JP5211612B2 - 金属パターン形成体の製造方法 - Google Patents
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Description
このようなスパッタリング法は、パターンを形成するために用いられる金属材料の種類を問わずに、プラスチック基板と、金属パターンとの密着性に優れた金属パターン形成体を作製することができるという利点を有している。
また上述したように、今日においてはプラスチック基板が用いられた金属パターン形成体の需要が高まっていることから、このような金属パターン形成体の製造方法としても製造効率の高い方法が求められている。この点、上記プラスチック基板は、長尺状に形成されたものを用いることにより、Roll to Rollプロセス等の連続プロセスによって金属パターン形成体を製造することができるという利点を有するが、上記スパッタリング法においては、真空条件で実施することが必須であったためこのような連続プロセスを採用することが困難であるという問題点があった。
しかしながら、一方で当該方法は、上述したような金属パターン形成体の用途に照らすと、金属膜とプラスチック基板との密着性が不十分であるという課題があることを見出した。
また、本発明よれば上記金属膜形成工程おいて金属膜を形成する方法が、銀鏡反応を用いる方法であることにより、真空系等を必要としない簡易な工程で金属膜を形成することができる。このため、本発明よれば高生産性で金属パターン形成体を製造することができる。
このようなことから、本発明によれば、金属パターンと、プラスチック基板との密着性に優れた金属パターン形成体を高生産性で製造することができる。
ここで、上記プラスチック基板に真空紫外光を照射することにより、金属パターンとの密着性を向上させることができる理由については明らかではないが、次のような理由によるものであると推定される。
すなわち、プラスチック基板に真空紫外光を照射すると、(1)フォトンエネルギーの高い真空紫外光で、プラスチック基板表面に付着している汚れの主成分(有機物)の結合を切り、汚れの結合が切れやすく(壊れやすく)なる状態になる、(2)そして、この状態にさらにオゾンや活性酸素種が作用して、有機物を酸化し、二酸化炭素や水にして揮発させて洗浄されると推定される。この様な洗浄原理により、より微小な有機物の除去が湿式法より有効であり、金属膜との密着性が向上したものと考えられる。
ここで、従来用いられてきた低圧水銀ランプで同様の効果を得ようとしても、当該ランプは照度ムラ、発熱が大きい等の問題からプラスチック基板内での面内バラツキが生じ、結果として金属膜との密着性にもムラが生じてしまう結果となる。
したがって、上述した効果は、真空紫外光(200nm以下の紫外光)に特有のものであり、これは、真空紫外光が酸素での吸収が大きく、「酸素(O2)に吸収されて酸化力の強いオゾン(O3)を生成する光」であり、また、「1個当たりのフォトン(光子)のエネルギーが大きい」という特長を有することに起因するものと考えられる。
以下、本発明に用いられる各工程について順に説明する。
まず、本発明に用いられる真空紫外光照射工程について説明する。本工程はプラスチック基板を用い、上記プラスチック基板の表面に真空紫外光を照射する工程である。
本工程においてプラスチック基板に真空紫外光を照射する方法について説明する。本工程においてプラスチック基板の表面に照射される真空紫外光の波長は、酸素と作用することにより酸素ラジカルを発生できる範囲内であれば特に限定されるものでない。なかでも本工程においては、150nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。波長が上記範囲よりも長いと、酸素ラジカルの発生効率が低くなり、プラスチック基板と金属パターンとの密着性が不十分になる可能性があるからである。また、波長が上記範囲よりも短いと、安定した真空紫外光の照射が困難となる可能性があるからである。
本工程においては、これらのいずれの態様であっても好適に用いることができるが、なかでもプラスチック基板の全面に真空紫外光を照射する態様が好ましい。
すなわち、真空紫外光は指向性のない分散光であるため、上記プラスチック基板の全面を同時に照射する方法では、例えば、大面積のプラスチック基板に真空紫外光を照射する場合に、中央部と端部とで真空紫外光の照射量に差が生じてしまう可能性がある。しかしながら、上記プラスチック基板を順次に照射する方法によればたとえ大面積のプラスチック基板に真空紫外光を照射する場合であっても、全面に対して均一に照射することが容易になるからである。
また、上記プラスチック基板として長尺に形成された基板を用い、本工程を連続プロセスによって実施する場合、上記プラスチック基板の全面を同時に照射する方法は、そもそも採用することが困難であるという事情もあるからである。
本工程に用いられるプラスチック基板としては、プラスチック材料からなるものであれば特に限定されるものではなく、本発明により製造される金属パターン形成体の用途等に応じて、任意のプラスチック材料からなる基板を用いることができる。このようなプラスチック材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、セルローストリアセテート、ポリイミド、PPS、アラミド等を挙げることができる。
次に、本発明に用いられる金属膜形成工程について説明する。本工程は、上記真空紫外光照射工程において、真空紫外光が照射されたプラスチック基板の、真空紫外光照射面上に、銀鏡反応を用いて金属膜を形成する工程である。
次に、本発明に用いられる金属膜パターニング工程について説明する。本工程は上記金属膜形成工程によって形成された金属膜をパターニングする工程である。
本発明の金属パターン形成体の製造方法は、少なくとも上記真空紫外光照射工程と、上記金属膜形成工程と、上記金属膜パターニング工程とを有するものであるが、必要に応じて他の任意の工程が用いられてもよいものである。本発明に用いられる任意の工程としては、本発明によって製造される金属パターン形成体の用途等に応じて、当該金属パターン形成体に所望の機能を付与することができる工程や、本発明による金属パターン形成体の製造効率をさらに向上させる工程等、特に限定されるものではない。
次に、本発明の金属パターン形成体の製造方法の用途について説明する。本発明の用途としては、金属パターン形成体を製造する用途であれば特に限定されるものではない。このような用途としては、例えば、TFT電極を備える半導体素子を製造する工程において、ゲート電極、あるいは、ソース電極およびドレイン電極がプラスチック基板上に形成された金属パターン形成体を製造する方法としての用途、あるいはICタグ配線を形成する方法としての用途等を挙げることができる。
厚さ100μm、大きさA4サイズのPEN(帝人デュポン社製)フィルムを水洗、乾燥した後、VUV(175nm)を全面照射した。照射エネルギーは3J/cm2とした。その後、フィルム全体に銀鏡反応を行い、銀膜を厚み500nmで形成した。その後上記フィルムにフォトレジスト(ポジ)をスピンコートした。このときのスピンコートは、1800rpmで10sec保持させた。その後、フィルム基板を100℃で1分乾燥させた後、50mJ/cm2でパターン露光した。次に、露光部分のレジスト現像を行い、その後、150℃のオーブンで60分乾燥させた。次いで、レジストのない部分のAgのエッチングを行い、金属パターン形成体を作製した。その結果、Agパターンとフィルムとの密着性は強く、線幅10μmまでのLine&Spaceの形成が可能であった。
照射エネルギーを10J/cm2としたこと以外は、実施例1と同様の方法により金属パターン形成体を作製した。Agパターンとフィルムとの密着性は良好であり、線幅20μmまでのLine&Spaceの形成が可能であった。
VUV照射を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により金属パターン形成体を作製した。その結果、Agエッチングの際にAgが基材から全て剥離してしまった。
真空紫外光に替えて、紫外線(波長254nm)を用いたこと以外は実施例1と同様の方法により金属パターン形成体を作製した。その結果、Agパターンとフィルムとの密着性が乏しく、線幅50μmまでのLine&Spaceしか形成することができなかった。
真空紫外光に替えて、紫外線(波長254nm)を用いたこと以外は実施例2と同様の方法により金属パターン形成体を作製した。その結果、Agパターンとフィルムとの密着性が乏しく、線幅50μmまでのLine&Spaceしか形成することができなかった。
2’ … 金属膜
2 … 金属パターン
10 … 金属パターン形成体
Claims (2)
- プラスチック基板を用い、前記プラスチック基板の表面に真空紫外光を照射する、真空紫外光照射工程と、
前記真空紫外光照射工程において、真空紫外光が照射されたプラスチック基板の真空紫外光照射面上に、銀鏡反応を用いて金属膜を形成する、金属膜形成工程と、
前記金属膜形成工程によって形成された金属膜をパターニングする、金属膜パターニング工程と、を有することを特徴とする、金属パターン形成体の製造方法。 - 前記真空紫外光照射工程において、前記プラスチック基板に照射される真空紫外光のエネルギーが2J/cm2〜15J/cm2の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の金属パターン形成体の製造方法。
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