図1の外箱1は使用者側である前方から見て縦長な矩形箱状をなすものであり、前板と後板と左側板と右側板と底板と天板を相互に接合することから構成されている。この外箱1の内部には水受槽2が固定されている。この水受槽2は円形状の後板および後板を取囲む円筒状の周板を有するものであり、軸心線CLが前から後に向けて下降する傾斜状態に配置されている。この水受槽2は衣類を洗濯するための水を受けるものであり、水受槽2の後板には水受槽2の外部に位置してドラムモータ3が固定されている。このドラムモータ3は3相DCブラシレスモータからなるものであり、水受槽2の内部に突出する回転軸を有している。このドラムモータ3は洗濯モータに相当する。
ドラムモータ3の回転軸には、図1に示すように、水受槽2の内部に位置してドラム4が固定されている。このドラム4は円形状の後板および後板を取囲む円筒状の周板を有するものであり、ドラム4の軸心線は水受槽2の軸心線CLに重ねて配置されている。このドラム4は衣類が投入されるものであり、ドラムモータ3の運転状態でドラムモータ3の回転軸と一体的に回転する。このドラム4の周板には複数の貫通孔が形成されており、ドラム4の内部空間は複数の貫通孔のそれぞれを介して水受槽2の内部空間に接続されている。このドラム4にはドラム4の内部に位置して複数のバッフルが固定されている。これら複数のバッフルのそれぞれはドラム4が回転することに応じて軸心線CLを中心に円周方向へ移動するものであり、ドラム4内の衣類は複数のバッフルのそれぞれに引掛かりながら円周方向へ移動した後に重力で落下することで撹拌される。このドラム4は洗濯槽に相当する。
外箱1の前板には、図1に示すように、扉5が装着されている。この扉5は閉鎖状態および開放状態相互間で操作可能にされたものであり、扉5の閉鎖状態では扉5が外箱1の前板に前方から接触し、扉5の開放状態では扉5が外箱1の前板に対して前方へ離間する。この外箱1の前板には貫通孔状の出入口6が形成されている。この出入口6は使用者が水受槽2の前面およびドラム4の前面のそれぞれを通してドラム4内に対して衣類を出し入れするためのものであり、扉5の開放状態でドラム4内に対して衣類を出し入れすることが可能に開放され、扉5の閉鎖状態でドラム4内に対して衣類を出し入れすることが不能に閉鎖される。外箱1の前板にはベローズ7の前端部が固定されている。このベローズ7は前後方向へ指向する筒状をなすものであり、ベローズ7の後端部は水受槽2に固定されている。このベローズ7はゴム製を材料とするものであり、扉5の閉鎖状態で扉5および水受槽2相互間を気密状態に閉鎖する。
外箱1の内部には、図1に示すように、水受槽2に比べて高所に位置して給水弁8が固定されている。この給水弁8は入口と注水用出口と除湿用出口を有するものであり、給水弁8の入口は水源に相当する水道の蛇口に接続されている。この給水弁8は給水弁モータ9(図2参照)を駆動源とするものであり、給水弁モータ9が回転操作されることに応じて閉鎖状態と注水状態と除湿状態相互間で切換えられる。閉鎖状態は入口と注水用出口と除湿用出口のそれぞれが閉鎖された状態であり、徐湿状態は注水用出口の閉鎖状態で除湿用出口および入口のそれぞれが開放された状態であり、注水状態は除湿用出口の閉鎖状態で注水用出口および入口のそれぞれが開放された状態である。
外箱1の内部には、図1に示すように、中空状の注水ケース10が固定されている。この注水ケース10には給水弁8の注水用出口が接続されており、給水弁8の注水状態では水道の蛇口から給水弁8を通して注水ケース10内に水道水が注入される。この注水ケース10には注水ホース11の上端部が接続されている。この注水ホース11の下端部は水受槽2に接続されており、給水弁8の注水状態では水道水が注水ケース10から注水ホース11を通して水受槽2内に注入される。
注水ケース10内には、図1に示すように、洗剤ケース12が収納されている。この洗剤ケース12は上面が開口する箱状をなすものであり、収納状態および引出し状態相互間で使用者が操作することが可能にされている。この洗剤ケース12の引出し状態は注水ケース10内から前方へ引出された状態であり、洗剤ケース12の収納状態は注水ケース10内に収納された状態であり、洗剤ケース12の引出し状態では使用者が洗剤ケース12の上面から洗剤ケース12内に洗剤を投入することが可能になり、洗剤ケース12の収納状態では使用者が洗剤ケース12内に洗剤を投入することが不能になる。この洗剤ケース12は収納状態で給水弁8から注水ケース10内に注入された水道水が通過するものであり、洗剤ケース12内の洗剤は洗剤ケース12の収納状態で給水弁8が注水状態にされた場合に水道水と共に注水ホース11から水受槽2内に注入される。
水受槽2の周板には、図1に示すように、ヒータ収納部13が形成されている。このヒータ収納部13は水受槽2の周板の最低部に配置されたものであり、ヒータ収納部13内には水温センサ14が固定されている。この水温センサ14はサーミスタからなるものであり、ヒータ収納部13内の水道水の温度に応じた大きさの水温信号を出力する。このヒータ収納部13の底板には排水管15の上端部が接続されており、排水管15には排水弁16が介在されている。この排水弁16は排水弁モータ17(図2参照)を駆動源とするものであり、排水弁モータ17が回転操作されることに応じて開放状態および閉鎖状態相互間で切換えられる。この排水弁16の閉鎖状態では注水ケース10内から水受槽2内に注入された水道水が水受槽2内に貯留され、排水弁16の開放状態では水受槽2内の水道水がヒータ収納部13内から排水管15を通して水受槽2の外部に排出される。
水受槽2には、図1に示すように、徐湿ダクト18および送風ダクト19が固定されている。除湿ダクト18は水受槽2の後方に配置されたものであり、入口および出口のそれぞれを有する通路状をなしている。この徐湿ダクト18は水受槽2の後板に沿って指向するものであり、徐湿ダクト18の入口は水受槽2内に水受槽2の後端部で接続されている。送風ダクト19は水受槽2の上方に配置されたものであり、入口および出口のそれぞれを有する通路状をなしている。この送風ダクト19は水受槽2の軸心線CLに沿って指向するものであり、送風ダクト19の入口は徐湿ダクト18の出口に接続され、送風ダクト19の出口は水受槽2内に水受槽2の前端部で接続されている。
送風ダクト19には、図1に示すように、ファンケーシング20およびヒータダクト21のそれぞれが介在されており、ファンケーシング20にはファンモータ22(図2参照)が固定されている。このファンモータ22はファンケーシング20の外部に配置されたものであり、ファンケーシング20内に突出する回転軸を有している。この回転軸にはファンケーシング20内に位置してファン23が固定されており、ファンモータ22の運転状態ではファン23が回転することで水受槽2内の空気が除湿ダクト18内に進入し、徐湿ダクト18内からファンケーシング20内およびヒータダクト21内のそれぞれを順に通って水受槽2内に戻る。
給水弁8の除湿用出口には、図1に示すように、除湿ホース24の上端部が接続されており、除湿ホース24の下端部は除湿ダクト18内に徐湿ダクト18の上端部で接続されている。この除湿ホース24は給水弁8の除湿状態で水道の蛇口から給水弁8の入口および除湿用出口のそれぞれを通して徐湿ダクト18内に水道水を注入するものであり、ドラム4内に未乾燥の湿った衣類が投入されている場合にはファンモータ22の運転状態で給水弁8が除湿状態にされることで除湿ダクト18内に水道水が注入され、衣類からの湿った空気が徐湿ダクト18内で水道水に接触する。この空気は徐湿ダクト18内で水道水に接触することで冷却され、徐湿ダクト18内で空気が冷却されることで空気から湿気が除去される。
ヒータダクト21内には、図1に示すように、温風ヒータ装置25が固定されている。この温風ヒータ装置25はオン状態およびオフ状態相互間で電気的な状態が切換えられるものであり、オン状態で発熱する。この温風ヒータ装置25は空気が接触することで空気を加熱するものであり、ドラム4内に未乾燥の湿った衣類が投入されている場合にはファンモータ22の運転状態で給水弁8が除湿状態にされると共に温風ヒータ装置25がオン状態にされることで除湿後の空気がヒータダクト21内で温風ヒータ装置25に接触し、温風ヒータ装置25に接触した空気が温風ヒータ装置25で加熱され、水受槽2内に高温度で低湿度な温風となって戻る。この温風ヒータ装置25は、図3に示すように、ヒータケース31内にPTCヒータ32を収納することから構成されている。これらヒータケース31およびPTCヒータ32のそれぞれの詳細は次の通りである。
<ヒータケース31の説明>
ヒータケース31は、図3に示すように、上面および後面のそれぞれが開口するものであり、底板と左側板と右側板と前板を有している。このヒータケース31は上面が開口するものであり、ファンモータ22の運転状態でヒータダクト21内を通過する空気が上面から進入する。このヒータケース31は絶縁性の合成樹脂(シンジオタクチックポリスチレン樹脂)を材料に成形されたものであり、ヒータケース31の左側板の内面は第1の壁面に相当し、ヒータケース31の右側板の内面は第2の壁面に相当し、ヒータケース31の前板の内面は第3の壁面に相当する。
ヒータケース31には、図3に示すように、左前突部33および右前突部34が一体成形されている。これら左前突部33および右前突部34のそれぞれはヒータケース31の前板の後面のうち左前突部33および右前突部34の双方を除く残りの部分に比べて後方へ突出するものであり、ヒータケース31の前板の後面を基準とする左前突部33の後方への突出量および右前突部34の後方への突出量は相互に同一値に設定されている。この右前突部34は第2の保持部に相当し、左前突部33は第1の保持部に相当する。
ヒータケース31には、図3に示すように、左後板35が一体成形されている。この左後板35はヒータケース31の底板から上に向けて突出するものであり、左後板35には左後突部36が一体成形されている。この左後突部36は左後板35の前面から前に向けて突出するものであり、ヒータケース31の左前突部33に比べて右方に配置されている。符号Cは左前突部33の後面から左後突部36の前面までの長さ寸法である。
ヒータケース31には、図3に示すように、右後板37が一体成形されている。この右後板37はヒータケース31の底板から上に向けて突出するものであり、左後板35の右端面に右方から隙間を介して対向している。この右後板37には右後突部38が一体成形されている。この右後突部38は右後板37の前面から前に向けて突出するものであり、ヒータケース31の右前突部34に比べて左方に配置されている。この右前突部34の後面から右後突部38の前面までの長さ寸法は左前突部33の後面から左後突部36の前面までの長さ寸法Cと同一値に設定されている。ヒータケース31は以上のように構成されている。
<PTCヒータ32の説明>
ヒータケース31内には、図4に示すように、左ヒータ素子39が収納されている。この左ヒータ素子39は前後方向の長さ寸法が左右方向の幅寸法および上下方向の高さ寸法のそれぞれに比べて大きな細長なものであり、ヒータ素子に相当する。この左ヒータ素子39は左側面および右側面のそれぞれを電極面とするPTC素子からなるものであり、左ヒータ素子39の左側面および右側面のそれぞれには放熱板40が接合されている。これら両放熱板40のそれぞれは導電性のアルミニウムを蛇行状に折り曲げたものであり、複数の放熱フィンおよび複数の接続部を有している。複数の放熱フィンのそれぞれは左ヒータ素子39に対して直交する板状をなすものであり、左ヒータ素子39の長手方向に沿って配列されている。これら複数の放熱フィンのそれぞれは前後方向に隣接する放熱フィンに対して隙間を介して対向するものであり、放熱フィン相互間の前後方向の隙間寸法はファンモータ22の運転状態でヒータダクト21内を通過する空気が進入可能な大きさに設定され、ヒータケース31の前板の後面を基準とする左前突部33の突出量および右前突部34の突出量のそれぞれは放熱フィン相互間の前後方向の隙間寸法に比べて大きく設定されている。複数の接続部のそれぞれは前後方向に隣接する放熱フィン相互間を連結するものであり、左ヒータ素子39の左側面および右側面のそれぞれは放熱板40に複数の接続部のそれぞれで電気的および機械的に接続されている。
ヒータケース31内には、図4に示すように、左電極板41および共通電極板42が収納されている。これら左電極板41および共通電極板42のそれぞれは左ヒータ素子39に対して平行な細長なものであり、左電極板41はヒータケース31の左側板の内面に接触し、共通電極板42はヒータケース31内の左右方向の中央部に配置されている。これら左電極板41および共通電極板42のそれぞれは交流電源が供給されるものであり、左ヒータ素子39の左方の放熱板40は左電極板41に複数の接続部のそれぞれで電気的および機械的に接続され、左ヒータ素子39の右方の放熱板40は共通電極板42に複数の接続部のそれぞれで電気的および機械的に接続されている。この共通電極板42は電極板に相当し、左電極板41は第1の電極板に相当する。
ヒータケース31内には、図4に示すように、ヒータ素子に相当する右ヒータ素子43が収納されている。この右ヒータ素子43は左ヒータ素子39に対して平行な細長なものであり、左ヒータ素子39に右方から隙間を介して対向している。この右ヒータ素子43は左側面および右側面のそれぞれを電極面とするPTC素子からなるものであり、右ヒータ素子43の左側面および右側面のそれぞれには放熱板44が接合されている。これら両放熱板44のそれぞれは導電性のアルミニウムを蛇行状に折り曲げたものであり、複数の放熱フィンおよび複数の接続部を有している。複数の放熱フィンのそれぞれは右ヒータ素子43に対して直交する板状をなすものであり、右ヒータ素子43の長手方向に沿って配列されている。これら複数の放熱フィンのそれぞれは前後方向に隣接する放熱フィンに対して隙間を介して対向するものであり、両放熱板44のそれぞれの放熱フィン相互間の前後方向の隙間寸法は放熱板40の放熱フィン相互間の前後方向の隙間寸法と同一値に設定されている。複数の接続部のそれぞれは前後方向に隣接する放熱フィン相互間を連結するものであり、右ヒータ素子43の左側面および右側面のそれぞれは放熱板44に複数の接続部のそれぞれで電気的および機械的に接続されている。
ヒータケース31内には、図4に示すように、右電極板45が収納されている。この右電極板45は右ヒータ素子43と共通電極板42と左ヒータ素子39と左電極板41のそれぞれに対して平行な細長なものであり、ヒータケース31の右側板の内面に接触している。この右電極板45は交流電源が供給されるものであり、右ヒータ素子43の右方の放熱板44は右電極板45に複数の接続部のそれぞれで電気的および機械的に接続され、右ヒータ素子43の左方の放熱板44は共通電極板42に複数の接続部のそれぞれで電気的および機械的に接続されている。
右電極板45〜左電極板41のそれぞれの後端部には、図4に示すように、リード線46が接続されており、共通電極板42のリード線46の後端部にはコネクタ47が接続され、左電極板41のリード線46の後端部および右電極板45のリード線46の後端部には1つのコネクタ48が接続されている。これらコネクタ47およびコネクタ48は左ヒータ素子39および右ヒータ素子43のそれぞれに交流電源を供給するものであり、左電極板41のリード線46および右電極板45のリード線46のそれぞれにはヒューズ49が介在されている。
左ヒータ素子39は、図4に示すように、左電極板41と左方の放熱板40と左ヒータ素子39と右方の放熱板40と共通電極板42のそれぞれを介して電流が流れることで発熱するものであり、右ヒータ素子43は右電極板45と右方の放熱板44と右ヒータ素子43と左方の放熱板44と共通電極板42のそれぞれを介して電流が流れることで発熱するものである。これら左ヒータ素子39および右ヒータ素子43のそれぞれは相互に同一のキュリー温度に到達することで抵抗値がキュリー温度に到達する前に比べて急激に増加するものであり、左ヒータ素子39および右ヒータ素子43のそれぞれに交流電源が供給されているPTCヒータ32のオン状態では循環ダクト内を循環する空気がヒータダクト21内でキュリー温度に加熱される。
左電極板41の前端部には、図4に示すように、導電性の左前当て板50が形成されている。この左前当て板50は左電極板41から右に向けて突出するものであり、ヒータケース31の左前突部33に後方から対向配置されている。右電極板45の前端部には導電性の右前当て板51が形成されている。この右前当て板51は右電極板45から左に向けて突出するものであり、ヒータケース31の右前突部34に後方から対向配置されている。左ヒータ素子39の後端部には導電性の左後当て板52が固定されている。この左後当て板52は左ヒータ素子39の左側面から左方へ突出すると共に左ヒータ素子39の右側面から右方へ突出するものであり、左後当て板52の左端部はヒータケース31の左後突部36に前方から対向配置されている。右ヒータ素子43の後端部には導電性の右後当て板53が固定されている。この右後当て板53は右ヒータ素子43の左側面から左方へ突出すると共に右ヒータ素子43の右側面から右方へ突出するものであり、右後当て板53の右端部はヒータケース31の右後突部38に前方から対向配置されている。
図4の符号Hは左前当て板50の前面から左後当て板52の後面までの長さ寸法であり、右前当て板51の前面から右後当て板53の後面までの長さ寸法は左前当て板50の前面から左後当て板52の後面までの長さ寸法Hと同一値に設定されている。この長さ寸法Hはヒータケース31の長さ寸法Cに比べて小さく設定されており、PTCヒータ32はヒータケース31内で前後方向へ位置ずれすることが可能にされている。PTCヒータ32は以上のように構成されている。
外箱1内には、図1に示すように、水位センサ26が固定されている。この水位センサ26は水受槽2に比べて高所に配置されたものであり、エアチューブ27を介して水受槽2内に接続されている。このエアチューブ27は空気が封入されたものである。このエアチューブ27は水受槽2内の水道水が進入するものであり、エアチューブ27内の空気はエアチューブ27内に水が進入することで水受槽2内の水位の高低に応じた力で圧縮される。水位センサ26は圧力センサから構成されたものであり、ダイアフラムおよび出力回路を有している。ダイアフラムはエアチューブ27内の空気から圧力を受けることで弾性的に変形するものであり、出力回路はダイアフラムの変形量に応じた大きさの電気信号を出力する。この電気信号は水受槽2内の水位の高低に相当するものであり、水位信号と称する。
外箱1内には、図1に示すように、泡量センサ28が固定されている。この泡量センサ28は水受槽2に比べて高所に配置されたものであり、エアチューブ29を介して水受槽2内に接続されている。このエアチューブ29は水受槽2内に予め決められた最高水位の水道水が貯留された状態で水受槽2内の水面に比べて高所で水受槽2内に接続されたものであり、エアチューブ29内には水受槽2内の水道水が進入することなく水受槽2内で洗剤の泡が発生した場合に洗剤の泡が進入する。このエアチューブ29内には空気が封入されており、エアチューブ29内の空気はエアチューブ29内に対する泡の進入量の多少に応じた力で圧縮される。泡量センサ28は圧力センサから構成されたものであり、ダイアフラムおよび出力回路を有している。ダイアフラムはエアチューブ29内の空気から圧力を受けることで弾性的に変形するものであり、出力回路はダイアフラムの変形量に応じた大きさの電気信号を出力する。この電気信号は水受槽2内での泡の発生量の多少に相当するものであり、泡量信号と称する。
水受槽2のヒータ収納部13内には、図1に示すように、温水ヒータ30が収納されている。この温水ヒータ30は水受槽2内の水道水をヒータ収納部13内で加熱するものであり、オン状態およびオフ状態相互間で電気的な状態が切換えられる。この温水ヒータ30はシーズヒータからなるものであり、熱源に相当する。
外箱1の前板には操作パネル54が固定されており、操作パネル54にはスタートスイッチ55と運転コーススイッチ56と温水洗浄スイッチ57と表示器58(いずれも図2参照)が固定されている。スタートスイッチ55と運転コーススイッチ56と温水洗浄スイッチ57のそれぞれは使用者が前方から操作可能な操作子を有するものであり、操作子に操作力が作用することで電気的なオン状態になり、操作子から操作力が除去されることで電気的なオフ状態に復帰する。表示器58は液晶パネルからなるものであり、表示器58の表示内容は使用者が前方から視覚的に認識することが可能にされている。
外箱1内には、図1に示すように、モード設定手段および洗い手段のそれぞれに相当する制御回路59が固定されている。この制御回路59はマイクロコンピュータを主体に構成されたものであり、図2に示すように、CPUとROMとRAMを有している。この制御回路59は温水洗浄スイッチ57と運転コーススイッチ56とスタートスイッチ55のそれぞれの電気的な状態を検出するものであり、温水洗浄スイッチ57の電気的な状態の検出結果に応じて温水洗浄モードをオン状態およびオフ状態のいずれかに設定し、運転コーススイッチ56の電気的な状態の検出結果に応じて運転コースを標準コースと念入りコースとおやすみコースのうちから選択し、スタートスイッチ55の電気的な状態の検出結果に応じて運転コースの選択結果を温水洗浄モードの設定結果で開始する。この制御回路59は表示器58の表示内容を制御するものであり、表示器58の表示内容を制御することで温水洗浄モードの設定結果および運転コースの選択結果のそれぞれを表示器58に表示する。この制御回路59は水温センサ14からの水温信号に応じて水受槽2内の水温をヒータ収納部13内で検出するものであり、水位センサ26からの水位信号に応じて水受槽2内の水位の高さを検出し、泡量センサ28からの泡量信号に応じて水受槽2内の泡量を検出する。温水洗浄モードはドラム4内の衣類を常温の水に比べて高温の水で洗浄する高温モードに相当するものであり、温水洗浄モードのオフ状態ではドラム4内の衣類が水道の蛇口から水受槽2内に注入された直後の常温の水で洗浄される。標準コースは水受槽2内の水を標準の撹拌力で撹拌するコースであり、念入りコースは標準コースに比べて強い撹拌力で撹拌するコースであり、おやすみコースは標準コースに比べて弱い撹拌力で撹拌するコースであり、撹拌力とはドラム4が水受槽2内の水道水を撹拌する単位時間当りの機械力を称する。
外箱1内には、図1に示すように、モータ回路60が固定されている。このモータ回路60はドラムモータ3にベクトル制御で3相の駆動電源を供給するものであり、インバータ回路61およびインバータ制御回路62を含んで構成されている。このインバータ制御回路62はCPUとROMとRAMを有するものであり、ドラムモータ3のU相のステータコイルに流れるU相電流とV相のステータコイルに流れるV相電流とW相のステータコイルに流れるW相電流の3つに応じて励磁電流成分Id(磁界に対して平行な成分)およびトルク電流成分Iq(磁界に対して直交する成分)のそれぞれを検出し、U相のステータコイルをオンオフするためのPWM信号とV相のステータコイルをオンオフするためのPWM信号とW相のステータコイルをオンオフするためのPWM信号のそれぞれを励磁電流成分Idの検出結果およびトルク電流成分Iqの検出結果の双方に応じて生成する。これらU相〜W相のそれぞれのPWM信号はインバータ回路61をスイッチング制御することでドラムモータ3を目標速度で回転操作するものであり、ドラムモータ3はU相〜W相のそれぞれのPWM信号が励磁電流成分Idの検出結果およびトルク電流成分Iqの検出結果の双方に応じて生成されることでドラム4内の衣類の重量およびドラム4内の水道水の重量の合計値の大きさに拘らず目標速度で回転操作される。
外箱1内には、図2に示すように、モータ回路63とモータ回路64とモータ回路65とヒータ回路66とヒータ回路67とLCD回路68が固定されている。モータ回路63は給水弁モータ9に駆動電源を供給するものであり、制御回路59はモータ回路63を電気的に制御することで給水弁モータ9を回転操作し、給水弁8を閉鎖状態と注水状態と除湿状態相互間で切換える。モータ回路64は排水弁モータ17に駆動電源を供給するものであり、制御回路59はモータ回路64を電気的に制御することで排水弁モータ17を回転操作し、排水弁16を閉鎖状態および開放状態相互間で切換える。モータ回路65はファンモータ22に駆動電源を供給するものであり、制御回路59はモータ回路65を電気的に制御することでファンモータ22を回転操作する。ヒータ回路66は温水ヒータ装置25のPTCヒータ32に交流の駆動電源を供給するものであり、制御回路59はヒータ回路66を電気的に制御することでPTCヒータ32をオン状態およびオフ状態相互間で操作する。ヒータ回路67は温水ヒータ30に駆動電源を供給するものであり、制御回路59はヒータ回路67を電気的に制御することで温水ヒータ30をオン状態およびオフ状態相互間で操作する。LCD回路68は表示器58に駆動電源を供給するものであり、制御回路59はLCD回路68を電気的に制御することで表示器58の表示内容を制御する。
図5の(a)は制御回路59のROMに予め記録された泡監視時間テーブル1である。この泡監視時間テーブル1は泡監視時間(8分)(5分)(3分)のそれぞれに1つの布量を割付けたものであり、布量が検出された場合には泡監視時間テーブル1から布量の検出結果に応じた1つの泡監視時間が選択される。この布量とはドラム4内の衣類の重量であり、布量1は(衣類の重量<2kg)を称し、布量2は(2kg≦衣類の重量≦4kg)を称し、布量3は(4kg<衣類の重量)を称する。図5の(b)は制御回路59のROMに予め記録された泡監視時間テーブル2である。この泡監視時間テーブル2は泡監視時間(8分)(5分)(3分)のそれぞれに1つの布質を割付けたものであり、布質が検出された場合には泡監視時間テーブル2から布質の検出結果に応じた1つの泡監視時間が選択される。この布質とは化繊の混合率であり、布質1は(化繊の混合率<40%)を称し、布質2は(40%≦化繊の混合率≦60%)を称し、布質3は(60%<化繊の混合率)を称する。
図5の(c)は制御回路59のROMに予め記録された泡監視時間テーブル3である。この泡監視時間テーブル3は泡監視時間(8分)(5分)(3分)のそれぞれに1つの運転コースを割付けたものであり、運転コースが選択された場合には泡監視時間テーブル3から運転コースの選択結果に応じた1つの泡監視時間が選択される。図5の(d)は制御回路59のROMに予め記録された泡監視時間テーブル4である。この泡監視時間テーブル4は泡監視時間(8分)(5分)のそれぞれに1つの水温を割付けたものであり、水温センサ14からの水温信号に応じて水道水の温度が検出された場合には泡監視時間テーブル4から水温の検出結果に応じた1つの泡監視時間が選択される。
図6の(a)は念入りコースの設定状態と標準コースの設定状態とおやすみコースの設定状態のそれぞれでのドラムモータ4の通電率を示すものであり、標準コースの設定状態でドラム3から水受槽2内の水に作用する撹拌力を(1)とした場合には念入りコースの設定状態での撹拌力が(2)となり、おやすみコースの設定状態での撹拌力が(2/3)となる。泡監視時間テーブル3の泡監視時間は標準コースと念入りコースとおやすみコースのそれぞれでドラム3から水受槽2内の水に作用する撹拌力に応じて設定されたものであり、標準コースでの泡監視時間は(5分)に設定され、念入りコースでの泡監視時間は標準コースの約半分の(3分)に設定され、おやすみコースでの泡監視時間は標準コースの約3/2倍の(8分)に設定されている。図6の(b)は念入りコースの設定状態と標準コースの設定状態とおやすみコースの設定状態のそれぞれでの水受槽2内の洗剤の泡の発生量の時間的な変化を示すものであり、標準コースの設定状態では標準コースの泡監視時間(5分)が経過する直前に泡の発生量が閾値に到達し、念入りコースの設定状態では念入りコースの泡監視時間(3分)が経過する直前に泡の発生量が閾値に到達し、おやすみコースの設定状態ではおやすみコースの泡監視時間(8分)が経過する直前に泡の発生量が閾値に到達する。
洗剤の界面活性剤は温度が低い場合に泡立ちが少なく、水温が低い程に閾値の量の泡が発生するまでに長時間を要する。図7は泡の発生量の時間的な変化を水温別に示すものであり、水温が20℃の場合には(4分)で泡の発生量が閾値に到達し、水温が5℃の場合には(7分)以上で泡の発生量が閾値に到達する。泡監視時間テーブル4は図7のデータに基づいて設定されたものであり、水温が20℃以上の場合の泡監視時間は(5分)に設定され、水温が20℃未満の場合の泡監視時間は(8分)に設定されている。
図8は制御回路59のROMに予め記録された閾値選択テーブルである。この閾値選択テーブルは最高水位と標準水位と最低水位のそれぞれに1つの下限電流値および1つの上限電流値を割付けたものであり、水受槽2内に貯留する水道水の水位が設定された場合には閾値選択テーブルから水位の設定結果に応じた1つの下限電流値および1つの上限電流値のそれぞれが選択され、インバータ制御回路62のトルク電流成分Iqの検出結果が下限電流値の選択結果および上限電流値の選択結果のそれぞれと比較されることで布質が布質1と布質2と布質3のいずれであるかが判定される。
図9は制御回路59に電源が投入されることで起動するメイン処理であり、制御回路59のCPUはステップS1の初期設定処理でRAMの温水洗浄フラグの値および温水化プロセスフラグの値のそれぞれをオフ状態(0)に初期設定し、RAMのカウンタの値を(2)に初期設定し、RAMのタイマT1の値およびタイマT2の値のそれぞれを(0)に初期設定する。
温水洗浄フラグの値は温水洗浄モードがオン状態およびオフ状態のいずれに設定されているかを示すものであり、温水化プロセスフラグの値は図12のタイマ割込み処理で温水化プロセス処理1〜温水化プロセス処理4のいずれを実行するかを示すものである。このタイマ割込み処理は一定時間(1sec)が経過する毎に起動するものであり、制御回路59のCPUはタイマ割込み処理を起動する場合にはメイン処理を実行中のステップで停止し、タイマ割込み処理を終えた場合にはメイン処理をタイマ割込み処理が起動する直前のステップから再開する。カウンタの値は運転コースが標準コースと念入りコースとおやすみコースのいずれに設定されているかを示すものであり、カウンタの値(2)は標準コースに相当し、カウンタの値(1)は念入りコースに相当し、カウンタの値(3)はおやすみコースに相当する。タイマT1の値およびタイマT2の値のそれぞれは時間を計測するものであり、タイマ割込み処理で更新される。
制御回路59のCPUはステップS1の初期設定処理を終えると、ステップS2で温水洗浄スイッチ57がオン状態にあるか否かを判断する。ここで温水洗浄スイッチ57がオン状態にあると判断した場合にはステップS3へ移行し、温水洗浄フラグがオフ状態に設定されているか否かを判断する。ここで温水洗浄フラグがオフ状態に設定されていると判断した場合にはステップS4で温水洗浄フラグをオン状態に設定し、温水洗浄フラグがオン状態に設定されていると判断した場合にはステップS5で温水洗浄フラグをオフ状態に設定する。即ち、温水洗浄フラグは使用者が温水洗浄スイッチ57の操作子を操作する毎にオン状態およびオフ状態に交互に設定される。
制御回路59のCPUはステップS6へ移行すると、運転コーススイッチ56がオン状態にあるか否かを判断する。ここで運転コーススイッチ56がオン状態にあると判断した場合にはステップS7の運転コース設定処理へ移行し、カウンタの値を(1)だけ更新する。このカウンタの値は(1)に設定されている場合には(2)に更新され、(2)に設定されている場合には(3)に更新され、(3)に設定されている場合には(1)に更新されるものであり、運転コースは使用者が運転コーススイッチ56の操作子を操作する毎に(標準コース)→(おやすみコース)→(念入りコース)→(標準コース)の順序で循環的に変更される。
1.布量判定処理
制御回路59のCPUはステップ8へ移行すると、スタートスイッチ55がオン状態にあるか否かを判断する。ここでスタートスイッチ55がオン状態にあると判断した場合にはステップS9の布量判定処理へ移行する。この布量判定処理はインバータ制御回路62に布量判定コマンドを送信するものであり、インバータ制御回路62は布量判定コマンドを受信した場合にはドラムモータ3を一定の布量判定速度で回転操作する。この布量判定速度はインバータ制御回路62のROMに予め記録されたものであり、インバータ制御回路62はドラムモータ3を布量判定速度で回転操作しているときのトルク電流成分Iqを検出し、トルク電流成分Iqの検出結果を制御回路59に送信する。この制御回路59はトルク電流成分Iqの検出結果を受信した場合にはROMに予め記録された下限値および上限値のそれぞれと比較し、トルク電流成分Iqの検出結果が下限値以上で上限値以下であると判断した場合にはドラム4内の衣類の重量が布量2であると判定し、トルク電流成分Iqの検出結果が下限値未満であると判断した場合にはドラム4内の衣類の重量が布量1であると判定し、トルク電流成分Iqの検出結果が上限値超であると判断した場合にはドラム4内の衣類の重量が布量3であると判定する。即ち、布量判定処理は水受槽2内に水道水を注入する前にドラム4を一定速度で回転操作し、ドラム4を一定速度で回転操作するために必要なドラムモータ3のトルクの大きさに応じてドラム4内の衣類の重量を段階的に判定するものである。
2.水位設定処理
制御回路59のCPUはステップS9の布量判定処理を終えると、ステップS10の水位設定処理へ移行する。この水位設定処理はステップS9の布量の判定結果に応じて水位を設定するものであり、制御回路59のCPUはステップS9の布量の判定結果が布量1である場合には水位を最低水位に設定し、布量の判定結果が布量2である場合には水位を標準水位に設定し、布量の判定結果が布量3である場合には水位を最高水位に設定する。
3.給水処理
制御回路59のCPUはステップS10の水位設定処理を終えると、ステップS11の給水処理へ移行する。この給水処理は排水弁16の閉鎖状態で給水弁8を注水状態にすることで水受槽2内に水道水を注入するものであり、制御回路59のCPUは水受槽2内に水道水を注入しながら水位センサ26からの水位信号を一定時間毎に検出し、水位センサ26からの水位信号を検出する毎に水位信号の検出結果を水位の設定結果と比較する。ここで水位信号の検出結果が水位の設定結果に到達したと判断した場合には排水弁16の閉鎖状態で給水弁8を注水状態から閉鎖状態に切換え、水道水の注入を終える。即ち、給水処理は水受槽2内に布量の判定結果に応じた水位の水道水を貯留するものであり、ドラム4内に化繊の混合率が高い衣類が多量に投入されている程に水道水の少量の注入量で水受槽2内の水位が水位の設定結果に到達する。この水道水の注入量の相違は化繊が水を吸収し難いことに起因するものであり、給水処理の終了時点では化繊の混合率が高い衣類の投入量の多少に応じて水受槽2内の衣類の重量および水道水の重量相互間の合計値が変化する。
4.布質判定処理
制御回路59のCPUはステップS11の給水処理を終えると、ステップS12の布質判定処理へ移行する。この布質判定処理はインバータ制御回路62に布質判定コマンドを送信するものであり、インバータ制御回路62は布質判定コマンドを受信した場合にはドラムモータ3を一定の布質判定速度で回転操作する。この布質判定速度はインバータ制御回路62のROMに予め記録されたものであり、インバータ制御回路62はドラムモータ3を布質判定速度で回転操作しているときのトルク電流成分Iqを検出し、トルク電流成分Iqの検出結果を制御回路59に送信する。この制御回路59のCPUはトルク電流成分Iqの検出結果を受信した場合にはROMから図8の閾値選択テーブルを検出し、閾値選択テーブルから水位の設定結果に応じた1つの下限電流値および1つの上限電流値のそれぞれを選択する。そして、トルク電流成分Iqの検出結果を下限電流値の選択結果および上限電流値の選択結果のそれぞれと比較し、トルク電流成分Iqの検出結果が下限電流値以上で上限電流値以下であると判断した場合にはドラム4内の衣類の布質が布質2であると判定し、トルク電流成分Iqの検出結果が下限電流値未満であると判断した場合にはドラム4内の衣類の布質が布質1であると判定し、トルク電流成分Iqの検出結果が上限電流値超であると判断した場合にはドラム4内の衣類の布質が布質3であると判定する。即ち、布質判定処理は水受槽2内に水位の設定結果に応じた量の水道水を貯留した状態でドラム4を一定速度で回転操作し、ドラム4を一定速度で回転操作するために必要なドラムモータ3のトルクの大きさに応じてドラム4内の衣類の布質を段階的に判定するものである。
5.洗い処理
制御回路59のCPUはステップS12の布質判定処理を終えると、ステップS13の洗い処理へ移行する。この洗い処理は水受槽2内に布量の判定結果に応じた水位の水道水を貯留した状態でドラムモータ3をオン状態にすることでドラム4を回転操作するものであり、制御回路59のCPUはドラムモータ3のオン時間が洗い時間に到達したと判断した場合にはドラムモータ3をオフ状態とし、ドラムモータ3をオフ状態とした場合には排水弁モータ17を回転操作することで排水弁16を閉鎖状態から開放状態に切換え、水受槽2内の水を排水管15から排出する。この洗い処理でドラム4が回転している場合にはドラム4内の洗濯物がドラム4のバッフルと共に円周方向へ移動することで持上げられ、ドラム4のバッフルから脱落することで水受槽2内の水道水中に落下する。この洗い処理は水受槽2内に衣類の投入量に応じた量の洗剤分を投入して行われるものであり、洗い処理では衣類が水道水中に落下するときの衝撃力で水道水が撹拌され、水道水が撹拌されることで洗剤分の泡が成長する。
6.すすぎ処理
制御回路59のCPUはステップS13の洗い処理を終えると、ステップS14のすすぎ処理へ移行する。このすすぎ処理は給水弁8を閉鎖状態から注水状態に切換え、水受槽2内に排水弁16の閉鎖状態で水道水を注入することで水位の設定結果の水道水を貯留するものであり、制御回路59のCPUはすすぎ処理で水受槽2内に水位の設定結果の水道水を貯留した場合にはインバータ制御回路62に運転開始コマンドを送信し、タイマT2の値にすすぎ時間を設定する。この制御回路59のCPUはタイマT2の値を設定した場合には一定時間(1sec)が経過する毎にタイマT2の値から一定時間を減算するものであり、タイマT2の値の減算結果が限度値(0)に到達した場合にはインバータ制御回路62に運転停止コマンドを送信し、インバータ制御回路62に運転停止コマンドを送信した場合には排水弁16を閉鎖状態から開放状態に切換えることで水受槽2内から水道水を排出する。このインバータ制御回路62は運転開始コマンドを受信した場合にドラムモータ3をROMに予め記録された一定のすすぎ速度で回転開始するものであり、運転停止コマンドを受信した場合にはドラムモータ3を運転停止する。このすすぎ処理でドラム4が回転している場合にはドラム4内の洗濯物がバッフルと共に円周方向へ移動することで持上げられ、バッフルから脱落することで水受槽2内の水道水中に落下する。このすすぎ処理は洗剤分を投入することなく行われるものであり、すすぎ処理では衣類が水道水中に落下するときの衝撃力で衣類から洗剤分が排出される。
7.脱水処理
制御回路59のCPUはステップS14のすすぎ処理を終えると、ステップS15の脱水処理へ移行する。この制御回路59のCPUは脱水処理でインバータ制御回路62に運転開始コマンドを送信し、タイマT2の値に脱水時間を設定する。この制御回路59のCPUはタイマT2の値を設定した場合には一定時間(1sec)が経過する毎にタイマT2の値から一定時間を減算するものであり、タイマT2の値を限度値(0)に減算した場合にはインバータ制御回路62に運転停止コマンドを送信する。このインバータ制御回路62は運転開始コマンドを受信した場合にドラムモータ3をROMに予め記録された一定の脱水速度で回転開始するものであり、運転停止コマンドを受信した場合にはドラムモータ3を運転停止する。このドラムモータ3の運転状態ではドラム4内の衣類がバッフルから脱落することなく円周方向へ移動し、ドラム4内の衣類から水分が遠心力で放出される。
8.乾燥処理
制御回路59のCPUはステップS15の脱水処理を終えると、ステップS16の乾燥処理へ移行する。この制御回路59のCPUは乾燥処理でファンモータ22をオフ状態からオン状態に切換え、温風ヒータ装置25の左ヒータ素子39および右ヒータ素子43のそれぞれをオフ状態からオン状態に切換え、給水弁8を閉鎖状態から除湿状態に切換えることで水受槽2内に対する温風の注入を開始し、ドラム4内の脱水済の衣類に対する温風の供給を開始する。この制御回路59のCPUは温風を注入開始した場合にはタイマT2の値に乾燥時間を設定し、タイマT2の値を設定した場合には一定時間(1sec)が経過する毎にタイマT2の値から一定時間を減算する。この制御回路59のCPUはタイマT2の値を限度値(0)に減算した場合にはファンモータ22と左ヒータ素子39と右ヒータ素子43のそれぞれをオン状態からオフ状態に切換え、給水弁8を除湿状態から閉鎖状態に切換え、水受槽2内に対する温風の注入を終える。
図10はステップS13の洗い処理であり、制御回路59のCPUはステップS21で温水洗浄フラグがオン状態に設定されているか否かを判断する。ここで温水洗浄フラグがオフ状態に設定されていると判断した場合にはステップS34へ移行し、温水洗浄フラグがオン状態に設定されていると判断した場合にはステップS22でROMから図5の(a)の泡監視時間テーブル1を検出する。
制御回路59のCPUはステップS22で泡監視時間テーブル1を検出すると、ステップS23で泡監視時間テーブル1からステップS9での布量の判定結果に応じた1つの泡監視時間を選択する。そして、ステップS24でROMから図5の(b)の泡監視時間テーブル2を検出し、ステップS25で泡監視時間テーブル2からステップS12での布質の判定結果に応じた1つの泡監視時間を選択する。次に、ステップS26でROMから図5の(c)の泡監視時間テーブル3を検出し、ステップS27で泡監視時間テーブル3からカウンタの値の設定結果(運転コースの設定結果)に応じた1つの泡監視時間を選択する。
制御回路59のCPUはステップS27で泡監視時間テーブル3から泡監視時間を選択すると、ステップS28で水温センサ14からの水温信号を検出する。この水温信号は温水ヒータ30がオンされる前の加熱前の水道水の常温度を示すものであり、制御回路59のCPUはステップS28で水温センサ14からの水温信号を検出した場合にはステップS29でROMから図5の(d)の泡監視時間テーブル4を検出し、ステップS30で泡監視時間テーブル4から水温信号の検出結果に応じた1つの泡監視時間を選択し、ステップS31へ移行する。
制御回路59のCPUはステップS31へ移行すると、ステップS23での泡監視時間の選択結果とステップS25での泡監視時間の選択結果とステップS27での泡監視時間の選択結果とステップS30での泡監視時間の選択結果相互間を比較し、4つの泡監視時間の選択結果のうちから最長値を抽出する。そして、ステップS32で泡監視時間の最長値の抽出結果をタイマT1の値に設定し、ステップS33で温水化プロセスフラグの値に(1)を設定し、ステップS34へ移行する。このステップS32のタイマT1の値の設定結果は待機時間に相当する。
制御回路59のCPUはステップS34へ移行すると、タイマT2の値にROMに予め記録された洗い時間(15分)を設定する。この洗い時間は泡監視時間テーブル1の最長の泡監視時間と泡監視時間テーブル2の最長の泡監視時間と泡監視時間テーブル3の最長の泡監視時間と泡監視時間テーブル4の最長の泡監視時間のそれぞれに比べて長く設定されたものであり、制御回路59のCPUはステップS34でタイマT2の値を設定した場合にはステップS35でインバータ制御回路62に運転開始コマンドを送信し、ステップS36でタイマT2の値をROMに予め記録された限度値(0)と比較する。ここでタイマT2の値が限度値に到達したと判断した場合にはステップS37へ移行し、インバータ制御回路62に運転停止コマンドを送信する。このインバータ制御回路62は運転開始コマンドを受信した場合にはドラムモータ3をROMに予め記録された洗い速度で運転開始し、ドラム4の洗い速度での回転操作を開始する。このインバータ制御回路62は運転停止コマンドを受信した場合にはドラムモータ3を運転停止する。
図11はタイマ割込み処理であり、制御回路59のCPUはステップS41で温水洗浄フラグがオフ状態に設定されているか否かを判断する。ここで温水洗浄フラグがオフ状態に設定されていると判断した場合にはステップS42でタイマT2の値が限度値(0)に比べて大きいか否かを判断し、タイマT2の値が限度値(0)に比べて大きいと判断した場合にはステップS43でタイマT2の値から一定値(1sec)を減算する。即ち、使用者が温水洗浄スイッチ57を操作することで温水洗浄フラグをオン状態に設定しなかった場合にはステップS35でドラムモータ3がオンされたことを基準に洗い時間(15分)が経過することでタイマT2の値が限度値(0)に減算され、温水ヒータ30がオンされることなくステップS37でドラムモータ3がオフされる。
制御回路59のCPUはステップS41で温水洗浄フラグがオン状態に設定されていると判断すると、ステップS44で温水化プロセスフラグが(1)に設定されているか否かを判断する。この温水化プロセスフラグはステップS32でタイマT1の値に泡監視時間が設定された場合にステップS33で(1)に設定されるものであり、使用者が温水洗浄スイッチ57を操作することで温水洗浄フラグをオン状態に設定した場合には制御回路59のCPUはステップS44で温水化プロセスフラグが(1)に設定されていると判断し、ステップS45の温水化プロセス処理1へ移行する。
制御回路59のCPUはステップS44で温水化プロセスフラグが(1)に設定されていないと判断すると、ステップS46で温水化プロセスフラグが(2)に設定されているか否かを判断する。ここで温水化プロセスフラグが(2)に設定されていると判断した場合にはステップS47の温水化プロセス処理2へ移行し、温水化プロセスフラグが(2)に設定されていないと判断した場合にはステップS48へ移行する。
制御回路59のCPUはステップS48へ移行すると、温水化プロセスフラグが(3)に設定されているか否かを判断する。ここで温水化プロセスフラグが(3)に設定されていると判断した場合にはステップS49の温水化プロセス処理3へ移行し、温水化プロセスフラグが(3)に設定されていないと判断した場合にはステップS50で温水化プロセスフラグが(4)に設定されているか否かを判断する。ここで温水化プロセスフラグが(4)に設定されていると判断した場合にはステップS51の温水化プロセス処理4へ移行し、温水化プロセスフラグが(4)に設定されていないと判断した場合には今回のタイマ割込み処理を終える。即ち、ステップS45の温水化プロセス処理1とステップS47の温水化プロセス処理2とステップS49の温水化プロセス処理3とステップS51の温水化プロセス処理4は温水化プロセスフラグの値の設定状態に応じて択一的に実行されるものである。
図12はステップS45の温水化プロセス処理1であり、制御回路59のCPUはステップS61でタイマT1の値から一定値(1sec)を減算し、ステップS62でタイマT2の値から一定値(1sec)を減算する。タイマT1の値は泡監視時間の選択結果の最長値が設定されるものであり、タイマT2の値は洗い時間(>泡監視時間の選択結果の最長値)が設定されるものであり、タイマT1の値はタイマT2の値に比べて先に限度値(0)に到達する。
制御回路59のCPUはステップS62でタイマT2の値を減算すると、ステップS63でタイマT1の値の減算結果を限度値(0)と比較する。ここでタイマT1の値の減算結果が限度値に到達していないと判断した場合にはステップS64で泡量センサ28からの泡量信号を検出し、ステップS65で泡量信号の検出結果をROMに予め記録された閾値と比較する。この閾値は衣類の重量に応じた量を上回る過大な量の洗剤が水受槽2内に投入されているか否かを判定するためのものであり、制御回路59のCPUはタイマT1の値の減算結果が限度値に到達する前に水受槽2内で許容量を上回る洗剤の泡が発生した場合にはステップS65で泡量信号の検出結果が閾値以上に上昇したと判断する。即ち、許容量とは衣類の重量に応じた適切な泡量を上回る過大な泡量である。
制御回路59のCPUはステップS65で泡量信号の検出結果が閾値以上に上昇したと判断すると、ステップS66で排水弁16を閉鎖状態から開放状態に切換えることで水受槽2内の水道水を排水開始する。そして、ステップS67でインバータ制御回路62に運転停止コマンドを送信することでドラムモータ3を運転停止し、ステップS68で温水化プロセスフラグの値に(2)を設定する。
制御回路59のCPUはステップS65で泡量信号の検出結果が閾値以上に上昇したと判断することなくステップS63でタイマT1の値の減算結果が限度値に到達したと判断すると、ステップS69で温水ヒータ30をオフ状態からオン状態に切換えることで水受槽2内の水道水を加熱開始し、ステップS70でタイマT1の値にROMに予め記録されたリミット時間(7分)を設定する。このリミット時間は洗い時間(15分)から泡監視時間テーブル1〜泡監視時間テーブル4のそれぞれでの最長の泡監視時間(8分)を減算した値に設定されたものであり、制御回路59のCPUはステップS70でタイマT1の値を設定した場合にはステップS71で温水化プロセスフラグの値に(4)を設定する。
図13はステップS47の温水化プロセス処理2である。この温水化プロセス処理2は温水化プロセスフラグの値が(2)に設定されている場合に実行されるものであり、温水化プロセスフラグの値が(2)に設定されている場合には水受槽2内から水道水が排出されている。この温水化プロセス処理2ではタイマT1の値およびタイマT2の値のそれぞれが減算されず、ドラムモータ3のオフ状態で洗い時間の計測処理が中断する。
制御回路59のCPUはステップS81で水位センサ26からの水位信号を検出し、ステップS82で水位信号の検出結果をROMに予め記録された排水完了値と比較する。この排水完了値は水受槽2内から水道水が全て排出されたか否かを判断するための閾値であり、制御回路59のCPUはステップS82で水位信号の検出結果が排水完了値に到達したと判断した場合にはステップS83で排水弁16を開放状態から閉鎖状態に切換える。そして、ステップS84で給水弁8を閉鎖状態から注水状態に切換えることで水受槽2に対する水道水の注入を再開し、ステップS85で温水化プロセスフラグの値に(3)を設定する。
図14はステップS49の温水化プロセス処理3である。この温水化プロセス処理3は温水化プロセスフラグの値が(3)に設定されている場合に実行されるものであり、温水化プロセスフラグの値が(3)に設定されている場合には水受槽2内に水道水が注入されている。この温水化プロセス処理3ではタイマT1の値およびタイマT2の値のそれぞれが減算されず、ドラムモータ3のオフ状態で洗い時間の計測処理が中断する。
制御回路59のCPUはステップS91で水位センサ26からの水位信号を検出し、ステップS92で水位信号の検出結果をステップS10の水位の設定結果と比較する。ここで水位信号の検出結果が水位の設定結果に到達したと判断した場合にはステップS93で給水弁8を注水状態から閉鎖状態に切換えることで水受槽2内に対する水道水の注入を停止し、ステップS94でインバータ制御回路62に運転開始コマンドを送信する。そして、ステップS95でタイマT1の値にステップS31の泡監視時間の選択結果の最長値を再設定し、ステップS96で温水化プロセスフラグの値に(1)を設定する。このインバータ制御回路62は運転開始コマンドを受信することでドラムモータ3の洗い速度での運転を再開する。
制御回路59のCPUはステップS96で温水化プロセスフラグの値に(1)を設定すると、タイマ割込み処理が起動する毎に図12の温水化プロセス処理1を実行し、図12の温水化プロセス処理1でタイマT1の値を泡監視時間の再設定結果を基準値として減算し、タイマT2の値をドラムモータ3の運転を中断した時点での値を基準値として減算する。この温水化プロセス処理1でタイマT1の値の減算結果が限度値に到達する前に泡量信号の検出結果が閾値以上に上昇したと判断した場合には水受槽2内から水道水を再び排出し、ドラムモータ3を運転停止し、温水化プロセスフラグの値を(2)に設定する。この温水化プロセス処理1で泡量信号の検出結果が閾値以上に上昇したと判断することなくタイマT1の値の減算結果が限度値に到達したと判断した場合には温水ヒータ30をオフ状態からオン状態に切換えることで水受槽2内の水道水を加熱開始し、タイマT1の値にリミット時間を設定し、温水化プロセスフラグの値に(4)を設定する。
図15はステップS51の温水化プロセス処理4である。この温水化プロセス処理4は温水化プロセスフラグの値が(4)に設定されている場合に実行されるものであり、温水化プロセスフラグの値は水受槽2内で過大な量の泡が発生することなく泡監視時間の選択結果の最長値が経過した場合に(4)に設定される。
制御回路59のCPUはステップS101でタイマT1の値から一定値(1sec)を減算し、ステップS102でタイマT2の値から一定値(1sec)を減算し、ステップS103で水温センサ14からの水温信号を検出する。この水温信号の検出結果は温水ヒータ30で加熱された水道水の温度であり、制御回路59のCPUはステップS103で水温信号を検出した場合にはステップS104でタイマT1の値の減算結果が限度値(0)に到達したか否かを判断する。ここでタイマT1の値の減算結果が限度値(0)に到達したと判断した場合にはステップS106で温水ヒータ32をオフし、ステップS107へ移行する。
制御回路59のCPUはステップS104でタイマT1の値の減算結果が限度値に到達していないと判断すると、ステップS105で水温信号の検出結果をROMに予め決められたリミット温度と比較する。ここで水温信号の検出結果がリミット温度に到達したと判断した場合にはステップS106で温水ヒータ30をオフし、ステップS107へ移行する。即ち、温水ヒータ30は洗い処理でドラムモータ3が運転開始されてから泡監視時間の選択結果の最長値が経過しても過大な量の泡が発生しなかった場合には泡監視時間の選択結果の最長値が経過したことを基準にオンされるものであり、温水ヒータ30がオンされた場合には温水ヒータ30のオンを基準にリミット時間が経過した場合または水温センサ14からの水温信号がリミット温度に到達した場合にオフされる。
上記実施例1によれば次の効果を奏する。
温水洗浄モードがオン状態に設定されている場合には洗い処理を温水ヒータ30のオフ状態で開始し、水受槽2内に許容量を上回る洗剤の泡が発生していると判断されることなく泡監視時間が経過したと判断された場合に温水ヒータ30を電気的なオフ状態からオン状態に切換えることで水受槽2内の洗剤分を含有する水道水を加熱開始し、泡監視時間が経過したと判断される前に水受槽2内に許容量を上回る洗剤の泡が発生していると判断された場合には水受槽2内から洗剤分を含有する加熱前の水道水を排出した。即ち、水受槽2内から洗剤分を含有する水道水を排出しないことが確定した場合に温水ヒータ30をオフ状態からオン状態に切換え、水受槽2内から洗剤分を含有する水道水を排出しないことが確定していない場合には温水ヒータ32をオフ状態からオン状態に切換えないようにしたので、水受槽2内の水道水を温水化しておきながら排出するエネルギーの無駄がなくなる。
泡監視時間テーブル1から布量の検出結果に応じた1つの泡監視時間を選択したので、水受槽2内で泡の発生が始まってから泡の発生量が許容量を上回るまでに必要な時間がドラム4内の布量の多少に応じて変動するもののドラム4内の布量の多少に応じた短い値に泡監視時間が設定される。泡監視時間テーブル2から布質の検出結果に応じた1つの泡監視時間を選択したので、水受槽2内で泡の発生が始まってから泡の発生量が許容量を上回るまでに必要な時間がドラム4内の衣類の化繊の混合率の多少に応じて変動するものの化繊の混合率の多少に応じた短い値に泡監視時間が設定される。
泡監視時間テーブル3から運転コースの設定結果に応じた1つの泡監視時間を選択したので、水受槽2内で泡の発生が始まってから泡の発生量が許容量を上回るまでに必要な時間がドラム4による水の撹拌力の強弱に応じて変動するものの撹拌力の強弱に応じた短い値に泡監視時間が設定される。泡監視時間テーブル4から水温の検出結果に応じた1つの泡監視時間を選択したので、水受槽2内で泡の発生が始まってから泡の発生量が許容量を上回るまでに必要な時間が加熱前の水温の高低に応じて変動するものの水温の高低に応じた短い値に泡監視時間が設定される。
温風ヒータ装置25のヒータケース31内に左前突部33および右前突部34を設けた。このため、PTCヒータ32がヒータケース31内で後から前に向けて位置ずれした場合にはPTCヒータ32の左前当て板50がヒータケース31の左前突部33に接触し、PTCヒータ32の右前当て板51がヒータケース31の右前突部34に接触し、PTCヒータ32がヒータケース31内で後から前に向けて位置ずれした状態に保持される。これら左前突部33および右前突部34がPTCヒータ32を保持した状態では左ヒータ素子39の前端面およびヒータケース31の前板の後面相互間に隙間が形成され、共通電極板42の前端面およびヒータケース31の前板の後面相互間に隙間が形成され、右ヒータ素子43の前端面およびヒータケース31の前板の後面相互間に隙間が形成され、左電極板41および右電極板44相互間のヒータケース31の前板の後面を介する沿面距離が左前突部33および右前突部34の双方が存在しない場合に比べて長くなる。このため、洗い処理で水受槽2内に充満した洗剤の泡が行き場をなくして除湿ダクト18の入口からファンケーシング20およびヒータダクト21を通してヒータケース31の前板の後面に付着した場合に左電極板41および共通電極板42相互間でのトラッキングが発生し難くなり、左電極板41および右電極板44相互間でのトラッキングが発生し難くなり、共通電極板42および右電極板44相互間でのトラッキングが発生し難くなる。
図19の洗い処理は制御回路59のCPUが図10の洗い処理に換えて実行するものであり、制御回路59のCPUはステップS121でタイマT2の値に洗い時間(15分)を設定し、ステップS122でインバータ制御回路62に運転開始コマンドを送信することでドラムモータ3の洗い速度での運転を開始する。そして、ステップS123で温水ヒータ30をオンし、ステップS124でタイマT2の値を限度値(0)と比較する。このタイマT2の値は図20のタイマ割込み処理で減算されるものであり、制御回路59のCPUはステップS124でタイマT2の値が限度値に到達したと判断した場合にはステップS125でRAMのドラム停止中フラグがオフ状態に設定されているか否かを判断する。このドラム停止中フラグは洗い処理でドラムモータ3が運転停止しているか否かを示すものであり、ステップS1でオフ状態に初期設定される。
制御回路59のCPUはステップS125でドラム停止中フラグがオフ状態に設定されていると判断した場合にはステップS126でインバータ制御回路62に運転停止コマンドを送信することでドラムモータ3を運転停止し、ステップS125でドラム停止中フラグがオン状態に設定されていると判断した場合にはステップS127でドラム停止中フラグをオフ状態に設定し、いずれの場合にもステップS128で温水洗浄フラグがオン状態に設定されているか否かを判断する。ここで温水洗浄フラグがオン状態に設定されていると判断した場合にはステップS129で温水ヒータ30をオフし、ステップS130で温水洗浄フラグをオフ状態に設定する。
図20のタイマ割込み処理は制御回路59のCPUが図11のタイマ割込み処理に換えて実行するものであり、制御回路59のCPUはステップS141でタイマT2の値が限度値(0)に比べて大きいか否かを判断する。ここでタイマT2の値が限度値(0)に比べて大きいと判断した場合にはステップS142へ移行し、タイマT2の値から一定値(1sec)を減算する。
制御回路59のCPUはステップS143へ移行すると、温水洗浄フラグがオン状態に設定されているか否かを判断する。ここで温水洗浄フラグがオン状態に設定されていると判断した場合にはステップS144へ移行し、ドラム停止中フラグがオフ状態に設定されているか否かを判断する。ここでドラム停止中フラグがオフ状態に設定されていると判断した場合にはステップS145で泡量センサ28からの泡量信号を検出し、ステップS146で泡量信号の検出結果を閾値と比較する。
制御回路59のCPUはステップS146で泡量信号の検出結果が閾値に到達していないと判断すると、ステップS147で水温センサ14からの水温信号を検出し、ステップS148で水温信号の検出結果をリミット温度と比較する。ここで水温信号の検出結果がリミット温度に到達していると判断した場合にはステップS149で温水ヒータ30をオフし、ステップS150で温水洗浄フラグをオフ状態に設定し、ステップS151でドラム停止中フラグをオフ状態に設定する。即ち、温水ヒータ30は洗い処理でドラムモータ3が運転開始されたことを基準にオンされるものであり、洗い処理で許容量を上回る量の泡が発生することなく水受槽2内の水道水がリミット温度に昇温した場合には温水ヒータ30がオフされる。この温水ヒータ30がオフされた場合には温水ヒータ30のオフ状態およびドラムモータ3のオン状態で洗い時間が経過するまで洗い処理が継続する。
制御回路59のCPUはステップS146で泡量信号の検出結果が閾値に到達していると判断すると、ステップS152でインバータ制御回路62に運転停止コマンドを送信することでドラムモータ3を運転停止し、ステップS153でドラム停止中フラグをオン状態に設定する。このドラム停止中フラグのオン状態ではステップS144からステップS147へ移行し、ステップS147で水温センサ14からの水温信号を検出し、ステップS148で水温信号の検出結果をリミット温度と比較する。このリミット温度は加熱停止条件に相当するものであり、制御回路59のCPUはステップS148で水温信号の検出結果がリミット温度に到達していると判断した場合にはステップS149で温水ヒータ30をオフし、ステップS150で温水洗浄フラグをオフ状態に設定し、ステップS151でドラム停止中フラグをオフ状態に設定する。即ち、洗い処理で水受槽2内の水道水がリミット温度に昇温する前に許容量を上回る量の泡が発生した場合にはドラムモータ3がオフされ、ドラムモータ3がオフされた場合にはドラムモータ3のオフ状態および温水ヒータ30のオン状態で洗い処理が継続する。この温水ヒータ30は水受槽2内の水道水がリミット温度に昇温した場合にオフされるものであり、温水ヒータ30がオフされた場合にはドラムモータ3および温水ヒータ30のそれぞれのオフ状態で洗い時間が経過するまで洗い処理が継続する。
上記実施例3によれば次の効果を奏する。
温水洗浄モードがオン状態に設定されている場合には洗い処理を温水ヒータ30のオン状態で開始し、水温信号の検出結果がリミット温度に到達したと判断される前に水受槽2内に許容量を上回る洗剤の泡が発生していると判断された場合にはドラムモータ3をオン状態からオフ状態に切換えた。このため、水受槽2内の洗剤の泡がドラム4の撹拌力で成長することを抑えながら洗い処理を継続することができるので、水受槽2内の水を温水化しておきながらも排出するエネルギーの無駄がなくなる。
上記実施例1においては、泡監視時間として布量の検出結果と布質の検出結果と運転コースの設定結果と水温の検出結果のいずれにも無関係な固定された値を使用しても良い。
上記実施例1においては、泡監視時間テーブル1〜4のうちの3つまたは2つまたは1つを使用し、布量と布質と運転コースと水温の4つの条件のうちの3つまたは2つまたは1つに応じて泡監視時間を選択しても良い。
上記実施例1においては、予め決められた複数の閾値のうちから布量の検出結果と布質の検出結果と運転コースの設定結果と水温の検出結果のうちの4つまたは3つまたは2つまたは1つに応じたものを選択し、図12のステップS65で閾値の選択結果を使用しても良い。
上記実施例2においては、図18のステップS164で泡量信号の検出結果が閾値以上であると判断された場合にステップS165でEEPROMの泡監視時間をタイマT1の値に応じた時間だけ延長する構成としても良い。この構成の場合には(リミット時間−タイマT1の値)を演算し、EEPROMの泡監視時間に(リミット時間−タイマT1の値)を加算することでEEPROMの泡監視時間を延長すると良い。
上記実施例2においては、予め決められた複数の閾値のうちから水位の設定結果に応じたものを選択し、図17のステップS65で閾値の選択結果を使用しても良い。
上記実施例1〜2のそれぞれにおいては、図13のステップS82で水位信号の検出結果が最低水位に比べて低い極低水位(>0)に到達したか否かを判断し、水位信号の検出結果が極低水位に到達したと判断した場合にステップS83で排水弁16を開放状態から閉鎖状態に切換える構成としても良い。即ち、泡監視時間が経過したと判断される前に水受槽2内に許容量を上回る洗剤の泡が発生していると判断された場合に水受槽2内から加熱前の水道水を一部だけ残して排出しても良い。
上記実施例3においては、予め決められた複数の閾値のうちから水位の設定結果に応じたものを選択し、図20のステップS146で閾値の選択結果を使用しても良い。
上記実施例1〜3のそれぞれにおいては、PTCヒータ32の左電極板41および右電極板44相互間に左ヒータ素子39および右ヒータ素子43のうちの一方のヒータ素子を配置しても良い。この構成の場合には一方のヒータ素子の左側面の複数の放熱フィンのそれぞれを左電極板41に接続し、一方のヒータ素子の右側面の複数の放熱フィンのそれぞれを右電極板に接続すると良い。
上記実施例1〜3のそれぞれにおいては、ヒータケース31の前板の後面を平面状に設定しても良い。この構成の場合にはヒータケース31の成形後にヒータケース31の前板および左電極板41の左前当て板50相互間に絶縁性の合成樹脂または絶縁性のセラミックからなる左前突部を介在し、ヒータケース31の前板および右電極板45の右前当て板51相互間に絶縁性の合成樹脂または絶縁性のセラミックからなる右前突部を介在すると良い。
[発明を実施するための形態]には特許請求の範囲に記載された発明に加えて次の[発明1]〜[発明5]が記載されている。
[発明1]
水を受ける水受槽と、
前記水受槽内に設けられ、衣類が投入される洗濯槽と、
前記水受槽に接続された入口および出口のそれぞれを有する循環ダクトと、
前記水受槽内の空気を前記循環ダクトの入口から出口に向けて循環させる送風機と、
前記循環ダクト内に設けられ、相互に対向する第1の壁面および第2の壁面を有すると共に当該第1の壁面および当該第2の壁面相互間に介在された第3の壁面を有する絶縁性のヒータケースと、
前記ヒータケース内に設けられ、前記ヒータケースの第1の壁面に対向する第1の電極板および第2の壁面に対向する第2の電極板を含む2以上の電極板と、
前記ヒータケース内に設けられ、前記2以上の電極板のうちの1つに隙間を介して対向する電極面および当該1つの電極板に隣接する電極板に隙間を介して対向する電極面を有するものであって当該1つの電極板および当該隣接する電極板を通して電源が供給される1以上のヒータ素子と、
前記ヒータケースの第3の壁面および前記第1の電極板相互間に設けられ、前記ヒータケースの第3の壁面から前記ヒータケース内に向けて突出するものであって前記第1の電極板を支持する絶縁材製の第1の保持部と、
前記ヒータケースの第3の壁面および前記第2の電極板相互間に設けられ、前記ヒータケースの第3の壁面から前記ヒータケース内に向けて突出するものであって前記第2の電極板を支持する絶縁材製の第2の保持部を備え、
前記ヒータケースは、前記送風機の運転状態で空気が内部に進入するものであり、
前記1以上のヒータ素子は、電源が供給されることで発熱して空気を前記ヒータケース内で加熱するものであることを特徴とする洗濯機。
[発明2]
前記複数の電極板のうちの1つおよび当該1つの電極板に隣接するヒータ素子相互間に設けられ、当該電極板および当該ヒータ素子の電極面相互間を電気的に接続するものであって当該電極板および当該ヒータ素子相互間の並び方向に対して交差する方向に配列された導電性の複数の放熱フィンを備え、
前記複数の放熱フィンのそれぞれは、隣接する放熱フィンに隙間を介して対向するものであり、
前記ヒータケースの第1の保持部および前記第2の保持部のそれぞれの第3の壁面に対する突出量は、前記放熱フィン相互間の隙間寸法に比べて大きく設定されていることを特徴とする発明1に記載の洗濯機。
[発明3]
前記第1の保持部材は、前記ヒータケースの成形後に前記ヒータケースの第3の壁面および前記第1の電極板相互間に介在された絶縁性の合成樹脂からなるものであり、
前記第2の保持部材は、前記ヒータケースの成形後に前記ヒータケースの第3の壁面および前記第2の電極板相互間に介在された絶縁性の合成樹脂からなるものであることを特徴とする発明1〜2のいずれかに記載の洗濯機。
[発明4]
前記第1の保持部材および前記第2の保持部材のそれぞれは、絶縁性のセラミックからなることを特徴とする発明1〜2のいずれかに記載の洗濯機。
[発明5]
前記第1の保持部材は、前記ヒータケースの成形後に前記ヒータケースの第3の壁面および前記第1の電極板相互間に介在されたものであり、
前記第2の保持部材は、前記ヒータケースの成形後に前記ヒータケースの第3の壁面および前記第2の電極板相互間に介在されたものであることを特徴とする発明4に記載の洗濯機。
[発明1]〜[発明5]のそれぞれは次の[背景技術]に鑑みてなされたものであり、次の[発明の効果]は[発明1]〜[発明5]のそれぞれから得られるものである。
[背景技術]
洗濯機には循環ダクトを備えたものがある。この循環ダクトは水受槽に接続された入口および出口のそれぞれを有するものであり、循環ダクト内には温風ヒータ装置が収納されている。この温風ヒータ装置はヒータケースと1以上のヒータ素子と2以上の電極板を有するものである。ヒータ素子は電極板を通して電源が供給されることで発熱して空気を加熱するものであり、ヒータケースはヒータ素子および電極板が収納されたものであり、送風機の運転状態では水受槽内の空気が循環ダクトの入口から出口に向けて循環し、送風機および温風ヒータ装置のそれぞれの運転状態ではヒータ素子がヒータケース内で空気を加熱することで水受槽内に温風を送る。この洗濯機の場合には洗い処理で水受槽内に充満した洗剤の泡が行き場をなくして循環ダクトの入口から循環ダクト内に進入し、ヒータケースの内面に付着した場合には電極板相互間でトラッキングが生じる虞れがある。
[発明の効果]
第1の電極板および第2の電極板相互間のヒータケースの第3の壁面を介する沿面距離が長くなるので、第1の電極板をヒータケース内で保持する第1の保持部および第2の電極板をヒータケース内で保持する第2の保持部を利用して第1の電極板および第2の電極板相互間でのトラッキングを抑えることができる。図1の除湿ダクト18と送風ダクト19とファンケーシング20とヒータダクト21は循環ダクトに相当するものであり、徐湿ダクト18の入口は循環ダクトの入口に相当し、送風ダクト19の出口は循環ダクトの出口に相当し、ファンモータ22およびファン23は送風機に相当する。図3の左電極板41は第1の電極板に相当し、図3の右電極板44は第2の電極板に相当し、図3の共通電極板42は電極板に相当するものであり、図3の左ヒータ素子39および右ヒータ素子43のそれぞれはヒータ素子に相当する。図3の符号31はヒータケースであり、ヒータケース31の左側板の内面は第1の壁面に相当し、ヒータケース31の右側板の内面は第2の壁面に相当し、ヒータケース31の前板の内面は第3の壁面に相当し、ヒータケース31の左前突部50は第1の保持部に相当し、ヒータケース31の右前突部51は第2の保持部に相当する。