以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
<ヒートポンプ式給湯機>
図1に示すように、第1実施形態のヒートポンプ式給湯機11は、冷媒が循環するヒートポンプユニット13と、このヒートポンプユニット13の冷媒と熱交換して低温の水を沸き上げ、タンク15に高温の水を貯留する貯湯ユニット17と、給水配管37と、給湯配管35と、電気分解装置41と、制御部33とを備えている。
ヒートポンプユニット13は、圧縮機19と、水熱交換器21と、電動膨張弁23と、空気熱交換器25と、これらを接続する配管とを有している。本実施形態では、ヒートポンプユニット13を循環する冷媒として二酸化炭素を用いている。冷媒は、水熱交換器21において貯湯ユニット17を循環する水と熱交換してこの水を加熱し、空気熱交換器25において外気と熱交換して外気から熱を吸収する。
貯湯ユニット17は、水が貯留されるタンク15と、このタンク15の水を水熱交換器21に送る入水配管27と、水熱交換器21と熱交換して加熱された水をタンク15に戻す出湯配管29とを有している。入水配管27には、ポンプ31が設けられている。このポンプ31は、タンク15の下部から入水配管27内に流入した水を、水熱交換器21および出湯配管29を通じてタンク15の上部に送水する。
電気分解装置41は、入水配管27に設けられており、ポンプ31と水熱交換器21との間に位置している。電気分解装置41の詳細については後述する。
給湯配管35は、タンク15の上部に接続されている。この給湯配管35は、タンク15内に貯留された高温の水を取り出して浴槽などへ給湯するためのものである。給水配管37は、タンク15の底部に接続されている。この給水配管37は、給水源からタンク15内に低温の水を給水するためのものである。タンク15へ水を給水する給水源としては、例えば水道水や、井戸水などの地下水を利用することができる。
制御部33は、中央処理装置(CPU)、プログラムなどのデータが記憶されているメモリ、プログラム実行時のデータ、各種設定値、計測されたデータなどを記憶するためのメモリなどで構成されている。制御部33は、タンク15、水熱交換器21、配管などに設けられた図略の温度センサにより測定された温度データなどに基づいてヒートポンプユニット13および貯湯ユニット17を制御する。
次に、給湯機11の動作について説明する。タンク15内の水を沸上げる沸上げ運転では、制御部33は、ヒートポンプユニット13の圧縮機19を駆動させ、電動膨張弁23の開度を調節するとともに、貯湯ユニット17のポンプ31を駆動させる。これにより、図1に示すように、タンク15の底部に設けられた出水口からタンク15内の低温の水が入水配管27を通じて水熱交換器21に送られ、水熱交換器21において加熱される。加熱された高温の水は出湯配管29を通じてタンク15の上部に設けられた入水口からタンク15内に戻される。これにより、タンク15内には、その上部から順に高温の水が貯湯されていく。
本実施形態のヒートポンプ式給湯機11は、一過式の給湯機である。この一過式の給湯機11では、給湯配管35から給湯された水(湯)は、ユーザーによって使用され、タンク15には戻らない。したがって、タンク15から給湯配管35を通じて給湯された水量とほぼ同じ量の水が給水源から給水配管37を通じてタンク15に給水される。すなわち、タンク15には、水道水や井戸水などの給水源からスケール成分を含む水がタンク15に補充される頻度が高く、補充される量も多い。したがって、一過式のヒートポンプ式給湯機の場合には、循環式の前記冷却水循環装置や循環式の給湯機に比べて、効率よくスケール成分を除去する必要がある。
<電気分解装置>
(第1実施形態)
図2(A)は、給湯機11に用いられる本発明の第1実施形態にかかる電気分解装置41を示す断面図である。図2(A)は、電気分解装置41を側方から見たときの図である。図2(B)は、この電気分解装置41の平面図である。図2(A),(B)に示すように、第1実施形態にかかる電気分解装置41は、容器47と、複数の電極対49と、電源51とを備えている。
図2(A),(B)に示すように、容器47は、略直方体の形状を有している。容器47は、水の流れの上流側に位置する第1壁部471と下流側に位置する第2壁部472と、これらの壁部471,472をつなぐ側壁部48とを有している。第1壁部471と第2壁部472は、後述する複数の電極板53を介して、側壁部48の延びる方向(複数の電極板53の配列方向D)に対向している。
側壁部48は、図2(A)に示す第3壁部473及び第4壁部474と、図2(B)に示す第5壁部475及び第6壁部476とを有している。本実施形態の電気分解装置41は、例えば、第3壁部473が下に、第4壁部474が上に位置するように、図2(A)に示す向きに配置して用いられる。第3壁部473と第4壁部474は、複数の電極板53を介して高さ方向H(上下方向)に対向している。同様に、第5壁部475と第6壁部476は、複数の電極板53を介して、幅方向W(配列方向Dに垂直な水平方向)に対向している。
第1壁部471は、水の出入口として機能する第1流通口43を有している。第2壁部472は、水の出入口として機能する第2流通口45を有している。本実施形態では、第1流通口43は、入口として機能し、第2流通口45は、出口として機能する。第1流通口43及び第2流通口45には、入水配管27がそれぞれ接続される。
第1流通口43は、第1壁部471において、第4壁部474よりも第3壁部473に近く、かつ第6壁部476よりも第5壁部475に近い位置に設けられている。第2流通口45は、第2壁部472において、第3壁部473よりも第4壁部474に近く、かつ第5壁部475よりも第6壁部476に近い位置に設けられている。具体的には、第1流通口43及び第2流通口45は、直方体形状の容器47における対角の近傍にそれぞれ設けられている。
容器47は、細長い形状を有している。第1壁部471の外面と第2壁部472の外面との距離は、第3壁部473の外面と第4壁部474の外面との距離、及び第5壁部475の外面と第6壁部476の外面との距離よりも大きい。
各電極対49は、一対の電極板53(第1電極板531と第2電極板532)により構成されている。容器47内には、複数の電極対49を構成する複数の電極板53が配置されている。複数の電極板53は、電極板53の厚み方向に、間隔をあけて配列されている。各電極板53は、配列方向Dとほぼ垂直な方向に延びる姿勢で配置されている。配列方向Dは、側壁部48の延びる方向(容器47の長手方向)とほぼ一致している。各電極対49の電極板53同士の間隔はほぼ同じである。各電極対49における電極板53同士の隙間は、水が流れる流路(水流路)Fとして機能する。
各電極板53は、略長方形である。電極板53の材料としては、チタン、白金、ニッケル、炭素、黒鉛、銅、ガラス質炭素などが例示できる。
複数の電極板53は、電源51の正極に接続された複数の第1電極板531と、電源51の負極に接続された複数の第2電極板532とを含む。本実施形態では、第1電極板531が陽極として機能し、第2電極板532が陰極として機能する。複数の電極板53の配列方向Dに沿って、第1電極板531と第2電極板532とは、交互に並んでいる。各電極板53は、異極の電極板53と絶縁された状態で、例えば図略の支持部材などによって側壁部48に固定されている。
例えば図2(A)において、左端の第2電極板532と左から2番目の第1電極板531とは1つの電極対49を構成している。また、左から2番目の第1電極板531と左から3番目の第2電極板532とは1つの電極対49を構成している。以下、同様にして隣り合う電極板53が1つの電極対49を構成している。
図2(A)に示すように、各電極板53における高さ方向Hの一端部53aと第3壁部473の内面との間には水が流通可能な隙間G1が設けられている。また、各電極板53における高さ方向Hの他端部53bと第4壁部474の内面との間には水が流通可能な隙間G2が設けられている。各電極板53と側壁部48の内面との隙間は、前述の隙間G1と隙間G2のみであってもよいが、さらに、各電極板53の端部と第5壁部475の内面との間、及び各電極板53の端部と第6壁部476の内面との間に設けられていてもよい。
以上のような構造を有する電気分解装置41では、第1流通口43から容器47内に流入した水は、おおよそ次のような経路をたどって第2流通口45から容器47外に流出する。すなわち、容器47内に流入した水は、各電極板53の一端部53aと第3壁部473の内面との隙間G1を通じて、第3壁部473に沿って第2壁部472側に流れる。この第3壁部473に沿って流れる水は、その一部が配列方向Dに並ぶ各電極対49の電極板53同士の隙間(水流路F)に、上流側の水流路Fから順に流れ込んでいく。そして、各電極対49の水流路Fを電極板53に沿って流れた水は、第4壁部474側において合流し、第4壁部474に沿って第2壁部472側に流れ、第2流通口45から容器47外に流出する。
第1流通口43から容器47内に流入した水が第2流通口45から容器47外に流出するまでの間に、電気分解によって陰極の第2電極板532にスケールが析出する。第2電極板532に付着したスケールは、例えば第2電極板532を定期的に洗浄するなどして電気分解装置41内から除去される。また、後述する図9(A),(B)の第2実施形態の変形例に示すように、電極板53の極性を反転させることにより、陰極に付着していたスケールを陰極から脱落させることもできる。
電気分解中の陰極では、水素イオンと電子が反応して水素が生じる反応(2H++2e−→H2)が起こり、陰極周辺のpHが上昇する。一方、電気分解中の陽極では、水酸化物イオンから水と酸素が生じる反応(4OH−→2H2O+O2+4e−)が起こり、陽極周辺のpHが低下する。
図3(A)は、図2の電気分解装置を示す概略図であり、図3(B)〜図3(D)、図4(A)〜図4(D)及び図5(A)〜図5(D)は、第1実施形態の変形例にかかる電気分解装置41を示す概略図である。これらの図は、電気分解装置41を側方から見たときの断面を示している。これらの電気分解装置41では、電源51の図示を省略している。図3(A)に示す電気分解装置41は、前述した図2に示す電気分解装置41と同様の構造であるので説明を省略する。他の変形例については、主な構成を以下に概説する。
図3(B)に示す電気分解装置41は、基本構造が図3(A)に示す電気分解装置41と同様であり、使用時の装置の向きが異なっている。この電気分解装置41では、電極板53の配列方向D及び容器47の長手方向は、ともに上下方向(高さ方向H)に向いている。図3(C)に示す電気分解装置41では、電極板53の配列方向Dは、水平方向に向いており、容器47の長手方向は、上下方向に向いている。図3(D)に示す電気分解装置41では、電極板53の配列方向Dは、上下方向に向いており、容器47の長手方向は、水平方向に向いている。
図4(A)〜図4(D)に示す電気分解装置41は、図3(A)〜図3(D)に示す電気分解装置41とそれぞれ類似しており、複数の電極板53が次のように傾斜している点が異なっている。
図4(A)〜図4(D)に示す各電気分解装置41では、各電極板53は、一端部53aが他端部53bよりも配列方向Dの一方側(配列方向Dの第1壁部471側)に位置するように傾斜して配置されている。例えば、図3(A)に示す変形例では、各電極板53は、容器47の高さ方向Hとほぼ平行な方向に配置されているが、図4(A)に示す変形例では、各電極板53は、高さ方向Hに対して傾斜して配置されている。
各電極板53が上記のように傾斜して配置されていることにより、複数の電極板53により形成された水流路Fも電極板53の傾斜方向とほぼ同じ方向に傾斜している。
これらの変形例における水の流れは、例えば図4(A)の電気分解装置41を例に挙げて説明すると、おおよそ次のようになる。すなわち、電極板53の一端部53a側から水流路Fに流入する流入方向は、第1流通口43から容器47内に流入した水が第3壁部473に沿って第2壁部472側に流れる流れ方向と鋭角(図4(A)の角度θ)をなすように傾斜している。
したがって、図4(A)〜図4(D)に示す変形例では、第3壁部473に沿って第2壁部472側に流れる水は、図3(A)〜(D)に示す変形例と比べて、各電極対49の水流路Fに流れ込みやすくなる。しかも、各電極対49の水流路Fを電極板53に沿って流れた水は、第4壁部474側において他の水流路Fを流れてきた水とスムーズに合流する。
また、図4(A)〜図4(D)に示す変形例では、各電極板53を傾斜して配置しているので、図3(A)〜(D)に示す変形例と比べて、容器47の大きさが同じであっても各電極板53の面積を大きくすることができる。
図5(A)〜図5(D)に示す電気分解装置41は、複数の電極板が傾斜している点で図4(A)〜図4(D)に示す変形例と構造がそれぞれ類似しているが、以下の点で構造が異なっている。
図5(A)〜図5(D)に示す電気分解装置41では、各電極板53は、一端部53a側の部位と他端部53b側の部位とが図4(A)〜図4(D)に示す変形例の各電極板53の傾斜方向と同様の方向に傾斜しており、一端部53a側の部位と他端部53b側の部位との間の部位が配列方向Dとほぼ垂直である。言い換えると、図5(A)〜図5(D)に示すでは、各電極板53は、容器47の高さ方向Hにほぼ平行な非傾斜部位と、この非傾斜部位よりも一端部53a側の部位と、非傾斜部位よりも他端部53b側の部位とを有している。
したがって、図5(A)〜図5(D)に示す変形例では、図3(A)〜図3(D)に示す変形例と比べて、各電極対49の水流路Fへの流れ込みやすさと、合流時の円滑性とが向上するとともに、各電極板53の面積を大きくすることができる。
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態にかかる電気分解装置41を示す断面図である。図6は、電気分解装置41を水平方向に見たときの図である。図6に示すように、この第2実施形態では、各電極板53の構成が第1実施形態とは異なっている。第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
この電気分解装置41では、複数の第1電極板531は、第3壁部473に位置する基端部から第4壁部474に向かってそれぞれ延設されている。各第1電極板531の基端部は、第3壁部473と略平行な方向に延設された連結板54(又は連結用配線54)につながっている。この連結板54の端部は電源51の正極に接続されている。連結板54は、第3壁部473内に埋設されている。各第1電極板531の先端部(第4壁部474側の端部)と、第4壁部474の内面との間には水が流通可能な隙間G3が設けられている。
複数の第2電極板532は、第4壁部474に位置する基端部から第3壁部473に向かってそれぞれ延設されている。各第2電極板532の基端部は、第4壁部474と略平行な方向に延設された連結板56(又は連結用配線56)につながっている。この連結板56の端部は電源51の負極に接続されている。連結板56は、第4壁部474内に埋設されている。各第2電極板532の先端部(第3壁部473側の端部)と、第3壁部473の内面との間には水が流通可能な隙間G4が設けられている。
複数の第1電極板531とこれらが連結された連結板54とは、図6に示す断面形状が櫛状である。同様に、複数の第2電極板532とこれらが連結された連結板56とは、図6に示す断面形状が櫛状である。第1電極板531と第2電極板532は、配列方向Dに沿って交互に並んでいる。以上のような構造を有する第2実施形態の電気分解装置41では、図6に示すように、水流路Fは、上下に蛇行した経路を有している。
図7(A)は、図6の電気分解装置41を示す概略図であり、図7(B)〜図7(D)は、第2実施形態の変形例にかかる電気分解装置41を示す概略図である。これらの図は、電気分解装置41を側方から見たときの断面を示している。
図7(A)に示す電気分解装置41は、前述した図6に示す電気分解装置41と同様の構造である。この電気分解装置41では、第1流通口43から容器47内に流入した水は、上下に蛇行しながら側方に向かって容器47内を流れる。
図7(B)に示す電気分解装置41では、電極板53の配列方向D及び容器47の長手方向は、ともに上下方向に向いている。また、この電気分解装置41では、第1流通口43は、第3壁部473に設けられており、第1壁部471と第3壁部473の角部の近傍に位置している。第2流通口45は、第4壁部474に設けられており、第2壁部472と第4壁部474の角部の近傍に位置している。この電気分解装置41では、第1流通口43から容器47内に流入した水は、左右に蛇行しながら上方に向かって容器47内を流れる。なお、第2流通口45を入口とし、第1流通口45を出口としてもよい。
図7(C)に示す電気分解装置41では、電極板53の配列方向Dは、水平方向に向いており、容器47の長手方向は、上下方向に向いている。水の流れは図7(A)の電気分解装置41と同様である。
図7(D)に示す電気分解装置41では、電極板53の配列方向Dは、上下方向に向いており、容器47の長手方向は、水平方向に向いている。また、この電気分解装置41では、第1流通口43は、第3壁部473に設けられており、第1壁部471と第3壁部473の角部の近傍に位置している。第2流通口45は、第4壁部474に設けられており、第2壁部472と第4壁部474の角部の近傍に位置している。水の流れは図7(B)の電気分解装置41と同様である。
図8(A),(B)は、第2実施形態のさらに他の変形例にかかる電気分解装置を示す概略図である。図8(A)は、電気分解装置41を上方から見たときの断面を示しており、図8(B)は、この電気分解装置41を側方から見たときの断面を示している。この電気分解装置41では、電極板53の配列方向D及び容器47の長手方向は、ともに水平方向に向いている。この電気分解装置41では、第1流通口43から容器47内に流入した水は、左右に蛇行しながら側方に向かって容器47内を流れる。
図8(C),(D)は、第2実施形態のさらに他の変形例にかかる電気分解装置を示す概略図である。図8(C)は、電気分解装置41を下流側から見たときの断面を示しており、図8(D)は、この電気分解装置41を側方から見たときの断面を示している。この電気分解装置41では、電極板53の配列方向D及び容器47の長手方向は、ともに上下方向に向いている。この電気分解装置41では、第1流通口43から容器47内に流入した水は、左右に蛇行しながら上方に向かって容器47内を流れる。
図8(E),(F)は、第2実施形態のさらに他の変形例にかかる電気分解装置を示す概略図である。図8(E)は、電気分解装置41を上方から見たときの断面を示しており、図8(F)は、この電気分解装置41を側方から見たときの断面を示している。この電気分解装置41では、電極板53の配列方向Dは、水平方向を向いており、容器47の長手方向は、上下方向に向いている。この電気分解装置41では、第1流通口43から容器47内に流入した水は、左右に蛇行しながら側方に向かって容器47内を流れる。
図8(G),(H)は、第2実施形態のさらに他の変形例にかかる電気分解装置を示す概略図である。図8(G)は、電気分解装置41を下流側から見たときの断面を示しており、図8(H)は、この電気分解装置41を側方から見たときの断面を示している。この電気分解装置41では、電極板53の配列方向Dは、上下方向を向いており、容器47の長手方向は、水平方向に向いている。この電気分解装置41では、第1流通口43から容器47内に流入した水は、左右に蛇行しながら上方に向かって容器47内を流れる。
図9(A),(B)は、第2実施形態のさらに他の変形例にかかる電気分解装置を示す断面図である。この電気分解装置41は、図6に示す電気分解装置41と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。この変形例の電気分解装置41は、電極板53の極性を反転させる反転機構を有している。
図9(A)に示す状態では、複数の第1電極板531は、連結板54を介して電源51の正極につながっており、複数の第2電極板532は、連結板56を介して電源51の負極につながっている。図9(B)に示す状態では、前記反転機構によって電極板53の極性が反転し、複数の第1電極板531は、連結板54を介して電源51の負極につながっており、複数の第2電極板532は、連結板56を介して電源51の正極につながっている。例えば図9(C)に示す反転機構のように、接点切替部71の接点及び接点切替部72の接点を切り替えることによって電極板53の極性を反転させることができる。
この変形例では、所定の周期、又は後述する水質、温度などの所定の条件に基づいて電極板53の極性を反転させる。電気分解装置41では、電気分解により陰極にスケールが付着するが、電極板53の極性を反転させて陰極であった電極板53が陽極に変わると、その近傍において局所的に液のpHが低下する。これにより、電極板53の表面のスケールが一部溶解して電極板53から脱落する。このような反転動作が所定の周期又は所定の条件で繰り返されることにより、電極板53へのスケールの付着を抑制することができる。
図10は、ヒートポンプ式給湯機11の変形例を示す断面図である。この変形例の給湯機11は、電気分解装置41を迂回するバイパス配管27aをさらに備えている。このバイパス配管27aは、電気分解装置41の上流側の入水配管27と下流側の入水配管27とをつないでいる。例えば図10に示すように電気分解装置41の上流側の入水配管27に弁81を取り付け、バイパス配管27aにも弁82を取り付ける。弁81は、バイパス配管27aの分岐箇所よりも下流側の入水配管27に設けられている。
電気分解装置41において、電気分解を行う場合には、弁81を開け、弁82を閉じる。一方、電気分解装置41において、電気分解を行わない場合には、弁81を閉じ、弁82を開ける。これにより、電気分解を行わない場合には、水の流れの抵抗が小さいバイパス配管27aを通じて水を流すことができるので、ポンプ31の動力を低減することができる。また、電気分解を行うときに限って電気分解装置41に水を流すので、電極板53の消耗(摩耗)を抑制できる。
図11(A),(B)は、ヒートポンプ式給湯機11の他の変形例を示す概略図である。これらの電気分解装置41は、入口と出口を反転させる機構を有している。
まず、図11(A)に示すヒートポンプ式給湯機11では、その上流側において入水配管27は、例えば三方弁83に接続されており、この三方弁83から分岐管271と分岐管272とが分岐している。分岐管271は、容器47の第1壁部471に接続され、分岐管272は、第2壁部472に接続されている。また、電気分解装置41の下流側において入水配管27は、例えば三方弁83に接続されており、この三方弁83から分岐管273と分岐管274とが分岐している。分岐管273は、第2壁部472に接続され、分岐管274は、第1壁部471に接続されている。
このヒートポンプ式給湯機11では、容器47内において実線の矢印Aの方向に水を流す場合には、三方弁83及び三方弁84を切り替えて分岐管271及び分岐管273に水を流通させる。一方、容器47内において二点鎖線の矢印Bの方向に水を流す場合には、三方弁83及び三方弁84を切り替えて分岐管272及び分岐管274に水を流通させる。これにより、容器47内において、入口側の領域と出口側の領域との間で生じるスケール成分の濃度差(水の導電率の差)を小さくすることができる。このような切替動作は、所定の周期、又は後述する水質、温度などの所定の条件に基づいて行われる。
図12は、ヒートポンプ式給湯機11のさらに他の変形例を示す概略図である。この変形例の給湯機11は、電気分解装置41を通過した水を電気分解装置41の上流側に戻して電気分解装置41に再度流入させるための再流入配管27bをさらに備えている。この再流入配管27bは、電気分解装置41の上流側の入水配管27と下流側の入水配管27とをつないでいる。
再流入配管27bには、開閉可能な弁92と、ポンプ91とが設けられている。ポンプ91は、下流側の入水配管27を流れる水の一部を、再流入配管27bを通じて図12の矢印の方向に送液し、上流側の入水配管27に合流させる役割を果たす。
電気分解装置41よりも上流側の入水配管27には、再流入配管27bとの接続箇所よりも上流側の位置に逆止弁93が設けられている。また、電気分解装置41よりも下流側の入水配管27には、再流入配管27bとの接続箇所よりも下流側の位置に逆止弁94が設けられている。
電気分解装置41の通常運転では、弁92は閉じられ、ポンプ91を停止させる。一方、電気分解装置41における電気分解の効率を通常運転時よりも高めたい場合には、弁92は開けられ、ポンプ91を駆動させる。ポンプ91が駆動すると、電気分解装置41から流出した水の一部は、再流入配管27bを通って電気分解装置41の上流側の入水配管27に再度流れ込み、入水配管27を流れる水と合流し、電気分解装置41に流入する。
図13(A),(B)は、ヒートポンプ式給湯機11の他の変形例を示す概略図である。これらの変形例の給湯機11は、センサ95をさらに備えている。図13(A)に示す給湯機11では、センサ95は、電気分解装置41よりも上流側の入水配管27に取り付けられている。図13(B)に示す給湯機11では、センサ95は、電気分解装置41よりも下流側の入水配管27に取り付けられている。
センサ95としては、例えば水質測定センサ、温度センサなどが挙げられる。センサ95が水質測定センサの場合、センサ95により例えば水の導電率を測定することによって水の硬度を検知する。
制御部33は、入水配管27内を流れる水質に応じて各電極対49に印加される電圧を調節するように電源51を制御する。具体的には、硬度が高くスケールが生じやすい水質である場合には、制御部33は、各電極対49に高い電圧をかける。これにより、電気分解装置41においてスケール成分の除去効果を高めることができる。一方、硬度が低くスケールが生じにくい水質である場合には、制御部33は、各電極対49に上記よりも低い電圧をかける。これにより、消費電力を削減できる。
センサ95が温度センサである場合、制御部33は、センサ95により検知される水温が予め設定された所定値よりも大きいときに各電極対49に高い電圧をかけるように電源51を制御する。一方、制御部33は、センサ95により検知される水温が前記所定値以下であるときには各電極対49に上記よりも低い電圧をかけるように電源51を制御する。これにより、消費電力を削減できる。
また、上記のようにセンサ95により検知される水温に基づいて電源51を制御するのではなく、給湯機11の設定温度などに基づいて制御してもよい。例えば、給湯機11では、冬季には水熱交換器21により加熱される水の温度が例えば85℃〜90℃という高い温度に設定される。また、夏季には水熱交換器21により加熱される水の温度が例えば60℃程度の比較的低い温度に設定される。そして、制御部33は、前記設定温度が高い冬季には電気分解装置41において各電極対49に電圧を印加するように電源51を制御し、夏季には各電極対49に電圧を印加しないか、又は印加する電圧が冬季よりも低くなるように電源51を制御する。
以上説明したように、前記実施形態では、複数の電極対49を容器47内に配設することにより、1つの電極対49が電解槽内に設置された従来の電気分解装置41に比べて、スケール成分の除去効率を向上させることができる。また、複数の電極板53は、厚み方向に間隔をあけて配列されている。そして、入口から容器47内に流入した水は、各電極対49における一対の電極板53の間を通って出口に至る。このような構成を採用することにより、複数の電極対49が占める容積を小さく抑えつつ、電極と水との接触面積を大きくすることができる。
また、前記実施形態では、水の入口及び出口の一方が、複数の電極板53の配列方向Dの一方側に設けられており、水の入口及び出口の他方が、複数の電極板53の配列方向Dの他方側に設けられている。このように入口と出口を配列方向Dの一方側と他方側に設けることによって、複数の電極対49に水を行き渡らせやすくなるので、スケール成分の除去効率をより向上させることができる。
また、前記第1実施形態では、第1壁部471に設けられた入口から容器47内に流入した水は、各電極板53の一端部と第3壁部473との隙間を通じて、第3壁部473に沿って第2壁部472側に流れる。この第3壁部473に沿って流れる水は、その一部が配列方向Dに並ぶ各電極対49の電極板間に流れ込んでいく。そして、各電極対49の電極板間を電極板53に沿って流れた水は、第4壁部474側において合流し、第2流通口45から容器47外に流出する。
この第1実施形態の変形例では、各電極板53は、一端部53aが他端部53bよりも配列方向Dの一方側に位置するように傾斜して配置されている。各電極板53が上記のように傾斜して配置されていることにより、複数の電極板53により形成された水流路Fも電極板53の傾斜方向とほぼ同じ方向に傾斜している。一端部53a側から水流路Fに流入する流入方向は、入口から容器47内に流入した水が第3壁部473に沿って第2壁部472側に流れる流れ方向と鋭角をなすように傾斜している。したがって、第1壁部471に設けられた入口から容器47内に流入し、各電極板53の一端部53aと第3壁部473との前記隙間を通じて第3壁部473に沿って第2壁部472側に流れる水は、配列方向Dに並ぶ各電極対49の電極板間に流れ込みやすくなる。
また、前記第2実施形態では、第1電極板531と第2電極板532が配列方向Dに沿って交互に並び、水流路Fが蛇行した経路を有している。入口から容器47内に流入した水は、前記蛇行した経路に沿って流れることにより、各電極対49における一対の電極板53の間を順に通過する。これにより、入口から容器47内に流入した水を複数の電極対49に満遍なく行き渡らせることができるので、スケール成分の除去効率をさらに向上させることができる。
また、前記実施形態では、電気分解装置41は、入水配管27に設けられている。この入水配管27においては水の流速が低く、その変動が小さいので、電気分解装置41を通過する水も低流速でほぼ一定である。これにより、電気分解装置41において安定して効果的なスケール成分の除去効果を得ることができる。また、ヒートポンプの運転時に電気分解を行うので、夜間電力を使用でき、電気代を低く抑えることも可能になる。
また、前記実施形態では、水の温度がスケールの発生しやすい予め設定された値以上の場合に各電極対49に電圧が印加され、それ以外のときには電圧の印加をせずに消費電力を低減できる。
また、前記実施形態では、例えば水の硬度などの水質に応じて各電極対49に印加される電圧を調節するので、その水質に必要とされる電圧の印加が可能になる。これにより、スケール成分の除去効率を高めつつ、過剰な電圧の印加を抑制して消費電力を低減できる。
また、前記実施形態では、電気分解装置41を通過した水を、再流入流路を通じて再度電気分解装置41に流入させることができるので、電気分解装置41のサイズが大きくなるのを抑制しつつ、スケール成分の除去効率をさらに高めることができる。
また、前記実施形態では、前記反転機構により入口と出口を反転させることにより、容器47内において、入口側の領域と出口側の領域との間で生じるスケール成分の濃度差(水の導電率の差)を小さくすることができる。これにより、容器47内において、入口側の領域と出口側の領域の電気分解効率の差が小さくなり、全体として電気分解効率を向上させることができる。また、トータルの消費電力を抑えつつ、スケール成分の除去効率を維持又は向上させることも可能になる。また、電極板53へのスケールの付着量のばらつきを、複数の電極板間で小さくすることができる。これにより、特定の電極板53にスケールが偏って析出するのを抑制できる。したがって、例えば、前述したような極性を反転させる動作の周期を長くすることができる。また、極性の反転動作を省略して陰極の洗浄のみでの運転も可能になる。
(他の実施形態)
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では、第1流通口が第1壁部に設けられ、第2流通口が第2壁部に設けられている形態を例示したが、これに限定されない。第1流通口43は、第1壁部471の近傍に設けられていてもよく、第2流通口45は、第2壁部472の近傍に設けられていてもよい。具体的には、例えば、第1流通口43は、第1壁部471の近傍の第3壁部473に設けられていてもよく、第2流通口45は、第2壁部472の近傍の第4壁部474に設けられていてもよい。
前記実施形態では、図9〜図13に示す変形例の特徴を、蛇行した経路を有する第2実施形態を例に挙げて説明したが、例えば図2に示す第1実施形態の電気分解装置41に、図9〜図13に示す変形例の特徴的な構成を付加してもよい。
また、各電極板は、小さな貫通孔が複数形成された網目状であってもよく、棒状であってもよい。電極板が棒状である場合には、電極板の長手方向に垂直な断面において直交する2方向の寸法のうち、短い方を厚みとし、長い方を幅とする。
また、前記実施形態では、主に、第1流通口が入口として機能し、第2流通口が出口として機能する場合を例に挙げて説明したが、第1流通口を出口とし、第2流通口を入口としてもよい。
また、前記実施形態では、図1に示すように、給湯機11において、ポンプ31よりも下流側の入水配管27に電気分解装置41を設ける場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。電気分解装置41は、ポンプ31よりも上流側の入水配管27に設けてもよく、また、給水源からタンク15に水を供給する給水配管37に設けてもよい。
また、前記実施形態では、容器47が略直方体の形状を有している場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。容器47は、直方体以外の角柱形状であってもよく、円柱形状であってもよい。
また、前記実施形態では、一過式の給湯機を例に挙げて説明したが、これに限定されない。