JP5217827B2 - プロテクタおよびその製造方法 - Google Patents
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例えば、特開平8−251756号公報(特許文献1)には、図8に示すように、上面が開口されたプロテクタ本体2と上面を開閉する蓋材3とからなるプロテクタ1が示されており、プロテクタ本体2の側壁には車体固定部4が外方に突出するように一体的に成形されている。このような構造を有するプロテクタ1は一般に射出成形により形成されており、前記車体固定部4のように大きな負荷に耐えうる強度が求められる部分も、射出成形によれば所要の厚さや形状に精度よく成形することができるため、必要な強度を保持させることが可能となる。
しかし、射出成形によるプロテクタの形成は、金型費用が高く、射出成形機の構造も複雑であるため、プロテクタの製造コストが増大するという問題がある。
断面凹形状のプロテクタ本体と、該プロテクタ本体の上面開口に取り付ける蓋材とを、夫々樹脂板を真空成形または圧空成形して形成しており、
前記プロテクタ本体の側壁外面に車体固定部を一体的に突設し、該車体固定部に射出成形品からなる別部材の締付板を取り付け、該締付板の肉厚はプロテクタ本体の肉厚より大であり、該締付板に前記車体の係止孔に挿入係止するクランプを予め突設し、該クランプを除く締付板の表面に前記樹脂板が被覆されていると共に、該締付板の外周面に設けた溝に前記樹脂板が嵌合しているプロテクタからなる。
なお、前記締付板を形成する樹脂材料としては、例えば、ポリプロピレン、ナイロン等を用いることが好ましい。
厚さ1mm〜3mmのポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートから選択される樹脂板を用いると共に、予め射出成形した前記締付板を用い、
プロテクタ本体成形用の金型の車体固定部形成部に前記締付板をセットし、
前記樹脂板を加熱して軟化させ、プロテクタ本体成形用の金型の表面に前記軟化させた樹脂板を被せ、該状態で樹脂板に真空または圧空を負荷して前記金型および前記締付板に沿わせ、前記締付板をインサート成形した状態で前記プロテクタ本体を形成していることを特徴とするプロテクタの製造方法を提供している。
また、前記のように加熱、軟化させた樹脂板に、圧力が98KPa〜490KPa程度の圧縮空気を上方から吹き付けて前記金型および締付板に樹脂板を密着させることによっても、プロテクタ本体を形成することができる(圧空成形)。
なお、樹脂板の加熱温度としては樹脂板の熱変形温度以上が好ましく、樹脂板の材質がポリプロピレンの場合には、加熱温度を100〜130℃程度とすることが好ましい。
また、プロテクタの蓋材もプロテクタ本体と同様、真空または圧空を負荷して形成することが好ましい。
また、前記のように、車体固定部に射出成形品からなる別部材の締付板を固着することによって車体固定部をしっかりと補強することができ、前記締付板が固着された車体固定部に大きな負荷が加わっても、車体固定部が損傷することなくワイヤハーネスを挿通したプロテクタを車体に安定保持することが可能となる。
図1乃至図7は本実施形態を示す。
図1は、車両に配索されるワイヤハーネスW/Hを挿通した状態で車体30に固定されるプロテクタ10を示しており、断面凹形状のプロテクタ本体11と、プロテクタ本体11の上面開口に取り付ける蓋材12とからプロテクタ10を構成している。
なお、図2は、図1のプロテクタ本体11を裏返した状態を示している。
締付板15、16のうち、一方の締付板15には、車体30の係止穴(図示せず)に挿入係止するクランプ15aを予め突設している一方、他方の締付板16には、車体30に締結するボルトBを通すボルト孔16aを予め設けている。
また、締付板15、16の肉厚はプロテクタ本体11の肉厚より大としており、本実施形態においては、締付板15、16の肉厚をプロテクタ本体11の最大厚さ部分の200%程度としている。
さらに、締付板15、16の外周面には、車体固定部13、14を形成する樹脂板17が嵌合できる溝15b、16bを連続して設けている(図3、図5参照)。
図3は、プロテクタ本体成形用の金型(雄型)18の車体固定部形成部18a、18bに締付板15、16をそれぞれセットした状態を示している。また、図4は、前記締付板15、16をセットした金型18を用いて、プロテクタ本体11の真空成形を行う工程を模式的な断面図で示している。
続いて、金型18に設けた複数の吸引孔20から空気を吸引して真空状態にし、樹脂板17を金型18に密着させて成形する[図4(C)]。この際、金型18の車体固定部形成部18a、18bにセットした締付板15、16の表面にも樹脂板17が密着すると共に、締付板15、16の外周面に設けた溝15b、16bに樹脂板17が嵌合する。(図6)。一方、締付板15に突設したクランプ15aと対応する位置の樹脂板17には、クランプ15aを露出させる開口17aを設けているため、クランプ15aは樹脂板17で被覆されることなく露出した状態となっている(図2参照)。
なお、プロテクタ10の蓋材12も、プロテクタ本体11と同様の樹脂板を用いて真空成形することにより形成することができる。
また、前記のように、車体固定部13、14に射出成形品からなる別部材の締付板15、16を固着することによって車体固定部13、14をしっかりと補強することができ、締付板15、16が固着された車体固定部13、14に大きな負荷が加わっても、車体固定部13、14が損傷することなくワイヤハーネスW/Hを挿通したプロテクタ10を車体30に安定保持することが可能となる。
11 プロテクタ本体
12 蓋材
13、14 車体固定部
15、16 締付板
15a クランプ
16a ボルト孔
15b、16b 溝
17 樹脂板
17a 開口
17b ボルト孔
18 プロテクタ本体用の金型
18a、18b 車体固定部形成部
19 ヒータ
20 吸引孔
30 車体
170 成形品
Claims (3)
- 車両に配索されるワイヤハーネスを挿通した状態で車体に固定されるプロテクタであって、
断面凹形状のプロテクタ本体と、該プロテクタ本体の上面開口に取り付ける蓋材とを、夫々樹脂板を真空成形または圧空成形して形成しており、
前記プロテクタ本体の側壁外面に車体固定部を一体的に突設し、該車体固定部に射出成形品からなる別部材の締付板を取り付け、該締付板の肉厚はプロテクタ本体の肉厚より大であり、該締付板に前記車体の係止孔に挿入係止するクランプを予め突設し、該クランプを除く締付板の表面に前記樹脂板が被覆されていると共に、該締付板の外周面に設けた溝に前記樹脂板が嵌合しているプロテクタ。 - 請求項1に記載のプロテクタの製造方法であって、
厚さ1mm〜3mmのポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートから選択される樹脂板を用いると共に、予め射出成形した前記締付板を用い、
プロテクタ本体成形用の金型の車体固定部形成部に前記締付板をセットし、
前記樹脂板を加熱して軟化させ、プロテクタ本体成形用の金型の表面に前記軟化させた樹脂板を被せ、該状態で樹脂板に真空または圧空を負荷して前記金型および前記締付板に沿わせ、前記締付板をインサート成形した状態で前記プロテクタ本体を形成していることを特徴とするプロテクタの製造方法。 - 前記締付板に突設したクランプと対応する位置の樹脂板には、該クランプを露出させる開口を設けている請求項2に記載のプロテクタの製造方法。
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