JP5208580B2 - 浄水カートリッジ、浄水カートリッジの製造方法、および浄水器 - Google Patents

浄水カートリッジ、浄水カートリッジの製造方法、および浄水器 Download PDF

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Description

本発明は、浄水カートリッジ、浄水カートリッジの製造方法、および浄水器に関する。
従来、水栓の蛇口に直接取り付ける、いわゆる蛇口直結タイプの浄水器が広く用いられている。蛇口直結タイプの浄水器は、一般に、濾材を収容した浄水カートリッジと、蛇口に直接取り付けられ、原水・浄水を切換える切換機構を有した本体とで構成されている。また、この種の浄水器の中には、活性炭を収容した浄水カートリッジを備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。活性炭は塩素などの吸着性能に優れるため、これを用いた浄水カートリッジは、良好な浄水性能を発揮する。
通常、前記浄水カートリッジ内には、水の流れ順方向に対して、1.プレフィルター(不織布、フェルトなど)2.活性炭、3.プレフィルター、4.水流を整流する整流板、5.ろ過膜(中空糸膜など)の順になるように、これら5つの構成部材が直列に収容されている。なお、プレフィルターは、比較的大きめの被ろ過物を除去するとともに、活性炭の漏れ出しを防ぐために用いられ、ろ過膜は、雑菌などを除去するために用いられる。
蛇口直結タイプの浄水器では、活性炭の中でも特に優れた吸着性能を示す活性炭繊維(繊維状の活性炭)を採用したものがある。近年、この活性炭繊維の機械的強度を高めて取り扱い性を向上すべく、活性炭繊維を結合材により円筒状などの一定形状に成形した、いわゆる成形活性炭が提案されている(例えば特許文献2参照)。
特開2002−239541号公報 特許第3007307号公報
しかしながら、成形活性炭は、取り扱い時の衝撃や接触などによって、その形状が崩れたり、表面が擦れたりして、粉塵(活性炭が細かく千切れたもの)を生じやすいため、浄水カートリッジの組み立て時には、成形活性炭に付着した粉塵や、その他構成部材などに飛散した粉塵を除去する必要があり、組み立て時の作業性が低下する。
また、従来の活性炭を有した浄水カートリッジは、前述したように、ケース内に収容される構成部材点数が多いため、組み立て作業に時間と労力を要するだけでなく、製造コストが掛かっていた。
また、浄水カートリッジに収容された成形活性炭から粉塵が多く生ずると、浄水の過程でプレフィルターやろ過膜が粉塵によって目詰まりして、急激な流量低下や、原水の逆流が生ずる恐れがあった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、安定した浄水性能が得られるとともに、組み立て時の作業性に優れ、製造コストの削減を図ることができ、さらに急激な流量低下や原水の逆流が生じにくい浄水カートリッジ、浄水カートリッジの製造方法、および該浄水カートリッジを備えた浄水器を目的とする。
前記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
(1)原水通路と浄水通路とが形成されたケースと、該ケースの内部に備えられ、両端が開口した筒状体とを有し、
前記ケースは、略有底円筒状のケース本体と、該ケース本体の開口部に固定され、複数の突出部が形成された蓋とで構成され、
該筒状体の内部に、活性炭を結合材により一定形状に成形した成形活性炭が収容され、
前記成形活性炭は、その全面が不織布によって被包され
前記突出部が前記不織布を押圧することを特徴とする浄水カートリッジ。
(2)前記成形活性炭に、前記不織布の少なくとも一部分が融着して固定されていることを特徴とする(1)に記載の浄水カートリッジ。
(3)前記不織布に、活性炭繊維が含有されていることを特徴とする(1)または(2)に記載の浄水カートリッジ。
(4)前記不織布に、イオン交換繊維が含有されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の浄水カートリッジ。
(5)前記成形活性炭は、前記筒状体に圧入されていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の浄水カートリッジ。
(6)該筒状体の内部に、前記不織布に被包された成形活性炭よりも下流側に、中空糸膜が収容されていることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の浄水カートリッジ。
(7)両端が開口した筒状体の内部に、整流板と、活性炭を結合材により一定形状に成形し、その全面が不織布によって被包された成形活性炭とを、この順に並ぶように収容した後、
前記筒状体を、略有底円筒状のケース本体を備え、原水通路と浄水通路とが形成されたケース内に、前記成形活性炭が前記整流板に対して原水通路側に配されるよう固定し、前記ケース本体の開口部に、複数の突出部が形成された蓋を固定して、前記突出部で前記不織布を押圧することを特徴とする浄水カートリッジの製造方法。
(8)前記筒状体に、中空糸膜と、前記整流板と、その全面が不織布によって被包された前記成形活性炭とを、この順に並ぶように収容することを特徴とする(7)に記載の浄水カートリッジの製造方法。
(9)(1)〜(6)のいずれかに記載の浄水カートリッジと、蛇口から取り入れた原水が流れる通路を切換える切換機構を有した本体とからなることを特徴とする浄水器。
本発明の浄水カートリッジは、安定した浄水性能が得られるとともに、組み立て時の作業性に優れ、製造コストの削減を図ることができ、さらに急激な流量低下や原水の逆流が生じにくい。
本発明の浄水カートリッジの製造方法によると、浄水カートリッジ組み立てを効率的に行うことができる。
該浄水カートリッジを用いた本発明の浄水器は、良質な浄水を安定して供給できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の浄水カートリッジ、浄水カートリッジの製造方法、および浄水器の実施の形態について説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態例の浄水カートリッジ4は、原水通路27と浄水通路26とが形成されたケース13と、ケース13の内部に備えられ、両端が開口した筒状体44とを有している。
ケース13は、雄コネクタ14a,14b,14cを備えた略有底円筒状のケース本体13aと、ケース本体13aの開口部40の内側に嵌合し、ケース本体13aに固定され、複数の突出部59が形成された蓋13bとで構成されている。雄コネクタ14bには、後述する浄水器の本体からの原水Aを浄水カートリッジ4内に流す原水通路27が形成され、雄コネクタ14aには、原水Aを濾過して得られた浄水Bを浄水器の本体に流す浄水通路26が形成されている。雄コネクタ14cには、水の通路は形成されていない。
ケース本体13aの内壁41には、雄コネクタ14aと雄コネクタ14cとの間の範囲に、ケース本体13aの底壁13cに向かって内径が徐々に縮径する縮径部42が形成されている。
雄コネクタ14aの周囲にはOリング15が二重に装着され、雄コネクタ14bの周囲にはOリング15が1つだけ装着されている。雄コネクタ14cの周囲にはOリング15が装着されていない。
筒状体44は略円筒状に形成されている。筒状体44の一方端は、原水Aを流入する入口47とされ、筒状体44の他方端は、浄水Bを流出する出口48とされている。
筒状体44の外周の出口48近傍には、環状の溝51が形成され、この溝51にOリング52が装着されている。
筒状体44の内周面には、段差53が形成されている。段差53よりも入口47側の筒状体44の内周面は、出口48側よりも拡径して形成されるとともに、入口47から段差53に向かって徐々に縮径して先細り状となる縮径部53aが形成されている。
筒状体44内の段差53近傍には、段差53の入口47側近傍の内径と略同一の外径を有した整流板54が備えられている。整流板54から入口47側には成形活性炭56が配置されている。成形活性炭56は、その全面が不織布55によって被包されている。また、整流板54から出口48側には、中空糸膜57(ろ過膜)が配置されている。すなわち、筒状体44内には、入口47から出口48(水の流れ順)に、不織布55で被包された成形活性炭56、整流板54、中空糸膜57が、この順に直列に配置されている。なお、段差53は整流板54のストッパーの機能を有しており、整流板54の出口48方向への変位を規制している。
整流板54には、複数の孔54aが形成されている。整流板54は、成形活性炭56から中空糸膜57に向かう水の流れを、孔54aを通過させることで整えて、水流の偏りを防止する機能を有している。また、整流板54は、成形活性炭56のストッパーの機能を有しており、成形活性炭56の中空糸膜57側への変位を規制している。
成形活性炭56は、活性炭を結合材(バインダ)により一定形状に成形したものである。
活性炭は、残留塩素、カビ臭、トリハロメタンなどの有機化合物の吸着力に優れた濾材である。
成形活性炭56に用いられる活性炭としては、活性炭繊維、粒状活性炭が挙げられる。中でも、被処理水との接触面積が大きく、吸着性、通水性が高い活性炭繊維が好ましい。また、活性炭繊維と粒状活性炭とを組み合わせて用いてもよい。
成形活性炭56中の活性炭の含有量は、85〜99%が好ましい。成形活性炭56中の活性炭の充填密度は、0.15〜0.30g/mlが好ましい。この範囲で成形活性炭56が成形されていることで、吸着性能を十分に確保しつつ小型化することができる。
前記結合材は、前記活性炭を一定形状に成形するためのものである。該結合材としては例えばポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ナイロンなどの熱溶融性を示す熱可塑性樹脂が挙げられる。また、結合材として、これらの熱可塑性樹脂から選ばれる2種以上を組み合わせてもよい。
成形活性炭56は、前記活性炭と前記結合材とを水中で混練してスラリー状とし、かかるスラリーを所定の型に入れ、加熱および加圧することで一定形状に成形されたものである。
不織布55は、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどからなる合成繊維、ガラス繊維などを公知の方法により絡み合わせる、または接着することなどで、シート状に成形したものである。不織布55は、比較的大きめの被ろ過物を除去するプレフィルターとしての機能、および成形活性炭56を外部との擦れや衝撃から保護し、粉塵を生じにくくさせるために設けられている。
不織布55としては、通水によっても形状を安定して維持でき、かつ水の透過が良好であることが好ましい。また、不織布55をプレフィルターとして効果的に作用させるには、不織布55の目付は、5〜100g/mであることが好ましく、10〜30g/mがより好ましい。また、不織布55をプレフィルターとして効果的に作用させるには、不織布55の厚みは、0.05〜1mmであることが好ましく、0.1〜0.3mmがより好ましい。
成形活性炭56は、不織布55と少なくとも一部分が融着して固定されている。
成形活性炭56と不織布55との融着の方法としては特に限定されないが、例えば熱溶融性を示す繊維を不織布55に混合し、この不織布55で成形活性炭56の全面を被包し、所望箇所を加熱することで、成形活性炭56と不織布55とを融着する方法などが挙げられる。
熱溶融性を示す繊維の材質としては、例えばポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン、などの熱可塑性樹脂が挙げられる。また、前記結合材として、繊維状のものを用いることは、接着性が向上する点で好ましい。
中空糸膜57は、中空糸が複数束ねられたものであり、出口48を塞ぐように設けられたポッティング材58によって、その両端が筒状体44に支持されている。中空糸膜57は、筒状体44の内部に、中空糸膜57が不織布55に被包された成形活性炭56よりも下流側に収容されている。整流板54を通過した水が中空糸膜57を透過し、出口48側に浄水が得られるようになっている。
中空糸膜57としては、セルロース系、ポリオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリビニルアルコール系、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリエーテル系、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)系、ポリスルフォン系、ポリアクリロニトリル系、ポリ弗化エチレン系、ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリアミド系、芳香族ポリアミド系などの各種材料からなる中空糸膜を好適に使用できる。
ポッティング材58の材質としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
次に、浄水カートリッジ20の製造方法の一例について説明する。
図1に示すように、中空糸膜と、前記整流板と、その全面が不織布によって被包された前記成形活性炭とを、この順に並ぶように収容する。この例の場合、整流板54および成形活性炭56は、図2に示すように、入口47側から筒状体44内に、整流板54、成形活性炭56の順に収容される。この際、成形活性炭56は、入口47側から筒状体44内に圧入される。これにより、図1に示すように、成形活性炭56は、その周面が(不織布55を介して)筒状体44の縮径部53aの内周面を押圧した状態、すなわち成形活性炭56の周面が筒状体44の内周面に密接した状態となる。
なお、成形活性炭56は、筒状体44の形状に合わせて適宜変更可能であり、例えば略円錐台状に形成されていてもよい。
また、中空糸膜57は、入口47側から筒状体44内に収容されてもよく、出口48側から筒状体44内に収容されてもよい。
次いで、この筒状体44を、図1に示すように、原水通路27と浄水通路26とが形成されたケース13内に、成形活性炭56が整流板54に対して原水通路27側に配されるよう固定する。すなわち、筒状体44を、出口48側からケース本体13aの内部に挿入し、ケース13内に筒状体44を固定する。その後、ケース本体13aの開口部40に蓋13bを嵌合し、超音波溶着などによって本体13aと蓋13bとを固定する。これにより、縮径部42の内周面にOリング52が突き当たるとともに、蓋13bの内面に形成された複数の突出部59が、成形活性炭56を被包する不織布55を押圧した状態となる。また、突出部59の高さ分だけ、蓋13bと筒状体44との間に原水Aの通路としての隙間が形成される。
このようにして、筒状体44は、その入口47および出口48方向への変位が規制された状態でケース13内に固定される。また、ケース本体13aの内部空間は、Oリング52によって仕切られ、Oリング52よりも入口47側に原水Aを入口47側に流す通路T1が形成され、Oリング52よりも出口48側に浄水Bが浄水通路26に向かって流すための通路T2が形成される。
次に、浄水カートリッジ4における原水Aおよび浄水Bの流れを説明する。
原水Aは、雄コネクタ14bに設けられた原水通路27を通って、浄水カートリッジ4のケース13内に流入する。そして、原水Aは、ケース13の内周面と、筒状体44の外周面との間に形成される通路T1を、筒状体44の入口47側に向かって流れ、蓋13bの内面付近に到達した後、成形活性炭56を被包する不織布55と、蓋13bとの間に回り込み、筒状体44の入口47側から筒状体44内に流入する。
筒状体44内に流入した原水Aは、まず、不織布55によって原水A中の比較的大きめの被ろ過物が除去され、さらに成形活性炭56によって塩素などが吸着され、さらに不織布55を通った後、整流板54を通る。次いで、原水Aは、中空糸膜57の膜を透過することで、雑菌などが除去される。そして、中空糸膜57の膜を透過して得られた浄水Bは、筒状体44の出口48側から通路T2に流出する。そして、浄水Bは、雄コネクタ14aに設けられた浄水通路26を通って浄水カートリッジ4外に流出し、後述する浄水器の本体に流入する。
以上説明した本発明の浄水カートリッジ4は、成形活性炭56の全面が不織布55によって被包されていることで、成形活性炭56を衝撃や接触などから保護することができる。そのため、成形活性炭56の形状の崩れや表面の擦れが低減され、成形活性炭56から粉塵が生じにくく、浄水カートリッジ4の組み立て時における粉塵の除去作業を省略する、または大幅に低減できる。よって、浄水カートリッジ4は、吸着性能に優れた成形活性炭56によって、安定した浄水性能が得られるとともに、従来の成形活性炭を用いた浄水カートリッジに比べて、組み立て時の作業性に優れる。
また、浄水カートリッジ4では、成形活性炭56の全面が不織布55で被包されているので、筒状体44内に流入した原水Aは不織布55を通過してから、成形活性炭56を通過し、さらに不織布55を通過して整流板54に到達する。したがって、浄水カートリッジ4では、その組み立て時に、前述した従来の浄水カートリッジに収容される5つの構成部材(1.プレフィルター、2.活性炭、3.プレフィルター、4.水流を整流する整流板、5.ろ過膜)のうち、3つの構成部材(1.プレフィルター、2.成形活性炭、3.プレフィルター)を、不織布55で被包された成形活性炭56で兼ねることができる。したがって、浄水カートリッジ4は、従来の各構成部材を浄水カートリッジに収容する5回の作業を、3回に減少できるので、組み立て時の作業性に優れている。
また、本発明の浄水カートリッジ4は、その組み立て時に、前述した3つの構成部材を夫々用意する必要が無いため、製造コストの削減を図ることができる。
また、成形活性炭56は、不織布55によって衝撃や接触から保護されているため、カートリッジ4内での形状の崩れや表面の擦れも低減され、浄水カートリッジ4内でも粉塵を生じにくい。そのため、本発明の浄水カートリッジ4は、浄水の過程でプレフィルターやろ過膜が目詰まりしにくく、急激な流量低下や原水の逆流が生じにくい。
また、本発明の浄水カートリッジの製造方法によると、浄水カートリッジの組み立てを効率的に行うことができる。
この実施形態例において、成形活性炭56は、筒状体44内に圧入され、成形活性炭56が筒状体44の内周面に密接した状態で筒状体44に収容されている。これにより、成形活性炭56の周面が筒状体44の内周面に支持された状態となり、成形活性炭56の形状がさらに崩れにくい。したがって、浄水カートリッジ4は、成形活性炭56による粉塵がより生じにくいため、急激な流量低下や、原水の逆流がさらに生じにくい。また、成形活性炭56は、筒状体44内に圧入されているため、成形活性炭56と筒状体44との間に隙間が生じにくい。したがって、筒状体44に流入する原水をより確実に成形活性炭56に流すことができ、より安定した浄水性能が得られる。
なお、本発明は圧入に限らず、筒状体44の内周に任意の形状の突起を設けて、成形活性炭56の周面をこの突起に引っ掛けるなどして収容してもよい。
また、成形活性炭56に、不織布55の少なくとも一部分が融着して固定されていることで、不織布55による成形活性炭56の被包をより確実なものにすることができ、粉塵をさらに生じにくさせることができる。したがって、浄水カートリッジ4の組み立て時の作業性をより優れたものにすることができるとともに、急激な流量低下や原水の逆流がさらに生じにくい。
なお、本発明は融着に限らず、接着剤やピンなどを用いて、不織布55を成形活性炭56に固定してもよい。
また、成形活性炭56は、1枚の不織布55で被包されてもよく、必要に応じて複数枚の不織布55で被包されてもよい。
また、不織布55には、活性炭繊維が含有されていてもよい。不織布55に活性炭繊維が含有されていることにより、成形活性炭56による吸着性能に、不織布55による吸着性能が加わって、より安定した浄水性能を得ることができる。
また、不織布55には、イオン交換繊維が含有されていてもよい。イオン交換繊維は、硬度低下、鉛などの溶解性金属の吸着性能に優れた濾材である。不織布55にイオン交換繊維が含有されていることにより、活性炭による吸着作用に加え、イオン交換繊維による硬度低下、溶解性金属の吸着性能を有することができ、より安定した浄水性能が得られる。
イオン交換繊維としては、スルホン酸基を交換基とする強酸型、カルボン酸基を交換基とする弱酸型、4級アンモニウム基を交換基とする強塩基型、アミン基を交換基とする弱塩基型などが挙げられる。
また、筒状体44の内部に、不織布55に被包された成形活性炭56よりも下流側に、中空糸膜57が収容されていることで、不織布55および成形活性炭56による濾過に加え、中空糸膜57による濾過を行うことができるので、より質の高い浄水が得られ、より安定した浄水性能が得られる。
次に、図3、4を参照して、浄水カートリッジ4を備えた浄水器1について説明する。
浄水器1は、図3に示すように、水栓の蛇口2に取り付けられる本体3と、本体3の後面に着脱自在に設けられた浄水カートリッジ4とで概略構成されている。なお、この実施の形態では、蛇口2に対して図3に示すように浄水器1が取り付けられている状態で、蛇口2の正面、つまり蛇口2の延長線上に立った使用者から見た前後方向を、浄水器の前後方向と称し、前記状態で使用者から見た左右方向を浄水器の左右方向と称する。
本体3は、上部に原水受入口5を備え、この原水受入口5の周縁に設けられた環状の取付け治具6を介して蛇口2に接続されている。本体3の下部には、原水を放出するシャワー出口(不図示)と、浄水を放出する浄水出口(不図示)とが配置されている。
本体3の前面には、操作レバー9が取り付けられている。操作レバー9は、本体3の左右幅方向に長尺であり、浄水器1から放出する水の種類、すなわち原水または浄水を選択するものであり、左右幅方向の中心部分が本体3に軸支されている。この操作レバー9の左端部9aと右端部9bとがそれぞれ前後方向に揺動可能になっている。
なお、本発明における操作レバー9は左右幅方向に長尺であるものに限られず、例えば回動レバーや、上下方向に長尺なレバーであっても差し支えない。
図4に示すように、本体3の背面には、後方に向かって開口する略筒状の雌コネクタ12a,12b,12cが形成されている。
浄水カートリッジ4には、略円筒状のケース13の外周壁に、前述した略円筒状の雄コネクタ14a,14b,14cが形成されている。雄コネクタ14aは前述した雌コネクタ12aと対をなすものであり、雄コネクタ14bは雌コネクタ12bと対をなすものである。また、雄コネクタ14cは雌コネクタ12cと対をなすものである。雌コネクタ12aと雄コネクタ14aとで浄水カートリッジ4と本体3との間の浄水の通路である浄水通路26を構成し、雌コネクタ12bと雄コネクタ14bとで浄水カートリッジ4と本体3との間の原水の通路である原水通路27を構成している。
本体3への浄水カートリッジ4の接続は、雄コネクタ14aを雌コネクタ12aに挿入するとともに、雄コネクタ14bを雌コネクタ12bに挿入し、かつ雄コネクタ14cを雌コネクタ12cに挿入して押し込むことで行われる。これにより、雌コネクタ12a,12b,12cにそれぞれ雄コネクタ14a,14b,14cが嵌合し、Oリング15が装着されている雄コネクタ14a,14bについては、Oリング15によってシールがなされ、雄コネクタ14a,14bが挿抜方向へ変位するのが規制され、これら雄コネクタ14a,14b,14cおよび雌コネクタ12a,12b,12cを介して浄水カートリッジ4が本体3に支持されることとなる。
本体3内には、操作レバー9に連係した切換機構(不図示)が内蔵されている。この切換機構は、原水受入口5と原水通路27(図4)との連通状態、および、原水受入口5と原水を本体3の下部から放出する通路(不図示)との連通状態が切換えるものである。
ここで、操作レバー9の右端部9bが後方に向かって押された場合、内蔵された切換機構によって、原水を本体3の下部から放出する通路(不図示)が開放状態となり、原水受入口5から受け入れた原水が本体3の下部から放出される。
また、操作レバー9の左端部9aが後方に向かって押された場合、原水を本体3の下部から放出する通路が閉塞されるとともに、原水受入口5と原水通路27(図4)とが連通される。これにより、原水受入口5から受け入れた原水は、原水通路27、すなわち雌コネクタ12b、雄コネクタ14bを介して浄水カートリッジ4に導入される。そして、浄水カートリッジ4で原水をろ過して得られた浄水は、雄コネクタ14aおよび雌コネクタ12aで構成される浄水通路26を通じて本体3に戻り、本体3の下部から下方に向かって放出される。
ここで、浄水器1に備えられた浄水カートリッジ4は、図1に示すように、塩素や、トリクロロメタンといった含塩素有機化合物などの吸着性能に優れた成形活性炭56を有しているため、安定した浄水性能を得ることができる。また、成形活性炭56の全面が不織布55で被包されていることで、成形活性炭56からの粉塵が生じにくい。そのため、ろ過膜やプレフィルター(不織布55)の目詰まりを生じにくく、急激な流量低下や原水の逆流がさらに生じにくい。したがって、浄水カートリッジ4を備えた浄水器1は、良質な浄水を安定して供給できる。
前述した実施形態例では、本体下部に浄水放出口と原水放出口とを設け、浄水カートリッジで濾過した浄水を本体に送水し、該浄水を本体下部から浄水を放出する浄水器を示した。本発明は、これに限らず、浄水カートリッジに浄水放出口を設け、浄水カートリッジでろ過した浄水を該浄水カートリッジの浄水放出口から放出する浄水器であってもよい。
また、本体の背面に浄水カートリッジを配置した浄水器を示したが、これに限らず、浄水カートリッジを本体側面に配置した浄水器であってもよい。また、浄水カートリッジは、長さ方向を水平にして本体に接続されていてもよく、長さ方向を鉛直にして本体に接続されていてもよい。
また、カートリッジ4内での成形活性炭56、整流板54、ろ過膜(中空糸膜57)の並び順は特に限定されず、適宜変更可能である。整流板54は適宜省略可能である。
また、成形活性炭56を被包する不織布55とは別に、フェルトや不織布などのプレフィルターを任意の位置に設けてもよい。
本発明の浄水カートリッジは、安定した浄水性能が得られるとともに、組み立て時の作業性に優れ、製造コストの削減を図ることができ、さらに急激な流量低下や原水の逆流が生じにくい。
本発明の浄水カートリッジの製造方法によると、浄水カートリッジの組み立てを効率的に行うことができる。
該浄水カートリッジを用いた本発明の浄水器は、良質な浄水を安定して供給できる。
本発明の一実施形態例の浄水カートリッジを長さ方向に切断した断面図である。 筒状体と、これに収容される整流板と成形活性炭とを示す斜視図である。 図1の浄水カートリッジを備えた浄水器の一例を示す斜視図である。 本体と浄水カートリッジの斜視図である。
符号の説明
2 蛇口
3 本体
4 浄水カートリッジ
13 ケース
26 浄水通路
27 原水通路
44 筒状体
54 整流板
55 不織布
56 成形活性炭
57 中空糸膜(ろ過膜)
58 ポッティング材

Claims (9)

  1. 原水通路と浄水通路とが形成されたケースと、該ケースの内部に備えられ、両端が開口した筒状体とを有し、
    前記ケースは、略有底円筒状のケース本体と、該ケース本体の開口部に固定され、複数の突出部が形成された蓋とで構成され、
    該筒状体の内部に、活性炭を結合材により一定形状に成形した成形活性炭が収容され、
    前記成形活性炭は、その全面が不織布によって被包され
    前記突出部が前記不織布を押圧することを特徴とする浄水カートリッジ。
  2. 前記成形活性炭に、前記不織布の少なくとも一部分が融着して固定されていることを特徴とする請求項1に記載の浄水カートリッジ。
  3. 前記不織布に、活性炭繊維が含有されていることを特徴とする請求項1または2に記載の浄水カートリッジ。
  4. 前記不織布に、イオン交換繊維が含有されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の浄水カートリッジ。
  5. 前記成形活性炭は、前記筒状体に圧入されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の浄水カートリッジ。
  6. 該筒状体の内部に、前記不織布に被包された成形活性炭よりも下流側に、中空糸膜が収容されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の浄水カートリッジ。
  7. 両端が開口した筒状体の内部に、整流板と、活性炭を結合材により一定形状に成形し、その全面が不織布によって被包された成形活性炭とを、この順に並ぶように収容した後、
    前記筒状体を、略有底円筒状のケース本体を備え、原水通路と浄水通路とが形成されたケース内に、前記成形活性炭が前記整流板に対して原水通路側に配されるよう固定し、前記ケース本体の開口部に、複数の突出部が形成された蓋を固定して、前記突出部で前記不織布を押圧することを特徴とする浄水カートリッジの製造方法。
  8. 前記筒状体に、中空糸膜と、前記整流板と、その全面が不織布によって被包された前記成形活性炭とを、この順に並ぶように収容することを特徴とする請求項7に記載の浄水カートリッジの製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の浄水カートリッジと、蛇口から取り入れた原水が流れる通路を切換える切換機構を有した本体とからなることを特徴とする浄水器。
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