図1は本発明の画像読取装置の一実施形態であるスキャナ装置10の構成を示す図である。図2は図1のスキャナ装置10の要部拡大図であり、イメージセンサ36の構成を示す図である。図3はAFE27の構成を示す図である。図4は点順次による読取タイミングを示すタイミングチャートである。図5は線順次による読取タイミングを示すタイミングチャートである。このスキャナ装置10では、内蔵されたキャリッジ30が有するイメージセンサ36で読取面12に載置された読取原稿の画像を副走査方向に走査することにより画像の読取を実行するように構成されている。
図1に示すように、スキャナ装置10は、ガラス板である読取面12に載置された読取原稿の画像を読取るキャリッジ30と、装置全体の制御を司る制御ユニット20とを備えている。また、このスキャナ装置10は、筐体上面14のキャリッジ30側に設けられた白基準板16と、読取原稿の上方に配置され透過原稿を読取るときに用いられる透過原稿用光源32と、キャリッジ30を移動する駆動モータ39とを備えている。
キャリッジ30は、読取原稿の下方に配置されており、読取面12に載置された原稿に光を照射する反射原稿用光源31と、原稿で反射または透過した光をミラー33および集光レンズ34を介して受けることにより画像を読取るイメージセンサ36とを備えている。反射原稿用光源31および透過原稿用光源32は、1個または複数の白色LEDからの光が線状に読取面12へ照射されるように構成されている。なお、赤色LED、緑色LED、青色LEDや水銀ランプなどにより白色光を照射するものとしてもよい。
また、図2に示すように、イメージセンサ36は、複数の光電変換素子が主走査方向に並設された赤色(R)の信号を出力する第1ラインセンサ36Rと、複数の光電変換素子が主走査方向に並設された緑色(G)の信号を出力する第2ラインセンサ素子列36Gと、複数の光電変換素子が主走査方向に並設された青色(B)の信号を出力する第3ラインセンサ36Bとを備えている。第1ラインセンサ36Rは1画素を構成する光電変換素子であり露光された光を電荷に変換して蓄積する複数のフォトダイオード41a,41b,41c,41d…と、各フォトダイオードごとに形成されフォトダイオードから受け取った電荷を水平方向に転送可能な複数のCCD42a,42b,42c,42d…とを備えている。また、第2ラインセンサ36Gは、第1ラインセンサ36Rと同様に、フォトダイオード43a,43b,43c,43d…と、CCD44a,44b,44c,44d…とを備えている。また、第3ラインセンサ36Bは、第1および第2ラインセンサ36R,36Gと同様に、フォトダイオード45a,45b,45c,45d…と、CCD46a,46b,46c,46d…とを備えている。本実施形態では、複数のフォトダイオード41a…の全体をフォトダイオード41と称し、複数のCCD42a…の全体をCCD42と称する。また、複数のフォトダイオード43a…の全体をフォトダイオード43と称し、複数のCCD44a…の全体をCCD44と称する。また、複数のフォトダイオード45a…の全体をフォトダイオード45と称し、複数のCCD46a…の全体をCCD46と称する。また、CCD42,44,46は、電子シャッタ機能を有しており、この電子シャッタ機能により電荷を図示しない基板へ逃がすことができるように構成されている。
また、キャリッジ30は、スキャナ装置10の筐体の一端に取り付けられた駆動モータ39と筐体の他端側に取り付けられた従動ローラ38aとの間に架設されたキャリッジベルト38が駆動モータ39によって駆動されるのに伴ってキャリッジ移動方向(副走査方向)へ移動可能に構成されている。そして、キャリッジ30を移動させることにより、読取面12に載置された読取原稿の画像を、イメージセンサ36で主走査方向にほぼ直交する副走査方向に走査して読取ったラインデータを、後述するAFE27に出力する。なお、ここではイメージセンサ36としてCCDイメージセンサを例に挙げたが、CMOS型のイメージセンサを採用してもよい。また、主走査方向に各色のラインセンサ36R,36G,36Bを1列ずつ配列したイメージセンサ36を例に挙げたが、各色のラインセンサを2列以上配列してもよい。
制御ユニット20は、装置全体の制御を司るメインコントローラ21と、イメージセンサ36を駆動制御するCCDコントローラ25と、イメージセンサ36の種々の動作の開始タイミングなどをイメージセンサ36に出力するタイミングジェネレータ(TG)26と、イメージセンサ36から出力された電気信号を増幅してデジタル信号に変換するアナログフロントエンド(AFE)27と、AFE27から入力した信号にシェーディング補正やガンマ補正など所定の処理を実行してデジタル画像データを作成する画像処理部28とを備えている。
メインコントローラ21は、CPU22を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムや各種テーブルを記憶するROM23と、イメージセンサ36が出力したラインデータなどのデータを一時的に格納するRAM24と、ユーザパソコンPC50などの外部機器と接続可能なインタフェース(I/F)29と、図示省略した入出力ポートとを備えている。メインコントローラ21には、I/F29からの読取指令など各種の信号や画像処理部28からデジタル画像データの信号などが入力される。また、メインコントローラ21からは、反射原稿用光源31や透過原稿用光源32への点灯信号や、駆動モータ39への駆動信号、AFE27へのゲイン調整信号、I/F29へのデジタル画像データの信号、CCDコントローラ25へのメインクロックや読取指令の信号などが出力される。
CCDコントローラ25は、メインコントローラ21から入力したメインクロックに基づいて作成したイメージセンサ36の電荷の読出開始タイミングに相当する駆動信号などをTG26へ出力するものであり、イメージセンサ36を点順次で駆動する点順次制御部25aとイメージセンサ36を線順次で駆動する線順次制御部25bとを備えている。
なお、図4に示すように、「点順次」とは、第1ラインセンサ36Rに含まれる1番目のフォトダイオード41a、第2ラインセンサ36Gに含まれる1番目のフォトダイオード43a、第3ラインセンサ36Bに含まれる1番目のフォトダイオード45a、第1ラインセンサ36Rに含まれる2番目のフォトダイオード41b、第2ラインセンサ36Gに含まれる2番目のフォトダイオード43b、というようにラインセンサの順でかつ各ラインセンサに含まれる各フォトダイオード41,43,45の順に蓄積された電荷を読出すことをいう。具体的には、図4に示すように、CCDコントローラ25は、すべてのラインセンサ36R,36G,36Bへシフト信号を出力する(時刻t1)。すると、すべてのラインセンサ36R,36G,36Bが同じタイミングで読取画像用の電荷の蓄積を開始する。次に、読出開始タイミングに至ると、すべてのラインセンサ36R,36G,36Bへシフト信号と駆動信号とを出力する(時刻t2)。すると、各々のラインセンサ36R,36G,36Bでは、フォトダイオード41,43,45に蓄積された電荷をCCD42,44,46に移動し、CCD42,44,46に移動した電荷を第1ラインセンサ36R、第2ラインセンサ36Gおよび第3ラインセンサ36Bの順、かつ各ラインセンサ36R,36G,36Bのフォトダイオード41,43,45の順に、すなわち点順次で読出す処理を行う(時刻t2〜t3)。このように、点順次では、イメージセンサ36からは「R」「G」「B」「R」「G」「B」…、の順で電荷が出力され、各ラインセンサ36R,36G,36Bからすべての電荷を出力すれば次の電荷の蓄積が開始される。
また、図5に示すように、「線順次」とは、第1ラインセンサ36Rに含まれるフォトダイオード41a、41b、41c、41d…の順に蓄積された電荷を第1ラインセンサ36Rからすべて読出したあと、第2ラインセンサ36Gに含まれるフォトダイオード43a、43b、43c、43d…の順に蓄積された電荷を第2ラインセンサ36Gからすべて読出し、第3ラインセンサ36Bに含まれるフォトダイオード45a、45b、45c、45d…の順に蓄積された電荷を第3ラインセンサ36Bからすべて読出すことをいう。
具体的には、図5に示すように、まず、CCDコントローラ25は、第1ラインセンサ36Rへシフト信号を出力する(時刻t6)。すると、第1ラインセンサ36Rが読取画像用の電荷の蓄積を開始する。次に、第1ラインセンサ36Rの読出開始タイミングに至ると第1ラインセンサ36Rへシフト信号および駆動信号を出力すると共に、第2ラインセンサ36Gへシフト信号を出力する(時刻t7)。すると、フォトダイオード41に蓄積された電荷をCCD42に移動し(時刻t7)、CCD42に移動した電荷を読み出すと共に、第2ラインセンサ36Gが読取画像用の電荷の蓄積を開始する(時刻t7〜t8)。続いて、第2ラインセンサ36Gの読出開始タイミングに至ると、第2ラインセンサ36Gへシフト信号および駆動信号を出力すると共に、第3ラインセンサ36Bへシフト信号を出力する(時刻t8)。すると、CCD42からの電荷の読出が終了し、フォトダイオード43に蓄積された電荷をCCD44に移動し(時刻t8)、CCD44に移動した電荷を読み出すと共に、第3ラインセンサ36Bが読取画像用の電荷の蓄積を開始する(時刻t8〜t9)。続いて、第3ラインセンサ36Bの読出開始タイミングに至ると、第3ラインセンサ36Bへシフト信号および駆動信号を出力する(時刻t9)。すると、CCD44からの電荷の読出が終了し、フォトダイオード45に蓄積された電荷をCCD46移動し(時刻t9)、CCD46に移動した電荷を読み出す(時刻t9〜t10)。そして、CCD46からの電荷の読出が終了すると、「R」「G」「B」それぞれ1ライン分のラインデータの出力が完了する。このように、線順次では、第1ラインセンサ36R、第2ラインセンサ36Gおよび第3ラインセンサ36Bの電荷を蓄積する時間は同じ蓄積時間であるが、電荷の蓄積開始タイミングおよびCCD42,44,46に移動した電荷を読み出す読出開始タイミングのいずれもが異なるタイミングとなるように設定されている。このように、線順次では、イメージセンサ36から1ライン分の電荷が「R」「R」「R」…、「G」「G」「G」…、「B」「B」「B」…の順で出力される。
なお、本実施形態では、イメージセンサ36による画像の第nラインの1回の読取りにより、第1〜第3ラインセンサ36R,36B,36Gから3色分のラインデータが出力されるが、この3本のラインデータを合わせて第nライン目のラインデータとして取扱う。各ラインセンサ36R,36G,36Bが出力するラインデータをそれぞれ区別して取扱うことを明示しない限りは、これらの「R」「G」「B」の3色のラインデータを合わせて第nライン目のラインデータと称する。また、CCDコントローラ25は、読取原稿がネガ以外のものであるときは、第1ラインセンサ36R、第2ラインセンサ36Gおよび第3ラインセンサ36Bの電荷の蓄積時間(露光時間)が、1:1:1の比になるよう設定し、読取原稿がネガであるときには、第1ラインセンサ36R,第2ラインセンサ36Gおよび第3ラインセンサ36Bの電荷の蓄積時間が、1:2:3の比になるよう設定する。このような構成とすれば、読取原稿が階調の小さな暗部の領域を多く含むネガの透過原稿であるときは、光が通過しにくい緑および青を読取る第2ラインセンサ36Gおよび第3ラインセンサ36Bの電荷の蓄積時間を通常より長い時間に設定し、電荷を蓄積するようイメージセンサ36を駆動し、十分大きな各色の出力値を得ることができる。
TG26は、シフト信号の出力タイミングなどをイメージセンサ36に出力する。なお、イメージセンサ36は、シフト信号がTG26から入力されると、フォトダイオードに蓄積した電荷をCCDへ移動させ、駆動信号がTG26から入力されると、CCDにある電荷をAFE27へ出力するよう構成されている。
図3に示すように、AFE27はイメージセンサ36から読出された電荷を画像アナログ信号として相関二重サンプラ(CDS)処理回路27aを経てノイズを抑えて読込み、適正な信号レベルに増幅する可変増幅アンプ27bを経てA/D変換部27cにより10〜16ビット程度のデジタル信号に変換するものである。このAFE27では、第1ラインセンサ36R、第2ラインセンサ36Gおよび第3ラインセンサ36Bからの電荷を切替スイッチ27dにより切替えて入力する構成となっている。なお、このスキャナ装置10では、AFE27が3つの素子列を切替えながら電荷を入力することから、イメージセンサ36に蓄積された電荷をイメージセンサ36から読出す読出速度は、AFE27や画像処理部28での処理速度に適した値に設定されている。
画像処理部28は、AFE27から入力したデジタル信号に対して所定の処理を施して画像データを生成したり、シェーディング補正用の白基準データおよび黒基準データを生成したりするものであり、イメージセンサ36が出力したN(Nは自然数)ライン分のラインデータの各画素ごとの平均データを導出する平均データ導出部28a、シェーディング補正部28b、ガンマ補正部28c、その他の補正部28d、原稿判別部(図示省略)、露光時間設定部(図示省略)などを有している。
平均データ導出部(本発明の「平均データ導出手段」に相当)28aは、イメージセンサ36が出力したN(Nは自然数)ライン分のラインデータの各画素ごとの平均データを導出することができるように構成されており、AFE27から出力されたデジタルの「R」「G」「B」のラインデータを構成する各画素データやRAM24から読出した画素データを一時的に格納するバッファ28a1と、AFE27から出力された画素データおよびRAM24から読出した画素データの平均データを出力する平均化回路(本発明の「平均部」に相当)28a2と、RAM27の所定のメモリ領域へのライン(画素)データの書込みとRAM27からのライン(画素)データの読出しとを制御するデータ入出力部(本発明の「データ書込部」に相当)28a3を備えている。
シェーディング補正部28bは、AFE27から出力されたデジタル信号を、後述するように画像読取り開始前に導出した白基準データと黒基準データとを用いて、イメージセンサ36(第1〜第3ラインセンサ36R,36G,36B)のフォトダイオードごとの感度のばらつきや反射原稿用光源31および透過原稿用光源32の主走査方向の光量のばらつきを補正する。なお、導出された白基準データおよび黒基準データはRAM24に一時的に格納される。
ガンマ補正部28cは、シェーディング補正された第1〜第3ラインセンサ36R,36G,36Bからのデジタルの光量信号を、設定された所定のガンマ関数によりガンマ補正して一般的な形式のデジタル画像データに変換する。また、その他の補正部28dでは、黒色レベルの値を減算処理するオプティカルブラック処理やホワイトバランスを補正するホワイトバランス処理などの色補正、画像の輪郭を強調するシャープネス処理、領域拡大/縮小などの諸変換処理などが行われる。
原稿判別部(図示省略)は、読取原稿を予備走査したときにイメージセンサ36から出力された電気信号の出力値から読取原稿の種類を判別する。原稿判別部では、過剰露光が必要な原稿であるか、または過剰露光が不要な原稿であるかを判別する。過剰露光が必要な原稿とは、例えばネガ原稿のように、暗部が多く含まれ、「R」、「G」、「B」の情報がアンバランスな画像である。一方、過剰露光が不要な原稿とは、「R」、「G」、「B」のバランスがとれた明るい画像、例えばポジ原稿や通常の反射原稿である。露光時間設定部(図示省略)では、原稿判別部で判別された読取原稿の種類に基づいてイメージセンサ26の露光時間が設定される。次に、図6および図7を参照して、イメージセンサ36が出力したNライン分のラインデータの各画素ごとの平均データを導出するときのRAM24の使用方法について説明する。
図6はAFE27から出力された第nライン目のライン(画素)データのRAM24への書込みを示す概念図である。また、図7は第nライン目のラインデータおよび第(n+1)ライン目のラインデータに基づく各画素ごとの平均データのRAM24への書込みを示す概念図である。本実施形態では、例えばシェーディング補正用の白基準データおよび黒基準データを導出するときに、イメージセンサ36が出力したNライン分のラインデータの各画素ごとの平均データを導出する処理が実行されるように構成されている。従来、このように複数ライン分のラインデータの各画素ごとの平均データを導出するときは、複数ライン分のラインデータのすべてをRAM24に一時的に格納した後に、格納された複数ライン分のラインデータに基づいて各画素ごとの平均データが導出されるが、上記したように、近年のスキャナ装置10の高解像度化に伴い、個々のラインデータを構成する画素データの数が増大し、これによりラインデータのデータ容量が増大するという問題があった。そこで、AFE27を介して入力されたイメージセンサ36の出力をそのままRAM24に書込む代わりに、平均データ導出部28aにおいて2ライン分のラインデータごとに各画素データの平均データを導出した後に、導出された平均データをRAM24に書込むことで、使用されるRAM24のメモリ容量の低減を図ろうとするのが本実施形態の特徴である。
なお、本実施形態では、上記したように1ライン分のラインデータには、イメージセンサ36の各ラインセンサ36R,36G,36Bから出力された「R」「G」「B」の3色分のラインデータが含まれている。しかしながら、以下では説明を簡単にするために、各ラインセンサ36R,36G,36Bのいずれか1つから出力された単色のラインデータの処理についてのみ説明を行うが、他の色のラインデータの処理は、以下で説明する処理と同様であるためその処理の説明は省略する。
図6に示すように、平均データ導出部28aは、AFE27から出力されたイメージセンサ36による第n(nは奇数、かつ、1≦n≦N)ライン目のラインデータを構成する各画素データをまずバッファ28a1に一時的に格納した後、データ入出力部28a3により各画素データをそれぞれRAM24の個別のメモリ領域に順次書込むように構成されている。そして、図7(a)に示すように、平均データ導出部28aは、イメージセンサ36による第(n+1)ライン目のラインデータの読取時に、データ入出力部AFE27から出力される、この第(n+1)ライン目の各画素データをバッファ28a1に格納する一方、データ入出力部28a3によりメモリ領域に格納された第nライン目のラインデータの各画素データを順次読出してバッファ28a1に格納する。
次に、平均化回路28a2により、バッファ28a1に格納された第nライン目のラインデータの画素データと、第(n+1)ライン目のラインデータの画素データとに基づいて、各画素ごとの平均データが導出される。続いて、図7(b)に示すように、データ入出力部28a3により、平均化回路28a2により導出された第nライン目と第(n+1)ライン目のラインデータの各画素ごとの平均データが、それぞれRAM24の第nライン目のラインデータの各画素データが格納された領域に書込まれる。そして、第Nライン目のラインデータの読取りが終了して、2ラインごとの各画素データの平均データがRAM24へ書込まれた後、データ入出力部28a3により、RAM24に格納された1/2Nライン分の各画素ごとの平均データがを順次読出されてバッファ28a1に格納され、平均化回路28a2によりバッファ28a1に格納された各画素データに基づいて、Nライン分のラインデータの各画素ごとの平均データを導出される。最後に、平均化回路28a2により導出された各画素ごとの平均データが、データ入出力部28a3により、逐次、RAM24に構成された白基準データ格納領域(図示省略)および黒基準データ格納領域(図示省略)に出力されることで、Nライン分のラインデータに基づく白基準データおよび黒基準データの導出処理が完了する。
なお、本実施形態では、読取原稿が反射原稿の場合は、キャリッジ30を白基準板16の読取位置に移動し、反射原稿用光源31を点灯した状態でメージセンサ36により白基準板16を副走査方向に32ライン読取って、32ライン分のラインデータをシェーディング補正用の白基準データ導出用ラインデータとしてAFE27を介して平均データ導出部28aに出力するように構成されている。そして、平均データ導出部28aにより、32ライン分の白基準データ導出用ラインデータが8ラインごとに4つに分割されて、8ライン分のラインデータに基づく各画素ごとの平均データが4つ導出される。最後に、図示省略された判定選択部により、4つの平均データのうち、予め設定された条件(例えば、輝度が最も大きいもの)に最もよく従うものが白基準データとして選択され、データ入出力部28a3により選択された白基準データがRAM24の白基準データ格納領域に出力される。このように構成すれば、白基準板16に汚れなどがある場合であっても、精度よく白基準データを導出できる。次に、反射原稿用光源31が消灯した状態でイメージセンサにより白基準板16を副走査方向に8ライン読み取って、8ライン分のラインデータをシェーディング補正用の黒基準データ導出用ラインデータとしてAFE27を介して平均データ導出部28aに出力するように構成されている。そして、平均データ導出部28aにより、8ライン分の黒基準データ導出用ラインデータに基づく各画素ごとの平均データが導出され、判定選択部によりこの平均データが黒基準データとして選択されて、データ入出力部28a3により選択された黒基準データがRAM24の黒基準データ格納領域に出力される。
また、読取原稿がポジの透過原稿の場合は、原稿がない位置にキャリッジ30を移動し、透過原稿用光源32を点灯しこれをイメージセンサ36で読取って、上記した処理と同様の処理を行うことで白基準データを導出するように構成されている。また、透過原稿用光源32を消灯した状態で読取って、上記した処理と同様の処理を行うことで黒基準データを導出するように構成されている。以上のように、キャリッジ30、ミラー33、集光レンズ34、イメージセンサ36、AFE27により本発明の「読取手段」が構成されている。次に、図8を参照して、本実施形態のスキャナ装置10による読取処理の一例について説明する。
図8は、メインコントローラ21のCPU22により実行される読取処理の一例を示すフローチャートである。この読取処理は、ユーザパソコンPC50からの画像読取指令を受信した後に、ROM23に格納されたプログラムが実行されることにより開始される。まず、CPU22は、受信した画像読取指令の設定値の内容または原稿判別部の判定結果により読取原稿の種類を判定する(ステップS100)。そして、読取原稿がネガの透過原稿以外であるとき、すなわち、ポジの透過原稿および反射原稿であると判定されたときは、第1ラインセンサ36R、第2ラインセンサ36Gおよび第3ラインセンサ36Bの電荷の蓄積時間が1:1:1に設定されると共に、イメージセンサ36の駆動が点順次に設定される(ステップS101)。次に、AFE27のゲイン・オフセット調整処理が実行される(ステップS102)。このゲイン・オフセット調整処理では、イメージセンサ36からの出力値とAFE27のリファレンス値との違いからAFE27に設定すべき適切なゲインを調節する処理を行う。
続いて、ステップS103において、シェーディング設定処理が行われる。このシェーディング設定処理では、上記した方法により白基準データおよび黒基準データが導出されて、これらの基準データがRAM24の所定の格納領域に格納される。次に、読取原稿の読取りが実行される(ステップS104)。この読取処理では、第1ラインセンサ36R、第2ラインセンサ36Gおよび第3ラインセンサ36Bの電荷の蓄積開始タイミング、電荷の読出開始タイミングおよび電荷の蓄積時間を同じにして、キャリッジ30を副走査方向に移動しながら、読取原稿を透過または反射した光をイメージセンサ36が電荷として蓄積し、蓄積した電荷をこのイメージセンサ36から読出してAFE27を介して画像処理部28に出力する。続いて、ステップS105において、画像処理部28により、AFE28から出力された電荷が画像データに変換される。
画像データへの変換は、「R」「G」「B」の各色のプレーンを画像処理部28の図示しないメモリ上に設け、AFE27から「R」「G」「B」の順に入力し、シェーディング補正等の補正が施された画素データを各色のプレーンに1画素分ずつ格納することにより行われる。そして、各プレーンの画素データが格納された後、ライン間補正を行って各色のプレーンを重ね合わせることにより画像データが生成される。続いて、読取処理が終了したかどうかが、読取指定された範囲をすべて走査したかどうかに基づいて判定され(ステップS106)、読取処理が終了していないときはステップS104以降の処理が繰返して実行され、読取処理が終了したときは処理を終了する。
一方、ステップS100で読取原稿がネガの透過原稿であると判定されたときは、第1ラインセンサ36R、第2ラインセンサ36Gおよび第3ラインセンサ36Bの電荷の蓄積時間が1:2:3に設定される共に、イメージセンサ36の駆動が線順次に設定される(ステップS107)。次に、ステップS102、S103と同様にAFE27のゲイン・オフセット調整処理が実行され(ステップS108)、シェーディング設定処理が実行される(ステップS109)。
続いて、読取原稿の読取りが実行される(ステップS110)。この読取処理では、第1ラインセンサ36R、第2ラインセンサ36Gおよび第3ラインセンサ36Bの電荷の蓄積時間はそれぞれ異なるように設定され、電荷の蓄積開始タイミングは同じになるように設定され、電荷の読出開始タイミングはそれぞれ異なるタイミングに設定されている。そして、キャリッジ30を副走査方向に移動しながら、設定された値に基づいて、読取原稿から透過または反射した光をイメージセンサ36が電荷として蓄積し、蓄積した電荷をこのイメージセンサ36から読出してAFE27を介して画像処理部28に出力する。続いて、画像処理部28により、AFE27から出力された電荷が画像データに変換される(ステップS111)。
画像データへの変換は、「R」「G」「B」の各色のプレーンを画像処理部28の図示しないメモリ上に設け、AFE27から入力し、シェーディング補正等の補正が施されたラインセンサ36R,36G,36Bの1列分の画素データを各色のプレーンに格納することにより行われる。そして、読取処理が終了したかどうかが、読取指定された範囲をすべて走査したかどうかに基づいて判定され(ステップS112)、読取処理が終了していないときはステップS110以降の処理が繰返して実行され、読取処理が終了したときは処理を終了する。
なお、線順次による各ラインセンサ36R,36G,36Bのいずれか1つからの電荷の読出処理は、他のラインセンサ36R,36G,36Bへの電荷の蓄積処理と並行して実行可能であるため、ステップS110における読取処理のように、各ラインセンサ36R,36G,36Bの電荷の蓄積開始タイミングは同じであっても、電荷の読出しタイミングが異なる場合に、点順次による電荷の読出処理と異なり、平均的に処理を行うことが可能となるため、効率がよい(図5参照)。一方、ステップ104における読取処理のように、各ラインセンサ36R,36G,36Bの電荷の蓄積時間は同じに設定され、電荷の蓄積開始タイミングが同じである場合には、各ラインセンサ36R,36G,36Bの電荷を線順次で読出すよりも、点順次で読出す方が全体の処理時間が短くなるため効率がよい(図4参照)。
以上のように、この実施形態では、AFE27が出力したNライン分のラインデータの各画素ごとの平均データを導出する平均データ導出部28により、イメージセンサ36による第nライン目のラインデータ読取時は、第nライン目のラインデータを構成する各画素データはそれぞれRAM24の個別のメモリ領域に書込まれ、イメージセンサ36による第(n+1)ライン目のラインデータの読取時に、メモリ領域に格納された第nライン目のラインデータと第(n+1)ライン目のラインデータとに基づく各画素ごとの平均データが導出されて、導出された2ライン分のラインデータに基づく平均データが、それぞれRAM24の第nライン目のラインデータの各画素データが格納された領域に書込まれる。このように、平均データ導出時に、画像メモリとしてのライン(画像)データ格納用のRAM24を、近年データ量が増大している1ライン分のラインデータを格納する一時的なバッファとして利用することで、イメージセンサ36が出力したNライン分のラインデータの各画素ごとの平均データを導出するときは、まず、2ラインごとに各画素ごとの平均データを導出し、この2ラインごとの平均データをRAM24に書込むことが可能となる。したがって、RAM24には2ラインごとの平均データが書込まれることとなるため、Nライン分のラインデータのすべてがRAM24に格納される場合に比べ、RAM24に格納されるデータのデータ容量をおよそ半分にすることができ、RAM24のメモリ容量の節約を図ることができる。
また、シェーディング補正に使用する白基準データを32ライン分のラインデータに基づいて導出し、黒基準データを8ライン分のラインデータに基づいて導出するときに、2ラインごとに各画素ごとの平均データが導出され、RAM24には導出された2ラインごとの平均データが格納されることとなるため、白基準データおよび黒基準データを導出するときに使用するRAM24のメモリ容量を節約することができて、効率がよい。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記した実施形態では、カラー画像を読取り可能な画像読取装置を例に挙げて説明したが、モノクロ用の画像読取装置に本発明を適用してもよい。また、Nライン分のラインデータとして、偶数本のラインデータに基づく各画素ごとの平均データを導出するのが望ましい。奇数本のラインデータに基づく各画素ごとの平均データを導出するときは、平均データ導出部28aは、第1ライン目〜第(N−1)ライン目までのラインデータに基づいて、2ラインごとに各画素ごとの平均データを導出し、第Nライン目のラインデータは、平均処理を行わずに、RAM24に書込む構成とすればよい。
また、上記した実施形態で説明した各ラインセンサ36R,36G,36Bの電荷の蓄積時間、電荷の蓄積開始タイミングおよび電荷の読出しタイミングなどの設定は一例であって、上記した設定に限定されるものではない。これらの設定は、読出原稿の種類、フォトダイオード41,43,45の感度、AFE27の処理速度および全体的な処理時間など、種々の条件に応じて最適な設定とすることができる。また、複数のラインデータの画素ごとの平均データを導出する処理に本発明を広く適用することができる。例えば読取ノイズの低減を図るためにユーザパソコンPC50により設定された副走査方向の解像度よりも多くのラインデータを読取って平均データを導出するときに本発明を適用してもよい。また上記した実施形態では、本発明の画像読取装置としてスキャナ装置10を例に挙げて説明したが、本発明の画像読取装置としては、印刷装置を備えたマルチファンクションプリンタとしてもよいし、FAX装置であってもよい。
10…スキャナ装置(画像読取装置)、24…RAM(画像メモリ)、27…AFE(読取手段)、28a…平均データ導出部(平均データ導出手段)、28a2…平均化回路(平均部)、28a3…データ入出力部(データ書込部)、30…キャリッジ(読取手段)、33…ミラー(読取手段)、34…集光レンズ(読取手段)41,43,45…フォトダイオード(光電変換素子)、36…イメージセンサ(読取手段)、36R,36G,36B…ラインセンサ