JP5216025B2 - 端面と球冠状切欠きとの間の移行部のジオメトリの改良による、股関節プロテーゼに用いられるインサートにおける縞状摩耗の発生の低減 - Google Patents

Description

本発明は、股関節プロテーゼ（Hueftgelenkprothese：人工股関節補綴材）のソケットインサートであって、大腿骨のボールヘッドが、ソケットインサートの、球冠状の切欠き内に支承されており、該球冠状切欠きが、入口ゾーン（Einlaufszone）を有していて、該入口ゾーンが、一方の側では、１つの円弧を描きながら接線方向で、ソケットインサートの端面に移行していて、他方の側では、入口エッジにまで達している形式ものに関する。

股関節プロテーゼのためには、生体適合性で摩耗の少ない支承部を実現するために、種々異なる材料が使用される。この場合、公知先行技術によれば、いわゆるハード・オン・ハードの材料カップル（Hart-Hart-Werkstoff Paarungen）が、患者への、耐用年数の長くかつ信頼性の良い供給のために最も適している。このような材料カップルでは、股関節ステムに設けられたボールヘッドも、臼蓋ソケット内のソケットインサートも、工業的に見て硬質の材料から成っている。現在では、セラミック−セラミックおよびメタル−メタルの材料カップルが使用されている。目下の調査から、将来的にはセラミック−メタルの材料カップルの使用も推論される。

股関節プロテーゼが持続的に高い負荷を受けると、上記の硬質の材料を使用する場合でも摩耗現象が起こる。この摩耗現象は、たしかに故障、たとえばセラミック材料から成るプロテーゼの場合にはコンポーネントの破損にこそ繋がらないが、望ましくないことには変わりない。メタル−メタルの材料カップルにおいて摩擦により発生する摩耗粉（Abtrieb）は、人体にとって有害となり得る。

図１は、セラミック材料から成るソケットインサート１の断面を示している。球冠状切欠き３の中心点２は、球冠状切欠き３の対称軸線４上に位置している。ハード・オン・ハードの材料カップルにおける摩耗の特別な形状は、入口エッジ（Einlaufkante）５の領域に生じる。この入口エッジ５は、ソケットインサート１の球冠状切欠き３と入口ゾーン６との間の移行部に位置している。入口ゾーン６は、円弧７を描きながら、接線方向で、移行部８においてソケットインサート１の端面９に移行している。亜脱臼ならびにボールヘッドのミクロ分離（Mictroseparation）発生により、ソケットインサート１に対してもボールヘッド（図示せず）に対しても、入口エッジ５の領域で高い負荷が生じる。その結果、局所的に高められた摩耗が生じ、この摩耗は、材料に応じて、高められた摩耗粉、または表面粗さの目に見える増大を招く。縞状摩耗（Stripe Wear）と呼ばれる表面粗さの増大、ならびに高められて生じる金属の摩耗粉は望ましくない。

入口エッジ５の領域で生じる、高められた摩耗は、高い面圧（点状負荷）の作用ならびに入口ゾーン６の領域におけるボールヘッドの滑り運動時における不連続な力経過に帰因し得る。

本発明の根底を成す課題は、入口ゾーンの領域における摩耗を回避するか、または著しく減じることである。

この課題を解決するために、本発明によれば、円弧７の終点１２と、球冠状切欠き３の入口エッジ５との間で、入口ゾーン６のジオメトリ（幾何学的形状）を曲線１４として形成し、該曲線１４の関数が、あらゆる点において、２回連続的微分可能であることが提案される。

セラミック材料から成るソケットインサート１の断面図を示している。 ソケットインサート１の入口ゾーン６を図１に対して拡大した縮尺で示す部分図である。

図２には、ソケットインサート１に設けられた入口ゾーン６が、図１に対して拡大された縮尺で部分図として示されている。入口ゾーン６の始端部に位置する、中心点１０を有する円弧７は、長さＲ_Ｅを有する半径１１を有している。円弧７は、点１２で終わっていて、この点１２には、入口ゾーン６に設けられた本発明による曲線１４が続いている。この曲線１４から球冠状切欠き３の円弧への移行部は、入口エッジ５に位置している。この場合、球冠状切欠き３の円弧は、長さＲ_Ｋを有する半径１３を有している。点Ａ、つまり円弧７の始端部１２と、点B、つまり入口エッジ５とは、曲線１４の点であり、これらの点Ａ，Ｂではこの曲線１４の曲率は、それぞれ続いている曲線、つまり円弧７もしくは球冠状切欠きの円弧３の曲率と一致している。

入口ゾーン６に設けられた前記曲線１４の両終点ＡおよびＢは、それぞれ続いている曲線の曲率を有している。曲線１４の式は、終点Ａでは、ｆ"_Ａ（ｘ，ｙ）＝１／Ｒ_Ｅであり、終点Ｂではｆ"_Ｂ（ｘ，ｙ）＝１／Ｒ_Ｋである。

こうして、曲線１４の曲率経過は連続的であり、この曲線１４上で、球冠状切欠き３と入口半径７との間をボールヘッドが運動する。これより、接触力の経過も面圧の経過も同じく連続的となる。ボールヘッドは、ソケットインサート１内で転動し、滑り運動は阻止される。

曲線１４を数学的に説明するためには、種々の関数が考えられる。たとえばこの場合、カム伝動装置から知られている正弦曲線または多項式形（Polynomformen）を挙げることができる。

Claims (4)

1. 股関節プロテーゼのソケットインサートであって、大腿骨のボールヘッドが、ソケットインサートに設けられた球冠状の切欠き内に支承されており、該球冠状切欠きが、入口ゾーンを有していて、該入口ゾーンが、一方の側では、１つの円弧を描きながら接線方向で、ソケットインサートの端面に移行していて、他方の側では、入口エッジにまで達している形式ものにおいて、長さ（Ｒ_Ｅ）の半径（１１）を有する前記円弧（７）の始端部（１２）と、長さ（Ｒ_Ｋ）の半径（１３）を有する球冠状切欠き（３）の入口エッジ（５）との間で、入口ゾーン（６）が、曲線（１４）を形成しており、該曲線（１４）の曲率が連続的に変化していることを特徴とする、股関節プロテーゼのソケットインサート。
2. 前記曲線（１４）が、各終点、つまり前記円弧（７）の終点（１２）である終点（Ａ）と、入口エッジ（５）である終点（Ｂ）とにおいて、前記曲線（１４）に続いている曲線、つまり円弧（７）もしくは球冠状切欠き（３）の曲率と同じ曲率を有している、請求項１記載のソケットインサート。
3. 前記曲線（１４）の形状が、正弦曲線であるか、または多項式形を有している、請求項１または２記載のソケットインサート。
4. 前記曲線（１４）の式が、前記円弧（７）の始端部（１２）である終点（Ａ）では、ｆ"_Ａ（ｘ，ｙ）＝１／Ｒ_Ｅであり、入口エッジ（５）でありかつ球冠状切欠き（３）の円弧の始端部である終点（Ｂ）では、ｆ"_Ｂ（ｘ，ｙ）＝１／Ｒ_Ｋである、請求項１から３までのいずれか１項記載のソケットインサート。

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