従来から圧電振動子等を用いた角速度を検出する振動型ジャイロセンサは、自動車やロボット等の姿勢制御等を行うために不可欠なセンサであり、カーナビゲーション・システムやロボット等の需要が増加するに従って、高精度な振動型ジャイロセンサが益々要求されている。
しかしながら、振動型ジャイロセンサは、複数の要因によって検出信号にもれ信号成分等のノイズ信号成分が重畳し、角速度の検出精度を低下させる要因となっている。
検出信号からノイズ信号成分を除去することによって角速度の検出精度の低下を抑制する技術は、例えば、特許文献1に記載されている。この特許文献1では、振動子に各速度が生じていない場合に、各速度が生じているとして検出した検出信号の信号成分をノイズ信号成分として除去する補正信号を生成する点が開示されている。
図11は、従来の振動型ジャイロセンサの一構成例を説明するための図である。振動型ジャイロセンサは、水晶振動子などによって成る振動子110と、この振動子110を駆動して角速度を検出する制御回路とによって構成される。
振動子110は、例えば、対となる駆動電極110C,110Dおよび対となる検出電極110A,110Bを備える。制御回路は、振動子110を発振させる発振回路300と、振動子110に印加された角速度に起因して発生する出力信号を入力して角速度に相当する信号を外部に出力する検出回路200を備える。
発振回路300は、電流電圧変換回路300a(以下、I/V変換回路300aと略す)、移相回路(位相シフタ)300b、振幅検出回路300c、利得可変増幅器300d等によって構成される。ここで、I/V変換回路300aは、振動子110の振動に応じて一方の駆動電極110Cから流れ出す帰還信号を受け、電流電圧変換を行って帰還電圧信号を出力する。I/V変換回路300aで位相が反転するため、帰還電圧信号は帰還信号に対して逆位相の信号となる。
移相回路300bは帰還電圧信号を入力して、振動子110が発振するための条件に合うように帰還電圧信号の位相を移動させて移相信号を出力する。振幅検出回路300cは帰還電圧信号を入力し、帰還電圧信号の振幅に応じたAGC信号を出力する。利得可変増幅器300dはAGC信号に応じて利得を可変し、移相回路(位相シフタ)300bから入力する移相信号を可変増幅して振動子の駆動電極110Dに駆動信号を印加する。これにより、発振回路300は振動子110を発振させ、帰還信号に応じて駆動信号の大きさを調整し、振動子110の振動振幅を常に一定状態に保持する。
検出回路200は二つの電流電圧変換回路を有する変位検出回路120(120A、120B(以下、I/V変換回路120A,120Bと略す))、I/V変換回路120Aと120Bの出力信号の差分を出力する差動増幅回路140、差動増幅回路140の出力信号を検波する同期検波回路150、同期検波回路150の出力信号に含まれる高周波成分をカットするローパスフィルタ160(以下、LPF160と略す)、出力信号を増幅する増幅回路170等によって構成される。
二つのI/V変換回路120A,120Bは、それぞれ振動子110の検出電極110A,110Bに接続され、検出電極から入力した出力電流を電流電圧変換し、得られた電圧信号を出力する。差動増幅回路140は電圧変換された2つの電圧信号を入力して差動増幅を行って差分出力を出力する。
また、同期検波回路150は差動出力を入力し、発振回路300から出力される検波制御信号に基づいて同期検波を行って検波出力を出力する。検波出力はLPF160で高周波成分をカットされ増幅回路170で増幅され、印加された角速度に応じた角速度出力が生成される。これにより、検出回路200は、振動子110の出力信号を入力して振動子110に印加された角速度の大きさを電気信号として出力する。
振動型ジャイロセンサは、振動子の変位を電流で取り出し、電流電圧変換回路あるいは電荷電圧変換回路で電圧に変換し、検波前において差動増幅回路で増幅し、同期検波回路で同期検波し、同期検波後の増幅回路で増幅し、LPFで交流成分をカットすることによって、直流信号として取り出している。
ここで、振動型ジャイロセンサにおいて、振動子の検出電極から取り出される電流を電圧に変換した検出信号には、振動子に印加された角加速度に起因する信号成分の他に、もれ信号成分が重畳している。
このもれ信号成分には、2つの検出電極から得られる2つの信号において、それぞれ同相で変動するもれ信号成分(同相もれ信号成分)と、互いに逆相で変動するもれ信号成分(逆相もれ信号成分)がある。逆相もれ信号成分は、例えば、振動子形状による振動に起因する機械もれ信号成分があり、また、同相もれ信号成分は、例えば、駆動−検出電極間容量による電気もれ信号成分がある。
図12(a)は振動子から得られる出力信号の信号成分を説明するための図である。振動子110が備える一対の検出電極110Aと110Bの内、一方の検出電極110Aからは、信号成分101Aaとこの信号成分101Aaに重畳して出力される逆相もれ信号成分101Abと同相もれ信号成分101Acとが出力され、他方の検出電極110Bからは、信号成分101Baとこの信号成分101Baに重畳して出力される逆相もれ信号成分101Bbと同相もれ信号成分101Bcとが出力される。信号成分101Aaと信号成分101Baとは逆相である。
振動型ジャイロの出力を低雑音化するには、同期検波を行う前の段階で信号レベルを十分に高めることが有利である。これは、一般に、角加速度に起因する信号成分の信号レベルは、この信号成分に対してノイズとなるもれ信号成分の信号レベルよりも低いため、同期検波による信号成分の低下を防ぐために、同期検波を行う前に信号レベルを高めておく必要があるからである。
一方、振動型ジャイロに用いられる振動子は小形化され高周波化されることが求められている。このような振動子の小形化や高周波化は、電気もれ信号成分を増大させる。そのため、振動子の出力信号を増幅すると、増大した電気もれ信号成分によって出力信号の振幅が増大する。
図12(b),(c)は検出電極110A(110B)から出力される検出信号101a(101b)を説明するための図である。
図12(b),(c)において、検出信号101a(101b)は、角加速度に起因する信号成分101Aa(101Ba)に逆相もれ信号成分101Ab(101Bb)および同相もれ信号成分101Ac(101Bc)が重畳している。ここで、信号成分101Aa(101Ba)の振幅は、通常、逆相もれ信号成分101Ab(101Bb)や同相もれ信号成分101Ac(101Bc)よりも小さく、一方、同相もれ信号成分101Ac(101Bc)の振幅は振動子の小形化や高周波化に伴って増大する。そのため、検出信号101a(101b)の振幅は、主に同相もれ信号成分101Ac(101Bc)の振幅に依存することになる。
通常、増幅回路で増幅される増幅信号の振幅は電源電圧によって制限されるため、角加速度に起因する信号成分の増幅率は増幅信号の最大振幅によって制限される。電気もれ信号成分が増大すると、増幅信号の最大振幅は主に電気もれ信号成分に大きく依存して定まるため、電気もれ信号成分が増大して増幅回路の増幅率が制限されると、電気もれ信号成分よりも信号レベルが低い信号成分は十分に増幅されなくなる。そのため、低レベルのままで同期検波されることになり、十分なS/N比を得ることができない。
図13は増幅信号の振幅の制限を説明するための図である。図13において、振動子から得られる出力電流を出力信号iA(iB)で示し、この出力信号iA(iB)に含まれる信号成分をiAi(iBi)で示し、信号成分iAi(iBi)に重畳される逆相もれ信号成分(機械もれ信号成分)をiAm(iBm),同相もれ信号成分(電気もれ信号成分)をiAe(iBe)で示している。
この出力電流iA(iB)をI/V変換回路120(120A,120B)で電圧信号に変換して増幅する際、増幅された電圧信号の最大振幅は電源電圧によって制限され、例えばVd以上の振幅を出力することができない。したがって、電圧信号の最大振幅をVdを越えないように増幅率を制限すると、信号成分iAi(iBi)を十分な大きさまで増幅することができない場合が生じる。
上記の問題を解決するために、振動子に検出電極に加えて補正電極を設け、この補正電極から得られる信号を用いて同相もれ信号成分である電気もれ信号を相殺する信号を生成し、この相殺信号を振動子の出力信号に帰還する構成の振動ジャイロが提案されている(特許文献2)。
図14(a)は相殺信号を帰還する構成の振動ジャイロを説明するための概略回路図である。振動子110の出力電流はI/V変換回路120A,120Bの反転入力端子に入力されて電流電圧変換される。電流電圧変換により得られた電圧は加算器130で加算され、I/V変換回路120A,120Bの反転入力端子に帰還される。
また、検知回路によってアームのX軸方向の変位の検知信号によって振動を検出すると共に、振幅調整回路によってアームのY軸方向の変位の検知信号を用いて比較基準信号を形成し、形成した比較基準信号を検知回路に入力して不要振動成分の信号を打ち消す振動型角速度センサが提案されている(特許文献3)。
図14(b)は比較基準信号によって不要振動成分の信号を打ち消す構成を説明するための概略回路図である。振動子110の出力電流はI/V変換回路120A,120Bの反転入力端子に入力されて電流電圧変換される。また、振幅調整回路131は、他方の軸方向の変位の検知信号の電圧を可変抵抗器131aで調整して比較基準信号を生成し、I/V変換回路120A,120Bの非反転入力端子に入力する。なお、I/V変換回路120Bには、反転回路131bにより比較基準信号を反転して入力している。
従来技術において、電気もれ信号成分等の同相もれ信号成分を低減するために、特許文献2に示されるものでは、相殺信号を検出電極側に戻すことによって同相もれ信号成分を相殺している。この構成では、電流電圧変換回路の共通端子に、振動子の検出電極の出力信号と帰還した相殺信号とが入力され、振動子の検出電極から出力信号を取り出す際の取り出し効率が低下し、その結果、検出感度が低下するという問題がある。また、この構成では、相殺信号を形成するために補正電極を追加する必要があるため、振動子の小形化を妨げるという問題がある。
また、特許文献3に示されるものでは、比較基準信号を可変抵抗器で形成するため、振動型角速度センサの振動子のばらつきに対応するには、振動型角速度センサ毎に個別に調整する必要がある。また、可変抵抗器を調整した後に電気容量等が変動した場合には調整ずれが生じるという問題がある。
そこで、本発明は、上記した課題を解決して、振動子の検出電極から得られる出力信号の取り出し効率を低下させることなく同相もれ信号成分を抑制することを目的とする。
また、本発明は、補正電極を追加することなく同相もれ信号成分を抑制することを目的とする。
また、振動子のばらつきによらず同相もれ信号成分を抑制し、個別装置の調整を不要とすることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は振動子から得られる2つの出力信号から同位相で重畳している同相もれ信号成分を取り出し、取り出した同相もれ信号成分を、出力信号を電流電圧変換する電流電圧変換回路の基準電圧として用いることによって、同相もれ信号成分を抑制するものである。
本発明によれば、従来のように、出力信号に同相もれ信号成分を帰還させて印加することによって同相もれ信号成分を相殺することに代えて、同相もれ信号成分を電流電圧変換回路の基準電圧とすることによって、出力信号に重畳される同相もれ信号成分の振幅を圧縮し、これによって同相もれ信号成分を抑制する。
本発明によれば、振動子の検出電極に対して帰還信号を印加しないため、検出電極からの出力信号の取り出し効率が低下することを防ぐことができる。
本発明によれば、検出電極から得られる出力信号を用いて基準電圧を生成するため、補正電極の追加が不要である。
本発明によれば、検出電極の出力信号から生成した基準電圧を用いて同相もれ信号成分の振幅を圧縮するため、振動子のばらつきによらず同相もれ信号成分を抑制することができ、装置毎に個別に調整を行うことを不要とすることができる。
本発明の振動型ジャイロセンサは、振動子を振動させ、この振動子に印加された角速度を検出する振動型ジャイロセンサにおいて、振動子の複数の検出電極から出力される複数の出力信号から検出される少なくとも2つの複数の検出信号について、その内に2つの検出信号の差分信号を求めることによって角速度信号を検出し、2つの検出信号の加算信号を求めることによって検出信号に重畳される同相もれ信号成分を検出し、検出した同相もれ信号成分を基準信号として2つの検出信号を振幅増幅する。
振動型ジャイロセンサの振動子は、少なくとも2つの複数の検出電極を備え、各検出電極からはそれぞれ出力信号を得ることができる。振動子は複数の検出電極を備えるため、振動子からは複数の出力信号が出力される。振動型ジャイロセンサは、検出電極から得られる出力信号から検出信号を検出する。したがって、複数の検出信号が検出される。
本発明の振動型ジャイロセンサは、検出される複数の検出信号の内から少なくとも2つの検出信号を用い、この2つ検出信号の差分信号を求めることによって角速度信号を検出する。これは、角速度信号の検出に用いる2つの検出信号は、角速度に係わる信号成分が互いに逆相関係にあるため、この2つの検出信号の差分を求めることによって、2つの検出信号に含まれる信号成分は同相となって検出することができるからである。
検出信号には、角速度に係わる信号成分に加えてもれ信号成分も重畳しているが、2つの検出信号の差分を求めることによって、もれ信号成分の内の同相のもれ信号成分は互いに逆位相の関係にあるため打ち消しあって差分出力からは除かれる。
したがって、差分出力からは、検出信号に含まれる角速度信号を含む逆相信号が検出されるが、検出信号に重畳される同相もれ信号成分は検出されない。
本発明の振動型ジャイロセンサは、検出信号を同期検波する前の段階において、検出信号の角速度に係わる信号成分に重畳される同相もれ信号成分の振幅を圧縮することによって、増幅器の増幅率の制限を受けることなく、検出信号中の角速度に係わる信号成分の振幅を増幅するものである。
この同相もれ信号成分の振幅を圧縮するためには、検出信号から信号成分に重畳される同相もれ信号成分を検出する必要がある。差分出力は、同相もれ信号成分が検出されないため、2つの検出信号の加算信号を求めることによって検出信号に重畳される同相もれ信号成分を検出する。
本発明の振動型ジャイロセンサは、検出した同相もれ信号成分を基準信号として2つの検出信号を振幅増幅する。この振幅増幅では、同相もれ信号成分を基準信号とすることによって、出力信号に含まれる同相もれ信号成分の振幅増幅の増幅率を縮小させ、これによって、出力信号に重畳される同相もれ信号成分の振幅を圧縮して同相もれ信号成分を抑制する。
本発明の振動型ジャイロセンサの回路構成は、振動子の複数の検出電極の内の2つの検出電極から出力される2つの出力信号から2つの検出信号を生成する変位検出回路と、変位検出回路が生成する2つの検出信号を加算して検出信号に重畳される同相もれ信号成分を抽出する同相もれ信号成分抽出回路とを備える。
同相もれ信号成分抽出回路は、2つの検出信号から同相もれ信号成分を抽出し、抽出した同相もれ信号成分から基準信号を生成し、生成した基準信号を変位検出回路に帰還する。変位検出回路は、同相もれ信号成分抽出回路から帰還された基準信号を振幅増幅する際の基準電圧として、2つの検出信号を振幅増幅する。
変位検出回路は、検出電極の出力電流を電圧信号に変換して検出信号を生成する演算増幅器を有する電流電圧変換回路を備える。演算増幅器は反転入力端子と非反転入力端子を備え、反転入力端子に検出信号を入力し、非反転入力端子に基準電圧を入力する。本発明の変位検出回路は、非反転入力端子に入力する基準電圧として、同相もれ信号成分抽出回路から帰還される基準信号を用いることによって、出力信号に含まれる同相もれ信号成分の振幅増幅の増幅率を縮小し、出力信号に重畳される同相もれ信号成分の振幅を圧縮して同相もれ信号成分を抑制する。
同相もれ信号成分抽出回路は、電流電圧変換回路で生成された2つの検出信号を加算して同相もれ信号成分を抽出する加算器と、この加算器の加算出力の位相を反転する位相反転回路とを備える。
一方の変位検出回路は、演算増幅器の反転入力端子に一方の検出電極の出力電流を入力し、非反転入力端子に同相もれ信号成分抽出回路の出力を基準電圧として入力する。また、他方の変位検出回路は、演算増幅器の反転入力端子に他方の検出電極の出力電流を入力し、非反転入力端子に同相もれ信号成分抽出回路の出力を基準電圧として入力する。
変位検出回路と加算回路と位相反転回路は、基準信号を生成する負帰還ループを形成し、生成された基準信号は変位検出回路の電流電圧変換回路に帰還される。
変位検出回路の電流電圧変換回路は、同相もれ信号成分抽出回路から帰還される基準信号を基準電圧として検出電極の出力電流を電圧信号に変換する。
電流電圧変換回路では、出力信号の電流を検出信号の電圧に変換する信号処理において位相遅れ分が発生する。同相もれ信号成分抽出回路で抽出した同相もれ信号成分には、電流電圧変換回路で生じた位相遅れ分が含まれるため、帰還された基準信号も位相遅れ分を含むことになる。
電流電圧変換回路における電流電圧変換において、位相遅れ分を含む基準信号に基づいて電流電圧変換を行うと、位相遅れ量によっては発振する場合がある。
本発明の同相もれ信号成分抽出回路は、負帰還ループにおいて、帰還された基準信号の位相遅れによる発振を防ぐために位相補償回路を備える。この位相補償回路は、位相進めによって電流電圧変換回路による位相遅れ分を補償し、帰還信号が同相で印加されることによって生じる発振動作を防ぐ。位相補償回路は、同相もれ信号成分の周波数を含む周波数帯域について位相を進ませる。
また、同相もれ信号成分抽出回路が含む、加算器、位相反転回路、位相補償回路の内で、少なくとも何れかの回路は増幅回路を備え、この増幅回路と電流電圧変換回路とは、出力信号から検出信号を生成する際の増幅率を分担する。この増幅回路の増幅率は、出力信号に重畳される同相もれ信号成分の振幅の圧縮率を定めることができる。
本発明によれば、振動子の検出電極から得られる出力信号の取り出し効率を低下させることなく同相もれ信号成分を抑制することができる。
本発明によれば、補正電極を追加することなく同相もれ信号成分を抑制することができる。
また、本発明によれば、振動子のばらつきによらず同相もれ信号成分を抑制し、個別装置の調整を不要とすることができる。
本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明の振動型ジャイロセンサの構成を説明するための図である。振動型ジャイロセンサ1は、水晶振動子などによって形成される振動子10と、この振動子10を駆動して角速度を検出する制御回路とによって構成される。
振動子10は、例えば、対となる駆動電極10C,10Dおよび対となる検出電極10A,10Bを備える。制御回路は、振動子10を発振させる発振回路3と、振動子10に印加された角速度に起因して発生する出力信号を入力して角速度に相当する信号を外部に出力する検出回路2を備える。
発振回路3は、電流電圧変換回路3a(以下、I/V変換回路3aと略す)、移相回路(位相シフタ)3b、振幅検出回路3c、利得可変増幅器3d等によって構成される。ここで、I/V変換回路3aは、振動子10の振動に応じて一方の駆動電極11Cから流れ出す帰還信号を受け、電流電圧変換を行って帰還電圧信号を出力する。I/V変換回路3aでは位相が反転するため、帰還電圧信号は帰還信号に対して逆位相の信号となる。
移相回路3bは帰還電圧信号を入力して、振動子10が発振するための条件に合うように帰還電圧信号の位相を移動させて移相信号を出力する。振幅検出回路3cは帰還電圧信号を入力し、帰還電圧信号の振幅に応じたAGC信号を出力する。利得可変増幅器3dはAGC信号に応じて利得を可変し、移相回路(位相シフタ)3bから入力する移相信号を可変増幅して振動子の駆動電極10Dに駆動信号を印加する。これにより、発振回路3は振動子10を発振させ、帰還信号に応じて駆動信号の大きさを調整し、振動子10の振動振幅を常に一定状態に保持する。
検出回路2は二つの電流電圧変換回路(図示していない)を有する変位検出回路20(以下、I/V変換回路20A,20Bと略す)、I/V変換回路20Aと20Bの出力の差分を出力する差動増幅回路40、差動増幅回路40の出力を検波する同期検波回路50、同期検波回路50の出力信号に含まれる高周波成分をカットするローパスフィルタ60(以下、LPF60と略す)、出力信号を増幅する増幅回路70等によって構成される。
二つのI/V変換回路20A,20Bは、それぞれ振動子10の検出電極10A,10Bに接続され、検出電極から出力電流を入力して電流電圧変換して電圧信号を出力する。差動増幅回路40は電流電圧変換された2つの電圧信号を入力して差動増幅を行って差分出力を出力する。
また、同期検波回路50は差動出力を入力し、発振回路3から出力される検波制御信号に基づいて同期検波を行って検波出力を出力する。検波出力はLPF60で高周波成分をカットされ増幅回路70で増幅され、印加された角速度に応じた角速度出力が生成される。これにより、検出回路2は、振動子10の出力信号を入力して振動子10に印加された角速度の大きさを電気信号として出力する。
振動型ジャイロセンサ1は、振動子10の変位を電流で取り出し、電流電圧変換回路(I/V変換回路20)で電圧に変換し、同期検波前において差動増幅回路40で増幅し、同期検波回路50で同期検波し、検波後の信号の交流成分をLPF60でカットし、増幅回路70で増幅して直流信号として取り出す。
本発明の振動型ジャイロセンサの角速度検出動作の概略を説明する。振動子10は、制御回路の発振回路3よって一定振幅での発振が継続されている。このとき、振動子10が角速度ωで回転されたとすると、振動方向に対して直角な方向に角速度ωに比例したコリオリの力Fが働く。
このコリオリの力Fは、
F=2・m・ω・V
で表される。
ここで、mは駆動脚、または検出脚の等価質量であり、Vは共振周波数f0(Hz)で振動する速度である。このコリオリの力Fによる応力によって振動子10は、共振周波数に等しい周波数で振動が励起され、この振動によって検出脚に形成された2つの検出電極に圧電歪効果による電荷が発生する。
この発生した電荷により、2つの検出電極に微小な逆相の出力信号が発生する。検出回路2のI/V変換回路20A,20Bは、この出力信号それぞれ電流電圧変換して検出電圧を出力し、差動増幅回路40は、検出電圧の差分を求めて差分信号を出力する。
同期検波回路50は、差分信号を入力して発振回路3から出力される検波制御信号のタイミングに合わせて同期検波を行い、直流に変換された検波信号を出力する。LPF70交流成分をカットし、角速度に応じた直流電圧である角速度出力を出力する。
本発明の振動型ジャイロセンサ1の検出回路2は、上記構成に加えて、I/V変換回路20の出力信号を入力し、抽出して得られた基準信号をI/V変換回路20に帰還する同相もれ信号成分抽出回路30を備える。I/V変換回路20は帰還された基準信号を用いて信号増幅することによって、信号成分に重畳される同相もれ信号成分の振幅を抑制する。
同相もれ信号成分抽出回路30は、I/V変換回路20A,20Bの2つの検出信号を加算して同相もれ信号成分(電気もれ信号成分)を抽出する加算回路30aと、抽出した同相もれ信号成分の位相を反転する位相反転回路30bと、抽出した同相もれ信号成分の位相を補償して発振を防ぐ位相補償回路30cとを備える。
図2は、振動子10の一方の検出電極10Aから得られる検出信号と、振動子10の他方の検出電極10Bから得られる検出信号とを説明するための図である。
図2(a),(b)は、振動子10の一方の検出電極10Aから得られる検出信号を示し、図2(a)は同相もれ信号成分の振幅圧縮する前の状態を示し、図2(b)は同相もれ信号成分を振幅圧縮した後の状態を示している。
図2(a)において、振動子10が備える一対の検出電極10Aと10Bの内、一方の検出電極10Aから検出される検出信号101aは、信号成分101Aaと、この信号成分101Aaに重畳して出力される逆相もれ信号成分101Abと同相もれ信号成分101Acを含んでいる。
通常、逆相もれ信号成分101Abや同相もれ信号成分101Acのもれ信号成分は、信号成分101Aaに対してノイズ分に相当し、もれ信号成分の信号レベルは信号成分101Aaの信号レベルよりも大きい。また、同相もれ信号成分101Acの信号レベルは、振動子の高周波化や小型化に伴って増大する。
同相もれ信号成分101Acの信号レベルの増大に伴って検出信号101aの信号レベルも増大するため、この信号の最大振幅が増幅器の増幅振幅を越える場合には、越えた分については信号増幅することができない。例えば、図2(a)において、検出信号101aの信号増幅は、破線で示す増幅器の増幅振幅の制限を受け、越えた分については信号増幅することができない。
本発明は、図2(a)中の同相もれ信号成分101Acの振幅を圧縮することによって検出信号101aの信号レベルを抑制し、これによって、増幅器の増幅振幅の制限を受けることなく信号増幅を行う。
図2(b)は、同相もれ信号成分101Acの振幅を圧縮した状態を示している。出力101Aは、検出信号101aにおいて信号成分101Aaに重畳している同相もれ信号成分101Acを圧縮することによって得られる。同相もれ信号成分101Acの圧縮によって、検出信号101Aの最大振幅は、検出信号101aから102Aで示す圧縮分だけ小さくなり、増幅器の増幅振幅の制限を受けることがなくなる。
また、図2(c),(d)は、振動子10の他方の検出電極10Bから得られる検出信号を示し、図2(c)は同相もれ信号成分の振幅圧縮する前の状態を示し、図2(d)は同相もれ信号成分を振幅圧縮した後の状態を示している。
図2(c)において、振動子10が備える一対の検出電極10Aと10Bの内の他方の検出電極10Bから検出される検出信号101bは、信号成分101Baと、この信号成分101Baに重畳して出力される逆相もれ信号成分101Bbと同相もれ信号成分101Bcを含んでいる。
通常、逆相もれ信号成分101Bbや同相もれ信号成分101Bcのもれ信号成分は、信号成分101Baに対してノイズ分に相当し、もれ信号成分の信号レベルは信号成分101Baの信号レベルよりも大きい。また、同相もれ信号成分101Bcの信号レベルは、振動子の高周波化や小型化に伴って増大する。
同相もれ信号成分101Bcの信号レベルの増大に伴って検出信号101bの信号レベルも増大するため、この信号の最大振幅が増幅器の増幅振幅を越える場合には、越えた分については信号増幅することができない。例えば、図2(c)において、検出信号101bの信号増幅は、破線で示す増幅器の増幅振幅の制限を受け、越えた分については信号増幅することができない。
本発明は、図2(c)中の同相もれ信号成分101Bcの振幅を圧縮することによって検出信号101bの信号レベルを抑制し、これによって、増幅器の増幅振幅の制限を受けることなく信号増幅を行う。
図2(d)は、同相もれ信号成分101Bcの振幅を圧縮した状態を示している。検出信号101Bは、検出信号101bにおいて信号成分101Baに重畳している同相もれ信号成分101Bcを圧縮することによって得られる。同相もれ信号成分101Bcの圧縮によって、検出信号101Bの最大振幅は、検出信号101bから102Bで示す圧縮分だけ小さくなり、増幅器の増幅振幅の制限を受けることがない。
次に、角速度に相当する信号成分の検出、および同相もれ信号成分の検出について図3,図4を用いて説明する。
はじめに、図3を用いて、差動増幅器によって検出信号から角速度に相当する信号成分を検出する信号処理を説明する。
振動子の検出電極から得られる2つの検出信号101A,101Bは、図2に示したように、振動子に印加された角速度に起因して発生する信号成分101Aaおよび101Ba(図3(a)に示す信号成分)を有し、この信号成分101Aaおよび101Baには、逆相もれ信号成分101Ab,101Bb(図3(b)に示す信号成分)と、同相もれ信号成分101Ac,101Bc(図3(c)に示す信号成分)とが重畳されている。
ここで、図3(a)に示すように、信号成分101Aaと101Baとを差動増幅回路40に入力すると、信号成分101Aaと101Baとは互いに逆相の関係にあるため、両方の振幅成分が加算された検出信号101aが得られ、これによって角速度信号を検出することができる。
また、図3(b)に示すように、逆相もれ信号成分101Abと101Bbとを差動増幅回路40に入力すると、逆相もれ信号成分101Abと101Bbとは互いに逆相の関係にあるため、両方の振幅成分が加算された検出信号101bが得られる。
また、図3(c)に示すように、同相もれ信号成分101Acと101Bcとを差動増幅回路40に入力すると、同相もれ信号成分101Acと101Bcとは互いに同相の関係にあるため、両方の振幅成分は相殺される。
次に、図4を用いて、差動増幅器によって検出信号から同相もれ信号成分を検出する信号処理を説明する。
ここで、図4(a)に示すように、信号成分101Aaと101Baとを同相もれ信号成分抽出回路30に入力すると、信号成分101Aaと101Baとは互いに逆相の関係にあるため、両方の振幅成分が相殺される。
また、図4(b)に示すように、逆相もれ信号成分101Abと101Bbとを同相もれ信号成分抽出回路30に入力すると、逆相もれ信号成分101Abと101Bbとは互いに逆相の関係にあるため、両方の振幅成分は相殺される。
また、図4(c)に示すように、同相もれ信号成分101Acと101Bcとを同相もれ信号成分抽出回路30に入力すると、同相もれ信号成分101Acと101Bcとは互いに同相の関係にあるため、両方の振幅成分は加算されて同相もれ信号成分101cが検出される。この同相もれ信号成分101cの位相を反転することによって基準信号103が得られる。
次に、同相もれ信号成分抽出回路の動作、および基準信号による同相もれ信号成分の圧縮動作について図5を用いて説明する。なお、図5では、振動子の検出電極から変位検出回路20に入力される電流信号として、検出信号iiと同相もれ信号成分ieを示し、逆相もれ信号成分imは省略して示している。
図5において、変位検出回路20Aおよび変位検出回路20Bは、入力電流を電流電圧変換して出力電圧を出力する電流電圧変換回路21A,21Bを備える。電流電圧変換回路21A,21Bは演算増幅回路22A,22Bを備え、反転入力端子と出力端子との間を抵抗接続して構成される。
一方の変位検出回路20Aを構成する演算増幅回路22Aの反転入力端子には、振動子の一方の検出電極から出力される出力電流(検出信号iiと同相もれ信号成分ie)が入力され、演算増幅回路22Aの非反転入力端子には同相もれ信号成分抽出回路30からの基準信号V+が入力される。
また、他方の変位検出回路20Bを構成する演算増幅回路22Bの反転入力端子には、振動子の一方の検出電極から出力される出力電流(検出信号iiと同相もれ信号成分ie)が入力され、演算増幅回路22Bの非反転入力端子には同相もれ信号成分抽出回路30からの基準信号V+が入力される。
変位検出回路20Aおよび20Bは、同相もれ信号成分ieを圧縮した検出信号iiを出力する。検出信号iiから同相もれ信号成分ieを圧縮する出力動作については、式を用いて後述する。
同相もれ信号成分抽出回路30は、変位検出回路20Aおよび20Bの出力信号を加算する加算回路30aと、加算信号を位相反転する位相反転回路30bと、加算信号の位相を補償する位相補償回路30cを備え、検出信号iiに重畳している同相もれ信号成分ieを抽出し、出力信号を基準信号V+として、演算増幅回路22A,22Bの非反転入力端子に入力する。
位相補償回路30cは、変位検出回路20Aおよび20Bと加算回路30aと位相反転回路30bとを含む負帰還ループの位相を補償する回路であり、電流電圧変換回路21A,21Bによる位相進み分を遅らせることによって負帰還ループによる発振動作を抑制する。
図5において、負帰還ループ内の利得として、位相反転回路30bの利得kを代表して示しているが、利得kは位相反転回路30bに限らず、負帰還ループを構成する加算回路30aや位相補償回路30cの増幅器を持たせ、この増幅器に利得kを割り当ててもよい。
また、出力信号から検出信号を生成する際の増幅率を、この増幅回路と電流電圧変換回路21とに分担させてもよい。
次に、検出信号iiから同相もれ信号成分ieを圧縮する出力動作について説明する。変位検出回路20Aの反転入力端子に検出信号iiと同相もれ信号成分ieを入力し、非反転入力端子に基準信号V+を入力すると、変位検出回路20Aの出力端子からは出力電圧V01が出力される。出力電圧V01は式(1)で表される。
V01=−(ii+ie)・R+G・V+ …(1)
一方、変位検出回路20Bの反転入力端子に逆相の検出信号iiと同相もれ信号成分ieを入力し、非反転入力端子に基準信号V+を入力すると、変位検出回路20Bの出力端子からは出力電圧V02が出力される。出力電圧V02は式(2)で表される。
V02=−(−ii+ie)・R+G・V+ …(2)
なお、式(1)および式(2)において、Rは演算増幅回路22A,22Bの反転入力端子と出力端子との間に接続される抵抗値であり、Gは基準信号V+を増幅する利得を表している。
また、基準信号V+は以下の式(3)で表される。
V+=−k(V01+V02) …(3)
式(3)に式(1),(2)を代入して整理すると、
V+=(2k・R/(1+2k・G))・ie …(4)
となる。
また、出力電圧V01および出力電圧V02は以下の式(5),(6)で表される。
V01=−ii・R+ie・((2k・G/(1+2k・G))−1)・R …(5)
V02=+ii・R+ie・((2k・G/(1+2k・G))−1)・R …(6)
上記式(5)、(6)は、出力電圧V01および出力電圧V02において、同相もれ信号成分ieは[((2k・G/(1+2k・G))−1)・R]の圧縮率で圧縮されることを示している。
式(5)、(6)において、1<<2k・Gとなるように利得kの値を定めると、出力電圧V01および出力電圧V02は以下の式(7),(8)となり、同相もれ信号成分ieの影響を除くことができる。
V01=−ii・R …(7)
V02=+ii・R …(8)
なお、実際の回路では、利得kを大きくすると位相補償が難しくなるため、ie・((2k・G/(1+2k・G))−1)・Rの成分は残ることになる。
同相もれ信号成分抽出回路は、図5に示すように、加算回路30a、位相補償回路30c、位相反転回路30bの順に接続する回路構成に限らず、別の接続順としてもよい。
図6を用いて、同相もれ信号成分抽出回路の別の形態例を説明する。図6(a)は、同相もれ信号成分抽出回路30として、加算回路30a、位相反転回路30b、位相補償回路30cの接続順とする回路構成を示している。
図6(b)は、同相もれ信号成分抽出回路30として、2つの位相補償回路30ca,30cbを備え、この2つの位相補償回路30ca,30cbの出力を加算する加算回路30aおよび位相反転回路30bの回路構成を示している。
図6(a)に示す回路構成および図6(b)に示す回路構成は、図5で示す回路構成と同様の動作によって基準信号を形成し、変位検出回路20に帰還して同相もれ信号成分を圧縮する。
次に、同相もれ信号成分抽出回路の構成例を図7,8を用いて説明する。
図7に示す同相もれ信号成分抽出回路は、加算回路30a、位相補償回路30c、位相反転回路30bを従属接続する回路例である。なお、図7の配列方向は図5に示す配列方向と逆の向きで示している。
図7の回路例において、加算回路30aは直列接続される直列抵抗30a1とバッファアンプ30a2によって構成される。直列抵抗30a1の一方の端子に一方の変位検出回路20Aの出力端子を接続し、直列抵抗30a1の他方の変位検出回路20Aの出力端子を接続し、直列抵抗30a1の中点をバッファアンプ30a2の非反転入力端子に接続する。これによって、バッファアンプ30a2の出力端子には、変位検出回路20Aの出力信号と変位検出回路20Bの出力信号の加算信号が出力され、バッファアンプ30a2は信号増幅を行うと共に逆方向への影響を防ぐ。
また、位相補償回路30cは、例えばコンデンサ等のリアクタンスを加算回路30aの出力端子に対して並列接続することで位相進み回路30c1を構成している。位相進み回路30c1の出力端子にはバッファアンプ30c2を接続する。バッファアンプ30c2は信号増幅を行うと共に逆方向への影響を防ぐ。
また、位相反転回路30bは、演算回路を用いた反転増幅器によって構成することができる。
図8に示す同相もれ信号成分抽出回路は、加算回路と位相反転回路とを一つの回路で構成し、この加算位相反転回路30abに位相補償回路30cを従属接続する回路例である。なお、図8の配列方向は図5に示す配列方向と逆の向きで示している。
図8の回路例において、加算位相反転回路30abは、演算増幅器30ab2の反転入力端子に並列接続された抵抗体30ab1を接続して構成し、抵抗体30ab1の一方の抵抗に一方の変位検出回路20Aの出力端子を接続し、抵抗体30ab1の他方の抵抗に他方の変位検出回路20Bの出力端子を接続し、加算回路を構成する。また、演算増幅器30ab2は反転増幅器によって位相反転回路を形成する。
また、位相補償回路30cは、図7の回路例と同様に、例えばコンデンサ等のリアクタンスを加算回路30aの出力端子に対して並列接続することで位相進み回路30c1を構成している。位相進み回路30c1の出力端子にはバッファアンプ30c2を接続する。バッファアンプ30c2は信号増幅を行うと共に逆方向への影響を防ぐ。
図9,図10は振動子の構成例を説明するための図である。
次に、本発明の振動型ジャイロセンサに用いられる振動子の一例を図9および図10に基づいて説明する。なお、図9の斜視図は電極を省略している。図9および図10において、振動子10はSi02の単結晶である水晶によって成る共振周波数が数十kHzの水晶振動子であって、二つの駆動脚12a,12bと一つの検出脚12cの3本の脚、及び基部18と支持部19を有する三脚音叉型振動子である。
また、駆動脚12a,12bには対となる駆動電極13,14が形成されており、駆動電極13は、駆動脚12aの対向する2面に形成される駆動電極13a,13bと、駆動脚12bの対向する2面に形成される駆動電極13c,13dによって成る。
また、駆動電極14は、駆動脚12aの対向する他の2面に形成される駆動電極14a,14bと、駆動脚12bの対抗する他の2面に形成される駆動電極14c,14dによって成る。これらの駆動電極13a,13b,13c,13dは、それぞれ電気的に接続されて外部と接続され、また、駆動電極14a,14b,14c,14dも、それぞれ電気的に接続されて外部と接続される。
また、検出脚12cには、その角の部分に対となる検出電極15,16が形成され、それぞれ外部に接続される。また、検出電極15,16に対向する面の電極は、回路のGNDに接続される。また、振動子10の構造は、図9,図10で示すような三脚音叉型振動子には限定されず、例えば、二脚の音叉型振動子でも良い。
上記した回路構成は一例であって上記回路の限られるものではなく、他の回路構成を用いて検出回路を構成することもできる。