JP5218964B2 - めっき厚さ測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融亜鉛めっき処理が施された鋼材のめっき厚さ測定方法に関するものである。
溶融亜鉛めっきは、鋼材を430℃〜460℃の溶融亜鉛中に浸漬することにより処理を行う。鋼材表面に形成されるめっき皮膜は、鋼材表面に生成した亜鉛−鉄合金層とその合金層の上に付着する亜鉛層からなり、めっき皮膜の組織は、鉄素地に近い方から順にδ1合金層、ζ合金層、η亜鉛層の3層から構成されている。
亜鉛−鉄合金層は、溶融亜鉛めっき皮膜の膜厚を大きくして耐食性を向上させることに役立っているが、鋼材の化学成分やめっき処理条件などの影響により通常以上に亜鉛−鉄合金層が成長すると、合金層は脆くなり、加工の際に亀裂を生じる可能性がある。
品質の良いめっき製品を得るためには、合金層の成長を抑え、適切な付着量とする必要があることから、溶融亜鉛めっき鋼材の合金層の厚みを測定し、管理する必要がある。
溶融亜鉛めっきの付着量測定には、溶融亜鉛めっき鋼材の垂直断面を光学顕微鏡あるいは走査電子顕微鏡により観察してめっき皮膜の厚さを求める方法、質量計測により付着量の測定を行う方法および膜厚計によりめっき皮膜の厚さ測定を行う方法が用いられている。この内、膜厚計によりめっき皮膜の厚さ測定を行う方法は、操作が比較的簡単で測定値が即座に分かることなどの理由により、一般に広く用いられている(例えば、非特許文献1参照。)。
また、一般的に電気めっき処理された製品に用いられる化学的測定方法として、定電流電解法がある。この方法は、めっき面をアノードとして定電流電解し、めっきの溶解に要した電気量から、めっき皮膜の厚さを算出する方法であるが、溶融亜鉛めっき鋼材に電気めっき処理された製品と同様の条件で定電流電解法を適用した場合、溶解が亜鉛層から合金層に移る際に、電位−時間曲線または電位変化率−時間曲線に変曲点が明確に現れないという問題があるため、合金層の厚さを測定することができなかった。
合金化溶融亜鉛めっきの分野では、測定精度を上げるために、試料に周波数20〜1000Hzの範囲の超音波をかけながら0.1〜50mA/cmの電解電流密度で定電流電解測定を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、定電流電解法では精度良く合金層の厚みを測定することができないため、硫酸亜鉛−塩化ナトリウム水溶液中で、定電位電解を行う方法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
JIS H8501,財団法人日本規格協会,1999 特開平6−116699号公報 特開2006−58309号公報
しかしながら、質量計測により付着量の測定を行う方法および膜厚計によりめっき皮膜の厚さ測定を行う方法の場合、めっき皮膜全体の厚さは測定できるが、めっき皮膜中の合金層の厚さは測定できないという問題があった。
また、溶融亜鉛めっき鋼材の垂直断面を光学顕微鏡あるいは走査電子顕微鏡により観察してめっき皮膜の厚さを求める方法の場合、めっき皮膜の垂直断面を観察するために、溶融亜鉛めっき処理を施した鋼材を切断する必要があった。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板の分野で用いられている、周波数20〜1000Hzの範囲の超音波をかけながら定電流電解測定を行う場合、超音波を照射するための装置が高価で手間がかかるという問題があった。また、電解電流密度が0.1〜50mA/cmと低いため、測定に時間がかかるという問題もあった。
硫酸亜鉛−塩化ナトリウム水溶液中で定電位電解測定を行う場合、定電流電源より高価なポテンショスタット(制御装置)が必要となる。また、電流密度が小さいため、測定に時間がかかるという問題があった。さらに、定電位モードでは電流が変化するため、電気量を求めるために電流を積分する必要があり、測定結果から合金層の厚みを算出する作業が煩雑になるという問題があった。
本発明は、前記した従来技術の問題点を解決し、溶融亜鉛めっき皮膜中の合金層の厚みを測定することができるめっき厚さ測定方法を提供することを目的とする。
第1の発明は、溶融亜鉛めっき鋼材をアノードとし、対極にはステンレス、白金、炭素および亜鉛からなる群より選ばれた材料からなる電極を用い、参照電極には飽和甘コウ電極、銀/塩化銀電極および亜鉛電極からなる群より選ばれた電極を用いて、1mol/dm〜飽和の塩化物水溶液に硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコールおよび1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)からなる群のうちの1種を添加した水溶液中で0.10〜0.22A/cmの電解電流密度の範囲内で定電流電解を行い、めっき皮膜の溶解に要した電気量に基づいて溶融亜鉛めっき皮膜中の亜鉛層と合金層の厚さを測定することを特徴とするめっき厚さ測定方法である。
第2の発明は、溶融亜鉛めっき鋼材をアノードとし、対極に亜鉛からなる電極を用いて、1mol/dm〜飽和の塩化物水溶液に硫酸ナトリウムを添加した水溶液中で0.10〜0.22A/cmの電解電流密度の範囲内で定電流電解を行い、めっき皮膜の溶解に要した電気量に基づいて溶融亜鉛めっき皮膜中の亜鉛層と合金層の厚さを測定することを特徴とするめっき厚さ測定方法である。
第1〜2の発明によれば、定電流電解法を溶融亜鉛めっき鋼材に用いた場合でも、溶解が亜鉛層から合金層または合金層から鉄素地に移る際に、電位−時間曲線または電位変化率−時間曲線に変位点が現れるため、めっき皮膜中の合金層の厚みを測定することができる。また、定電流電解法でめっき厚さの測定を行うことができるため、鋼材を切断する必要はない。
さらに、高濃度の塩化物水溶液を用いて、高電流密度で定電流電解を行うため、短時間で測定することができる。
その他、測定は定電流電解法の基本的な装置を使用して行うことができるため、超音波を照射するための装置など高価な装置を必要としない。また、簡単な構成であるため、どのような場所であってもその場で測定が可能である。特に、第2の発明は、対極が参照電極を兼ねた2極式セル構造であるため、非常に簡単な構成とすることができる。
また、第1〜2の発明によれば、添加剤の選択により電解終点が明瞭になり、測定精度を上げることができる。
また、第1〜2の発明によれば、定電流電解法で測定を行うため、定電位電解法での測定のように電気量を求めるために電流を積分する必要がなく、測定結果から容易に合金層の厚みを算出することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
定電流電解法は、被測定物をアノードとして電解液中で定電流電解し、溶解時間に対する電位の変化を測定して、溶解がめっき層から鉄素地に移るときに電位−溶解時間曲線に発生する変曲点に対応する時間と、その当該時間までに流れた電流値にファラデーの法則を適用して被測定物のめっき付着量を算出する方法であり、電気めっき処理された製品のめっき皮膜の厚さ測定に用いられている。
しかし、溶融亜鉛めっき処理が施された鋼材に電気めっき処理された製品と同様の条件で定電流電解法を適用した場合には、溶解が亜鉛層から合金層に移る際に電位−時間曲線または電位変化率−時間曲線に変曲点が明確に現れないため、合金層の厚さを測定することはできなかった。本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、溶融亜鉛めっき皮膜の厚さを定電流電解法で測定を行う際に、溶融亜鉛めっき鋼板をアノードとし、対極と参照電極を用いて、1mol/dm〜飽和の塩化物水溶液中で定電流電解を行い、さらに使用する電解電流密度の範囲を限定することで、電位−時間曲線または電位変化率−時間曲線に変曲点を出現させ、合金層の厚さを算出することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
前記対極には、ステンレス、白金、炭素および亜鉛からなる群より選ばれた材料からなる電極を使用し、前記参照電極には、飽和甘コウ電極、銀/塩化銀電極および亜鉛電極からなる詳より選ばれた電極を使用する。
さらに、溶融亜鉛めっき鋼材をアノードとし、対極に亜鉛からなる電極を用いた、参照極のない2極式セル構造の場合でも、1mol/dm〜飽和の塩化物水溶液中で定電流電解を行い、さらに使用する電解電流密度の範囲を限定することで、電位−時間曲線または電位変化率−時間曲線に変曲点を出現させ、合金層の厚さを算出することが可能であることを見出した。
鋼材表面に形成されるめっき皮膜の組織は、鉄素地に近い方から順にδ1層、ζ層、η層で構成されている。本発明の目的は、溶融亜鉛めっき皮膜中の合金層の厚さを測定して、合金層の成長度合いを確認することであるため、δ1層、ζ層およびη層の各組織の厚さ測定を行うことで合金層の成長度合いを確認することができる。しかし、全組織の厚さを測定すると、管理する測定データ量が多くなり、煩雑となることから、η層(亜鉛層)の厚さおよびδ1層とζ層を合計した合金層の厚さ測定を行うことができれば合金層の成長度合いを確認することができる。
亜鉛層と合金層の厚みを測定するためには、前記電解電流密度を0.10〜0.22A/cmの範囲で定電流電解を行うことで測定することができる。電解電流密度が0.10〜0.22A/cmの範囲外の場合は、亜鉛層と合金層の厚みを測定することが困難となる。つまり、電解電流密度が0.10A/cm以下の場合は、合金層の溶解が不十分となるか、電解時間が長くなりすぎるため不適である。また、電解電流密度が0.22A/cmを超えるとアノード分極が大きくなり、電位−時間曲線および電位変化率−時間曲線の変曲点が不明瞭になる。
次に、定電流電解法で溶解が亜鉛層から合金層または合金層から鉄素地に移るときに電位−時間曲線または電位変化率−時間曲線に発生する変曲点に対応する時間と、その当該時間までに流れた電流値にファラデーの法則を適用して亜鉛層と合金層の厚みを算出する。すなわち、「数1」によって亜鉛層(η層)および合金層(δ1層とζ層)の厚みを算出することができる。
Figure 0005218964
なお、「数1」において、
T:層の厚さ(cm)
C:層の溶解に要した電気量(C)
M:平均モル質量(g/mol)
F:ファラデー定数=96485(C/mol)
A:溶解した試料面積(cm
ρ:溶解した合金の密度(g/cm
以下、第1の発明を実施例1〜5に基づいて説明する。
第1の発明の電解装置の概要図を図1に示す。図1において、1は電解装置、2は溶融亜鉛めっき鋼板、3は参照電極、4は対極、5は電解液、6は塩橋、7はガルバノスタット、8は測定部、9は測定用テープ、10はプラスチック円筒を示す。溶融亜鉛めっき鋼板2は、板厚2mmの溶融亜鉛めっき鋼板を用意した。
図1に示すように、溶融亜鉛めっき鋼板2の測定部8に、予め直径6mmの穴を空けた測定用テープ9を貼り、その上に内径20mm、底部に直径9mmの穴を空けたプラスチック円筒10を貼り付けた。電解液5は3mol/dmのNaCl水溶液10cmを用い、参照電極3はAg/AgCl(飽和KCl)電極、対極4は直径1mmのステンレス鋼線を用いた。
電解電流密度は0.10A/cm、0.18A/cm、0.22A/cm、0.35A/cmの4種類で測定を行った。電流はガルバノスタット7により制御した。電位の測定は、溶融亜鉛めっき鋼板2をアノードとして対極4との間に定電流を通じ、参照電極3のAg/AgCl(飽和KCl)電極に対する電位を測定した。
上記の測定を行った結果、表1に示すように、0.10〜0.22A/cmの電解電流密度の範囲内で、溶解が亜鉛層から合金層または合金層から鉄素地に移る際に、電位−時間曲線および電位変化率−時間曲線に変曲点が確認できた。電解電流密度が0.10A/cmより小さい場合は、合金層の溶解が不十分となるか、電解時間が長くなりすぎるため、これ以上電解電流密度を下げるのは好ましくない。また、電解電流密度が0.22A/cmを超えるとアノード分極が大きくなり、電位−時間曲線および電位変化率−時間曲線に変曲点が明瞭に現れなかった。
Figure 0005218964
図2に0.18A/cmの電解電流密度で定電流電解を行って得られた電位−時間曲線を示す。図に示すように、溶解時間が200秒と600秒で変曲点が確認できた。また、図3に示すように電位変化率−時間曲線で表すことで、図2の電位−時間曲線で表した場合よりも明瞭に溶解時間200秒と600秒で変曲点が確認できた。
0.18A/cmの電解電流密度で定電流電解を行った溶融亜鉛めっき鋼板2の溶解前、溶解時間200秒および溶解時間600秒での溶融亜鉛めっき鋼板2の断面を光学顕微鏡で観察した結果を図4〜6に示す。図中の(a)は明視野での観察、(b)は暗視野での観察結果を示す。図4に示す溶解前の溶融亜鉛めっき鋼板断面より、鉄素地に近い方から順にδ1層、ζ層およびη層が確認できた。図5に示す溶解時間200秒での溶融亜鉛めっき鋼板断面より、亜鉛層(η層)が溶解し、合金層(δ1層とζ層)が確認できた。図6に示す溶解時間600秒での溶融亜鉛めっき鋼板断面では、合金層(δ1層とζ層)が溶解し、鉄素地のみ確認できた。
0.18A/cmの電解電流密度で定電流電解を行った結果から前記「数1」を用いて、亜鉛層(η層)および合金層(δ1層とζ層)の厚みを算出する。「数1」におけるC、M、A、ρの値は下記の通りである。
亜鉛層(η層)の厚み算出
C=10(C)
M=65.4(g/mol)
A=0.283(cm
ρ=7.14(g/cm
これらの値と「数1」を用いて、亜鉛層(η層)の厚さを算出すると、T=17μmとなる。
合金層(δ1層とζ層)の厚み算出
C=20(C)
M=64.5(g/mol)
A=0.283(cm
ρ=7.20(g/cm
これらの値と「数1」を用いて、合金層(δ1層とζ層)の厚さを算出すると、T=33μmとなり、亜鉛層と合金層の厚みを足し合わせると、溶融亜鉛めっき皮膜の厚さT=50μmを求めることができる。
図7に0.35A/cmの電解電流密度で定電流電解を行って得られた電位−時間曲線を示す。図に示すように、電解電流密度が本発明の範囲である0.10〜0.22A/cmを超えると、溶解が亜鉛層から合金層へ移る時に現れる変曲点が確認できなかった。また、図8に示す電位変化率−時間曲線においても変曲点が確認できなかった。
これより、電解電流密度の範囲を0.10〜0.22A/cmとすることで、溶解が亜鉛層から合金層または合金層から鉄素地に移る際に、電位−時間曲線に変曲点が確認できることから、合金層の厚みを測定することができる。また、電位変化率−時間曲線で表すことで、より明瞭に変曲点を確認することができ、合金層の厚みを精度良く測定することができる。また、高濃度の塩化物水溶液を用いて、高電流密度で定電流電解を行うため、短時間で測定することができる。さらに、定電流電解法で測定を行うため、鋼材を切断する必要はない。
実施例1では、板厚2mmの溶融亜鉛めっき鋼板2を用いたが、板厚の変化による影響を確認するために、板厚3.2mmの溶融亜鉛めっき鋼板2を用いて定電流電解を行った。使用する電解装置1は実施例1と同様とし、電解電流密度は0.18A/cmで測定を行った。
図9に板厚3.2mmの溶融亜鉛めっき鋼板2で定電流電解を行って得られた電位−時間曲線を示す。図に示すように、溶解時間が360秒と730秒で変曲点が確認できた。電位−時間曲線の変曲点に対応する時間と、その当該時間までに流れた電流値にファラデーの法則を適用して亜鉛層と合金層の厚みを算出する。
図9の結果から「数1」を用いて、亜鉛層(η層)および合金層(δ1層とζ層)の厚みを算出する。「数1」におけるC、M、A、ρの値は下記の通りである。
亜鉛層(η層)の厚み算出
C=18(C)
M=65.4(g/mol)
A=0.283(cm
ρ=7.14(g/cm
これらの値と「数1」を用いて、亜鉛層(η層)の厚さを算出すると、T=30μmとなる。
合金層(δ1層とζ層)の厚み算出
C=18.5(C)
M=64.5(g/mol)
A=0.283(cm
ρ=7.20(g/cm
これらの値と「数1」を用いて、合金層(δ1層とζ層)の厚さを算出すると、T=30μmとなり、亜鉛層と合金層の厚みを足し合わせると、溶融亜鉛めっき皮膜の厚さT=60μmを求めることができる。膜厚計により本実施例で使用した板厚3.2mmの溶融亜鉛めっき鋼板2のめっき皮膜厚さ測定した結果57μmとなり、本実施例の定電流電解法で測定を行った結果とほぼ一致する結果となった。これより、板厚が変化しても、合金層の厚みを精度良く、測定できることが分った。
実施例1および実施例2では、電解液5に3mol/dmのNaCl水溶液を用いたが、電解液の変化による影響を確認するために、電解液5に飽和KCl水溶液を用いて定電流電解を行った。使用する電解装置1は、電解液5以外は実施例1と同様とし、電解電流密度は0.18A/cmで測定を行った。
図10に板厚3.2mmの溶融亜鉛めっき鋼板2で定電流電解を行って得られた電位−時間曲線を示す。図に示すように、溶解時間が360秒と730秒で変曲点が確認できた。また、図11に示すように電位変化率−時間曲線で表すことで、図10の電位−時間曲線で表した場合よりも明瞭に溶解時間が360秒と730秒で変曲点が確認できた。溶解が亜鉛層から合金層または合金層から鉄素地に移る際に、電位−時間曲線および電位変化率−時間曲線に変曲点が確認できることから、合金層の厚みを精度良く測定することができる。
次に、電解液5に飽和NHCl水溶液を用いて定電流電解を行った。使用する電解装置1は、電解液5以外は実施例1と同様とし、電解電流密度は0.18A/cmで測定を行った。
図12に板厚3.2mmの溶融亜鉛めっき鋼板2で定電流電解を行って得られた電位−時間曲線を示す。図に示すように、溶解時間が330秒と730秒で変曲点が確認できた。また、図13に示すように電位変化率−時間曲線で表すことで、図12の電位−時間曲線で表した場合よりも明瞭に溶解時間が330秒と730秒で変曲点が確認できた。溶解が亜鉛層から合金層または合金層から鉄素地に移る際に、電位−時間曲線および電位変化率−時間曲線に変曲点が確認できることから、合金層の厚みを精度良く測定することができる。これより、電解液5に塩化物水溶液を使用することで、溶融亜鉛めっき皮膜中の亜鉛層と合金層の厚さを測定できることが分った。
実施例1〜3では、電解液5の濃度を本発明の塩化物水溶液の濃度範囲である1mol/dm〜飽和の範囲内の電解液5を用いたが、電解液5の濃度の変化による影響を確認するために、電解液5に0.86mol/dmのKCl水溶液を用いて定電流電解を行った。使用する電解装置1は、電解液5以外は実施例1と同様とし、電解電流密度は0.18A/cmで測定を行った。
板厚3.2mmの溶融亜鉛めっき鋼板2で定電流電解を行って得られた電位−時間曲線を図14、電位変化率−時間曲線を図15に示す。図14および図15に示すように、電解液5に0.86mol/dmのKCl水溶液を用いた場合、溶解が亜鉛層から合金層へ移る時に現れる変曲点が確認できなかった。これより、塩化物水溶液の濃度範囲は1mol/dm〜飽和の範囲内で使用することで、溶融亜鉛めっき皮膜中の亜鉛層と合金層の厚さを測定することができる。
次に添加剤による影響を確認するために、電解液5に硫酸ナトリウム(0.05mol/dm NaSO)を添加して定電流電解を行った。使用する電解装置1は実施例1と同様とした。電解液5は飽和KCl水溶液とし、電解電流密度は0.18A/cmで測定を行った。
図16に板厚3.2mmの溶融亜鉛めっき鋼板2で定電流電解を行って得られた電位−時間曲線を示す。図に示すように、溶解が亜鉛層から合金層、合金層から鉄素地に移る際に、変曲点が確認できた。また、図17に示すように電位変化率−時間曲線で表すことで、図16の電位−時間曲線で表した場合よりも明瞭に変曲点が確認できた。
また、電解液5に1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(70ppm HEDP)を添加して定電流電解を行った。使用する電解装置1は実施例1と同様とした。電解液5は飽和KCl水溶液とし、電解電流密度は0.18A/cmで測定を行った。
図18に板厚3.2mmの溶融亜鉛めっき鋼板2で定電流電解を行って得られた電位−時間曲線を示す。図に示すように、溶解が亜鉛層から合金層、合金層から鉄素地に移る際に、変曲点が確認できた。また、図19に示すように電位変化率−時間曲線で表すことで、図18の電位−時間曲線で表した場合よりも明瞭に変曲点が確認できた。
次に、電解液5にポリエチレングリコール(0.5mol/dm PEG200)を添加して定電流電解を行った。使用する電解装置1は実施例1と同様とした。電解液5は飽和KCl水溶液とし、電解電流密度は0.18A/cmで測定を行った。
図20に板厚3.2mmの溶融亜鉛めっき鋼板2で定電流電解を行って得られた電位−時間曲線を示す。図に示すように、溶解が亜鉛層から合金層、合金層から鉄素地に移る際に、変曲点が確認できた。また、図21に示すように電位変化率−時間曲線で表すことで、図20の電位−時間曲線で表した場合よりも明瞭に変曲点が確認できた。
図17、図19、図21に示すように、添加剤を加えることで、図11に示す添加剤なしの場合と比べて、電位変化率−時間曲線の変曲点がより明瞭に現れることが分った。これより、本発明の定電流電解法では、電解液5に添加剤を加えることで、明瞭な変曲点を得ることができ、溶融亜鉛めっき皮膜中の亜鉛層と合金層の厚さを測定することができる。
以下、第2の発明を実施例6〜7に基づいて説明する。
第2の発明の電解装置の概要図を図22に示す。図22において、11は電解装置、12は溶融亜鉛めっき鋼板、13は対極、14は電解液、15はガルバノスタット、16は測定部、17は測定用テープ、18はプラスチック円筒を示す。溶融亜鉛めっき鋼板12は、板厚3.2mmの溶融亜鉛めっき鋼板を用意した。
図22に示すように、溶融亜鉛めっき鋼板12の測定部16に、予め直径6mmの穴を空けた測定用テープ17を貼り、その上に内径20mm、底部に直径9mmの穴を空けたプラスチック円筒18を貼り付けた。電解液14は飽和KCl水溶液とし、対極13には亜鉛棒を用い、対極13が参照電極を兼ねることで参照電極のない2極式セル構造とした。電解電流密度は0.18A/cmの電解電流密度で測定を行った。電流はガルバノスタット15により制御した。
図23に板厚3.2mmの溶融亜鉛めっき鋼板12で定電流電解を行って得られた電位−時間曲線を示す。図に示すように、2極式セル構造の場合においても、溶解が亜鉛層から合金層、合金層から鉄素地に移る際に変曲点が確認できるが、明瞭な変曲点は得られなかった。しかし、図24に示すように電位変化率−時間曲線で表すと、変曲点が明瞭に確認できる。
これより、対極13が参照電極を兼ねた2極式セル構造の場合でも、溶融亜鉛めっき皮膜中の亜鉛層と合金層の厚さを測定することができる。また、2極式セル構造であるため、非常に簡単な構成とすることができる。さらに、高濃度の塩化物水溶液を用いて、高電流密度で定電流電解を行うため、短時間で測定することができ、定電流電解法で測定を行うため、鋼材を切断する必要はない。
次に実施例6の2極式セル構造を用いた場合において、添加剤による影響を確認するために、電解液14に硫酸ナトリウム(0.05mol/dm NaSO)を添加して定電流電解を行った。使用する電解装置11は実施例6と同様とした。電解液14は飽和KCl水溶液とし、電解電流密度は0.18A/cmで測定を行った。
図25に板厚3.2mmの溶融亜鉛めっき鋼板12で定電流電解を行って得られた電位−時間曲線を示す。図に示すように、溶解が亜鉛層から合金層、合金層から鉄素地に移る際に、変曲点が確認できるが、明瞭な変曲点は得られなかった。しかし、図26に示すように電位変化率−時間曲線で表すことで、図25の電位−時間曲線で表した場合よりも明瞭に変曲点が確認できる。
図26に示すように、添加剤を加えることで、図24に示す添加剤なしの場合と比べて、電位変化率−時間曲線の変曲点がより明瞭に現れることが分った。これより、対極13が参照電極を兼ねた2極式セル構造の場合において、添加剤を添加することで、添加剤を加えない場合よりも明瞭な変曲点を得ることができ、溶融亜鉛めっき皮膜中の亜鉛層と合金層の厚さを測定することができる。
第1の発明の電解装置の概要図 電解電流密度0.18A/cmでの電位−時間曲線(板厚2mm) 電解電流密度0.18A/cmでの電位変化率−時間曲線(板厚2mm) 溶解前の溶融亜鉛めっき鋼板断面の電子顕微鏡写真 溶解時間200秒での溶融亜鉛めっき鋼板断面の電子顕微鏡写真 溶解時間600秒での溶融亜鉛めっき鋼板断面の電子顕微鏡写真 電解電流密度0.35A/cmでの電位−時間曲線(板厚2mm) 電解電流密度0.35A/cmでの電位変化率−時間曲線(板厚2mm) 電解電流密度0.18A/cmでの電位−時間曲線(板厚3.2mm) 電解液に飽和KCl水溶液を用いた場合の電位−時間曲線(板厚3.2mm) 電解液に飽和KCl水溶液を用いた場合の電位変化率−時間曲線(板厚3.2mm) 電解液に飽和NHCl水溶液を用いた場合の電位−時間曲線(板厚3.2mm) 電解液に飽和NHCl水溶液を用いた場合の電位変化率−時間曲線(板厚3.2mm) 電解液に0.86mol/dmのKCl水溶液を用いた場合の電位−時間曲線(板厚3.2mm) 電解液に0.86mol/dmのKCl水溶液を用いた場合の電位変化率−時間曲線(板厚3.2mm) 硫酸ナトリウムを添加した場合の電位−時間曲線(板厚3.2mm) 硫酸ナトリウムを添加した場合の電位変化率−時間曲線(板厚3.2mm) 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸を添加した場合の電位−時間曲線(板厚3.2mm) 1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸を添加した場合の電位変化率−時間曲線(板厚3.2mm) ポリエチレングリコールを添加した場合の電位−時間曲線(板厚3.2mm) ポリエチレングリコールを添加した場合の電位変化率−時間曲線(板厚3.2mm) 第2の発明の電解装置の概要図 2極式セル構造で定電流電解した場合の電位−時間曲線(板厚3.2mm) 2極式セル構造で定電流電解した場合の電位変化率−時間曲線(板厚3.2mm) 硫酸ナトリウムを添加した場合の電位−時間曲線(板厚3.2mm) 硫酸ナトリウムを添加した場合の電位変化率−時間曲線(板厚3.2mm)
1 電解装置
2 溶融亜鉛めっき鋼板
3 参照電極
4 対極
5 電解液
6 塩橋
7 ガルバノスタット
8 測定部
9 測定用テープ
10 プラスチック円筒
11 電解装置
12 溶融亜鉛めっき鋼板
13 対極
14 電解液
15 ガルバノスタット
16 測定部
17 測定用テープ
18 プラスチック円筒

Claims (2)

  1. 溶融亜鉛めっき鋼材をアノードとし、対極にはステンレス、白金、炭素および亜鉛からなる群より選ばれた材料からなる電極を用い、参照電極には飽和甘コウ電極、銀/塩化銀電極および亜鉛電極からなる群より選ばれた電極を用いて、1mol/dm〜飽和の塩化物水溶液に硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコールおよび1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)からなる群のうちの1種を添加した水溶液中で0.10〜0.22A/cmの電解電流密度の範囲内で定電流電解を行い、めっき皮膜の溶解に要した電気量に基づいて溶融亜鉛めっき皮膜中の亜鉛層と合金層の厚さを測定することを特徴とするめっき厚さ測定方法。
  2. 溶融亜鉛めっき鋼材をアノードとし、対極に亜鉛からなる電極を用いて、1mol/dm〜飽和の塩化物水溶液に硫酸ナトリウムを添加した水溶液中で0.10〜0.22A/cmの電解電流密度の範囲内で定電流電解を行い、めっき皮膜の溶解に要した電気量に基づいて溶融亜鉛めっき皮膜中の亜鉛層と合金層の厚さを測定することを特徴とするめっき厚さ測定方法。
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