JP5218208B2 - 溶鋼の保温方法 - Google Patents

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本発明は、取鍋で溶鋼の精錬を行った後、この取鍋を連続鋳造機に搬送し、取鍋内の溶鋼をタンディッシュを経由してモールドに供給する連続鋳造を行うに際して、モールドに供給する溶鋼の温度変化(放散熱量の増加代)を小さくするための取鍋内の溶鋼の保温方法に関する。
従来、溶鋼を、取鍋からタンディッシュを介してモールドに供給し、鋳片を製造する連続鋳造が行われているが、鋳造中にモールド内の溶鋼温度が変動している。
ここで、モールド内の溶鋼温度が高い場合は、モールドにおける凝固層の発達が不十分となり、溶鋼が凝固層を破って流出するブレークアウトを起こす可能性があるため、その回避策として鋳造速度を下げざるを得ず、鋳片の生産性が低下する。一方、モールド内の溶鋼温度が低い場合は、浸漬ノズル部で溶鋼が凝固してノズルが閉塞したり、またモールドのメニスカス位置でデッケル(金属塊)が生成する等の不具合が発生し、鋳造中止になる可能性がある。
従って、鋳造中は、モールド内の溶鋼温度の変動を小さくすることが望ましい。
そこで、溶鋼温度の変動を小さくする方法として、鋳造中の溶鋼温度の低下防止を目的とする以下の方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、溶融金属の表面に保温材を添加する方法が開示されている。具体的には、取鍋の保温のため、溶鋼1トンあたり0.3kgの保温材を投入する方法が記載されている。
また、特許文献2には、タンディッシュ内の溶鋼表面に保温材を添加する方法が開示されている。具体的には、タンディッシュ内の溶鋼湯面に、保温材を2.0kg/m以上投入することが記載されている。
以上の方法により、溶鋼表面からの熱損失を抑えている。
特開平10−296404号公報 特開2001−321904号公報
しかしながら、前記従来の方法には、未だ解決すべき以下のような問題があった。
タンディッシュの耐火物が十分に温まっていない鋳造開始時等の鋳造初期は、溶鋼がタンディッシュを通過する間に熱を奪われるため、モールドには低温の溶鋼が供給される。
また、取鍋内の溶鋼は、取鍋の耐火物に接した部分と浴面から冷却されるが、温度が下がった溶鋼は、密度が上がるため周囲の溶鋼に比べて重くなり、取鍋の下方へ移動する。このため、取鍋内の鍋底付近に位置する溶鋼が低温となり、また浴面付近に位置する溶鋼が高温となって、取鍋の深さ方向に溶鋼の温度分布ができる。従って、鍋底から排出される溶鋼の温度は、鋳造初期に低くなり、この溶鋼が排出された後に一旦上昇するが、溶鋼は熱を放散し続けているため、再度、低下する。
以上のことから、モールド内の溶鋼温度のばらつきを低減するには、タンディッシュの耐火物が十分に温まっていない状態において、取鍋の耐火物の吸熱と溶鋼の浴面からの放熱を適切な範囲に制御する必要がある。
このため、特許文献1の方法では、溶鋼そのものの保温はできるが、保温材の投入量が少なくなり過ぎ、取鍋の耐火物の吸熱と溶鋼の浴面からの放熱を適切な範囲に制御できていないことから、モールド内の溶鋼温度のばらつきを低減できない。
また、特許文献2の方法は、得られる効果が鋳片品質の向上であり、鋳造中の溶鋼温度のばらつきを低減する効果がない。また、この特許文献2には、保温材の投入量の上限が100kg/mであることが記載されているが、保温材をタンディッシュ内に100kg/m近くも投入すると、保温材の投入量が多くなり過ぎて溶鋼の対流による熱拡散効果が少なくなり、タンディッシュの底付近に低温の溶鋼が移動して、溶鋼温度のばらつきを助長する。更に、特許文献2の方法では、タンディッシュ内の溶鋼に保温材を投入しているが、タンディッシュは、上方からロングノズルを介して溶鋼を受け、この溶鋼を下方に配置されたモールドへ浸漬ノズルを介して供給するため、タンディッシュの底に低温の溶鋼が溜まるという現象がなく、取鍋内の溶鋼とは、その深さ方向の温度分布が異なる。
このような従来技術の課題に対し、本発明者らは、先に出願した特願2008−95090で、二次精錬終了後の鍋内溶鋼の浴面からの放散熱量が、所定の範囲(比較的多めの範囲)となるように保温材を設定する方法を提案した。これにより、溶鋼浴面近傍の溶鋼温度を鍋底部の溶鋼温度よりも比較的高めに設定でき、その結果、取鍋からモールドに注入する溶鋼の温度変動、即ち溶鋼の時系列の温度ばらつきを抑制できた。
このように、上記した技術は、溶鋼の時系列の温度ばらつきの抑制には一定の効果がある。しかし、溶鋼を貯蔵した取鍋を搬送する間(二次精錬終了後から連続鋳造を開始するまでの間)では、保温材の劣化に伴って断熱性が悪くなり、放散熱量の増加代(上昇率)が大幅に高くなる場合があるため、この点について改善できる課題があることが判った。
なお、取鍋を搬送する間に、保温材を追加投入することも考えられるが、取鍋への保温材の投入は、一般に、二次精錬装置と連続鋳造機が設置された場所以外では困難である。従って、保温材の劣化に伴う断熱性の低下を、二次精錬終了後から連続鋳造開始までの間は、抑制する必要がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、保温材の劣化に伴う放散熱量の増加代を抑制し、連続鋳造の更なる安定操業を可能にする溶鋼の保温方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る溶鋼の保温方法は、二次精錬終了後の溶鋼を、取鍋で連続鋳造機に搬送して連続鋳造するに際し、前記取鍋内の溶鋼の浴面にスラグと保温材を順次配置する溶鋼の保温方法において、
前記スラグの厚みを25mm以上70mm以下にし、前記二次精錬終了後から連続鋳造開始までの時間を40分以上150分以下とし、前記保温材を前記取鍋内の溶鋼の浴面1m あたり8kg以上14kg以下配置する。
発明に係る溶鋼の保温方法において、前記保温材は炭素分を30質量%以上60質量%以下含むことが好ましい。
本発明に係る溶鋼の保温方法において、前記保温材はペーパースラッジであることが好ましい。
本発明に係る溶鋼の保温方法は、溶鋼の浴面に配置するスラグの厚みを25mm以上70mm以下にし、二次精錬終了後から連続鋳造開始までの時間を40分以上150分以下にするので、保温材の劣化に伴う放散熱量の増加代を抑制でき、連続鋳造の更なる安定操業が可能になる。
また、保温材を取鍋内の溶鋼の浴面1mあたりkg以上14kg以下配置することにより、溶鋼の浴面からの放熱を調整して、溶鋼の浴面近傍の溶鋼温度を、取鍋底部の溶鋼温度よりも、比較的高めに設定できる。これにより、保温材の劣化に伴う放散熱量の増加代を抑制できる効果に加え、取鍋よりモールドに注入する溶鋼の時系列の温度ばらつきを抑制できる効果も得られる。
そして、保温材が炭素分を30質量%以上60質量%以下含む場合、炭素分の酸化発熱により、放散される熱ロスを補うことができ、保温材の劣化に伴う放散熱量の増加代を抑制できる。
二次精錬終了後の経過時間と放散熱量の増加代との関係を示す説明図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
まず、本発明の一実施の形態に係る溶鋼の保温方法を想到するに至った経緯について説明した後、溶鋼の保温方法について説明する。
溶鋼の浴面を覆う保温材としては、ヤキモミ、チャーライト、バーミキュライト等が知られており、これらの断熱性は、主として粒子間に形成される空隙により担保される。なお、ヤキモミとは、例えば、焼きもみがら(粉状)、又は焼きもみがらの造粒物(粒状)である。また、チャーライトとバーミキュライトは粒状のものである。
しかし、このような保温材を溶鋼へ投入した場合、保温材にヤキモミを使用すれば炭化して空隙が減少し、また保温材にチャーライトやバーミキュライトを使用すれば溶融して空隙が減少するため、断熱性が低下する。
上記した保温材の経時劣化を抑制する手段として、本発明者らは、溶鋼の浴面にあるスラグを利用することに想到した。このスラグは、そのほとんどが溶融しているため、上記した保温材に比べて断熱性が悪いが、経時劣化しない利点がある。
そこで、本発明者らは、二次精錬直後において、溶鋼の浴面にスラグと保温材を順次存在させ、二次精錬直後の放散熱量と連続鋳造開始時の放散熱量を解析し比較検討した。この結果を、図1に示す。
なお、この解析は、二次精錬直後の放散熱量を一定とし、スラグの厚みを変化させることで行った。従って、スラグの厚みを厚くする場合は、保温材の厚みを薄く設定し、またスラグの厚みを薄くする場合は、保温材の厚みを厚く設定している。
ここで、図1の解析方法の具体的な内容について説明する。
まず、溶鋼の浴面の放散熱量の計算について説明する。
この計算は、溶鋼浴面に配置したスラグと保温材を、所定の厚さの要素に分割し、この厚さ方向に非定常の差分一次元伝熱計算を行い、溶鋼からスラグに伝わる熱流束を求めることで行った。
次に、保温材が経時劣化する現象の定量化について説明する。
ここでは、誘導加熱炉に60kgの溶鋼を入れて1600℃まで加熱した後、加熱を止めて溶鋼上に所定量の保温材を投入し、溶鋼の温度降下量と保温材の温度推移を測定した。なお、同様の実験を、保温材の種々の投入量について行い、保温材の熱伝導率を、温度と時間の関数として定式化し、上記した浴面の放散熱量の計算の保温材部分の一次元の差分伝熱計算に用いた。
最後に、取鍋内の溶鋼の温度分布の計算について説明する。
内径:4m、深さ:4mの一般的な取鍋(溶鋼鍋)を使用し、この取鍋の耐火物の表面温度を900℃に設定して、1600℃の溶鋼を350トン受け入れる条件下で、溶鋼及び取鍋耐火物について、以下の手順に従い流体解析を行った。
1)出鋼から二次精錬終了(二次精錬完了)までは、取鍋内の溶鋼温度を均一として計算した(二次精錬では、通常取鍋底面からバブリングを行って溶鋼を撹拌するため)。
2)二次精錬終了後から連続鋳造開始までは、取鍋内で生じる溶鋼の熱対流を考慮して計算した。なお、溶鋼の浴面からの放散熱は、上記した溶鋼の浴面の放散熱量の計算に記載の非定常の伝熱計算結果を反映させた。
3)二次精錬終了直後に保温材を投入した際の浴面放散熱量を基準とし、所定の時間経過後(経過時間)の放散熱量が上記した基準の浴面放散熱量に比べて増加した量を、この基準の浴面放散熱量で除した値を放散熱の増加代とした。そして、基準となる浴面放散熱量については、放散熱量の増加代をゼロとし、図1に示した。
図1から、二次精錬終了からの経過時間(以下、単に経過時間ともいう)が40分で、放散熱量の増加代を100%程度に抑制するには、スラグ厚さが10mm以上必要であることが判った。ここで、放散熱量の増加代を、二次精錬終了からの経過時間40分で評価したのは、二次精錬が終了した取鍋に貯蔵された溶鋼を、連続鋳造機に搬送するのに要する時間の最短時間が、40分であることによる。
従って、スラグの厚みを10mm(好ましくは、20mm、更には30mm)以上確保できれば、経過時間40分の条件では、放散熱量の増加代を100%以下に抑制できる。
しかし、スラグ厚さを80mmまで厚くした場合、保温材の厚さは20mmと比較的薄くなり、しかもスラグ層の上側35mmが凝固する結果が得られた。
実機における観察では、スラグの凝固層の厚みが35mm程度で、取鍋の搬送時に凝固層が割砕した場合、溶鋼やスラグの溶融層が大気に露出することが観察される場合がある。
このとき、保温材の厚さが20mm程度では、露出した部分を覆うことが困難であると予想される。また、上記した露出は、溶鋼やスラグの溶融層から大気へ極めて大きな熱の放散を招くため、放散熱量の増加代が極めて大きくなり、放散熱量の増加代の安定的な抑制を阻害することが考えられた。
以上の検討結果から、スラグや保温材の層さ、更にはこれらで決定されるスラグの凝固層の厚さから勘案すると、スラグ厚さは70mm(好ましくは、60mm、更には50mm)以下が適切であると考えられた。
また、溶鋼の温度は、時間の経過と共に下がるため、二次精錬終了後から連続鋳造開始までの時間が150分を経過すると、温度降下が著しくなる(40℃低下)。また、経過時間を150分以上にすることは、操業上ほとんどないことから、経過時間の上限値は150分(好ましくは100分、更には80分)が適切である。
以上のことから、二次精錬から連続鋳造開始までの間の放散熱量の増加代を、安定的に100%以下に抑制するためには、スラグの厚みを10mm以上70mm以下にし、二次精錬終了後から連続鋳造開始までの時間を40分以上150分以下にする必要があることが判明した。ここで、スラグの厚みを25mm以上にした場合には、二次精錬終了後から連続鋳造開始までの時間が40分以上150分以下の範囲で、放散熱量の増加代を常に100%以下にできる。
なお、連続鋳造機に取鍋を設置して連続鋳造を開始すれば、必要に応じて保温材を追加投入できるため、連続鋳造開始後の放散熱量は、必要な範囲に制御できる。
続いて、以上の結果から想到した本発明の一実施の形態に係る溶鋼の保温方法について説明する。
まず、二次精錬(例えば、真空脱ガス装置による精錬)が終了した直後に、取鍋内の溶鋼の浴面(表面)に、厚み10mm以上70mm以下のスラグと、保温材とを、順次配置する。そして、溶鋼を取鍋で連続鋳造機に搬送するに際し、二次精錬終了後から連続鋳造開始までの時間(以下、経過時間ともいう)を40分以上150分以下にして、連続鋳造する。なお、スラグは、二次精錬終了後に残存するスラグのみで構成してもよく、また新たに酸化物(例えば、生石灰等)を添加して構成してもよい。これにより、スラグの厚みを調整できる。
このとき、スラグは溶鋼の浴面全体を覆い、また保温材はスラグの表面全体を覆う。なお、浴面を覆ったスラグと、このスラグの表面を覆った保温材の各厚みは、全体に渡って均一の厚みであることが好ましいが、均一でなくてもよい。この浴面を覆ったスラグの厚みが不均一の場合は、前記したスラグの厚みは平均厚みになる。
ここで、保温材の投入量は、取鍋内の溶鋼の浴面1mあたり4kg以上20kg以下(以下、4kg/m以上20kg/m以下ともいう)配置することが好ましい。
保温材の投入量が4kg/m未満の場合、保温材の厚みは平均30mmと比較的薄くなるが、人の手で保温材を散布する場合、薄く均一に配置することは難しい(機械でも同様)。このため、保温材の厚さにむらが生じ、局所的に放散が大きくなることを防ぐためには、保温材を4kg/m以上投入することが望ましい。
一方、保温材の投入量が20kg/mを超える場合、保温材の厚さが150mm以上になり、取鍋の輸送中に溶鋼が揺れた際に、取鍋の縁から保温材が溢れることになる。
以上のことから、保温材の投入量を、4kg/m以上20kg/m以下とした。
なお、スラグの厚さを一定として、保温材の投入量を変化させると、二次精錬後に保温材を投入した直後の浴面放散熱量の絶対値の大小に影響を及ぼしたり、また放散熱量の増加代の単位経過時間あたりの増加率(即ち、図1に示す各線の傾きの勾配に相当)にも多少影響を及ぼす。
本発明者らの知見では、スラグの厚さ一定とし、保温材の投入量を変化させた場合、放散熱量の増加代の単位経過時間あたりの増加率変化は比較的小さく、保温材の投入後の放散熱量の絶対値の変化は大きいものであった。
このため、本発明者らは、先に出願した特願2008−95090において、浴面の放散熱量を10〜40kW/mとすることで、連続鋳造用鋳型に注入する溶鋼温度ばらつきが顕著に改善することを記載した。
このように、浴面の放散熱量を10〜40kW/m、あるいはこの数値範囲に近づけることで、取鍋内の深さ方向に好ましい溶鋼温度偏差(温度分布)を設定でき、モールド(鋳型)に注入する溶鋼の時系列の温度ばらつきを低減できるが、これには二次精錬終了後の保温材の投入量を所定の量範囲に設定することが必要である。
スラグの厚さが10mm以上70mm以下の前提で、経過時間を40分以上150分以下の範囲内にすることで、保温材の投入量範囲を前記した4kg/m以上20kg/m以下にすれば、溶鋼の浴面からの放散熱量を10〜40kW/mに収めることが可能、あるいはこの範囲から外れる時間帯を最大でも経過時間の1/3以下に抑制することができる。このため、モールドに注入する溶鋼の時系列の温度ばらつきの低減に有効である。
これにより、保温材の劣化に伴う放散熱量の増加代を抑制できる効果に加え、取鍋よりモールドに注入する溶鋼の時系列の温度ばらつきを抑制できる効果も得られる。
なお、スラグの厚さが20mm以上70mm以下の範囲においては、保温材の投入量が8kg/m以上14kg/m以下であれば、二次精錬終了後からの経過時間が40分以上150分以下の範囲で、浴面放散熱量を常に10〜40kW/mに収めることが可能である。
また、保温材には、例えば、ヤキモミ、チャーライト、バーミキュライト等を使用できるが、炭素分を含有する保温材、例えば、もみがらや乾燥したペーパースラッジ(紙をリサイクルするときに入っているスラグ)等を使用することが好ましい。ここで、保温材にペーパースラッジを使用する場合は、通常は廃棄処分されるものをリサイクルできる。
保温材を取鍋へ投入した後は、保温材の粒子間の空隙が、炭化や溶融により消滅していくが、炭素分を含有する保温材は、炭化後も含有する炭素の酸化発熱により放散熱量による溶鋼の熱ロスを補うことができる。
そこで、本発明者らは、ラボ実験で、溶鋼の浴面側に保温材を配置し、温度降下を調査した。なお、ラボ実験は、誘導加熱炉に60kgの溶鋼を入れ、1600℃まで加熱した後、加熱を止めて溶鋼上に所定の量の保温材を投入し、溶鋼温度の降下量と保温材の温度推移を測定して行った。この誘導加熱炉での加熱を止めた後は、誘導加熱炉内の放冷である。
その結果、スラグの厚さ20mm、保温材の投入量が9kg/mという条件下で、40分経過後の溶鋼温度の降下率の増加代を比較したところ、バーミキュライトでは70%、モミガラ(炭素分:50質量%)では58%であった。
つまり、含有する炭素量が多ければ、温度降下の増加を抑えることができることを確認できた。
これに基づいて、炭素分の影響について検討したところ、炭素分が30質量%程度であれば、溶鋼温度の降下率の増加代が10%程度小さくなり、放散熱量の増加代の顕著な減少効果が見込める。一方、もみがら中の炭素分は50〜60質量%であり、もみがらの使用で溶鋼成分の炭素濃度の顕著な上昇という問題が無いことから、上限を60質量%とした。
以上のことから、保温材の炭素分を、30質量%以上60質量%以下としたが、下限を35質量%、更には40質量%とすることが好ましい。
このように、溶鋼の浴面に保温材を配置した取鍋を、前記した時間範囲内で連続鋳造機のタンディッシュまで搬送して連続鋳造を行うことにより、保温材の劣化に伴う放散熱量の増加代を抑制することができ、連続鋳造の安定操業が可能になる。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の溶鋼の保温方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。

Claims (3)

  1. 二次精錬終了後の溶鋼を、取鍋で連続鋳造機に搬送して連続鋳造するに際し、前記取鍋内の溶鋼の浴面にスラグと保温材を順次配置する溶鋼の保温方法において、
    前記スラグの厚みを25mm以上70mm以下にし、前記二次精錬終了後から連続鋳造開始までの時間を40分以上150分以下とし、前記保温材を前記取鍋内の溶鋼の浴面1m あたり8kg以上14kg以下配置することを特徴とする溶鋼の保温方法。
  2. 請求項1記載の溶鋼の保温方法において、前記保温材は炭素分を30質量%以上60質量%以下含むことを特徴とする溶鋼の保温方法。
  3. 請求項1又は2記載の溶鋼の保温方法において、前記保温材はペーパースラッジであることを特徴とする溶鋼の保温方法。
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