JP2015200580A - 角速度検出回路、角速度センサ、電子機器および角速度検出回路の調整方法 - Google Patents

角速度検出回路、角速度センサ、電子機器および角速度検出回路の調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高調波歪を低減して角速度信号のS/Nを向上させること。
【解決手段】本技術の一形態に係る角速度検出回路は、差動増幅回路と、フィルタ回路と、移相回路と、検波回路とを具備する。上記差動増幅回路は、振動子の検出部の出力信号を差動増幅する。上記フィルタ回路は、上記差動増幅回路の出力信号から、少なくとも上記振動子の共振周波数の2倍以上の周波数成分を低減する第1のカットオフ周波数を有する。上記移相回路は、上記フィルタ回路で生じた位相遅れを補正する。上記検波回路は、上記移相回路の出力信号を用いて上記フィルタ回路の出力信号を同期検波する。
【選択図】図5

Description

本技術は、振動型ジャイロ素子の出力信号に基づいて物体の回転角速度を検出する角速度検出回路、角速度センサ、電子機器およびその調整方法に関する。
従来から、民生用の角速度センサとして、いわゆるジャイロセンサが広く用いられている。ジャイロセンサは、典型的には、振動型ジャイロ素子を有し、例えば片持ち梁型の振動子を所定の共振周波数で振動させながら、角速度の影響によって生じるコリオリ力を検出することによって、角速度を検出するセンサである。
ジャイロセンサは、単純な機構、短い起動時間、安価で製造可能といった利点を有している。ジャイロ検出装置は、例えば、ビデオカメラ、バーチャルリアリティ装置、カーナビゲーションシステムなどの電子機器に搭載され、それぞれ手振れ検知、動作検知、方向検知などをする際のセンサとして活用されている。
近年では、搭載される電子機器の小型化、高性能化に伴い、ジャイロセンサの小型化、高性能化が要求されている。例えば、ジャイロ素子の小型化を実現するため、特許文献1に記載されているように、MEMS(Micro Electro Mechanical System)と呼ばれる技術を用いることが一般的となってきている。
ジャイロ素子で検出されるコリオリ力の感度は、振動系の重さや振動速度に比例する。したがって、ジャイロ素子が小型化されると振動系も軽量化され、その分、検出感度も低下する。一方、振動速度を増加させると、振動系の機械歪がノイズ成分として増加し、出力信号のS/Nが劣化する。
このような問題を解決するため、特許文献1には、ドリフトやノイズの低減化を図るジャイロ検出方法が開示されている。この方法は、振動体上の2つの検出片の出力信号を差動増幅し、この差動増幅した出力信号から、共振周波数を含む角速度信号に応じた信号が顕著に現れる周波数帯域より少なくとも低域側の信号をハイパスフィルタで除去するようにしている。そして、当該低域側の信号を除去した後の出力信号を同期検波し、ジャイロの出力に生じるノイズを除去するようにしている。
特開2005−55255号公報
ジャイロセンサのS/Nを向上させるには、コリオリ力の検出感度を大きくすることが必要である。しかしながら、コリオリ力の検出感度を大きくするために振動素子を大きな振動速度で振動させると、振動系の機械振動バランス等に起因する高調波歪が増大することで、S/Nの向上が図れないという問題がある。
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、高調波歪を低減して角速度信号のS/Nを向上させることができる角速度検出回路、角速度センサ、電子機器およびその調整方法を提供することにある。
本技術の一形態に係る角速度検出回路は、差動増幅回路と、フィルタ回路と、移相回路と、検波回路とを具備する。
上記差動増幅回路は、振動子の検出部の出力信号を差動増幅する。
上記フィルタ回路は、上記差動増幅回路の出力信号から、少なくとも上記振動子の共振周波数の2倍以上の周波数成分を低減する第1のカットオフ周波数を有する。
上記移相回路は、上記フィルタ回路で生じた位相遅れを補正する。
上記検波回路は、上記移相回路の出力信号を用いて上記フィルタ回路の出力信号を同期検波する。
上記角速度検出回路において、フィルタ回路は、差動増幅回路の出力信号に含まれる上記共振周波数の2倍以上の高調波成分を低減あるいは除去し、角速度信号のS/Nを向上させる。一方、移相回路は、フィルタ回路による移相遅れを補正する同期検波用のタイミング信号を検波回路に出力し、検波感度の低下を抑制する。
本技術の一形態に係る角速度センサは、振動子と、駆動回路と、差動増幅回路と、ローパスフィルタと、移相回路と、検波回路とを具備する。
上記振動子は、検出部を有する。
上記駆動回路は、上記振動子をその共振周波数で発振させる。
上記差動増幅回路は、上記検出部の出力信号を差動増幅する。
上記ローパスフィルタは、上記差動増幅回路の出力信号から、上記共振周波数の2倍以上の高調波成分を低減する。
上記移相回路は、上記ローパスフィルタで生じた位相遅れを補正する。
上記検波回路は、上記移相回路の出力信号を用いて上記ローパスフィルタの出力信号を同期検波する。
本技術の一形態に係る電子機器は、上記角速度センサを具備する。
本技術の一形態に係る角速度検出回路の調整方法は、共振周波数で振動する上記振動子の歪率を測定することを含む。
上記歪率が所定値以上の場合は、上記ローパスフィルタおよび上記移相回路が動作させられる。
上記歪率が所定値未満の場合は、上記ローパスフィルタおよび上記移相回路による補正が無効化される。
本技術の他の形態に係る角速度検出回路の調整方法は、共振周波数で振動する上記振動子の歪率を測定することを含む。
上記歪率が−40dB以上の場合は、上記ローパスフィルタのカットオフ周波数が、当該ローパスフィルタから出力される上記共振周波数の信号のゲインの損失が3dB以下となる周波数に設定される。
上記歪率が−40dB未満の場合は、上記ローパスフィルタのカットオフ周波数が、当該ローパスフィルタから出力される上記共振周波数の信号のゲインの損失が1dB以下となる周波数に設定される。
以上のように、本技術によれば、高調波歪を低減して角速度信号のS/Nを向上させることができる。
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
本技術の第1の実施形態に係る角速度センサを構成するセンサ素子の斜視図である。 上記センサ素子10とこれを制御する制御部との電気的接続を示す模式図である。 上記センサ素子による角速度検出の原理を示す図である。 図3における力学的な視点から動作原理を示す概念図である。 上記制御部の構成を示すブロック図である。 上記制御部における角速度検出回路の主要な各部の出力電圧波形を示すタイミングチャートである。 上記センサ素子の周波数特性を示す一実験結果である。 上記センサ素子のドリフト特性を示す一評価結果である。 比較例に係る角速度検出回路の各部の出力電圧波形を示すタイミングチャートである。 上記角速度検出回路におけるフィルタ回路を構成するローパスフィルタの一構成例を示す等価回路である。 上記角速度検出回路におけるフィルタ回路を構成するローパスフィルタの他の構成例を示す等価回路である。 本技術の第2の実施形態に係る角速度センサを構成するセンサ素子の斜視図である。 上記センサ素子の要部の概略平面図である。 上記センサ素子の要部の概略断面図である。 上記センサ素子の振動モードを説明する図である。 上記センサ素子の動作を説明する図である。 上記センサ素子の他の動作を説明する図である。 上記センサ素子を制御する制御部の構成を示すブロック図である。 上記制御部における角速度検出回路の主要な各部の出力電圧波形を示すタイミングチャートである。 図5に示す制御部の構成の変形例を示すブロック図である。 図18に示す制御部の構成の変形例を示すブロック図である。 図18に示す制御部の構成の変形例を示すブロック図である。 図18に示す制御部の構成の変形例を示すブロック図である。
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
[センサ素子]
図1は、本技術の第1の実施形態に係るセンサ素子10の斜視図である。センサ素子10は、3本の振動子を有する振動型角速度センサ素子で構成される。
センサ素子10は、連結部11と、連結部11から同一方向へ延出された断面四角形状の3本のアーム12(12A、12B、12C)とを備える。3本のアーム12は横並びに(平面的に)配列している。3本のアーム12が配列する方向をX軸方向とし、3本のアーム12が延出される方向をY軸方向とする。X軸方向およびY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。以下の図においても同様とする。
これら連結部11およびアーム12は、シリコンウェハ等の圧電特性を有さない単結晶基板から所定形状に切りだされ、一表面に、後述する駆動部あるいは検出部、各種リード配線部が形成されることによって、センサ素子10を構成する。なお、このセンサ素子10の概ねの大きさは、X軸方向0.5mm、Y軸方向3mm、Z軸方向0.3mmである。各アーム12の長さ(Y軸方向)は1.8〜1.9mm、幅(X軸方向)は0.1mmである。
アーム12A〜12Cは、センサ素子10の振動子を構成する。本実施形態に係るセンサ素子10において、各アーム12A〜12Cは、例えば、それぞれ同一のアーム長、幅、厚さに形成されているが、これに限られない。アーム12A〜12Cのうち、外側に位置するものを、外側アーム12Aおよび12Bとし、中央に位置するものを中央アーム12Cとする。以下、各アーム12(12A、12B、12C)に設けられる構造に、対応する符号(A、B、C)を付する。
センサ素子10は、センサ素子10を図示しない実装基板に固定するための固定部17と、固定部17と連結部11との間を支持する支持部18を有する。
固定部17は、センサ素子10を図示しない実装基板に物理的に固定し、電気的に接続することが可能に構成される。センサ素子10の固定部17には、外部接続端子19が形成され、アーム12の上部電極層(14A、14B、14C、14C)および下部電極層(16A、16B、16C、16C)がそれぞれ、配線20を介して外部接続端子19と接続されている。
本実施形態に係るセンサ素子10は、後述する制御部30を備えた上記実装基板(回路基板)にフリップチップ実装により実装される。実装方法はこれに限られず、配線あるいは外部接続端子の構成も図示するものに限られない。
センサ素子10と上記実装基板とにより角速度センサが構成され、例えばセンサモジュールとしてパッケージ化される。更に、この角速度センサは、上記実装基板を介して、電子機器の制御回路(図示せず)に接続される。当該電子機器としては、例えばデジタルカメラ、携帯型情報端末、携帯型ゲーム機、ハンドヘルド型表示装置などが該当する。
外側アーム12A、12Bの一表面には、下部電極層16A,16Bと、下部電極層16A,16Bの上に形成された圧電層15A,15Bと、圧電層15A,15Bの上に形成された上部電極層14A,14Bとを有する圧電機能体13A,13B(図3参照)がそれぞれ形成されている。
一方、中央アーム12Cの一表面には、下部電極層16C(16C、16C)と、下部電極層16Cの上に形成された圧電層15C(15C、15C)と、圧電層15Cの上に形成された上部電極層14C(14C、14C)とを有する2つの圧電機能体(以下、総称して圧電機能体13Cという(図3参照))がそれぞれ形成されている。両圧電機能体13Cは、中央アーム12Cの一表面のY軸方向における中心線に対して相互に対称な位置に形成されている。
図2は、センサ素子10と制御部30との電気的接続を示す模式図である。
同図に示すように、センサ素子10は、IC回路素子等によって構成される制御部30と接続される。制御部30は例えば、上記実装基板上に設けられる。制御部30は、演算回路31、駆動回路32、検波回路33、平滑回路34等から構成され、G0端子、Ga端子、Gb端子、Gi端子を有する。各回路の接続および機能は後述する。
センサ素子10の下部電極層16A〜16Cは、制御部30のGi端子にそれぞれ接続され、各圧電機能体の基準電極として機能する。本実施形態では、Gi端子から駆動信号(G0)とは逆位相の反転駆動信号(Gi)が出力される。これにより、Gi端子がグランド電位にした場合と比較して、同一の駆動電圧によって2倍の振幅でアーム12を振動させることが可能となる。
外側アーム12A,12Bの上部電極層14A、14Bは、制御部30のG0端子にそれぞれ接続される。上部電極層14Aおよび14Bには、制御部30によって生成された駆動信号(G0)が入力される。すなわち、上部電極層14Aおよび14Bは、アーム12Aおよび12Bを励振する駆動電極として機能する。
中央アーム12Cの上部電極層14Cのうち一方を構成する第1の検出電極14Cは、制御部30のGa端子に接続され、上部電極層14Cのうち他方を構成する第2の検出電極14Cは、制御部30のGb端子に接続される。第1の検出電極14Cおよび第2の検出電極14Cからの検出信号は、制御部30に入力され、角速度が検出される。すなわち、第1の検出電極14Cおよび第2の検出電極14Cは、アーム12Cの振動を検出する検出部として機能する。
図3(A),(B)は、センサ素子10による角速度検出の原理を示す図である。
図3(A)は、センサ素子10に角速度が印加されていない状態を示している。制御部30の駆動回路32から、駆動電極である上部電極層14Aおよび14Bに同位相の駆動信号(G0)が入力され、その下部電極層16Aおよび16Bに反転駆動信号(Gi)が入力される。これにより圧電層15Aおよび15Bに電圧が印加され、その圧電効果により外側アーム12Aおよび12Bが励振され、同位相で振動する。外側アーム12Aおよび12Bが振動する(励振される)方向は、圧電層15Aおよび15Bの形成面に対して垂直な方向(Z軸方向)である。
外側アーム12Aおよび12Bが振動すると、中央アーム12Cは、その振動の反作用を受けて外側アーム12Aおよび12Bと逆位相で振動する。図3(A)に、外側アーム12Aおよび12B、中央アーム12Cの振動方向を白矢印でそれぞれ示す。
この際、各アーム12はその一端が連結部11に固定されているため、各アーム12には、(振動をしていない)初期の位置からの変位に応じて(Z軸方向の)歪が発生する。この歪により、中央アーム12Cの圧電層15Cおよび15Cに圧電効果が発生する。したがって、第1の検出電極14Cに圧電層15Cに起因する電圧(以下、検出信号Ga)が発生し、第2の検出電極14Cに圧電層15Cに起因する電圧(以下、検出信号Gb)が発生する。
検出信号GaおよびGbは、演算回路31において加算および減算され、和信号(Ga+Gb)および差分信号(Ga−Gb)が生成される。和信号(Ga+Gb)は、駆動回路32にフィードバックされ、差分信号(Ga−Gb)は検波回路33を経て平滑回路34に出力されて角速度信号として処理される。センサ素子10に角速度が印加されていない場合、角速度信号は(原理的に)0となる。
図3(B)は、センサ素子10に角速度が印加されている状態を示している。各アーム12が振動している状態において、センサ素子10にY軸周りの角速度が印加されると、各アーム12にコリオリ力が発生する。コリオリ力は、物体の移動方向に垂直な方向に発生するため、Z軸方向である振動方向に対して垂直な方向(主としてX軸方向)に発生する。すなわち図3(B)に示すように、各アーム12は、励振によるZ軸方向成分(白矢印)とコリオリ力によるX軸方向成分(黒矢印)の合成成分の力を受けて、Z軸方向を長径とする楕円軌道をとって運動する。
この際、各アーム12はその一端が連結部11に固定されているため、各アーム12には、(振動をしていない)初期の位置からの変位に応じて歪が発生する。この歪により圧電層15Cおよび15Cに圧電効果が発生する。中央アーム12CはZ軸方向に加え、X軸方向にも歪むため、圧電層15Cと圧電層15Cに発生する圧電効果は、一方が圧縮作用、他方が伸長作用を受けることで、相違する。したがって、第1の検出電極14Cおよび第2の検出電極14Cにはそれぞれ異なる極性の電圧(検出信号Ga,Gb)が発生する。
この圧電効果により、検出信号GaおよびGbが得られ、制御部30に入力される。演算回路31において差分信号(Ga−Gb)が算出されると、Z軸方向の信号が除去され、コリオリ力に起因する主としてX軸方向の成分が抽出される。以上により、角速度信号が得られる。
ここで、角速度信号のS/Nを向上させるには、振動子(アーム12)に加わるコリオリ力の検出感度を大きくすることが必要である。図4に示すように、アーム12の質量をm、アーム12の屈曲運動の振動速度をv、アーム12の長軸を中心とした回転角速度をωoとすると、コリオリ力Fcは式(1)で表される。
Fc=2×m×v×ωo …(1)
式(1)に示されるように、コリオリ力の感度は、振動系の重さや振動速度に比例する。したがって、センサ素子10が小型化されると振動系も軽量化され、その分、検出感度も低下する。一方、振動速度を増加させると、振動系の機械歪がノイズ成分として増加し、出力信号のS/Nが劣化する。
振動系の機械歪は、典型的には、各アーム12の形状ばらつきや加工誤差等を含む振動系の機械振動バランスに起因する高調波歪として現れ、振動系の共振周波数(f0)の整数倍の高調波成分(2f0、3f0等)が角速度信号に重畳することで、角速度信号のS/Nの低下をもたらす。
そこで本実施形態では、高調波歪を低減して角速度信号のS/Nを向上させるために、以下のように制御部30(角速度検出回路50)が構成されている。
[制御部]
図5は、制御部30の構成を示すブロック図である。
制御部30は、入力回路41と、駆動回路32と、角速度検出回路50とを有する。
入力回路41は、Ga端子に接続された第1の入力回路41aと、Gb端子に接続された第2の入力回路41bとを有する。第1の入力回路41aおよび第2の入力回路41bは、典型的には、バッファアンプ、ボルテージ・フォロワ等で構成される。検出信号Ga,Gbは、第1および第2の入力回路41a,41bを介して演算回路31へ出力される。
演算回路31は、加算回路42と、差動増幅回路51とを有する。検出信号Ga,Gbは、加算回路42および差動増幅回路51にそれぞれ供給される。加算回路42は、検出信号の和信号(Ga+Gb)を生成し、差動増幅回路51は、検出信号の差分信号(Ga−Gb)を生成する。
駆動回路32は、加算回路42と、第1の移相回路43と、振幅検波回路44と、ゲインコントロールアンプ(GCA:Gain Control Amplification)45と、バンドパスフィルタ(BPF:Band-Pass Filter)46と、ドライブ回路47とを有する。
加算回路42で生成された検出信号の和信号(Ga+Gb)は、第1の移相回路43と、振幅検波回路44と、後述する第2の移相回路53へそれぞれ出力される。第1の移相回路43は、加算回路42の出力信号(Ga+Gb)の位相を90°遅らせてゲインコントロールアンプ45へ出力する。ゲインコントロールアンプ45は、第1の移相回路43の出力および振幅検波回路44の出力に基づいてゲインを調整する。バンドパスフィルタ46は、ゲインコントロールアンプ45の出力信号から所定の周波数帯域の信号成分をドライブ回路47へ出力する。ドライブ回路47は、G0端子およびGi端子にそれぞれ入力される駆動信号(G0)および反転駆動信号(Gi)を生成する。
これによりセンサ素子10のアーム12は、所定の共振周波数(f0)で励振される。アーム12の共振周波数(駆動周波数)は特に限定されず、本実施形態では約80kHzとされる。
角速度検出回路50は、差動増幅回路51と、フィルタ回路52と、第2の移相回路53と、検波回路54とを有する。なお検波回路54は、図2に示した検波回路33に相当する。
図6は、角速度検出回路50の主要な各部の出力電圧波形の一例を示すタイミングチャートである。
差動増幅回路51は、検出部の出力信号である検出信号Ga,Gbを差動増幅することで、検出信号Ga,Gbから角速度信号成分を出力する。
角速度印加時に出力される検出信号Ga,Gbはそれぞれ、駆動信号に応じた出力信号と、コリオリ力に応じた出力信号とが重畳された信号である。上記駆動信号に応じた出力信号は、検出信号Ga,Gbにおいて同相で同じ大きさの信号であるため、差動増幅回路51によって相殺される。これに対して、コリオリ力に応じた出力信号は、検出信号Ga,Gbにおいて逆相で同じ大きさの信号である。したがって、差動増幅回路51の出力信号(Vda)には、原理上は、角速度の大きさに応じた信号のみが含まれることになる。
ところが実際には、差動増幅回路51の出力には、上述のようにアーム12の機械振動バランス等に起因する高調波歪がノイズ成分として重畳している。このような高調波ノイズ成分を除去するため、角速度検出回路50は、ローパスフィルタ521を含むフィルタ回路52を備えている。
ローパスフィルタ521は、典型的には、CR回路で構成される。ローパスフィルタ521のカットオフ周波数fc1(第1のカットオフ周波数)は、アーム12の共振周波数の2倍の周波数(2f0)に設定される。これにより、差動増幅回路51の出力信号(Vda)から共振周波数(f0)の2倍以上の高調波成分が低減あるいは除去される。
ローパスフィルタ521のカットオフ周波数fc1は、共振周波数(f0)の2倍の周波数(2f0)に限定されず、アーム12の機械振動バランスやローパスフィルタ521におけるゲインの減衰量等に応じて、共振周波数(f0)の2倍以上の周波数に設定されてもよい。
フィルタ回路52は、差動増幅回路51と検波回路54との間に配置されたローパスフィルタ521と、ローパスフィルタ521と検波回路54との間に配置されたハイパスフィルタ522とを有する。
ハイパスフィルタ522は、ローパスフィルタ521の出力に含まれる低域ノイズ成分を除去する。ハイパスフィルタ522は、典型的には、CR回路で構成される。ハイパスフィルタ522のカットオフ周波数fc2(第2のカットオフ周波数)は、例えば、共振周波数(f0)の1/10以下の周波数成分を低減することができる周波数に設定される。これにより、ローパスフィルタ521の出力からフリッカーノイズ等の低域ノイズ成分を除去することができる。また、ハイパスフィルタ522をローパスフィルタ521の後段に設置することで、ローパスフィルタ521で発生した低域ノイズ成分を効率よく除去することができる。
第2の移相回路53は、フィルタ回路52の出力信号(Vda')から角速度成分を同期検波するためのタイミング信号を生成する。第2の移相回路53は、加算回路42から入力される検出信号の和信号(Ga+Gb)に基づいて、駆動信号(G0)に対して位相が所定量シフトされたタイミング信号を検波回路54へ出力する。
一般に、差動増幅回路51の出力信号は、加算回路42の出力信号に対して90°の位相遅れが生じる。したがって差動増幅回路51の出力信号は、加算回路42の出力信号の振幅最大点で0となり、加算回路42の出力信号のゼロクロス点で最大となる。したがって、同期検波用のタイミング信号としては、加算回路42の出力信号の位相を90°遅らせた信号が用いられる。
一方、フィルタ回路52を構成するローパスフィルタ521は、差動増幅回路51の出力信号に位相遅れ(θ)を生じさせる。この位相遅れ(θ)の大きさは、カットオフ周波数(fc1)によって変化する。例えば、共振周波数を80kHz、カットオフ周波数を160kHz(2f0)としたときの位相遅れ(θ)は、約−27°である。
そこで、第2の移相回路53は、ローパスフィルタ421で生じた位相遅れを補正するように構成される。すなわち第2の移相回路53は、駆動信号に対して、加算回路42の出力と差動増幅回路51の出力との位相差とローパスフィルタ521で生じる位相差との総和に相当する位相(−90°−θ)だけシフトしたタイミング信号(Vck)を生成し、これを検波回路54へ出力する(図6参照)。
検波回路54は、フィルタ回路52の出力信号(Vda')を同期検波することで角速度(コリオリ力)の大きさに応じた直流信号(Vsd)を生成する(図6参照)。検波回路54は、フィルタ回路52の出力(Vda')をタイミング信号(Vck)で全波整流して信号(Vfr)に変換した後に積分し、直流信号(Vsd)を生成する。
角速度検出回路50は、直流増幅回路551と、平滑回路56とをさらに有する。なお平滑回路56は、図2に示した平滑回路34に相当する。
直流増幅回路551は、検波回路54の出力(Vsd)を所定の大きさに増幅し、平滑回路56へ出力する。平滑回路56は、例えばローパスフィルタで構成され、直流増幅回路551で増幅された信号から角速度信号を生成する。
フィルタ回路52を構成するローパスフィルタ521は、差動増幅回路51の出力信号(Vda)から高調波成分(2f0以上)を低減あるいは除去する一方、共振周波数(f0)の信号レベルを減衰させる。その信号減衰レベルは、カットオフ周波数(fc1)によって変化する。例えば、共振周波数を80kHz、カットオフ周波数を160kHz(2f0)としたときの信号減衰レベルは、約−1dBである。
本実施形態において、直流増幅回路551は、フィルタ回路52で減衰した角速度検出信号のゲインを補償する機能を有する。すなわち直流増幅回路551は、ローパスフィルタ521において減衰した信号レベルを回復するのに必要なゲインで、検波回路54の出力(Vsd)を増幅する。
直流増幅回路551のゲインは、フィルタ回路52における信号減衰レベルに応じて決定される。上記信号減衰レベルは、アーム12の駆動周波数(f0)やローパスフィルタ521のカットオフ周波数(fc1)等によって変化する。このため、フィルタ回路52で減衰する信号レベルはセンサ素子10ごとに異なる場合がある。
そこで本実施形態では、直流増幅回路551のゲインを記憶するメモリ552を有する。メモリ552は、不揮発性メモリで構成され、センサ素子10の振動特性やフィルタ回路52の回路特性に最適化されたゲイン調整値を記憶するゲイン調整部として機能する。これら直流増幅回路551およびメモリ552により、フィルタ回路52で生じたゲインの損失を補償するゲイン補償回路55が構成される。
メモリ552は、半導体メモリで構成されてもよいし、ワンタイムPROM(OTP:One Time Programmable Rom)で構成されてもよい。
以上のように本実施形態の角速度検出回路50によれば、フィルタ回路52によって検出信号Ga,Gbに重畳した高調波歪を低減あるいは除去することができるため、コリオリ力の検出感度を向上させることができる。これにより角速度信号のS/Nが向上し、高精度な角速度検出が可能となる。
また本実施形態によれば、フィルタ回路52をローパスフィルタ521とハイパスフィルタ522との2つのフィルタ素子で構成されている。このため、例えばバンドパスフィルタのように1つの素子で低域および高域の周波数成分を低減あるいは除去するフィルタ素子で上記フィルタ回路を構成する場合と比較して、共振点(f0)のゲイン損失を大幅に低減し、これにより角速度信号のS/Nの向上を図ることが可能となる。
図7は、図1に示す構造のセンサ素子10のサンプルを作製し、その周波数特性を測定したときの一実験結果である。
図7下は、当該サンプルを80kHzの共振周波数(f0)で駆動させたときの基本周波数に対する高調波歪の大きさを示している。共振周波数の2倍波(2f0)、3倍波(3f0)、4倍波(4f0)および5倍波(5f0)の高調波歪は、それぞれ、−55dB、−26dB、−49dBおよび−29dBであった。
図7上は、フィルタ回路52のローパスフィルタ521における各周波数帯域におけるゲイン減衰量を示している。ローパスフィルタ521のカットオフ周波数は、2f0(160kHz)とした。この例からも明らかなように、本実施形態によれば、検出信号から高調波歪を効率よく低減あるいは除去することができる。
図8は、図7下に示す振動特性を有するセンサ素子サンプルのドリフト特性のアラン分散による評価結果を示している。実線は、ローパスフィルタ521を備えた本実施形態の検出回路での測定結果であり、二点鎖線はローパスフィルタ521を備えていない比較例に係る検出回路での測定結果であり、両者は同じ感度で示されている。
上記比較例に係る角速度検出回路の各部の出力電圧波形の一例を図9に示す。比較例においては、ローパスフィルタ521を有しないため、差動増幅回路51の出力に位相遅れは生じず、したがって第2の移相回路53における位相シフト量は、−90°である。
図8に示すように本実施形態によれば、比較例よりも、同期検波後における低周波領域でのドリフト特性を改善することができる。例えば、手振れ補正等に要求される0.1Hz付近のドリフト特性を大幅に改善することができる。
さらに本実施形態によれば、フィルタ回路52として、ローパスフィルタ521だけでなく、その後段に接続されたハイパスフィルタ522をも備えているため、入力回路41および差動増幅回路51で発生する1/fノイズ(フリッカーノイズ)をも低減あるいは除去することができる。
本発明者の実験によれば、ハイパスフィルタ522がないときの0.1Hz付近のノイズが−79dBであったのに対し、ハイパスフィルタ522の挿入により−80.7dBにまで低減されることが確認された。
上述の作用効果は、差動増幅回路51のゲインを大きくし、同期検波およびその後の直流増幅のゲインを小さくすることで、さらに大きくすることができる。
[角速度検出回路の調整方法]
一方、図7上に示したように、フィルタ回路52に用いられるローパスフィルタ521は、高調波歪だけでなく、角速度信号である基本周波数成分(f0)をも感度を低下させる。このため、センサ素子の振動特性をあらかじめ測定し、その高調波歪の大きさによってフィルタ回路52によるローパス機能を発揮させるかどうかを決定するようにしてもよい。
(調整方法1)
例えば本実施形態の角速度検出回路の調整方法は、あらかじめ所定の共振周波数の振動する振動子の歪率を測定し、上記歪率が所定値以上の場合は、ローパスフィルタ521および第2の移相回路53を動作させ、上記歪率が所定値未満の場合は、ローパスフィルタ521および第2の移相回路53による移相遅れの補正を無効化する。
これにより、基本周波数の信号成分の感度の低下を抑えて、角速度信号のS/Nの向上を図ることができる。
上記所定値は特に限定されず、例えば、−40dBとすることができる。すなわち、センサ素子10の基本振動(f0)に対する高調波(2f0、3f0、・・)の歪率が−40dB以上の場合は、ローパスフィルタ521および第2の移相回路53の動作を有効とする。一方、上記歪率が−40dB未満の場合は、ローパスフィルタ521および第2の移相回路53による補正を無効とする。
高調波歪としては、例えば、共振周波数の2倍波(2f0)および3倍波(3f0)の歪率が参照される。2倍波および3倍波の歪率は基本振動の感度に与える影響が大きいため、少なくとも2倍波および3倍波の歪率によってフィルタ回路52あるいはローパスフィルタ521の動作の有効または無効を決定するようにすればよい。
ローパスフィルタ521の動作の有効または無効の切り替えには、例えば図10に示すようにOTP型のCR回路F1が採用されてもよい。この場合、ローパスフィルタを有効に動作させるときは、配線部位A1を切断し、ローパスフィルタの動作を無効化するときは、配線部位A2を切断する。これにより個々のセンサ素子の振動特性に応じて角速度検出回路の容易に調整することが可能となる。
(調整方法2)
角速度検出回路の調整は、ローパスフィルタ521等の動作の有効および無効の切り替えに限られず、振動子の振動特性に応じてローパスフィルタ521のカットオフ周波数を変更するようにしてもよい。
例えば本実施形態の角速度検出回路の調整方法は、あらかじめ共振周波数で振動する振動子の歪率を測定し、上記歪率が−40dB以上の場合は、ローパスフィルタ521のカットオフ周波数を、当該ローパスフィルタ521から出力される前記共振周波数の信号のゲインの損失が3dB以下となる周波数に設定し、上記歪率が−40dB未満の場合は、ローパスフィルタ521のカットオフ周波数を、当該ローパスフィルタ521から出力される前記共振周波数の信号のゲインの損失が1dB以下となる周波数に設定する。
このような方法によっても、基本周波数の信号成分の感度の低下を抑えて、角速度信号のS/Nの向上を図ることができる。
本実施形態のように、ローパスフィルタのカットオフ周波数が基本周波数(共振周波数)よりも高周波数側に離れているほど、基本周波数の信号のゲイン減衰量は小さくなる。したがって振動子の高調波歪が低ければ、その分、ローパスフィルタ521のカットオフ周波数を高くすることができるため、基本周波数成分のゲインの減衰を抑制することができる。
ローパスフィルタ521のカットオフ周波数の設定には、例えば図11に示すように、複数の抵抗R1,R2、・・をコンデンサCに対して並列的に接続したOTP型のCR回路F2が採用されてもよい。この場合、任意の配線部位B1〜B4のいずれかを切断することで、ローパスフィルタのカットオフ周波数を調整することができる。抵抗R1〜R4の抵抗値は同一であってもよいし、相互に異なっていてもよい。
<第2の実施形態>
図12は、本技術の第2の実施形態に係るセンサ素子100の斜視図である。
[センサ素子]
センサ素子100は、振動子部101と、枠体102とを有する。振動子部101は、複数の振動部として、第1の梁の組、第2の梁の組と接続部からなるフレーム110と、振り子部21a,21b,22a,22bとを有し、枠体102は、ベース部81と連結部82とを有する。
(フレーム)
図13は、振動子部101の構成を模式的に示す平面図である。本実施形態のセンサ素子100は、四辺を有する環状のフレーム110を備える。フレーム110は、a軸方向に横方向、b軸方向に縦方向、c軸方向に厚み方向を有する。一方、図13において、a軸に平行な軸方向にY軸が設定され、b軸に平行な方向にX軸が設定される。Z軸方向は、c軸方向と平行な軸方向である。
フレーム110の各辺は、振動梁として機能し、第1の梁の組111a、111bと、第2の梁の組112a、112bとを含む。第1の梁の組111a、111bは、図13においてa軸方向に相互に平行に延在し、a軸方向と直交するb軸方向に相互に対向する一組の対辺で構成される。第2の梁の組112a、112bは、b軸方向に相互に平行に延在し、a軸方向に相互に対向する他の一組の対辺で構成される。梁111a、111b、112a、112bは、それぞれ同一の長さ、幅及び厚みを有しており、フレーム110の外観は、中空の正方形状を有している。
フレーム110は、シリコン単結晶基板に微細加工技術を施すことで形成される。例えば、フレーム110は、公知のMEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)の製造技術を用いて形成することができる。フレーム110の大きさは特に限定されず、例えば、フレーム110の一辺の長さは1000〜4000μm、フレーム110の厚みは10〜200μm、梁111a、111b、112a、112bの幅は50〜200μmである。
フレーム110の四隅に相当する部位には、第1の梁の組111a、111bと第2の梁の組112a、112bとの間を接続する接続部113a、113b、113c、113dがそれぞれ形成されている。第1の梁の組111a、111b及び第2の梁の組112a、112bの両端は、接続部113a〜113dによってそれぞれ支持される。各梁111a、111b、112a、112bは、接続部113a〜113dによって両端が支持された振動梁として機能する。
フレーム110は、さらに、第1の振り子部21a、21bと、第2の振り子部22a、22bとを有する。第1の振り子部21a、21bは、相互に対角関係にある1組の接続部113a、113cにそれぞれ形成されており、その対角線方向に沿ってフレーム110の内側に延在している。第1の振り子部21a、21bのそれぞれの一端は、接続部113a、113cに固定され、それぞれの他端は、フレーム110の中央付近において相互に対向している。第2の振り子部22a、22bは、相互に対角関係にある他の1組の接続部113b、113dにそれぞれ形成されており、その対角線方向に沿ってフレーム110の内側に延在している。第2の振り子部22a、22bのそれぞれの一端は、接続部113b、113dに固定され、それぞれの他端は、フレーム110の中央付近において相互に対向している。
振り子部21a、21b、22a、22bは、それぞれ典型的には同一の形状及び大きさを有しており、フレーム110の外形加工の際に同時に形成される。振り子部21a、21b、22a、22bの形状、大きさは特に限定されず、全く同一の形状でなくてもよい。
(駆動電極)
センサ素子100は、フレーム110を振動させる駆動部として、圧電駆動層を有する。圧電駆動層は、第1の梁の組111a、111bにそれぞれ設けられた第1の駆動電極301と、第2の梁の組112a、112bにそれぞれ設けられた第2の駆動電極302とを有する。駆動電極301,302は、入力電圧に応じて機械的に変形し、その変形の駆動力で梁111a、111b、112a、112bを振動させる。変形の方向は、入力電圧の極性で制御される。
駆動電極301、302は、梁111a、111b、112a、112bの上面であってそれらの軸線に沿ってそれぞれ直線的に形成されている。図13においては、理解を容易にするため、駆動電極301、302をそれぞれ異なる種類のハッチングで示す。駆動電極301は、第1の梁の組111a、111bの外縁側に配置され、駆動電極302は、第2の梁の組112a、112bの外縁側とに各々平行に配置されている。
駆動電極301、302は、それぞれ同一の構成を有している。図14は、第2の梁112aに配置された駆動電極302の断面図である。駆動電極301、302は、下部電極層303と、圧電材料層304と、上部電極層305との積層構造を有する。なお、圧電駆動層が形成される梁を有するフレームはシリコン単結晶基板からなり、上記圧電駆動層が形成される面にはあらかじめシリコン酸化膜等の絶縁膜D1が形成されている。
圧電材料層304は、下部電極層303と上部電極層305との電位差に応じて伸縮するように分極配向されている。したがって、駆動電極301、302の各々の下部電極層303を共通の基準電位に接続し、各々の上部電極層305に交流電圧を印加することで、圧電材料層304を伸縮させることができる。また、上部電極層305と下部電極層303とに相互に逆位相の交流電圧が印加されてもよい。これにより約2倍の振幅で圧電材料層304を伸縮させることができる。
(センサ素子の動作原理)
第1の駆動電極301と第2の駆動電極302とは、一方が伸びたとき他方が縮むように相互に逆位相の電圧が印加される。これにより、梁112a、112bは、両端が接続部113a〜113dに支持された状態でa軸方向に撓み変形を受け、XY平面内において双方が離間する方向と双方が近接する方向とに交互に振動する。第1の梁の組111a、111bも同様に、両端が接続部113a〜113dに支持された状態でb軸方向に撓み変形を受け、XY平面内において双方が離間する方向と双方が近接する方向とに交互に振動する。
したがって、第1の梁の組111a、111bが相互に近接する方向に振動する場合は、第2の梁の組112a、112bは相互に離間する方向に振動し、第1の梁の組111a、111bが相互に離間する方向に振動する場合は、第2の梁の組112a、112bは相互に近接する方向に振動する。このとき、各梁111a、111b、112a、112bの中央部は、振動の腹を形成し、それらの両端部(接続部113a〜113d)は、振動の節(ノード)を形成する。このような振動モードを以下、フレーム110の基本振動と称する。
梁111a、111b、112a、112bは、それらの共振周波数で駆動される。各梁111a、111b、112a、112bの共振周波数は、それらの形状、長さ等によって定められる。本実施形態では、梁111a、111b、112a、112bの共振周波数は、1〜100kHzの範囲で設定される。
図15は、フレーム110の基本振動の時間変化を示す模式図である。図15において「駆動信号1」は、第1の駆動電極301に印加される入力電圧の時間変化を示し、「駆動信号2」は、第2の駆動電極302に印加される入力電圧の時間変化を示す。図15に示すように、駆動信号1と駆動信号2とは相互に逆位相に変化する交流波形を有する。これによりフレーム110は、(a)、(b)、(c)、(d)、(a)、・・・の順に変化し、第1の梁の組111a、111bと第2の梁の組112a、112bのうち、一方の組が近接したときは他方の組が離間し、上記一方の組が離間したときは上記他方の組が近接する振動モードで、フレーム110は振動する。
上述したフレーム110の基本振動に伴って、第1の振り子部21a、21b及び第2の振り子部22a、22bもまた、フレーム110の振動に同期して、接続部113a〜113dを中心としてXY平面内でそれぞれ振動する。振り子部21a、21b、22a、22bの振動は、梁111a、111b、112a、112bの振動により励起される。この場合、第1の振り子部21a、21bと第2の振り子部22a、22bとは、XY平面内における振り子部分の支点部すなわち上記接続部113a〜113dからの左右の揺動方向において、相互に逆位相で振動(揺動)する。
図15に示すように、第1の梁の組111a、111bが相互に近接する方向へ振動するときは、第1の振り子部21aと第2の振り子部22aとは相互に離間する方向へ振動し(状態(b))、第1の梁の組111a、111bが相互に離間する方向へ振動するときは、第1の振り子部21aと第2の振り子部22aとは相互に近接する方向へ振動する(状態(d))。第1の振り子部21bと第2の振り子部22bもまた、第2の梁の組112a、112bの振動方向によって、相互に離間する方向と近接する方向とに交互に振動する。以上のように、第1の振り子部21a、21bと第2の振り子部22a、22bとは、フレーム110の基本振動に同期して相互に逆位相で振動する。
以上のように駆動電極301、302に対して逆位相の交流電圧が印加されることで、フレーム110の各梁111a、111b、112a、112bは、図15に示した振動モードで振動する。このような基本振動を継続するフレーム110にZ軸まわりの角速度が作用すると、フレーム110の各点に当該角速度に起因するコリオリ力が作用することで、フレーム110は図16に示したようにXY平面内において歪むように変形する。したがって、このXY平面内におけるフレーム110の変形量を検出することで、フレーム110に作用した角速度の大きさ及び方向を検出することが可能となる。
図16は、Z軸まわりに角速度が作用したときのある瞬間におけるフレーム110の変形の様子を概略的に示す平面図である。なお説明を分かりやすくするため、フレーム110の形状及び変形の様子はやや誇張して示している。
基本振動をするフレーム110にZ軸を中心とする時計回り方向の角速度が作用すると、フレーム110内の各点(梁111a、111b、112a、112b、振り子部21a、21b、22a、22b)には、Z軸と直交するXY平面内において、上記各点のその瞬間における移動方向(振動方向)と時計回り方向へ90度をなす方向に当該角速度の大きさに比例したコリオリ力が発生する。すなわち、コリオリ力の向きは、図16に示すように当該コリオリ力が作用する点の上記瞬間における振動の方向によって決まる。これにより、フレーム110は、正方形状から概略平行四辺形状となるように、XY平面内において、ひしゃげられる(歪む)。
なお、図16は、Z軸を中心として時計まわりに所定の角速度が作用したときの様子を示している。なお、角速度の向きが反対(反時計まわり)の場合は、各点に作用するコリオリ力の向きも反対となる。
(検出電極)
フレーム110に作用した角速度の検出にはどのような手段が用いられてもよい。本実施形態ではフレーム110に形成した圧電検出層によって角速度を検出する。センサ素子100は、Z軸回りの角速度を検出する検出部として、図13に示すように一対の検出電極151aと一対の検出電極151bとを有する。
各検出電極151aは、対角関係にある一方の組の接続部113a、113c周辺にそれぞれ形成されている。一方の検出電極151aは、接続部113aから梁111a及び112aに沿って2方向に延びており、他方の検出電極151aは、接続部113cから梁111b及び112bに沿って2方向に延びている。また、各検出電極151bは、対角関係にある他方の組の接続部113b、113d周辺にそれぞれ形成されている。一方の検出電極151bは、接続部113bから梁111b及び112aに沿って2方向に延びており、他方の検出電極151bは、接続部113dから梁111a及び112bに沿って2方向に延びている。
検出電極151a、151bは、駆動電極301、302と同様な構成を有しており、下部電極層と、圧電材料層と、上部電極層との積層体(図14)で構成され、各梁の機械的変形を電気信号に変換する機能を有する。
図13に示すセンサ素子100においては、Z軸回りに角速度が作用した際、フレーム110の内角の大きさが図16に示したように周期的に変動する。このとき、対角関係にある一方の接続部113a、113cの組と他方の接続部113b、113dの組とでは内角の変動が相互に逆位相となる。したがって接続部113a上の検出電極151aの出力と接続部113c上の検出電極151aの出力とは原理的には同一であり、接続部113b上の検出電極151bの出力と接続部113d上の検出電極151bの出力とは原理的には同一である。そこで、2つの検出電極151aの出力の和と2つの検出電極151bの出力の和との差分を算出することにより、フレーム110に作用するZ軸まわりの角速度の大きさ及び方向が検出可能となる。
一方、X軸回り及びY軸回りの角速度を検出する検出部として、本実施形態のセンサ素子100は、振り子部21a、21b、22a及び22b上にそれぞれ形成された検出電極171a、171b、172a及び172bを有する。
検出電極171a、171b、172a、172bは、各振り子部21a、21b、22a、22bの軸心上に直線的に形成されている。検出電極171a、171b、172a、172bは、第1及び第2の駆動電極301、302と同様な構成を有しており、下部電極層と、圧電材料層と、上部電極層との積層体(図14)で構成され、振り子部21a、21b、22a、22bの機械的変形を電気信号に変換する機能を有する。特に、検出電極171a、171b、172a、172bは、振り子部21a、21b、22a、22bのZ軸方向の変形を検出する機能を有する。
本実施形態では、a軸に平行な軸方向に一方の角速度検出軸(Y軸)が設定され、b軸に平行な軸方向に他方の角速度検出軸(X軸)が設定される。このような構成において、振り子部21a、21b、22a、22bに形成された検出電極71a、71b、72a、72b各々は、X軸まわりの角速度及びY軸まわりの角速度をそれぞれ検出するための検出部として機能する。
駆動電極301、302には、相互に逆位相の交流電圧がそれぞれ印加される。これにより、フレーム110の各梁111a、111b、112a、112b及び振り子部21a、21b、22a、22bは、図15に示した振動モード(基本振動)で振動する。図17(A)は、フレーム110にX軸回りの角速度が作用したときの振り子部21a、21b、22a、22bの振動形態を説明する概略斜視図である。一方、図17(B)は、フレーム110にY軸回りの角速度が作用したときの振り子部21a、21b、22a、22bの振動形態を説明する概略斜視図である。
基本振動で振動するフレーム110にX軸まわりの角速度が作用すると、図17(A)に示すように各振り子部21a、21b、22a、22bにその瞬間での振動方向と直交する方向のコリオリ力F1がそれぞれ発生する。これにより、X軸方向に隣接する一方の振り子部21a及び振り子部22bの組は、コリオリ力F1によりZ軸の正の方向へ変形し、それらの変形量が検出電極171a、172bによって各々検出される。また、X軸方向に隣接する他方の振り子部22a、21bの組は、コリオリ力F1によりZ軸の負の方向へ変形し、それらの変形量が検出電極172a、171bによって各々検出される。
一方、基本振動で振動するフレーム110にY軸まわりの角速度が作用すると、図17(B)に示すように各振り子部21a、21b、22a、22bにその瞬間での振動方向と直交する方向のコリオリ力F2がそれぞれ発生する。これにより、Y軸方向に隣接する一方の振り子部21a及び振り子部22aの組は、コリオリ力F2によりZ軸の負の方向へ変形し、それらの変形量が検出電極171a、172aによって各々検出される。また、Y軸方向に隣接する他方の振り子部21b、22bの組は、コリオリ力F2によりZ軸の正の方向へ変形し、それらの変形量が検出電極171b、172bによって各々検出される。
X軸及びY軸に各々斜めに交差する方向の軸まわりに角速度が生じた場合にも上述と同様な原理で角速度が検出される。すなわち、各振り子部21a、21b、22a、22bは、当該角速度のX方向成分及びY方向成分に応じたコリオリ力によって変形し、それらの変形量が検出電極171a、171b、172a、172bによって各々検出される。センサ素子の駆動回路は、これら検出電極の出力に基づいて、X軸まわりの角速度及びY軸まわりの角速度をそれぞれ抽出する。これにより、XY平面に平行な任意の軸まわりの角速度を検出することができる。
(参照電極)
本実施形態のセンサ素子100は、参照電極161を有する。参照電極161は、梁112a及び梁112b上に駆動電極302と隣接して配置されている。参照電極161は、駆動電極301、302と同様な構成を有しており、下部電極層と、圧電検出層と、上部電極層との積層体(図14)で構成され、梁112a、112bの機械的変形を電気信号に変換する機能を有する。
[制御部]
図18は、センサ素子100の制御部200の構成を示すブロック図である。図19は、角速度検出回路50の主要な各部の出力電圧波形の一例を示すタイミングチャートである。
制御部200は、入力回路210と、駆動回路220と、角速度検出回路230とを有する。
制御部200はまた、センサ素子100の各部に電気的に接続される複数の端子部(G0端子、Gi端子、FB端子、xy1端子、xy2端子、xy3端子、xy4端子、z1端子、z2端子およびVref端子)を有する。
G0端子は、一対の駆動電極301各々の上部電極層305に接続されている。Gi端子は、一対の駆動電極302各々の上部電極層305に接続されている。FB端子は、一対の参照電極161各々の上部電極層に接続されている。xy1端子は、検出電極171aの上部電極層に接続され、xy2端子は、検出電極172bの上部電極層に接続されている。xy3端子は、検出電極171bの上部電極層に接続され、xy4端子は、検出電極172aの上部電極層に接続されている。z1端子は、一対の検出電極151a各々の上部電極層に接続され、z2端子は、一対の検出電極151b各々の上部電極層に接続されている。Vref端子は、駆動電極301、302の各々の下部電極層303と、参照電極161の下部電極層と、検出電極151a、151b、171a、171b、172a、172bの各々の下部電極層とに、それぞれ接続されている。
入力回路210は、FB端子、xy1端子、xy2端子、xy3端子、xy4端子、z1端子およびz2端子からの出力信号を駆動回路220および角速度検出回路230へそれぞれ入力する。
駆動回路220は、第1の移相回路221と、振幅検波回路222と、ゲインコントロールアンプ(GCA:Gain Control Amplification)223と、バンドパスフィルタ(BPF:Band-Pass Filter)224と、ドライブ回路225とを有する。
第1の移相回路221は、FB端子の出力信号の位相を90°進めてゲインコントロールアンプ223へ出力する。ゲインコントロールアンプ223は、第1の移相回路221の出力および振幅検波回路222の出力に基づいてゲインを調整する。バンドパスフィルタ224は、ゲインコントロールアンプ223の出力信号から所定の周波数帯域の信号成分をドライブ回路225へ出力する。ドライブ回路225は、G0端子およびGi端子にそれぞれ入力される駆動信号(G0)および反転駆動信号(Gi)を生成する。
これによりセンサ素子100のフレーム110および各振り子部21a、21b、22a、22bは、所定の共振周波数(f0)で励振される。フレーム110および各振り子部21a、21b、22a、22bの共振周波数(駆動周波数)は、本実施形態では約80kHzとされる。
角速度検出回路230は、演算回路231と、フィルタ回路232(232x、232y、232z)と、第2の移相回路233と、検波回路234(234x、234y、234z)と、直流増幅回路235(235x、235y、235z)と、平滑回路236(236x、236y、236z)とを有する。
演算回路231は、X軸まわりの角速度信号を生成するための第1の差分回路と、Y軸まわりの角速度信号を生成するための第2の差分回路と、Z軸まわりの角速度信号を生成するための第3の差分回路とを有する。検出電極171aの出力をxy1、検出電極172bの出力をxy2、検出電極171bの出力をxy3、検出電極172aの出力をxy4、検出電極151aの出力をz1、そして、検出電極151bの出力をz2とする。このとき、上記第1の差分回路は、(xy1+xy2)−(xy3+xy4)を演算し、その演算値をフィルタ回路232xへ出力する。上記第2の差分回路は、(xy1+xy4)−(xy2+xy3)を演算し、その演算値をフィルタ回路232yへ出力する。そして、上記第3の差分回路は、(z1−z2)を演算し、その演算値をフィルタ回路232zへ出力する。
フィルタ回路232(232x、232y、232z)は、第1の実施形態のフィルタ回路52と同様の構成を有し、ローパスフィルタと、その後段に接続されたハイパスフィルタとの2段のCR回路で構成される。
上記ローパスフィルタのカットオフ周波数は、センサ素子100の共振周波数(f0)の2倍以上の高調波成分を低減あるいは除去することが可能な周波数に設定され、本実施形態では共振周波数の2倍波(2f0)に相当する160kHzに設定される。当該ローパスフィルタを通過する差動増幅回路の出力信号は、第1の実施形態と同様に、−θの位相遅れが生じる。
上記ハイパスフィルタのカットオフ周波数fc2(第2のカットオフ周波数)は、例えば、共振周波数(f0)の1/10の周波数に設定される。これにより、ローパスフィルタ521の出力からフリッカーノイズ等の低域ノイズ成分を除去することができる。
第2の移相回路233は、フィルタ回路232の出力信号(Vda')から角速度成分を同期検波するためのタイミング信号を生成する。第2の移相回路53は、FB端子から入力される信号に基づいて、フィルタ回路232で生じた位相遅れを補正するタイミング信号を検波回路234(234x、234y、234z)へ出力する。本実施形態では、位相(90°−θ)だけシフトしたタイミング信号(Vck)が検波回路234へ出力される(図19参照)。
検波回路234は、フィルタ回路232の出力信号(Vda')を同期検波することで角速度(コリオリ力)の大きさに応じた直流信号(Vsd)を生成する(図19参照)。検波回路234は、フィルタ回路232の出力(Vda')をタイミング信号(Vck)で全波整流して信号(Vfr)に変換した後に積分し、直流信号(Vsd)を生成する。
直流増幅回路235(235x、235y、235z)は、検波回路234の出力(Vsd)を所定の大きさに増幅し、平滑回路236(236x、236y、236z)へ出力する。本実施形態においても、フィルタ回路232で生じた検出信号の感度の低下を補償するゲインで出力Vsdが増幅される。上記ゲインは、第1の実施形態と同様に、メモリ552に格納される。平滑回路236は、例えばローパスフィルタで構成され、直流増幅回路235で増幅された信号から角速度信号(ωx、ωy、ωz)をそれぞれ生成する。
以上のように本実施形態の角速度検出回路230によれば、フィルタ回路232によって検出信号に重畳した高調波歪を低減あるいは除去することができるため、コリオリ力の検出感度を向上させることができる。これによりX軸、Y軸およびZ軸まわりの角速度信号のS/Nが向上し、高精度な角速度検出が可能となる。
なお第1の実施形態と同様な手法を用いて、センサ素子100の高調波歪の測定結果に応じたフィルタ回路232の動作の有効あるいは無効化を切り替えるようにしてもよい。あるいは、センサ素子100の高調波歪の測定結果に応じて、フィルタ回路232におけるローパスフィルタのカットオフ周波数を設定するようにしてもよい。
以上、本技術の実施形態について説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば以上の第1の実施形態では、差動増幅回路51と検波回路54との間に配置されるフィルタ回路52が、ローパスフィルタ521とハイパスフィルタ522とで構成された。これに代えて、図20に示すようにローパスフィルタ521のみでフィルタ回路が構成されてもよい。このような構成によっても、検出信号から高調波歪成分を低減或いは除去して、角速度信号のS/Nの向上を図ることができる。
第2の実施形態についても同様に、図21に示すようにフィルタ回路232がローパスフィルタのみで構成されてもよい。
また以上の第1の実施形態では、ゲイン補償回路55を構成するメモリ552にローパスフィルタ521で生じた検出信号の感度低下を補償するゲイン値が格納された。これに加えて、第2の移相回路53において補正すべきローパスフィルタ521で生じる検出信号の位相遅れ(θ)に関する情報、ローパスフィルタ521のカットオフ周波数が格納されてもよい。これにより、センサ素子100ごとに角速度検出回路の最適化を図ることができ、素子間においてばらつきのない高感度な角速度検出が可能となる。
第2の実施形態についても同様に、図22に示すように、第2の移相回路53の移相補正値およびフィルタ回路232(232x、232y、232z)におけるローパスフィルタのカットオフ周波数がメモリ552に格納されてもよい。図23は、当該構成が図21の回路構成に適用された例を示している。
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1) 振動子の検出部の出力信号を差動増幅する差動増幅回路と、
前記差動増幅回路の出力信号から、少なくとも前記振動子の共振周波数の2倍以上の高調波成分を低減する第1のカットオフ周波数を有するフィルタ回路と、
前記フィルタ回路で生じた位相遅れを補正する移相回路と、
前記移相回路の出力信号を用いて前記フィルタ回路の出力信号を同期検波する検波回路と
を具備する角速度検出回路。
(2)上記(1)に記載の角速度検出回路であって、
前記フィルタ回路は、前記振動子の共振周波数の1/10以下の周波数成分を低減する第2のカットオフ周波数をさらに有するバンドパスフィルタである
角速度検出回路。
(3)上記(2)に記載の角速度検出回路であって、
前記フィルタ回路は、
前記第1のカットオフ周波数を有し、前記差動増幅回路と前記検波回路との間に配置されたローパスフィルタと、
前記第2のカットオフ周波数を有し、前記ローパスフィルタと前記検波回路との間に配置されたハイパスフィルタとを有する
角速度検出回路。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の角速度検出回路であって、
前記フィルタ回路で生じたゲインの損失を補償するゲイン補償回路をさらに具備する
角速度検出回路。
(5)上記(4)に記載の角速度検出回路であって、
前記ゲイン補償回路は、
前記検波回路の出力信号を直流増幅する直流増幅回路と、
前記直流増幅回路のゲインを調整するゲイン調整部とを有する
角速度検出回路。
(6)上記(5)に記載の角速度検出回路であって、
前記ゲイン調整部は、前記ゲインの調整値を記憶する不揮発性メモリを含む
角速度検出回路。
(7) 検出部を有する振動子と、
前記振動子をその共振周波数で発振させる駆動回路と、
前記検出部の出力信号を差動増幅する差動増幅回路と、
前記差動増幅回路の出力信号から、前記共振周波数の2倍以上の高調波成分を低減するローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタで生じた位相遅れを補正する移相回路と、
前記移相回路の出力信号を用いて前記ローパスフィルタの出力信号を同期検波する検波回路と
を具備する角速度センサ。
(8) 検出部を有する振動子と、
前記振動子をその共振周波数で発振させる駆動回路と、
前記検出部の出力信号を差動増幅する差動増幅回路と、
前記差動増幅回路の出力信号から、前記共振周波数の2倍以上の高調波成分を低減するローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタで生じた位相遅れを補正する移相回路と、
前記移相回路の出力信号を用いて前記ローパスフィルタの出力信号を同期検波する検波回路と
を有する角速度センサ
を具備する電子機器。
(9) 振動子の検出部の出力信号を差動増幅する差動増幅回路と、
前記差動増幅回路の出力信号から、前記振動子の共振周波数の2倍以上の高調波成分を低減するローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタで生じた位相遅れを補正する移相回路と、
前記移相回路の出力信号を用いて前記ローパスフィルタの出力信号を同期検波する検波回路と、を有する角速度検出回路の調整方法であって、
共振周波数で振動する前記振動子の歪率を測定し、
前記歪率が所定値以上の場合は、前記ローパスフィルタおよび前記移相回路を動作させ、
前記歪率が所定値未満の場合は、前記ローパスフィルタおよび前記移相回路による補正を無効化する
角速度検出回路の調整方法。
(10)上記(9)に記載の角速度検出回路の調整方法であって、
前記振動子の歪率の測定は、前記共振周波数の2倍波および3倍波の歪率を測定する
角速度検出回路の調整方法。
(11)上記(9)または(10)に記載の角速度検出回路の調整方法であって、
前記所定値は、−40dBである
角速度検出回路の調整方法。
(12) 振動子の検出部の出力信号を差動増幅する差動増幅回路と、
前記差動増幅回路の出力信号から所定の低周波数成分を低減するローパスフィルタと、
前記ローパスフィルタで生じた位相遅れを補正する移相回路と、
前記移相回路の出力信号を用いて前記ローパスフィルタの出力信号を同期検波する検波回路と、を有する角速度検出回路の調整方法であって、
共振周波数で振動する前記振動子の歪率を測定し、
前記歪率が−40dB以上の場合は、前記ローパスフィルタのカットオフ周波数を、当該ローパスフィルタから出力される前記共振周波数の信号のゲインの損失が3dB以下となる周波数に設定し、
前記歪率が−40dB未満の場合は、前記ローパスフィルタのカットオフ周波数を、当該ローパスフィルタから出力される前記共振周波数の信号のゲインの損失が1dB以下となる周波数に設定する
角速度検出回路の調整方法。
10,100…センサ素子
32,220…駆動回路
50,230…角速度検出回路
51,231…差動増幅回路
52,232…フィルタ回路
53,233…第2の移相回路
54,234…検波回路
55…ゲイン補償回路
521…ローパスフィルタ
522…ハイパスフィルタ
552…メモリ

Claims (12)

  1. 振動子の検出部の出力信号を差動増幅する差動増幅回路と、
    前記差動増幅回路の出力信号から、少なくとも前記振動子の共振周波数の2倍以上の高調波成分を低減する第1のカットオフ周波数を有するフィルタ回路と、
    前記フィルタ回路で生じた位相遅れを補正する移相回路と、
    前記移相回路の出力信号を用いて前記フィルタ回路の出力信号を同期検波する検波回路と
    を具備する角速度検出回路。
  2. 請求項1に記載の角速度検出回路であって、
    前記フィルタ回路は、前記振動子の共振周波数の1/10以下の周波数成分を低減する第2のカットオフ周波数をさらに有するバンドパスフィルタである
    角速度検出回路。
  3. 請求項2に記載の角速度検出回路であって、
    前記フィルタ回路は、
    前記第1のカットオフ周波数を有し、前記差動増幅回路と前記検波回路との間に配置されたローパスフィルタと、
    前記第2のカットオフ周波数を有し、前記ローパスフィルタと前記検波回路との間に配置されたハイパスフィルタとを有する
    角速度検出回路。
  4. 請求項1に記載の角速度検出回路であって、
    前記フィルタ回路で生じたゲインの損失を補償するゲイン補償回路をさらに具備する
    角速度検出回路。
  5. 請求項4に記載の角速度検出回路であって、
    前記ゲイン補償回路は、
    前記検波回路の出力信号を直流増幅する直流増幅回路と、
    前記直流増幅回路のゲインを調整するゲイン調整部とを有する
    角速度検出回路。
  6. 請求項5に記載の角速度検出回路であって、
    前記ゲイン調整部は、前記ゲインの調整値を記憶する不揮発性メモリを含む
    角速度検出回路。
  7. 検出部を有する振動子と、
    前記振動子をその共振周波数で発振させる駆動回路と、
    前記検出部の出力信号を差動増幅する差動増幅回路と、
    前記差動増幅回路の出力信号から、前記共振周波数の2倍以上の高調波成分を低減するローパスフィルタと、
    前記ローパスフィルタで生じた位相遅れを補正する移相回路と、
    前記移相回路の出力信号を用いて前記ローパスフィルタの出力信号を同期検波する検波回路と
    を具備する角速度センサ。
  8. 検出部を有する振動子と、
    前記振動子をその共振周波数で発振させる駆動回路と、
    前記検出部の出力信号を差動増幅する差動増幅回路と、
    前記差動増幅回路の出力信号から、前記共振周波数の2倍以上の高調波成分を低減するローパスフィルタと、
    前記ローパスフィルタで生じた位相遅れを補正する移相回路と、
    前記移相回路の出力信号を用いて前記ローパスフィルタの出力信号を同期検波する検波回路と
    を有する角速度センサ
    を具備する電子機器。
  9. 振動子の検出部の出力信号を差動増幅する差動増幅回路と、
    前記差動増幅回路の出力信号から、前記振動子の共振周波数の2倍以上の高調波成分を低減するローパスフィルタと、
    前記ローパスフィルタで生じた位相遅れを補正する移相回路と、
    前記移相回路の出力信号を用いて前記ローパスフィルタの出力信号を同期検波する検波回路と、を有する角速度検出回路の調整方法であって、
    共振周波数で振動する前記振動子の歪率を測定し、
    前記歪率が所定値以上の場合は、前記ローパスフィルタおよび前記移相回路を動作させ、
    前記歪率が所定値未満の場合は、前記ローパスフィルタおよび前記移相回路による補正を無効化する
    角速度検出回路の調整方法。
  10. 請求項9に記載の角速度検出回路の調整方法であって、
    前記振動子の歪率の測定は、前記共振周波数の2倍波および3倍波の歪率を測定する
    角速度検出回路の調整方法。
  11. 請求項9に記載の角速度検出回路の調整方法であって、
    前記所定値は、−40dBである
    角速度検出回路の調整方法。
  12. 振動子の検出部の出力信号を差動増幅する差動増幅回路と、
    前記差動増幅回路の出力信号から所定の低周波数成分を低減するローパスフィルタと、
    前記ローパスフィルタで生じた位相遅れを補正する移相回路と、
    前記移相回路の出力信号を用いて前記ローパスフィルタの出力信号を同期検波する検波回路と、を有する角速度検出回路の調整方法であって、
    共振周波数で振動する前記振動子の歪率を測定し、
    前記歪率が−40dB以上の場合は、前記ローパスフィルタのカットオフ周波数を、当該ローパスフィルタから出力される前記共振周波数の信号のゲインの損失が3dB以下となる周波数に設定し、
    前記歪率が−40dB未満の場合は、前記ローパスフィルタのカットオフ周波数を、当該ローパスフィルタから出力される前記共振周波数の信号のゲインの損失が1dB以下となる周波数に設定する
    角速度検出回路の調整方法。
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