JP5219413B2 - タイヤ部材の巻付方法 - Google Patents
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Description
上記のバランス出しは、具体的には、各タイヤ部材11の巻付け完了毎に、図3の破線で示すような、当該巻付ドラム10に設置されたドグなどの原点位置指示部材13を原点センサ14で検出するためのドグ検出回転を行った後、図3の実線で示すような、上記巻付ドラム10を上記ドグ検出位置から予め設定された巻付開始位置10kまで回転させる位置設定回転を行っているため、バランス出しに時間がかかっていた。
このような部材貼付け動作は、巻付ドラム10に巻付けるタイヤ部材の数と同じ回数だけ繰り返される(通常は、3〜5回)。このため、上記部材貼付け時間を短縮することができれば、生産性を向上させることができる。
しかし、タイヤ成型における品質要件から、巻付ドラム10の回転速度をある程度の速度以上に上げることができなかった。このように、巻付ドラム10の回転速度には制限があるので、一般には、バランス出しに要する時間がCV出しに要する時間よりも長い。
動作時間の短縮を実現するための方法としては、例えば、図4(a)に示すように、上記バランス出しとCV出しとを並行動作させて、バランス出しとCV出しとが同時に完了するように、巻付ドラム10の回転速度とコンベヤ12の移動速度とを制御することも考えられる。しかしながら、この方法では、コンベヤ12の動作開始のタイミングのズレ量であるΔtをタイマーで調整していることから誤差が発生し易いため、巻付ドラム10の回転完了前にコンベヤ12が巻付ドラム10に先付きしてしまい、タイヤ部材11に皺や伸びが発生してしまう恐れがあった。
そこで、現在では、図4(b)に示すように、バランス出しの完了を確認してからCV出しの動作を開始するようにしている。
図1は、本最良の形態に係るタイヤ部材の巻付方法における巻付けのタイムチャートを示す図である。本例では、巻付ドラム10とコンベヤ12の動作を制御する図外の制御装置を用いて、コンベヤ12に搭載された帯状のタイヤ部材11を巻付ける巻付ドラム10を所定の巻付開始位置10kまで回転させるバランス出しを位置決め制御のみの制御により行う。また、上記制御装置では、上記巻付ドラム10のバランス出しと上記コンベヤ12の先端を原点Oから上記巻付ドラム10から所定の距離隔離した巻付位置Xcまで移動させるCV出しの動作開始を同時に行う制御を行うとともに、巻付ドラム10のバランス出し終了後に上記コンベヤ12の先端の位置が上記巻付位置に到達するように上記コンベヤ12を制御する。なお、コンベヤ12の移動前の位置が常に原点である場合には、上記巻付位置XcはCV出し時におけるコンベヤ12の移動距離に等しい。
上記巻付ドラム10のバランス出しは、まず、上記巻付ドラム10の前回の巻付け時における総回転角度を回転センサで計測し、上記制御装置にて、上記計測された総回転角から巻付終了後の位置である現在値θを算出する。この現在値θは、図2に示すように、巻付ドラム10の基準点10nから反時計周り(もしくは時計周り)に測った巻付終了後の位置10eの角度で、例えば、前回の巻付動作における総回転角度が450°であれば、現在値θは150°となる。次に、巻付ドラム10を上記巻付終了後の位置10eから予め設定された巻付開始位置10kまで回転させるための所要回転角度Aを算出する。ここで、上記巻付開始位置10kの基準点からの角度であるプロセス値をαとすると、上記所要回転角度AはA=α−θとなる。したがって、巻付ドラム10を上記角度Aだけ回転させる位置制御を行うだけで巻付終了後の位置10eを巻付開始位置10kまで回転させるバランス出しを行うことができる。なお、A>0の場合に巻付ドラム10の回転が反時計周りであるとすると、A<0の場合には、巻付ドラム10を反時計周りに(θ−α)回転させる。
このように、巻付ドラム10を位置制御してバランス出しを行えば、ドグ検出を行うことなくバランス出しができるので、バランス出しの時間を大幅に短縮することができる。
本例では、上記制御装置を用いて、巻付けドラム10のバランス出しの動作開始と上記コンベヤ12のCV出しの動作開始とを同時に行う制御を行うとともに、巻付ドラム10のバランス出し終了後に上記コンベヤ12の先端の位置が上記巻付位置に到達するように、上記コンベヤ12の移動速度vの上限の閾値Vを決定し、上記移動速度vを閾値V未満になるように設定する。なお、巻付けドラム10のバランス出しとコンベヤ12のCV出しの動作開始とを同時に行う制御は、バランス出し後にCV出しを行う場合に比べて部材貼付け時間を短縮できるだけでなく、バランス出しとCV出しとを並行動作させ、かつ、バランス出しとCV出しとを同時に完了させる制御とは異なり、開始のタイミングのみを同期させればよいので、制御を確実に行うことができるという利点を有する。
コンベヤ12の移動速度の閾値Vを設定するためには、まず、上記算出された所要回転角度Aから、上記巻付ドラム10が上記所要回転角度Aだけ回転するために必要な所要回転時間Tを算出する。ここで、説明を簡単にするため、巻付ドラム10の回転速度をωを一定とし、かつ、巻付ドラム10及びコンベヤ12の立ち上がり時間及び立ち下がり時間が無視できるものとする。所要回転角度Aの単位は[度]なので、A=ωT(180/2π)である。一方、VT=Xcであるから、上記閾値Vは以下の式(1)を用いて算出することができる。
V=ωXc・(180/2π)/A‥‥‥‥(1)
したがって、巻付ドラム10のバランス出し時における回転速度ω及びコンベヤ12の移動距離Xcが一定であるとするならば、上記閾値Vは、図1に示すように、所要回転角度Aが大きい時の方が小さくなり、所要回転角度Aが小さい時の方が大きくなる。したがって、上記コンベヤ12の移動速度vの値が上記式(1)で算出される閾値V未満になるように設定すれば、CV出しの動作開始とを同時に行っても、巻付ドラム10のバランス出しが終了した時点で、コンベヤ12は巻付位置Xcよりも巻付ドラム10から離れた位置にいるので、コンベヤ12の先端が巻付ドラム10に先付けされることがない。
また、上記コンベヤ12の移動速度vを上記閾値Vよりも若干小さくするだけで先付けの問題は解決されるので、バランス出しとCV出しの合計の動作時間はバランス出しの時間とほぼ等しい。したがって、部材貼付け時間を短縮できるだけでなく、巻付けドラム10のバランス出しとコンベヤ12のCV出しの動作開始とを同時に行う制御は、バランス出し後にCV出しを行う場合に比べて部材貼付け時間を大幅に短縮することができる。
10e 巻付終了後の位置、11 タイヤ部材、12 コンベヤ。
Claims (1)
- コンベヤに搭載された帯状のタイヤ部材を巻付ける巻付ドラムを所定の巻付開始位置まで回転させるバランス出しと、上記コンベヤの先端を上記巻付ドラムから所定の距離隔離した巻付位置まで移動させるCV出しとを行った後、上記タイヤ部材を上記巻付ドラムに巻付けるタイヤ部材の巻付方法において、
上記巻付ドラムの前回の巻付け時における総回転角度と上記巻付開始位置の角度とから、上記巻付ドラムを巻付終了後の位置から上記巻付開始位置まで回転させるための所要回転角度を算出するとともに、
上記算出された所要回転角度から上記巻付けドラムを上記所要回転角度だけ回転させるための所要回転時間を算出し、
上記算出された所要回転時間と上記コンベヤの必要移動距離である上記所定の距離とを用いて、上記巻付ドラムの回転終了後に上記コンベヤの先端の位置が上記巻付位置に到達するように、上記コンベヤのCV出し時における移動速度を設定して、
上記巻付けドラムのバランス出しの動作開始と上記コンベヤのCV出しの動作開始とを同時に行うようにしたことを特徴とするタイヤ部材の巻付方法。
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