JP5212354B2 - 撮像レンズ、撮像装置、携帯端末、および撮像レンズの製造方法 - Google Patents

撮像レンズ、撮像装置、携帯端末、および撮像レンズの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、撮像レンズ、撮像装置、携帯端末、および撮像レンズの製造方法に関する。
昨今、コンパクトで薄型の撮像装置が、コンパクトで薄型の電子機器である携帯端末{例えば、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等}に搭載される。そして、このような携帯端末と、例えば遠隔地の電子機器との間では、音声情報および画像情報等の情報が双方向で伝送される。
ところで、撮像装置に使用される撮像素子としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサおよびCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型イメージセンサの固体撮像素子が挙げられる。また、昨今では、これらの撮像素子上に被写体像を形成する撮像レンズとして、安価に大量生産できる樹脂製レンズが、低コスト化のために用いられる。
このような撮像レンズ、特に、携帯端末に内蔵される撮像装置(いわゆるカメラモジュール)に使用される撮像レンズとしては、プラスチックレンズ3枚構成のタイプ、および、ガラスレンズ1枚とプラスチックレンズ2枚とを含む3枚構成のタイプが、一般的によく知られている。しかしながら、これらの撮像レンズに対するさらなる超コンパクト化と高い量産化とは、技術的な限界から両立しにくい。
このような問題点を克服する一対策として、レプリカ法(replica method)が特許文献1に挙げられる。レプリカ法とは、1つのレンズ基板(ウェハ)に多数のレンズ(レンズ要素)を同時に形成する方法である。この方法で形成されるレンズを複数並べて含むレンズ基板(レンズユニット)は、ウェハ状の撮像素子(センサウェハ)につなげられた後に分割される。このようにして、分割されたレンズユニットで、撮像素子に対応する撮像レンズはウェハスケールレンズ(接合型複合レンズ)と呼ばれるとともに、このウェハスケールレンズと撮像素子とを含むモジュールはウェハスケールカメラモジュールと呼ばれる。
そして、特許文献1は、レプリカ法で形成されたウェハスケールレンズ(レンズ基板の少なくとも1つの基板面にレンズが連なる光学要素;レンズブロックとも称す)を含む撮像レンズを開示する。なお、この撮像レンズにおけるウェハスケールレンズでは、レンズ基板上に回折面と屈折面とが同時に形成されており、それらによって、この撮像レンズは色収差を補正する。
特開2006−323365号公報
しかしながら、特許文献1に記載の撮像レンズのように、レンズ基板上に回折面および屈折面を同時に形成することは容易ではない。特に、比較的光学全長(レンズ系にて、最も物体側の入射面から撮像素子の撮像面に至るまでの光軸上の長さ)の短いレンズ系では、屈折面の中心厚は極めて薄くなってしまい、ウェハスケールレンズの形成は一層難しくなる。
また、回折面を含む撮像レンズでは、設計波長以外での波長の光に関する回折効率は低下しやすい。さらには、回折面への入射光の角度特性が悪いと、その回折面に対する入射光の入射角度には制約がかかり、撮像レンズは広い画角を確保できない。その上、特許文献1に記載の撮像レンズのように、レンズ基板の両側にレンズが存在する場合、撮像レンズの組み立て時に両側のレンズを調芯させなくてはならず、レンズ数が増えるにつれて調芯時間が長くなる。
また、ウェハスケールレンズであっても、従来のガラスまたは樹脂で形成されるノーマルなレンズ系(ノーマルレンズ)と同等の光学性能を有さなくてはならない。しかしながら、光学性能上(例えば収差補正上)、ウェハスケールレンズがメニスカス形状を含まなくてはならない場合、ウェハスケールレンズは、レンズ基板を含むために光軸上の厚みを増大させなくてはならない。そのため、ウェハスケールレンズ、ひいては撮像レンズの長さが増大しやすい。
なお、最近では、カメラモジュールは、ICチップ等とともに、ペースト状のハンダの印刷されたプリント基板に取り付けられた後、加熱処理(リフロー処理)されることで、そのプリント基板に実装される。このような実装であれば、カメラモジュールを含む種々装置が低コストで大量に生産されるためである。すると、最近の撮像レンズは、リフロー処理に耐え得る耐熱性も要求される。
本発明は、前述の状況を鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、以下の点を満たす撮像レンズ等を提供することにある。
・より少ないレンズブロック数しか含まないにもかかわらず、回折面等を含まず、像
高に対する光学全長を短縮する。
・良好な収差補正の確保。
・コストダウン。
撮像レンズは、平行平板であるレンズ基板と、レンズ基板の物体側基板面および像側基板面の少なくとも一方の基板面に連なる正パワーまたは負パワーを発揮するレンズと、を有するレンズブロックを、少なくとも1つ以上含む。さらに、撮像レンズは、光量を規制する開口絞りも含む。
なお、この撮像レンズにて含まれるレンズブロックは、物体側から像側に向かう順番で、第1〜第4の数字を付される。また、レンズブロックに含まれるレンズ基板も同様に、第1〜第4の数字を付される。さらに、レンズブロックにおけるレンズLは、レンズ基板LS(第1レンズ基板LS1〜第4レンズ基板LS4)における物体側(o)のレンズLおよび像側(m)のレンズLという意味で、レンズL[LS1o]、レンズL[LS1m]、レンズL[LS2o]、レンズL[LS2m]、レンズL[LS3o]、レンズL[LS3m]、レンズL[LS4o]、レンズL[LS4m]、と表現する。
以上のような撮像レンズでは、レンズブロックは、レンズ基板とは異なる材質で形成されるレンズを含み、第1レンズブロックが、最も物体側に位置して、正パワーを発揮する。そして、この撮像レンズでは、少なくとも1つのレンズブロックは、レンズ基板の物体側基板面または像側基板面のいずれか一方の基板面にのみレンズを連ねる。
また、撮像レンズでは、下記条件式(D1)が満たされると望ましい。
0.6≦f[BK1]/f[all]≦2.0 … (D1)
ただし、
f[BK1] :第1レンズブロックの焦点距離
f[all] :撮像レンズ全体の焦点距離
である。
また、撮像レンズにおいて、第1レンズブロックでは、第1レンズ基板が含まれ、かつ、レンズL[LS1o]が第1レンズ基板の物体側基板面に連なり、そのレンズL[LS1o]の物体側レンズ面は、物体側凸面であると望ましい。さらに、この撮像レンズでは、下記条件式(D2)が満たされると望ましい。
1<N[LS1]/N[L[LS1o]] … (D2)
ただし、
N[LS1] :第1レンズ基板の屈折率
N[L[LS1o]] :レンズL[LS1o]の屈折率
である。
また、撮像レンズにおいて、第1レンズブロックでは、第1レンズ基板が含まれ、かつ、レンズL[LS1o]が第1レンズ基板の物体側基板面に連なり、そのレンズL[LS1o]の物体側レンズ面は、物体側凸面であると望ましい。さらに、この撮像レンズでは、下記条件式(D3)が満たされると望ましい。
1<ν[L[LS1o]]/ν[LS1] … (D3)
ただし、
ν[LS1] :第1レンズ基板のアッベ数
ν[L[LS1o]] :レンズL[LS1o]のアッベ数
である。
さらに、この撮像レンズでは、下記条件式(D4)が満たされると望ましい。
0.03≦d[LS1]/TL≦0.33 … (D4)
ただし、
d[LS1] :第1レンズ基板の光軸上の厚み
TL :撮像レンズにて最も物体側の面から結像面に至るまでの光軸上の長

である。
また、撮像レンズでは、レンズ基板の物体側基板面および像側基板面の両基板面にレンズを連ねるレンズブロックが少なくとも1つ含まれており、下記条件式が満たされると望ましい。
10<|ν[L[LSo]]−ν[L[LSm]]| … (D5)
ただし、
ν[L[LSo]] :レンズ基板の物体側基板面および像側基板面の両基板面にレ
ンズを連ねるレンズブロックにて、物体側基板面に連なるレン
ズが有するアッベ数
ν[L[LSm]] :レンズ基板の物体側基板面および像側基板面の両基板面にレ
ンズを連ねるレンズブロックにて、像側基板面に連なるレンズ
が有するアッベ数
である。
また、撮像レンズにおいて、第1レンズブロックでは、第1レンズ基板が含まれ、かつレンズL[LS1o]が第1レンズ基板の物体側基板面に連なると望ましい。さらに、この撮像レンズでは、下記条件式(D6)が満たされる。
0≦DT[LS1o-ape]/d[LS1]≦1 … (D6)
ただし、
DT[LS1o-ape] :第1レンズ基板の物体側基板面から開口絞り面に至るまで
の長さ
d[LS1] :第1レンズ基板の光軸上の厚み
である。
また、物体側凸面のレンズL[LS1o]を含む撮像レンズでは、開口絞りが、遮光性膜であり、第1レンズ基板の物体側基板面または像側基板面に形成されており、下記条件式(D7)が満たされると望ましい。
d[ape]<25 … (D7)
ただし、
d[ape] :開口絞りの光軸方向の厚み[単位;μm]
である。
なお、開口絞りは、遮光性膜であり、第1レンズ基板の物体側基板面に形成されると望ましい。
また、撮像レンズは、以下の通りであると望ましい。すなわち、撮像レンズでは、レンズブロックが第1レンズブロックだけであり、その第1レンズブロックでは、第1レンズ基板が含まれ、かつ、レンズであるレンズL[LS1m]のみが第1レンズ基板の像側基板面に連なる。そして、開口絞り、第1レンズ基板、レンズL[LS1m]が、この順で物体側から像側に向かって並び、レンズL[LS1m]の像側面が、像側凸面である。
なお、このようなレンズブロックとしては第1レンズブロックのみを含む撮像レンズにおいて、下記条件式(D4)が満たされると望ましい。
0.03≦d[LS1]/TL≦0.33 … (D4)
ただし、
d[LS1] :第1レンズ基板の光軸上の厚み
TL :撮像レンズにて最も物体側の面から結像面に至るまでの光軸上の長

である。
また、レンズブロックを少なくとも2つ以上含む撮像レンズは、以下の通りであると望ましい。すなわち、第1レンズブロックでは、第1レンズ基板が含まれ、かつ、レンズL[LS1o]が第1レンズ基板の物体側基板面に連なり、そのレンズL[LS1o]の物体側レンズ面は、物体側凸面である。
その上、第2レンズブロックが第1レンズブロックの像側に位置し、その第2レンズブロックでは、第2レンズ基板が含まれ、かつ、レンズL[LS2o]が第2レンズ基板の物体側基板面に連なり、そのレンズL[LS2o]の物体側レンズ面は、物体側凹面である。
なお、このような撮像レンズが、レンズブロックとして第1レンズブロックおよび第2レンズブロックだけを含むと望ましく、さらに、以下の通りであると望ましい。すなわち、第1レンズブロックでは、レンズL[LS1m]が第1レンズ基板の像側基板面に連なり、レンズL[LS1o]、第1レンズ基板、レンズL[LS1m]が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。第2レンズブロックでは、レンズL[LS2o]、第2レンズ基板が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。
そして、レンズL[LS1o]の物体側レンズ面は物体側凸面、レンズL[LS1m]の像側レンズ面は像側凸面、レンズL[LS2o]の物体側レンズ面は物体側凹面、であると望ましい。
また、レンズブロックを少なくとも2つ以上含む撮像レンズは、以下の通りであると望ましい。すなわち、第1レンズブロックでは、レンズ基板である第1レンズ基板が含まれ、かつ、レンズL[LS1m]が第1レンズ基板の像側基板面に連なり、レンズL[LS1m]の像側レンズ面は、像側凹面である。
なお、このような撮像レンズが、レンズブロックとして第1レンズブロックおよび第2レンズブロックだけを含むと望ましく、さらに、以下の通りであると望ましい。すなわち、第1レンズブロックでは、レンズL[LS1o]が第1レンズ基板の物体側基板面に連なり、レンズL[LS1o]、第1レンズ基板、レンズL[LS1m]が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。
第2レンズブロックが、第1レンズブロックの像側に位置し、その第2レンズブロックでは、第2レンズ基板が含まれ、かつ、レンズL[LS2o]が第2レンズ基板の物体側基板面に連なり、レンズL[LS2o]、第2レンズ基板が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。
そして、レンズL[LS1o]の物体側レンズ面は物体側凸面、レンズL[LS1m]の像側レンズ面は像側凹面、レンズL[LS2o]の物体側レンズ面は物体側凹面、であると望ましい。
また、撮像レンズでは、下記条件式(D8)が満たされると望ましい。
Ar/TL≦0.5 … (D8)
ただし、
Ar :撮像レンズにて、隣り合うレンズブロック同士の空気間隔の総和(
ただし、レンズブロックを除くパワーを有さない光学素子の厚みは
、空気換算した後、空気間隔に含む)
TL :撮像レンズにて最も物体側の面から結像面に至るまでの光軸上の長

である。
また、レンズブロックは3つだけである撮像レンズが、以下の通りであると望ましい。すなわち、第1レンズブロックでは、レンズL[LS1o]、第1レンズ基板、レンズL[LS1m]が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。
第2レンズブロックが、第1レンズブロックの像側に位置し、その第2レンズブロックでは、第2レンズ基板が含まれ、かつ、レンズL[LS2o]が第2レンズ基板の物体側基板面に連なる。そして、レンズL[LS2o]、第2レンズ基板が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。
第3レンズブロックが、第2レンズブロックの像側に位置し、その第3レンズブロックでは、第3レンズ基板が含まれ、かつ、レンズL[LS3o]が第3レンズ基板の物体側基板面に連なるとともに、レンズであるレンズL[LS3m]が第3レンズ基板の像側基板面に連なる。そして、レンズL[LS3o]、第3レンズ基板、レンズL[LS3m]が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。
そして、レンズL[LS1o]の物体側レンズ面は物体側凸面であり、レンズL[LS1m]の像側レンズ面は像側凹面である。さらに、レンズL[LS2o]の物体側レンズ面は物体側凹面である。さらに、レンズL[LS3o]の物体側レンズ面およびレンズL[LS3m]の像側レンズ面が非球面である。
また、レンズブロックは4つだけである撮像レンズが、以下の通りであると望ましい。すなわち、第1レンズブロックでは、レンズL[LS1o]、第1レンズ基板、レンズL[LS1m]が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。
第2レンズブロックが、第1レンズブロックの像側に位置し、その第2レンズブロックでは、第2レンズ基板が含まれ、かつ、レンズL[LS2o]が第2レンズ基板の物体側基板面に連なるとともに、レンズL[LS2m]が第2レンズ基板の像側基板面に連なる。そして、レンズL[LS2o]、第2レンズ基板、レンズL[LS2m]が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。
第3レンズブロックが、第2レンズブロックの像側に位置し、その第3レンズブロックでは、第3レンズ基板が含まれ、かつ、レンズL[LS3m]が第3レンズ基板の像側基板面に連なる。そして、第3レンズ基板、レンズL[LS3m]が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。
第4レンズブロックが、第3レンズブロックの像側に位置し、その第4レンズブロックでは、第4レンズ基板が含まれ、かつ、レンズL[LS4o]が第4レンズ基板の物体側基板面に連なるとともに、レンズL[LS4m]が第4レンズ基板の像側基板面に連なる。そして、レンズL[LS4o]、第4レンズ基板、レンズL[LS4m]が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。
そして、レンズL[LS1o]の物体側レンズ面は物体側凸面であり、レンズL[LS1m]の像側レンズ面は像側凹面である。さらに、レンズL[LS2o]の物体側レンズ面は物体側凹面である。さらに、レンズL[LS3m]の像側レンズ面は非球面である。さらに、レンズL[LS4o]の物体側レンズ面およびレンズL[LS4m]の像側レンズ面が非球面である。
また、レンズブロックが3つだけである撮像レンズおよびレンズブロックが4だけである撮像レンズでは、下記記条件式(D9)および(D10)が満たされると望ましい。
TL/Y’≦2.06 … (D9)
Ar/TL≦0.6 … (D10)
ただし、
TL :撮像レンズにて最も物体側の面から結像面に至るまでの光軸上の長

Y’ :最大像高
Ar :撮像レンズにて、隣り合うレンズブロック同士の空気間隔の総和(
ただし、レンズブロックを除くパワーを有さない光学素子の厚みは
、空気換算した後、空気間隔に含む)
である。
また、撮像レンズでは、レンズ基板がガラスで形成されると望ましい。
また、撮像レンズでは、レンズが樹脂で形成されると望ましい。
なお、レンズとなる樹脂には、30nm以下の粒径である無機微粒子が分散すると望ましい。
また、樹脂は、硬化型樹脂であると望ましい。
なお、以上のような撮像レンズと、撮像レンズを通過する光を撮像する撮像素子と、を含む撮像装置も本発明といえる。また、この撮像装置を含む携帯端末も本発明といえる。
また、以上のような撮像レンズの製造方法にあって、複数のレンズブロックを並べて含むユニットを、レンズブロックユニットとすると、以下の工程が含まれると望ましい。すなわち、レンズブロックの周縁の少なくとも一部にスペーサを並べ、複数のレンズブロックユニットを、スペーサを介在させてつなげる連結工程と、つながるレンズブロックユニットを、スペーサに沿って切断する切断工程と、を含む撮像レンズの製造方法が望ましい。
本発明によると、撮像レンズでは、少なくとも1つ以上のレンズブロックが含まれ、最も物体側に位置するレンズブロックは正パワーを発揮する。そして、その撮像レンズにおける少なくとも1つのレンズブロックでは、そのレンズブロックにおけるレンズ基板の物体側基板面および像側基板面の一方のみにしかレンズが連ならない。そのため、レンズ偏心に起因する収差が起きにくい(要は、撮像レンズが、良好な収差補正機能を有する)。したがって、撮像レンズの製造も簡易になり、その結果、低コストでその撮像レンズは製造される。
その上、レンズブロックに含まれるレンズの数が少ないと、それに起因してレンズ用の金型が少なくてすみ、コストダウンの効果が大きい。また、レンズブロック同士が調芯される場合、レンズの数が1つでも少ないと調芯時間が大幅に短縮される。
は、実施例1の撮像レンズの光学断面図である。 は、実施例2の撮像レンズの光学断面図である。 は、実施例3の撮像レンズの光学断面図である。 は、実施例4の撮像レンズの光学断面図である。 は、実施例5の撮像レンズの光学断面図である。 は、実施例1の撮像レンズの球面収差図である。 は、実施例1の撮像レンズの非点収差図である。 は、実施例1の撮像レンズの歪曲収差図である。 は、実施例2の撮像レンズの球面収差図である。 は、実施例2の撮像レンズの非点収差図である。 は、実施例2の撮像レンズの歪曲収差図である。 は、実施例3の撮像レンズの球面収差図である。 は、実施例3の撮像レンズの非点収差図である。 は、実施例3の撮像レンズの歪曲収差図である。 は、実施例4の撮像レンズの球面収差図である。 は、実施例4の撮像レンズの非点収差図である。 は、実施例4の撮像レンズの歪曲収差図である。 は、実施例5の撮像レンズの球面収差図である。 は、実施例5の撮像レンズの非点収差図である。 は、実施例5の撮像レンズの歪曲収差図である。 は、携帯端末のブロック図である。 は、レンズブロックユニットの断面図である。 は、撮像レンズの製造工程を示す断面図である。 は、撮像レンズの断面図である。 は、説明に使用するレンズブロックの断面図である。 は、図13とは異なる説明に使用するレンズブロックの断面図である。
符号の説明
BK レンズブロック
L レンズ
LS レンズ基板
ape 開口絞り
s レンズ面・基板面
* 非球面
PT 平行平板
LN 撮像レンズ
SR 撮像素子
IM 像面(光学像)
SS 受光面
AX 光軸
LU 撮像装置
CU 携帯端末
1 信号処理部
2 制御部
3 メモリ
4 操作部
5 表示部
[実施の形態1]
[■撮像装置および携帯端末について]
通常、撮像レンズは、画像入力機能付きデジタル機器(例えば携帯端末)への使用に適する。なぜなら、撮像レンズと撮像素子等とを組み合わせて含むデジタル機器は、被写体の映像を光学的に取り込んで電気的な信号として出力する撮像装置になるためである。
撮像装置は、被写体の静止画および動画を撮影するカメラの主たる構成要素(光学装置)であり、例えば、物体(すなわち被写体)側から順に、物体の光学像を形成する撮像レンズと、その撮像レンズにより形成された光学像を電気的な信号に変換する撮像素子と、を含む。
カメラの例としては、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、車載カメラ、およびテレビ電話用カメラが挙げられる。また、カメラは、パーソナルコンピュータ、携帯端末(例えば、携帯電話、モバイルコンピュータ等のコンパクトで携帯可能な情報機器端末)、これらの周辺機器(スキャナー、プリンター等)、および、その他のデジタル機器等に内蔵または外付けされてもよい。
これらの例からわかるように、撮像装置を搭載することでカメラが構成されるだけでなく、撮像装置を搭載することでカメラ機能を有する各種機器が構成される。例えば、カメラ付き携帯電話等の画像入力機能付きデジタル機器が構成される。
図11は、画像入力機能付きデジタル機器の一例である携帯端末CUのブロック図である。この図での携帯端末CUに搭載されている撮像装置LUは、撮像レンズLN、平行平面板PT、および撮像素子SRを含む。
撮像レンズLNは、物体(すなわち被写体)側から順に、物体の光学像(像面)IMを形成する。詳説すると、撮像レンズLNは、例えばレンズブロックBK(詳細は後述)を含み、撮像素子SRの受光面SS上に光学像IMを形成する。
なお、撮像レンズLNで形成されるべき光学像IMは、例えば、撮像素子SRの画素ピッチにより決定される所定の遮断周波数特性を有する光学的ローパスフィルター(図11での平行平面板PT)を通過する。この通過により、電気的な信号に変換される場合に発生するいわゆる折り返しノイズが最小化されるように、空間周波数特性が調整される。
そして、この空間周波数特性の調整により、色モアレの発生が抑えられる。ただし、解像限界周波数周辺の性能が抑えられれば、光学的ローパスフィルターを用いなくても、ノイズが発生しない。また、ノイズのあまり目立たない表示系(例えば、携帯電話の液晶画面等)を用いて、ユーザーが撮影や鑑賞を行う場合、光学的ローパスフィルターは不要である。
平行平面板PTは、例えば、必要に応じて配置される光学的ローパスフィルター、赤外カットフィルタ等の光学フィルタである(なお、平行平板PTは、撮像素子SRのカバーガラス等に相当することもある)。
撮像素子SRは、撮像レンズLNにより受光面SS上に形成された光学像IMを電気的な信号に変換する。例えば、複数の画素を有するCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサおよびCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)型イメージセンサが撮像素子(固体撮像素子)として挙げられる。なお、撮像レンズLNは、撮像素子SRの受光面SS上に被写体の光学像IMを形成させるように位置する。そのため、撮像レンズLNによって形成された光学像IMは、撮像素子SRによって電気的な信号に効率よく変換される。
なお、このような撮像装置LUが画像入力機能付きの携帯端末CUに搭載される場合、通常、携帯端末CUのボディ内部に撮像装置LUが配置される。ただし、携帯端末CUがカメラ機能を発揮する場合には、撮像装置LUが必要に応じた形態になる。例えば、ユニット化した撮像装置LUが、携帯端末CUの本体に対して着脱自在または回動自在になっていてもよい。
ところで、携帯端末CUは、撮像装置LUの他に、信号処理部1、制御部2、メモリ3、操作部4、および表示部5を含む。
信号処理部1は、撮像素子SRで生成された信号に対して、例えば、所定のデジタル画像処理および画像圧縮処理を必要に応じて施す。そして、処理の施された信号は、デジタル映像信号としてメモリ3(半導体メモリ、光ディスク等)に記録されたり、ケーブルを介して赤外線信号に変換され、他の機器に伝送されたりする。
制御部2は、マイクロコンピュータであり、撮影機能、画像再生機能等の機能制御、すなわち、フォーカシングのためのレンズ移動機構の制御等を集中的に行う。例えば、制御部2は、被写体の静止画撮影および動画撮影のうちの少なくとも一方を行うように、撮像装置LUを制御する。
メモリ3は、例えば、撮像素子SRで生成されるとともに信号処理部1にて処理された信号を記憶する。
操作部4は、操作ボタン(例えばレリーズボタン)、操作ダイヤル(例えば撮影モードダイヤル)等の操作部材を含む部分であり、操作者の操作入力した情報を制御部2に伝達する。
表示部5は、液晶モニター等のディスプレイを含む部分であり、撮像素子SRによって変換された画像信号またはメモリ3に記録されている画像情報を用いて画像表示を行う。
[■撮像レンズについて]
ここで、撮像レンズLNについて詳説する。撮像レンズLNは、複数の光学要素を連ねたレンズブロックBKを含む(後述の図1等参照)。そして、このレンズブロック(接合型複合レンズ)BKは、例えば、レンズ基板LSにて対向する2面(物体側基板面および像側基板面)のうちの少なくとも一方の基板面にレンズLを連ねる(なお、このレンズLは正パワーまたは負パワーを発揮する)。
なお、“連なる”とは、レンズ基板LSの基板面とレンズLとが直接接着状態にあること、または、レンズ基板LSの基板面とレンズLとが別部材を介しながら間接接着状態にあることを意味する。
[■撮像レンズの製造方法について]
ところで、図12Aの断面図に示すような、複数のレンズブロックBKを並べて含むレンズブロックユニットUTは、例えば、多数のレンズLを同時に作製できるとともに低コストであるリフロー法またはレプリカ法で製造される(なお、レンズブロックユニットUTに含まれるレンズブロックBKの数は単数であっても複数であってもよい)。
リフロー法は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、ガラス基板に、低軟化点ガラスを成膜させる。そして、この低軟化点ガラス成膜は、リソグラフィーおよびドライエッチングによって微細加工される。さらに、加熱されることで、低軟化点ガラス成膜は溶融してレンズ状になる。つまり、このリフロー法では、ガラス基板上に、多数のレンズが同時に作製される。
また、レプリカ法は、レンズウェーハ上に、金型を用いて硬化性の樹脂をレンズ形状にして転写する。これにより、このレプリカ法では、レンズウェーハ上に、多数のレンズが同時に作製される。
そして、これらのような方法によって製造されたレンズブロックユニットUTから、撮像レンズLNが製造される。この撮像レンズの製造工程の一例を、図12Bの概略断面図で示す。
第1のレンズブロックユニットUT1は、平行平板である第1レンズ基板LS1と、その一方の平面に接着された複数の第1レンズL1と、他方の平面に接着された複数の第2レンズL2と、で構成される。
第2のレンズブロックユニットUT2は、平行平板である第2レンズ基板LS2と、その一方の平面に接着された複数の第3レンズL3と、他方の平面に接着された複数の第4レンズL4と、で構成される。
格子状のスペーサ部材(スペーサ)B1は、第1のレンズブロックユニットUT1と第2のレンズブロックユニットUT2との間(具体的には、第1レンズ基板LS1と第2レンズ基板LS2との間)に介在し、両レンズブロックユニットUT1・UT2の間隔を一定に保つ。さらに、スペーサ部材B1は、基板2と第2のレンズブロックユニット2との間に介在し、基板2とレンズブロックユニットUT2との間隔を一定に保つ(つまり、スペーサ部材B1は2段格子といえる)。そして、スペーサ部材B1の格子の穴の部分に、各レンズLが位置する。
なお、基板B2は、マイクロレンズアレイを含むウェーハスケールのセンサーチップサイズパッケージ、あるいはセンサーカバーガラスまたはIRカットフィルタ等の平行平面板(図11での平行平面板PTに相当するもの)である。
そして、スペーサ部材B1が、第1のレンズブロックユニットUT1と第1のレンズブロックユニットUT2との間、および、第2のレンズユニットUT2と第2基板B2との間に介在することで、レンズ基板LS同士(第1レンズ基板LS1と第2レンズ基板LS2と)が、封止され一体化する。
そして、一体化した第1レンズ基板LS1、第2レンズ基板LS2、スペーサ部材B1、および基板2が、スペーサ部材B1の格子枠(破線Qの位置)に沿って切断されると、図12Cに示すように、2枚玉構成の撮像レンズLNが複数得られる。
このように、複数のレンズブロックBK(第1レンズブロックBK1および第2レンズブロックBK2)の組み込まれた部材が切り離されることで、撮像レンズLNが製造されると、撮像レンズLN毎のレンズ間隔の調整および組み立てが不要になる。そのため、撮像レンズLNの大量生産が可能となる。
しかも、スペーサ部材B1が格子形状である。そのため、このスペーサ部材B1が、複数のレンズブロックBKの組み込まれた部材から撮像レンズLNを切り離す場合の印にもなる。したがって、複数のレンズブロックBKの組み込まれた部材から撮像レンズLNが簡単に切り離され、手間がかからない。その結果、撮像レンズが安価に大量生産できる。
以上を踏まえると、撮像レンズLNの製造方法は、レンズブロックBKの周縁の少なくとも一部にスペーサ部材B1を並べ、複数のレンズブロックユニットUTを、スペーサ部材B1を介在させてつなげる連結工程と、つながるレンズブロックユニットUTを、スペーサ部材B1に沿って切断する切断工程と、を含む。そして、このような製造方法は、安価なレンズ系の量産に向いている。
[■撮像レンズに関するレンズ構成ついて]
次に、全実施例(EX)である実施例1〜5の撮像レンズLNに関するレンズ構成について、図1〜図5の光学断面図を用いて説明する。尚、実施例4及び実施例5は、特許請求の範囲に記載の発明に属さない例である。
光学断面等における部材符号については、以下のようになる。
・Li :レンズL
・LSi :レンズ基板LS(なお、全実施例のレンズ基板LSは平行平板である)
・BKi :レンズブロックBK
・PTi :平行平板(なお、レンズLを連ねない平行平板に限ってPTiを付す)
・si :レンズ面および基板面
・i :“Li”等に付される数字であり、各部材での物体側から像側に至るまで
の順番。
・* :非球面(なお、レンズ基板LSに隣接せず、空気に接するレンズ面は非球
面である)
・ape :開口絞り
・AX :光軸
なお、物体側から像側に並ぶ順番に合致した数字を付されたレンズLを別表現する場合がある。具体的には、レンズ基板LS(第1レンズ基板LS1〜第4レンズ基板LS4)における物体側(o)のレンズLおよび像側(m)のレンズLという意味で、レンズL[LS1o]、レンズL[LS1m]、レンズL[LS2o]、レンズL[LS2m]、レンズL[LS3o]、レンズL[LS3m]、レンズL[LS4o]、レンズL[LS4m]、と表現する場合がある。
[●実 施 例 1]
実施例1の撮像レンズLNでは、物体側から像側に向かって並ぶ3つのレンズブロックBK1〜BK3を含むとともに、開口絞りapeを含む。
最も物体側に位置する第1レンズブロックBK1は、第1レンズ基板LS1を含む。そして、この第1レンズ基板LS1の物体側基板面には第1レンズL1(レンズL[LS1o])が連なり、第1レンズ基板LS1の像側基板面には第2レンズL2(レンズL[LS1m])が連なる。詳説すると、第1レンズL1および第2レンズL2は、以下のようになる。なお、開口絞りapeは、第1レンズL1と第1レンズ基板LS1との境界面に形成される。
・第1レンズL1 :物体側凸の平凸レンズ(なお、物体側レンズ面は非球面)
・第2レンズL2 :像側凹の平凹レンズ(なお、像側レンズ面は非球面)
第2レンズブロックBK2は、第1レンズブロックBK1の像側に位置し、第2レンズ基板LS2を含む。そして、この第2レンズ基板LS2の物体側基板面にのみ、レンズL{第3レンズL3(レンズL[LS2o])}が連なる。詳説すると、第3レンズL3は、以下のようになる。
・第3レンズL3 :物体側凹の平凹レンズ(なお、物体側レンズ面は非球面)
第3レンズブロックBK2は、第2レンズブロックBK2の像側に位置し、第3レンズ基板LS3を含む。そして、この第3レンズ基板LS3の物体側基板面には第4レンズL4(レンズL[LS3o])が連なり、第3レンズ基板LS3の像側基板面には第5レンズL5(レンズL[LS3m])が連なる。詳説すると、第4レンズL4および第5レンズL5は、以下のようになる。
・第4レンズL4 :物体側凸の平凸レンズ
(なお、この第4レンズL4は、物体側レンズ面を、そのレ
ンズ面にて光軸に交わる部分を凸状にするとともに最大像
高の主光線に交わる部分を凹状にした非球面とする)
・第5レンズL5 :像側凹の平凹レンズ(なお、像側レンズ面は非球面)
[●実 施 例 2]
実施例2の撮像レンズLNは、第1レンズブロックBK1、第2レンズブロックBK2、第3レンズブロックBK3、および開口絞りapeを含む。特に、この撮像レンズLNは、実施例1の撮像レンズLNとは異なり、レンズ基板片LSP・LSP同士を連ねるレンズ基板LSを含む。
第1レンズブロックBK1は、第1レンズ基板LS1含む。そして、この第1レンズ基板LS1は、物体側に位置するレンズ基板片LSP1oと像側に位置するレンズ基板片LSP1mとのつながり(接合等)によって形成される。なお、このような第1レンズ基板LS1であっても、物体側基板面および像側基板面の両基板面(レンズ基板片LSP1oの物体側基板面およびレンズ基板片LSP1mの像側基板面)は平面である。したがって、第1レンズ基板LS1は平行平板である。
また、第1レンズ基板LS1の物体側基板面には第1レンズL1(レンズL[LS1o])が連なり、第1レンズ基板LS1の像側基板面には第2レンズL2(レンズL[LS1m])が連なる。詳説すると、第1レンズL1および第2レンズL2は、以下のようになる。なお、開口絞りapeは、第1レンズ基板LS1におけるレンズ基板片LSP1oとレンズ基板片LSP1mとの境界面に形成される。
・第1レンズL1 :物体側凸の平凸レンズ(なお、物体側レンズ面は非球面)
・第2レンズL2 :像側凹の平凹レンズ(なお、像側レンズ面は非球面)
第2レンズブロックBK2では、第2レンズ基板LS2の物体側基板面に連なる第3レンズL3(レンズL[LS2o])および像側基板面に連なる第4レンズL4(レンズL[LS2m])は、以下のようになる。
・第3レンズL3 :物体側凹の平凹レンズ(なお、物体側レンズ面は非球面)
・第4レンズL4 :像側凸の平凸レンズ(なお、像側レンズ面は非球面)
第3レンズブロックBK3では、第3レンズ基板LS3の物体側基板面にのみレンズL{第5レンズL5(レンズL[LS3o])}を連ねる。詳説すると、第5レンズL5は以下のようになる。
・第5レンズL5 :物体側凹の平凹レンズ(なお、物体側レンズ面は非球面)
[●実 施 例 3]
実施例3の撮像レンズLNでは、第1レンズブロックBK1〜第3レンズブロックBK3に加えて、第4レンズブロックBK4を含む。そして、この第4レンズブロックBK4は、第3レンズブロックBK3の像側に位置する。また、この撮像レンズLNは開口絞りapeを含む。
第1レンズブロックBK1では、第1レンズ基板LS1の物体側基板面に連なる第1レンズL1(レンズL[LS1o])および像側基板面に連なる第2レンズL2(レンズL[LS1m])は、以下のようになる。なお、開口絞りapeは、第1レンズL1と第1レンズ基板LS1との境界面に形成される。
・第1レンズL1 :物体側凸の平凸レンズ(なお、物体側レンズ面は非球面)
・第2レンズL2 :像側凹の平凹レンズ(なお、像側レンズ面は非球面)
第2レンズブロックBK2では、第2レンズ基板LS2の物体側基板面に連なる第3レンズL3(レンズL[LS2o])および像側基板面に連なる第4レンズL4(レンズL[LS2m])は、以下のようになる。
・第3レンズL3 :物体側凹の平凹レンズ(なお、物体側レンズ面は非球面)
・第4レンズL4 :像側凸の平凸レンズ
(なお、この第4レンズL4は、像側レンズ面を、そのレン
ズ面での面頂点を凸状とするとともに最大像高の主光線と
交わる部分を凹状とする非球面にする)
第3レンズブロックBK3は、第3レンズ基板LS3を含み、その第3レンズ基板LS3の像側基板面にのみレンズL{第5レンズL5(レンズL[LS3m])}を連ねる。詳説すると、第5レンズL5は以下のようになる。
・第5レンズL5 :像側凸の平凸レンズ
第4レンズブロックBK4は、第4レンズ基板LS4を含む。そして、この第4レンズ基板LS4の物体側基板面には第6レンズL6(レンズL[LS4o])が連なり、第4レンズ基板LS4の像側基板面には第7レンズL7(レンズL[LS4m])が連なる。詳説すると、第6レンズL6および第7レンズL7は、以下のようになる。
・第6レンズL6 :物体側凹の平凹レンズ
(なお、この第6レンズL6は、物体側レンズ面を、そのレ
ンズ面での面頂点を凹状とするとともに最大像高の主光線
と交わる部分を凸状とする非球面にする)
・第7レンズL7 :像側凹の平凹レンズ(なお、像側レンズ面は非球面)
(なお、この第7レンズ7は、像側レンズ面を、そのレンズ
面での面頂点を凹状とするとともに最大像高の主光線に交
わる部分を凸状とする非球面にする)
[●実 施 例 4]
実施例4の撮像レンズLNは、第1レンズブロックBK1および第2レンズブロックBK2を含み、その第2レンズブロックBK2の像側に平行平板PT1を含む(もちろん、開口絞りapeも含まれる)。すなわち、この撮像レンズLNは、レンズブロックBK(パワーを有する光学素子)としては第1レンズブロックBK1および第2レンズブロックBK2の2つを含む。また、開口絞りapeは、第1レンズブロックBK1の物体側に位置する(なお、開口絞りapeにも面符号s1が付される)。
第1レンズブロックBK1では、第1レンズ基板LS1の物体側基板面に連なる第1レンズL1(レンズL[LS1o])および像側基板面に連なる第2レンズL2(レンズL[LS1m])は、以下のようになる。
・第1レンズL1 :物体側凸の平凸レンズ(なお、物体側レンズ面は非球面)
・第2レンズL2 :像側凹の平凹レンズ(なお、像側レンズ面は非球面)
第2レンズブロックBK2は、第2レンズ基板LS2を含み、その第2レンズ基板LS2の物体側基板面にのみレンズL{第3レンズL3(レンズL[LS2o])}を連ねる。詳説すると、第3レンズL3は以下のようになる。
・第3レンズL3 :物体側凹の平凹レンズ(なお、物体側レンズ面は非球面)
[●実 施 例 5]
実施例5の撮像レンズLNは、第1レンズブロックBK1と、その第1レンズブロックBK1の像側に位置する平行平板PT1とを含む(もちろん、開口絞りapeも含まれる)。
ただし、第1レンズブロックBK1は、第1レンズ基板LS1を含み、その第1レンズ基板LS1の像側基板面にのみレンズL{第1レンズL1(レンズL[LS1m])}を連ねる。詳説すると、第1レンズL1は以下のようになる。なお、開口絞りapeは、第1レンズ基板LS1の物体側基板面に形成される。
・第1レンズL1 :像側凸の平凸レンズ(なお、像側レンズ面は非球面)
[■撮像レンズに関するレンズのデータついて]
次に、実施例(EX)1〜5の撮像レンズLNの撮像レンズLNにおける各種データ、
コンストラクションデータ、および非球面データを表に示す。
なお、各種データにおける符号については、以下のようになる。
・f :焦点距離[単位;mm]
・Fno :Fナンバー
・BF :バックフォーカス(ただし、空気換算長。また、撮像レンズLNの全長で
ある光学全長に含まれるバックフォーカスも同様である)。
・Y’ :像高[単位;mm](ただし、歪曲無しでの値)
・ω :半画角[単位;°](ただし、画角は歪曲込みの値)
・TL :撮像レンズLNの全長[単位;mm]
ただし、レンズ基板LSの物体側基板面に連なるレンズLの焦点距離は、そのレンズLの物体側が空気で満たされる一方、像側がレンズ基板LSの媒質で満たされるという状態のもとで求められる。また、レンズ基板LSの像側基板面に連なるレンズの焦点距離は、そのレンズLの物体側がレンズ基板LSの媒質で満たされる一方、像側が空気で満たされるという状態のもとで求められる。
また、接合されていないレンズLの物体側レンズ面の焦点距離は、そのレンズLの物体側が空気で満たされる一方、像側がレンズ基板LSの媒質で満たされるという状態のもとで求められる。もちろん、接合されていないレンズLの像側レンズ面の焦点距離は、そのレンズLの物体側がレンズ基板LSの媒質で満たされる一方、像側が空気で満たされるという状態のもとで求められる。
コンストラクションデータにおける符号については、以下のようになる。
・si :数字は物体側から像側に向かうレンズ面および基板面の順番
・i :“si”等に付される数字であり、物体側から像側に至るまでの順番。
・* :非球面
・ape :開口絞り
・r :レンズ面または基板面の曲率半径[単位;mm]
・d :軸上面間隔[単位;mm]
・Nd :d線(波長587.56nm)に対して媒質が有する屈折率
・νd :d線に対して媒質が有するアッベ数
非球面データは、非球面における面頂点を原点とするローカルな直交座標系(x,y,z)を用いた以下の式(AS)で定義される。そして、以下のKおよびA〜Iが、面(si)毎に示される(ただし、表記のないA〜Iはゼロである)。なお、すべてのデータに関して、“E−n”=“×10−n”である。
z=(c・ρ)/[1+√(1-(1+K)・c・ρ)] +A・ρ+B・ρ+C・ρ
+D・ρ10+E・ρ12+F・ρ14+G・ρ16+H・ρ18+I・ρ20 … (AS)
ただし、
ρ :z軸(光軸AX)に対して垂直な方向の高さ(ρ=x+y)
z :高さρの位置での光軸AX方向のサグ量(面頂点基準)
c :面頂点での曲率(曲率半径rの逆数)
K :円錐定数
A〜I :4次,6次,8次,10次,12次,14次,16次,18次,20次の非球面係数
である。
[●実 施 例 1]
[●実 施 例 2]
[●実 施 例 3]
[●実 施 例 4]
[●実 施 例 5]
[■撮像レンズに関する収差ついて]
実施例(EX)1〜5の撮像レンズLNに関する収差は、図6A〜図10Cに示される。収差図では、球面収差(LONGITUDINAL SPHERICAL ABER.)、非点収差(ASTIGMATIC FIELD CURVES)、および歪曲収差(DISTORTION)が示される。
球面収差図は、d線(波長587.56nm)に対する球面収差量、C線(波長656.28nm)に対する球面収差量、g線(波長435.84nm)に対する球面収差量を、それぞれ近軸像面からの光軸AX方向のズレ量[単位;mm]で示す。また、球面収差図における縦軸は、瞳への入射高さをその最大高さで規格化した値(すなわち、相対瞳高さ)を示す。なお、d線、c線、g線を示す線種は各図を参照するものとする。
非点収差図は、d線に対するタンジェンシャル像面、および、d線に対するサジタル像面を、近軸像面からの光軸AX方向のズレ量[単位;mm]で示す。なお、“T”と付した線がタンジェンシャル像面に対応し、“S”と付した線がサジタル像面に対応している。また、非点収差図における縦軸は像高(IMG HT)である[単位;mm]。
歪曲収差図は、横軸がd線に対する歪曲[単位;%]を示し、縦軸が像高[単位;mm]を示す。なお、像高は結像面における最大像高Y’(撮像素子SRの受光面SSの対角長の半分)に相当する。
[■撮像レンズの詳細について]
以上の撮像レンズLNの詳細は以下の通りである。
撮像レンズLNは、レンズブロック(ウェハスケールレンズ)BKを含む。そして、このレンズブロックBKは、前述した通り、安価に大量生産される。この生産にて、材料の選択肢を増やすべく、例えば、加工しやすい材料または安価な材料を選択可能にすべく(簡易かつ低コストな撮像レンズLNを製造すべく)、レンズブロックBKは、材質を異ならせたレンズLとレンズ基板LSとを含む。
さらに、コンパクト化、高性能化(例えば高い収差補正機能)、および低コスト化等の種々のバランスを考慮すると、撮像レンズLNは、1、2、3、または4つのレンズブロックBKを含む(撮像レンズLNは、少なくとも1つのレンズブロックBK1を含む)。特に、4つ以下のレンズブロックBKを含む撮像レンズLNであれば、レンズ数を少なくした場合にもたらされる効果が顕著になるので、望ましいといえる。
また、撮像レンズLNは、図12Bおよび図12Cに示すように、スペーサ部材B1を介して、レンズ基板LSに多数個成型されたレンズLを並べたレンズブロックユニットUT同士、さらには、センサーカバーになり得る基板B2をつなげた後、スペーサ部材B1に沿う切断で製造される。
そのため、レンズ基板LSが平行平板であると、撮像レンズLNの製造過程で、レンズ基板LSに対する加工は簡易または不要になるだけでなく、レンズLが基板平面に形成されるため安定する。そのため、平行平板のレンズ基板LSだと、撮像レンズLNの製造負担が軽減する。
さらに、レンズ基板LSが平行平板であると、基板面とレンズLとの境界面はパワーを有さない。そのため、例えば、レンズ基板LSの基板面における面精度が、撮像レンズLNにおける像面へのピント位置に影響を与えにくい。したがって、撮像レンズLNは、高性能を有する。
また、撮像レンズLNにおける第1レンズブロックBKは、正パワーを発揮する。このようになっていると、第1レンズブロックBK1の物体側から入射してくる光(光束)は集光され、自身よりも像側に位置する種々の面にて、光軸から離れつつ像高毎に分離される(このような現象は、以降にて“光束が分離される”と称する)。このように面(基板面およびレンズ面)にて光束が分離されると、例えばレンズ面は分離した光束毎に収差を補正する。したがって、撮像レンズLNにて、収差が効率よく補正される。
その上、このような正パワーを発揮する第1レンズブロックBK1を含む撮像レンズLNでは、少なくとも1つのレンズブロックBKは、レンズ基板LSの物体側基板面または像側基板面のいずれか一方の基板面のみにレンズLを連ねると望ましい。
通常、複数の光学素子(例えば1枚のレンズ基板LSとそれを挟み込む2枚のレンズLと)を含むレンズブロックBKにて、例えば、2枚のレンズLがレンズ基板LSに対する所定位置から偏心したとする。このような場合、2枚のレンズLの偏心方向(例えば、互いに相反する偏心方向)によっては、各レンズLの偏心に起因する製造誤差感度が相殺され、レンズブロックBKとしての性能が極端に劣化しない。
しかしながら、逆に、2枚のレンズLの偏心方向(例えば、互いに同じ偏心方向)によっては、各レンズLの偏心に起因する製造誤差感度が倍増され、レンズブロックBKとしての性能が極端に劣化することもある。このようなレンズブロックBKの性能劣化(例えば収差補正機能の劣化)を防止するために、レンズブロックBKは、1枚のレンズ基板LSおよび1枚のレンズLのみを含むとよい(もちろん、このようなレンズブロックBKを含む撮像レンズLNは、レンズLの枚数減少により安価になる)。
また、レンズブロックBK同士が近づくことで、撮像レンズLNがコンパクトになる場合、近づき合ったレンズブロックBKが片側にしかレンズLを含んでいなければ、隣接するレンズLに対する形状の自由度は比較的大きくなる。そのため、このような撮像レンズLNでは、高い自由度によって形成されたレンズLを用いて、収差が効率よく補正される。
また、例えば、レンズブロックBKを1つしか含まない撮像レンズLNでは、そのレンズブロックBKの像側のみにレンズLが位置すれば性能上有利になる。なぜなら、物体側に開口絞りapeがそのレンズLよりも位置することで、そのレンズLのレンズ面にて像高毎の光束が分離され。像高毎の光束に対する収差が効率よく補正される。特に、像面湾曲が効率よく補正される。
また、レンズブロックBKでは、レンズ基板LSは平行平板であるので、曲率を持たない平面の基板面が収差補正機能に多大な影響を与えにくい。そのため、レンズ基板LSの一方の基板面のみにしかレンズLが連なっていなくても、レンズブロックBKとしての収差は抑制される(なお、レンズブロックBKにて、収差補正に多大な影響を与えないような平面に近いレンズ面を有するレンズLが省略されるとよい)。
また、レンズ基板LSの物体側基板面にしかレンズLを連ねていないレンズブロックBKであれば、そのレンズブロックBKのレンズ基板LSが撮像素子SRのカバーガラスにもなり得る。例えば、2つのレンズブロックBKを含む撮像レンズLNにて、第2レンズブロックBK2が、第2レンズ基板LS2の物体側基板面にしかレンズL[LS2o]を連ねていなければ、第2レンズ基板LS2はカバーガラスになり得る。
また、撮像レンズLNでは、以下の条件式(D1)が満たされると望ましい。この条件式(D1)は、第1レンズブロックBK1の有する焦点距離を、撮像レンズLN全体(全系)の焦点距離で規定する。
0.6≦f[BK1]/f[all]≦2.0 … (D1)
ただし、
f[BK1] :第1レンズブロックBK1の焦点距離
f[all] :撮像レンズLN全体の焦点距離
である。
条件式(D1)の値が下限値を下回る場合、例えば、第1レンズブロックBK1の正パワーが強すぎ、光の出射角度が過剰に大きくなる。そのため、像面に対するテレセントリック性が低下する。また、第1レンズブロックBK1の正パワーが強すぎることに起因して、撮像レンズLNにて収差が発生しやすい。
一方、条件式(D1)の値が上限値を上回る場合、例えば、第1レンズブロックBK1の正パワーが弱すぎ、第2レンズブロックBK2等に到達する光が像高毎に分離されない。そのため、像高毎の光束に対する収差補正が難しい。また、第1レンズブロックBK1の焦点距離が比較的長いことに起因して、撮像レンズLNの光学全長が増大する。
以上から、条件式(D1)の値が下限値から上限値までの範囲に収まれば、撮像レンズLNはコンパクトで高性能(例えば、テレセントリック性、高い収差補正機能)を有する。
また、撮像レンズLNにおける正パワーの第1レンズブロックBK1では、第1レンズ基板LS1の物体側基板面にレンズL[LS1o]が連なり、そのレンズL[LS1o]の物体側レンズ面は、物体側凸面であると望ましい。
このようになっていると、レンズL[LS1o]の物体側から入射してくる光(光束)は集光され、そのレンズL[LS1o]よりも像側に位置する種々の面にて、光軸から離れつつ像高毎に分離される。このように面(基板面およびレンズ面)にて光束が分離されると、例えばレンズ面は分離した光束毎に収差を補正する。したがって、撮像レンズLNにて、収差が効率よく補正される。
さらに、このような物体側凸面のレンズL[LS1o]を含む撮像レンズLNでは、以下の条件式(D2)が満たされると望ましい。この条件式(D2)は、第1レンズ基板LS1の屈折率とレンズL[LS1o]の屈折率との比であり、要は、第1レンズ基板LS1の屈折率が、レンズL[LS1o]の屈折率よりも大きいことを示す。
1<N[LS1]/N[L[LS1o]] … (D2)
ただし、
N[LS1] :第1レンズ基板LS1の屈折率
N[L[LS1o]] :レンズL[LS1o]の屈折率
である。
この条件式(D2)については、図13を参照しながら説明する。図13は第1レンズブロックBK1を示す。そして、この図13での実線SW1および実線LW1はレンズ基板LS1が存在しない場合の短波長光の光路および長波長光の光路(要は、空気中を進行すると仮定した光路)を示し、二点鎖線SW2および二点鎖線LW2はレンズ基板LS1が存在する場合での短波長光の光路および長波長光の光路を示す。
図13に示すように、物体側からの光は、第1レンズL1(レンズL[LS1o])、第1レンズ基板LS1、第2レンズL2(レンズL[LS1m])の順で通過する。第1レンズL1に入射する光のうち、短波長光は、長波長光よりも大きく屈折しながら進行する。そのため、第1レンズL1を通過する短波長光および長波長光が第1レンズ基板LS1の物体側基板面に入射する場合、短波長光の入射角度は長波長光の入射角度よりも大きくなる。
ただし、第1レンズ基板LS1の屈折率N[LS1]のほうが、レンズL[LS1o]である第1レンズL1の屈折率N[L[LS1o]]よりも大きいので、スネルの法則により、短波長光が第1レンズ基板LS1の物体側基板面から出射する角度は、その物体側基板面に入射する角度よりも小さい。もちろん、長波長光の場合でも同様である。
また、短波長光に対する第1レンズL1と第1レンズ基板LS1との屈折率差も、長波長光に対する第1レンズL1と第1レンズ基板LS1との屈折率差よりも大きい(要は、第1レンズL1から第1レンズ基板LS1に入射する短波長光と長波長光とでは、短波長光のほうが大きく屈折する)。
すると、第1レンズ基板LS1にて進行する長波長光の光路LW2は、光路LW1より若干第1レンズ基板LS1の周縁にずれるように屈折進行する。一方、第1レンズ基板LS1にて進行する短波長光の光路SW2は、光路SW1よりもはるかに大きく第1レンズ基板LS1の周縁にずれるように屈折進行する。
その結果、第1レンズ基板LS1にて進行する短波長光と長波長光との光路間隔(SW2・LW2参照)は、第1レンズ基板LS1がなく空気中を進行する短波長光と長波長光との光路間隔(SW1・LW1参照)に比べて狭くなる。そのため、この条件式(D2)を満たす撮像レンズLNでは、光の波長の差異に起因する色収差が補正される。
また、物体側凸面のレンズL[LS1o]を含む撮像レンズLNでは、以下の条件式(D3)が満たされると望ましい。この条件式(D3)は、レンズL[LS1o]のアッベ数と第1レンズ基板LS1のアッベ数との比であり、要は、レンズL[LS1o]のアッベ数が、第1レンズ基板LS1のアッベ数と同じまたは大きいことを示す。
1<ν[L[LS1o]]/ν[LS1] … (D3)
ただし、
ν[LS1] :第1レンズ基板LS1のアッベ数
ν[L[LS1o]] :レンズL[LS1o]のアッベ数
である。
アッベ数は、材質の分散を示す値であり、波長486.1nm(F線)の青色の光に対する屈折率nFと波長656.3nm(C線)の赤色の光に対する屈折率nCとの差分と、波長587.6nm(d線)の黄色の光に対する屈折率と空気の屈折率との差分との比である。そして、このアッベ数が小さいということは、F線に対する屈折率とC線に対する屈折率との差(屈折率差)が大きいことになる。これは、短波長の光が比較的大きく屈折することを意味する。
したがって、このように条件式(D3)を満たす撮像レンズLNであれば、条件式(D2)が満たされる場合と同様に、色収差が補正される。もちろん、条件式(D2)および(D3)がともに満たされれば、その撮像レンズLNは、一層望ましい。
ただし、このような条件式(D2)および(D3)を満たさなくても、簡易かつ低コストで製造されながら色収差を補正する撮像レンズLNはある。例えば、以下の条件式(DD1)および(DD2)を満たす撮像レンズLNである。この条件式(DD1)は、第1レンズ基板LS1の屈折率とレンズL[LS1o]の屈折率との比であり、要は、第1レンズ基板LS1の屈折率が、レンズL[LS1o]の屈折率より小さいことを示す。
N[LS1]/N[L[LS1o]]<1 … (DD1)
40≦ν[LS1] … (DD2)
ただし、
N[LS1] :第1レンズ基板LS1の屈折率
N[L[LS1o]] :レンズL[LS1o]の屈折率
ν[LS1] :第1レンズ基板LS1のアッベ数
である。
この条件式(DD2)については、図14を参照しながら説明する。図14は図13同様レンズブロック1を示す。そして、この図14での実線SW1および実線LW1はレンズ基板LS1が存在しない場合での短波長光の光路および長波長光の光路を示す。二点鎖線SW2および二点鎖線LW2は、条件式(DD2)を満たすレンズ基板LS1が存在する場合での短波長光の光路および長波長光の光路を示す。点線SW3および点線LW3は、条件式(DD2)を満たさないレンズ基板LS1が存在する場合での短波長光の光路および長波長光の光路を示す。
上記同様、第1レンズL1(レンズL[LS1o])に入射する光のうち、短波長光は、長波長光よりも大きく屈折しながら進行するので、第1レンズL1を通過する短波長光および長波長光が第1レンズ基板LS1の物体側基板面に入射する場合、短波長光の入射角度は長波長光の入射角度よりも大きくなる。
そして、第1レンズ基板LS1の屈折率N[LS1]のほうが、第1レンズL1の屈折率N[L[LS1o]]よりも小さいので、スネルの法則により、短波長光が第1レンズ基板LS1の物体側基板面から出射する角度は、その物体側基板面に入射する角度よりも大きい。もちろん、長波長光の場合でも同様である。
さらに、アッベ数が比較的小さいと、短波長光の光路SW3および長波長光の光路LW3によって形成される光の帯は、第1レンズ基板LS1の像側に近づくにつれて広がる(つまり、光路SW3と光路LW3との光路間隔は広がる)。そのため、顕著な色収差が発生する。
しかしながら、条件式(DD2)が満たされる場合、短波長光の光路SW2および長波長光の光路LW2によって形成される光の帯は、短波長光の光路SW3および長波長光の光路LW3によって形成される光の帯ほど広がらない。つまり、光路SW2と光路LW2との光路間隔は過剰には広がらない。したがって、この条件式(DD1)および(DD2)を満たす撮像レンズLNでは、条件式(D2)および(D3)の少なくとも一方の条件式を満たす場合と同様に、光の波長の差異に起因する色収差が抑制される。
また、撮像レンズLNでは、以下の条件式(D4)が満たされると望ましい。この条件式(D4)は、光学全長で第1レンズ基板LSの厚みを規定する。
0.03≦d[LS1]/TL≦0.33 … (D4)
ただし、
d[LS1] :第1レンズ基板LS1の光軸上の厚み
TL :撮像レンズLNにて最も物体側の面から結像面に至るまでの光軸上
の長さ
である。
条件式(D4)の値が下限値を下回る場合、第1レンズ基板LS1の厚みが薄くなりすぎてしまい、第1レンズブロックBK1の製造が困難になる。また、この第1レンズ基板LS1が市販ガラス平板を削ることで薄くなる場合、削られる量に相当する材料費が無駄になる。また薄くなりすぎた第1レンズ基板LS1に起因して、高価な樹脂でレンズL[LS1o]およびレンズL[LS1m]が厚みを増さなくてはならなくなると、第1レンズブロックBK1(ひいては撮像レンズLN)のコストが増加する。
一方、条件式(D4)の値が上限値を上回る場合、第1レンズ基板LS1の厚みが厚くなりすぎてしまい、ひいては第1レンズブロックBK1の厚みが厚くなる。そして、その厚みに起因した非点隔差が増大する。
また、3枚以下のコンパクトな光学系では、特開2006-91638号公報および特開2006-98504号公報のように、最も物体側のレンズが物体側凸メニスカスレンズになっていると望ましい。しかし、このように第1レンズ基板LS1が厚くなりすぎると、第1レンズブロックBK1の形状が、薄いメニスカス形状と大きく異なる。そのため、撮像レンズLNにおける収差補正のための設計に制限が加わる(要は、このような撮像レンズLNは、低い収差補正性能を有する)。その上、このような第1レンズブロックBK1を含む撮像レンズLNは、広角レンズ系として不向きになる。
以上から、条件式(D4)の値が下限値から上限値までの範囲に収まれば、撮像レンズLNは、低コストで製造され、さらに、コンパクトで高性能を有する。特に、条件式(D4)の条件範囲のなかでも、以下の条件範囲を定めた条件式(D4a)が満たされると望ましい。詳説すると、実際の製造に適する範囲としては以下の範囲であればよい。なぜなら、条件式の値が下限値を下回ると製造に適さないし、条件式の値が上限値を上回ると、コンパクトさをそこなうためである。
0.065≦d[LS1]/TL≦0.19 … (D4a)
なお、条件式(D2)および(D3)を満たす撮像レンズLN、並びに、条件式(DD1)および(DD2)を満たす撮像レンズLNにて、条件式(D4)の値が満たされると、光が第1レンズ基板LS1を通過する過程にて、短波長光の光路SW2および長波長光の光路LW2によって形成される光の帯の広がり(光の分散)は適切に抑制される。
また、撮像レンズLNでは、レンズ基板LSの物体側基板面および像側基板面の両基板面にレンズLを連ねるレンズブロックBKが少なくとも1つ含まれると望ましい。その上、その3つの光学素子を含むレンズブロックBKが、以下の条件式を満たすと望ましい。この条件式(D5)は、レンズ基板LSを挟み込むレンズL・L同士のアッベ数の差である(ただし、絶対値差)。
10<|ν[L[LSo]]−ν[L[LSm]]| … (D5)
ただし、
ν[L[LSo]] :レンズ基板の物体側基板面および像側基板面の両基板面にレ
ンズを連ねるレンズブロックにて、物体側基板面に連なるレン
ズが有するアッベ数
ν[L[LSm]] :レンズ基板の物体側基板面および像側基板面の両基板面にレ
ンズを連ねるレンズブロックにて、像側基板面に連なるレンズ
が有するアッベ数
である。
通常、撮像レンズLNでの色収差補正では、アッベ数等の材質の異なるレンズが組み合わせて用いられる。これを踏まえて、撮像レンズLNにおけるレンズブロックBKでは、絶対値で10を超えるアッベ数の差を有する2枚のレンズLが含まれるとよい。このようになっていれば、撮像レンズLNは色収差を補正する。
ところで、撮像レンズLNに含まれるレンズブロックBKも、従来のガラスまたは樹脂で形成されるノーマルなレンズ系(ノーマルレンズ)と同等の光学性能を有さなくてはならない。通常、ノーマルレンズにて、像面に対するテレセントリック性が考慮されると、開口絞りが最も物体側に位置すると望ましい。
しかしながら、開口絞りが最も物体側に位置すると、その開口絞りを基準にして物体側に位置するレンズ面と像側に位置するレンズ面との間で、光学的な対称性が成立しない(例えば、ノーマルレンズの光学全長の中間付近に開口絞りが位置し、その開口絞りを基準にして、物体側に位置するレンズ面が物体側凸面で、像側に位置するレンズ面が像側凸面だと、対称性が成立したといえる)。
そして、このような対称性が成立しない場合、ノーマルレンズにおける収差性能は劣化する(要は、開口絞りの前後で、収差が補正されにくい)。この解決策として、例えば特開2006−91638号公報および特開2006−98504号公報では、最も物体側のレンズを物体側凸のメニスカスレンズにし、さらに、そのメニスカスレンズにおける物体側レンズ面の曲率半径を比較的小さくしたノーマルレンズが開示される。
このノーマルレンズは、広角レンズ系でありながら、中絞りであっても、開口絞りを物体側に位置させる。そのため、このノーマルレンズは、像面に対するテレセントリック性を確保しつつ、開口絞り位置を基準にした物体側および像側の光学的な対称性も確保する。
しかしながら、レンズブロックBKの場合、特に平行平板であるレンズ基板LSを含むレンズブロックBKの場合、加工の制限上、レンズ基板LSは一定の厚みを有さなくてはならず、十分に薄くはならない。そのため、このレンズ基板LSを含むレンズブロックBKは、レンズ基板LSの厚みよりも薄いメニスカス形状にはなり得ない。
そのため、このレンズブロックBKにて、レンズ基板LSの物体側のレンズL(例えば第1レンズL1)よりもさらに物体側、または、レンズ基板LSの像側のレンズL(例えば第2レンズL2)よりもさらに像側に、開口絞りapeが位置してしまうと、レンズブロックBKの光学性能は、ノーマルレンズに比べて劣る。
例えば、第1レンズL1の物体側に開口絞りapeが位置することで生じる光学性能の劣化の一例として、非点収差が挙げられる。非点収差は、レンズ面への入射角(レンズ面法線基準)と射出角との比が、像高毎で異なることで生じる。特に、非点収差は、以下の式(AFC)にしたがって、主に周辺(光軸外)での非点隔差の増大に起因して悪化する{なお、式(AFC)は、比較的厚いレンズに関する一般的な式である}。
(d/2n)・(1−cosU/cosU’)・(cosU/cosU’)…(AFC)
ただし、
d :レンズの厚み
n :レンズの屈折率
U :レンズへの入射角(ただし、レンズ面法線基準)
U’ :レンズからの射出角
である。
また、第1レンズL1の物体側に開口絞りapeが位置すると、前述のような光学性能の劣化が起きる他に、撮像レンズLNの軸外偏心誤差感度が大きくなる。軸外偏心誤差感度とは、撮像レンズLNの製造誤差感度の一つであり、撮像レンズLNにて、シフト偏心が生じた場合に結像面で生じる片ボケ量のことである。
そして、このような軸外偏心誤差感度の増大は、レンズLの曲率中心と開口絞りapeとの間隔が比較的長いことに起因する。通常、レンズLの曲率中心と開口絞りapeとの間隔が比較的短ければ、開口絞りapeを通過する光は、レンズ面に対して比較的に垂直で入射するので、偏心による光線軌跡のズレが減少し、光学性能に影響を与えにくい。
しかしながら、レンズLの曲率中心と開口絞りapeとの間隔が比較的長いと、開口絞りapeを通過する光は、レンズ面に対して垂直に入射しづらくなり、偏心による光線軌跡のズレが増加し、光学性能に影響を与えてしまうためである。
また、第2レンズL2の像側に開口絞りapeが位置すると、像面に対するテレセントリック性が悪くなる。このような悪化は、コンパクトなレンズ系に関係する。
例えば、焦点距離と同等な光学全長を有するとともに、焦点距離と像高の2倍とを同程度にする撮像レンズLNがあるとする。そして、この撮像レンズLNにて、開口絞りapeが光学系の中心にあると、最大画角(最大像高)の光線は、開口絞りapeの位置から像面へ向かうときに必ず画角以上の入射角で撮像素子SRの受光面に入射する。
これによって、像面への入射角度が大きくなる。さらに、この入射角度は、撮像素子SRの受光面前のレンズアレイの入射制限角度を超えてしまうため、光線がケラレて周辺照度不足が発生する。
以上を踏まえると、開口絞りapeが第1レンズブロックBK1の内部(特に、第1レンズ基板LS1内部)に位置すると、像面に対するテレセントリック性を確保しつつ良好な収差補正機能を有する撮像レンズLNが実現する。そして、このような撮像レンズLNの実現に要する条件の1つが、以下の条件式(D6)である。この条件式(D6)は、開口絞りapeの位置を規定する。
0≦DT[LS1o-ape]/d[LS1]≦1 … (D6)
ただし、
DT[LS1o-ape] :第1レンズ基板LS1の物体側基板面から開口絞り面に至る
までの長さ(ただし、第1レンズ基板LS1の物体側基板面
から像側での長さを“正”とし、物体側での長さを“負”と
する)
d[LS1] :第1レンズ基板LS1の光軸上の厚み
である。
条件式(D6)の値が下限値を下回る場合、開口絞りapeは第1レンズ基板LS1の物体側基板面よりも物体側に位置することになり、レンズL[LS1o]の曲率中心と開口絞りapeとの間隔が比較的長くなる。そのため、撮像レンズLNの軸外偏心誤差感度が高くなり、レンズの面精度の要求が極めて高くなる。そのため、撮像レンズLNの製造が難しくなる。
一方、条件式(D6)の値が上限値を上回る場合、開口絞りapeは第1レンズ基板LS1の像側基板面よりも像側に位置することになる。つまり、開口絞りapeの位置が過剰に像側に近づく。そのため、像面に対するテレセントリック性が低下する。
以上から、条件式(D6)の値が下限値から上限値までの範囲に収まれば、比較的簡易かつ安価に撮像レンズLNが製造され、さらに、製造された撮像レンズLNは、比較的コンパクトでありながら高性能(例えば高い収差補正機能)を有する。
詳説すると、この撮像レンズLNは、回折面を含むことなく、像高に対する光学全長を短縮し、さらに、良好に収差を補正する。また、この撮像レンズLNがレンズブロックBKを2つ以上含んでいたとしても、そのレンズブロックBKは製造誤差感度を抑えたレンズ基板LSを含む。したがって、このようなレンズブロックBKを2つ含む撮像レンズLNであっても、簡易かつ低コストで製造され、さらに、コンパクトで高性能を有する。
また、以上のような撮像レンズLNが撮像装置LUに搭載されると、その撮像装置LUも、低コストで製造され、さらに、コンパクトで高性能を有する。もちろん、このような撮像装置LUが携帯端末CUに搭載されても同様である。すなわち、薄型、軽量、およびコンパクトでありながら、低コストで高性能かつ高機能を有する携帯端末CUが実現する。
なお、このような撮像レンズLNに関する効果は、以下の条件式(D6a)であっても奏ずる。
0<DT[LS1o-ape]/d[LS1]≦1 … (D6a)
また、開口絞りapeは、遮光性膜であるとよい。このような膜状の開口絞りapeであれば、例えば第1レンズ基板LS1の基板面(物体側基板面または像側基板面)に塗布または真空蒸着で形成できる。
その上、塗布または蒸着によって開口絞りapeが形成されると、その開口絞りapeは比較的薄くなる。そして、特に、以下の条件式(D7)が満たされると望ましい。
d[ape]<25 … (D7)
ただし、
d[ape] :開口絞りの光軸方向の厚み[単位;μm]
である。
すなわち、開口絞りapeの光軸方向の厚みが25μmより薄ければよい(望ましくは、開口絞りapeの光軸方向の厚みは10μmより薄ければよい;d[ape]≦10μm)。このようになっていれば、開口絞りapeのエッジ付近での反射が起きにくくなる。そのため、その反射に起因する迷光が撮像レンズLNにて発生しない。なお、全実施例の撮像レンズLNにて、開口絞りapeは、以下の条件式(D7)を満たす厚みを有する。
また、開口絞りapeが第1レンズ基板LS1の物体側基板面に形成される場合、すなわち、条件式(D6)の値がゼロとなる場合(下限値と一致する場合)、レンズL[LS1o]の物体側レンズ面が物体側凸面であると望ましい。
このようになっていれば、比較的開口絞りapeの位置が物体側に位置することになり、像面に対するテレセントリック性が向上する。その上、レンズL[LS1o]が物体側凸面であることに起因して、開口絞り位置を基準にした物体側および像側の光学的な対称性も確保されやすくなる。
また、パワーを発揮する光学素子としては(例えば、レンズブロックBKとしては)、第1レンズブロックBK1のみを含む撮像レンズLNにあって、レンズL[LS1m]のみが第1レンズ基板LS1の像側基板面に連なると望ましい。そして、この撮像レンズLNでは、開口絞りape、第1レンズ基板LS1、レンズL[LS1m]が、この順で物体側から像側に向かって並び、レンズL[LS1m]の像側面が、像側凸面であると望ましい。
このようになっていると、レンズブロックBKの個数が最少になるので、シンプルかつコンパクトな撮像レンズLNが実現する。また、第1レンズ基板LS1の物体側基板面にはレンズLが連なっていないので、その物体側基板面に開口絞りapeが簡易に形成される(例えば、塗布または真空蒸着で開口絞りapeが簡易に形成される)。
なお、このような撮像レンズLNであっても、前述の条件式(D4)が満たされれば、その撮像レンズLNは、低コストで製造され、さらに、コンパクトで高性能を有する。
また、このような撮像レンズLNであっても、レンズL[LS1m]の像側面が、像側凸面かつ非球面であれば、レンズL[LS1m]の像側面の焦点距離は比較的長くなり、像面湾曲が補正される。ただし、この撮像レンズLNにて、歪曲収差の補正が十分でなければ、この撮像レンズLNを搭載する携帯端末CUの画像処理機能で補正する。
また、レンズブロックBKが少なくとも2つ以上含まれる撮像レンズLNにあっては、以下のようになっていると望ましい。すなわち、第1レンズブロックBK1では、レンズL[LS1o]の物体側レンズ面が物体側凸面であり、第2レンズブロックBK2では、レンズL[LS2o]の物体側レンズ面は、物体側凹面であると望ましい。
このようになっていると、以下の式(PS)で定義されるペッツバール和が小さくなる。なぜなら、レンズL[LS1o]における物体側レンズ面の物体側凸面の焦点距離と、レンズL[LS2o]における物体側レンズ面の物体側凹面の焦点距離とが相殺する関係になるためである。なお、ペッツバール和の値がゼロだと、近軸的な像面の曲率がゼロ、すなわち平面となり、その像面が理想的な面となる。

ただし、
:物体側からj番目のレンズ面による焦点距離
:物体側からj番目のレンズ面を形成するレンズ材料の屈折率
である。
また、レンズL[LS2o]の物体側凹面は、レンズL[LS1o]の物体側凸面(正パワー)によって収斂する過程の光をうける。したがって、レンズL[LS2o]の物体側凹面は、極小サイズになる前の各光束に対して収差補正するので、各光束の周縁の収差も補正する。
また、レンズL[LS1o]の物体側凸面とレンズL[LS2o]の物体側凹面との間隔は、近すぎることもなく遠すぎることもない。そのため、レンズL[LS2o]の物体側凹面の曲率は、レンズL[LS1o]の物体側凸面の正パワーに応じて制約は加わるものの自由度は高い。したがって、ペッツバール和をゼロに近づけるためのレンズL[LS2o]のレンズ設計がしやすい。
また、パワーを発揮する光学素子としては(例えば、レンズブロックBKとしては)、第1レンズブロックBK1および第2レンズブロックBK2のみが含まれる撮像レンズLNでは、以下のようになっていると望ましい。詳説すると、各レンズブロックBK1・BK2が以下のようになっていると望ましい。
すなわち、第1レンズブロックBK1では、レンズL[LS1o]、第1レンズ基板BK1、レンズL[LS1m]が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。また、第2レンズブロックBK2では、レンズL[LS2o]、第2レンズ基板BK2が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。
そして、この撮像レンズLNにて、レンズL[LS1o]の物体側レンズ面が物体側凸面、レンズL[LS1m]の像側レンズ面が像側凸面、レンズL[LS2o]の物体側レンズ面は、物体側凹面であると望ましい。
このような第1レンズブロックBK1は、例えば物体側レンズ面を物体側凸面としたレンズL[LS1o]と、像側レンズ面を像側凸面以外のレンズ面としたレンズL[LS1m]とを含む第1レンズブロックBK1と同じ正パワーを発揮したとしても、レンズL[LS1o]の物体側凸面のパワーを抑えられる。つまり、正パワーを発揮する第1レンズブロックBK1におけるパワーの負担が、レンズL[LS1o]の物体側凸面とレンズL[LS1m]の像側凸面とに割り振られる。
すると、パワー負担の抑えられたレンズ、例えばレンズ[LS1o]の曲率半径が比較的大きくなってもよく、その結果、レンズ[LS1o]の体積が小さくなる。そして、このように体積が小さくなると、例えばレンズ[LS1o]が高価な樹脂で形成されていれば、レンズ[LS1o]のコストも抑えられる。
その上、曲率半径の比較的大きなレンズLは、比較的容易に製造され、さらに、諸性能の評価難易度(例えば、軸外偏心誤差感度)も低くなる。また、パワーの比較的小さいレンズでは、パワーに起因する諸収差も小さくなり、そのようなレンズLを含む撮像レンズLNは、効率よく諸収差を補正する。
なお、この撮像レンズLNでは、レンズブロックBK1における焦点距離と、レンズL[LS2o]における物体側レンズ面(物体側凹面)の焦点距離とが相殺する関係になるため、ペッツバール和の値も小さくなる。
また、正パワーを発揮する第1レンズブロックBK1に加えて、別のレンズブロックBKが含まれることで、合計で少なくとも2つ以上のレンズブロックBKを含む撮像レンズLNにあっては、以下のようになっていると望ましい。すなわち、第1レンズブロックBK1では、レンズL[LS1m]の像側レンズ面が像側凹面であると望ましい。
このようになっていると、前側主点が物体側に移動する。すると、撮像レンズLNの全長が短縮される。その上、レンズL[LS1o]における物体側レンズ面が物体側凸面であれば、ペッツバール和も小さくなる。なぜなら、レンズL[LS1o]における物体側レンズ面の物体側凸面の焦点距離と、レンズL[LS1m]における像側レンズ面の像側凹面の焦点距離とが相殺する関係になるためである。
また、レンズブロックBKとしては、第1レンズブロックBK1および第2レンズブロックBK2のみが含まれる撮像レンズLNでは、以下のようになっていると望ましい。詳説すると、各レンズブロックBK1・BK2が以下のようになっていると望ましい。
すなわち、第1レンズブロックBK1では、レンズL[LS1o]、第1レンズ基板BK1、レンズL[LS1m]が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。また、第2レンズブロックBK2では、レンズL[LS2o]、第2レンズ基板BK2が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。そして、レンズL[LS1o]の物体側レンズ面は物体側凸面、レンズL[LS1m]の像側レンズ面が像側凹面、レンズL[LS2o]の物体側レンズ面が物体側凹面、である。
このようになっていると、レンズL[LS1o]の物体側レンズ面(物体側凸面)における焦点距離と、レンズL[LS1m]における像側レンズ面(像側凹面)の焦点距離およびレンズL[LS2o]における物体側レンズ面(物体側凹面)の焦点距離とが相殺する関係になるため、ペッツバール和の値が小さくなる。
また、2つのレンズブロックBK1・BK2を含む撮像レンズLNでは、以下の条件式(D8)が満たされると望ましい。この条件式(D8)は、光学全長でレンズブロックBK間における空気間隔の総和を規定する。
Ar/TL≦0.5 … (D8)
ただし、
Ar :撮像レンズLNにて、隣り合うレンズブロックBK同士の空気間隔
の総和(ただし、レンズブロックBKを除くパワーを有さない光学
素子の厚みは、空気換算した後、空気間隔に含む)
TL :撮像レンズLNにて最も物体側の面から結像面に至るまでの光軸上
の長さ
である。
条件式(D8)が満たされるコンパクトな撮像レンズLNは、撮像素子SRと一体化したコンパクトなモジュール(カメラモジュール)となる。そして、このカメラモジュールは、ペースト状のハンダの印刷されたプリント基板(回路基板)に取り付けられた後、加熱処理(リフロー処理)されることで、そのプリント基板に実装される。
このような実装過程におけるリフロー処理では、撮像レンズLNは、300℃近く(250〜280℃程度)の環境下に置かれる。すると、図12Cに示すように、スペーサ部材B1を介して密閉されるレンズブロックBK間の空気は膨張する。このような空気膨張が過剰に起きてしまうと、レンズブロック同士が乖離し、撮像レンズLNが破損しかねない。
そこで、このような撮像レンズLNの破損を防止すべく、撮像レンズLNは、条件式(D8)を満たすと望ましい。つまり、撮像レンズLNにおける空気間隔は極力短いと望ましい。特に、条件式(D8)の条件範囲のなかでも、以下の条件範囲を定めた条件式(D8a)が満たされると望ましい。この条件式の範囲であれば、撮像レンズLNが密閉された場合に、閉じこめられる空気が充分に小さくなる。
Ar/TL≦0.45 … (D8a)
また、レンズブロックBKとしては、第1レンズブロックBK1〜第3レンズブロックBK3のみが含まれる撮像レンズLNでは、以下のようになっていると望ましい。詳説すると、各レンズブロックBK1〜BK3が以下のようになっていると望ましい。
すなわち、第1レンズブロックBK1では、レンズL[LS1o]、第1レンズ基板LS1、レンズL[LS1m]が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。また、第2レンズブロックBK2では、レンズL[LS2o]、第2レンズ基板LS2が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。また、第3レンズブロックBK3では、レンズL[LS3o]、第3レンズ基板LS3、レンズL[LS3m]が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。
そして、レンズL[LS1o]の物体側レンズ面は物体側凸面、レンズL[LS1m]の像側レンズ面が像側凹面、レンズL[LS2o]の物体側レンズ面が物体側凹面、並びに、レンズL[LS3o]の物体側レンズ面およびレンズL[LS3m]の像側レンズ面が非球面、であると望ましい。
このようになっていると、物体側凸面であるレンズL[LS1o]は、自身の物体側から入射してくる光(光束)を集光させ、自身よりも像側に位置する種々の面にて、光軸から離れつつ像高毎に分離させる。したがって、例えばレンズ面は分離した光束毎に収差を補正する。
また、レンズL[LS1o]の物体側レンズ面(物体側凸面)における焦点距離と、レンズL[LS1m]における像側レンズ面(像側凹面)の焦点距離およびレンズL[LS2o]における物体側レンズ面(物体側凹面)の焦点距離とが相殺する関係になるため、ペッツバール和の値が小さくなる。
また、仮に、収差補正上、レンズL[LS2m]が第2レンズ基板LS2に連なっていたとする。すると、レンズL[LS2m]、レンズ[LS3o]、およびレンズ[LS3m]において、レンズL[LS2m]は比較的物体側に位置するので、そのレンズL[LS2m]の像側レンズ面では像高毎の光束が分離されていない。
したがって、第2レンズブロックBK2にて、レンズL[LS2m]が存在しなかったとしても、収差補正上の影響は少ない。つまり、第2レンズ基板LS2の像側基板面にレンズL[LS2m]を連ねたとしても、そのレンズL[LS2m]は、レンズL[LS2o]よりも収差補正に寄与しない。そのため、第2レンズブロックBK2では、物体側レンズ面が物体側凹面にするレンズL[LS2o]のみが含まれる。
なお、レンズL[LS2o]の物体側凹面は、第1レンズブロックBK1の正パワーによって収斂する過程の光をうける。したがって、レンズL[LS2o]の物体側凹面は、極小サイズになる前の各光束に対して収差補正するので、各光束の周縁の収差を補正する。
また、レンズL[LS1o]の物体側凸面とレンズL[LS2o]の物体側凹面との間隔は、近すぎることもなく遠すぎることもない。そのため、レンズL[LS2o]の物体側凹面の曲率は、レンズL[LS1o]の物体側凸面の正パワーに応じて制約は加わるものの自由度は高い。したがって、ペッツバール和をゼロに近づけるためのレンズL[LS2o]のレンズ設計がしやすい。
さらに、第3レンズブロックBK3に到達する像高毎の光は、他のレンズブロックBK1・BK2に到達する像高毎の光に比べて、分離している。そのため、レンズ[LS3o]の物体側レンズ面およびレンズL[LS3m]の像側レンズ面が非球面であれば、像面収差および非点収差等が効率よく補正される。
また、レンズブロックBKとしては、第1レンズブロックBK1〜第4レンズブロックBK4のみが含まれる撮像レンズLNでは、以下のようになっていると望ましい。詳説すると、各レンズブロックBK1〜BK4が以下のようになっていると望ましい。
すなわち、第1レンズブロックBK1では、レンズL[LS1o]、第1レンズ基板LS1、レンズL[LS1m]が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。また、第2レンズブロックBK2では、レンズL[LS2o]、第2レンズ基板LS2、レンズL[LS2m]が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。また、第3レンズブロックBK3では、第3レンズ基板LS3、レンズL[LS3m]が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。また、第4レンズブロックBK4では、レンズL[LS4o]、第4レンズ基板LS4、レンズL[LS4m]が、この順で物体側から像側に向けて並ぶ。
そして、レンズL[LS1o]の物体側レンズ面は物体側凸面、レンズL[LS1m]の像側レンズ面が像側凹面、レンズL[LS2o]の物体側レンズ面が物体側凹面、レンズL[LS3m]の像側レンズ面が非球面、並びに、レンズL[LS4o]の物体側レンズ面およびレンズL[LS4m]の像側レンズ面が非球面、であると望ましい。
このようになっていると、物体側凸面であるレンズL[LS1o]は、自身の物体側から入射してくる光(光束)を集光させ、自身よりも像側に位置する種々の面にて、光軸から離れつつ像高毎に分離させる。したがって、例えばレンズ面は分離した光束毎に収差を補正する。
また、レンズL[LS1o]の物体側レンズ面(物体側凸面)における焦点距離と、レンズL[LS1m]における像側レンズ面(像側凹面)の焦点距離およびレンズL[LS2o]における物体側レンズ面(物体側凹面)の焦点距離とが相殺する関係になるため、ペッツバール和の値が小さくなる。なお、レンズL[LS2o]の物体側レンズ面が非球面であることから、この非球面が諸収差を効率よく補正する。
また、仮に、収差補正上、レンズL[LS3o]が第3レンズ基板LS3に連なっていたとする。すると、レンズ[LS3o]およびレンズ[LS3m]において、レンズL[LS3o]は比較的物体側に位置するので、そのレンズL[LS3o]の物体側レンズ面では像高毎の光束が分離されていない。
したがって、第2レンズブロックBK2にて、レンズL[LS3o]が存在しなかったとしても、収差補正上の影響は少ない。つまり、第3レンズ基板LS3の像側基板面にレンズL[LS3o]を連ねたとしても、そのレンズL[LS3o]は、レンズL[LS3m]よりも収差補正に寄与しない。そのため、第3レンズブロックBK3では、像側レンズ面を非球面にするL[LS3m]のみが含まれる。
さらに、第4レンズブロックBK4に到達する像高毎の光は、他のレンズブロックBK1〜BK3に到達する像高毎の光に比べて、分離している。そのため、レンズ[LS4o]の物体側レンズ面およびレンズL[LS4m]の像側レンズ面が非球面であれば、像面収差および非点収差等が効率よく補正される。
また、3つのレンズブロックBKを含む撮像レンズLN、および4つのレンズブロックBKを含む撮像レンズLNでは、以下の条件式(D9)および(D10)が満たされると望ましい。この条件式(D9)は、撮像レンズLNにおける光学全長と最大像高との比を示しており、最大像高に対して最大でも2倍程度に抑えた光学全長しか有さないコンパクトな撮像レンズLNを意味する。また、条件式(D10)は、光学全長でレンズブロックBK間における空気間隔の総和を規定する。
TL/Y’≦2.06 … (D9)
Ar/TL≦0.6 … (D10)
ただし、
TL :撮像レンズLNにて最も物体側の面から結像面に至るまでの光軸上
の長さ
Y’ :最大像高
Ar :撮像レンズLNにて、隣り合うレンズブロックBK同士の空気間隔
の総和(ただし、レンズブロックBKを除くパワーを有さない光学
素子の厚みは、空気換算した後、空気間隔に含む)
である。
この条件式(D10)が満たされると、前述した条件式(D8)が満たされる場合と同様の作用効果が、撮像レンズLNに奏ずる。特に、条件式(D10)の条件範囲のなかでも、以下の条件範囲を定めた条件式(D10a)が満たされると望ましい。この条件式の範囲であれば、撮像レンズLNが密閉された場合に、閉じこめられる空気が充分に小さくなる。
Ar/TL≦0.4 … (D10a)
また、撮像レンズLNが高温環境下に置かれることを想定して、比較的耐熱性の高いガラスで、レンズ基板LSが形成されると望ましい。特に、そのガラスが、高軟化温度のガラスであると一層望ましい(なお、レンズLについての耐熱性等については後述する)。
なお、以下に、全ての実施例(EX1〜EX5)における条件式(D1〜D10)の結果を表にして示す。ただし、実施例1〜5は、条件式(D7)を満たすため表では省略する。また、表での“×”は、条件式に対応する値を求められないことを意味し、下線は条件を満たさないことを意味する。
[実施の形態2]
実施の形態2について説明する。なお、実施の形態1で用いた部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付記し、その説明を省略する。この実施の形態では、レンズLを形成する樹脂について説明する。
樹脂は、加工性に優れている。そのため、実施の形態1で列挙してきたレンズLが樹脂で形成される場合、金型等で簡易に非球面のレンズ面が形成される。
ただし、通常、透明な樹脂(ポリメチルメタクリレート等)に微粒子が混合すると、樹脂内に光の散乱が生じ、透過率が低下する。そのため、微粒子を含有する樹脂は、光学材料として不向きといえる。
また、樹脂は、温度に依存して屈折率を変える。例えば、以下のローレンツ・ローレンツの式(LL)で、ポリメチルメタクリレート(PMMA)の屈折率の温度依存性、すなわち、温度に依存する屈折率変化(dn/dt)を求めてみる。

ただし、
n :樹脂の屈折率
t :温度
α :線膨張係数(なお、PMMAの場合、α=7×10−5である)
[R] :分子屈折
である。
すると、PMMAの場合、屈折率変化が“−1.2×10−4[/℃]”となる。この数値は実測値とほぼ一致する。したがって、樹脂(プラスチック)だけでレンズLが形成されると、そのレンズLの有する屈折率変化は、温度に依存せざるを得ない。その上、このような樹脂に単純に微粒子を混在させてレンズLが形成されると、そのレンズLは光を散乱させるだけでなく、温度に応じて屈折率を変えることになる。
しかしながら、最近、樹脂が適切に設計された微粒子を含むことで、光学材料として使用可能であることがわかってきた。なぜなら、微粒子を含有する樹脂(混合樹脂)では、その微粒子の粒径が透過光束の波長より小さくなっていると、光の散乱が発生しないためである。
その上、微粒子が無機微粒子であると、その無機微粒子は温度上昇にともなって屈折率を上昇させる。そのため、混合樹脂にて、温度上昇にともなった樹脂の屈折率低下と、温度上昇にともなった無機微粒子の屈折率上昇とが同時に発生する。すると、両方の温度依存性(屈折率低下・屈折率上昇)が相殺され、その結果、混合樹脂の屈折率変化が温度に依存して起きにくくなる(例えば、レンズLにて、面形状変化に起因する近軸像点位置への影響とほぼ同程度に、屈折率変化が抑えられる)。
なお、特開2007−126636号に、以上の一例である混合樹脂、すなわち、樹脂(母材)に最大長30nm以下の無機微粒子{子材;酸化ニオブ(Nb)等}を分散させた混合樹脂が開示される。
以上を踏まえると、レンズLが30nm以下の無機微粒子を分散させた樹脂(混合樹脂)で形成されると、そのレンズLを含む撮像レンズLNは、温度に対して高い耐久性を有する。また、例えば、混合樹脂における樹脂と無機微粒子との比率、無機微粒子の粒径の長さ(例えば、最大長20nm以下、さらに望ましくは15nm以下)、母材となる樹脂の種類、および子材となる無機微粒子の種類、が適切に調整されると、レンズLが高屈折率を発揮する。すると、混合樹脂でレンズLが形成されると、そのレンズLを含む撮像レンズLNがコンパクトになったり、レンズLの成型難易度が低減したりする。
なお、以上のような樹脂は硬化型樹脂であると望ましい。なぜなら、このような硬化型樹脂であれば、金型等によって、簡易に非球面を含むレンズLが製造されるためである。また、樹脂に接着性があれば(または樹脂に接着剤が混在していれば)、その樹脂製のレンズLはレンズ基板LSに容易に接合する。つまり、直接接着されたレンズ基板LSおよびレンズLを含むレンズブロックBKブロックが簡単に製造される。
さらに、以上のような樹脂が耐熱性を有するとよい。例えば、撮像レンズLNおよび撮像素子SRを一体化したモジュール(カメラモジュール)は、ペースト状のハンダの印刷されたプリント基板(回路基板)に取り付けられた後、加熱処理(リフロー処理)されることで、そのプリント基板に実装される。特に、このような実装はオートメーションで行われる。すると、レンズLが耐熱性の硬化型樹脂であれば、リフロー処理に耐えられるので、オートメーションに適する(もちろん、レンズ基板LSも耐熱性の高い材料、例えば、ガラスだと望ましい)。
なお、硬化型樹脂の一例としては、熱硬化型樹脂および紫外線(UV)硬化型樹脂が挙げられる。
そして、熱硬化型樹脂の場合、レンズLが比較的厚かったとしても、精度よく製造される。また、UV硬化樹脂の場合、比較的短時間で硬化するため、レンズLが短時間で製造される。
[その他の実施の形態]
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
例えば、撮像レンズは以下のように表現することもできる。
撮像レンズは、物体に相対する、少なくとも正の屈折力を有する第1レンズブロックと、その第1レンズブロックの像側に配置され、物体側に凹面形状を有する第2レンズブロックとを含み、さらに、その第2レンズブロックの像側に少なくとも1枚以上のレンズブロックを配置させる。
そして、この撮像レンズにて、第2レンズブロックの像側に配置されたレンズブロックの内で、第2レンズブロックより最も像側に配置されたレンズブロックを第iレンズブロック(i≧3)とする。すると、第iレンズブロックは、第iレンズ基板を含み、かつ、その第iレンズ基板の物体側面に形成され、その第iレンズ基板とは異なる屈折率を持ち、最大像高の主光線が通過するところで物体側に凸面形状を有するレンズを含む。
つまり、撮像レンズは、i個のレンズブロックを使用した場合に、最も像側のレンズブロックである第iレンズブロックに含まれる第iレンズ基板の物体側面に形成されたレンズが最軸外で物体側に凸面形状をもつ。これによって、周辺光束の第iレンズ基板の像側面に形成されたレンズへの入射角は小さく抑えられる。そのため、第iレンズ基板の像側面に形成されたレンズは撮像素子への入射角を小さく抑えなくてもよい。したがって、非球面サグ量が抑えられる。その結果、第iレンズ平板のレンズ要素が薄くなってもよく、撮像レンズ全体の小型化が可能になる。
また、第2レンズブロックの物体側面が物体側に凹面形状を有することで、撮像レンズでは、非点収差が良好に補正される。
また、第iレンズブロックが平行平板でもあるレンズ基板を含むと、そのレンズ基板が撮像素子のカバーガラスにもなり、特別なカバーガラスが不要になる。そのため、撮像レンズが小型になる。
また、レンズ基板の表面に、赤外線カットフィルタ被膜が成膜されると、そのレンズ基板は簡易に赤外線カットフィルタにもなる。すなわち、撮像レンズは、レンズブロックに含まれる平行平板の表面に赤外線カットフィルタを成膜することで、センサーカバーガラスに赤外線カットフィルタの機能を持たせなくてもよく、簡素な構造になり得る。
また、撮像レンズでは、下記の条件式(F1)が満たされると望ましい。この条件式(F1)は、第1レンズブロックにおける物体側面の焦点距離を規定するものである。
0.6≦f[BK1]/f[all]≦1.3 … (F1)
ただし、
f[BK1] :第1レンズブロックにおける物体側のレンズの物体側レンズ面の
焦点距離(第1レンズブロックの焦点距離ともいえる場合もある)
f[all] :撮像レンズ全体の焦点距離
である。
そして、レンズ系の焦点距離に対する第1レンズブロックの焦点距離の比が条件式(F1)の下限を下回ると、球面収差・コマ収差の補正が困難となる。一方で、条件式(F1)の上限値を超えると、光学全長が長くなってしまう。したがって、条件式(F1)を使用することにより、撮像レンズは、光学全長を短くし、良好な収差性能を得る。
また、撮像レンズでは、以下の条件式(F2)が、満たされると望ましい。
(|z−z|)/Y’<0.16 …(F2)
ただし、
第iレンズブロックにおける像側レンズ面に対応する以下の値である。
z : (c・ρ)/[1+√(1-(1+K)・c・ρ)]+A・ρ+B・ρ+C・ρ
+D・ρ10+E・ρ12+F・ρ14+G・ρ16+H・ρ18+I・ρ20

: (c・ρ)/[1+√(1-(1+K)・c・ρ)]
であり、さらに、
ρ :z軸(光軸)に対して垂直な方向の高さ
z :高さρの位置での光軸方向のサグ量(面頂点基準)
c :面頂点での曲率(曲率半径rの逆数)
K :円錐定数
Y’ :最大像高
である。
条件式(F1)を満たしている光学全長の短い光学系(撮像レンズ)において、条件式(2)の値が上限以上になると、非球面サグ量が大きくなりレンズ部厚を厚くせざるをえなくなる。したがって、条件式(F2)を満たす撮像レンズは、非球面形状を転写する金型の加工を容易にする。
また、撮像レンズは、第1レンズブロックは正の屈折力(パワー)を発揮するレンズと負の屈折力を発揮するレンズの接合レンズである.そして、この撮像レンズでは、下記条件式(F3)が満たされると望ましい。
5<|ν1−ν2|<70 … (F3)
ただし、
ν1:第1レンズブロックにおいて正の屈折力を発揮するレンズのアッベ数
ν2:第1レンズブロックにおいて負の屈折力を発揮するレンズのアッベ数
である。
条件式(F3)は、正の屈折力を発揮するレンズと負の屈折力を発揮するレンズとを接合させた光学要素である第1レンズブロック(接合レンズ)を含む撮像レンズにおいて、正の屈折力を発揮するレンズと負の屈折力を発揮するレンズとのアッベ数の差(ただし絶対値差)を規定するものである。そして、この条件式(F3)が満たされると、アッベ数の差を用いた収差補正が可能になり、撮像レンズは良好な収差性能を有する。
また、撮像レンズでは、第1レンズブロックは第1レンズ基板が含まれ、その第1レンズ基板の物体側基板面に形成された正の屈折力を発揮するレンズL[LS1o](第1fレンズ要素)と、第1レンズ基板の像側面に形成された負の屈折力を発揮するレンズL[LS1m](第1bレンズ要素)と、も含まれる。そして、この撮像レンズでは、以下の条件式(F3’)が満たされると望ましい。
5<|ν1−ν2|<70 … (F3’)
ただし、
ν1:第1レンズブロックにおいて正の屈折力を発揮するレンズL[LS1o]
のアッベ数
ν2:第1レンズブロックにおいて負の屈折力を発揮するレンズL[LS1m]
のアッベ数
である。
条件式(3’)は、第1レンズブロックがレンズ基板を含む場合において、レンズL[LS1o]とレンズL[LS1m]とのアッベ数の差(ただし、絶対値差)を規定するものである。そして、この条件式(F3’)が満たされると、撮像レンズは、条件式(F3)を満たした場合同様に、アッベ数の差を用いて収差を補正する。
なお、レンズ基板が平行平板であると、その平行平板の成型が容易であるので、撮像レンズのコストが下がる。また、レンズを形成する位置を選択する必要がなくなる。
また、撮像レンズでは、少なくとも1枚の樹脂で形成されるレンズを含むと望ましい。
つまり、撮像レンズにおけるレンズブロックが、レンズ基板を含み、さらに、そのレンズ基板の物体側にレンズL[LS1o]、像側にレンズL[LS1m]を含む場合、それらのレンズが樹脂で形成されていると望ましい。このようになっていれば、撮像レンズのコストが安くなり、その撮像レンズが容易に生産される。
また、撮像レンズにおいて、全てのレンズブロックが、レンズの屈折率とは異なる屈折率を有するレンズ基板を含むと望ましい。
また、撮像レンズでは、各々のレンズブロックに含まれるレンズが、紫外線硬化型樹脂で形成されており、以下の条件式(F4)が満たされると望ましい。
5<|ν1−ν2|<40 … (F4)
だだし、
ν1:第1レンズブロックにおいて正の屈折力を発揮するレンズのアッベ数。し
かし、第1レンズブロックがレンズ基板を含む場合、そのレンズ基板の物
体側のレンズL[LS1o]のアッベ数
ν2:第1レンズブロックにおいて負の屈折力を発揮するレンズのアッベ数。し
かし、第1レンズブロックがレンズ基板を含む場合、そのレンズ基板の像
側のレンズL[LS1m]のアッベ数
である。
また、撮像レンズにおいて、レンズL[LS1o]とレンズL[LS1m]とが、樹脂で形成されている場合、条件式(F4)における上限値、さらには選択可能なガラス材の種類は、制約をうけ、条件式(F4)の範囲に限定される。
なお、より望ましくは、条件式(F4)の下限値において、例えば、正の屈折力を発揮するレンズL[LS1o]と負の屈折力を発揮するレンズL[LS1m]とのアッベ数の差が15以上であれば、良好に色収差が補正される。
一方で、条件式(F4)の値が上限値以上になると、コストや量産性のよい樹脂を組み合わせたレンズブロックが製造しづらい。
なお、以上の条件式(F1)〜(F4)に要する数値実施例(ただし、実施例3のみ)を下記に示しておく。
●実施例3の撮像レンズ
・f[BK1] =3.23[mm]
・f[all] =2.75[mm]
・f[BK1]/f[all] =1.17455
・サグ量(|z−z|) =0.1[mm]
・Y’ =1.75[mm]
・(|z−z|)/Y’ =0.05714
・|ν1−ν2| =25
ところで、レンズが紫外線硬化型樹脂で形成される場合には、ガラス平板にレンズが成型された後、紫外光が照射されることで、一度に大量のレンズブロックが製造される。また、紫外線硬化型樹脂はレプリカ法との相性(マッチング)がよい。なぜなら、レンズに紫外線硬化型樹脂が使用されると、レプリカ法によって、レンズブロックそのものが硬化される。その上、そのレンズブロックは光をよく通過させるので、照射される紫外線を紫外線硬化型樹脂全体にいきわたせ、スムースに硬化する。
また、紫外線硬化型樹脂は耐熱性に優れており、この樹脂を用いたレンズモジュールは、リフロー工程に耐え得る。そのため、工程を大幅に簡略化でき、大量生産かつ安価なレンズモジュールに最適である。
なお、条件式(F2)は紫外線硬化型樹脂を用いたレプリカ法においても効力を持つ。すなわち、条件式(F2)の上限値以上の非球面サグ量があると、紫外線硬化型樹脂で形成される部分の厚みが厚くなってしまい、紫外線の透過が悪くなる。つまり、紫外線硬化型樹脂が、硬化しにくくなる。
また、開口絞りは、いずれかのレンズ基板の表面(物体側基板面または像側基板面)に遮光性を有する被膜で成膜されることで、簡易に形成されると望ましい。すなわち、従来第1レンズと第2レンズとの間に別途も受けられていた開口絞りが、レンズ基板の表面に遮光性を有する被膜で成膜されることで完成すれば、他の部材が必要なくなり、開口絞りの機能が容易に実現する。
より望ましくは、第1レンズ基板とレンズL[LS1o]との間、または、最も物体側面上に開口絞りが形成されると、開口絞りは光を緩やかに曲げることができ、撮像面に対し、よりテレセントリック(主光軸が光軸と平行になるように光が進む状態)に光を到達させる。
また、撮像レンズにおいて、全てのレンズブロックがレンズ基板を含んでいれば、いずれかのレンズ基板の表面に赤外線カットフィルタ被膜が成膜できるので、容易に赤外線カットフィルタ完成する。
また、レンズにて、空気と面するレンズ面が全て非球面となれば、より良好な収差性能を有する撮像レンズが完成する。すなわち、非球面のレンズを使用したほうが、球面のレンズを使用した場合に比べ、収差を補正し易い。また、レンズ面等が、1面で収差を補正するよりも、複数の面で収差を補正するほうが容易なため、多くのレンズ面を非球面にした撮像レンズが収差を良好に補正する。

Claims (24)

  1. 平行平板であるレンズ基板と、前記レンズ基板の物体側基板面および像側基板面の少なくとも一方の基板面に連なる正パワーまたは負パワーを発揮するレンズと、を有するレンズブロックが、少なくとも1つ以上含まれるとともに、
    光量を規制する開口絞りが含まれており、
    前記レンズブロックは、前記レンズ基板とは異なる材質で形成される前記レンズを含み、
    前記レンズブロックである第1レンズブロックが、最も物体側に位置して、正パワーを発揮し、
    少なくとも1つの前記レンズブロックは、前記レンズ基板の物体側基板面または像側基板面のいずれか一方の基板面にのみ前記レンズを連ねており、
    前記第1レンズブロックでは、前記レンズ基板である第1レンズ基板が含まれ、
    下記条件式(D6)が満たされる撮像レンズ。
    0≦DT[LS1o-ape]/d[LS1]≦1 … (D6)
    ただし、
    DT[LS1o-ape] :第1レンズ基板の物体側基板面から開口絞り面に至るまでの
    長さ
    d[LS1] :第1レンズ基板の光軸上の厚み
    である。
  2. 下記条件式(D1)が満たされる請求項1に記載の撮像レンズ。
    0.6≦f[BK1]/f[all]≦2.0 … (D1)
    ただし、
    f[BK1] :第1レンズブロックの焦点距離
    f[all] :撮像レンズ全体の焦点距離
    である。
  3. 記レンズであるレンズL[LS1o]が前記第1レンズ基板の物体側基板面に連なり、
    前記レンズL[LS1o]の物体側レンズ面は、物体側凸面であり、
    下記条件式(D2)が満たされる請求項1または2に記載の撮像レンズ。
    1<N[LS1]/N[L[LS1o]] … (D2)
    ただし、
    N[LS1] :第1レンズ基板の屈折率
    N[L[LS1o]] :レンズL[LS1o]の屈折率
    である。
  4. 記レンズであるレンズL[LS1o]が前記第1レンズ基板の物体側基板面に連なり、
    前記レンズL[LS1o]の物体側レンズ面は、物体側凸面であり、
    下記条件式(D3)が満たされる請求項1〜3のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
    1<ν[L[LS1o]]/ν[LS1] … (D3)
    ただし、
    ν[LS1] :第1レンズ基板のアッベ数
    ν[L[LS1o]] :レンズL[LS1o]のアッベ数
    である。
  5. 記条件式(D4)が満たされる請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
    0.03≦d[LS1]/TL≦0.33 … (D4)
    ただし、
    d[LS1] :第1レンズ基板の光軸上の厚み
    TL :撮像レンズにて最も物体側の面から結像面に至るまでの光軸上の長

    である。
  6. 前記レンズ基板の物体側基板面および像側基板面の両基板面に前記レンズを連ねる前記レンズブロックが少なくとも1つ含まれており、
    下記条件式が満たされる請求項1〜5のいずれか1項に記載の撮像レンズ
    10<|ν[L[LSo]]−ν[L[LSm]]| … (D5)
    ただし、
    ν[L[LSo]] :レンズ基板の物体側基板面および像側基板面の両基板面にレンズ
    を連ねるレンズブロックにて、物体側基板面に連なるレンズが有
    するアッベ数
    ν[L[LSm]] :レンズ基板の物体側基板面および像側基板面の両基板面にレンズ
    を連ねるレンズブロックにて、像側基板面に連なるレンズが有す
    るアッベ数
    である。
  7. 前記開口絞りが、遮光性膜であり、前記第1レンズ基板の物体側基板面または像側基板面に形成されており、
    下記条件式(D7)が満たされる請求項3〜のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
    d[ape]<25 … (D7)
    ただし、
    d[ape] :開口絞りの光軸方向の厚み[単位;μm]
    である。
  8. 前記開口絞りが、遮光性膜であり、前記第1レンズ基板の物体側基板面に形成される請求項3〜のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
  9. 前記レンズブロックが前記第1レンズブロックだけであり
    記レンズであるレンズL[LS1m]のみが前記第1レンズ基板の像側基板面に連なり、
    前記開口絞り、前記第1レンズ基板、前記レンズL[LS1m]が、この順で物体側から像側に向かって並び、
    前記レンズL[LS1m]の像側面が、像側凸面である請求項請求項1または2に記載の撮像レンズ。
  10. 下記条件式(D4)が満たされる請求項に記載の撮像レンズ。
    0.03≦d[LS1]/TL≦0.33 … (D4)
    ただし、
    d[LS1] :第1レンズ基板の光軸上の厚み
    TL :撮像レンズにて最も物体側の面から結像面に至るまでの光軸上の長

    である。
  11. 前記レンズブロックが少なくとも2つ以上含まれており、
    前記第1レンズブロックでは、前記レンズであるレンズL[LS1o]が前記第1レンズ基板の物体側基板面に連なり、
    前記レンズL[LS1o]の物体側レンズ面は、物体側凸面であり、
    前記レンズブロックである第2レンズブロックが前記第1レンズブロックの像側に位置し、
    その第2レンズブロックでは、前記レンズ基板である第2レンズ基板が含まれ、かつ、前記レンズであるレンズL[LS2o]が前記第2レンズ基板の物体側基板面に連なり、
    前記レンズL[LS2o]の物体側レンズ面は、物体側凹面である請求項1〜のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
  12. 前記レンズブロックが少なくとも2つ以上含まれており、
    記レンズであるレンズL[LS1m]が前記第1レンズ基板の像側基板面に連なり、
    前記レンズL[LS1m]の像側レンズ面は、像側凹面である請求項1〜のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
  13. 前記レンズブロックは2つだけであり、
    前記第1レンズブロックでは、前記レンズであるレンズL[LS1o]が前記第1レンズ基板の物体側基板面に連なり、
    前記レンズL[LS1o]、前記第1レンズ基板、前記レンズL[LS1m]が、この順で物体側から像側に向けて並び、
    前記レンズブロックである第2レンズブロックが、前記第1レンズブロックの像側に位置し、
    その第2レンズブロックでは、前記レンズ基板である第2レンズ基板が含まれ、かつ、前記レンズであるレンズL[LS2o]が前記第2レンズ基板の物体側基板面に連なり、前記レンズL[LS2o]、前記第2レンズ基板が、この順で物体側から像側に向けて並び、
    前記レンズL[LS1o]の物体側レンズ面は、物体側凸面であり、
    前記レンズL[LS2o]の物体側レンズ面は、物体側凹面である請求項12に記載の撮像レンズ。
  14. 下記条件式(D8)が満たされる請求項12または請求項13に記載の撮像レンズ。
    Ar/TL≦0.5 … (D8)
    ただし、
    Ar :撮像レンズにて、隣り合うレンズブロック同士の空気間隔の総和(
    ただし、レンズブロックを除くパワーを有さない光学素子の厚みは
    、空気換算した後、空気間隔に含む)
    TL :撮像レンズにて最も物体側の面から結像面に至るまでの光軸上の長

    である。
  15. 前記レンズブロックは3つだけであり、
    前記第1レンズブロックでは、前記レンズであるレンズL[LS1o]が前記第1レンズ基板の物体側基板面に連なり、前記レンズL[LS1o]、前記第1レンズ基板、前記レンズL[LS1m]が、この順で物体側から像側に向けて並び、
    前記レンズブロックである第2レンズブロックが、前記第1レンズブロックの像側に位置し、
    その第2レンズブロックでは、前記レンズ基板である第2レンズ基板が含まれ、かつ、前記レンズであるレンズL[LS2o]が前記第2レンズ基板の物体側基板面に連なり、前記レンズL[LS2o]、前記第2レンズ基板が、この順で物体側から像側に向けて並び、
    前記レンズブロックである第3レンズブロックが、前記第2レンズブロックの像側に位置し、
    その第3レンズブロックでは、前記レンズ基板である第3レンズ基板が含まれ、かつ、前記レンズであるレンズL[LS3o]が前記第3レンズ基板の物体側基板面に連なるとともに、前記レンズであるレンズL[LS3m]が前記第3レンズ基板の像側基板面に連なり、前記レンズL[LS3o]、前記第3レンズ基板、前記レンズL[LS3m]が、この順で物体側から像側に向けて並び、
    前記レンズL[LS1o]の物体側レンズ面は、物体側凸面であり、
    前記レンズL[LS2o]の物体側レンズ面は、物体側凹面であり、
    前記レンズL[LS3o]の物体側レンズ面および前記レンズL[LS3m]の像側レンズ面が、非球面である請求項12に記載の撮像レンズ。
  16. 前記レンズブロックは4つだけであり、
    前記第1レンズブロックでは、前記レンズであるレンズL[LS1o]が前記第1レンズ基板の物体側基板面に連なり、前記レンズL[LS1o]、前記第1レンズ基板、前記レンズL[LS1m]が、この順で物体側から像側に向けて並び、
    前記レンズブロックである第2レンズブロックが、前記第1レンズブロックの像側に位置し、
    その第2レンズブロックでは、前記レンズ基板である第2レンズ基板が含まれ、かつ、前記レンズであるレンズL[LS2o]が前記第2レンズ基板の物体側基板面に連なるとともに、前記レンズであるレンズL[LS2m]が前記第2レンズ基板の像側基板面に連なり、前記レンズL[LS2o]、前記第2レンズ基板、前記レンズL[LS2m]が、この順で物体側から像側に向けて並び、
    前記レンズブロックである第3レンズブロックが、前記第2レンズブロックの像側に位置し、
    その第3レンズブロックでは、前記レンズ基板である第3レンズ基板が含まれ、かつ、前記レンズであるレンズL[LS3m]が前記第3レンズ基板の像側基板面に連なり、前記第3レンズ基板、前記レンズL[LS3m]が、この順で物体側から像側に向けて並び、
    前記レンズブロックである第4レンズブロックが、前記第3レンズブロックの像側に位置し、
    その第4レンズブロックでは、前記レンズ基板である第4レンズ基板が含まれ、かつ、前記レンズであるレンズL[LS4o]が前記第4レンズ基板の物体側基板面に連なるとともに、前記レンズであるレンズL[LS4m]が前記第4レンズ基板の像側基板面に連なり、前記レンズL[LS4o]、前記第4レンズ基板、前記レンズL[LS4m]が、この順で物体側から像側に向けて並び、
    前記レンズL[LS1o]の物体側レンズ面は、物体側凸面であり、
    前記レンズL[LS2o]の物体側レンズ面は、物体側凹面であり、
    前記レンズL[LS3m]の像側レンズ面は、非球面であり、
    前記レンズL[LS4o]の物体側レンズ面および前記レンズL[LS4m]の像側レンズ面が、非球面である請求項12に記載の撮像レンズ。
  17. 下記条件式(D9)および(D10)が満たされる請求項15または16に記載の撮像レンズ。
    TL/Y’≦2.06 … (D9)
    Ar/TL≦0.6 … (D10)
    ただし、
    TL :撮像レンズにて最も物体側の面から結像面に至るまでの光軸上の長

    Y’ :最大像高
    Ar :撮像レンズにて、隣り合うレンズブロック同士の空気間隔の総和(
    ただし、レンズブロックを除くパワーを有さない光学素子の厚みは
    、空気換算した後、空気間隔に含む)
    である。
  18. 前記レンズ基板がガラスで形成される請求項1〜17のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
  19. 前記レンズが樹脂で形成される請求項1〜18のいずれか1項に記載の撮像レンズ。
  20. 前記レンズとなる樹脂には、30nm以下の粒径である無機微粒子が分散する請求項19に記載の撮像レンズ。
  21. 前記樹脂は、硬化型樹脂である請求項19または20に記載の撮像レンズ。
  22. 請求項1〜21のいずれか1項に記載の撮像レンズと、
    前記撮像レンズを通過する光を撮像する撮像素子と、
    を含む撮像装置。
  23. 請求項22に記載の撮像装置を含む携帯端末。
  24. 請求項1〜21のいずれか1項に記載の撮像レンズの製造方法にあって、
    複数の前記レンズブロックを並べて含むユニットを、レンズブロックユニットとすると、
    前記レンズブロックの周縁の少なくとも一部にスペーサを並べ、複数の前記レンズブロックユニットを、前記スペーサを介在させてつなげる連結工程と、
    前記のつながるレンズブロックユニットを、前記スペーサに沿って切断する切断工程と、
    を含む撮像レンズの製造方法。
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