JP5211862B2 - 熱交換器 - Google Patents

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Description

本発明は、扁平チューブと扁平チューブの端部に配置されるタンク部とを備えた熱交換器に関する。
特許文献1には、超臨界冷凍サイクルに用いられる従来の熱交換器が開示されている。この熱交換器は、内部に冷媒を流通させる複数の扁平チューブと、扁平チューブの端部に配置されたタンク部とを備えている。タンク部は、扁平チューブが挿入される扁平形状のチューブ挿入孔が形成されたプレートヘッダと、プレートヘッダに組み合わされるタンクヘッダと、プレートヘッダ及びタンクヘッダ間に介在する中間プレートとがろう付けにより一体化された構造を備えている。中間プレートには、チューブ挿入孔に対応する位置に、チューブ挿入孔よりも幅広の扁平形状のプレート孔が形成されている。プレート孔には、扁平チューブの先端部が挿入されている。タンクヘッダは、中間プレートに当接して接合された平板部と、中間プレートの反対側に断面U字状に膨出した膨出部とを有している。タンクヘッダの膨出部と中間プレートとの間には、プレート孔を介して複数の扁平チューブのそれぞれに連通する冷媒流路が形成されている。
超臨界冷凍サイクルでは高圧状態の冷媒が用いられるため、熱交換器においても高い耐圧性が求められる。上記の構成を有する熱交換器では一般に、タンク径(膨出部の内径)が小さく、膨出部の板厚が厚く、プレート孔の幅が狭いほど高い耐圧性が得られる。
特開2007−278556号公報
ところが、上記の熱交換器において耐圧性を高めるためにプレート孔の幅を狭くすると、プレート孔の内壁面と扁平チューブの外壁面との間の間隔が狭くなってしまう。このため、熱交換器の構成部品同士を接合するろう付け工程において、チューブ根付け部のろう材が毛管現象により扁平チューブの先端面まで吸い上げられ、扁平チューブのチューブ孔がろう材により埋められて閉塞してしまうという問題が生じる。
一方、タンクヘッダの膨出部と平板部との境界部に形成されるR立上がり部には、冷媒圧力により中間プレートから引き剥がされる方向の応力が集中し易い。また、プレート孔の幅が広いほどタンクヘッダにおける冷媒からの受圧面積が増加するため、R立ち上がり部に集中する応力はプレート孔の幅が広いほど大きくなる。したがって、ろう材によるチューブ孔の閉塞を回避するためにプレート孔の幅を広くすると、受圧面積が増加するためR立上がり部に集中する応力が増大し、熱交換器の耐圧性が低下してしまうという問題が生じる。
本発明の目的は、耐圧性を向上できるとともに、扁平チューブのチューブ孔の閉塞を生じ難くできる熱交換器を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
請求項1に記載の発明は、内部に冷媒を流通させる複数の扁平チューブ(11)と、複数の扁平チューブ(11)の端部に配置されたタンク部(20)とを備えた熱交換器であって、タンク部(20)は、複数の扁平チューブ(11)がそれぞれ挿入される扁平形状の複数のチューブ挿入孔(51)が形成されたプレートヘッダ(50)と、プレートヘッダ(50)に組み合わされるタンクヘッダ(30)と、プレートヘッダ(50)及びタンクヘッダ(30)間に介在する中間プレート(40)とがろう付けにより一体化された構造を備え、中間プレート(40)には、複数の扁平チューブ(11)の先端部がそれぞれ挿入される扁平形状の複数のプレート孔(41)がチューブ挿入孔(51)に対応する位置に形成され、タンクヘッダ(30)は、中間プレート(40)に当接して接合された平板部(31)と、平板部(31)から中間プレート(40)の反対側に膨出し、プレート孔(41)を介して複数の扁平チューブ(11)のそれぞれに連通する冷媒流路(33)を形成する膨出部(32)とを有し、プレート孔(41)は、膨出部(32)と平板部(31)との境界部(34a、34b)近傍に、短手方向の幅(Wa、Wb)が狭く形成された幅狭部(42a、42b)を有し、かつ扁平チューブ(11)の挿入方向に境界部(34a、34b)を見たときに、幅狭部(42a、42b)に境界部(34a、34b)が重なって位置していることを特徴とする熱交換器である。
これにより、膨出部(32)と平板部(31)との境界部(34a、34b)において中間プレート(40)のプレート孔(41)の幅(Wa、Wb)を狭くできるため、タンクヘッダ(30)の境界部(34a、34b)に集中する応力を減少させることができる。したがって、熱交換器の耐圧性を向上できる。
一方、幅狭部(42a、42b)の形成領域以外ではプレート孔(41)の幅を広くできるため、プレート孔(41)の内壁面と扁平チューブ(11)の外壁面との間の間隔を広くできる。したがって、ろう付け工程においてろう材が吸い上げられ難くなるため、扁平チューブ(11)のチューブ孔の閉塞を生じ難くできる。
請求項2に記載の発明は、プレート孔(41)は、幅狭部(42a、42b)より膨出部(32)側に、幅狭部(42a、42b)より幅が広い部位を有していることを特徴としている。
これにより、幅狭部(42a、42b)より膨出部(32)側において、プレート孔(41)の内壁面と扁平チューブ(11)の外壁面との間の間隔を広くできる。
請求項3に記載の発明は、プレート孔(41)は、幅狭部(42a、42b)より平板部(31)側に、幅狭部(42a、42b)より幅が広い部位を有していることを特徴としている。
これにより、幅狭部(42a、42b)より平板部(31)側において、プレート孔(41)の内壁面と扁平チューブ(11)の外壁面との間の間隔を広くできる。
請求項4に記載の発明は、中間プレート(40)は、プレート孔(41)を介して対面する内壁面から互いに向き合う方向に突出し、幅狭部(42a、42b)を形成する一対の突出部(43a、43b)を有していることを特徴としている。
これにより、幅狭部(42a、42b)におけるプレート孔(41)の幅(Wa、Wb)を部分的に狭くするとともに、幅狭部(42a、42b)の形成領域以外ではプレート孔(41)の内壁面と扁平チューブ(11)の外壁面との間の間隔を広く維持することが容易になる。
請求項5に記載の発明は、内部に冷媒を流通させる複数の扁平チューブ(11)と、複数の扁平チューブ(11)の端部に配置されたタンク部(20)とを備えた熱交換器であって、タンク部(20)は、複数の扁平チューブ(11)がそれぞれ挿入される扁平形状の複数のチューブ挿入孔(51)が形成されたプレートヘッダ(50)と、プレートヘッダ(50)に組み合わされるタンクヘッダ(30)と、プレートヘッダ(50)及びタンクヘッダ(30)間に介在する中間プレート(40)とがろう付けにより一体化された構造を備え、中間プレート(40)には、複数の扁平チューブ(11)の先端部がそれぞれ挿入される扁平形状の複数のプレート孔(41)がチューブ挿入孔(51)に対応する位置に形成され、タンクヘッダ(30)は、中間プレート(40)に当接して接合された平板部(31)と、平板部(31)から中間プレート(40)の反対側に膨出し、プレート孔(41)を介して複数の扁平チューブ(11)のそれぞれに連通する冷媒流路(33)を形成する膨出部(32)とを有し、プレート孔(41)は、膨出部(32)と平板部(31)との境界部(34a、34b)近傍に、短手方向の幅(Wa、Wb)が狭く形成された幅狭部(42a、42b)を有しており、膨出部(32)は、プレート孔(41)の長手方向中央部に対して所定方向にずれて配置されており、プレート孔(41)は、第1の幅狭部(42a)と、第1の幅狭部(42a)よりも当該長手方向中央部からの距離が遠く、第1の幅狭部(42a)よりも幅広に形成された第2の幅狭部(42b)とを有していることを特徴としている。
プレート孔(41)の長手方向中央部から遠い境界部(34b)近傍では、プレート孔(41)の長手方向中央部に近い境界部(34a)近傍よりも集中する応力が小さくなるため、第2の幅狭部(42b)を第1の幅狭部(42a)よりも幅広に形成しても高い耐圧性を維持することができる。第2の幅狭部(42b)を比較的幅広に形成することによって、当該第2の幅狭部(42b)でのプレート孔(41)の内壁面と扁平チューブ(11)の外壁面との間の間隔を広くできるため、扁平チューブ(11)のチューブ孔の閉塞をより生じ難くできる。
請求項6に記載の発明は、第2の幅狭部(42b)は、プレート孔(41)の長手方向端部に配置されていることを特徴としている。
プレート孔(41)の長手方向端部に位置する第2の幅狭部(42b)を第1の幅狭部(42a)よりも幅広に形成することによって、溶融したろう材が溜まるろう溜まり部をプレート孔(41)の長手方向端部に確保できる。したがって、扁平チューブ(11)のチューブ孔の閉塞を生じ難くできる。
請求項7に記載の発明は、冷媒として二酸化炭素が用いられていることを特徴としている。二酸化炭素が冷媒として用いられる場合には熱交換器に高い耐圧性が求められるため、上記発明により特に高い効果が得られる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係の一例を示している。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図1乃至図5を用いて説明する。本実施形態の熱交換器は、例えば車両用空調装置に用いられ、高圧側圧力が臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成する蒸発器である。蒸発器は、冷凍サイクル内を循環して膨張弁により減圧された冷媒との熱交換によって、送風ファンにより送風される空調空気を冷却するようになっている。冷媒としては、例えば二酸化炭素(CO)が用いられている。
図1は、本実施形態における蒸発器1の概略の構成を模式的に示す斜視図である。図1中に両矢印で示す上下方向及び左右方向は、車両搭載状態の蒸発器1を車両前方から見たときの方向を表している。図1に示すように、蒸発器1は例えば2−2ターン式の構造を備え、2列のコア部10と、各コア部10の上下に位置するタンク部20とを有している。蒸発器1は、軽量で耐腐食性に優れるアルミニウム又はアルミニウム合金製の複数の部材により構成されている。これらの構成部材は、嵌合、かしめ又は治具固定等により互いに組み付けられた後に、ろう材によりろう付けされて一体化している。
コア部10は、扁平チューブ11、フィン12及びサイドプレート(インサート)13を有している。扁平チューブ11は扁平な断面形状を有し、上下方向に延伸している。フィン12は、薄肉の帯状材を用いて波形に成形されている。扁平チューブ11とフィン12とは、左右方向に交互に積層されている。最外方のフィン12のさらに外方には、補強部材としての一対のサイドプレート13が設けられている。蒸発器1は2つのコア部10を有しており、両コア部10は空気の流れ方向Aに対して直列に配置されている。
扁平チューブ11の延伸方向両端部には、冷媒の集合及び分散を行う一対のタンク部20が接続されている。タンク部20は、扁平チューブ11が接続されるプレートヘッダ50と、プレートヘッダ50に組み合わされるタンクヘッダ30と、プレートヘッダ50及びタンクヘッダ30間に介在する中間プレート40とがろう付けにより一体化された構造を有している。タンク部20には、2つのコア部10に対応して2列の冷媒流路が形成されている。上側のタンク部20には、風下側の冷媒流路の一端側に接続され、外部から冷媒を流入させる流入口21と、風上側の冷媒流路の一端側に接続され、外部に冷媒を流出させる流出口22とが設けられている。両冷媒流路の他端側は、不図示の連通路により連通している。また、上側のタンク部20の2列の冷媒流路は、延伸方向中央部に設けられた中央仕切板23によりそれぞれ分割されている。下側のタンク部20の2列の冷媒流路の両端部にはサイド仕切板24が設けられている。
図2は、ろう付け姿勢において下段側となる扁平チューブ11とタンク部20との接続部分近傍の構成を示す模式図である。図2(a)は、タンク部20を扁平チューブ11の扁平面に平行に切断した断面図であり、図2(b)は中間プレート40、プレートヘッダ50及び扁平チューブ11を図2(a)の左側から見たときの構成を示す図である。図2(a)、(b)の上下方向は、蒸発器1のろう付け姿勢における上下方向にほぼ一致している。また図2(a)では、蒸発器1が実際に使用される際にタンクヘッダ30に作用する冷媒圧力を矢印で模式的に表している。
図2(a)、(b)に示すように、扁平チューブ11は、扁平な長六角形状の断面形状を有している。扁平チューブ11の内部には、冷媒を流通させる複数(例えば16個)のチューブ孔14が形成されている。
プレートヘッダ50には、複数の扁平チューブ11がそれぞれ挿入されて貫通する扁平形状の複数のチューブ挿入孔51が形成されている。チューブ挿入孔51の開口形状は、扁平チューブ11の外周形状にほぼ一致している。プレートヘッダ50の縁部には、中間プレート40を挟んでタンクヘッダ30を仮固定するためのかしめ部52が形成されている。
中間プレート40には、扁平形状を有する複数のプレート孔41が形成されている。各プレート孔41は、プレートヘッダ50のチューブ挿入孔51に対応する位置に形成されている。プレート孔41には、扁平チューブ11の先端部が挿入されている。プレート孔41は、中間プレート40を貫通している。プレート孔41は、扁平チューブ11の端部を収容するように扁平チューブ11の先端部よりやや大きく形成されている。プレート孔41の深さ方向の中間に扁平チューブ11の端部が位置付けられている。
タンクヘッダ30は、中間プレート40に当接して接合された平板部31と、平板部31から中間プレート40の反対側に向かって断面U字状に膨出する膨出部32とを有している。膨出部32と中間プレート40との間には、プレート孔41を介して複数の扁平チューブ11のそれぞれに連通する冷媒流路33が形成されている。冷媒流路33は、扁平チューブ11の断面長手方向(図2(a)、(b)の上下方向)に対してほぼ垂直な方向に延伸している。冷媒流路33の幅は、扁平チューブ11の断面長手方向の幅及びプレート孔41の長手方向(図2(a)、(b)の上下方向(扁平方向ともいう))の幅よりも狭くなっている。
本例の冷媒流路33(膨出部32)は、プレート孔41の長手方向中央部に対してタンク部20の側端部側(図2(a)、(b)中の下側)にずれて配置されている。このため、膨出部32と平板部31との間の一方の境界部34aはプレート孔41の長手方向中央部近傍に位置し、他方の境界部34bはプレート孔41の下端部近傍に位置している。境界部34a、34bは、平板部31と呼びうる部位と膨出部32と呼びうる部位との境界線を含んでいる。平板部31と膨出部32との間には凸曲面が形成される。この凸曲面の上に、境界部34a、34bは設定される。中間プレート40とタンクヘッダ30との間には、凸曲面に沿って、縦断面における形状が三角形のろう材のフィレットが形成される。このろう材フィレットの中間プレート40上の縁を、境界部34a、34bは含んでいる。
プレート孔41は、全体として略長円状の開口形状を有している。プレート孔41は、当該プレート孔41の内壁面と扁平チューブ11の外壁面との間の間隔を広く確保するために、プレートヘッダ50のチューブ挿入孔51よりも大きく形成されている。プレート孔41の大部分の領域において、短手方向の幅はWcになっている。この幅Wcの部位は、幅広部44a、44bをなしている。
プレート孔41の長手方向中央部近傍、すなわちタンクヘッダ30の境界部34aに対向する位置近傍には、プレート孔41の内壁面から互いに向き合う方向に突出する一対の突出部43aが形成されている。突出部43aは、プレート孔41の長手方向に関して、境界部34aの図中上下にわたる長さを有している。突出部43aの長さは、境界部34aを包含するように設定されている。突出部43aは、プレート孔41の内面に、台形の凸条として形成されている。これにより、プレート孔41の長手方向中央部近傍には、短手方向の幅Waが部分的に狭くなった幅狭部42aが形成されている。幅狭部42aの幅Waは、幅広部44a、44bの幅Wcよりも狭く、Wa<Wcとなっている。また、プレート孔41の下端部近傍、すなわちタンクヘッダ30の境界部34bに対向する位置近傍には、同様に突出する一対の突出部43bが形成されている。これにより、プレート孔41の下端部近傍には、短手方向の幅Wbが部分的に狭くなった幅狭部42bが形成されている。幅狭部42bの幅Wbは、幅広部44a、44bの幅Wcよりも狭く、Wb<Wcとなっている。ただし幅狭部42bの幅Wbは、幅狭部42aの幅Waよりも広く、Wb>Waとなっている。プレート孔41は、長手方向中央部近傍の幅狭部42aでくびれた瓢箪状の形状を有している。
プレート孔41は、幅狭部42a、42bより膨出部32側に、幅広部44bを有している。幅広部44bは、幅狭部42a、42bに挟まれており、膨出部32に重なって配置されている。プレート孔41は、幅狭部42aより平板部31側に、幅広部44aを有している。プレート孔41には、その長手方向に関して、幅広部44bによって離された2つの幅狭部42a、42bが設けられている。プレート孔41の端側に位置する幅狭部42bは、プレート孔41の中央側に位置する幅狭部42aより、幅広に形成されている。かしめ部52近傍に位置する幅狭部42bは、かしめ部52から離れて位置する幅狭部42aより、幅広に形成されている。
このように本実施形態では、幅狭部42a、42bが形成されているため、タンクヘッダ30の膨出部32と平板部31との境界部34a、34b近傍の領域で、プレート孔41の幅Wa、Wbが部分的に狭くなっている。境界部34a、34bに集中する応力の大きさは、境界部34a、34bに対向する位置でのプレート孔41の幅と相関がある。このため、当該位置でのプレート孔41の幅を狭くすることにより、境界部34a、34bに集中する応力を減少させることができる。したがって本実施形態によれば、蒸発器1の耐圧性を向上させることができる。
一方、幅狭部42a、42bの形成領域以外の領域においては、プレート孔41の幅Wcは比較的幅広に形成されているため、プレート孔41の内壁面と扁平チューブ11の外壁面との間の間隔を広くすることができる。したがって、ろう付け工程においてろう材が吸い上げられ難くなるため、扁平チューブ11のチューブ孔14の閉塞を生じ難くすることができる。
また本実施形態では、プレート孔41の内壁面から互いに向き合う方向に突出する突出部43a、43bにより幅狭部42a、42bが形成されている。これにより、幅狭部42a、42bにおけるプレート孔41の幅Wa、Wbを局所的に狭くするとともに、幅狭部42a、42b形成領域以外の領域ではプレート孔41の内壁面と扁平チューブ11の外壁面との間の間隔を広く維持することが容易になる。
さらに本実施形態では、ろう付け姿勢においてプレート孔41の下端部に位置する幅狭部42bの幅Wbは、プレート孔41の長手方向中央部近傍の幅狭部42aの幅Waよりも広くなっている。仮に、幅狭部42bの幅Wbを幅狭部42aの幅Waと同程度に狭くしてしまうと、ろう付け工程において溶融したろう材が幅狭部42bに溜まってしまい、扁平チューブ11の幅狭部42b側のチューブ孔14がろう材により閉塞されてしまうおそれがあった。これに対し本実施形態では、幅狭部42bの幅Wbを比較的幅広に形成することにより、溶融したろう材が溜まるろう溜まり部をプレート孔41の下端部に確保できるため、チューブ孔14の閉塞を生じ難くすることができる。また、幅狭部42bでのプレート孔41内壁面と扁平チューブ11外壁面との間の間隔を比較的広くできるため、幅狭部42bでのろう材の吸い上がりを緩和することもできる。
ここで、本実施形態では、タンクヘッダ30の膨出部32がプレート孔41の長手方向中央部に対して下方にずれて配置されている。このため、図2(a)中の矢印で表しているように、膨出部32よりも下方の平板部31に対して冷媒により加えられる力は、膨出部32よりも上方の平板部31に対して冷媒により加えられる力よりも小さくなる。これにより、境界部34b近傍に集中する応力は、境界部34a近傍に集中する応力よりも小さくなる。このため、幅狭部42bの幅Wbを幅狭部42aの幅Waより広くしても、蒸発器1の高い耐圧性を維持することができる。
本実施形態の蒸発器を試作したところ、扁平チューブ1本当たりのチューブ孔の閉塞孔数は、従来の1.5個(9.4%)から0.4個(2.5%)に減少した。
図3は、本実施形態の第1変形例における扁平チューブ11とタンク部20との接続部分近傍の構成を示す模式図である。図3(a)、(b)は、図2(a)、(b)にそれぞれ対応する部分を示している。図3(a)、(b)に示すように、本変形例では、膨出部32が、プレート孔41の長手方向中央部に対してタンク部20の中央部側(図3(a)、(b)中の上側)にずれて配置されている。このため、膨出部32と平板部31との間の一方の境界部34aはプレート孔41の上端部近傍に位置し、他方の境界部34bはプレート孔41の長手方向中央部近傍に位置している。
プレート孔41の長手方向中央部近傍には、プレート孔41の内壁面から互いに向き合う方向に突出する一対の突出部43aが形成されている。またプレート孔41の上端部近傍には、同様に突出する一対の突出部43bが形成されている。これにより、プレート孔41の長手方向中央部近傍には幅狭部42aが形成され、上端部近傍には幅狭部42bが形成されている。幅狭部42bの幅Wbは、幅狭部42aの幅Waよりも広くなっている(Wb>Wa)。幅狭部42a、42bより膨出部32側には幅広部44bが形成され、幅狭部42aより平板部31側には幅広部44aが形成されている。
図3(a)中の矢印で表しているように、膨出部32よりも上方の平板部31に対して冷媒により加えられる力は、膨出部32よりも下方の平板部31に対して冷媒により加えられる力よりも小さくなる。これにより、境界部34a近傍に集中する応力は、境界部34b近傍に集中する応力よりも小さくなる。このため、幅狭部42bの幅Wbを幅狭部42aの幅Waより狭くしても、蒸発器1の高い耐圧性を維持することができる。
本変形例では、図2(a)、(b)に示した構成とは異なり、比較的幅の広い幅狭部42bがプレート孔41の上端部に形成されている。ここで、中間プレート40やタンクヘッダ30等は一般に図4に示すように対称構造を有しているため、ろう付け姿勢において上段に位置するプレート孔41においては、幅狭部42bがプレート孔41の下端部に配置される。したがって、図2(a)、(b)に示した構成と同様に、幅狭部42bを比較的幅広に形成することによりプレート孔41にろう溜まり部を確保できるため、扁平チューブ11のチューブ孔14の閉塞を生じ難くすることができる。また、幅狭部42bでのプレート孔41内壁面と扁平チューブ11外壁面との間の間隔を比較的広くできるため、幅狭部42bでのろう材の吸い上がりを緩和することもできる。
図5は、本実施形態の第2変形例における扁平チューブ11とタンク部20との接続部分近傍の構成を示す模式図である。図5(a)、(b)は、図2(a)、(b)にそれぞれ対応する部分を示している。図5(a)、(b)に示すように、本変形例では、膨出部32がプレート孔41の長手方向中央部近傍に配置されている。このため、膨出部32と平板部31との間の一方の境界部34aはプレート孔41の上方寄りに位置し、他方の境界部34bはプレート孔41の下方寄りに位置している。
プレート孔41における境界部34aに対向する位置には、プレート孔41の内壁面から互いに向き合う方向に突出する一対の突出部43dが形成されている。またプレート孔41における境界部34bに対向する位置には、同様に突出する一対の突出部43dが形成されている。これにより、プレート孔41の上方寄りには幅狭部42dが形成され、下方寄りには幅狭部42eが形成されている。幅狭部42dより平板部31側には幅広部44dが形成され、幅狭部42d、42eより膨出部32側には幅広部44eが形成され、幅狭部42eより平板部31側には幅広部44fが形成されている。幅広部44eは幅狭部42d、42eに挟まれており、膨出部32に重なって配置されている。プレート孔41は、2つの幅狭部42d、42eでそれぞれくびれた形状を有している。
図5(a)中の矢印で表しているように、膨出部32よりも上方の平板部31に対して冷媒により加えられる力と、膨出部32よりも下方の平板部31に対して冷媒により加えられる力とはほぼ等しくなっている。これにより、境界部34a近傍に集中する応力と境界部34b近傍に集中する応力とはほぼ等しくなる。このため本変形例では、幅狭部42d、42eがほぼ同一の幅Wd(Wd<Wc)に形成されている。
本変形例では、プレート孔41の上端部及び下端部はいずれも比較的幅広の幅Wcに形成されているため、幅狭部の幅を調節するまでもなくろう溜まり部が確保される。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6を用いて説明する。図6は、本実施形態における蒸発器の扁平チューブ11とタンク部20との接続部分の構成を示す模式図である。図6(a)、(b)は、図2(a)、(b)にそれぞれ対応する部分を示している。図6(a)、(b)に示すように、本実施形態では、膨出部32と平板部31との間の一方の境界部34aはプレート孔41の長手方向中央部近傍に位置し、他方の境界部34bはプレート孔41の下端部近傍に位置している。
プレート孔41の長手方向中央部近傍、すなわちタンクヘッダ30の境界部34aに対向する位置近傍には、プレート孔41の内壁面から互いに向き合う方向に突出する一対の突出部43aが形成されている。これにより、プレート孔41の長手方向中央部近傍には、短手方向の幅Waが部分的に狭くなった幅狭部42aが形成されている(Wa<Wc)。
一方、プレート孔41の下端部近傍、すなわちタンクヘッダ30の境界部34bに対向する位置近傍には、上記のような突出部が形成されていない。これにより、プレート孔41の下端部近傍には幅狭部が形成されず、当該下端部近傍での幅Wdはプレート孔41の大部分の領域における幅Wcにほぼ等しくなっている(Wd≒Wc)。
本実施形態では、プレート孔41において幅狭部が形成される領域を減少させているため、ろう材の吸い上げによるチューブ孔14の閉塞を第1実施形態よりもさらに生じ難くすることができる。図2(a)、(b)に示した構成と同様に、境界部34b近傍に集中する応力は境界部34a近傍に集中する応力よりも小さくなるため、境界部34b近傍でのプレート孔41の幅Wdを比較的幅広に形成しても、蒸発器の高い耐圧性を維持することができる。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、扁平な長六角形状の断面形状を有する扁平チューブ11を例に挙げたが、扁平チューブの断面形状は長円形状や扁平な平行四辺形状等の他の形状であってもよい。
また上記実施形態では、16個のチューブ孔14を備えた多穴の扁平チューブ11を例に挙げたが、扁平チューブのチューブ孔の個数は16個以外でもよいし、単穴の扁平チューブを用いてもよい。
上記実施形態では、プレートヘッダ50にかしめ部52を設けたが、かしめ部をタンクヘッダ30あるいは中間プレート40に設けてもよい。さらに、かしめ部を別体のかしめ部材によって提供してもよい。
また、突出部の形状は、台形凸条に限らず、長方形の凸条、半円柱あるいは半楕円柱の凸条として設けられてもよい。また、突出部は、中間プレート40のタンクヘッダ30に面する側面にだけ設けられてもよい。また、突出部は、プレート孔41の片側にだけ設けられてもよい。
さらに上記実施形態では、熱交換器として蒸発器を例に挙げたが、他の熱交換器にも適用できる。
また上記実施形態では、冷媒としてCOを例に挙げたが、他の冷媒を用いることもできる。
第1実施形態における蒸発器の概略の構成を模式的に示す斜視図である。 第1実施形態における扁平チューブとタンク部との接続部分近傍の構成を示す模式図である。 第1実施形態の第1変形例における扁平チューブとタンク部との接続部分近傍の構成を示す模式図である。 中間プレートの構成を示す図である。 第1実施形態の第2変形例における扁平チューブとタンク部との接続部分近傍の構成を示す模式図である。 第2実施形態における扁平チューブとタンク部との接続部分近傍の構成を示す模式図である。
符号の説明
1 蒸発器(熱交換器)
11 扁平チューブ
20 タンク部
30 タンクヘッダ
31 平板部
32 膨出部
33 冷媒流路
34a、34b 境界部
40 中間プレート
41 プレート孔
42a、42b、42d、42e 幅狭部
43a、43b、43d、43e 突出部
44a、44b、44d、44e、44f 幅広部
50 プレートヘッダ
51 チューブ挿入孔

Claims (7)

  1. 内部に冷媒を流通させる複数の扁平チューブ(11)と、前記複数の扁平チューブ(11)の端部に配置されたタンク部(20)とを備えた熱交換器であって、
    前記タンク部(20)は、前記複数の扁平チューブ(11)がそれぞれ挿入される扁平形状の複数のチューブ挿入孔(51)が形成されたプレートヘッダ(50)と、前記プレートヘッダ(50)に組み合わされるタンクヘッダ(30)と、前記プレートヘッダ(50)及び前記タンクヘッダ(30)間に介在する中間プレート(40)とがろう付けにより一体化された構造を備え、
    前記中間プレート(40)には、前記複数の扁平チューブ(11)の先端部がそれぞれ挿入される扁平形状の複数のプレート孔(41)が前記チューブ挿入孔(51)に対応する位置に形成され、
    前記タンクヘッダ(30)は、前記中間プレート(40)に当接して接合された平板部(31)と、前記平板部(31)から前記中間プレート(40)の反対側に膨出し、前記プレート孔(41)を介して前記複数の扁平チューブ(11)のそれぞれに連通する冷媒流路(33)を形成する膨出部(32)とを有し、
    前記プレート孔(41)は、前記膨出部(32)と前記平板部(31)との境界部(34a、34b)近傍に、短手方向の幅(Wa、Wb)が狭く形成された幅狭部(42a、42b)を有し、かつ前記扁平チューブ(11)の挿入方向に前記境界部(34a、34b)を見たときに、前記幅狭部(42a、42b)に前記境界部(34a、34b)が重なって位置していることを特徴とする熱交換器。
  2. 前記プレート孔(41)は、前記幅狭部(42a、42b)より前記膨出部(32)側に、前記幅狭部(42a、42b)より幅が広い部位を有していることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
  3. 前記プレート孔(41)は、前記幅狭部(42a、42b)より前記平板部(31)側に、前記幅狭部(42a、42b)より幅が広い部位を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器。
  4. 前記中間プレート(40)は、前記プレート孔(41)を介して対面する内壁面から互いに向き合う方向に突出し、前記幅狭部(42a、42b)を形成する一対の突出部(43a、43b)を有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱交換器。
  5. 内部に冷媒を流通させる複数の扁平チューブ(11)と、前記複数の扁平チューブ(11)の端部に配置されたタンク部(20)とを備えた熱交換器であって、
    前記タンク部(20)は、前記複数の扁平チューブ(11)がそれぞれ挿入される扁平形状の複数のチューブ挿入孔(51)が形成されたプレートヘッダ(50)と、前記プレートヘッダ(50)に組み合わされるタンクヘッダ(30)と、前記プレートヘッダ(50)及び前記タンクヘッダ(30)間に介在する中間プレート(40)とがろう付けにより一体化された構造を備え、
    前記中間プレート(40)には、前記複数の扁平チューブ(11)の先端部がそれぞれ挿入される扁平形状の複数のプレート孔(41)が前記チューブ挿入孔(51)に対応する位置に形成され、
    前記タンクヘッダ(30)は、前記中間プレート(40)に当接して接合された平板部(31)と、前記平板部(31)から前記中間プレート(40)の反対側に膨出し、前記プレート孔(41)を介して前記複数の扁平チューブ(11)のそれぞれに連通する冷媒流路(33)を形成する膨出部(32)とを有し、
    前記プレート孔(41)は、前記膨出部(32)と前記平板部(31)との境界部(34a、34b)近傍に、短手方向の幅(Wa、Wb)が狭く形成された幅狭部(42a、42b)を有しており、
    前記膨出部(32)は、前記プレート孔(41)の長手方向中央部に対して所定方向にずれて配置されており、
    前記プレート孔(41)は、第1の幅狭部(42a)と、前記第1の幅狭部(42a)よりも前記長手方向中央部からの距離が遠く、前記第1の幅狭部(42a)よりも幅広に形成された第2の幅狭部(42b)とを有していることを特徴とする熱交換器。
  6. 前記第2の幅狭部(42b)は、前記プレート孔(41)の長手方向端部に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の熱交換器。
  7. 前記冷媒として二酸化炭素が用いられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の熱交換器。
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