JP5214011B2 - 電気分散等価回路 - Google Patents

電気分散等価回路 Download PDF

Info

Publication number
JP5214011B2
JP5214011B2 JP2011249557A JP2011249557A JP5214011B2 JP 5214011 B2 JP5214011 B2 JP 5214011B2 JP 2011249557 A JP2011249557 A JP 2011249557A JP 2011249557 A JP2011249557 A JP 2011249557A JP 5214011 B2 JP5214011 B2 JP 5214011B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
circuit
delay
differential
output
buffer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011249557A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012060666A (ja
Inventor
敏洋 伊藤
公一 佐野
浩一 村田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2011249557A priority Critical patent/JP5214011B2/ja
Publication of JP2012060666A publication Critical patent/JP2012060666A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5214011B2 publication Critical patent/JP5214011B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Near-Field Transmission Systems (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)

Description

本発明は、電気分散等化回路に関し、光ファイバ中を伝搬する光信号を光電変換した後に、電気的に信号処理を施すことによって、信号波形を整形する電気回路の分野に属する。
近年、光ファイバアクセスやADSL(Asymmetrical Digital Subscriber Line)等の技術を利用した高速インターネットの普及に伴い、光ファイバにより構築された基幹回線において、より広帯域・長距離に亘り信号を確実に伝送することを可能とする技術が求められている。
一般に、基幹回線においては、波長多重化された光信号が用いられており、光信号が減衰した際に、光ファイバアンプを用いて、まとめて増幅することによって、何千kmにも亘る伝送を、光電変換して電気信号に戻してから信号再生を行うことなく、光信号のままで、効率的な長距離伝送を行うように構成している。
しかしながら、伝送距離の延伸、WDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)方式による波長の高密度化、1チャネル当たりの伝送速度の増加に従い、信号波形の劣化が激しくなってくるため、減衰した光強度を光ファイバアンプで増幅するだけでは、十分に低いBER(Bit Error Ratio:ビット誤り率)を確保することができなくなってくる。
信号波形の主な劣化要因としては、CD(Chromatic Dispersion:波長分散)、PMD(Polarization Mode Dispersion:偏波モード分散)等がある。ここで、CDは、波長によって光ファイバを伝搬する速度が異なることを意味している。一般に、変調された光信号の波長は、完全に単一の波長ではなく、変調速度に応じた波長幅を有しているため、光ファイバ中を信号パルスが伝搬するにつれて、CDによって、信号パルスが次第に歪んできて、パルス幅が広がってきてしまう。
また、PMDは、光ファイバ中を伝搬する光信号の2つの偏光モードの伝搬速度が異なることを意味しているが、該PMDによっても、CDによる信号波形の劣化と類似した波形の劣化が生じてしまう。光ファイバ中を伝搬する光信号は、一般に、或る偏光の向きを有しているが、光信号が光ファイバを伝搬する際に、この偏光が2つの偏光モードに分離して伝搬する。しかし、PMDのために、長い距離を伝搬すると、両者の偏光モードのずれ量により、パルス幅が広がったり、さらには、1つのパルスが2つに分離したりするなどの波形の乱れが生じてしまう。
信号のビットレートが低いときには、CDによるパルス幅の広がりやPMDによる偏光モードのずれ量は、信号の1ビット当たりの時間幅と比べて小さく、隣のビットと干渉し合うISI(Inter-Symbol Interference:符号間干渉)が発生する頻度は少ないので、BER(ビット誤り率)に対する影響は小さい。しかし、信号のビットレートが高くなればなるほど、隣接するビットと干渉し易くなり、通信エラーが増加するという問題が生じる。
CD,PMD以外にも、信号波形の劣化要因として、例えば、帯域制限光フィルタによる波形劣化、非線形効果などが挙げられる。
これらの信号波形の劣化を抑制する方法として、例えば、CDについて言えば、光学的に波長分散を補償する分散補償ファイバを光ファイバとして用いる方法などの、光学的な方法も提案されている。しかし、光学的な方法だけを用いて改善することが可能な波長分散の量としては限界があり、また、補償することができる波形劣化の要因についても限定されてしまう。
一方、最近は、基幹回線で用いられる10Gbit/s,40Gbit/s程度にも及ぶ高速の信号に関する信号劣化を改善する別の方法として、EE(Electronic Equalizer:電気等化回路)を用いた手法が注目されている。EE(電気等化回路)を用いた手法が注目されるのは、光学的な方法を用いる場合に比べて、小型、低価格、かつ、応答が高速であり適応等化が比較的し易く、また、種々の波形劣化要因に適用し易いというメリットがあるためである。
ここに、EE(電気等化回路)は、乱れた信号波形を電気的に等化するための回路であり、主に、以下の3種類の回路構成が用いられている。
すなわち、FFE(Feed Forward Equalizer:フィード・フォワード型等化回路)、DFE(Decision Feedback Equalizer:判定帰還型等化回路)、MLSE(Maximum Likelihood Sequence Estimation:最尤系列推定法)型の等化回路の3種である。このうち、前2者はアナログ等化回路であり、最後のMLSE型の等化回路はデジタル等化回路である。
なかでも、FFE型の等化回路は、構成が比較的容易であることのみならず、各種のISI(符号間干渉)の中でも、或るビットの波形が後ろのビットに影響を与えているISIについてのみ等化し、それ以外については等化することができないというDFE型の等化回路とは異なり、ビットの前・後ろの両方の信号(つまり両方のビット)のISIを等化することができる。また、MLSE型の等化回路では、信号のレートと同程度以上の速度のA/D変換器が必要になり、10Gbit/sクラスの高速の信号を取り扱うためには、精度や消費電力の面から、まだ実用上の困難が伴う点が多い技術であるのに対して、FFE型の等化回路は、高速信号に対しても、実用性が高く、現状でも最も広く用いられている。
従来技術におけるFFE型の等化回路(タップ数が3の場合)の構成は、図8のような構成になっていて、入力バッファ1と出力バッファ5との間には、タップ数N(N:2以上の整数)に応じた複数個の遅延回路(タップ数がN個の場合、(N−1)個の遅延回路。図8の3タップ構成の場合、第1の遅延回路21、第2の遅延回路22の2個)、複数個の乗算回路(タップ数がN個の場合、N個の乗算回路。図8の場合、第1の乗算回路31、第2の乗算回路32、第3の乗算回路33の3個)、および、複数個の加算回路(タップ数がN個の場合、(N−1)個の加算回路。図8の場合、第1の加算回路41、第2の加算回路42の2個)が必要である。
遅延回路(第1の遅延回路21、第2の遅延回路22)は、縦列接続され、入力バッファ1からの入力信号を、あらかじめ決められた一定の遅延時間ずつ順次遅延させて出力する機能を有する。
乗算回路(第1の乗算回路31、第2の乗算回路32、第3の乗算回路33)は、入力バッファ1および各遅延回路(第1の遅延回路21、第2の遅延回路22)からそれぞれの乗算回路に入力される入力信号に対して、各乗算回路ごとに指定された一定のタップ係数(それぞれ、タップ係数a1,a2,a3)を乗じた信号を出力する機能を有する。通常、タップ係数(タップ係数a1,a2,a3)の値としては、−1〜1の範囲内の値を採るように設計される。
また、加算回路(第1の加算回路41、第2の加算回路42)は、2つの入力信号を足し合わせた信号を出力する機能を有し、まず、第1の乗算回路31、第2の乗算回路32からの入力信号を加算し、しかる後、第1の乗算回路31、第2の乗算回路32からの入力信号の加算結果と第3の乗算回路33からの入力信号とを加算することによって、各乗算回路(第1の乗算回路31、第2の乗算回路32、第3の乗算回路33)からの入力信号を順次加算する機能を有する。
なお、FFE型の等化回路を構成する各遅延回路、各乗算回路、各加算回路は、全て線形の演算回路である。したがって、最終段の出力バッファ5にリミッタアンプを用いる場合の出力バッファを除けば、図8のFFE型の等化回路全体は、線形の信号処理を行う回路となる。つまり、入力されてくる信号をあらかじめ定めた一定の遅延時間ずつ遅延させながら、あらかじめ定めた或る係数を乗じて、足し合わせることによって、PMD等の波形劣化要因が加わったとき、該波形劣化要因を打ち消すような特性を生み出すことができる。
図8のような構成を利用した既存技術としては、例えば、非特許文献1のM.Nakamuraによる“Electrical PMD equalizer ICs for a 40-Gbit/s transmission”,TuG4 OFC2005,(2005)が挙げられる。該非特許文献1に記載の図8のような既存技術においては、各タップ係数a1,a2,a3を入力するためのタップが接続されている乗算回路(第1の乗算回路31、第2の乗算回路32、第3の乗算回路33)それぞれを入力信号が通過していく場合について、FFE型の等化回路(IC)の信号通過経路すなわち入力バッファ1から出力バッファ5に至るまでに通過する各演算回路の経路を記述すると、以下のようになる。
第1の乗算回路31を通過する場合、つまり、タップ1スルーの経路の場合、 入力バッファ1→第1の乗算回路31→第1の加算回路41→第2の加算回路42→出力バッファ5の経路である。
第2の乗算回路32を通過する場合、つまり、タップ2スルーの経路の場合、 入力バッファ1→第1の遅延回路21→第2の乗算回路32→第1の加算回路41→第2の加算回路42→出力バッファ5の経路である。
第3の乗算回路33を通過する場合、つまり、タップ3スルーの経路の場合、 入力バッファ1→第1の遅延回路21→第2の遅延回路22→第3の乗算回路33→第2の加算回路42→出力バッファ5の経路である。
すなわち、タップ係数a1を乗算する第1の乗算回路31のタップ1を経由する場合と、タップ係数a2を乗算する第2の乗算回路32のタップ2を経由する場合との信号の遅延時間の差(タップ遅延時間DT12)は、ほぼ、第1の遅延回路21を経由する時間で決定されることがわかる。また、タップ係数a2を乗算する第2の乗算回路32のタップ2を経由する場合と、タップ係数a3を乗算する第3の乗算回路33のタップ3を経由する場合との信号の遅延時間の差(タップ遅延時間DT23)は、ほぼ、第1の加算回路41を経由する時間と第2の遅延回路22を経由する時間との差で与えられることがわかる。
タップ遅延時間(つまりタップ遅延時間DT12,DT23)の設定としては、伝送ビット間隔と同じ時間に設定する整数型の場合と、伝送ビット間隔の半分の時間に設定する場合との2種類が広く使用されている。前と後ろの双方のビット干渉を取り除く機能のみを有する図8のような3タップ構成のFEE型の等化回路の場合には、タップ遅延時間DT12,DT23のいずれについても、伝送ビット間隔と同じ時間に設定する整数型の構成が用いられる。
タップ遅延時間(つまりタップ遅延時間DT12,DT23)は、前述のように、主に、遅延回路(第1の遅延回路21、第2の遅延回路22)の遅延時間によって決定される。遅延回路(第1の遅延回路21、第2の遅延回路22)の具体的な実現方法としては、基板上の配線を用い、該配線上を信号を伝搬させることによってあらかじめ定めた一定時間だけ遅延させるものと、利得(ゲイン)が“1”のバッファを用いて、該バッファを1ないし複数段遅延段として縦列接続することにより、あらかじめ定めた一定時間分だけ遅延させるものとの2種類が用いられている。
遅延回路の実現方法として基板上の配線を用いる方法は、バッファを用いる場合に比べて、消費電力が低いという利点があり、例えば、非特許文献2のS.Wada(NEC)らによる“Compensation for PMD-induced time-variant waveform distortions in 43-Gbit/s NRZ transmission by ultra-wideband electrical equalizer module”,IEEE OFC,OWE2(2006)にも提案されている。
しかしながら、非特許文献2に記載のような配線を用いる方法の場合、信号の伝送レートが十分に高速の場合でない限り、基板上に長い配線が必要となり、FFE型の等化回路のICチップサイズが大きくなってしまうという問題がある。
例えば、伝送レートが10Gbit/sの場合、図8に示すような3タップで、かつ、整数型の回路構成を実現しようとする場合には、第1の遅延回路21、第2の遅延回路22の遅延時間として、それぞれ、100psが必要となる。100psの遅延時間を配線によって実現しようとすると、比誘電率10のInPの基板上に配線する場合には、約10mmの長さの配線が必要になる。この結果、FFE型の等化回路として数mm角のICチップの中で実現しようとしても、ICチップサイズの増大を招いてしまう。
これに対して、利得(ゲイン)が“1”のバッファを遅延段として用いる方式の場合、基板上の配線を用いる場合に比較して、より多くの消費電力を要するという課題はあるものの、配線を長く引き回さなくても、遅延段を構成するバッファの遅延時間を利用して、所要の遅延時間を得ることができるため、チップサイズを小さくすることができるという利点が得られる。
M.Nakamura etal.,"Electrical PMD equalizer ICs for a 40-Gbit/s transmission",TuG4 OFC2005,(2005) S.Wada(NEC) etal.,"Compensation for PMD-induced time-variant waveform distortions in 43-Gbit/s NRZ transmission by ultra-wideband electrical equalizer module",IEEE OFC,OWE2(2006)
利得(ゲイン)が“1”のバッファを遅延回路の構成要素として用いる電気分散等化回路としては、例えば、前記非特許文献1に記載されている構成例が存在している。
該非特許文献1においては、40Gbit/sの光信号を等化するために、InP HBT(Hetero-junction Bipolar Transistor:ヘテロ接合バイポーラトランジスタ)を用いて、EE(電気等化回路)を構成している。このようなInP HBTを用いた回路の場合、前記非特許文献1には明示されていないが、利得(ゲイン)が“1”のバッファを用いた遅延回路として、例えば、図9のような回路構成を用いることが一般的である。
図9は、従来のFFE(フィード・フォワード型等化回路)を構成する遅延回路の構成を示すブロック構成図であり、図9(A)は、図8の第1の遅延回路21、第2の遅延回路22のいずれにも適用される遅延回路2のブロック構成を示し、図9(B)は、遅延回路2を構成する遅延用バッファBUFAの回路構成を示す回路図である。
図9(A)に示すように、遅延回路2は、あらかじめ定めた一定の遅延時間を得るために、1ないし複数個の遅延用バッファBUFAが縦列接続されて構成されている。各遅延用バッファBUFAは、利得(ゲイン)が“1”であり、図9(B)に示すように、差動入力端子dt,dcからの差動入力信号を増幅用トランジスタT11,T12に対して相補的に入力する差動対DA1と、該差動対DA1の出力正/補端子それぞれにベース端子が接続される出力用トランジスタT31,T41を有する2つの出力用のエミッタフォロアEF1A,EF2Aとが内包されて構成されている。2つのエミッタフォロアEF1A,EF2Aそれぞれからは、差動入力端子dt,dcからの差動入力信号に対して、差動対DA1によって決定される或る遅延時間だけ遅延した差動出力信号として差動出力端子qt,qcから出力される。
なお、図9(B)において、VCC,VEEは、それぞれ、コレクタ側電源電圧端子、エミッタ側電源電圧端子であり、VCSは、定電流用トランジスタT13,T32,T42を共通にオン・オフ制御するための定電流源制御用電圧端子である。また、レベルシフト用トランジスタT14,T33,T43は、いずれも整流用のダイオードとして機能する。
しかしながら、図9(A)に示すように、利得(ゲイン)“1”の遅延用バッファBUFAを多段に縦列接続して、遅延回路2として用いる場合、遅延用バッファBUFAの接続段数が増加するにつれて、差動出力端子qt,qcから出力される差動出力信号の信号特性に対して各遅延用バッファBUFAの回路構成に伴う影響が順次蓄積していき、差動出力端子qt,qcから出力される差動出力信号の信号特性に悪影響を及ぼすという問題が生じる。
特に、差動出力端子qt,qcから出力される差動出力信号の信号特性として重要な群遅延時間の平坦性については、遅延用バッファBUFAがわずかでも平坦ではない群遅延時間特性を有している場合には、かくのごとき遅延用バッファBUFAを多段に接続すると、各遅延用バッファBUFAにおける群遅延時間の非平坦性が順次蓄積していき、群遅延時間の平坦性が次第に劣化してくるという問題が生じる。
つまり、FFE型の等化回路として、群遅延時間の偏差が劣悪な遅延回路を用いると、以下のような問題が生じる。例えば、FFE型の等化回路に、PRBS(Pseudo Random Bit Stream:擬似ランダムビット列)からなるデジタル信号(差動入力信号)を入力した場合、このデジタル信号(差動入力信号)には広い範囲の周波数成分が含まれている。群遅延時間偏差が劣悪な遅延回路においては、周波数によって(デジタル信号の場合、ビット列によって)、遅延時間が変動してしまう。
例えば、光ファイバ中に20Gbit/s(つまり1bit当たりの時間間隔50ps)の差動信号を伝搬する場合には、ほぼ0〜20GHzの周波数範囲において、群遅延時間の偏差が1bit当たりの時間間隔50psに比して、十分に小さいことが必要である。
FFE型の等化回路からなるEDC(Electric Dispersion Compensation:電気分散補償)回路の後段に接続されるCDR(Clock and Data Recovery:クロック・データ再生)回路においては、周期的なクロック信号として再生されたタイミングに基づいて、EDC回路の出力信号を識別してデジタル信号に変換するため、EDC回路における群遅延時間の偏差に伴い、遅延時間に乱れが生じてしまった場合には、EDC回路の出力信号をデジタル信号として再生する際に、識別エラーが発生し、BER(Bit Error Ratio)が劣化するという問題が発生する。
例として、非特許文献1のように、InP HBTを用いて、図9(B)のような遅延用バッファBUFAを多段に接続して、図9(A)のような遅延回路2を構成した場合には、群遅延時間の平坦性の劣化は、各遅延用バッファBUFAの出力用として接続したエミッタフォロアEF1A,EF2Aの段数に比例して、顕著になってくる。InP HBTを用いたエミッタフォロアEF1A,EF2Aは、それ自体が、群遅延時間の平坦性を劣化させる性質を持っている。このため、何らかの手法を用いて、この劣化した群遅延時間の平坦性を補償しない限り、エミッタフォロアEF1A,EF2Aの段数が増加すればするほど、群遅延時間の平坦性は劣化していく。
図8に示すFFE型の等化回路を、InP HBTを用いて構成した場合に、1GHzに比して十分に低い周波数帯域(つまりほぼ0GHz近傍の低周波数帯域)における群遅延時間の値を基準にして0psと設定した場合の群遅延偏差の周波数依存性(ほぼ0GHzを基準とした群遅延時間の変化)について図10に示している。
図10において、タップ1スルーが示す曲線(実線)は、図8に示すように、第1の乗算回路31のタップ係数a1を“1”に設定し、他の第2の乗算回路32、第3の乗算回路33それぞれのタップ係数a2,a3を“0”に設定した場合の群遅延時間特性を示している。この場合は、信号は、3つの第1の乗算回路31、第2の乗算回路32、第3の乗算回路33のうち、第1の乗算回路31のみを経由して出力される。
タップ2スルーまたはタップ3スルーも、同様であり、それぞれ、第2の乗算回路32のタップ係数a2または第3の乗算回路33のタップ係数a3を“1”に設定し、他の第1の乗算回路32、第3の乗算回路33それぞれのタップ係数a1,a3または他の第1の乗算回路31、第2の乗算回路32それぞれのタップ係数a1,a2を“0”に設定した場合の群遅延時間特性を示し、それぞれ、第2の乗算回路32または第3の乗算回路33のみを経由して出力される場合を示している。
ここで、図8に示すように、タップ1スルー、タップ2スルー、タップ3スルーの順に、経由する遅延回路の個数が、“0”,“1”,“2”と増加してくる。つまり、タップ1スルー、タップ2スルー、タップ3スルーの順に、図8のFFE型の等化回路から出力される信号に対して遅延回路の回路特性が次第に蓄積していき、群遅延時間の特性が次第に劣化し、群遅延時間の平坦性が喪失していくことになり、図10のような周波数特性を示すことになる。
つまり、最も遅延回路の個数が多くなるタップスルー3の場合、群遅延時間の偏差が周波数に応じて大きく変動して、最大約40psにも及んでしまうため、例えば、高速信号として1チャネル当たりのレートが20Gb/s(つまり1bit当たりの時間間隔50ps)のRZ−DQPSK(Return to Zero−Differential Quadrature Phase Shift Keying:RZ型差動4相位相偏移変調)信号を用いた場合には、この入力信号の信号波形は、ジッタを多く含んだものになり、BER特性が劣化して、EDC(電気分散補償)回路の波形整形効果が十分には得られないという問題が生じる。
以上のように、従来の電気分散等化回路において、FFE型の等化回路として、遅延回路に遅延用バッファを用いる場合、多段に接続された遅延用バッファの群遅延時間の偏差が順次蓄積していき、これによって、遅延用バッファの段数が増加すればするほど、群遅延時間の平坦性が劣化していき、信号のジッタとなって、出力信号のQ値特性が劣化するという問題があった。また、FFE型の等化回路においては、信号が高速化するにつれて、遅延回路のみに限らず、乗算回路や加算回路においても、信号の群遅延時間の平坦性の劣化が問題になってくる。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、入力信号の波形を歪ませることなく、高速信号の波形整形が可能な電気分散等化回路を提供することを、その目的としている。
本発明は、前述の課題を解決するために、以下のごとき各技術手段から構成されている。
第1の技術手段は、入力端子と出力端子との間に、入力される差動入力信号を、あらかじめ定めた一定の遅延時間ずつ、順次、遅延させる複数の遅延回路と、入力される差動入力信号をあらかじめ指定したタップ係数それぞれと乗算する複数の乗算回路と、入力される差動入力信号を加算した結果を出力する複数の加算回路と、を少なくとも備え、複数の前記遅延回路、複数の前記乗算回路、複数の前記加算回路により演算された演算結果を、差動出力信号として、前記出力端子から出力する電気分散等化回路において、
複数の前記遅延回路、複数の前記乗算回路、複数の前記加算回路の各回路のうち、少なくとも一部の回路について、当該回路に内包される差動対からの差動出力信号を次段の回路に内包される差動対に直接入力する構成とし、
複数の前記遅延回路それぞれが、複数の遅延用バッファを多段に縦列接続して構成されており、複数の前記遅延回路のうち、いずれか1または複数の遅延回路について、それぞれの遅延回路を構成する複数の前記遅延用バッファの少なくとも一部の遅延用バッファが、差動入力信号を利得1で増幅する差動対のみからなる第2の遅延用バッファにより構成され、残りの遅延用バッファが、差動入力信号を利得1で増幅する差動対と該差動対からの差動出力信号を出力するための出力用のエミッタフォロアとからなる第1の遅延用バッファにより構成され、
前記第1の遅延用バッファは、出力回路を構成する前記出力用のエミッタフォロアの出力端子として、出力用トランジスタのエミッタ端子位置から第1の差動出力信号を取り出す第1の差動出力端子qt1,qc1と、前記出力用トランジスタのエミッタ端子にコレクタ端子とベース端子が接続されエミッタ端子が電流源に接続されるレベルシフト用トランジスタのエミッタ端子位置から第2の差動出力信号を取り出す第2の差動出力端子qt2,qc2との双方を備えて構成され、
前記第1の遅延用バッファと前記第2の遅延用バッファとから構成される前記1または複数の遅延回路において、前記第1の遅延用バッファの次段に前記第2の遅延用バッファを接続する構成では、前記第1の遅延用バッファの前記第2の差動出力端子qt2,qc2を出力端子として接続し、前記第1の遅延用バッファの次段に他の前記第1の遅延用バッファを接続する構成では、前記第1の遅延用バッファの前記第1の差動出力端子qt1,qc1を出力端子として接続していることを特徴とする電気分散等化回路。
第2の技術手段は、前記第1の技術手段に記載の電気分散等化回路において、次段の回路に内包される差動対に前記差動出力信号を直接入力する当該回路に内包される差動対の回路構成は、コレクタ側電源電圧端子と増幅用トランジスタそれぞれの負荷抵抗との間に、レベルシフト用トランジスタをそれぞれ接続していることを特徴とする電気分散等化回路。
第3の技術手段は、前記第1または2の技術手段に記載の電気分散等化回路において、複数の前記乗算回路のうち、少なくとも一部の乗算回路が、差動入力信号とあらかじめ指定したタップ係数とを乗算する乗算用双差動対のみにより構成され、残りの乗算回路が、差動入力信号とあらかじめ指定したタップ係数とを乗算する乗算用双差動対と該乗算用双差動対からの差動出力信号を出力するための出力用のエミッタフォロアとにより構成されていることを特徴とする電気分散等化回路。
第4の技術手段は、前記1ないし3の技術手段のいずれかに記載の電気分散等化回路において、複数の前記加算回路のうち、少なくとも一部の加算回路が、2つの差動入力信号を加算する2入力の加算用双差動対のみにより構成され、残りの加算回路が、2つの差動入力信号を加算する加算器用双差動対と該加算用双差動対からの差動出力信号を出力するための出力用のエミッタフォロアとにより構成されていることを特徴とする電気分散等化回路。
本発明の電気分散等化回路によれば、差動入力信号の電気的な等化を行う際に、群遅延時間の平坦性の劣化要因となる出力用のエミッタフォロアの段数を低減させる回路構成を採用している。
したがって、各差動対ごとに必ずエミッタフォロアペアを用いている従来の回路構成の場合に比して、群遅延時間の平坦性を改善し、もって、高速信号であっても、乱れた信号波形を確実に電気的に等化して、波形整形し、BER(ビット誤り率)を低減することができるという効果を奏することができる。
以下に、本発明に係る電気分散等化回路の最良の実施形態について、その一例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(本発明の概要)
本発明は、光ファイバ通信において、波長分散および偏波モード分散によって信号波形が劣化した信号を、光電変換後の電気信号において補償する電気分散等化回路に関するものである。本発明による電気分散等化回路は、FFE型の等化回路であり、当該等化回路を構成する遅延回路として、利得(ゲイン)が“1”の遅延用バッファ(バッファ回路)を、1ないし複数、多段に縦列接続した構成を用いている。
ここで、本発明においては、各遅延用バッファが差動対DA1とエミッタフォロアEF1A,EF2Aとが常にペアになって構成される図9に示したような従来の回路構成に代えて、少なくとも一部の遅延用バッファについて、差動対からの差動出力信号を出力するための出力用のエミッタフォロアを削除した回路構成とし、当該遅延用バッファに内包される差動対からの差動出力信号を、次段の回路に内包される差動対に直接入力する構成としている。
この結果、遅延回路内の出力用のエミッタフォロアの段数を削減することが可能な構成とし、もって、群遅延時間の平坦性を確保することを可能としている。
また、遅延回路を構成する1ないし複数の遅延用バッファについて、少なくとも群遅延時間の平坦性の劣化状況を勘案しつつ、少なくとも一部の遅延用バッファを利得が“1”の差動対のみからなる第2の遅延用バッファによって構成し、残りの遅延用バッファを利得が“1”の差動対と該差動対からの差動出力信号を出力するための出力用の2つのエミッタフォロアからなる第1の遅延用バッファによって構成しても良い。
あるいは、前記第2の遅延用バッファの後段には前記第1の遅延用バッファを縦列接続させて、2組の差動対と2つのエミッタフォロアとからなる回路構成としても良いし、あるいは、前記第2の遅延用バッファの後段に前記第1の遅延用バッファを縦列接続させた回路構成単位を、遅延ブロックとして、前記第2の遅延用バッファを適用する際の最小構成単位とするようにしても良い。
つまり、前段の遅延用バッファには出力用エミッタフォロアが存在していない構成からなる2段の遅延用バッファを、1組の遅延ブロックとして用いるものであり、2段の遅延用バッファの一方の遅延用バッファの出力用のエミッタフォロアを削除した結果、2つの差動対と2つの出力用のエミッタフォロアとによって、2段の遅延用バッファを、出力用のエミッタフォロアを削除する場合の最小の構成単位として構成することになる。
例えば、本発明による電気分散等化回路における遅延回路を構成する遅延バッファの回路の一例を図1に例示する。図1に示すように、遅延ブロックBLOCKは、2つの差動対DA1,DA2と2つのエミッタフォロアEF1,EF2とが内包されて構成される。
図1において、後段側の差動対DA1は、図9の従来の遅延用バッファBUFAに適用される差動対と同様の回路構成であり、前段の回路(図1の場合、差動対DA2)からの差動入力信号を入力する増幅用トランジスタT11,T12それぞれのエミッタ側の挿入抵抗と定電流源の定電流用トランジスタT13とをレベルシフト用トランジスタT14を介して接続している。
一方、前段側の差動対DA2は、HBT(Hetero-junction Bipolar Transistor)を用いた場合の入出力特性として、その入力レベルが、出力レベルよりも低くなるため、前段の回路からの差動入力信号を入力する増幅用トランジスタT21,T22のエミッタ側の挿入抵抗と定電流源の定電流用トランジスタT23とはレベルシフト用トランジスタを介することなく直結し、その代わり、コレクタ側電源電圧端子VCCと増幅用トランジスタT21,T22それぞれの負荷抵抗との間に、レベルシフト用トランジスタT24,T25を接続することによって、差動対DA2の動作をコレクタ側電源電圧VCCよりも1段低い電圧レベルとしている。
当該遅延ブロックBLOCKへの差動正/補入力端子dt,dcからの差動正/補入力信号は、差動対DA2の増幅用トランジスタT21,T22のベース端子に対して相補的に入力され、差動対DA2の差動出力端子つまり増幅用トランジスタT21,T22のコレクタ端子から、差動補/正出力信号として出力される。差動対DA2の差動出力端子からの差動補/正出力信号は、次段の差動対DA1の増幅用トランジスタT11,T12のベース端子に対して相補的に入力され、差動対DA1の差動出力端子つまり増幅用トランジスタT11,T12のコレクタ端子から、差動正/補出力信号として出力される。
一方、出力用のエミッタフォロアEF1,EF2の回路構成は、図9のエミッタフォロアEF1A,EF2Aと同様、出力用トランジスタT31,T41と定電流源用の定電流用トランジスタT32,T42とを、レベルシフト用トランジスタT33,T43を介して接続し、差動対DA1の差動出力端子からの差動正/補出力信号を、それぞれ、出力用トランジスタT31,T41のベース端子に入力している。
しかし、次段への差動出力信号を取り出す差動出力端子位置としては、図9の場合とは異なり、第1の差動出力信号を取り出すための出力用トランジスタT31,T41のエミッタ端子位置の第1の差動出力端子qt1,qc1のみならず、第2の差動出力信号を取り出すためのレベルシフト用トランジスタT33,T43のエミッタ端子(つまり整流用ダイオードとしてのカソード端子)位置の第2の差動出力端子qt2,qc2も用いている。すなわち、当該遅延ブロックBLOCKの次段に接続する回路の如何によって、第1の差動出力信号を取り出す出力用トランジスタT31,T41のエミッタ端子位置の第1の差動出力端子qt1,qc1か、あるいは、若干動作レベルが低い第2の差動出力信号を取り出すレベルシフト用トランジスタT33,T43のエミッタ端子位置の第2の差動出力端子qt2,qc2かを使い分けることとしている。
つまり、出力用のエミッタフォロアEF1,EF2の出力端子を接続する次段の回路を、入力差動信号の信号レベルが低くなる差動対DA2とする場合は、出力用トランジスタT31,T41のエミッタ端子ではなくレベルシフト用トランジスタT33,T43のエミッタ端子を出力端子として用い、一方、差動対DA1などの差動対DA2以外の回路とする場合は、出力用トランジスタT31,T41のエミッタ端子を出力端子として用いる。
以上のように、図1の遅延ブロックBLOCKにおいては、整流用ダイオードT24,T25の下に接続する回路構成の差動対DA2の出力端子を、図9(B)に示した従来と同様の回路構成の次段差動対DA1の入力端子に接続し、この2つの差動対DA1,DA2とエミッタフォロアEF1,EF2のエミッタフォロアペアとを1つの遅延ブロックBLOCKとし、2段分の遅延用バッファを形成している。
該遅延ブロックBLOCKは、FFE型の等化回路を構成する遅延回路に内包される1ないし複数の遅延用バッファの少なくとも一部に用いられる(場合によっては、所要の遅延時間が得られる限り、遅延回路に内包される全ての遅延用バッファについて、該遅延ブロックBLOCKを用いて構成するようにしても良い)。この結果、群遅延時間の平坦性の劣化要因となる出力用のエミッタフォロアの接続段数を削減することが可能になる。
なお、図1に示す遅延ブロックBLOCKを用いる構成のみならず、第2の遅延用バッファを単独に用いて、出力用のエミッタフォロアを削除して、遅延用バッファに内包される差動対を、次段の回路に内包される差動対に直接接続するような回路構成を採用することにしても良い。いずれの場合であっても、図9のような各差動対ごとにエミッタフォロアペアを用いる従来の回路構成の場合に比して、群遅延時間の平坦性を劣化させるエミッタフォロアの段数を削減することを可能とし、もって、群遅延時間の平坦性を改善することを可能としている。
なお、本発明による電気分散等化回路においては、差動対からの差動出力信号の出力用のエミッタフォロアを削減する対象の要素回路として、遅延回路(すなわち、該遅延回路を構成する遅延用バッファ)のみに限って適用するものではなく、場合によっては、FFE型の等化回路を構成する他の要素回路、例えば、乗算回路や加算回路に適用するようにしても良い。
また、電気分散等化回路の入力バッファ、出力バッファ、遅延回路、乗算回路、加算回路の各回路を形成する半導体素子として、HBT(Hetero-junction Bipolar Transistor)を用いることが望ましく、以下の説明においては、一例として、InPの半導体材料をベースとするHBTを用いる場合について説明する。しかし、本発明による電気分散等化回路を構成する各回路をHBTによって構成する場合、該HBTを形成する半導体材料については、前述のようなInPのみならず、InGaP,GaN,GaAs,AlGaAsであっても良いし、SiGeであっても良く、如何なる半導体材料を用いてもかまわない。
(第1の実施形態)
次に、本発明による電気分散等化回路に適用する遅延回路において用いられる遅延用バッファに関して、図1に一例を示した遅延用バッファをより一般的にどのように構成するかについて、図2を用いてさらに説明する。
図2は、本発明による電気分散等化回路の遅延回路に内包される各遅延用バッファの具体的な回路構成の一例を説明するためのブロック構成図である。
なお、本発明による電気分散等化回路のブロック構成の一例については、図3として第2の実施形態において後述する。
ここで、図2(A)は、本発明による電気分散等化回路の遅延回路2Rの具体的なブロック構成を示し、所要の遅延時間を得るために、1ないし複数の遅延用バッファを多段に縦列接続する際に、図1にて説明した遅延ブロックBLOCKを、遅延回路2R内の少なくとも一部に適用している例を示している。さらに、遅延ブロックBLOCKは、第1の遅延用バッファBUFAと第2の遅延用バッファBUFBとを備え、第2の遅延用バッファBUFBを第1の遅延用バッファBUFAの前段側に配置して縦列接続して構成している。
また、図2(B)は、遅延回路2Rや該遅延回路2Rに内包される遅延ブロックBLOCKを構成する第1の遅延用バッファBUFAの回路図を示し、図2(C)は、遅延回路2Rに内包される遅延ブロックBLOCKを構成する第2の遅延用バッファBUFBの回路図を示している。
図2(B)に示すように、第1の遅延用バッファBUFAは、図9(B)の遅延用バッファBUFAと同様の回路構成であるものの、図1にて説明したように、出力回路を構成する出力用のエミッタフォロアEF1,EF2の出力端子として、出力用トランジスタT31,T41のエミッタ端子位置から第1の差動出力信号を取り出す第1の差動出力端子qt1,qc1と、レベルシフト用トランジスタT33,T43のエミッタ端子位置から第2の差動出力信号を取り出す第2の差動出力端子qt2,qc2との双方を備えて構成されている。
一方、図2(C)に示すように、第2の遅延用バッファBUFBは、図2(B)の第1の遅延用バッファBUFAから出力用のエミッタフォロアを削除して、差動対DA2のみで構成することにより、信号強度(振幅)に関する周波数帯域は多少劣化するものの、群遅延時間の周波数特性に関しては大幅な改善を図ることを可能とする回路構成としている。
ただし、差動対DA2の回路構成においては、図1にて説明したように、増幅用トランジスタT21,T22の差動対DA2は、差動入力端子dt2,dc2からの差動入力信号を入力する増幅用トランジスタT21,T22のエミッタ側の挿入抵抗と定電流源の定電流用トランジスタT23とをレベルシフト用トランジスタを介することなく直結し、その代わり、コレクタ側電源電圧端子VCCと増幅用トランジスタT21,T22それぞれの負荷抵抗との間に、レベルシフト用トランジスタT24,T25をそれぞれ接続している。
かくのごとき図2(B)の第1の遅延用バッファBUFAと図2(C)の第2の遅延用バッファBUFBとを用いて、図2(A)に示すように、遅延ブロックBLOCKを構成することによって、本実施形態における遅延回路2Rは、第1の遅延用バッファBUFAと第2の遅延用バッファBUFBとを、所要の遅延時間を得られる段数分、例えば、交互に縦列接続した構成としている。なお、図2の遅延回路2Rにおいては、先頭に、第1の遅延用バッファBUFAを配置し、その後段には第2の遅延用バッファBUFBと第1の遅延用バッファBUFAとを2段に縦列接続した遅延ブロックBLOCKを順次接続していき、最終段には、第1の遅延用バッファBUFAを配置した場合を示している。
ここで、図1にて説明したように、InP HBTを用いた場合における第2の遅延用バッファBUFBの差動対DA2の入出力特性として、その入力レベルが、出力レベルよりも低くなっているため、前述のごとく、コレクタ側電源電圧端子VCCと増幅用トランジスタT21,T22それぞれの負荷抵抗との間に、レベルシフト用トランジスタT24,T25を接続して、コレクタ側電源電圧VCCから1段下げて差動対DA2を動作させるようにしている。
したがって、第2の遅延用バッファBUFBの差動対DA2の入力レベルは、第1の遅延用バッファBUFAの差動対DA1の入力レベルと比較して1段低くなっているため、第2の遅延用バッファBUFBの前段に接続される第1の遅延用バッファBUFAからの差動出力端子としては、図2(A)に示すように、第1の差動出力信号を取り出す第1の差動出力端子qt1,qc1ではなく、第2の差動出力信号を取り出すレベルシフト用トランジスタT33,T43のエミッタ端子位置の第2の差動出力端子qt2,qc2を用いている。つまり、レベルシフト用トランジスタT33,T43のダイオード機能によってコレクタ側電源電圧VCCから1段下がった出力レベルとなる第2の差動出力端子qt2,qc2からの第2の差動出力信号を差動対DA2の増幅用トランジスタT21,T22のベース端子に入力するように接続する。
一方、第2の遅延用バッファBUFBの差動対DA2の差動出力端子qt1,qc1からの差動出力信号は、通常の出力レベルであるので、そのまま、次段に接続される第1の遅延用バッファBUFAの差動対DA1の増幅用トランジスタT11,T12のベース端子に入力するように接続する。
なお、本発明は、遅延回路2Rの先頭や最終段に配置する遅延用バッファとして、前述のような第1の遅延用バッファBUFAを配置する場合に限るものではなく、場合によっては、第1の遅延用バッファBUFAの代わりに、遅延ブロックBLOCKを先頭に配置し、第2の遅延用バッファBUFBを先頭のバッファとして用いたり、あるいは、第2の遅延用バッファBUFBを最終段のバッファとして用いたりすることも可能である。
また、遅延BLOCKの構成として、第2の遅延用バッファBUFBを第1の遅延用バッファBUFAの前段に配置した場合を示しているが、場合によっては、逆に、第1の遅延用バッファBUFAを第2の遅延用バッファBUFBの前段に配置して縦列接続するようにしても良い。
また、本発明における遅延回路2Rは、第1の遅延用バッファBUFAと第2の遅延用バッファBUFBとを交互に縦列接続して構成する場合のみに限るものではない。
つまり、遅延回路2Rとして、あらかじめ定めた遅延時間を得るために、第1の遅延バッファBUFAを多段に縦列接続しようとする場合に、少なくとも、差動入力信号の群遅延時間の平坦性の劣化状況に応じた頻度で、任意の位置の第1の遅延バッファBUFAを、出力用のエミッタフォロアを削除した構成の第2の遅延用バッファBUFBに変更して用いることとしても良く、この結果として、利得の周波数帯域を確保しつつ、群遅延時間
の平坦性に関する特性を改善することも可能になる。遅延回路2Rにおける群遅延時間の劣化程度は、SPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)などの回路シミュレーションを用いてあらかじめ予測することができるので、遅延回路2Rに導入すべき第2の遅延用バッファBUFBの個数も前以って設計することが可能である。
さらに、図1や図2のような回路構成を用いることによって、エミッタフォロアの個数を削減することができるので、電気分散等化回路の消費電力を減少することが可能であり、かつ、電気分散等化回路の所要面積や素子数もより少なくすることが可能であるという効果も得られる。
さらに、電気分散等化回路つまりEDC(Electric Dispersion Compensation:電気分散補償)回路においては、図8の従来の回路構成に示したように、一本の線のように順番に接続された回路構成ではなく、網の目のようにメッシュ状の回路構成になっているため、高速信号が通過する高周波配線に着目して、該高周波配線の配線長を短くしたレイアウトとすることは一般に難しい。したがって、電気分散等化回路の各要素回路をどのように配置して、いかに高周波配線を引き回すかが重要な課題になる。
本発明による電気分散等化回路の一例を示す図1,2のごとき遅延回路2Rにおいては、出力用のエミッタフォロアの個数を減らすことができるものの、エミッタフォロアを皆無にするものではない。つまり、遅延回路2Rの各遅延用バッファを構成する構成要素としては、差動対とエミッタフォロアとの2種類があるが、長い高周波配線を、例えば、第2の遅延用バッファBUFBのように、差動対DA2の後ろに直接接続することも、また、第1の遅延用バッファBUFAのように、出力用のエミッタフォロアEF1,EF2の後ろに接続することも可能である。
しかしながら、後ろに長い高周波配線を引き回すような場合、差動対よりも、エミッタフォロアの方が、出力インピーダンスが遥かに低いので、後段に接続した配線の影響を受け難い。配線パターンは、一般に、モデリングが1種類で済むトランジスタ等の回路デバイスとは異なり、屈曲があったり、周囲の影響を受けたりするなど、種類が複雑で精密なモデリングが難しく、かつ、製造プロセスに対する依存性も高い。
一般に、配線の影響を受け難くし、かつ、製造プロセス感度を下げた方が、回路設計における設計性を向上させ、設計時に予測した特性に近い電気分散等化回路をより容易に製作することが可能になる。このため、トランジスタ回路等の要素回路のデバイス容量と比較することが可能なオーダの10fF程度以上の容量になる可能性が高い200μm以上の配線については、差動対の後ろではなく、エミッタフォロアの後ろに接続するようにすることが得策である。この結果、電気分散等化回路の回路設計における設計性を向上させ、また、製造プロセスによるばらつきも抑えることが可能になる。
(第2の実施形態)
図3は、本発明による電気分散等化回路のブロック構成の一例を示すブロック構成図であり、遅延回路として、図9に示す遅延回路2の代わりに、図2に示す遅延回路2Rを用いている場合を示している。
ここで、図3の電気分散等化回路全体のブロック構成は、従来技術における図8の電気分散等化回路の場合と同様であり、3タップ構成のFFE型の等化回路を例にとって示している。
図3に示すように、入力バッファ1と出力バッファ5との間には、タップ数N(N:2以上の整数)に応じた複数個の遅延回路(タップ数がN個の場合、(N−1)個の遅延回路)、複数個の乗算回路(タップ数がN個の場合、N個の乗算回路)、および、複数個の加算回路(タップ数がN個の場合、(N−1)個の加算回路)が配置されている。
つまり、入力バッファ1と出力バッファ5との間に、タップ数N(N:2以上の整数。図3の場合、N=3)に応じて、(N−1)個縦列接続され、前記入力バッファからの差動入力信号を、あらかじめ定めた一定の遅延時間ずつ、順次、遅延させる第1ないし第(N−1)の遅延回路(図3の場合、第1の遅延回路21R、第2の遅延回路22Rの2個)と、入力バッファ1および前記第1ないし第(N−1)の遅延回路(図3の場合、第1の遅延回路21R、第2の遅延回路22Rの2個)それぞれから入力される差動入力信号を、あらかじめ指定したN個のタップ係数a1,a2,a3,…(図3の場合、タップ係数a1,a2,a3の3個)それぞれと乗算する第1ないし第Nの乗算回路(図3の場合、第1の乗算回路31、第2の乗算回路32、第3の乗算回路33の3個)と、第1ないし第Nの乗算回路から入力される差動入力信号を順次加算した結果を出力する2入力の第1ないし第(N−1)の加算回路(図3の場合、第1の加算回路41、第2の加算回路42Rの2個)と、を備え、最終段の演算部である第(N−1)の加算回路(図3の場合、第2の加算回路42R)から出力される加算結果を出力バッファ5を介して外部に出力する。
ここで、第1の遅延回路21R、第2の遅延回路22Rは、前述のように、図2に示す遅延回路2Rを用いて構成され、さらに、すべての信号経路において共通に通過することになる第2段目の加算回路つまり第2の加算回路42Rについては、詳細は後述するが、図8の従来技術の場合とは異なる回路構成を用いている。
遅延回路(第1の遅延回路21R、第2の遅延回路22R)は、図8の場合の遅延回路(第1の遅延回路21、第2の遅延回路22)と回路構成が異なるものの、図8の場合と同様に、縦列接続され、入力バッファ1からの入力信号を、あらかじめ決められた一定の遅延時間ずつ順次遅延させて出力する機能を有する。ここで、第1の遅延回路21R、第2の遅延回路22Rのいずれも、前述のように、利得(ゲイン)が“1”の遅延用バッファを、1ないし複数、縦列接続して構成している。
乗算回路(第1の乗算回路31、第2の乗算回路32、第3の乗算回路33)は、前述のように、図8の場合と同様、入力バッファ1および各遅延回路(第1の遅延回路21R、第2の遅延回路22R)からそれぞれの乗算回路に入力される入力信号に対して、各乗算回路ごとに定められた一定のタップ係数(それぞれ、タップ係数a1,a2,a3)を乗じた信号を出力する機能を有する。通常、タップ係数(タップ係数a1,a2,a3)の値としては、−1〜1の範囲内の値を採るように設計される。
また、加算回路(第1の加算回路41、第2の加算回路42R)は、図8の場合とは、2段目の第2の加算回路42Rの回路構成が異なるものの、図8の場合と同様、2つの入力信号を足し合わせた信号を出力する機能を有し、まず、第1の乗算回路31、第2の乗算回路32からの入力信号を第1の加算回路41にて加算し、しかる後、第1の乗算回路31、第2の乗算回路32からの入力信号の加算結果と第3の乗算回路33からの入力信号とを第2の加算回路42Rにて加算することによって、各乗算回路(第1の乗算回路31、第2の乗算回路32、第3の乗算回路33)からの入力信号を順次加算する機能を有する。
なお、図3のFFE型の等化回路を構成する各遅延回路、各乗算回路、各加算回路は、全て線形の演算回路である。したがって、最終段の出力バッファ5にリミッタアンプを用いる場合の出力バッファを除けば、図3のFFE型の等化回路全体は、図8の場合と同様、線形の信号処理を行う回路となる。つまり、入力されてくる信号をあらかじめ定めた一定の遅延時間ずつ遅延させながら、あらかじめ定めた或る係数を乗じて、足し合わせることによって、PMD等の波形劣化要因が加わったとき、該波形劣化要因を打ち消すような特性を生み出すことができる。
以上のように、図3に示すFFE型の等化回路は、第1の遅延回路21R、第2の遅延回路22Rおよび第2の加算回路42Rの回路部以外については、図8に示す従来のFFE型等化回路と全く同一の回路からなっている。
ここで、第1の遅延回路21R、第2の遅延回路22Rは、いずれも、前述したように、図1、図2に示した遅延回路2Rによって構成されている。つまり、より具体的には、第1の遅延回路21R、第2の遅延回路22Rは、図2に示す第1の遅延用バッファBUFA(利得“1”で増幅整形する差動対DA1と該差動対DA1からの差動出力信号を出力するための出力用のエミッタフォロアEF1,EF2とからなる遅延用バッファ)と第
2の遅延用バッファBUFB(利得“1”で増幅整形する差動対DA2のみからなる遅延用バッファ)とのいずれかを用いた遅延用バッファを、所要の遅延時間が得られるように、1ないし複数縦列接続して構成されている。さらに、第2の遅延用バッファBUFBについては、群遅延時間の平坦性の劣化状況や信号波形の劣化状況を勘案しつつ、遅延回路2R内の少なくとも一部の遅延用バッファに適用するように構成する。
一方、第2の加算回路42Rは、第1の遅延回路21Rや第2の遅延回路22Rを経由する信号経路における群遅延時間の更なる低減を図るのみならず、第1の遅延回路21Rおよび第2の遅延回路22Rを経由しない信号経路つまりタップ1スルーの場合についても、群遅延時間の低減を図る目的から導入されている。
この第2の加算回路42Rは、第1の遅延回路21R、第2の遅延回路22Rの場合と同様に、第1の加算回路41や図8における従来の第2の加算回路42と比べて、差動対からの差動出力信号の出力用のエミッタフォロアを削除した構成とすることにより、群遅延時間の低減を可能としている。
図4は、本発明による電気分散等化回路の第2の加算回路42Rの回路構成の一例を説明するための回路図である。また、図5は、本発明による電気分散等化回路の第1の加算回路41の回路構成の一例を説明するための回路図である。ここで、図5の第1の加算回路41は、回路構成そのものについては、図8における従来技術の第1の加算回路41や第2の加算回路42と全く同様の回路構成であるが、図5の第1の加算回路41における出力端子の配置が、従来技術の第1の加算回路41や第2の加算回路42とは異なっている。
つまり、図5の第1の加算回路41の場合、加算結果を示す差動対DA3,DA4からの差動出力信号を、出力用トランジスタT71,T81のエミッタ端子位置の第1の差動出力端子qt1,qc1から第1の差動出力信号として出力することが可能であるのみならず、レベルシフト用トランジスタT73,T83のエミッタ端子位置の第2の差動出力端子qt2,qc2から第2の差動出力信号として出力することも可能である。
以下に、従来の第2の加算回路42の回路構成について図5の回路図を用いてまず説明する。図5に示すように、本発明の第1の加算回路41と類似した回路構成からなる従来の第2の加算回路42は、第1の差動入力端子dt1,dc1からの第1の差動入力信号と第2の差動入力端子dt2,dc2からの第2の差動入力信号との2つの差動入力信号を加算するための2つの差動対DA3,DA4(つまり2入力の加算用双差動対)と2つの出力用のエミッタフォロアEF3,EF4とが内包されて構成されている。
差動対DA3および差動対DA4は、それぞれ、加算用トランジスタT51,T52および加算用トランジスタT61,T62、定電流用トランジシタT53および定電流用トランジシタT63、レベルシフト用トランジスタT54およびレベルシフト用トランジスタT64から構成されており、第1の差動入力端子dt1,dc1からの第1の差動入力信号および第2の差動入力端子dt2,dc2からの第2の差動入力信号を加算して、加算結果の差動出力信号を、加算用トランジスタT52と加算用トランジスタT62および加算用トランジスタT51と加算用トランジスタT61をそれぞれ共通接続したコレクタ端子から出力する。
また、出力用のエミッタフォロアEF3,EF4は、出力用トランジスタT71,T81、定電流用トランジシタT72,T82、レベルシフト用トランジスタT73,T83から構成されており、加算結果を示す差動対DA3,DA4からの差動出力信号を、出力用トランジスタT71,T81のエミッタ端子位置の差動出力端子qt1,qc1から次段の回路へ出力する差動出力信号として出力する。
一方、図4に示す第2の加算回路42Rは、図5の第1の加算回路41から出力用のエミッタフォロアEF3,EF4を削除して、第1の差動入力端子dt1,dc1からの第1の差動入力信号と第2の差動入力端子dt2,dc2からの第2の差動入力信号との2つの差動入力信号を加算するための2つの差動対DA3R,DA4R(つまり2入力の加算用双差動対)のみが内包されて構成されている。
差動対DA3R,DA4Rは、図5の場合の差動対DA3,DA4の回路構成とは異なり、図2に示した第2の遅延用バッファBUFBの場合と同様に、加算用トランジスタT51,T52、加算用トランジスタT61,T62それぞれのエミッタ側の挿入抵抗と定電流用トランジスタT53,T63とを、レベルシフト用トランジスタを介することなく、直結して接続し、その代わり、コレクタ側電源電圧端子VCCと加算用トランジスタT51,T61および加算用トランジスタT52,T62のそれぞれの負荷抵抗との間に、レベルシフト用トランジスタT55,T56を接続している。
差動対DA3R,DA4Rの差動出力端子は、図5の場合と同様に、共通接続されており、加算用トランジスタT52と加算用トランジスタT62、加算用トランジスタT51と加算用トランジスタT61とをそれぞれ共通接続したコレクタ端子から出力される加算結果は、差動出力端子qt1,qc1からの差動出力信号として、そのまま、外部に出力される。
ここで、図4に示す加算回路は、図5に示す加算回路と比較して、入力レベルが低いため、図4に示す加算回路を、図3の第2の加算回路42Rとして、第1の加算回路41、第3の乗算回路33と接続する際には、従来技術に示した図8の場合と比べて、第1の加算回路41、第3の乗算回路33の出力レベルを低くして接続する。例えば、図5の加算回路を図3、図8の第1の加算回路41として用いる場合、従来技術の図8の構成の場合には、図5の加算回路の第1の差動出力端子qt1,qc1からの第1の差動出力信号を出力信号として用いるが、一方、図3の構成の場合には、図5の加算回路の第2の差動出力端子qt2,qc2からの第2の差動出力信号を出力信号として用いて、図4に示す加算回路により構成される第2の加算回路42Rの入力端子に接続する。
以上のように、図3の電気分散等化回路においては、第1の遅延回路21R、第2の遅延回路22Rの一部に内包される第2の遅延用バッファBUFBにより、さらに、第2の加算回路42Rにより、出力用のエミッタフォロアを用いない回路構成を導入している。ここで、例えば、第1の遅延回路21R、第2の遅延回路22Rとして、それぞれに、図2の第2の遅延用バッファBUFBが1個のみ用いられている構成を採用した場合には、次の通り、信号が通過する出力用のエミッタフォロアの個数を削減することが可能となる。
つまり、図3の電気分散等化回路において、第1の乗算回路31のみを通過するタップ1スルーの場合は、第2の加算回路42Rを経由するので、図8の従来の回路に比し、出力用のエミッタフォロアを1個削減することが可能であり、第2の乗算回路32のみを通過するタップ2スルーの場合は、第1の遅延回路21Rと第2の加算回路42Rとを経由するので、図8の従来の回路に比し、出力用のエミッタフォロアを2個削減することが可能であり、また、第3の乗算回路33のみを通過するタップ3スルーの場合は、第1の遅延回路21Rと第2の遅延回路22Rと第2の加算回路42Rとを経由するので、図8の従来の回路に比し、出力用のエミッタフォロアを3個削減することが可能である。
その結果、タップ1,2,3スルーの群遅延時間の平坦性は、図8の場合よりも大幅に改善されて、図6のようになる。図6は、本発明による電気分散等化回路の群遅延偏差の周波数特性を示す特性図である。図6に示すように、信号が通過するエミッタフォロアの個数を削減することにより、最大の群遅延時間の変動幅を示すタップ3スルーにおいても、10ps程度と、群遅延時間は僅かに変化するものの、図10に示す従来技術の場合に比し、群遅延時間の平坦性を大幅に改善することができる。
ここで、所要の遅延時間を得るための第1の遅延回路21R、第2の遅延回路22Rそれぞれの遅延時間そのものについては、差動対DA1,DA2によって、その大半が決定されるものであり、第2の遅延用バッファBUFBのエミッタフォロアを削減したことによって変化する遅延時間の変化分としては極めて小さい値になっている。
(その他の実施形態)
前述した実施形態においては、第1の遅延回路21Rおよび第2の遅延回路22Rは、同一の回路構成を用いている場合を説明したが、群遅延時間の劣化状況、および、遅延時間を適切な値に調節する目的から、第1の遅延回路21R、第2の遅延回路22Rそれぞれについて、第1の遅延用バッファBUFAおよび第2の遅延用バッファBUFBの接続個数を適当に変化させるようにしても良い。
さらには、前述のような第1の遅延回路21R、第2の遅延回路22R、第2の加算回路42Rを用いて構成するようにしても、電気分散等化回路における群遅延時間の平坦性が、所要の改善状況に至らなかった揚合には、例えば、図7のような第3の遅延用バッファBUFCを、3段の遅延用バッファ(つまり遅延ブロック)として用いるようにしても良い。図7は、本発明による電気分散等化回路の遅延回路に適用する遅延用バッファの異なる構成例を説明するための回路図であり、第3の遅延用バッファBUFCの回路構成の一例を示している。
つまり、図7の第3の遅延用バッファBUFCは、図1に示す遅延ブロックBLOCKにおける出力用のエミッタフォロアEF1,EF2(すなわち、図2(B)の第1の遅延用バッファBUFAにおける出力用のエミッタフォロアEF1,EF2)を削除するとともに、図1の差動対DA2(すなわち、図2の第2の遅延用バッファBUFB)の前段にさらに差動対DA9を接続した構成であり、エミッフォロアを一切用いることなく、3段の差動対DA9,DA2,DA1を縦列接続した構成としている。
図7において新たに追加した差動対DA9は、利得(ゲイン)が“1”で増幅整形する増幅用トランジスタT91,T92と、定電流用トランジスタT93と、レベルシフト用トランジスタT94〜T97とからなっており、入力レベルの補正を行うために、コレクタ側電源電圧端子VCCと増幅用トランジスタT91,T92それぞれの負荷抵抗との間には、レベルシフト用トランジスタT94,T95およびレベルシフト用トランジスタT96,T97を、2段直列に接続して構成しており、差動対DA2の場合の1段のみの場合よりもさらに1段増加させて構成している。
なお、以上に説明した各実施形態においては、遅延回路および/または加算回路について、群遅延時間の平坦性に関する改善技術を導入している場合を説明したが、電気分散等化回路を構成するその他の回路例えば乗算回路などに関しても、エミッタフォロアを削除するための同様の技術を適用することが可能である。
例えば、乗算回路に関して、第1ないし第Nの乗算回路のうち、少なくとも一部の乗算回路を、差動入力信号とあらかじめ指定したタップ係数とを乗算する乗算用双差動対のみにより構成し、残りの乗算回路を、差動入力信号とあらかじめ指定したタップ係数とを乗算する乗算用双差動対と該乗算用双差動対からの差動出力信号を出力するための出力用のエミッタフォロアとにより構成するようにしても良い。
また、加算回路に関しても、前述の実施形態においては、出力バッファに接続される最終段の第(N−1)の加算回路(つまり、図3の第2の加算回路42R)のみを、2つの差動入力信号を加算する2入力の加算用双差動対のみにより構成する例について説明したが、本発明は、かかる場合に限るものではなく、第1ないし第(N−1)の加算回路のうち、任意の位置にあるいずれか1ないし複数の加算回路を、つまり、少なくとも一部の加算回路を、2つの差動入力信号を加算する2入力の加算用双差動対のみにより構成し、残りの加算回路を、2つの差動入力信号を加算する加算器用双差動対と該加算用双差対からの差動出力信号を出力するための出力用のエミッタフォロアとにより構成するようにしても良い。
すなわち、電気分散等化回路を構成する入力バッファ、遅延回路、乗算回路、加算回路、出力バッファのうち、いずれか1ないし複数の任意の回路部において、エミッタフォロアを削除するような回路構成を適用するようにしても良いし、遅延回路、乗算回路、加算回路などのように、複数の回路からなっている場合、エミッタフォロアを削除する対象とする回路として、複数の回路のうち、いずれか1ないし複数の回路について、エミッタフォロアを削除するようにしても良いし、さらには、遅延回路のように、さらに複数の遅延用バッファからなっている場合、エミッタフォロアを削除する対象とする回路として、複数の遅延用バッファのうち、いずれか1ないし複数の遅延用バッファについて、エミッタフォロアを削除するようにしても良い。かくのごとき回路構成の電気分散等化回路を採用することによって、群遅延時間の変動を所望のレベルまで改善することが可能になる。
なお、入力バッファ、遅延回路、乗算回路、加算回路、出力バッファのいずれの場合であっても、第1の実施形態において説明したように、エミッタフォロアを削除する対象とする回路は、後ろに接続される配線の配線長が200μm未満に収まる場合に限ることが望ましく、後ろに接続される配線が200μm以上の配線長に及ぶ場合には、出力用のエミッタフォロアを削除することなく、該エミッタフォロアの出力端子に、200μm以上の長い配線を接続するように構成することが望ましい。
また、入力バッファ、遅延回路、乗算回路、加算回路、出力バッファのいずれの場合であっても、出力用のエミッタフォロアを削除するか否かについては、少なくとも、群遅延時間の平坦性の劣化状況に応じて決定することが望ましい。
また、本発明による電気分散等化回路の入力バッファ、遅延回路、乗算回路、加算回路、出力バッファの各回路を実現する半導体素子として、前述したように、HBTを適用した半導体チップを用いることにより、群遅延時間の平坦性を確保し、信号波形の歪みを抑制した形で、信号波形を電気的に整形することを可能にしつつ、回路を小型化し、かつ、低消費電力化を図ることが可能となる。
また、以上に説明した実施形態では、差動対、もしくは、エミッタフォロアの電流源として、図1の定電流用トランジスタT23,T13,T32,T42のようなトランジスタと抵抗との組み合わせを用いる場合を示したが、電流源としては、単一の抵抗のみ、もしくは、直流を流す2端子の任意の回路を用いて構成しても良い。
また、レベルシフト用として、ベース端子とコレクタ端子とを短絡接続したレベルシフト用トランジスタを用いる場合を示したが、抵抗素子、ショットキーダイオード、pn接合ダイオード、さらには、これらの組み合わせ、もしくは、直流を流す2端子の任意の回路を用いて構成しても良いし、出力端子を取り出していない部分については、省くこともできる。
また、全体の回路構成として、図3のような電気分散等化回路を用いて説明したが、遅延回路が乗算回路の後ろに配置した回路構成としたり、遅延回路が乗算回路の前と後ろとの両方に配置されたり、また、加算回路の接続順序が異なるものであったり、加算回路として3つ以上の信号を同時に加える回路であったりしても良い。さらに、前述の図3の実施例においては、タップ数が3の場合の電気分散等化回路であったが、任意のタップ数について適用することができる。
本発明による電気分散等化回路における遅延回路を構成する遅延バッファの回路構成の一例を示す回路図である。 本発明による電気分散等化回路の遅延回路に内包される各遅延用バッファの具体的な回路構成の一例を説明するためのブロック構成図である。 本発明による電気分散等化回路のブロック構成の一例を示すブロック構成図である。 本発明による電気分散等化回路の第2の加算回路の回路構成の一例を説明するための回路図である。 本発明による電気分散等化回路の第1の加算回路の回路構成の一例を説明するための回路図である。 本発明による電気分散等化回路の群遅延偏差の周波数特性を示す特性図である。 本発明による電気分散等化回路の遅延回路に適用する遅延用バッファの異なる構成例を説明するための回路図である。 従来のFFE(フィード・フォワード型等化回路)のブロック構成を示すブロック構成図である。 従来のFFE(フィード・フォワード型等化回路)を構成する遅延回路の構成を示すブロック構成図である。 従来のFFE(フィード・フォワード型等化回路)の群遅延偏差の周波数特性を示す特性図である。
1…入力バッファ、2,2R…遅延回路、21,21R…第1の遅延回路、22,22R…第2の遅延回路、31…第1の乗算回路、32…第2の乗算回路、33…第3の乗算回路、41…第1の加算回路、42,42R…第2の加算回路、5…出力バッファ、BLOCK…遅延ブロック、BUFA…遅延用バッファ(第1の遅延用バッファ)、BUFB…第2の遅延用バッファ、BUFC…第3の遅延用バッファ、DA1,DA2,DA3,DA3R,DA4,DA4R,DA9…差動対、dt,dc…差動入力端子、dt1,dc1…第1の差動入力端子、dt2,dc2…第2の差動入力端子、EF1,EF2,EF1A,EF2A,EF3,EF4…エミッタフォロア、qt,qc…差動出力端子、qt1,qc1…第1の差動出力端子、qt2,qc2…第2の差動出力端子、T11,T12,T21,T22…増幅用トランジスタ、T31,T41…出力用トランジスタ、T13,T23,T32,T42…定電流用トランジスタ、T14,T24,T25,T33,T43…レベルシフト用トランジスタ、T51,T52,T61,T62…加算用トランジスタ、T53,T63…定電流用トランジシタ、T54,T55,T56,T64…レベルシフト用トランジスタ、T71,T81…出力用トランジスタ、T72,T82…定電流用トランジシタ、T73,T83…レベルシフト用トランジスタ、T91,T92…増幅用トランジスタ、T93…定電流用トランジスタ、T94,T95,T96,T97…レベルシフト用トランジスタ、VCC…コレクタ側電源電圧端子、VCS…定電流源制御用電圧端子、VEE…エミッタ側電源電圧端子。

Claims (4)

  1. 入力端子と出力端子との間に、入力される差動入力信号を、あらかじめ定めた一定の遅延時間ずつ、順次、遅延させる複数の遅延回路と、入力される差動入力信号をあらかじめ指定したタップ係数それぞれと乗算する複数の乗算回路と、入力される差動入力信号を加算した結果を出力する複数の加算回路と、を少なくとも備え、複数の前記遅延回路、複数の前記乗算回路、複数の前記加算回路により演算された演算結果を、差動出力信号として、前記出力端子から出力する電気分散等化回路において、
    複数の前記遅延回路、複数の前記乗算回路、複数の前記加算回路の各回路のうち、少なくとも一部の回路について、当該回路に内包される差動対からの差動出力信号を次段の回路に内包される差動対に直接入力する構成とし、
    複数の前記遅延回路それぞれが、複数の遅延用バッファを多段に縦列接続して構成されており、複数の前記遅延回路のうち、いずれか1または複数の遅延回路について、それぞれの遅延回路を構成する複数の前記遅延用バッファの少なくとも一部の遅延用バッファが、差動入力信号を利得1で増幅する差動対のみからなる第2の遅延用バッファにより構成され、残りの遅延用バッファが、差動入力信号を利得1で増幅する差動対と該差動対からの差動出力信号を出力するための出力用のエミッタフォロアとからなる第1の遅延用バッファにより構成され、
    前記第1の遅延用バッファは、出力回路を構成する前記出力用のエミッタフォロアの出力端子として、出力用トランジスタのエミッタ端子位置から第1の差動出力信号を取り出す第1の差動出力端子qt1,qc1と、前記出力用トランジスタのエミッタ端子にコレクタ端子とベース端子が接続されエミッタ端子が電流源に接続されるレベルシフト用トランジスタのエミッタ端子位置から第2の差動出力信号を取り出す第2の差動出力端子qt2,qc2との双方を備えて構成され、
    前記第1の遅延用バッファと前記第2の遅延用バッファとから構成される前記1または複数の遅延回路において、前記第1の遅延用バッファの次段に前記第2の遅延用バッファを接続する構成では、前記第1の遅延用バッファの前記第2の差動出力端子qt2,qc2を出力端子として接続し、前記第1の遅延用バッファの次段に他の前記第1の遅延用バッファを接続する構成では、前記第1の遅延用バッファの前記第1の差動出力端子qt1,qc1を出力端子として接続していることを特徴とする電気分散等化回路。
  2. 請求項1に記載の電気分散等化回路において、次段の回路に内包される差動対に前記差動出力信号を直接入力する当該回路に内包される差動対の回路構成は、コレクタ側電源電圧端子と増幅用トランジスタそれぞれの負荷抵抗との間に、レベルシフト用トランジスタをそれぞれ接続していることを特徴とする電気分散等化回路。
  3. 請求項1または2に記載の電気分散等化回路において、複数の前記乗算回路のうち、少なくとも一部の乗算回路が、差動入力信号とあらかじめ指定したタップ係数とを乗算する乗算用双差動対のみにより構成され、残りの乗算回路が、差動入力信号とあらかじめ指定したタップ係数とを乗算する乗算用双差動対と該乗算用双差動対からの差動出力信号を出力するための出力用のエミッタフォロアとにより構成されていることを特徴とする電気分散等化回路。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の電気分散等化回路において、複数の前記加算回路のうち、少なくとも一部の加算回路が、2つの差動入力信号を加算する2入力の加算用双差動対のみにより構成され、残りの加算回路が、2つの差動入力信号を加算する加算器用双差動対と該加算用双差動対からの差動出力信号を出力するための出力用のエミッタフォロアとにより構成されていることを特徴とする電気分散等化回路。

JP2011249557A 2011-11-15 2011-11-15 電気分散等価回路 Active JP5214011B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011249557A JP5214011B2 (ja) 2011-11-15 2011-11-15 電気分散等価回路

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011249557A JP5214011B2 (ja) 2011-11-15 2011-11-15 電気分散等価回路

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007222911A Division JP2009055569A (ja) 2007-08-29 2007-08-29 電気分散等化回路

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012060666A JP2012060666A (ja) 2012-03-22
JP5214011B2 true JP5214011B2 (ja) 2013-06-19

Family

ID=46057131

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011249557A Active JP5214011B2 (ja) 2011-11-15 2011-11-15 電気分散等価回路

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5214011B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020043540A (ja) 2018-09-13 2020-03-19 キオクシア株式会社 差動増幅回路及びシリアル伝送回路

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04360290A (ja) * 1991-06-06 1992-12-14 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> アナログ乗算器
JP2000091885A (ja) * 1998-09-16 2000-03-31 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 可変遅延回路
JP2000216256A (ja) * 1998-11-16 2000-08-04 Nec Corp 半導体集積回路の製造方法
JP4209797B2 (ja) * 2004-03-23 2009-01-14 日本電信電話株式会社 トランスバーサルフィルタ
JP2006140639A (ja) * 2004-11-10 2006-06-01 Sony Corp 発振信号生成器及びその装置
JP2009506668A (ja) * 2005-08-23 2009-02-12 ケラン インコーポレイテッド 信号エミュレーションのための方法およびシステム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012060666A (ja) 2012-03-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107070824B (zh) 通信接收器均衡器
CN108574475B (zh) 具有基于放大器的延迟链的有限脉冲响应模拟接收滤波器
US8054876B2 (en) Active delay line
US9071479B2 (en) High-speed parallel decision feedback equalizer
US9935800B1 (en) Reduced complexity precomputation for decision feedback equalizer
Momeni et al. A 10-Gb/s inductorless transimpedance amplifier
US20150222236A1 (en) Optical transmission circuit
US8283982B2 (en) Decision feedback equalizer circuit
US7848404B2 (en) Current mode logic multi-tap feed-forward equalizer
WO2016134606A1 (en) Transmitter apparatus and method
TW202037097A (zh) 決策前饋等化器、串聯器/解串器接收器以及接收器產生資料的方法
JP2018110363A (ja) 等化装置、等化方法及び信号伝送装置
WO2006028288A1 (ja) 等化フィルタ回路
JP5308243B2 (ja) 可変ゲイン回路
JP5214011B2 (ja) 電気分散等価回路
US7346645B2 (en) Architecture for transverse-form analog finite-impulse-response filter
JP6036210B2 (ja) エンファシス信号生成回路
JP6281196B2 (ja) 位相補償回路、エンファシス信号生成回路および位相補償方法
US20090327385A1 (en) Filter Structure and Method for Filtering an Input Signal
Chen et al. A gigabit transceiver for the ATLAS inner tracker pixel detector readout upgrade
JP2009055569A (ja) 電気分散等化回路
Jiang et al. Advances in SiGe ICs for 40Gb/s signal equalization
JP5026355B2 (ja) 電気分散等化回路
JP4828514B2 (ja) 電気分散等化回路
Feng et al. A 4-V ppd 160-Gb/s PAM-4 Optical Modulator Driver with All-Pass Filter-Based Dynamic Bias and 2-Tap FFE in 130-nm BiCMOS

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130225

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130226

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5214011

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160308

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350