JP5223354B2 - 切込プリプレグ基材、積層基材、繊維強化プラスチック、および切込プリプレグ基材の製造方法 - Google Patents

切込プリプレグ基材、積層基材、繊維強化プラスチック、および切込プリプレグ基材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、良好な流動性、成形追従性を有し、繊維強化プラスチックとした場合、構造材に適用可能な優れた力学物性、その低バラツキ性、優れた寸法安定性を発現するプリプレグ基材、およびその製造方法、ならびに該プリプレグ基材の積層基材に関する。さらに詳しくは、例えば自動車部材、スポーツ用具等に好適に用いられる繊維強化プラスチックの中間基材であるプリプレグ基材、およびその製造方法、ならびに該プリプレグ基材の積層基材に関する。
強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化プラスチックは、比強度、比弾性率が高く、力学特性に優れること、耐候性、耐薬品性などの高機能特性を有することなどから産業用途においても注目され、その需要は年々高まりつつある。
高機能特性を有する繊維強化プラスチックの成形方法としては、プリプレグと称される連続した強化繊維にマトリックス樹脂を含浸せしめた半硬化状態の中間基材を積層し、高温高圧釜で加熱加圧することによりマトリックス樹脂を硬化させ繊維強化プラスチックを成形するオートクレーブ成形が最も一般的に行われている。また、近年では生産効率の向上を目的として、あらかじめ部材形状に賦形した連続繊維基材にマトリックス樹脂を含浸および硬化させるRTM(レジントランスファーモールディング)成形等も行われている。これらの成形法により得られた繊維強化プラスチックは、連続繊維である所以優れた力学物性を有する。また、連続繊維は規則的な配列であるため、基材の配置により必要とする力学物性に設計することが可能であり、力学物性のバラツキも小さい。しかしながら、一方で連続繊維である所以3次元形状等の複雑な形状を形成することは難しく、主として平面形状に近い部材に限られる。
3次元形状等の複雑な形状に適した成形方法として、SMC(シートモールディングコンパウンド)成形等がある。SMC成形は、通常25mm程度に切断したチョップドストランドに熱硬化性樹脂であるマトリックス樹脂を含浸せしめ半硬化状態としたSMCシートを、加熱型プレス機を用いて加熱加圧することにより成形を行う。多くの場合、加圧前にSMCシートを成形体の形状より小さく切断して成形型上に配置し、加圧により成形体の形状に引き伸ばして(流動させて)成形を行う。そのため、その流動により3次元形状等の複雑な形状にも追従可能となる。しかしながら、SMCはそのシート化工程において、チョップドストランドの分布ムラ、配向ムラが必然的に生じてしまうため、力学物性が低下し、あるいはその値のバラツキが大きくなってしまう。さらには、そのチョップドストランドの分布ムラ、配向ムラにより、特に薄物の部材ではソリ、ヒケ等が発生しやすくなり、構造材としては不適な場合がある。
上述のような材料の欠点を埋めるべく、連続繊維と熱可塑性樹脂からなるプリプレグに切り込みを入れることにより、流動可能で力学物性のバラツキも小さくなるとされる基材が開示されている(例えば、特許文献1,2)。しかしながら、SMCと比較すると力学特性が大きく向上し、バラツキが小さくなるものの、構造材として適用するには十分な強度とは言えない。連続繊維基材と比較すると切り込みという欠陥を内包した構成であるために、応力集中点である切り込みが破壊の起点となり、特に引張強度、引張疲労強度が低下する、という問題があった。
特開昭63−247012号公報 特開平9−254227号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、良好な流動性、複雑な形状の成形追従性を有し、繊維強化プラスチックとした場合、構造材に適用可能な優れた力学物性、その低バラツキ性、優れた寸法安定性を発現するプリプレグ基材、およびその製造方法、ならびに該プリプレグ基材の積層基材を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
(1)強化繊維が一方向に引き揃えられたプリプレグ基材であって、該プリプレグ基材の全面に強化繊維を横切る方向へ断続的な切り込みからなる列が複数列設けられており、前記切り込みを強化繊維の垂直方向に投影した投影長さWsが30μm〜1.5mmであり、実質的に強化繊維のすべてが前記切り込みにより分断され、前記切り込みにより分断された強化繊維の繊維長さLが10〜100mmであり、繊維体積含有率Vfが45〜65%の範囲内である切込プリプレグ基材。
(2)前記切込プリプレグ基材の厚みHが30〜150μmである、(1)に記載の切込プリプレグ基材。
)前記切込プリプレグ基材が炭素繊維と熱硬化性樹脂とから構成される、(1)または(2)に記載の切込プリプレグ基材。
)前記切り込みが繊維直交方向から傾いている、(1)から(3)のいずれかに記載の切込プリプレグ基材。
)前記切り込みが、前記切込プリプレグ基材の上面と下面とのそれぞれから層を厚み方向に貫かずに設けられ、前記切り込みの深さHsが前記切込プリプレグ基材厚みHに対して0.4H〜0.6Hの範囲内であり、上面の任意の切り込みAと、前記切り込みAと繊維長手方向に隣接した上面の切り込みBとの間隔をLaとすると、前記間隔Laが10〜100mmの範囲内であり、前記切り込みAから切り込みB方向への繊維長手方向の移動量0.4La〜0.6Laの範囲内に下面の切り込みCの幾何中心が配置され、上面の切り込みAとBとに囲まれる領域に含まれる強化繊維の一部が、上面の切り込みAと下面の切り込みC、または上面の切り込みBと下面の切り込みCのいずれかにより分断されているとともに、前記上面の切り込みの幾何形状および/または前記下面の切り込みの幾何形状が同一である、(1)から(4)のいずれかに記載の切込プリプレグ基材。
)前記切り込みが、前記切込プリプレグ基材の厚み方向に斜めに設けられており、任意の切り込みにおいて、前記切込プリプレグ基材の上面における強化繊維の分断線と下面における分断線との繊維長手方向の距離をSとすると、前記切込プリプレグ基材厚みHとを用いて、次の(式1)から導かれる角度Θが1〜25°の範囲内にある、(1)から(5)のいずれかに記載の切込プリプレグ基材。
Figure 0005223354
(7)(1)から(6)のいずれか記載の切込プリプレグ基材を含む、強化繊維を一方向に引き揃えられたプリプレグ基材が積層された積層基材であって、前記プリプレグ基材が少なくとも2方向以上に繊維方向が異なる層が積層されている積層基材。
(8)前記積層基材が(1)から(6)のいずれか記載の切込プリプレグ基材のみからなり、前記切込プリプレグ基材が擬似等方に積層されてなる積層基材。
(9)繊維方向が実質的に同一方向である隣接する層において、両層の断続的な切り込みからなる列が等間隔であり、一方の層の前記切込プリプレグ基材の前記切り込みからなる列が、他方の層の前記切込プリプレグ基材の前記切り込みからなる列に対し繊維長手方向にずれて配置されている(7)または(8)に記載の積層基材。
(10)強化繊維が実質的に一方向に引き揃えられた層が強化繊維の配向が異なる方向に少なくとも2層以上積層されてなる、(1)に記載の切込プリプレグ基材を用いた繊維強化プラスチックであって、前記繊維強化プラスチックを構成する層として、層の全面に強化繊維を横切る方向へ該強化繊維に垂直方向に投影した長さWcsが30μm〜20mmの範囲内である複数の切り込みを有し、平均厚みHcが15〜150μmの範囲内である切込層を少なくとも1層以上含み、前記切込層において、強化繊維が切り込みによって繊維長さLが10〜100mmの範囲内で分断されており、前記切込層の内少なくとも1層以上が、層を厚み方向に貫かない切り込みが上面と下面とから配されていることを特徴とする繊維強化プラスチック。
11)(5)に記載の切込プリプレグ基材の製造方法であって、強化繊維を一方向に引き揃えてマトリックス樹脂を含浸して予備プリプレグ基材を準備し、予備プリプレグ基材に、所定の位置に刃を配置した回転刃ローラーを上面と下面との両面から押し当てて、予備プリプレグ基材の厚み方向に層を貫かない切り込みを入れる、切込プリプレグ基材の製造方法。
12)(6)に記載の切込プリプレグ基材の製造方法であって、強化繊維を一方向に引き揃えてマトリックス樹脂を含浸して予備プリプレグ基材を準備し、予備プリプレグ基材に、予備プリプレグ基材の厚み方向に層を貫く切り込みを入れ、上面と下面とで回転速度の異なるニップローラーを押し当て、強化繊維の分断面を厚み方向に斜めにする、切込プリプレグ基材の製造方法。
本発明によれば、良好な流動性、複雑な形状の成形追従性を有し、繊維強化プラスチックとした場合、構造材に適用可能な優れた力学物性、その低バラツキ性、優れた寸法安定性を発現するプリプレグ基材、およびその製造方法、ならびに該プリプレグ基材の積層基材を得ることができる。
本発明者らは、良好な流動性、複雑な形状の成形追従性を有し、繊維強化プラスチックとした場合、優れた力学物性、その低バラツキ性、優れた寸法安定性を発現するプリプレグ基材を得るため、鋭意検討し、プリプレグ基材として、一方向に引き揃えられた強化繊維とマトリックス樹脂から構成されるプリプレグ基材という特定の基材に特定な切り込みパターンを挿入し、該プリプレグ基材を積層し、加圧成形することにより、かかる課題を一挙に解決することを究明したのである。なお、本発明で用いられるプリプレグ基材には、一方向に引き揃えられた強化繊維や強化繊維基材に樹脂が完全に含浸した基材に加え、樹脂シートが繊維内に完全に含浸していない状態で一体化した樹脂半含浸基材(セミプレグ:以下、半含浸プリプレグを称することもある。)を含むものとする。
本発明に係るプリプレグ基材は、強化繊維が一方向に引き揃えられているので、繊維方向の配向制御により任意の力学物性を有する成形体の設計が可能となる。なお、本明細書では、特に断らない限り、繊維あるいは繊維を含む用語(例えば“繊維方向”等)において、繊維とは強化繊維を表すものとする。
さらに、本発明のプリプレグ基材は、全面に強化繊維を横切る方向へ断続的な切り込みからなる列が複数列設けられており、切り込みを強化繊維の垂直方向に投影した投影長さWsが30μm〜1.5mmであり、実質的に強化繊維のすべてが切り込みにより分断され、切り込みにより分断された強化繊維の繊維長さLが10〜100mmであり、繊維体積含有率Vfが45〜65%の範囲内である。なお、本発明において“実質的にすべての強化繊維が切り込みにより分断され”とは、本発明の切り込みにより分断されていない連続繊維が引き揃えられている面積が、プリプレグ基材面積に占める割合の5%より小さいことを示す。
本発明において、繊維長さLとは、例えば図1に示すように、任意の切り込みと、任意の切り込みと同等の切り込みを強化繊維の垂直方向に投影した投影長さWsを有する繊維方向に最近接の切り込み(対になる切り込み)とにより分断される繊維の長さを指している。ここで、“切り込みを強化繊維の垂直方向に投影した投影長さWs”とは図1に示すとおり、切り込みを強化繊維の垂直方向(繊維直交方向2)を投影面として、切り込みから該投影面に垂直(繊維長手方向1)に投影した際の長さを指す。プリプレグ基材の全面に切り込みが挿入され、基材中の強化繊維の繊維長さLをすべて100mm以下とすることにより、成形時に繊維は流動可能、特に繊維長手方向にも流動可能となり、複雑な形状の成形追従性にも優れる。該切り込みがない場合、すなわち連続繊維のみの場合、繊維長手方向には流動しないため、複雑形状を形成することは出来ない。繊維長さLを10mm未満にすると、さらに流動性が向上するが、他の要件を満たしても構造材として必要な高力学特性は得られない。流動性と力学特性との関係を鑑みると、さらに好ましくは20〜60mmの範囲内である。対になる切り込み以外に切り込まれて分断される繊維の中には、前記繊維長さLより短い繊維も存在するが、かかる繊維は本発明で規定する繊維長さLを有する繊維には含まない。そして、そのような10mm以下の繊維は少なければ少ないほどよい。さらに好ましくは、10mm以下の繊維が引き揃えられている面積が、プリプレグ基材面積に占める割合の5%より小さいのがよい。
繊維体積含有率Vfは65%以下で十分な流動性を得ることができる。Vfが低いほど流動性は向上するが、Vfが45%以下となると、構造材に必要な高力学特性は得られない。流動性と力学特性との関係を鑑みると、さらに好ましくは55〜60%の範囲内である。
切り込みの長さについては、強化繊維をどれだけ分断しているか、すなわちプリプレグ基材面内において、切り込みを強化繊維と垂直方向に投影した長さWsが基準となる。切り込みにより生成された繊維束端部は、繊維強化プラスチックにおいては、荷重が加わったときに応力集中が起こり、破壊の起点となる可能性が高い。したがって、強化繊維をできるだけ分断しない方が強度上有利である。Wsが1.5mm以下の場合には強度が大きく向上する。しかしながら、Wsが30μm未満となると、切り込みの制御が難しく、プリプレグ基材全面に渡ってLが10〜100mmとなるよう、保障することが難しい。すなわち、切り込みにより切断されていない繊維が存在すると基材の流動性は著しく低下するが、多めに切り込みを入れるとLが10mmを下回る部位が出てきてしまう、という問題点がある。逆に、Wsが1.5mmより大きいときにはほぼ強度が一定に落ち着く。すなわち、繊維束端部がある一定以上に大きくなると、破壊が始まる荷重がほぼ同等となる。Wsが1.5mm以下であるときに、強度向上が著しい。すなわち、切り込みの制御のしやすさと力学特性との関係を鑑みると、Wsは30μm〜1.5mmである必要があり、好ましくは50μm〜1mmの範囲内である。以降、断らない限り、本発明の全面に切り込みを有するプリプレグ基材を切込プリプレグ基材と記す。
以下、好ましい切り込みパターンの一例を、図1を用いて説明する。
強化繊維が一方向に引き揃えられたプリプレグ基材上に制御されて整列した切り込み4を複数入れる。繊維長手方向の対になる切り込み同士で繊維が分断され、その間隔6を10〜100mmとすることで、切込プリプレグ基材上の強化繊維の繊維長さLを10〜100mmにすることができる。なお、本発明において“実質的に強化繊維のすべてが前記切り込みにより分断され”ているとは、切込プリプレグ基材に含まれる強化繊維本数のうち95%以上が10〜100mmに分断されていることを言う。図1では繊維長さLと切り込みを強化繊維の垂直方向に投影した投影長さWsがいずれも一種類である例を示している。第1の断続的な切り込みからなる列7aと、第3の断続的な切り込みからなる列7cは繊維長手方向にL平行移動することで重ねることができ、また、第2の断続的な切り込みからなる列7bと、第4の断続的な切り込みからなる列7dは繊維長手方向にL平行移動することで重ねることができる。また、第1、第2の切り込みの列と第3、第4の切り込みの列に互いに切り込まれた繊維があり、繊維長さL以下に切り込まれた幅5が存在することによって、安定的に繊維長さを100mm以下で切込プリプレグ基材を製造できる。切り込みのパターンとしては図2のa)〜f)にいくつか例示したが、上記条件を満たせばどのようなパターンでも構わない。図2において、強化繊維の配列の図示は省略されているが、強化繊維の配列方向は、図2において上下方向(垂直方向)である。なお、上記の各条件を満たせば、切り込みパターンはどのようなパターンでも構わない。なお、図2のa)、b)あるいはc)に示される本発明のプリプレグ基材は、切り込みが繊維直交方向に入っている態様、図2のd)、e)あるいはf)に示される本発明のプリプレグ基材は、切り込みが繊維直交方向から傾いている様態を示している。
本発明の切込プリプレグ基材の厚みHは30〜150μmの範囲であることが好ましい。前述のように、強化繊維をどれだけ分断しているかが大きく力学特性に影響するため、厚みが薄い方が切断される強化繊維の数が少ないため、切込プリプレグ基材を積層して硬化させた繊維強化プラスチックの強度が高くなる。また、該繊維強化プラスチックは切り込み部からの層間剥離の進展が大きな影響を与えており、切り込みが深いほど層間剥離しやすく、結果的に強度が下がる。鋭意検討の結果、Hが150μm以下の際、大きく強度向上が見込まれることがわかった。しかしながら、あまりにも薄いプリプレグ基材は製造上安定性に欠け、高コストとなる。特にHが30μm以下の場合、プリプレグ基材の歩止まりが低下する。プリプレグ基材の生産性と力学特性との関係を鑑みると、さらに好ましくは50〜130μmの範囲であることが好ましい。
本発明の切込プリプレグ基材に用いられる強化繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサドール(PBO)繊維などの有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、チラノ繊維、玄武岩繊維、セラミックス繊維などの無機繊維、ステンレス繊維やスチール繊維などの金属繊維、その他、ボロン繊維、天然繊維、変性した天然繊維などを繊維として用いた強化繊維などが挙げられる。その中でも特に炭素繊維は、これら強化繊維の中でも軽量であり、しかも比強度および比弾性率において特に優れた性質を有しており、さらに耐熱性や耐薬品性にも優れていることから、軽量化が望まれる自動車パネルなどの部材に好適である。なかでも、高強度の炭素繊維が得られやすいPAN系炭素繊維が好ましい。
本発明の切込プリプレグ基材に用いられるマトリックス樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリアミド、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリスルフォン、ABS、ポリエステル、アクリル、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー、塩ビ、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、シリコーンなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。その中でも特に熱硬化性樹脂を用いるのが好ましい。マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂であることにより、切込プリプレグ基材は室温においてタック性を有しているため、該基材を積層した際に上下の該基材と粘着により一体化され、意図したとおりの積層構成を保ったままで成形することができる。一方、室温においてタック性のない熱可塑性樹脂プリプレグ基材では、プリプレグ基材を積層した際に該基材同士が滑るため、成形時に積層構成がずれてしまい、結果として繊維の配向ムラの大きい繊維強化プラスチックとなる。特に、凹凸部を有する型で成形する際は、その差異が顕著に現れる。
さらに、熱硬化性樹脂から構成される本発明の切込プリプレグ基材は、室温において優れたドレープ性を有するため、例えば、凹凸部を有する型を用いて成形する場合、予めその凹凸に沿わした予備賦形を容易に行うことが出来る。この予備賦形により成形性は向上し、流動の制御も容易になる。
また、本発明の切込プリプレグ基材はテープ状支持体に密着されていてもよい。切り込みが挿入された基材は、全ての繊維が切り込みにより切断されてもその形態を保持することが可能となり、賦形時に繊維が脱落してバラバラになってしまうという問題はない。マトリックス樹脂がタック性を有する熱硬化性樹脂であるとさらに好ましい。ここで、テープ状支持体とは、クラフト紙などの紙類やポリエチレン・ポリプロピレンなどのポリマーフィルム類、アルミなどの金属箔類などが挙げられ、さらに樹脂との離型性を得るために、シリコーン系や“テフロン(登録商標)”系の離型剤や金属蒸着等を表面に付与しても構わない。
さらに好ましくは熱硬化性樹脂の中でも、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂等や、それらの混合樹脂がよい。これらの樹脂の常温(25℃)における樹脂粘度としては、1×10Pa・s以下であることが好ましく、この範囲内であれば本発明を満たすタック性およびドレープ性を有するプリプレグ基材を得ることができる。中でもエポキシ樹脂は炭素繊維と組み合わせて得られる強化繊維複合材料としての力学特性に最も優れている。
かかるマトリックス樹脂は、熱硬化性樹脂のDSCに拠る発熱ピーク温度をTpとしたとき、前記熱硬化性樹脂が10分以内で硬化し得る温度Tが(Tp−60)〜(Tp+20)の範囲内にあることが好ましい。ここで、硬化し得るとは、熱硬化性樹脂を含む成形前駆体をある温度下で一定時間保持した後に成形前駆体の形状を保持した状態で取り出すことが可能であることをいい、具体的な評価法としては、加熱したプレス上に置いた内径31.7mm、厚さ3.3mmのポリテトラフルオロエチレン製Oリング中に熱硬化性樹脂を1.5ml注入し、10分間加熱加圧し架橋反応を進めた後に、樹脂試験片を変形させることなく取り出せることをいう。前記熱硬化性樹脂が10分以内で硬化し得る温度Tが、(Tp−60)℃より低い場合、成形時に昇温に時間を要することから、成形条件に制約が加わり、(Tp+20)℃より高い場合、樹脂の急激な反応により樹脂内部でのボイドの生成、硬化不良を引き起こすおそれがあるため、上記範囲であることが好ましい。なお、本発明におけるDSCに拠る発熱ピーク温度Tpは、昇温速度10℃/分の条件にて測定した値とする。
以上の硬化特性を発現する熱硬化性樹脂としては、少なくともエポキシ樹脂であり、硬化剤がアミン系硬化剤であり、硬化促進剤が1分子中にウレア結合を2個以上有する化合物が挙げられる。硬化促進剤としては、具体的に、2,4−トルエンビス(ジメチルウレア)または4,4−メチレンビス(フェニルジメチルウレア)が好ましい。
本発明の切込プリプレグ基材を得るためにプリプレグ基材に切り込みを入れる方法としては、まず一方向に引き揃えられた連続繊維の予備プリプレグ基材を作製し、その後カッターを用いての手作業や裁断機により切り込みを入れる方法、あるいは一方向に引き揃えられた連続繊維のプリプレグ製造工程において所定の位置に刃を配置した回転ローラーを連続的に押し当てたり、多層に予備プリプレグ基材を重ねて所定の位置に刃を配置した型で押し切りする等の方法がある。簡易に予備プリプレグ基材に切り込みを入れる場合には前者が、生産効率を考慮し大量に作製する場合には後者が適している。回転ローラーを用いる場合には、直接ローラーを削りだして所定の刃を設けてもよいが、マグネットローラーなどに平板を削りだして所定の位置に刃を配置したシート状の型を巻きつけることにより、刃の取りかえが容易で好ましい。このような回転ローラーを用いることで、Wsの小さな(具体的には1mm以下であっても)切込プリプレグ基材でも良好に切り込みを挿入することができる。切り込みを入れた後、さらに、切込プリプレグ基材をローラー等で熱圧着することで、切り込み部に樹脂が充填、融着することにより、取り扱い性を向上させてもよい。
さらに好ましくは、図2 d)〜f)に示すように、切り込みが繊維直交方向2から傾いているのがよい。工業的に切り込みを入れる際、繊維方向に供給された予備プリプレグ基材に繊維直交方向2に切り込みを入れようとすると、繊維を一気に分断する必要があり、大きな力が必要な他、刃の耐久性が低くなり、また繊維が直交方向2に逃げやすく、繊維の切り残りが増える。一方、切り込みが繊維直交方向2から傾いていることにより、刃の単位長さあたり裁断する繊維量が減少し、小さな力で繊維を裁断でき、刃の耐久性が高く、繊維の切り残り少なくできる。さらに、切り込みが繊維直交方向2から傾いていることにより、切り込み長さに対して、切り込みを強化繊維の垂直方向に投影した投影長さWsを小さくすることができ、一つ一つの切り込みにより分断される繊維量が減ることにより、強度向上が見込まれる。繊維直交方向2に切り込みを入れる場合には、Wsを小さくするために、小さな刃を用意するのが好ましいが、小さくし過ぎると耐久性、加工性に問題が生じる可能性がある。
さらに好ましくは、切り込みが切込プリプレグ基材の上面と下面とのそれぞれから層を厚み方向に貫かずに設けられ、切り込みの深さHsが切込プリプレグ基材厚みHに対して0.4H〜0.6Hの範囲内であり、上面の任意の切り込みAと、切り込みAを繊維長手方向に隣接した上面の切り込みBとの間隔をLaとすると、間隔Laが10〜100mmの範囲内であり、切り込みAから切り込みB方向への繊維長手方向の移動量0.4La〜0.6Laの範囲内に下面の切り込みCの幾何中心が配置され、上面の切り込みAとBとに囲まれる領域に含まれる強化繊維の一部が、上面の切り込みAと下面の切り込みC、または上面の切り込みBと下面の切り込みCのいずれかにより分断されている切込プリプレグ基材がよい。切り込みの深さが強度に大きく影響することを前述したが、本発明者らは、低コストにプリプレグ化できる薄さには限界があるため、切り込みを入れる段階でプリプレグ基材の厚みの略半分の深さの切り込みを上下面から入れることで、大きく強度を向上させるとともに流動性を確保することができることを明らかにしたのである。なお、ここで言う“幾何中心”とは、そのまわりで一次モーメントが0であるような点であり、切り込み上の点xに対して、幾何中心点gが次のような式が成り立つ。
Figure 0005223354
この場合、少なくとも切込プリプレグ基材上面内と下面内では、それぞれ切り込みの幾何形状が同一であるとよい。すなわち、一組の切り込みで分断される繊維はその組内ではすべて繊維長が等しいとよい。好ましくは、上面と下面の切り込みの幾何形状も同一であることである。より好ましくは、切り込みの間隔Lがすべて同一であることである。さらに好ましくは、切り込みAから繊維長手方向への移動量0.5Laに下面の切り込みCが配置されていることである。すなわち、切り込みを制御して切り込み位置関係を等間隔とすることによって、個々の切り込み同士の距離(すなわち、上面の切り込みAと下面の切り込みCとの距離、および、上面の切り込みBと下面の切り込みCとの距離)がもっとも離れ、層間剥離により大きな欠陥となりうる前記切り込み同士がもっともつながりにくくなるのである。また、切り込み深さHsは理想的には0.5Hとすることで、欠陥の大きさを均等にすることで、含有する欠陥サイズを最小化し破壊開始荷重を最低とすることができるが、上面からの切り込みにも下面からの切り込みにも分断されない繊維が存在すると著しく流動性が低下するため、0.5H+0.05H程度(すなわち、0.55H程度)の切り込みを上下面から入れることにより、流動性を低下させるような品質欠陥なく、生産安定性を確保できる。
上記のような切り込みを実現する手段としては、例えば、一方向に引き揃えられた連続繊維の予備プリプレグを準備し、所定の位置に刃を配置した回転刃ローラーを上面と下面との両面から押し当ててその厚み方向に層を貫かない切り込みを入れる、などの方法がある。
こうして得られた切込プリプレグ基材を積層し、成形した繊維強化プラスチックは次のような特徴を有する。すなわち、強化繊維が実質的に一方向に引き揃えられた層が強化繊維の配向が異なる方向に少なくとも2層以上積層されてなり、繊維強化プラスチックを構成する層として、層の全面に強化繊維を横切る方向へ強化繊維に垂直方向に投影した長さWcsが30μm〜20mmの範囲内である複数の切り込みを有し、平均厚みHcが15〜150μmの範囲内である切込層を少なくとも1層以上含み、切込層において、強化繊維が切り込みによって繊維長さLが10〜100mmの範囲内で分断されており、切込層の内少なくとも1層以上が、層の厚み方向に貫かない切り込みが上面と下面とから配されている。層の厚み方向を貫かない切り込みを有するため、切り込み直下に切り込みが開くのを止める方向に繊維が配向しており、切り込みからの破壊進展が遅れ、結果的に繊維強化プラスチックの強度が向上する。なお、本発明において“実質的に一方向に引き揃えられた層”とは、任意の繊維のある一部に注目した際、半径5mm以内に存在する繊維群の90%以上が該任意の繊維のある一部の繊維角度から±10°以内に配向していることをさす。
さらに好ましくは切り込みが、切込プリプレグ基材の厚み方向に斜めに設けられており、任意の切り込みにおいて、切込プリプレグ基材の上面における強化繊維の分断線と下面における分断線との繊維長手方向における距離をせん断距離Sとすると、切込プリプレグ基材の厚みHとをもちいて、次の(式1)から導かれる角度Θが1〜25°の範囲内にある切込プリプレグ基材がよい。
Figure 0005223354
前述のとおり、切り込み深さが強度に大きな影響を与えるのは、切り込み箇所で荷重の多くを伝達している繊維が切断されているため、荷重伝達が妨げられ、応力集中が起こることによる。そこで、深さ方向に斜めの切り込みを入れることで切断された繊維束同士が互いにラップする幾何形状を実現したところ、切断された繊維同士がせん断で荷重をスムーズに伝達することができることがわかった。特に切り込みの角度Θが25°以下であるとき、力学特性向上の効果が著しい。一方、Θが1°より小さい場合、斜めの切り込みを設けることが非常に困難となる。
上記のような切り込みを実現する手段としては、直接斜めに切り込みを入れる方法もあるが、例えば、強化繊維が一方向に引きそろえられた予備プリプレグ基材を準備し、厚み方向に層を貫く切り込みを入れた後、予備プリプレグ基材を加熱・軟化させた状態で上面と下面とで回転速度の異なるニップローラーを押し当て、せん断力によって、強化繊維の分断面を厚み方向に斜めにする、などの方法もある。後者の場合、強化繊維の側面部が見られるような切込プリプレグ基材面外方向に垂直に切り出した断面において、切り込みによる繊維分断線は直線状ではなく、図6に示すようにがたがた(つまり、直線とは言えない形状)になるが、便宜的に切込プリプレグ基材上面の切り込みと切込プリプレグ基材下面の切り込みとの繊維方向における距離をせん断距離Sとして用いることができ、切込プリプレグ基材全面の各切り込みのせん断距離の平均をSとして(式1)に代入して切り込み角度Θが求めることができる。
こうして得られた切込プリプレグ基材を積層し、成形した繊維強化プラスチックは次のような特徴を有する。すなわち、強化繊維が実質的に一方向に引き揃えられた層が強化繊維の配向が異なる方向に少なくとも2層以上積層されてなり、繊維強化プラスチックを構成する層として、層の全面に強化繊維を横切る方向へ強化繊維に垂直方向に投影した長さWcsが30μm〜20mmの範囲内である複数の切り込みを有し、平均厚みHcが15〜150μmの範囲内である切込層を少なくとも1層以上含み、切込層において、強化繊維が切り込みによって繊維長さLが10〜100mmの範囲内で分断されており、切込層の内少なくとも1層以上が、層の垂直断面において、同じ切り込みに分断された繊維の端部が繊維の配向方向に最も離れた距離が50μm〜5mmの範囲内で分布している。図6の切込プリプレグ基材から変形して繊維強化プラスチックとなるため、図6の繊維束端部と形状の近似した繊維束端部が厚み方向に斜めに分布しているため、繊維束端部同士の荷重伝達効率が高くなり、切り込みからの破壊が起こりにくい。この効果は特に繊維束端部同士が近い時に顕著であり、したがって、あまり流動させなくても形状追従可能な緩やかな形状に適用することにより、非常に高い強度を発現できる。
成形に用いる積層基材としては、本発明の切込プリプレグ基材を含む、強化繊維を一方向に引き揃えられたプリプレグ基材が積層された積層基材であって、少なくとも2方向以上に繊維方向が異なる層が積層されているのがよい。例えば、図3には切込プリプレグ基材10と切り込みのないプリプレグ基材11のハイブリッド積層を例示した。プリプレグ基材としては、一方向基材や織物基材などがある。また、全面が切込プリプレグ基材で構成されていてもよい。
本発明の切込プリプレグ基材は1層だけでは、繊維直交方向にしか流動しない。すなわち、90°方向への樹脂の流動が繊維を動かす原動力であるため、2層以上異なる繊維方向に積層されていることではじめて、流動性が発現する。好ましくは、本発明の切込プリプレグ基材に隣接する層は一方向に強化繊維が配向したプリプレグ基材(本発明の切込プリプレグ基材を含む)であり、切込プリプレグ基材とは異なる繊維方向に積層されているのがよい。やむを得ず同一繊維方向の切込プリプレグ基材を隣接して積層する際には、切り込みが重ならないように積層するのがよい。またこれら切込プリプレグ基材の層間に樹脂フィルム等を積層し、流動性を向上させてもよい。また流動しなくてもよい部位には連続繊維基材を配し、さらにその部位の力学特性を向上させることもできる。形状によっては切り込みのない一方向プリプレグ基材と本発明の切込プリプレグ基材を積層して用いることもできる。例えば、一様断面形状の筒状体ならば、形状変化のない方向に連続繊維を配しても、流動性に問題はない。図4に切込プリプレグ基材の流動メカニズムの例を示した。図4a)のとおり、90°のプリプレグ基材に0°の切込プリプレグ基材が挟まれた積層基材12の上から圧力13が加わり成形する際、図4b)のように、圧力で押し出された樹脂が90°方向に流れ14を作り、その流れに従って強化繊維の端部の開き15が起こる。
層同士で繊維方向が異なると、層ごとの流動方向、距離に違いが生じるが、層間が滑ることで変位差を吸収できる。すなわち、繊維体積含有率Vfが45〜65%と高くても、本発明の積層基材は層間に樹脂を偏在させることができる構成のため、高い流動性を発現することができる。SMCの場合、ランダムに分散したチョップドストランド同士で流動性が異なり、互いに違う方向に流動しようとするが、繊維同士が干渉して流動しにくく、最大でVfが40%程度までしか流動性を確保することができない。すなわち、本発明の積層基材は力学特性を向上することが出来る高Vfの構成であっても高い流動性を発現できる、という特徴を有する。なお、成形時の樹脂粘度は1×10Pa・s以下であると、流動性に優れてよいが、0.01Pa・sより小さいと、樹脂により繊維に効率的に力を伝達できないため、適さないことがある。
さらに好ましくは本発明の切込プリプレグ基材のみからなり、擬似等方に積層されている積層基材である。本発明の切込プリプレグ基材のみを用いることで、積層時にトラップされた空気が厚み方向に切り込みを通じて脱気しやすく、ボイドが発生しにくく、高力学特性が期待できる。なかでも、[+45/0/−45/90]、[0/±60]といった等方積層が、均等な物性とし、ソリの発生を抑制する場合には好ましい。また前述のとおり90°方向への樹脂の流動が繊維を動かす原動力であるため、隣接層の繊維配向によって繊維の流れ具合が異なるが、擬似等方積層とすることで流動性が等方となり、流動性のバラツキが少なくロバスト性に優れた成形材料となる。
さらに好ましくは積層基材において、繊維方向が実質的に同一方向である隣接する層(積層基材が[+45/0/−45/90]Sならば+45°層同士、0°層同士、−45°層同士、90°層同士)において、両層の断続的な切り込みからなる列が等間隔であり、一方の層の切込プリプレグ基材の前記切り込みからなる列が、他方の層の切込プリプレグ基材の前記切り込みからなる列に対し繊維長手方向にずれて配置されていることである。本発明の積層基材を成形して得た繊維強化プラスチックは、主に荷重を負担している層の切り込み同士がつながった時に破壊する。任意の荷重が繊維強化プラスチックに加わった際に、主に荷重を負担する層の組は繊維方向が実質的に同一方向である層であり、その隣接層同士の切り込みがつながることを避けることが、繊維強化プラスチックの強度向上に役立つ。すなわち、積層基材面外方向から切り込みを投影した際の切り込み位置を隣接する同一配向の層とずらすことにより、強度向上を実現できる。さらに好ましくは、切り込みからなる列同士の間隔をXとすると、繊維長手方向に0.5Xずれた位置に隣接同一配向層の切り込みが、もっとも切り込み同士の距離が離れるためよい。特に、繊維強化プラスチックとなった際に、実質的に荷重を負担する層、すなわち荷重方向から±10°の範囲内に配向している繊維については、繊維長手方向に切り込み位置がずれることで大きく強度が向上する。例えば、図9に示すように、様々な角度に積層された積層体において、繊維強化プラスチックとなった際に荷重方向に沿った繊維配向の層の内、任意の切込プリプレグ基材αと、その切込プリプレグ基材αにもっとも近くに存在する同じ繊維配向の層、切込プリプレグ基材βを比較した際、切込プリプレグ基材α内の切り込み26からなる列7同士の間隔Xとすると、繊維長手方向に0.5X(28)ずれた位置に切込プリプレグ基材βの切り込み(27)を配するのがよい。なお、繊維方向が実質的に同一方向であるというように定義したのは、積層時の多少の角度のズレは許容するためであり、実質的に同一方向であるとは、通常その角度のズレが、±10°以内であることを言う。
本発明の繊維強化プラスチックは、前記積層基材を硬化せしめることにより得ることが好ましい。硬化せしめる方法、すなわち繊維強化プラスチックを成形する方法としては、プレス成形、オートクレーブ成形、シートワインディング成形等が挙げられる。なかでも、生産効率を考慮するとプレス成形が好ましい。
前記積層基材において、本発明の切込プリプレグ基材のみが積層された部位に回転部などの機構を備えるために金属インサートを埋め込み、硬化、一体化させることにより、アセンブリコストが低減できる。その際、金属インサートの周囲に複数の凹部設けることにより、流動した繊維が凹部に進入し、容易に隙間を充填することができるとともに、成形温度から低下することで、金属と繊維の熱膨張差でかしめられ、強固に一体化させることができる。
また、本発明の切込プリプレグ基材およびこれを用いた繊維強化プラスチックの用途としては、強度、剛性、軽量性が要求される、自転車用品、ゴルフ等のスポーツ部材のシャフトやヘッド、ドアやシートフレームなどの自動車部材、ロボットアームなどの機械部品がある。中でも、強度、軽量に加え、部材形状が複雑で、本材料のように形状追従性が要求されるシートパネルやシートフレーム等の自動車部品に好ましく適用できる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、実施例に記載の発明に限定されるというものではない。
<平板成形方法>
所定の基材を、300×300mmの金型上に配置した後、加熱型プレス成型機により、6MPaの加圧下、150℃の温度雰囲気で所定の時間で流動・成形せしめ、300×300mmの平板状の成形体を得た。
<機械特性評価方法>
得られた平板状の成形体より、長さ250±1mm、幅25±0.2mmの引張強度試験片を切り出した。JIS K−7073(1998)に規定する試験方法に従い、標点間距離を150mmとし、クロスヘッド速度2.0mm/分で引張強度を測定した。なお、本実施例においては、試験機としてインストロン(登録商標)万能試験機4208型を用いた。測定した試験片の数はn=5とし、平均値を引張強度とした。さらに、測定値より標準偏差を算出し、その標準偏差を平均値で除することにより、バラツキの指標である変動係数(CV値(%))を算出した。
<成形性評価>
得られた平板状の成形体の性状より、流動性とソリを評価した。
流動性に関しては、基材を伸長して成形するにあたり、金型キャビティ内に繊維強化プラスチックが充填されており、最表層に配された基材も金型端部付近まで伸長している場合には流動性○、金型キャビティ内に繊維強化プラスチックが充填されているものの、最表層に配された基材がほとんど伸長していない場合には流動性△、金型キャビティ内に繊維強化プラスチックが充填されていない部位がある場合には流動性×、として評価した。
ソリに関しては、成形体を平らな試験台上に置いただけで成形体が試験台と全面で接触している場合にはソリ○、成形体を平らな試験台上に置いただけで成形体が試験台とが全面で接触しておらず、指で成形体上面から試験台に成形体を押し付けた際、成形体が試験台と全面で接触する場合にはソリ△、指で成形体上面から試験台に成形体を押し付けた際、成形体が試験台と接触していない部分がある場合にはソリ×と評価して、表1〜10にまとめた。
<基材の形態の比較(表1)>
参考実施例1)
エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製“エピコート(登録商標)”828:30重量部、“エピコート(登録商標)”1001:35重量部、“エピコート(登録商標)”154:35重量部)に、熱可塑性樹脂ポリビニルホルマール(チッソ(株)製“ビニレック(登録商標)”K)5重量部をニーダーで加熱混練してポリビニルホルマールを均一に溶解させた後、硬化剤ジシアンジアミド(ジャパンエポキシレジン(株)製DICY7)3.5重量部と、硬化促進剤3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(保土谷化学工業(株)製DCMU99)4重量部を、ニーダーで混練して未硬化のエポキシ樹脂組成物を調整した。このエポキシ樹脂組成物を、リバースロールコーターを用いてシリコーンコーティング処理された厚さ100μmの離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。次に、一方向に配列させた炭素繊維(引張強度4,900MPa、引張弾性率235GPa)の両面に樹脂フィルムをそれぞれ重ね、加熱・加圧することによって樹脂を含浸させ、単位面積あたりの炭素繊維重さ125g/m、繊維体積含有率Vf55%、厚み0.125mmのプリプレグ基材を作製した。
このプリプレグ基材に、自動裁断機を用いて図10に示すような切り込みを連続的に挿入することにより、等間隔で規則的な切り込みを有する切込プリプレグ基材を得た。切り込みの方向は繊維直交方向2で、切り込みの長さWは5.1mm(すなわち、Ws=5.1mm)であり、間隔L(繊維長さ)は30mmである。図10に示すように、隣り合う切り込みの列7aと7bは繊維直交方向に5mm移動すると、幾何的に同等である。また、繊維長手方向に対になる切り込みの列には、7aと7c、7bと7dの組があり、切り込みの列のパターンは2パターン存在する。さらに、隣り合う列の切り込みが互いに切り込んでいる5の範囲は0.1mmである。エポキシ樹脂の25℃雰囲気下における粘度は2×10Pa・sであり、該基材はタック性を有していた。
上記の切込プリプレグ基材を用いて、炭素繊維の配向方向(0°方向)と、炭素繊維の配向方向から右に45度ずらした方向(45°方向)に、それぞれ250×250mmの大きさのサイズに切り出した。切り出した切込プリプレグ基材を、炭素繊維の配向方向が同一である隣接する層において、一方の層の切込プリプレグ基材の切り込みからなる列が、他方の層の切込プリプレグ基材の切り込みからなる列に対し繊維方向に前記間隔Lの0.5倍の15mmずれるように、16層で疑似等方に積層して([−45/0/+45/90]2S)、積層基材を得た。
更に、上記の積層基材を用いて、300×300mmのキャビティを有する平板金型上の概中央部に配置した後、加熱型プレス成形機により、6MPaの加圧のもと、150℃×30分間の条件により硬化せしめ、300×300mmの平板状の繊維強化プラスチックを得た。金型を上から見たときの金型面積に対する基材の面積の割合をチャージ率と定義すると、チャージ率は70%に相当する。
得られた繊維強化プラスチックは繊維のうねりがなく、その端部まで繊維が均等に流動していた。また、ソリもなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率は43GPaとほぼ理論値通り発現し、また、引張強度に関しても430MPaと高い値が発現し、そのCV値も4%ときわめてバラツキの小さい結果となった。
<強化繊維、マトリックス樹脂の比較(表2)>
参考実施例2)
硬化促進剤を2,4−トルエンビス(ジメチルウレア)(ピイ・ティ・アイジャパン(株)製“オミキュア(登録商標)”24)5重量部に替えた以外は実施例1と同様に、切込プリプレグ基材、それを用いた積層基材を作製した。かかる積層基材を、加熱型プレス成形機の加圧時間(硬化時間)だけを3分に替えた以外は参考実施例1と同様の方法で繊維強化プラスチックを得た。加圧時間が実施例1の1/10であるにもかかわらず、ほぼ同等のガラス転移温度を示し、該エポキシ樹脂組成物は、速硬化性に優れることがわかった。
得られた繊維強化プラスチックはいずれも繊維のうねりがなく、その端部まで繊維が均等に流動していた。また、ソリもなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率44GPa、引張強度430MPaと高い値であり、引張強度のCV値は5%とバラツキの小さい結果であった。これら値は参考実施例1と遜色ないものであった。
参考実施例3)
硬化促進剤を4,4−メチレンビス(フェニルジメチルウレア)(ピイ・ティ・アイジャパン(株)製“オミキュア(登録商標)”52)7重量部に替えた以外は参考実施例2と同様の方法で繊維強化プラスチックを得た。加圧時間が実施例1の1/10であるにもかかわらず、ほぼ同等のガラス転移温度を示し、未硬化のエポキシ樹脂組成物は、速硬化性に優れることがわかった。
得られた繊維強化プラスチックはいずれも繊維のうねりがなく、その端部まで繊維が均等に流動していた。また、ソリもなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率44GPa、引張強度430MPaと高い値であり、引張強度のCV値は5%とバラツキの小さい結果であった。これら値は参考実施例1と遜色ないものであった。
参考実施例4)
共重合ポリアミド樹脂(東レ(株)製“アミラン”(登録商標)CM4000、ポリアミド6/66/610共重合体、融点155℃)のペレットを、200℃で加熱したプレスで34μm厚みのフィルム状に加工した。離型紙を用いなかった他は参考実施例1と同様にして、切込プリプレグ基材を作成した。ポリアミド樹脂の25℃雰囲気下における粘度は固体であるため測定不可能であり、該基材はタック性がなかった。参考実施例1と同様に裁断後、タック性がないので単に16層を疑似等方([−45/0/+45/90]2S)に重ね、そのまま、300×300mmのキャビティを有する平板金型上の概中央部に配置した。加熱型プレス成形機により、6MPaの加圧のもと、200℃×1分間の条件で流動せしめ、型を開けることなく、冷却した後、脱型して、300×300mmの平板状の繊維強化プラスチックを得た。
得られた繊維強化プラスチックは若干の繊維のうねりはあるものの、その端部まで繊維が流動していた。若干の繊維分布の粗密から、わずかながらソリが発生したが、おおむね良好な外観品位、平滑性を保っていた。
参考実施例5)
ランダム共重合PP樹脂(プライムポリマー(株)製J229E,融点155℃)55重量%と酸変性PP系樹脂(三洋化成(株)製ユーメックス1010、酸価約52、融点142℃、重量平均分子量30,000)45重量%とを、日本製鋼所(株)製2軸押出機(TEX−30α2)を用い、200℃で溶融混練したペレットを、200℃で加熱したプレスで34μm厚みのフィルム状に加工した。以降、参考実施例4と同様にして、繊維強化プラスチックを得た。
得られた繊維強化プラスチックは若干の繊維のうねりはあるものの、その端部まで繊維が流動していた。若干の繊維分布の粗密から、わずかながらソリが発生したが、おおむね良好な外観品位、平滑性を保っていた。
参考実施例6)
参考実施例1と同様に樹脂フィルムを作成した。次に、一方向に配列させたガラス繊維(引張強度1,500MPa、引張弾性率74GPa)の両面に樹脂フィルムをそれぞれ重ね、加熱・加圧することによって樹脂を含浸させ、ガラス繊維重さ175g/m、繊維体積含有率Vf55%、厚み0.125mmの切込プリプレグ基材を作製した。以後、参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。
得られた繊維強化プラスチックはいずれも繊維のうねりがなく、その端部まで繊維が均等に流動していた。また、ソリもなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率27GPa、引張強度340MPaと、参考実施例1と比較すると強化繊維の性能差分低くなっているが、引張弾性率は理論値近く発現しており、また引張強度のCV値は2%とバラツキの小さい結果となった。
<チャージ率の比較(表3)>
参考実施例7〜9)
切り出す切込プリプレグ基材の大きさが異なる以外は参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。切り出す切込プリプレグ基材の大きさは、参考実施例7では212×212mm、参考実施例8では268×268mm、参考実施例9では300×300mm、とした。それぞれ参考実施例7がチャージ率50%、参考実施例8が80%、参考実施例9が100%に相当する。
得られた繊維強化プラスチックはいずれも繊維のうねりなく、その端部まで繊維が充分に流動していた(ただし、参考実施例9は100%チャージのため、流動していない)。参考実施例7は長距離流動させたため、若干の繊維分布の粗密から、わずかながらソリが発生したが、おおむね良好な外観品位、平滑性を保っていた。参考実施例8、9はいずれもソリがなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率43〜44GPa、引張強度は360〜510MPaと高い値であり、引張強度のCV値も3〜6%とバラツキの小さい結果であった。特に、チャージ率が小さい参考実施例7では、切込プリプレグ基材が薄く引き延ばされるため得られた繊維強化プラスチックの層厚みが極めて薄く、繊維束端部からの層間剥離が起こりにくくなる効果か、引張強度が510MPaと非常に高い値を発現した。
<繊維長さの比較(表4)>
参考実施例10〜13)
参考実施例1の切り込みパターンにおいて、切り込みの間隔L(繊維長さ)が異なる以外は、参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。それぞれLは、参考実施例10では15mm、参考実施例11では45mm、参考実施例12では60mm、参考実施例13では90mmとした。これに伴い、積層基材において、配向方向が同一である隣接する層において、一方の層の切込プリプレグ基材の切り込みからなる列が、他方の層の切込プリプレグ基材の切り込みからなる列に対し繊維方向に前記間隔Lの0.5倍ずつずれることになり、この繊維長手方向へのずれはそれぞれ、参考実施例10が7.5mm、参考実施例11が22.5mm、参考実施例12が30mm、参考実施例13が45mmとなる。
得られた繊維強化プラスチックは参考実施例13を除いて繊維のうねりなく、その端部まで繊維が充分に流動していた。参考実施例13は若干の繊維のうねりと金型との摩擦を受ける表面部で端部まで繊維が十分流動してない部位があった。その他、いずれの繊維強化プラスチックもソリがなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率43〜44GPa、引張強度は390〜520MPaと高い値であり、引張強度のCV値も4〜8%とバラツキの小さい結果であった。
<切り込み長さの比較(表5)>
参考実施例14〜15、実施例1
参考実施例1の切り込みパターンにおいて、切り込みの長さWが異なる以外は参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。それぞれWは参考実施例14では10.1mm、参考実施例15では2.6mm、実施例では1.35mmとした。これに伴い、隣り合う切り込みの列は繊維直交方向にそれぞれ、参考実施例14では10mm、参考実施例15では2.5mm、実施例では1.25mmずれている。
得られた繊維強化プラスチックはいずれも繊維のうねりなく、その端部まで繊維が充分に流動しており、ソリもなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率43GPa、引張強度は410〜520MPaと高い値であり、引張強度のCV値も3〜4%とバラツキの小さい結果であった。
(実施例2〜4
参考実施例1の切り込みパターンにおいて、自動裁断機の代わりに、円柱状の金属を削りだし円周上に複数の刃を設けて回転ローラーとし、プリプレグ基材に押し当てて切り込みを入れることで、切り込みの長さWを変えた以外は参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。それぞれWは実施例では0.725mm、実施例では0.412mm、実施例では0.05mmとした。これに伴い、隣り合う切り込みの列は繊維直交方向にそれぞれ、実施例では0.625mm、実施例では0.312mm、実施例では0.03mmずれている。
得られた繊維強化プラスチックはいずれも繊維のうねりなく、その端部まで繊維が充分に流動しており、ソリもなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率44〜45GPa、引張強度は560〜660MPaと高い値であり、引張強度のCV値も3〜6%とバラツキの小さい結果であった。特に、切り込み長さを小さくすることで、大きく引張強度が向上した。また、わずかではあるが、引張弾性率も向上した。
<層厚みの比較(表6)>
参考実施例16〜21
参考実施例1の切込プリプレグ基材の単位面積あたりの炭素繊維重さを変えることによりプリプレグ基材の厚みを変えた以外は参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。それぞれ参考実施例16が単位面積あたりの炭素繊維重さが25g/m、プリプレグ基材の厚みが0.025mm、参考実施例17が50g/m、0.05mm、参考実施例18が100g/m、0.1mm、参考実施例19が150g/m、0.15mm、参考実施例20が200g/m、0.2mm、参考実施例21が300g/m、0.3mmとした。
得られた繊維強化プラスチックはいずれも繊維のうねりなく、その端部まで繊維が充分に流動しており、ソリもなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。ただし、参考実施例16は切込プリプレグ基材の厚みが極めて薄いため、製造コストが非常に高くなる、という問題点があった。参考実施例16〜19は引張弾性率43〜45GPa、引張強度は400〜600MPaと高い値であり、引張強度のCV値も参考実施例16を除き3〜5%とバラツキの小さい結果であった。参考実施例20、21は引張弾性率43GPa、引張強度は270〜330MPaと、参考実施例16〜19に比べると若干引張強度で劣るが、比較例2〜4と比べると高い強度を示した。特に、切込プリプレグ基材の厚みを薄くすることで大きく引張強度が向上することがわかった。
<繊維含有率の比較(表7)>
参考実施例22〜25
参考実施例1のプリプレグ基材の単位面積あたりの炭素繊維重さを変えることにより炭素繊維の体積含有率Vfを変えた以外は参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。それぞれ参考実施例22が単位面積あたりの炭素繊維重さが146g/m、Vfが65%、参考実施例23が135g/m、Vfが60%、参考実施例24が113g/m、Vfが50%、参考実施例25が101g/m、Vfが45%とした。
得られた繊維強化プラスチックは参考実施例22を除いて繊維のうねりなく、その端部まで繊維が充分に流動していた。参考実施例22は若干の繊維のうねりと金型との摩擦を受ける表面部で端部まで繊維が十分流動してない部位があった。その他、いずれの繊維強化プラスチックもソリがなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率36〜49GPa、引張強度は360〜460MPaと高い値であり、引張強度のCV値も3〜8%とバラツキの小さい結果であった。Vfが大きくなるほど、引張弾性率も強度も向上するという結果となったが、あまりVfが大きいと流動性が落ちるという難点があった。
<積層構成の比較(表8)>
参考実施例26、27
参考実施例26参考実施例1の積層構成を変えた以外は参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。参考実施例1の切り込みを入れた切込プリプレグ基材を16層クロスプライに積層した、[0/90]4Sの積層基材を用いた。参考実施例27参考実施例1の切込プリプレグ基材と、切り込みを入れた後の切込プリプレグ基材を取り合わせて積層した以外は参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。すなわち、切り込みのない連続繊維のみで構成されたプリプレグ基材8層と切り込みを入れたプリプレグ基材8層とを交互にクロスプライに積層した、[0/C90]4S(Cは連続繊維のみで構成されたプリプレグ基材をさす)の積層基材を用いた。
得られた繊維強化プラスチックはいずれも繊維のうねりなく、その端部まで繊維が十分に流動していた。参考実施例26では若干のソリは発生したものの、良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率59〜60GPa、引張強度は500〜510MPaと高い値であり、引張強度のCV値も2〜3%とバラツキの小さい結果であった。ただし、引張試験の方向は0°方向であるため非常に高い力学特性を示しているが、±45°の方向には繊維が配向していないため、汎用的ではない、という問題点がある。
参考実施例28〜30
参考実施例28参考実施例1の積層構成を変えた以外は参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。参考実施例1の切り込みを入れた切込プリプレグ基材を12層擬似等方に積層した、[60/0/−60]2Sの積層基材を用いた。参考実施例29参考実施例1の切り込みを入れた切込プリプレグ基材に加え、その層間に実施例1のエポキシ樹脂フィルムを転写させた樹脂層を挿入した以外は参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。参考実施例1の切り込みを入れた切込プリプレグ基材を16層擬似等方に積層する際、樹脂層を設け、[45/R/0/R/-45/R/90/R]2S(Rは樹脂層をさす)の積層基材を用いた。最終的にVfは49%となった。参考実施例30参考実施例1の切り込みを入れた切込プリプレグ基材に加え、最表層に参考実施例1と同様のエポキシ樹脂を含浸したVf55%の層厚み250μmの平織プリプレグ基材を配した以外は参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。参考実施例1の切り込みを入れた切込プリプレグ基材を16層擬似等方に積層し、さらに最表層に繊維方向が0°と90°に配向した前記平織プリプレグ基材を積層した、[WF0/45/0/-45/90]2S(WFは平織プリプレグ基材をさす)の積層基材を用いた。
実施例32、33で得られた繊維強化プラスチックはいずれも繊維のうねりなく、その端部まで繊維が十分に流動していた。特に実施例33は流動性に優れ、極めて均一に繊維が広がっていた。いずれもソリはなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。それぞれ引張弾性率44GPaと39GPa、引張強度は420MPaと370MPaとVf相応の高い値であり、引張強度のCV値も5%と3%でありバラツキの小さい結果であった。実施例34で得られた繊維強化プラスチックは最表層の平織部がまったく流動していないものの、平織部にはさまれた部位は端部まで繊維が十分に流動していた。端部で特に繊維のうねりが見られたものの、全体的にはソリもなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率52GPa、引張強度490MPaとハイブリッド化により高い力学特性を示した。
参考実施例31
参考実施例1と同様に樹脂フィルムを作製し、参考実施例1と同様に一方向に配列させた炭素繊維の両面に樹脂フィルムをそれぞれ重ね、加熱・加圧する際、樹脂が完全に炭素繊維内に含浸していない状態で単位面積あたりの炭素繊維重さ125g/m、繊維体積含有率Vf55%の半含浸プリプレグ基材を作製した。この半含浸プリプレグ基材に参考実施例1と同様に図10に示すような切り込みを挿入した。得られた切込プリプレグ基材は、厚み方向中央部には樹脂の含浸していない領域があるものの、切り込みにより毛羽立ったり、分離したりすることなく、参考実施例1と同様に十分な取り扱い性を保っていた。さらに参考実施例1と同様に、積層、成形して繊維強化プラスチックを得た。
得られた繊維強化プラスチックは繊維のうねりがなく、その端部まで繊維が均等に流動していた。また、ソリもなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率は43GPa、引張強度も440MPaと高い値が発現し、そのCV値も5%ときわめてバラツキの小さい結果となった。
<両面から切り込まれた切込プリプレグ基材の比較(表9)>
参考実施例32〜34
参考実施例1のプリプレグ基材に切り込みを入れる工程において、プリプレグ基材の上面と下面とのそれぞれから層を貫かない切り込みを入れる以外は参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。図7に示した、上下の回転ローラーに剃刀を埋め所定の長さ刃を露出させておき、同じ半径、等回転速度で回転する上下の回転ローラーにおいて該刃は半ピッチずれて埋められており、上面と下面とから押し当てて切込プリプレグ基材の厚み方向に層を貫かない切り込みを入れた。切込プリプレグ基材上面に入った切り込みをU、下面をDとすると、参考実施例32はUが35μm(0.28H、ただしHは切込プリプレグ基材の厚み)、Dが100μm(0.8H)、参考実施例33はUが55μm(0.44H)、Dが75μm(0.6H)、参考実施例34はU、Dともに67μm(0.54H)の深さとした。切込プリプレグ基材上面における任意の切り込みAと繊維長手方向に隣接する上面の切り込みBとの間隔Lは30mmであり、切り込みAから切り込みB方向へ繊維長手方向への移動量15mm(0.5L)で下面の切り込みBと重なる。切込プリプレグ基材の繊維は上下の切り込みによって分断されすべて繊維長が30mm以下となっていた。
得られた繊維強化プラスチックはいずれも繊維のうねりはなく、その端部まで繊維が十分に流動していた。参考実施例32は若干のソリが発生したものの、いずれも良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率は43〜44GPaとほぼ理論値通り発現しており、引張強度は実施例36が480MPa、参考実施例33が540MPa、参考実施例34が580MPaと参考実施例1と比較しても高く、その引張強度のCV値は2〜4%とバラツキの小さい結果であった。特に、上面と下面の切り込み量が近いほど高い引張強度を得た。これは、上面と下面の切り込み量が同等であることで、繊維束端部の厚みを最小化することが出来る効果によるものと考えられた。
参考実施例35〜37
参考実施例32〜34と同様にプリプレグ基材に切り込みを入れる以外は、参考実施例9と同様にして繊維強化プラスチックを得た。切込プリプレグ基材上面に入った切り込みをU、下面をDとすると、参考実施例35はUが35μm(0.28H、ただしHは切込プリプレグ基材の厚み)、Dが100μm(0.8H)、参考実施例36はUが55μm(0.44H)、Dが75μm(0.6H)、参考実施例37はU、Dともに67μm(0.54H)の深さとした。
得られた繊維強化プラスチックはいずれも繊維のうねりはなく、参考実施例35は若干のソリが発生したものの、いずれも良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率は43〜44GPaとほぼ理論値通り発現しており、引張強度は参考実施例35が400MPa、参考実施例36が460MPa、参考実施例37が490MPaと参考実施例9と比較しても高く、その引張強度のCV値は2〜5%とバラツキの小さい結果であった。参考実施例32〜34と同様、特に、上面と下面の切り込み量が近いほど高い引張強度を得た。
<厚み方向に斜めに切り込まれた切込プリプレグ基材の比較(表10)>
参考実施例38〜42
参考実施例1のプリプレグ基材に切り込みを入れた後、切込プリプレグ基材の厚み方向にせん断力を加え、切り込みを斜めにする以外は、参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。参考実施例1のように層を貫く切込プリプレグ基材に鉛直な切り込みを入れた後、切込プリプレグ基材を60℃で加熱・軟化させた状態で、図8に示した、上面と下面とで回転速度の異なるニップローラーを押し当て、せん断力によって、強化繊維の分断面を厚み方向に斜めにした。図6のように、切込プリプレグ基材の上面における強化繊維の分断線と下面における分断線との繊維方向における距離17をせん断距離Sとすると、250×250mmに切り出した切込プリプレグ基材上で5ヶ所以上の切り込み部においてせん断距離Sを測定し、平均したものを式1に代入して切り込みのなす角19、すなわちテーパー角度Θを算出した。参考実施例38はせん断距離Sが12.5mm、テーパー角度Θが0.6°、参考実施例39はSが6.25mm、Θが1.1°、参考実施例40はSが1mm、Θが7.1°、参考実施例41はSが0.5mm、Θが1.4mm、参考実施例42はSが0.25mm、Θが27°とした。
得られた繊維強化プラスチックはいずれも繊維のうねりはなく、参考実施例38は若干のソリが発生したものの、いずれも良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率は43〜45GPaとほぼ理論値通り発現しており、引張強度は参考実施例39が460MPa、参考実施例40が450MPa、参考実施例41が440MPa、参考実施例42が430MPaと参考実施例1と比較しても同等以上であった。特に、テーパー角度Θが小さいほど、繊維束端部の応力集中が緩和されるせいか、高い引張強度を得た。ただし、テーパー角度が1°以下となった参考実施例38では、せん断距離Sが非常に長くなっており、切り込み部ごとのSのバラツキが大きくなり、工程安定性に欠けた。
参考実施例43〜47
参考実施例38〜42と同様に切込プリプレグ基材の切り込みを斜めにする以外は、参考実施例9と同様にして繊維強化プラスチックを得た。参考実施例43はせん断距離Sが12.5mm、テーパー角度Θが0.6°、参考実施例44はSが6.25mm、Θが1.1°、参考実施例45はSが1mm、Θが7.1°、参考実施例46はSが0.5mm、Θが1.4mm、参考実施例47はSが0.25mm、Θが27°とした。
得られた繊維強化プラスチックはいずれも繊維のうねりはなく、参考実施例43は若干のソリが発生したものの、いずれも良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率は45〜47GPa、引張強度は参考実施例43が480MPa、参考実施例44が460MPa、参考実施例45が420MPa、参考実施例46が380MPa、参考実施例47が350MPaと参考実施例9と比較しても参考実施例47を除いては引張強度のみならず引張弾性率まで高くなった。参考実施例38〜42と同様、特に、切り込みの傾き角度Θが小さいほど、高い引張強度を得た。参考実施例9からの強度向上率は参考実施例38〜42参考実施例1からの強度向上率よりも高く、繊維束端部が近づいているほど、テーパー角度Θが小さい効果、すなわち応力集中が少ない影響が大きく働くことがわかった。
<面内に斜めに切り込まれた切込プリプレグ基材の比較(表11)>
参考実施例48、49
参考実施例1と同様のプリプレグ基材に、図2f)に示す切り込みパターンのように、繊維直交方向から傾けて直線状の切り込みを、自動裁断機を用いて挿入した。切り込みの長さWは5.1mmであり、繊維方向に対になる切り込みの幾何中心同士の間隔L(繊維長さ)は30mmである。繊維方向に対して切り込みの角度を、参考実施例48は30°、参考実施例49は45°とした。その結果、切り込みを繊維直交方向に投影した投影長さWsが、参考実施例48は2.55mm、参考実施例49は3.61mmとなった。これに伴い、隣り合う切り込みの列は繊維直交方向にそれぞれ、参考実施例48では2.5mm、参考実施例49では3.5mm、ずれている。
得られた繊維強化プラスチックはいずれも繊維のうねりなく、その端部まで繊維が充分に流動しており、ソリもなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率43〜44GPa、引張強度は410〜470MPaと高い値であり、引張強度のCV値も2〜4%とバラツキの小さい結果であった。
(実施例5、6
参考実施例48、49と同様の手法を用いて、繊維直交方向から傾けて直線状の切り込みを挿入した。切り込みの長さWは1.35mmであり、間隔L(繊維長さ)は30mmである。繊維方向に対して切り込みの角度を、実施例は30°、実施例は45°とした。切り込みを斜めにすることで、自動裁断機という簡易な切り込み挿入方法でも、切り込みを強化繊維の垂直方向に投影した投影長さWsを、実施例は0.68mm、実施例は0.95mmと小さくすることができた。これに伴い、隣り合う切り込みの列は繊維直交方向にそれぞれ、実施例では0.6mm、実施例では0.9mm、ずれている。
得られた繊維強化プラスチックはいずれも繊維のうねりなく、その端部まで繊維が充分に流動しており、ソリもなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率44〜45GPa、引張強度は580〜670MPaと非常に高い値であり、引張強度のCV値も4〜5%とバラツキの小さい結果であった。切り込み長さWを小さくし、かつ切り込みを斜めにすることで、実質的にWsを小さくし、一つの切り込み当たりの切断繊維本数を少なくすることで、実施例と比較して大きく引張強度が向上した。
(実施例7、8
参考実施例1の切込プリプレグ基材の単位面積あたりの炭素繊維重さを変えることによりプリプレグ基材の厚みを200g/m、プリプレグ基材の厚みが0.2mmに変えた以外は、実施例5、6と同様の手法、同様の切り込みパターンを用いて、繊維直交方向から傾けて直線状の切り込みを挿入した。
得られた繊維強化プラスチックはいずれも繊維のうねりなく、その端部まで繊維が充分に流動しており、ソリもなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率43〜44GPa、引張強度は520〜600MPaと非常に高い値であり、引張強度のCV値も3〜6%とバラツキの小さい結果であった。切り込み長さWを小さくし、かつ切り込みを斜めにすることで、実質的にWsを小さくし、一つの切り込み当たりの切断繊維本数を少なくすることで、大きく引張強度が向上した。
(実施例
参考実施例1の切込プリプレグ基材の単位面積あたりの炭素繊維重さを変えることによりプリプレグ基材の厚みを200g/m、プリプレグ基材の厚みが0.2mmに変え、切り込みの長さWは1.35mm(Wsも1.35mm)、隣り合う切り込みの列が繊維直交方向に1.3mmずれているほかは、参考実施例1と同様にした。
得られた繊維強化プラスチックは繊維のうねりなく、その端部まで繊維が充分に流動しており、ソリもなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率43GPa、引張強度は440MPaと高い値であり、引張強度のCV値も4%とバラツキの小さい結果であった。ただし、実施例7、8と比べると、若干強度が低かった。
<積層構成の比較(表8)>
(参考例1、2)
参考実施例1の積層構成を変えた以外は参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。参考例1では参考実施例1の切り込みを入れた切込プリプレグ基材を8層同方向に積層した[0]の積層基材を用いた。参考例2では参考実施例1の切り込みを入れた切込プリプレグ基材を16層積層した[0/45]4Sの積層基材を用いた。
参考例1で得られた繊維強化プラスチックは、90°方向にのみ流動し、0°方向にはところどころヒゲのように繊維が飛び出している部分はあるが、基本的に流動していなかった。0°方向のキャビティの空隙には搾り出された樹脂が溜まり、外観品位も悪かった。参考例2で得られた繊維強化プラスチックは、キャビティ全体に流動はしているが、積層構成と同様に繊維の流れが異方性であり、繊維のうねりが大きかった。また、得られた繊維強化プラスチックはソリが大きかった。
以下、比較例を示す。
<基材の形態の比較(表1)>
(比較例1)
プリプレグ基材に切り込みを入れなかった他は、参考実施例1と同様とした。
得られた繊維強化プラスチックは積層基材の段階からほとんど流動することなく、ほぼ250×250mmの大きさであり、マトリックス樹脂が搾り出されて金型との隙間に樹脂バリが出来ていた。樹脂が搾り出されているため、表面ががさがさしており、製品には適用できなさそうだった。
(比較例2)
参考実施例1と同様のエポキシ樹脂組成物を厚めに塗布した樹脂フィルムを作成した。次に、長さ25mmにカットされた炭素繊維束(引張強度4,900MPa、引張弾性率235GPa、12,000本)を単位面積あたりの重量が125g/mになるよう均一に樹脂フィルム上に落下、散布した。さらにもう一枚の樹脂フィルムを被せて、カットされた炭素繊維を挟んだ後、カレンダーロールを通過させ、繊維体積含有率Vf55%のSMCシートを作製した。このSMCシートを250×250mmに切り出し、16層積層して、積層基材を得た後、参考実施例1と同様に成形し、繊維強化プラスチックを得た。
得られた繊維強化プラスチックはその端部まで繊維が充分に流動していた。わずかながらソリが発生した一方、繊維分布の粗密から樹脂リッチ部でヒケが発生し、平滑性に劣った。引張弾性率は33GPaと繊維が真直でないためか理論値よりかなり低く、引張強度も220MPa、そのCV値は12%とバラツキが大きく、構造材には適用できそうになかった。
(比較例3)
マトリックス樹脂としてビニルエステル樹脂(ダウ・ケミカル(株)製、デラケン790)を100重量部、硬化剤としてtert−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂(株)製、パーブチルZ)を1重量部、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛(堺化学工業(株)製、SZ−2000)を2重量部、増粘剤として酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製、MgO#40)を4重量部用いて、それらを十分に混合撹拌し、樹脂ペーストを得た。樹脂ペーストをドクターブレードを用いて、ポリプロピレン製の離型フィルム上に塗布した。その上から、比較例2と同様の長さ25mmにカットされた炭素繊維束を単位面積あたりの重量が500g/mになるよう均一に落下、散布した。さらに、樹脂ペーストを塗布したもう一方のポリプロピレンフィルムとで樹脂ペースト側を内にして挟んだ。炭素繊維のSMCシートに対する体積含有量は40%とした。得られたシートを40℃にて24時間静置することにより、樹脂ペーストを十分に増粘化させて、SMCシートを得た。このSMCシートを250×250mmに切り出し、4層積層して、積層基材を得た後、参考実施例1と同様に成形し、繊維強化プラスチックを得た。
得られた繊維強化プラスチックはその端部まで繊維が十分に流動していた。わずかながらソリが発生した一方、樹脂含有成分が多い分平滑性は比較例2よりは優れていたが、若干のヒケが発生した。引張弾性率は30GPa、引張強度は160MPaと全体的に低く、引張強度のCV値は16%とバラツキが大きいため、構造材には適用できそうになかった。
(比較例4)
比較例3と同様に樹脂ペーストを作成してポリプロピレンフィルム上に樹脂ペーストを塗布した後、長さ25mmにカットされたガラス繊維束(引張強度1,500MPa、引張弾性率74GPa、800本)を単位面積あたりの重量が700g/mになるよう均一に落下、散布した。以後、比較例3と同様に、繊維強化プラスチックを得た。
得られた繊維強化プラスチックはその端部まで繊維が十分に流動していた。わずかながらソリが発生した一方、樹脂含有成分が多い分平滑性は比較例2よりは優れていたが、若干のヒケが発生した。引張弾性率は15GPa、引張強度は180MPaと全体的に低く、引張強度のCV値は14%とバラツキが大きいため、構造材には適用できそうになかった。
<繊維長さの比較(表4)>
(比較例5、6)
参考実施例1の切り込みパターンにおいて、切り込みの間隔L(繊維長さ)が異なる以外は、参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。それぞれLは、比較例5では7.5mm、比較例6では120mmとした。これに伴い、積層基材において、配向方向が同一である隣接する層において、一方の層の切込プリプレグ基材の切り込みからなる列が、他方の層の切込プリプレグ基材の切り込みからなる列に対し繊維方向に前記間隔Lの0.5倍ずつ、ずれることになり、この繊維長手方向へのずれはそれぞれ、比較例5が3.75mm、比較例6が60mmとなる。
比較例5においては、得られた繊維強化プラスチックは繊維のうねりなく、その端部まで繊維が十分に流動していた。ソリもなく、良好な外観品位、平滑性を保っていたが、引張強度が320MPaと参考実施例1や参考実施例10〜13と比較して低い値となった。比較例6については、得られた繊維強化プラスチックは、金型のキャビティ全面に繊維が流動しきっておらず、端部に樹脂リッチ部が見られた。繊維はうねり、ソリも発生した。
<切り込み長さの比較(表5)>
(比較例7)
参考実施例1の切り込みパターンにおいて、切り込みの長さWが異なる以外は参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。Wは15mmとした。これに伴い、隣り合う切り込みの列は繊維直交方向に15mmずれている。
得られた繊維強化プラスチックは繊維のうねりなく、その端部まで繊維が充分に流動しており、ソリもなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。引張弾性率44GPa、引張強度は400MPaとまずまず高い値であり、引張強度のCV値も3%とバラツキの小さい結果であったが、繊維束端部が大きいため、ヒケが参考実施例14〜15、実施例1〜4と比較して目立った。
(比較例8)
参考実施例1の切り込みパターンにおいて、実施例2〜4と同様に回転ローラーを用いて、切り込み長さWが0.025mmとする以外は参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。これに伴い、隣り合う切り込みの列は繊維直行方向に0.02mmずれている。
得られた繊維強化プラスチックは、金型との摩擦を受ける表面部で端部まで繊維が十分流動してない部位があった。そりはなかったが、切り込み長さが小さいため繊維が30mm以下に分断されていない部位があるせいか、繊維のうねりが目立った。
<繊維含有率の比較(表7)>
(比較例9、10)
参考実施例1の切込プリプレグ基材の単位面積あたりの炭素繊維重さを変えることにより炭素繊維の体積含有率Vfを変えた以外は参考実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。それぞれ比較例9が単位面積あたりの炭素繊維重さが158g/m、Vfが70%、比較例10が90g/m、Vfが40%とした。
比較例9で得られた繊維強化プラスチックは繊維がうねり、金型との摩擦を受ける表面部で端部まで繊維が流動していなかった。表面部には樹脂欠けがあり、外観品位は悪く、ソリも発生した。比較例10で得られた繊維強化プラスチックはソリがなく、良好な外観品位、平滑性を保っていた。しかしながら、引張弾性率33GPa、引張強度320MPaと参考実施例1や参考実施例22〜25と比較してかなり低い値であった。
Figure 0005223354
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本発明の切込プリプレグ基材の切り込みパターンの一例を示す拡大平面図である。 本発明の切込プリプレグ基材の切り込みパターン例を示す平面図である。 本発明の積層基材の構成の一例を示す平面図と断面図である。 本発明の積層基材の流動の一例を示す断面図である。 本発明の切込プリプレグ基材の切り込みパターンの別の一例を示す断面図である。 本発明の切込プリプレグ基材の切り込みパターンの別の一例を示す断面図である。 本発明の切込プリプレグ基材の製造方法の一例を示す概略図である。 本発明の切込プリプレグ基材の製造方法の一例を示す概略図である。 本発明の積層基材の切り込みパターンの重ねあわせ方の一例を示す平面投影図である。 本発明の切込プリプレグ基材の切り込みパターンの一例を示す拡大平面図である。
1:繊維長手方向
2:繊維直交方向
3:強化繊維
4:強化繊維の不連続端
4a:切込プリプレグ基材上面からの切り込み
4b:切込プリプレグ基材下面からの切り込み
4c:切込プリプレグ基材の厚み方向に斜めに入った切り込み
5:互いに切り込んでいる幅
6:繊維方向に対になる切り込みの幾何中心同士の間隔L(繊維長さL)
7:断続的な切り込みの列
7a:第1の断続的な切り込みの列
7b:第2の断続的な切り込みの列
7c:第3の断続的な切り込みの列
7d:第4の断続的な切り込みの列
8:切り込みの幾何中心
9:切り込みを強化繊維の垂直方向に投影した投影長さWs
10:本発明の切込プリプレグ基材
11:プリプレグ基材
12:積層基材
13:積層基材に加わる圧力
14:樹脂の流れ
15:強化繊維の端部の開き
16:切込プリプレグ基材の厚みH
17:互いに切り込んでいる厚みHs
18:切込プリプレグ基材上面の対になる切り込み同士の間隔La
19:切込プリプレグ基材上面の切り込みと対になる切込プリプレグ基材下面の切り込みとの間隔
20:せん断距離S
21:平均繊維分断線
22:切り込みの傾き角度Θ
23:回転ローラー
24:刃
25:ニップローラー
25a:回転速度の速いニップローラー
25b:回転速度の遅いニップローラー
26:切込プリプレグ基材α内の切り込み
27:切込プリプレグ基材β内の切り込み
28:距離0.5X

Claims (12)

  1. 強化繊維が一方向に引き揃えられたプリプレグ基材であって、該プリプレグ基材の全面に強化繊維を横切る方向へ断続的な切り込みからなる列が複数列設けられており、前記切り込みを強化繊維の垂直方向に投影した投影長さWsが30μm〜1.5mmであり、実質的に強化繊維のすべてが前記切り込みにより分断され、前記切り込みにより分断された強化繊維の繊維長さLが10〜100mmであり、繊維体積含有率Vfが45〜65%の範囲内である切込プリプレグ基材。
  2. 前記切込プリプレグ基材の厚みHが30〜150μmである、請求項1に記載の切込プリプレグ基材。
  3. 前記切込プリプレグ基材が炭素繊維と熱硬化性樹脂とから構成される、請求項1または2に記載の切込プリプレグ基材。
  4. 前記切り込みが繊維直交方向から傾いている、請求項1から3のいずれかに記載の切込プリプレグ基材。
  5. 前記切り込みが、前記切込プリプレグ基材の上面と下面とのそれぞれから層を厚み方向に貫かずに設けられ、前記切り込みの深さHsが前記切込プリプレグ基材厚みHに対して0.4H〜0.6Hの範囲内であり、上面の任意の切り込みAと、前記切り込みAと繊維長手方向に隣接した上面の切り込みBとの間隔をLaとすると、前記間隔Laが10〜100mmの範囲内であり、前記切り込みAから切り込みB方向への繊維長手方向の移動量0.4La〜0.6Laの範囲内に下面の切り込みCの幾何中心が配置され、上面の切り込みAとBとに囲まれる領域に含まれる強化繊維の一部が、上面の切り込みAと下面の切り込みC、または上面の切り込みBと下面の切り込みCのいずれかにより分断されているとともに、前記上面の切り込みの幾何形状および/または前記下面の切り込みの幾何形状が同一である、請求項1から4のいずれかに記載の切込プリプレグ基材。
  6. 前記切り込みが、前記切込プリプレグ基材の厚み方向に斜めに設けられており、任意の切り込みにおいて、前記切込プリプレグ基材の上面における強化繊維の分断線と下面における分断線との繊維長手方向の距離をSとすると、前記切込プリプレグ基材厚みHとを用いて、次の(式1)から導かれる角度Θが1〜25°の範囲内にある、請求項1から5のいずれかに記載の切込プリプレグ基材。
    Figure 0005223354
  7. 請求項1から6のいずれか記載の切込プリプレグ基材を含む、強化繊維を一方向に引き揃えられたプリプレグ基材が積層された積層基材であって、前記プリプレグ基材が少なくとも2方向以上に繊維方向が異なる層が積層されている積層基材。
  8. 前記積層基材が請求項1から6のいずれか記載の切込プリプレグ基材のみからなり、前記切込プリプレグ基材が擬似等方に積層されてなる積層基材。
  9. 繊維方向が実質的に同一方向である隣接する層において、両層の断続的な切り込みからなる列が等間隔であり、一方の層の前記切込プリプレグ基材の前記切り込みからなる列が、他方の層の前記切込プリプレグ基材の前記切り込みからなる列に対し繊維長手方向にずれて配置されている請求項7または8に記載の積層基材。
  10. 強化繊維が実質的に一方向に引き揃えられた層が強化繊維の配向が異なる方向に少なくとも2層以上積層されてなる、請求項1に記載の切込プリプレグ基材を用いた繊維強化プラスチックであって、前記繊維強化プラスチックを構成する層として、層の全面に強化繊維を横切る方向へ該強化繊維に垂直方向に投影した長さWcsが30μm〜20mmの範囲内である複数の切り込みを有し、平均厚みHcが15〜150μmの範囲内である切込層を少なくとも1層以上含み、前記切込層において、強化繊維が切り込みによって繊維長さLが10〜100mmの範囲内で分断されており、前記切込層の内少なくとも1層以上が、層を厚み方向に貫かない切り込みが上面と下面とから配されていることを特徴とする繊維強化プラスチック。
  11. 請求項5に記載の切込プリプレグ基材の製造方法であって、強化繊維を一方向に引き揃えてマトリックス樹脂を含浸して予備プリプレグ基材を準備し、予備プリプレグ基材に、所定の位置に刃を配置した回転刃ローラーを上面と下面との両面から押し当てて、予備プリプレグ基材の厚み方向に層を貫かない切り込みを入れる、切込プリプレグ基材の製造方法。
  12. 請求項6に記載の切込プリプレグ基材の製造方法であって、強化繊維を一方向に引き揃えてマトリックス樹脂を含浸して予備プリプレグ基材を準備し、予備プリプレグ基材に、予備プリプレグ基材の厚み方向に層を貫く切り込みを入れ、上面と下面とで回転速度の異なるニップローラーを押し当て、強化繊維の分断面を厚み方向に斜めにする、切込プリプレグ基材の製造方法。
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