JP5208497B2 - 液状炭化水素の水銀除去装置 - Google Patents
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Description
本願は、2005年2月24日に日本国に出願された特願2005−048581号に基づく優先権を主張し、その内容をここに援用する。
原油などの液状炭化水素中では、水銀は、「単体水銀」と「イオン状水銀」と「有機水銀」の状態で存在し、ここでは、この三状態の水銀を総じて「水銀成分」と定義し、「イオン状水銀」と「有機水銀」を「水銀化合物」と定義する。
このような原油等に含まれる水銀成分を除去する方法としては、特許文献1(特許第2630732号公報)に開示されたものがある。
本発明の第1の態様は、原料液状炭化水素中の水銀成分を、固体触媒に接触させて単体水銀に転換し、単体水銀を含む第1の液状炭化水素を得る転換手段 (conversion device)と、
前記第1の液状炭化水素と第1のストリッピングガスとを向流接触させて、第1の液状炭化水素中の単体水銀を第1のストリッピングガスに移行させ、単体水銀量が減少した第2の液状炭化水素と、単体水銀が含まれた第1のガス状炭化水素とを得る第1のストリッピング手段(stripping device)と、前記第1のガス状炭化水素を冷却して、第3のガス状炭化水素と第3の液状炭化水素に分離する第1の気液分離手段と、前記第3のガス状炭化水素から単体水銀を吸着除去して第4のガス状炭化水素を得る第2の吸着手段と、を備え、前記転換手段における反応条件は、温度140〜250℃、圧力0.2〜2.0MPa・G、滞留時間5〜80分であり、前記第1のストリッピング手段は充填塔であり、前記第1の気液分離手段において、前記第1のガス状炭化水素を温度20〜70℃に冷却する液状炭化水素の水銀除去装置である。
本発明の第8の態様は、前記第8のガス状炭化水素を前記第1のストリッピングガスとして用いる本発明の第7の態様に記載の液状炭化水素の水銀除去装置である。
本発明の第10の態様は、前記第1のガス状炭化水素を前記第2のストリッピングガスとして用いる本発明の第4の態様に記載の液状炭化水素の水銀除去装置である。
(本発明の水銀除去装置の第1の例)
図1は、本発明の水銀除去装置の第1の例を示すもので、本発明の第1の態様に対応するものである。
原油、天然ガスコンデンセートなどの原料液状炭化水素は、管1から転換手段2に送り込まれる。
転換手段2での反応により、原料液状炭化水素中の水銀化合物の大部分が単体水銀に転換され、転換手段2から導出される第1の液状炭化水素の水銀成分の大部分が単体水銀となっている。
第1のストリッピング手段4としては、充填塔、棚段塔、気泡塔のいずれでもよいが、好ましくは充填塔である。以下充填塔の例でストリッピング手段4を説明する。
充填塔内での温度は40〜160℃、好ましくは80〜120℃、圧力は0.005〜1.000MPa・G、好ましくは0.01〜0.05MPa・Gとされる。第1の液状炭化水素の充填塔への供給量は、2,000〜150,000kg/m2・hr、好ましくは5,000〜100,000kg/m2・hrとされ、第1のストリッピングガスの充填塔への供給量は、500〜10,000kg/m2・hr、好ましくは800〜5,000kg/m2・hrとされる。また、液状炭化水素に対するストリッピングガスの流量比であるガス/液流量比としては、0.05〜2.00kg−G/kg−L、好ましくは0.07〜0.50kg−G/kg−Lである。なお、「hr」は時間、Gはガス、Lは液を表す。
図2は、本発明の水銀除去装置の第2の例を示すもので、本発明の第2および第3の態様に対応するものを示している。
この例の装置は、図1に示した装置において、第1のストリッピング手段4の後段に第1の吸着手段7を設け、この第1の吸着手段7に管6からの第1のガス状炭化水素を送り込み、ここで第1のガス状炭化水素に含まれている単体水銀を吸着除去し、単体水銀量が低減した第2のガス状炭化水素を管8に導出し、さらにこの第2のガス状炭化水素を第1のストリッピングガスとして第1のストリッピング手段4に供給するようになっている。
なお、第1の吸着手段7からの第2のガス状炭化水素は、必ずしも第1のストリッピングガスとして全量を再利用する必要はなく、系外に一部または全量を排出してもよい。以下、本発明においては、回収されるガス状炭化水素をストリッピングガスとして用いる場合、上記と同様にその一部でも全量を用いてもよい。
図3は、本発明の水銀除去装置の第3の例を示すもので、本発明の第4、第5および第7の態様に対応するものを示している。
この例の装置は、図1に示した装置において、第1のストリッピング手段4の後段に第1の気液分離手段9を設け、さらにこの第1の気液分離手段9の後段に第2の吸着手段10を設けたものである。
この第1のストリッピング手段4から導出される第1のガス状炭化水素を冷却して気液に分離する工程を採用することにより、原料の炭化水素中の水銀含有量が大きい場合や原料炭化水素中に不純物が多く含まれている場合でも、確実に水銀を吸着除去することができるので好ましいものである。
さらに、第3の液状炭化水素は、管11を通り第1の液状炭化水素とともに第1のストリッピング手段4に送り込まれるようになっている。
図4は、本発明の水銀除去装置の第4の例を示すもので、本発明の第6の態様に対応するものを示している。
この例の装置は、図3に示した装置において、第3の吸着手段14をさらに設けたものである。この装置では、第1の気液分離手段9から管11を経て導出される第3の液状炭化水素を第3の吸着手段14に送り込み、ここでこれに含まれている単体水銀を吸着除去し、第4の液状炭化水素が得られるようになっている。
第3の吸着手段14から管15を介して導出される第4の液状炭化水素は、単体水銀がほとんど含まれないので、製品として回収される。
図5は、本発明の水銀除去装置の第5の例を示すもので、本発明の第8および第9の態様に対応するものを示している。
この例の装置は、図1の装置において、転換手段2の前段に予備分離手段としての第2のストリッピング手段16をさらに設けたものである。
図6は、本発明の水銀除去装置の第6の例を示すもので、本発明の第10および第11の態様に対応するものを示している。
この例の装置は、図5に示した装置において、第2のストリッピング手段16の後段に第4の吸着手段21をさらに設けたものである。この装置では、第2のストリッピング手段16から導出された単体水銀量が高い第5のガス状炭化水素を管19から第4の吸着手段21に送り込み、ここでこれに含まれている単体水銀を吸着除去し、管22から単体水銀量が低い第6のガス状炭化水素として導出し、さらにこの第6のガス状炭化水素を第1のストリッピング手段4のための第1のストリッピングガスとして回収利用するようになっている。
第4の吸着手段21から導出される第6のガス状炭化水素には単体水銀がほとんど含まれていないので、第1のストリッピングガスとして有用に使用することができる。
なお、第6のガス状炭化水素を第1のストリッピングガスとするのではなく、そのまま系外に排出することもできる。
図7は、本発明の水銀除去装置の第7の例を示すもので、本発明の第12および第13に対応するものを示している。
この例の装置は、図6に示した装置において、第2のストリッピング手段16の下流に第2の気液分離手段23をさらに設け、この第2の気液分離手段23の下流に第5の吸着手段24を設けたものである。
図8は、本発明の水銀除去装置の第8の例を示すもので、本発明の第14および第15の態様に対応するものを示している。
この例の装置は、図7に示した装置において、第6の吸着手段28を設けたものである。この装置では、第6の吸着手段28に第2の気液分離手段23から管25を介して第6の液状炭化水素を送り込み、ここでこれに含まれる単体水銀量を低減し、第7の液状炭化水素が管29から製品として取り出されるようになっている。第6の吸着手段28には、先と同様の吸着塔などが用いられ、その吸着条件は、第3の吸着手段14と同様である。
図9は、本発明の水銀除去装置の第9の例を示すものである。この例の装置は、図8に示した装置において、第5の吸着手段24から導出された水銀成分がほとんど含まれない第8のガス状炭化水素を二分し、その一部を管27から第1のストリッピング手段4に送り、第1のストリッピングガスとして使用し、残部を管31から第2のストリッピング手段16に送り、ここの第2のストリッピングガスとして使用する。
この装置では、第2のストリッピング手段16において、水銀成分をほとんど含まない第8のガス状炭化水素で原料液状炭化水素がストリッピングされるので、第2のストリッピング手段16から導出される第5の液状炭化水素には単体水銀の濃度が非常に低くなる。よって、転換手段2において単体水銀がイオン状水銀に変化する現象の起こるリスクが低下する。
(実施例1)
図3に示した除去装置を使用して、原料液状炭化水素となる天然ガスコンデンセート(エラワンコンデンセート)中の水銀成分を除去した。
天然ガスコンデンセートには、単体水銀が520wtppb、イオン状水銀が140wtppb含まれていた。
第1のストリッピングガスには、第2の吸着手段10からの第4のガス状炭化水素を回収して用いた。
また、第2の吸着手段10には、吸着塔を用いた。この吸着塔は、内径1インチのステンレス鋼(SUS304)製のカラムを備え、このカラム内に吸着剤として日揮(株)製のMR−3を充填高さ250mmとなるように充填した。
第2の吸着手段10の吸着条件は、温度40℃、圧力0.02MPa・G、ガス線速0.2m/secとした。
実施例1において、原料液状炭化水素である天然ガスコンデンセートを転換手段2ではなく、直接第1のストリッピング手段4に供給したところ、第1のストリッピング手段4から導出された第2の液状炭化水素中の水銀成分濃度は、147wtppbであった。
図4に示した除去装置を用いて、原料液状炭化水素中の水銀を除去した。
原料液状炭化水素には、実施例1で用いた天然ガスコンデンセートを使用した。
また、転換手段2、第1のストリッピング手段4、第1の気液分離手段9および第2の吸着手段10は、先の実施例1と同様の構成のものを使用し、それぞれでの操作条件も同様とした。
第3の吸着手段14の吸着条件は、温度40℃、圧力0.5MPa・G、液線速0.5cm/secとした。
図8に示した装置を用いて、原料液状炭化水素中の水銀を除去した。
原料液状炭化水素として天然ガスコンデンセートを用い、単体水銀含有量が2,140wtppb、イオン状水銀含有量が300wtppbであった。
第2のストリッピング手段16および第1のストリッピング手段4には、充填塔を用いた。
第2の気液分離手段23には、凝縮器を用い、その操作条件は、冷却温度30℃、流入ガス温度100℃とした。
Claims (10)
- 原料液状炭化水素中の水銀成分を、固体触媒に接触させて単体水銀に転換し、単体水銀を含む第1の液状炭化水素を得る転換手段と、
前記第1の液状炭化水素と第1のストリッピングガスとを向流接触させて、第1の液状炭化水素中の単体水銀を第1のストリッピングガスに移行させ、単体水銀量が減少した第2の液状炭化水素と、単体水銀が含まれた第1のガス状炭化水素とを得る第1のストリッピング手段と、
前記第1のガス状炭化水素を冷却して、第3のガス状炭化水素と第3の液状炭化水素に分離する第1の気液分離手段と、
前記第3のガス状炭化水素から単体水銀を吸着除去して第4のガス状炭化水素を得る第2の吸着手段と、を備え、
前記転換手段における反応条件は、温度140〜250℃、圧力0.2〜2.0MPa・G、滞留時間5〜80分であり、
前記第1のストリッピング手段は充填塔であり、
前記第1の気液分離手段において、前記第1のガス状炭化水素を温度20〜70℃に冷却する液状炭化水素の水銀除去装置。 - 前記第4のガス状炭化水素を前記第1のストリッピングガスとして用いる請求項1に記載の液状炭化水素の水銀除去装置。
- 原料液状炭化水素中の水銀成分を、固体触媒に接触させて単体水銀に転換し、単体水銀を含む第1の液状炭化水素を得る転換手段と、
前記第1の液状炭化水素と第1のストリッピングガスとを向流接触させて、第1の液状炭化水素中の単体水銀を第1のストリッピングガスに移行させ、単体水銀量が減少した第2の液状炭化水素と、単体水銀が含まれた第1のガス状炭化水素とを得る第1のストリッピング手段を備え、
前記転換手段における反応条件は、温度140〜250℃、圧力0.2〜2.0MPa・G、滞留時間5〜80分であり、
前記原料液状炭化水素を水銀成分が高濃度の第5のガス状炭化水素と水銀成分が低濃度の第5の液状炭化水素とに分離する予備分離手段を転換手段の前段に設け、第5の液状炭化水素を転換手段に導入するようにした液状炭化水素の水銀除去装置。 - 前記予備分離手段が、前記原料液状炭化水素と第2のストリッピングガスとを向流接触させて前記第5のガス状炭化水素と前記第5の液状炭化水素とに分離する第2のストリッピング手段である請求項3に記載の液状炭化水素の水銀除去装置。
- 前記第5のガス状炭化水素から水銀成分を吸着除去し、第6のガス状炭化水素を得る第4の吸着手段をさらに設けた請求項3に記載の液状炭化水素の水銀除去装置。
- 前記第6のガス状炭化水素を前記第1のストリッピングガスとして用いる請求項5に記載の液状炭化水素の水銀除去装置。
- 前記第5のガス状炭化水素を冷却し、第7のガス状炭化水素と第6の液状炭化水素に分離する第2の気液分離手段と、第7のガス状炭化水素から水銀成分を吸着除去し、第8のガス状炭化水素を得る第5の吸着手段をさらに設けた請求項3に記載の液状炭化水素の水銀除去装置。
- 前記第8のガス状炭化水素を前記第1のストリッピングガスとして用いる請求項7に記載の液状炭化水素の水銀除去装置。
- 前記第6の液状炭化水素から水銀成分を吸着除去し、第7の液状炭化水素を得る第6の吸着手段をさらに設けた請求項7に記載の液状炭化水素の水銀除去装置。
- 前記第1のガス状炭化水素を前記第2のストリッピングガスとして用いる請求項4に記載の液状炭化水素の水銀除去装置。
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