JP5224097B2 - 動力工具 - Google Patents

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本発明は、ハウジング内に駆動源を収納するとともに密閉空間を形成し、前記駆動源の回転動力を先端工具に伝達する動力伝達機構を前記密閉空間に収容して成る動力工具に関するものである。
斯かる動力工具の一形態としての回転打撃工具は、モータを駆動源として回転打撃力を発生して先端工具を回転させつつ、これに打撃力を間欠的に与えてネジ締め等の作業を行うものであるが、反動が小さく締付能力が高い等の特長を有しているため、現在、広く用いられている。
ここで、図7に従来から使用されている一般的な回転打撃工具を示す。
図7は従来の回転打撃工具の側断面図であり、図示の回転打撃工具は、バッテリ1を電源とし、モータ2を駆動源として回転打撃機構を駆動し、アンビル3に回転と打撃を与えることによって先端工具である不図示のビットに回転打撃力を間欠的に伝達してネジ締め等の作業を行うものである。
上記モータ2は、ハウジング4の胴体部4A内に収容されており、ハウジング4の胴体部4Aから下方に一体に延びるハンドル部4Bの上部には、前記バッテリ1からモータ2への給電をON/OFFしてモータ2を起動/停止させるスイッチ5が設けられている。 而して、ハンマケース6に内蔵された回転打撃機構においては、モータ2の出力軸2aの回転は遊星ギヤ機構7を経て減速されてスピンドル8に伝達され、該スピンドル8が所定の速度で回転駆動される。ここで、モータ2の出力軸2aは、その軸方向両端がベアリング9によって回転可能に支持されている。又、遊星ギヤ機構7は、モータ2の出力軸2aの端部に形成されたサンギヤ10と、ハンマケース6の一端開口部を覆うギヤカバー11の内周部に刻設されたリングギヤ12と、前記サンギヤ10とリングギヤ12に噛合して自転しながらサンギヤ10の周りを公転する複数の遊星ギヤ13とで構成されており、スピンドル8はニードルピン14によって遊星ギヤ13に連結されている。
上記スピンドル8は、その軸方向一端(後端)がベアリング15を介してギヤカバー11に回転可能に支持され、他端(前端)は軸部8Aが前記アンビル3の中心部に形成された中心穴3aに嵌合することによって回転可能に保持されている。又、アンビル3は、軸受メタル16を介してハンマケース6の前端部に回転可能に支持されており、その外周は軸受メタル16の内周に固設されたオイルシール17によってシールされている。
又、スピンドル8の外周にはハンマ18が回転可能に支持されており、スピンドル8とハンマ18とはカム機構によって連結されておいる。ここで、カム機構は、スピンドル8の外周面に形成されたV字状のスピンドルカム溝8a及びハンマ18の内周面に形成されたV字状のハンマカム溝18a及びこれらのカム溝8a,18aに係合するボール19で構成されている。そして、ハンマ18は、スプリング20によって常に先端方向(図7の右方)に付勢されており、静止時にはボール19とカム溝8a,18aとの係合によってアンビル3の端面とは隙間を隔てた位置にある。尚、ハンマ18とアンビル3の相対向する回転平面上の2箇所には凸部18b,3bがそれぞれ対称的に形成されている。
而して、前述のようにスピンドル8が回転駆動されると、その回転は前記カム機構を介してハンマ18に伝達され、ハンマ18が半回転しないうちに、該ハンマ18の凸部18bがアンビル3の凸部3bに係合してアンビル3を回転させるが、そのときの係合反力によってスピンドル8とハンマ18との間に相対回転が生ずると、ハンマ18はカム機構のスピンドルカム溝8aに沿ってスプリング20を圧縮しながらモータ2側へと後退を始める。
そして、ハンマ18の後退動によって該ハンマ18の凸部18bがアンビル3の凸部3bを乗り越えて両者の係合が解除されると、ハンマ18は、スピンドル8の回転力に加え、スプリング20に蓄積されていた弾性エネルギーとカム機構の作用によって回転方向及び前方に急速に加速されつつ、スプリング20の付勢力によって前方へ移動し、その凸部18bがアンビル3の凸部3bに再び係合して一体に回転し始める。このとき、強力な回転打撃力がアンビル3に加えられるため、該アンビル3に装着された不図示のビットを介して不図示のネジに回転打撃力が伝達される。
以後、同様の動作が繰り返されてビットからネジに回転打撃力が間欠的に繰り返し伝達され、該ネジが木材等の被締結材にねじ込まれる。
特開2006−130593号公報
ところで、図7に示した回転打撃工具においては、ハンマケース6内に収容された遊星ギヤ機構7や回転打撃機構を構成する部品には、これらの回転や往復摺動が円滑になされるように潤滑剤が塗布されているが、遊星ギヤ機構7や回転打撃機構の発熱によってハンマケース6の内圧が上昇すると潤滑剤がハンマケース6から外部に漏れ易くなる。このため、ハンマケース6を前述のようにギヤカバー11によって密閉してその内部に密閉空間Sを形成するとともに、該密閉空間Sを密封するために前記ベアリング15をシール付ボールベアリングとするとともに、オイルシール17によってアンビル3と軸受メタル16間をシールし、ギヤカバー11とハンマケース6との接合部等にシリコンを塗布して密閉空間Sの密封性を高めている。
ところが、ベアリング15やオイルシール17等のシール性能が低下すると、潤滑剤がハンマケース6の外部に漏れ出る可能性があった。潤滑剤がハンマケース6の外部に漏れ出ると、回転打撃工具の耐久性が低下するだけでなく、作業者や被加工材が潤滑剤で汚染されるという問題が発生する。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、簡単な構成で潤滑剤の漏れを確実に防ぐことができる動力工具を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明は、モータと、前記モータを収容するハウジングと、前記モータによって回転される遊星ギヤ機構と、前記遊星ギヤ機構によって回転されるハンマと、前記ハンマによる回転打撃力が伝達されるアンビルと、前記遊星ギヤ機構、前記ハンマ、前記アンビルを収容するギヤカバー及びハンマケースと、を有する回転打撃工具であって、前記ハンマケースに、貫通孔を形成すると共に、該貫通孔を形成したハンマケースの外側の面であって前記ハウジングと対向する面に、前記貫通孔を塞ぐための通気性部材を保持する凸状リブを設け前記ハウジングは、前記凸状リブと嵌合するよう構成されていることに一つの特徴がある。
本発明の他の特徴は、前記凸状リブは、第1の凸状リブと、第2の凸状リブとを有し、前記貫通穴は、前記第1の凸状リブと、前記第2の凸状リブの間に設けられることにある。
本発明の他の特徴は前記ハンマケースに前記貫通孔が設けられており、前記ハウジングは、前記貫通孔、前記通気性部材を覆うように設けられることにある。
本発明の他の特徴は、前記貫通孔が、前記ハンマケースの下部に設けられることにある。
本発明によれば、ハウジング内に形成された密閉空間は貫通孔及びこれを塞ぐ通気性部材を介して大気に連通するため、密閉空間内に収容された動力伝達機構の発熱によって密閉空間内が加熱されても、密閉空間の内圧上昇が抑えられ、密閉空間内の潤滑剤の外部への漏洩が抑制される。そして、密閉空間から微量の潤滑剤が貫通孔から漏れ出ても、この潤滑剤は通気性部材に吸収されるため、ハウジング外へと潤滑剤が漏れ出て作業者や被加工材が汚染されるという不具合の発生が防がれる。
本発明によれば、密閉空間を構成するケース部材とカバー部材の少なくとも一方に貫通孔を形成し、この貫通孔を通気性部材で塞いだため、密閉空間の内圧上昇が貫通孔によって防がれるとともに、密閉空間からの潤滑剤の漏れが通気性部材によって防がれる。
本発明によれば、動力工具の輸送や保管時には、ケース部材の下部に形成された貫通孔が上向きになるため、長期間の保管でも内部の潤滑剤が貫通孔から漏れ出ることがなく、動力工具に高い信頼性が確保される。
本発明によれば、ケース部材に形成された通気孔がケース部材とハウジングの間に介在する通気性部材によって塞がれるため、潤滑剤の漏れが確実に防がれて高い信頼性が得られる。
本発明によれば、カバー部材に形成された通気孔がカバー部材の凹部に充填され通気性部材によって塞がれるため、潤滑剤の漏れが確実に防がれて高い信頼性が得られる。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
<実施の形態1>
図1は本発明に係る動力工具の一形態としての回転打撃工具の回転打撃機構部の側断面図、図2は図1のA部拡大詳細図、図3は図2のB−B線断面図、図4は図2のC−C線断面図、図5は図2のD−D線断面図である。
本実施の形態に係る回転打撃工具は、バッテリを電源とし、モータを駆動源とするコードレスの手持ち式工具であって、その構成は一部を除き図7に示した従来の回転打撃工具のそれと同じである。従って、以下の説明では図7に示したものと同一要素には同一符号を付し、それらについての再度の説明は省略する。
本実施の形態に係る回転打撃撃工具においては、図4に示すように、ハンマケース6の下部に円孔状の貫通孔21を形成し、該貫通孔21を通気性部材としてのフェルト22で塞いだことを特徴とする。ここで、通気性部材であるフェルト22は、空気は通すが潤滑剤は通さない性質を有するものであって、潤滑剤は該フェルト22によって吸収され。尚、本実施の形態においても、ハンマケース6とギヤカバー11によって形成される密閉空間Sを密封するために、ベアリング15にシール付ボールベアリングを使用するとともに、Oリング等のオイルシール17によってアンビル3と軸受メタル16間をシールし、ギヤカバー11とハンマケース6との接合部等にシリコンを塗布して密閉空間Sの密封性を高めている。
図2、図3及び図5に示すように、ハンマケース6の下部の幅方向中央には前後2つの凸状リブ6aが適当な間隔を設けて一体に突設されており、ハウジング4の底部の前記凸状リブ6aの両側内面には、図3〜図5に示すように、凸状リブ4aが互いに対向するよう水平に一体に突設され、これらの凸状リブ4aによってハンマケース6の凸状リブ6aが受けられている。即ち、ハンマケース6の凸状リブ6aがハウジング4の左右の凸状リブ4aの間に嵌合することによって、ハンマケース6の回り止めがなされている。
そして、図4に示すように、ハンマケース6の下部の2つの凸状リブ6aによって挟まれた部分に前記貫通孔21が形成されており、この貫通孔21は前記フェルト22によって下側から塞がれている。ここで、フェルト22は、図5に示すように、ハンマケース6の2つの凸状リブ6aとハウジング4の2つのリブ4aによって囲まれて形成された平面視矩形の空間S1内に収容保持されている。
而して、本実施の形態に係る回転打撃工具においては、ハウジング4内に形成された密閉空間Sは貫通孔21及びこれを塞ぐフェルト22を介して大気に連通するため、密閉空間S内に収容された回転打撃機構の発熱によって密閉空間S内がの空気が加熱されて膨張しても、密閉空間Sの内圧上昇が抑えられ、密閉空間S内の潤滑剤の外部への漏洩が抑制される。そして、密閉空間Sから微量の潤滑剤が貫通孔21から漏れ出ても、この潤滑剤はフェルト22に吸収されるため、ハウジング4外へと潤滑剤が漏れ出て作業者や被加工材が汚染されるという不具合の発生が防がれる。
ところで、回転打撃工具の輸送や保管時には該回転打撃工具は上下が逆にされるが、本実施の形態では、ハンマケース6の下部に貫通孔21を形成したため、輸送や保管時には貫通孔21が上向きになる。従って、長期間の保管でも密閉空間S内の潤滑剤が貫通孔21から漏れ出ることがなく、当該回転打撃工具に高い信頼性が確保される。
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2を図6に基づいて説明する。
図6は本発明の実施の形態2に係る回転打撃工具の回転打撃機構部の側断面図であり、本図においては図1に示したものと同一要素には同一符号を付しており、以下、それらについての再度の説明は省略する。
本実施の形態は、図6に示すように、ギヤカバー11の外面(背面)に凹部11aを形成するとともに、ギヤカバー11に、凹部11aに開口する円孔状の貫通孔21を形成し、該貫通孔21をギヤカバー11の凹部11aに充填された通気性部材であるフェルト22で塞いだことを特徴とする。
而して、本実施の形態に係る回転打撃工具においても、ハウジング4内に形成された密閉空間Sは貫通孔21及びこれを塞ぐフェルト22を介して大気に連通するため、密閉空間S内に収容された回転打撃機構の発熱によって密閉空間S内が加熱されても、密閉空間Sの内圧上昇が抑えられ、密閉空間S内の潤滑剤の外部への漏洩が抑制される。そして、密閉空間Sから微量の潤滑剤が貫通孔21から漏れ出ても、この潤滑剤はフェルト22に吸収されるため、ハウジング4外へと潤滑剤が漏れ出て作業者や被加工材が汚染されるという不具合の発生が防がれる。
尚、以上は本発明を電動式の回転打撃工具に適用した形態について説明したが、本発明は、電動式以外の他の任意の動力工具に対しても同様に適用可能である。又、以上の実施の形態では、通気性部材としてフェルトを使用したが、通気性部材としては空気のみを通して潤滑剤を吸収する機能を備えているものであれば他の任意のものを使用することができる。
本発明の実施の形態1に係る回転打撃工具の回転打撃機構部の側断面図である。 図1のA部拡大詳細図である。 図2のB−B線断面図である。 図2のC−C線断面図である。 図2のD−D線断面図である。 本発明の実施の形態2に係る回転打撃工具の回転打撃機構部の側断面図である。 従来の回転打撃工具の側断面図である。
符号の説明
1 バッテリ
2 モータ(駆動源)
2a モータの出力軸
3 アンビル
3a アンビルの中心穴
4 ハウジング
4A ハウジングの胴体部
4B ハウジングのハンドル部
4a ハウジングの凸状リブ
5 スイッチ
6 ハンマケース(ケース部材)
6a ハンマケースの凸状リブ
7 遊星ギヤ機構
8 スピンドル
8A スピンドルの軸部
8a スピンドルカム溝
9 ベアリング
10 サンギヤ
11 ギヤカバー(カバー部材)
11a ギヤカバーの凹部
12 リングギヤ
13 遊星ギヤ
14 ニードルピン
15 ベアリング
16 軸受メタル
17 オイルシール
18 ハンマ
18a ハンマカム溝
18b ハンマの凸部
19 ボール
20 スプリング
21 貫通孔
22 フェルト(通気性部材)
S 密閉空間
S1 空間

Claims (3)

  1. モータと、
    前記モータを収容するハウジングと、
    前記モータによって回転される遊星ギヤ機構と、
    前記遊星ギヤ機構によって回転されるハンマと、
    前記ハンマによる回転打撃力が伝達されるアンビルと、
    前記遊星ギヤ機構、前記ハンマ、前記アンビルを収容するギヤカバー及びハンマケースと
    、を有する回転打撃工具であって、
    前記ハンマケースに、貫通孔を形成すると共に、
    該貫通孔を形成したハンマケースの外側の面であって前記ハウジングと対向する面に、前記貫通孔を塞ぐための通気性部材を保持する凸状リブを設け
    前記ハウジングは、前記凸状リブと嵌合するよう構成されていることを特徴とする回転打撃工具。
  2. 前記凸状リブは、第1の凸状リブと、第2の凸状リブとを有し、前記貫通穴は、前記第1の凸状リブと、前記第2の凸状リブの間に設けられることを特徴とする請求項1記載の回転打撃工具。
  3. 前記貫通孔は、前記ハンマケースの下部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の回転打撃工具。
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