法について説明する。複数の装置から成るシステムでは、カウント手段として、有色画像形成装置500で画像を形成した枚数をカウントするカウンタ(有色カウンタ)と、透明画像形成装置700で画像を形成した枚数をカウントするカウンタ(透明カウンタ)とを別々に備えている。そこで、各モードにおける画像形成枚数のカウント方法について、フローチャートを用いて説明する。
図12(a)は、有色トナーのみで画像を形成するモードと、有色トナーと透明トナーとで画像を形成するモードとがそれぞれ選択された際に、排紙トレイT1、T2を切り替える場合の、カウント方法を説明するためのフローチャートである。
制御部500cはユーザが選択したモードに応じて排紙トレイT1、T2を切り替えながら画像を出力させる。制御手段としての制御部500cはユーザが選択したモードを取得する(S301)。そして、透明トナーを用いるモードか否かに応じてカウント方法を切り替える(S302)。ユーザが有色トナーのみで画像を形成するモードを選択した場合、制御部500cはS303〜S305のステップを実行する(S302:no)。具体的には、制御部500cは、制御部600cにフラッパflを切り替えさせて排紙トレイT1へシートが排出されるようにする(S303)。続いて、制御部500cは、ネットワークを介して制御部700cへ透明画像形成部700の動作を停止(スリープ)させるように制御する(S304)と共に、透明画像形成枚数をカウントするカウンタは増加させない。
又、ユーザが有色トナーと透明トナーで画像を形成するモードを選択した場合、制御部500cは、S306〜S308のステップを実行する(S302:yes)。つまり、制御部500cは、シートが透明画像形成装置700へ向かうように制御部600cにフラッパflを切り替えさせ、透明画像形成部700を作動させ、透明画像形成枚数をカウントするカウンタを増加させる。
上述のように、ユーザが選択した画像形成モードに応じて、透明画像形成枚数をカウントするカウントの方式を切り替える。なお、ユーザが透明画像を形成するモードを選択したとしても、入力される印刷ジョブの全てのページで透明トナー像を形成するとは限らない。そのため、より正確に透明画像形成枚数をカウントするためには図12(b)に示すカウント方法を採用することが好ましい。
図12(b)は、有色トナーと透明トナーで画像を形成するページと、有色トナーで画像を形成するが透明トナーで画像を形成しないページとが混在するジョブが入力された場合のカウント方法を説明するためのフローチャートである。
ジョブ(つまり、一連の画像形成命令)中に有色トナーと透明トナーで画像を形成するページがある場合(以下「混在ジョブ」と呼ぶ)、制御部500cはジョブで指定された画像が形成されたシートを排紙トレイT2に排紙されるようにフラッパflを動作させる。そして、有色トナーと透明トナーで画像が形成されるページと、有色トナーのみで画像が形成されるページに分けて画像形成枚数をカウントする。S401は画像形成するページが透明トナーを使用するか否かを判定するステップである。透明トナーを使用する場合(S401:yes)、制御部500cは透明トナーで画像を形成させると共に、透明画像形成枚数をカウントするカウンタを増加させる(S404、S405)。又、透明トナーを使用しない場合(S401:no)、制御部500cは透明トナーによる画像の形成とカウントを行わない(S402、S403)。
§4.(システム化と調整工程について)
上記カウント方法を用いて、前述の画像形成システムで画像形成を行う場合に生じる問題について例を挙げて説明する。画像形成システムでは、上流側の画像形成装置と下流側の画像形成装置で好ましい調整頻度が異なることがある。つまり、スペックの異なる装置を連結した場合、一方の画像形成装置にとって適切な頻度で画像形成条件の調整を行うと他方の画像形成装置にとっては過剰な調整になったり、逆に調整不足になったりする(図13参照)。
図13は、画像形成枚数のカウントと、パッチによる画像形成条件の調整を同一条件で行った場合を説明するための模式図である。上部の四角はそれぞれ1枚のシート上に有色画像形成と透明画像形成を行うか否かを意味している。有色画像形成の横に四角が並んでいるのは全てのページで有色画像が形成されていることを意味している。透明画像についても同様である。
連続画像形成から5枚目において、有色カウンタと透明カウンタは共に5枚をカウントしている。図13においては、有色画像形成部CSも透明画像形成部TSも9枚毎にパッチを形成して濃度を調整するように設定されている。前述のように、有色画像形成部CSと透明画像形成部TSで好ましい調整頻度が違うのにもかかわらずトナーのパッチ頻度を同一条件としているため、透明パッチが過剰に形成されトナー消費量が増加するという問題が生じる。
図14は、混在ジョブの画像を形成する場合に、有色カウンタと透明カウンタの値の違いにより、パッチによる調整頻度が極端に増加した状態を示す図である。図14の例では、画像形成開始から2枚目、3枚目は透明トナー像を形成しないページである。そのため、5枚目を出力したときのカウンタ値が有色カウンタ値は5であるのに対して、透明カウンタ値は3となる。そのため、9ページ目を形成した後に有色パッチを形成して画像形成条件を調整すると共に、13ページ目を形成した後に透明パッチを形成して画像形成条件を調整している。そのため、パッチ形成による調整時間の増加により生産性が低下するという問題が生じる。
続いて、図15は、前述のように透明画像形成部TSの画像形成条件を調整するための調整頻度を有色画像形成部CSの頻度よりも低くした例である。頻度を変えることにより、パッチ画像を形成するために消費する透明トナーの量を低減できるが、パッチ形成による調整時間の増加により生産性が低下するという問題が生じる。
そこで、本実施例では、図16に示すような方法で、透明トナーの消費量を低減させると共に、生産性の低下を抑制する。具体的な制御については、図17に示すフローチャートを用いて次項で説明する。
§5.(有色パッチ形成タイミングに合わせた透明パッチ形成制御について)
図17は、本実施例の画像形成システムにおける画像調整に関するフローチャートである。このフローチャートに対応するプログラムは、画像形成システム内のいずれかのメモリに保存され、画像形成システム内のいずれかの制御部において実行される。
画像形成システムを構成する各画像形成装置はそれぞれ、スペックに応じた画像調整頻度が定められている。本実施例では各画像形成装置に応じた適切な画像調整の頻度を各装置内のメモリ(記憶手段)に保存しているものとする。
画像形成システムを統括する制御手段は、各画像形成装置に保存されている装置のスペックに応じた画像調整頻度を取得する(S501)。本実施例では、具体的には、有色画像形成装置500の制御部500cが、該制御部500c内のメモリに保存されている有色パッチ動作実行枚数(A)と、制御部700c内のメモリに保存されている透明パッチ動作実行枚数(B)を取得する(S501)。続いて、画像形成システムを構成する各画像形成装置のうち調整頻度が低く設定されている装置の画像調整タイミングを再設定する。本実施例では、具体的には、有色画像形成装置500の制御部500cが、透明パッチ形成頻度をB枚毎からC(=B−A)枚毎へと変更する(S502)。なお、頻度が低い装置の調整タイミングの再設定は、画像形成システムの起動シーケンス時に実行し、メモリに格納してもよい。本実施例では透明パッチ形成のタイミングを有色パッチ形成のタイミングと合わせればよく、透明カウンタがB枚を超えた場合に次の有色パッチ形成のタイミングで透明パッチ形成を行ってもよい。
続いて、本実施例の画像形成システムの調整タイミングに関して説明する。制御部500cは、ジョブで指定された画像形成が開始されてから、各ページで透明画像を形成するか否かに応じて、各カウンタを更新する。有色トナーと透明トナーで画像を形成するページの場合(S503:yes)、透明カウンタと有色カウンタを増加させる(S504)。又、有色トナーのみで画像を形成するページの場合(S503:no)、有色カウンタのみを増加させる(S505)。このようにカウンタを増加させることにより、透明パッチを形成するために用いる透明トナーの量を抑制することができる。
続いて、透明パッチと有色パッチを形成して画像形成条件を調整する調整シーケンスの実行タイミングの制御について説明する。本実施例の制御では、有色画像形成装置500が有色パッチを形成する頻度に合わせて透明画像形成装置700が透明パッチを形成する頻度を調整する。具体的には、S502で算出した値(C)に基づきパッチ形成を行う。制御部500cは、有色カウンタの値がA(第1の所定値)以上の場合(S506:yes)に、S507の処理を実行し、A以下の場合(S506:no)にS510の処理を実行する。そして、有色カウンタの値がA以上の場合に透明カウンタの値を考慮して適切なパッチ形成を行う。つまり、有色画像形成部CSの調整タイミングに合わせて透明パッチ形成するように制御する。具体的には、制御部500cは、透明カウンタの値がC(第2の所定値)以上の場合(S507:yes)に、有色パッチと透明パッチを形成してそれぞれ有色画像形成部CS、透明画像形成部TSの画像形成条件を調整する(S509)。又、制御部500cは、透明カウンタの値がC未満の場合(S507:no)に、有色パッチのみを形成して有色画像形成部CSの画像形成条件を調整する(S508)。
以上の動作を、入力されたジョブで指定された画像形成が終了するまで継続する(S510)。
このように、本実施例では、有色画像形成装置500の制御部500cとされる第3の制御手段が、次のようにして有色画像形成手段と透明画像形成手段が試験トナー像を形成するタイミングを制御する。即ち、透明画像形成手段が像担持体上に試験トナー像を形成する頻度は有色画像形成手段が像担持体上に試験トナー像を形成する頻度より低くなるように制御する。又、これと共に、頻度の低い透明画像形成手段が試験トナー像を形成するタイミングを、頻度の高い有色画像形成手段が試験トナー像を形成するタイミングに合わせるように制御する。
これにより、異なるスペックの画像形成装置から成る画像形成システムにおいて、トナー消費量と生産性を両立させることができる。
なお、透明トナーは、画像部の光沢度と非画像部の光沢度との差を埋め、画像全体(記録材表面全体)として均一な光沢度を達成するという目的を有する。又、併せて、透明トナーは、記録紙或いは転写紙である記録材表面の凹凸を埋めて凹凸差を緩和させることにより光沢を生み出し、画像全体の光沢度を向上させるという目的を有する。更には、透明トナーは、記録材が折り曲げられたりこすられたりした場合に、記録材に溶融定着されたトナー像のわれやひびの発生を防ぐ目的で使用される場合もある。これらの目的は、透明トナーの他に白色トナーなどでも、即ち、透明トナーや白色トナーといった無色トナーであれば達成可能であり、透明トナーの代わりに白色トナーを用いても何ら問題ない。
透明トナーとは、光吸収や光散乱による着色を目的とした色材(着色顔料、着色染料、黒色カーボン粒子、黒色磁性粉など)を含まないトナー粒子であることを意味し、少なくとも結着樹脂を含有している。又、透明トナーは、通常、無色透明であるが、その中に含まれる流動化剤や離型剤の種類や量によっては、透明度が若干低くなっていることがあるが、実質的には無色透明である。上述の結着樹脂としては、実質的に透明であればよく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂が一般的に用いられている。その他のビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレア系樹脂などの一般トナー用に用いられる公知の樹脂とその共重合体であってもよい。これらの中でも、低温定着性、定着強度、保存性などのトナー特性を同時に満足し得る点でポリエステル系樹脂が好ましい。
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。例えば、従来、複数の画像形成部に対向して記録材を担持して搬送する記録材担持体として、回転可能なベルト状の記録材担持体、即ち、搬送ベルトを有し、複数の画像形成部で形成した画像を、搬送ベルトに担持された記録材に順次転写する画像形成装置がある。斯かる画像形成装置では、上記実施例において中間転写ベルトの表面に試験トナー像を形成して行ったのと同様にして、搬送ベルトの表面に試験トナー像を形成し、これを光学的に検知することで、画像濃度補正制御を行うことができる。この場合、搬送ベルトは像担持体として機能するが、このような画像形成装置でも上記実施例における中間転写ベルトを有する画像形成装置と同様の問題がある。従って、このような画像形成装置においても本発明を適用することで、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
又、従来、1つの感光体ドラムに対して複数の現像器が設けられており、感光体ドラムに順次に異なる色のトナーで形成されたトナー像を、中間転写体や記録材担持体上の記録材に順次に重ね合わせて転写するように構成された画像形成装置がある。斯かる画像形成装置では、像担持体としての感光体ドラム上に試験トナー像を形成し、これを光学的に検知することで、画像濃度補正制御を行うことができる。このような画像形成装置でも、感光体ドラムに試験トナー像を形成することに関し、上記実施例において中間転写ベルト上に試験トナー像を形成する場合と同様に、ダウンタイムの増加やトナー消費の増加などの問題が生じうる。従って、このような画像形成装置においても本発明を適用することで、上記実施例と同様の効果を得ることができる。なお、このような画像形成装置では、像担持体たる感光体ドラムに有色トナー像を形成するための帯電手段、露光手段、現像器などが有色画像形成手段を構成する。又、像担持体たる感光体ドラムに透明トナー像を形成するための帯電手段、露光手段、現像器などが透明画像形成手段を構成する。帯電手段、露光手段など幾つかの手段は、有色画像形成手段と透明画像形成手段とで共通であってよい。