JP5219358B2 - 電子内視鏡装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被検者に腫瘍親和性光感受性物質を投与した状態で、被検者の腫瘍に対して比較的低出力のレーザー光を照射することによって腫瘍を滅失させるPDT(Photodynamic Therapy:光線力学的治療)に用いられる電子内視鏡装置に、関する。
内視鏡を通じて患者の体腔内に導入されたレーザー光を用いて、当該患者の体腔内壁に生じた腫瘍部位を治療する治療法として、PDT(Photodynamic Therapy:光線力学的治療)が開発されている。このPDTとは、例えばヘマトポルフィリン誘導体のような物質が腫瘍に親和性を有すとともに、特定波長のレーザー光(以下、単に「レーザー光」という)を照射されると活性酸素発生に因り殺細胞作用を生じることを利用した治療法である(なお、このような性質を持った物質は、一般的に、「腫瘍親和性光感受性物質」と呼ばれている)。
具体的には、PDTによる治療を行う場合には、術者は、予め患者に腫瘍親和性光感受性物質を静脈内注射する。すると、この腫瘍親和性光感受性物質は腫瘍部位により多く取り込まれるとともに、正常組織に取り込まれた腫瘍親和性光感受性物質は比較的短時間で排出されるので、所定時間経過後には、腫瘍部位にのみ腫瘍親和性光感受性物質が蓄積されていることになる。そこで、術者は、患者の体腔内に電子内視鏡の体腔内挿入部を挿入して、腫瘍部にその先端を対向させる。そして、この電子内視鏡の処置具チャンネルにレーザープローブを挿入して、その先端を体腔内挿入部の先端に開口した鉗子口から突出させて、腫瘍部にレーザー光を照射する。すると、腫瘍部位に蓄積している腫瘍親和性光感受性物質は、PDT用レーザー光の作用によって一重項酸素などの活性酸素を生成して、腫瘍部位の細胞に対して殺細胞作用を及ぼすのである。
以上の作用が有効に生じるにはある程度の時間の経過(10〜30分)を要するので、その間、レーザー光が腫瘍部位から逸れないように、術者は、電子内視鏡を把持したまま、当該電子内視鏡の先端に組み込まれた撮像素子によって撮像されてTVモニター上に表示される映像を、監視し続けなければならない。
ところが、このレーザー光の出力は、レーザーメスと異なり腫瘍部を焼き切るものではないので200mW程度で足りるものの、電子内視鏡において通常観察用に用いられる照明光よりも、十分にエネルギー密度が大きい。そのため、かかる照明光の強度に合わせてFナンバーが設定されている対物レンズを通じてレーザー光の反射光が撮像素子に入射すると、図6(b)のグラフに示すように、当該撮像素子の受光部を構成する各フォトダイオード(画素)に蓄積する電荷が即時に飽和してしまうことにより、TVモニター上に表示される映像にハレーションが生じてしまって、肝心の腫瘍部位もレーザープローブの先端も見えなくなってしまうという問題がある。
この問題を解決する対策としては、例えば、PDT用レーザー光と同じ波長の波長帯域の光のみを遮断するレーザーカットフィルタ(バンドパスフィルター)を対物レンズと撮像素子との間の光路中に介在させることが考えられる。
しかしながら、PDT用レーザー光として機能する光の波長は、腫瘍親和性光感受性物質の物性に依存するところ、現在発見されている腫瘍親和性光感受性物質に対して活性酸素生成作用を生じさせるレーザー光の波長は、何れの物質に対するもの(630nm,664nm)も、可視帯域(赤色帯域)に含まれている(波長が664nmであるレーザー光の分光特性を図7bに示す)。従って、このような帯域の光を遮断するために、図7aに示すような透過率特性を有するレーザーカットフィルタを、対物レンズと撮像素子との間に固定的に設けると、撮像素子によって通常観察時に撮像される映像は、遮断される帯域の情報を含まない色再現性の悪いものとなってしまう。しかも、上述した630nm,664nmを含む赤色帯域は、内視鏡検査において重要な情報源である赤の色を含んでいるので、撮像される映像は、血管の状態や出血の状態すら写り込まないものとならざるを得ない。結局、かかるレーザーカットフィルターを対物レンズと撮像素子との間に組み込んだ内視鏡は、PDT用にしか利用できないものとなっていたのである。
だからといって、かかる固定式のレーザーカットフィルターの代わりに、下記特許文献1に記載されたような可変式のフィルターを組み込んで、PDT処置時と通常観察時とで切り換えることは、体腔内挿入部の先端におけるスペース上の限界に因り、現実的ではない。
一方、本出願人の出願にかかる下記特許文献2に記載の電子内視鏡装置では、撮像素子によって撮像タイミングに同期させて、各フレームにおける第1フィールドでのみ照明光をを照射するとともに第2フィールドでのみレーザー光を照射することとし、第1フィールドの画像信号のみに基づいて、TVモニター上に映像を表示させるためのビデオ信号を生成している。このシステムによれば、通常の電子内視鏡を使用できるにも拘わらず映像にハレーションが全く生じないというメリットがあるが、レーザー光の照射が断続的になってしまうので、レーザー光の強度が同じであれば、トータルの処置時間が倍に伸びてしまうという問題がある。
特開平11−9707号公報 特開2006−130183号公報
そこで、本発明は、電子シャッター機能を備えるCCDを電子内視鏡の撮像素子として用い、この電子シャッター機能を利用することにより、レーザーカットフィルターを用いることなくハレーションの生じない映像信号を得ることができ、しかも、レーザー光を連続的に照射することによってトータルの処置時間を最短に抑えることができる電子内視鏡装置システムの提供を、課題とする。
上記課題を解決するために案出された本発明による電子内視鏡装置は、腫瘍親和性光感受性物質が蓄積した被検者の腫瘍部位に対してPDT用レーザー光を照射することによって治療を行うために用いられる電子内視鏡装置であって、対物レンズが嵌め込まれた撮像窓が先端部に形成されているとともに、全体として長尺状に形成された体腔内挿入部と、前記対物レンズによる像の形成位置に面状に配置された多数の画素からなる受光部,及び、前記受光部の全画素に蓄積された電荷が転送される転送部を有し、電子シャッターパルスが入力されると前記受光部の各画素に蓄積された電荷を前記転送部に転送することなくリセットし、読み出しタイミング信号が入力されるとその時点で前記受光部の各画素に蓄積されていた電荷を一挙に前記転送部に転送し、その後入力される読み出し信号に応じて前記転送部に転送されている各画素の電荷を映像信号として出力するカラーCCDと、前記対物レンズの前方に可視帯域のレーザー光を照射するレーザー光学系と、前記カラーCCDから出力される映像信号中の赤色成分の強度に基づいて、当該映像信号がハレーションを生じないレベルとなる電子シャッタースピードを算出する電子シャッタースピード算出部と、所定の周期で前記読み出しタイミング信号及び読み出し信号を生成して夫々前記カラーCCDに入力するとともに、前記読み出しタイミング信号のパルスの入力タイミングまでの時間が前記電子シャッタースピード算出部によって算出された電子シャッタースピードと合致するタイミングで、前記電子シャッターパルスを生成して前記カラーCCDに入力するCCD駆動回路とを、備えたことを特徴とする。
このように構成された電子内視鏡装置によれば、PDTによる処置を行うために、レーザー光学系によって可視帯域のレーザー光が、腫瘍親和性光感受性物質が蓄積している腫瘍部に照射され、その反射光が、この腫瘍部を撮像しているカラーCCDの受光部に入射した場合には、このCCDから出力される映像信号のレベルが一時的に飽和してハレーションを生じそうになるが、電子シャッタースピード算出部が、この映像信号中の赤色成分の強度に基づいてハレーションを生じない電子シャッタースピードを算出して、CCD駆動回路に伝達する。すると、このCCD駆動回路は、読み出しタイミング信号のパルスの入力タイミングまでの時間が前記電子シャッタースピード算出部によって算出された電子シャッタースピードと合致するタイミングで、電子シャッターパルスを生成して、CCDに入力する。すると、このCCDでは、電子シャッターパルスが入力されることにより、それまでに受光部を構成する各画素において蓄積され(しかも、多くの場合飽和し)ている電荷がリセットされ、それ以後次の読み出しタイミング信号のパルスが入力されるまでの間に、受光される光に基づいて、電荷が蓄積される。この蓄積時間は、電子シャッタースピード算出部によって算出されたシャッタースピードと合致しているので、CCDからの映像信号は、映像信号がハレーションを生じないレベルに抑えられるのである。
なお、本発明において、レーザー光学系は、体腔内挿入部の先端部に埋め込まれたレーザーダイオードから構成されていても良いし、被検者の体外に配置されたレーザー装置によって射出されたレーザー光を、光ファイバー(バンドル)によって体腔内挿入部の先端部まで導光する構成であっても良い。後者の場合、光ファイバー(バンドル)は、体腔内挿入部に内蔵されていても良いし、体腔内挿入部に引き通された処置具チャンネル内に挿入された光プローブであっても良い。
以上のように構成された本発明の電子内視鏡装置によると、レーザーカットフィルターを用いることなくハレーションの生じない映像信号を得ることができ、しかも、レーザー光を連続的に照射することによってトータルの処置時間を最短に抑えることができる。
以下、添付図面に基づいて、本発明を実施するための形態について、説明する。
図1は、本発明の一実施例である電子内視鏡装置の外観図であり、図2は、その内部構造を示す概略図である。図1に示されるように、この電子内視鏡装置1は、電子内視鏡10,光源プロセッサ装置12,レーザー装置13,レーザープローブ14及び、TVモニター60を、備えている。
図1及び図2に示される電子内視鏡10は、具体的には、体腔内に挿入されるために細長く形成されている体腔内挿入部10a,その体腔内挿入部10aの先端部分を湾曲操作するためのアングルノブや切換スイッチ56等を有する操作部10b,操作部10bと光源プロセッサ装置12とを接続するための可撓管10c,及び、この可撓管10cの基端に設けられたコネクタ10dを、備えている。そして、体腔内挿入部10aの先端面には、配光レンズ16が組み込まれた照明窓と、対物レンズ15が嵌め込まれた撮影窓とが、形成されている。そして、この体腔内挿入部10aの内部には、対物レンズ15によって形成された被検部の像を撮影して画像信号に変換するCCD(受光部における各画素上にCGMYカラーモザイクフィルターが被せられたカラーCCD)17が、組み込まれている。このCCD17は、対物レンズによる像の形成位置に面状に配置された多数の画素からなる受光部,及び、受光部の全画素に蓄積された電荷が伝送させる伝送部を、有している。
CCD17から出力された画像信号を伝送するための画像信号ケーブル19は、体腔内挿入部10a,操作部10b及び可撓管10c内を引き通されて、コネクタ10dの端面から突出する電気コネクタ10fに含まれる何れかの端子に導通している。
この画像信号ケーブル19と並行して、体腔内挿入部10a,操作部10b及び可撓管10c内には、ガラス製光ファイバを束ねてなるライトガイドファイババンドル(以下、単に「ライトガイド」という)20が、引き通されている。このライトガイド20の先端は、体腔内挿入部10aの先端部内において配光レンズ16に対向し、その基端は、コネクタ10dの端面から突出した金属製のパイプである口金21内に、挿入されて固定されている。
さらに、これら信号ケーブル19及びライトガイド20と並行して、体腔内挿入部10aからコネクタ10dまで、コネクタ10d内に組み込まれたCCD駆動回路(電子シャッタードライバ)11からCCD17に対して撮像素子駆動信号(電子シャッターパルス,読み出しタイミング信号,読み出し信号[垂直駆動信号,水平駆動信号],等)を供給するための複数本の駆動信号ケーブル18が、引き通されている。
撮像素子駆動信号及び映像信号とCCD17の各端子との入出力関係を図3に示し、そのタイミングを図4乃至図6のタイミングチャートに示す。
図3に示されたように、読み出しタイミング信号は、CCD17のTG端子に入力され、CCD17に対して、図4a,図5a,図6aに示すように、受光部を構成する各列の全画素(フォトダイオード)に蓄積された電荷を、夫々、各画素列に併設された垂直CCD(転送部)に転送させる(インターライン・トランスファ方式の場合)。
電子シャッタターパルスは、CCD17のVsub端子に入力され、CCD17の受光部の基板電圧に印加される。その結果、電子シャッターパルスの立ち上がりにより、受光部を構成する各フォトダイオードのアノード−カソード間電位差が無くなるので、そこに蓄積されていた電荷が除去される(リセットされる)。その後、電子シャッターパルスが立ち下がると、電荷の蓄積が再開される。
垂直駆動信号は、CCD17のVdriv.端子に入力されて、その立ち下がり毎に、CCD17に対して、上記各垂直CCDに転送された電荷を、各垂直CCDの末端に連続して設けられた一個の水平CCD(転送部)に向けて、一画素づつシフトさせる。但し、この垂直駆動信号は、NTSCにおける垂直帰線期間に相当する期間においてはHighの状態を保つ。この期間を垂直ブランキング期間と言い、その期間内に、上記読み出しタイミング信号が入力される。
水平駆動信号は、CCD17のHdriv.端子に入力されて、その立ち下がり毎に、水平CCDに転送されている各列の画素の電荷をその末端(Out端子)に向けて、一画素づつシフトさせる。但し、この水平駆動信号は、NTSCにおける水平帰線期間に相当する期間においてはHighの状態を保つ。この期間を水平ブランキング期間と言い、その期間内に、上記垂直駆動信号のパルスが一つ入力されるのである。図5(d)に示すように、一の水平ブランキング期間と次の水平ブランキング期間との間の水平映像期間内において、水平駆動信号がHigh/Lowする毎に、一画素分の画像信号がOut端子から出力されることにより、結果として、一走査線の画像信号が出力されるのである。
図2に戻り、CCD駆動回路11の図示せぬ入力端子は、信号線を通じ、コネクタ10dの端面から突出する電気コネクタに含まれる何れかの端子に導通している。そして、電気コネクタを通じて後述するタイミング回路30から伝達される同期信号及びシャッタースピードに従い、これら撮像素子駆動信号を生成して出力する。
操作部10b上に設けられた切換スイッチ56は、オペレータにより押下される毎に、オン信号を信号線22に印加する。この信号線22は、操作部10b及び可撓管10c内を引き通されて、コネクタ10dの端面から突出する電気コネクタに含まれる他の何れかの電極に導通している。
また、コネクタ10d内には、この電子内視鏡10の属性(撮像素子として電子シャッター機能を有するカラーCCDが用いられていること等)を特定する情報を格納したROM23が内蔵されており、このROM23は、コネクタ10dの端面から突出する電気コネクタに含まれる他の何れかの電極に導通している。
また、体腔内挿入部10a内には、イメージガイド20と並行に、処置具チャンネル10eが引き通されている。この処置具チャンネル10eの先端は、体腔内挿入部10aの先端面に開口し、その基端は、操作部10bの側面に突出して設けられた鉗子口10fに連通している。
この処置具チャンネル10eには、各種の処置具を挿入可能であるが、その一つが、レーザー装置13に接続されているレーザープローブ14である。即ち、この処理具チャンネル10eは、PDT用レーザー光を導光するレーザープローブ14が挿通され得る内径を有している。
レーザープローブ14は、シングルファイバー、若しくは多数の光ファイバーを束ねることによって構成されたものである。但し、PDT用のレーザー光としては、可視帯域のレーザー光が用いられるので、レーザープローブ14を構成する光ファイバーは、通常のガラス製で良い。
レーザー装置13は、光源プロセッサ装置12を構成する後述するシステムコントロール回路40に接続され、このシステムコントロール回路40からの指示によって励起する図示せぬレーザー光源(半導体レーザー等)を内蔵し、このレーザー光源から発したレーザー光を、レーザープローブ14の基端面に導入する。このようにして、レーザープローブ14の基端面に導入されたレーザー光は、このレーザープローブ14によって導光されて、その先端面から射出される。これらレーザー装置13及びレーザープローブが、対物レンズ15の前方に可視帯域のレーザー光を照射するレーザー光学系を構成する。
光源プロセッサ装置12は、内視鏡10のライトガイド20の基端面に照明光を導入する機能,及び、電子内視鏡10の電気コネクタを通じて撮像素子17から受信した画像信号に対して画像処理を行うことによってビデオ信号を生成してTVモニター60へ出力する機能を、基本的な機能として備えている。
光源プロセッサ装置12の筐体の正面のパネルには、内視鏡10の口金21がその外面側から挿入されて保持される貫通孔であるソケット12aが、設けられている。このソケット12aの貫通孔は、光源プロセッサ装置12の内部空間に通じている。この光源プロセッサ装置12の内部空間内には、ソケット12aの中心線に沿って順番に、集光レンズ28,シャッタ25及びキセノンランプ33が、配置されている。
キセノンランプ33は、ほぼ白色の分光特性を有する照明光を、集光レンズ28に向けて射出する。
シャッター25は、キセノンランプ33から射出された照明光の光路に図示せぬ羽根を断続的且つ高速に挿入することにより、照明光の通過を断続させるとともに、後述する自動調光回路36からの指示に従い、当該羽根が光路へ挿入される時間の退避時間に対する比率を変化させることより、通過する照明光の単位時間当たりの平均光量を調整する。
集光レンズ28は、その光軸に沿って入射した照明光を、ソケット12aに挿入された口金21内に保持されているライトガイド20の基端面に、収束させる。
また、光源プロセッサ装置12の筐体の正面側パネルには、内視鏡10の口金21がソケット12aに挿入された状態において内視鏡10の電気コネクタに設けられた各端子と夫々導通する多数の端子からなる電気ソケット(図示略)が、設けられている。
上述した信号線22及びROM23に導通した信号線は、電気ソケット(図示略)を構成する個々の端子を通じて、システムコントロール回路40に接続される。このシステムコントロール回路40には、更に、タイミング回路30及びレーザー装置13が、接続されている。
上述した画像信号ケーブル19は、電気コネクタ(図示略)を構成する端子を通じて、初期映像信号処理回路31に接続される。この初期映像信号処理回路31は、更に、ホワイトバランス回路32及び映像信号レベル検出回路34に接続されている。このホワイトバランス回路32は、更に、後段映像信号処理回路35に接続されている。後段映像信号処理回路35は、TVモニター60に接続されているとともに、タイミング回路30及び自動調光回路36に接続されている。タイミング回路30は、電気コネクタ(図示略)を構成する端子を通じてCCD駆動回路11に接続される他、初段映像信号処理回路31及び映像信号レベル検出回路34に接続されている。自動調光回路36は、上述したシャッター25に接続されている。
システムコントロール回路40は、ソケット12aに電子内視鏡10が接続されると、この電子内視鏡10のROM23からその属性情報を読み出し、この電子内視鏡10のCCD17が電子シャッター機能を備えているか否かを確認する。そして、電子シャッター機能を備えているCCD17である場合には、切換スイッチ56からオン信号が入力される毎に、光源プロセッサ装置12全体の動作モードを、通常撮影モードとレーザー照射モードとの間で交互に切り換え、切換後の動作モードをタイミング回路30に通知する。なお、切換スイッチ56は、光源プロセッサ装置12の筐体の正面側パネルに設けられていても良いし、フットスイッチであっても良い。また、電子内視鏡10のCCD17が電子シャッター機能を備えていない場合には、システムコントロール回路40は、常時、通常モードで動作する。
システムコントローラ24は、レーザー装置13に対して,通常撮影モード下においてはレーザー光の射出を停止させ、レーザー照射モード下においてはレーザー光を射出させる。
初期映像信号処理回路31は、CCD17から入力される映像信号(CGMYカラーアナログ信号)をA/D変換した後に、CGMY−RGBマトリックス演算を施すことにより、RGBカラーデジタル信号に変換して、ホワイトバランス回路32及び映像信号検出回路34に夫々伝達する。ホワイトバランス回路32は、入力されたRGBデジタル信号に対して所定のホワイトバランス補正処理を施すことにより、ホワイトバランス調整をした後に、後段映像信号処理回路35に伝達する。後段映像信号処理回路35は、入力されたRGBデジタル信号に対してガンマ補正処理,エンハンス(輪郭強調)処理を施した後に、A/D変換処理し、変換後のRGBアナログ信号に対してY,R−Y,B−Yマトリクス処理を行うことによりコンポーネント映像信号(Y,Cb,Cr)に変換し、更に、二つの色差信号(Cb,Cr)に対してクロマ処理を行うことによりY/Cセパレート信号に変換し、更に、NTSCコンポジット信号に変換する。そして、後段映像信号処理回路35は、TVモニター60の種類に応じて、RGBデジタル信号,RGBアナログ信号,Y/Cセパレート信号,NTSCコンポジット信号(Video信号)を、当該TVモニター60に繋がる映像出力端子に、出力する。また、後段映像信号処理回路35は、コンポーネント映像信号中のY信号を、自動調光回路36へ伝達する。
自動調光回路36は、入力された1フレーム分のY信号のピーク値,平均値,若しくは中心近傍部のピーク値又は平均値と所定の参照値とを比較して、前者が後者よりも高ければシャッター25の羽根が光路へ挿入される時間の退避時間に対する比率を下げ、前者が後者よりも低ければ上記比率を上げる。
他方、映像信号検出回路34は、前段映像信号処理回路31から入力されたR信号と所定の参照値とを比較して、タイミング回路30に対して、前者が後者よりも高ければ電子シャッタースピード(上述した電子シャッターパルスの立ち上がりに因る電荷のリセット後読み出しタイミング信号の立ち上がりまでの電荷の蓄積時間)を短くするように指示し、前者が後者よりも低ければ電子シャッタースピードを長くするように指示する。映像信号検出回路34に入力される映像信号がY信号でなくR信号で足りる理由は、レーザー照射時には、レーザー光の光量が照明光よりも大きいために、映像の分光特性が赤に偏るからである。
タイミング信号回路30は、CCD駆動回路11,前段映像信号処理回路31及び後段映像信号処理回路35に対して、処理の同期を取る基準となり1フレームに相当する時間を画する1/30周期の同期信号を伝達するとともに、CCD駆動回路11に対して、システムコントロール回路40から通知された動作モードが通常撮影モードである間は、電子シャッターパルスの生成を停止させ、レーザー照射モードである間は、映像信号レベル検出回路34が指示に応じて電子シャッタースピードを決定し、決定した電子シャッタースピードをCCD駆動回路11に通知する。これら映像信号レベル検出回路34及びタイミング信号回路30が、CCD17から出力される映像信号に基づいて、当該映像信号がハレーションを生じないレベルとなる電子シャッタースピードを算出する電子シャッタースピード算出部を、構成する。
CCD駆動回路11は、タイミング回路30から伝達された同期信号に基づいて垂直駆動信号及び水平駆動信号を生成し、夫々、CCD17のVdriv端子及びHdriv端子に入力する。また、各垂直帰線期間中のタイミング,及び、各垂直帰線期間同士の中間のタイミングで、夫々、各フレームを二つのフィールドに区切る読み出しタイミング信号を生成して、CCD17のTG端子に入力する。
そして、CCD駆動回路11は、通常撮影モードにおいては、電子シャッターパルスの生成を停止する。その結果、CCD17の受光部における各フォトダイオードにおける電荷の蓄積は、図6(b)に示すように、読み出しタイミング信号(パルス)の立ち下がりによって開始され、受光量に応じて、次のパルスの立ち上がり時点までの間になされる。即ち、この場合における蓄積時間(レーザー照射モードにおけるシャッタースピードに相当)は、(1/60−パルス幅)秒となる。なお、上述したように、図6(b)は、従来例においてフォトダイオードが飽和する状態を示しているものであるが、通常撮影モードにおいて自動調光回路36が正常に機能している場合には、電荷蓄積量が、パルスの立ち上がりの時点までに飽和してしまうことはない。
一方、CCD駆動回路11は、レーザー射出モードにおいては、読み出しタイミング信号のパルスの入力タイミングまでの蓄積時間がタイミング信号回路30によって通知されたシャッタースピードと合致するタイミングで、電子シャッターパルスを生成して、CCD17のVsub端子に入力する。即ち、図4に示すように、読み出しタイミングがLowである期間内に(図4a)、電子シャッターパルスが入力された場合(図4b)、通常撮影モードの場合と同様に読み出しタイミング信号のパルスの立ち下がりによって電荷の蓄積が開始されるが、上述したように、電子シャッターパルスの立ち上がりによって一旦リセットされ、その下がりによって電荷蓄積がゼロから再開され、次の読み出しタイミング信号のパルスの立ち下がりまでの間に蓄積された電荷が、伝送部に伝送される(図4c)。従って、この場合における蓄積時間(シャッタースピード)は、電子シャッターパルスの立ち下がりから次の読み出しタイミング信号の立ち上がりまでの時間となる。但し、読み出しタイミング信号の立ち下がりから電子シャッターパルスの立ち上がりまでの間が開くと、その間に、電荷が飽和してしまって、その状態が長時間にわたって維持されることに因り、CCDが劣化したり、蓄積時間始期時に電荷を完全にリセットできないというという問題が生じる。そのため、図5b〜dに示すように、CCD駆動回路11は、蓄積時間外においても、水平帰線期間(水平ブランキング期間)毎に、電子シャッターパルスを生成してCCD17のVsub端子に入力することにより、フォトダイオードをリセットして電荷の飽和を防止し、これにより、上述した問題の発生を防止しているのである。なお、このように多数の電子シャッターパルスがCCD17に入力されても、図5c〜eに示されるように、最後の電子シャッターパルス(即ち、蓄積期間の始期を画する電子シャッターパルス)を除いて、その入力タイミングは水平帰線期間(水平ブランキング期間)内に収まっているので、出力端子から出力される出力信号にノイズ(スパイク)が混入する問題は、生じることがない。
以上のように構成された本実施形態を用いてPDTを行う場合、術者は、TVモニター60上に表示されている可視像を見ながら、電子内視鏡10を操作することによって、その体腔内挿入部10aの先端面を腫瘍部位を内包する体腔内壁に対向させる。次に、術者は、切換スイッチ56を押下することによって、光源プロセッサ装置12の動作モードを通常撮影モードからレーザー照射モードに切り換える。
すると、レーザープローブの先端から、照明光よりも十分に光量の大きい赤色帯域のレーザー光が射出され、それによって腫瘍部位に対するPDTの処置がなされるが、体腔内壁にて反射した当該レーザー光の反射光の一部が、電子内視鏡11の対物レンズ15を介してCCD17の受光部に入射するので、そのままでは、CCD17から出力される出力信号にハレーションが生じてしまう。
しかしながら、CCD17のVsub端子には、各フィールド毎に、その始期を区切る読出タイミング信号の立ち下がり後の水平帰線期間(水平ブランキング期間)毎に電子シャッターパルスが入力され、更に、その終期を区切る読出タイミング信号の立ち上がり時点を基準として所定蓄積時間(タイミング回路30によって指示されたシャッタースピードに相当する蓄積時間)だけ遡ったタイミングにて電子シャッターパルスが入力される。従って、蓄積期間の開始までにCCD17の受光部を構成する各フォトダイオードが飽和することはなく、蓄積期間は各フォトダイオードがリセットされた状態から開示する。この蓄積時間は、映像信号レベル検出回路34がR信号の強度を所定参照値と比較することに依って決定した指示に応じてタイミング回路30が決定したシャッタースピード(即ち、各フォトダイオードが飽和しない為にハレーションを生じることのないシャッタースピード)と合致している。なお、この蓄積時間中に電子シャッターパルスが生成されることはない。よって、この蓄積時間中に各フォトダイオードが飽和することはないので、その間に蓄積された電荷が後者の読み出しタイミング信号によって転送部に転送され、その後出力端子から出力されても、その出力信号がハレーションを生じることはない。
よって、本実施形態によると、対物レンズとCCD17との間に赤色帯域の光を遮断するレーザーカットフィルターを介在させる必要はないので、電子内視鏡の通常観察時における色再現性が劣化することはないし、体腔内挿入部11aの先端が大径化することもない。また、TVモニター上に映像を表示するための撮像をしている間もレーザー照射を継続できるので、PDTの処理時間が延びることもない。
本発明の実施形態である電子内視鏡装置の外観を示す外観図 電子内視鏡装置を構成する電子内視鏡及び光源プロセッサ装置の内部構成を示す概略図 CCDの各端子を示す図 CCDに入力される各信号のタイミング等を示すタイミングチャート CCDに入力される各信号のタイミング等を示すタイミングチャート 従来のフォトダイオードの蓄積を示すタイミングチャート レーザー光及びレーザーカットフィルタの分光特性図
符号の説明
1 電子内視鏡装置
10 電子内視鏡
11 CCD駆動回路
12 光源プロセッサ装置
13 レーザー装置
14 レーザープローブ
15 対物レンズ
17 CCD
30 タイミング回路
31 前段映像信号処理回路
34 映像信号レベル検出回路
35 後段映像信号処理回路
60 TVモニター

Claims (3)

  1. 腫瘍親和性光感受性物質が蓄積した被検者の腫瘍部位に対してPDT用レーザー光を照射することによって治療を行うために用いられる電子内視鏡装置であって、
    対物レンズを嵌め込まれた撮像窓が先端部に形成されているとともに、全体として長尺状に形成された体腔内挿入部と、
    前記対物レンズによる像の形成位置に面状に配置された多数の画素からなる受光部,及び、前記受光部の全画素に蓄積された電荷が転送される転送部を有し、電子シャッターパルスが入力されると前記受光部の各画素に蓄積された電荷を前記転送部に転送することなくリセットし、読み出しタイミング信号が入力されるとその時点で前記受光部の各画素に蓄積されていた電荷を一挙に前記転送部に転送し、その後入力される読み出し信号に応じて前記転送部に転送されている各画素の電荷を映像信号として出力するカラーCCDと、
    前記対物レンズの前方に可視帯域のレーザー光を照射するレーザー光学系と、
    前記カラーCCDから出力される映像信号中の赤色成分の強度に基づいて、当該映像信号がハレーションを生じないレベルとなる電子シャッタースピードを算出する電子シャッタースピード算出部と、
    所定の周期で前記読み出しタイミング信号及び読み出し信号を生成して夫々前記カラーCCDに入力するとともに、前記読み出しタイミング信号のパルスの入力タイミングまでの時間が前記電子シャッタースピード算出部によって算出された電子シャッタースピードと合致するタイミングで、前記電子シャッターパルスを生成して前記カラーCCDに入力するCCD駆動回路と
    を備えたことを特徴とする電子内視鏡装置。
  2. 前記電子シャッタースピード算出部は、前記映像信号中の赤色成分の強度を所定の参照値と比較して、前者が後者よりも高ければシャッタースピードを短くし、前者が後者よりも低ければシャッタースピードを長くする
    ことを特徴とする請求項1記載の電子内視鏡装置。
  3. 前記CCD駆動回路は、前記読み出し信号として垂直駆動信号のパルス及び水平駆動信号のパルスを生成して前記カラーCCDに入力するとともに、前記読み出しタイミング信号のパルスを生成してから前記電子シャッターパルスを生成するまでの間にも、前記水平駆動信号のパルスを生成する毎に、前記電子シャッターパルスを生成して前記カラーCC
    Dに入力する
    ことを特徴とする請求項1記載の電子内視鏡装置。
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