JP5209877B2 - 硫化銅粉、硫化銅粉の製造方法及びその硫化銅粉を用いて得られる帯電防止機材 - Google Patents

硫化銅粉、硫化銅粉の製造方法及びその硫化銅粉を用いて得られる帯電防止機材 Download PDF

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Description

本件発明は、硫化銅粉、硫化銅粉の製造方法及びその硫化銅粉を用いて得られる帯電防止機材に関する。特に、無機導電粉末材料としての使用が可能な硫化銅粉に関する。
従来から、無機導電粉末の一種として、酸化スズ系導電粉末が知られている。この酸化スズ系導電粉末のマトリクスは酸化スズであり、本来導電性に欠けるものである。そこで、酸化スズに導電性を発揮させるため、マトリクス内に異種の成分をドープする手法が採用され、良好な導電性能を発揮してきた。このときのドーパントとしては、特許文献1(特開平11−233835号公報)に開示されているように、アンチモン等が用いられていた。
そして、この酸化スズ系導電粉末は、種々な技術分野において、非導電性の物質に導電性を付与するために用いられている。例えば、樹脂内に酸化スズ系導電粉末を分散させて、静電気の発生を予防する帯電防止樹脂の製造、磁気フィルムの製造、クリーンルームの内壁に塗布する帯電防止塗料等の製造、繊維内に練り込む等して帯電防止繊維として帯電防止服や帯電防止カーテン等の製造、コピー機の感光ドラムの製造、外添材としてのトナーの製造等へ広く利用されてきた。
そして、近年の環境保護、RoHSの欧州指令を受けたグリーンプロダクツの購入促進が叫ばれる中、アンチモン等のドーパント成分の毒性及び環境負荷面の問題が懸念されている。そこで、例えば、特許文献2には、ニオブ又はタンタルをドーパントとした導電性酸化スズ粉末が開示されている。そして、特許文献3には、リンをドーパントとした導電性酸化スズ粉末が開示されている。これらは、ドーパントとしてのアンチモンを含まないものである。ところが、ドーパントとしてアンチモンの替わりに、上記ニオブ、タンタル等を用いても、酸化スズの導電性は低く、透明導電膜を得るのに適した比表面積の大きい微粒子が得られないなどの問題があった。
更に、特許文献4には、ドーパントとして0.1〜20モル%のリン元素と、第三成分として0.01〜5モル%のニオブ元素及び/又は0.01〜15モル%のケイ素元素とを含有してなり、比表面積が5〜200m/gであることを特徴とするアンチモン元素を実質的に含有しない導電性酸化スズ粉末が開示されている。この導電性酸化スズ粉末は、アンチモンを実質的に含有していないため毒性の点で問題なく、又、アンチモンに起因するような青黒味が無く、しかも、優れた導電性を有し、かつ、その経時安定性にも優れたものであることから、ドーパントとしてアンチモン元素を含有した酸化スズ粉末に代わる導電性付与剤として有用としている。
特開平11−233835号公報 特開平6−345430号公報 特開平6−92636号公報 特開平10−53417号公報
しかしながら、酸化スズ系導電粉末の場合には、導電性を発揮させるためにドーパントを用いることは避けられない。現に、上記特許文献4に開示の発明でも、ドーパントは必須であり、含有量によってはリンでさえも、環境負荷性及び人体への毒性の問題から忌避される。
以上のことから、市場では、ドーパント自体を省略して、環境負荷性及び人体への毒性を配慮を最小限にでき、しかも、導電性を発揮する無機導電粉末が望まれてきた。
そこで、本件発明者等は、従来の無機導電粉末として使用されていなかった成分に着目して鋭意研究を行った結果、酸化スズ系導電粉末の代替えとして使用可能で、ドーパントの不要な無機導電粉末に想到した。以下、本件発明に関して説明する。
本件発明に係る硫化銅粉: 本件発明に係る硫化銅粉は、硫化第2銅を主成分とし一次粒子径が0.5μm以下で、且つ、レーザー回折散乱式測定法による平均粒径D 50 が0.1μm〜3.0μmである硫化銅粒子からなることを特徴としたものである。
そして、本件発明に係る硫化銅粉は、比表面積が15m/g〜50m/gであることが好ましい。
また、本件発明に係る硫化銅粉は、その粉体抵抗が1×10−2Ω・cm以下であることが好ましい。
本件発明に係る硫化銅粉の製造方法: 本件発明に係る硫化銅粉の製造方法は、硫酸銅水溶液と硫化ナトリウム水溶液とを反応させ、上記硫化銅粉を製造するためのものであって、当該硫酸銅水溶液と当該硫化ナトリウム水溶液とを混合した反応液に含まれる銅イオンの1当量に対し、硫黄イオンを1.1当量〜3.0当量として反応させることを特徴としたものである。
本件発明に係る硫化銅粉の製造方法において、前記硫酸銅水溶液は、硫酸銅・5水和物を0.1mol/l〜2.0mol/l濃度で含むことが好ましい。
本件発明に係る硫化銅粉の製造方法において、前記硫化ナトリウム水溶液は、硫化ナトリウムを1.0mol/l〜2.0mol/l濃度で含むことが好ましい。
本件発明に係る硫化銅粉の製造方法において、前記硫酸銅水溶液と前記硫化ナトリウム水溶液との反応は、当該硫酸銅水溶液に対し、前記硫化ナトリウム水溶液を10分〜120分かけて、緩やかに添加することが好ましい。
本件発明に係る硫化銅粉の製造方法において、前記硫酸銅水溶液と前記硫化ナトリウム水溶液との反応は、液温を30℃〜80℃として行うことが好ましい。
本件発明に係る硫化銅粉を用いて得られる帯電防止機材: 本件発明に係る硫化銅粉を用いることにより、種々の製品が得られる。特に、当該硫化銅粉を樹脂マトリクス中に分散させたことを特徴とした帯電防止樹脂、当該硫化銅粉を塗料中に分散させたことを特徴とした帯電防止塗料、当該硫化銅粉を繊維内に分散させたことを特徴とした帯電防止繊維、当該硫化銅粉を含む帯電防止層を備えることを特徴とした複写機用の帯電防止感光ドラム、当該硫化銅粉を外添材として含むことを特徴とした複写機用の帯電防止トナー用途に好適である。
従来から、硫化銅粉を無機導電粉末として使用することは行われてこなかった。これに対し、本件発明に係る硫化銅粉は、構成される硫化銅粒子の一次粒子径を0.5μm以下の範囲とすることで、電子材料用途を視野に入れた使用が出来るようになった。そして、この硫化銅粉は、レーザー回折散乱式測定法による平均粒径D50と、一次粒子径の値の乖離が少なく、粒子分散性に優れ、その比表面積が小さく、滑らかな表面を備える。しかも、本件発明に係る硫化銅粉は、良好な電気的導電性を示し、種々の製品への使用が可能である。また、本件発明に係る硫化銅粉の製造方法は、硫酸銅水溶液と硫化ナトリウム水溶液とを適正な条件下で反応させる点に特徴を有する。従って、特殊な製造設備を要するものでなく、製造コストが極めて安価である。
本件発明に係る硫化銅粉の形態: 本件発明においては、硫化銅粉を無機導電粉末として使用すること自体に特徴がある。長年の、無機導電粉末の歴史がある中でも、硫化銅を均一な粒子状として、そのような硫化銅粒子からなる硫化銅粉を無機導電粉末として使用することはなかった。硫化銅は、硫化第1銅と硫化第2銅とが存在する。前者はキドウ鉱として、後者はランドウ鉱として天然に産出することが知られている程、熱的安定性に優れ、水、酸溶液等の溶媒に対する溶解性も小さいことが知られている。しかし、本件発明では、粒径の制御が容易な湿式製造プロセスで銅と硫黄とを直接反応させて得ることができ、しかも電気的導電性の高い硫化第2銅の粒子を用いることにした。
従って、本件発明に係る硫化銅粉は、硫化第2銅を主成分とすることを明記している。この硫化第2銅は、硫化第1銅に比べ電気的導電性は高い。そして、加熱温度220℃未満の温度では分解することなく安定である。また、水に対して殆ど不溶(18℃の水に対して、3.4×10−5g/100ml程度)で、希無機酸、水酸化アルカリ溶液に対しても殆ど不溶である。従って、水溶液中に分散させることが容易であり、酸を加えない水にもコロイド状に分散しやすいため、スラリー状態にして用いるのに好適である。更に、エタノールに代表される有機溶媒に対しても不溶であるため、ペースト化する際の樹脂成分、塗料の有機成分及び他の成分等に対しても高い安定性を示す。但し、熱硝酸、シアン化アルカリ溶液には容易に溶解し、硫化アンモニウム溶液、ポリ硫化アルカリ溶液に対しては溶解性を発揮するため留意を要する。
ここで、本件発明に係る硫化銅粉は、硫化銅粒子からなり、その一次粒子径が0.5μm以下であることが好ましい。一次粒子径が0.5μmを超える場合には、電子材料分野で使用されてきた酸化スズ系導電粒子や、帯電防止プラスチック内へ分散させて使用されてきたカーボンブラック等の代替え品としての使用が出来ないのである。なお、この一次粒子径の下限値を規定していないが、後述する製造方法を用いる限り、経験的に0.001μm程度である。しかし、より微細な粒子を得ようとするほど、一次粒子径のバラツキが大きくなるため、現実的に製品化可能な下限値は、0.05μm程度である。なお、一次粒子径の測定は、走査型電子顕微鏡観察像を用いて観察される硫化銅粉の画像解析は、旭エンジニアリング株式会社製のIP−1000PCを用いて平均一次粒径として求めた。
また、本件発明に係る硫化銅粉は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径D50が0.1μm〜3.0μmであることが好ましい。レーザー回折散乱式粒度分布測定法による体積累積粒径は、凝集粒子であっても1粒子として捉える。従って、上記一次粒子径と平均粒径D50との乖離を考えることで、粒子分散性の良否の判断が可能になる。平均粒径D50が0.1μm未満の範囲とすることは、粒子が微細になるほど困難になり、現実の製造では困難な範囲と考える。一方、平均粒径D50が3.0μmを超えると、上記一次粒子径が0.5μm以下であることを考えると、2粒子以上の粒子凝集が起こっていると考えられ、ペースト化する際の樹脂溶液、塗料等への良好な分散性が得られない。なお、レーザー回折散乱式粒度分布測定は、硫化銅粉0.1gをSNディスパーサント5468の0.1%水溶液(サンノプコ社製)と混合し、超音波ホモジナイザ(日本精機製作所製 US−300T)で5分間分散させた後、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置 Micro Trac HRA 9320−X100型(Leeds+Northrup社製)で行った。
また、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による最大粒径Dmaxに関して述べておく。本件発明に係る硫化銅粉は、後述する製造方法を採用する限り、最大粒径Dmaxが11.0μm以下であることが好ましい。ここで、下限値を示していないが、経験的に見て、工業的に安定生産可能な範囲として3.0μmである。このような範囲であれば、本件発明に係る硫化銅粉は、顕著な粗粒を含んでおらず、各種用途に好適である。
そして、本件発明に係る硫化銅粉は、比表面積が15m/g〜50m/gであることが好ましい。この比表面積は、粒子表面の凹凸状態を表し、比表面積が高いほどペースト樹脂等に分散させようとしたときの粘度上昇を招き、取り扱いにくくなる。硫化銅粉の比表面積が50m/gを超えると、導電性ペースト、導電性塗料等に加工したときに著しい粘度上昇を引き起こす。一方、硫化銅粉の比表面積が15m/g未満の領域となる粒子は、その一次粒子径が大きくなり、均一な厚さの塗膜の形成が困難になると共に、導電膜としての膜抵抗が高くなる。なお、比表面積は、試料2.00gを75℃で10分間の脱気処理を行った後、モノソーブ(カンタクロム社製)を用いてBET1点法で測定した。
また、本件発明に係る硫化銅粉は、その粉体抵抗が1×10−2Ω・cm以下であることが好ましい。この粉体抵抗であれば、1.5×10−2Ω・cm程度の粉体抵抗を示す酸化スズ系導電粒子、8.49×10−3Ω・cm程度の粉体抵抗を示すカーボンブラックと同等で、同様の用途に適用可能である。なお、粉体抵抗の測定には、三菱化学株式会社製の粉体抵抗測定システムPD−41を用い、5gの硫化銅粉を100kgf/cmの圧力で加圧し、これを当該システムに組み込まれた三菱化学株式会社製の四探針抵抗測定機であるロレスタGPで抵抗測定を行った。
なお、ここで、本件発明に係る硫化銅粉の取扱方法に関して述べておく。硫化銅は、湿った空気の雰囲気中に長く放置すると、酸化が起こり徐々に、硫化第1銅へと変化してゆく。従って、本件発明に係る硫化銅粉の保管も、乾燥雰囲気の中で行うことが好ましい。
本件発明に係る硫化銅粉の製造形態: 本件発明に係る硫化銅粉の製造方法は、硫酸銅水溶液と硫化ナトリウム水溶液とを反応させるものである。
このとき、当該硫酸銅水溶液と当該硫化ナトリウム水溶液とを混合した反応液に含まれる銅イオンの1当量に対し、硫黄イオンを1.1当量〜3.0当量を反応させることが好ましい。即ち、銅イオンに対して、過剰量の硫黄イオンを供給して反応させることが、一次粒子径が0.5μm以下の硫化銅粉を効率よく得るために必要な条件である。この銅イオンに対する硫黄イオン当量が1.1当量未満の場合には、得られる硫化銅粉の粒径のバラツキが大きくなり、粗粒が発生しやすくなる。一方、銅イオンに対する硫黄イオン当量が1.5当量を超えるようにしても、添加量に見合った効果が上がらず不経済である。なお、ここで言う銅イオンと硫黄イオンとの当量バランスは、反応に要する硫酸銅水溶液と硫化ナトリウム水溶液との双方の溶液を、全て混合した状態で判断したものである。
そして、本件発明に係る硫化銅粉の製造方法において、前記硫酸銅水溶液は、硫酸銅・5水和物を0.1mol/l〜2.0mol/l含むことが好ましい。硫酸銅水溶液中の硫酸銅・5水和物が0.1mol/l未満の場合には、銅濃度が希薄で、工業的に求められる生産性を得ることができない。一方、硫酸銅水溶液中の硫酸銅・5水和物が2.0mol/lを超える場合には、反応溶液中で析出する硫化銅粉が多すぎて、粒子凝集が起きやすくなり、良好な粒子分散性及び良好な粒度分布が得られず、粗粒の発生も顕著となってくる。
また、本件発明に係る硫化銅粉の製造方法において、前記硫化ナトリウム水溶液は、硫化ナトリウムを1.0mol/l〜2.0mol/l濃度で含むことが好ましい。硫酸銅水溶液中の硫化ナトリウム含有量が1.0mol/l未満の場合には、前記硫酸銅水溶液中の銅濃度が濃くとも、反応速度も遅く且つ工業的に求められる生産性が得られない。一方、硫酸銅水溶液中の硫化ナトリウム含有量が2.0mol/lを超える場合には、前記硫酸銅水溶液中の銅濃度が薄くても、粒子分散性に劣る硫化銅粉が得られる。
そして、本件発明に係る硫化銅粉の製造方法において、前記硫酸銅水溶液と前記硫化ナトリウム水溶液との反応は、当該硫酸銅水溶液に対し、前記硫化ナトリウム水溶液を10分〜120分かけて、緩やかに添加することが好ましい。前記硫酸銅水溶液と前記硫化ナトリウム水溶液とを10分未満(一度に混合する場合を含む)の時間内で混合させてしまうと、粗粒の発生が顕著になり、析出粒子の凝集も顕著となり好ましくない。一方、前記硫酸銅水溶液と前記硫化ナトリウム水溶液とを120分以上かけて、緩やかに添加して混合させても、それ以上に粒子分散性も、粗粒の発生抑制効果も向上しない。
更に、本件発明に係る硫化銅粉の製造方法において、前記硫酸銅水溶液と前記硫化ナトリウム水溶液との反応は、反応液の液温を30℃〜80℃として行うことが好ましい。反応液の液温が30℃未満の場合には、反応速度が遅くなり、工業的生産性を満足し得ない。一方、反応液の液温を80℃を超えるものとすると、反応速度が速くなりすぎて、安定した硫化銅粉の製造が困難で、得られる硫化銅粉の粒度分布もブロードになり、好ましくない。
本件発明に係る硫化銅粉を用いて得られる製品形態: 本件発明に係る硫化銅粉は、種々の帯電防止機材への適用が可能である。例えば、当該硫化銅粉を、プラスチックを製造するための樹脂ワニス中に分散させて、硬化させることで樹脂マトリクス中に硫化銅粒子が分散した帯電防止樹脂が得られる。このような樹脂は、携帯電話、コンピュータ等のボディの製造等に使用できる。また、当該硫化銅粉を塗料中に分散させ室内用の帯電防止塗料とすると、クリーンルームの内壁等に用いることができ、埃又はゴミの壁面付着を防止できる。更に、当該硫化銅粉を繊維内に分散させると帯電防止繊維が得られ、この繊維を用いるとクリーンルーム用の帯電防止服の製造が可能となる。
その他、当該硫化銅粉を含む塗料を製造し、この塗料を複写機用の感光ドラムの表面に帯電防止層を形成することが可能であり、複写機用の帯電防止感光ドラムの製造が可能になる。また、当該硫化銅粉を外添材として複写機用のトナーに配合することが可能で複写機用の帯電防止トナーの製造を可能とする。以下、実施例及び比較例に関して述べる。
この実施例では、以下の方法で硫化銅粉を製造し、種々の評価を行った。硫化銅粉の製造から述べる。
最初に、硫酸銅水溶液として、液温60℃で、硫酸銅・5水和物を125g/l(0.5mol/l)含むものを1リットル用意した。一方、硫化ナトリウム水溶液は、液温60℃で、硫化ナトリウムを100g/l(1.3mol/l)含むものを0.75リットル用意した。そして、当該硫酸銅水溶液に対して、60分間かけて、硫化ナトリウム水溶液を緩やかに添加した。このときの反応液の温度は、60℃に維持した。従って、添加終了後の銅イオンと硫黄イオンとの当量バランスは、当該反応液に含まれる銅イオンの1当量に対し、硫黄イオンは1.92当量であった。
以上のようにして得られた硫化銅粉を構成する硫化銅粒子の一次粒子径は0.1μmであった。そして、硫化銅粉としての、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径D50は0.6μm、最大粒径Dmaxは11.0μm、比表面積が22m/g、粉体抵抗が9.0×10−3Ω・cmであった。
更に、三菱レーヨン株式会社製のダイヤナールLR167に、硫化銅粉を60wt%となるように分散させ、この硫化銅粉分散樹脂でアルミ基板上に塗膜を形成し、80℃×10分の条件で乾燥させ、この乾燥膜の膜抵抗を求めた。このとき硫化銅粉の樹脂内への分散時間を変化させ、膜抵抗の変化率を求めた。その結果、1時間分散後の膜抵抗は3.8×10+2Ω・cm、2時間分散後の膜抵抗は3.3×10+2Ω・cm、膜抵抗変化率は、[3.3×10+2Ω・cm]/[3.8×10+2Ω・cm]≒0.9で膜抵抗が低下していた。なお、膜抵抗の測定は、三菱油化株式会社製のハイレスタIPを用い、印加電圧10Vとして測定した。
比較例
ここでは、一次粒子径が0.09μmの酸化スズ系導電粉末(ドーパント:アンチモン)を用いた。この酸化スズ系導電粉末の、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による平均粒径D50は5.6μm、最大粒径Dmaxは37.0μm、比表面積が69m/g、粉体抵抗が3.1Ω・cmであった。
そして、実施例と同様にして、酸化スズ系導電粉末分散樹脂でアルミ基板上に塗膜を形成し、この乾燥膜の膜抵抗を求めた。その結果、1時間分散後の膜抵抗は2.6×10+10Ω・cm、2時間分散後の膜抵抗は1.8×10+12Ω・cm、膜抵抗変化率は、[1.8×10+12Ω・cm]/[2.6×10+10Ω・cm]≒69.2で、膜抵抗が上昇していた。
以上の実施例と比較例とを対比すると、粉体抵抗及び膜抵抗共に、比較例に比べて実施例の硫化銅粉を用いた場合の方が明らかに低抵抗である。しかも、硫化銅粉含有樹脂は、硫化銅粉と樹脂との混合にあたっては、混合時間による膜抵抗の変化がすくなく、混合処理の管理が煩雑にならない。酸化スズ系導電粉末分散樹脂の場合は、混合時間による膜抵抗の変化が大きく、しかも過剰混合は膜抵抗を顕著に上昇させるため、混合処理の管理が煩雑になる。
以上に述べてきた本件発明に係る硫化銅粉は、熱的及び化学的安定性に優れ、良好な電気的導電性能に優れるため、酸化スズ系導電粉末やカーボンブラック等の無機導電粉末の代替え無機導電粉末としての使用が可能になる。従って、帯電防止樹脂、帯電防止塗料、帯電防止繊維、複写機用の帯電防止感光ドラムの製造等の幅広い分野での使用が可能である。

Claims (13)

  1. 硫化第2銅を主成分とし一次粒子径が0.5μm以下で、且つ、レーザー回折散乱式測定法による平均粒径D 50 が0.1μm〜3.0μmであることを特徴とした硫化銅粒子からなる硫化銅粉。
  2. 比表面積が15m/g〜50m/gである請求項1に記載の硫化銅粉。
  3. 粉体抵抗が1×10−2Ω・cm以下である請求項1又は請求項2に記載の硫化銅粉。
  4. 硫酸銅水溶液と硫化ナトリウム水溶液とを反応させ請求項1に記載の硫化銅粉を製造する方法であって、
    当該硫酸銅水溶液と当該硫化ナトリウム水溶液とを混合した反応液に含まれる銅イオンの1当量に対し、硫黄イオンを1.1当量〜3.0当量として反応させることを特徴とした硫化銅粉の製造方法。
  5. 前記硫酸銅水溶液は、硫酸銅・5水和物を0.1mol/l〜2.0mol/l濃度で含むものである請求項4に記載の硫化銅粉の製造方法。
  6. 前記硫化ナトリウム水溶液は、硫化ナトリウムを1.0mol/l〜2.0mol/l濃度で含むものである請求項4又は請求項5に記載の硫化銅粉の製造方法。
  7. 前記硫酸銅水溶液と前記硫化ナトリウム水溶液との反応は、当該硫酸銅水溶液に対し、前記硫化ナトリウム水溶液を10分〜120分かけて、緩やかに添加するものである請求項4〜請求項6のいずれかに記載の硫化銅粉の製造方法。
  8. 前記硫酸銅水溶液と前記硫化ナトリウム水溶液との反応は、液温を30℃〜80℃として行うものである請求項4〜請求項6のいずれかに記載の硫化銅粉の製造方法。
  9. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の硫化銅粉を樹脂マトリクス中に分散させたことを特徴とした帯電防止樹脂。
  10. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の硫化銅粉を塗料中に分散させたことを特徴とした帯電防止塗料。
  11. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の硫化銅粉を繊維内に分散させたことを特徴とした帯電防止繊維。
  12. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の硫化銅粉を含む帯電防止層を備えることを特徴とした複写機用帯電防止感光ドラム。
  13. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の硫化銅粉を外添材として含むことを特徴とした複写機用帯電防止トナー。
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