JP5205877B2 - 既存建物の補強構造、既存建物の補強方法 - Google Patents

既存建物の補強構造、既存建物の補強方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5205877B2
JP5205877B2 JP2007226613A JP2007226613A JP5205877B2 JP 5205877 B2 JP5205877 B2 JP 5205877B2 JP 2007226613 A JP2007226613 A JP 2007226613A JP 2007226613 A JP2007226613 A JP 2007226613A JP 5205877 B2 JP5205877 B2 JP 5205877B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel pipe
divided
opening
existing building
peripheral
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007226613A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009057761A (ja
Inventor
康平 栗田
安彦 増田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Obayashi Corp
Original Assignee
Obayashi Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Obayashi Corp filed Critical Obayashi Corp
Priority to JP2007226613A priority Critical patent/JP5205877B2/ja
Publication of JP2009057761A publication Critical patent/JP2009057761A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5205877B2 publication Critical patent/JP5205877B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Joining Of Building Structures In Genera (AREA)
  • Buildings Adapted To Withstand Abnormal External Influences (AREA)
  • Working Measures On Existing Buildindgs (AREA)

Description

本発明は、柱梁架構などにより囲まれた矩形状の開口を備えた既存建物を補強する構造及び方法に関する。
従来より、既存建物の柱梁架構内に沿って設けられた周辺枠と、周辺枠内に取り付けられたブレースとからなる補強構造を増設することにより既存建物の耐震補強を行う方法が用いられている。この方法では、既存躯体に打設したアンカーボルトにより枠材を既存建物の躯体に固定しているが、アンカーボルトを打設する際に騒音が発生するため、使用中の建物での施工は困難であった。
そこで、アンカーボルトを打設せずに鉄骨ブレースを設置する方法として、例えば、特許文献1には、既存建物の柱梁架構内に周辺枠を接着剤により接着し、この周辺枠内に鉄骨ブレースを設ける方法が記載されている。
特開平11―71906号公報
しかしながら、周辺枠を製作するために用いられる設計上の寸法と既存躯体の実際の寸法との間に誤差があり、周辺枠と柱梁架構との間に大きな隙間が生じてしまったり、柱梁架構内に周辺枠が収まらなかったりする場合がある。このように周辺枠と柱梁架構との間で寸法の誤差が生じた場合には、柱梁架構と周辺枠との間の接着層を厚くしたり、柱梁架構を削るなどの調整を行うことにより、寸法の誤差を吸収しなければならず、施工に手間がかかるとともに、コスト高となるという問題がある。
本発明は上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、柱梁架構に沿って設けられた周辺枠と、周辺枠内に設けられたブレースとからなる補強構造を構築することにより既存躯体を補強する方法において、部材の寸法誤差を容易に吸収することができるようにすることである。
本発明の既存建物の補強構造は、既存建物の矩形状の開口を囲む架構の前記開口の内周面のうち少なくとも上下の面に取り付けられた周辺部と、前記開口の上下に取り付けられた前記周辺部を接続するように設けられたブレース部と、により構成され、前記周辺部及び前記ブレース部にあたる部分に鋼管を配置し、前記鋼管と一体となるように前記鋼管の内部にセメント系材料を打設してなる補強構造であって、前記周辺部分に当たる部分の鋼管は前記開口の内周面のうち少なくとも上下の面に接着剤により接着されており、前記鋼管は二つ以上に分割されて、分割部分には隙間が形成されており、前記分割された鋼管の間で応力伝達可能な応力伝達部材が設けられ、前記セメント系材料は、前記分割された鋼管の間に亘って、前記隙間にも連続して打設されており、前記応力伝達部材は、隣接する前記分割された鋼管の間に亘って、前記鋼管に直接固定されることなく前記鋼管内に配筋されて、前記セメント系材料に埋設された応力伝達筋であることを特徴とする。
上記の既存建物の補強構造において、前記周辺部は、前記開口の内面全周に沿って取りつけられていいてもよい。
また、本発明の既存建物の補強構造は、既存建物の矩形状の開口を囲む架構の前記開口の内周面の上下の面に取り付けられるとともに、前記開口の両側面に沿って当該両側面との間にスリットを形成するように取り付けられた周辺部と、前記開口の上下に取り付けられた前記周辺部を接続するように設けられたブレース部材と、により構成され、前記周辺部及び前記ブレース部にあたる部分に鋼管を配置し、前記鋼管と一体となるように前記鋼管の内部にセメント系材料を打設してなる前記既存建物の補強構造であって、前記周辺部分に当たる部分の鋼管は前記開口の上下の面に接着剤により接着されており、前記鋼管は少なくとも二つ以上に分割されて、分割部分には隙間が形成されており、前記分割された鋼管の間で応力伝達可能な応力伝達部材が設けられ、前記セメント系材料は、前記分割された鋼管の間に亘って、前記隙間にも連続して打設されており、前記応力伝達部材は、隣接する前記分割された鋼管の間に亘って、前記鋼管に直接固定されることなく前記鋼管内に配筋されて、前記セメント系材料に埋設された応力伝達筋であることを特徴とする。
また、本発明の既存建物の補強方法は、既存建物の矩形状の開口を囲む架構の前記開口の内周面のうち少なくとも上下の面に取り付けられた周辺部と、前記開口の上下に取り付けられた前記周辺部を接続するように設けられたブレース部と、により構成される補強構造を設けることにより既存建物を補強する方法であって、前記周辺部及び前記ブレース部にあたる部分に二つ以上に分割された鋼管分割部分に隙間が形成されるように配置するとともに、前記周辺部分に当たる部分の鋼管を前記開口の内周面のうち少なくとも上下の面に接着剤により接着し、前記分割された鋼管の間に亘って、応力伝達可能な応力伝達部材を、前記鋼管に直接固定することなく前記鋼管内に配筋し、前記鋼管と一体となるようにセメント系材料を、前記分割された鋼管の間に亘って、前記隙間にも連続して打設することを特徴とする。
本発明によれば、分割された枠材の隙間の間隔を適宜調整することにより、寸法の誤差を吸収することが可能となる。
以下、本発明の既存建物の補強構造の一実施形態を図面を参照しなら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の鉄筋コンクリート造の既存建物の柱梁架構内に設けられた補強構造の構成を示す図であって、(A)は正面図であり、(B)は断面図であり、(C)は(A)におけるI−I´断面図であり、(D)は(A)におけるII−II´断面図である。本実施形態の補強構造10は、図1に示すように、梁3、床4及び柱2により囲まれる矩形状の開口5内に設置され、既存建物を耐震補強するものであり、鉄筋コンクリート造の柱梁架構1に沿って取り付けられた周辺枠20と、周辺枠20の上辺の中央部と、下方の両コーナー部とを結ぶように設けられた一対のブレース部材30とにより構成される。
周辺枠20は、複数に分割された断面矩形状の角鋼管21と、角鋼管21内及び隣接する角鋼管21の間の隙間に打設されたモルタルグラウト22と、隣接する角鋼管21の間に亘ってモルタルグラウト22内に埋設された接合鉄筋23と、により構成される。
角鋼管21は柱梁架構1の開口5内側の面に沿って枠状に配置され、接着剤25により接着されている。後述するように、角鋼管21の間には隙間が設けられており、この隙間の幅を調整することにより、柱梁架構1に寸法誤差がある場合であっても、柱梁架構1に沿って角鋼管21を枠状に取り付けることが可能となる。
モルタルグラウト22は、各角鋼管21の内部及び隣接する角鋼管21の隙間に打設されている。周辺枠20に作用する圧縮荷重は主にモルタルグラウト22が負担する。なお、モルタルグラウト22は、角鋼管21により囲繞されて、拘束されているため、圧縮耐力が向上されている。
接合鉄筋23は、隣接する角鋼管21の間に亘ってモルタルグラウト22内に埋設されている。隣接する角鋼管21の一方に作用した応力は、鉄筋の重ね継手と同様に、モルタルグラウト22を介して接合鉄筋23に伝達され、接合鉄筋23からモルタルグラウト22を介して他方の角鋼管21に伝達される。このようにして、隣り合う角鋼管21の間での引張応力の伝達が可能となり、周辺枠20に作用する引張応力を角鋼管21及び接合鉄筋23により負担することができる。
このように、周辺枠20を構成する角鋼管21、モルタルグラウト22、及び接合鉄筋23は一体となって、応力を負担することが可能となり枠状の構造として機能する。また、周辺枠20は角鋼管21の外周面が接着剤25により柱梁架構1の内側の面に接着されており、柱梁架構1と一体となっている。
ブレース部材30は、断面矩形状の鋼管31と、鋼管31内に充填され、鋼管31と一体となって硬化したモルタルグラウト32とから構成される。ブレース部材30に作用する圧縮荷重は、主にモルタルグラウト32が負担し、引張荷重は主に鋼管31が負担する。さらに、鋼管31がモルタルグラウト32を囲繞した状態で拘束しているため、ブレース部材30の圧縮耐力が向上されている。
図2は、ブレース部材30が接続される位置に配置された角鋼管21A、21Bの構成を示す斜視図であり(A)は下方のコーナー部に配置された角鋼管21Aを示し、(B)は、梁3の中央に取り付けられた角鋼管21Bを示す。同図に示すように、角鋼管21A、21Bのブレース部材30が接続される位置に開口(図中斜線で示す)210A,210Bが設けられて、これら開口210A,210Bの両側には、ブレース部材30を接続した際に、鋼管31との間の隙間を塞ぐように板材211A,211Bが取りつけられている。図1に示す構成において、周辺枠20を構成するモルタルグラウト22と、ブレース部材30を構成するモルタルグラウト32とは、角鋼管21A、21Bの開口210A,210Bを通して、一体となって硬化しており、ブレース部材30と周辺枠20との間で圧縮応力が伝達される。
図1に示すように、ブレース部材30及び周辺枠20を構成するモルタルグラウト32、22には、これらの間に亘って応力伝達筋40が埋設されている。これにより、鉄筋の継手構造と同様に、ブレース部材30と周辺枠20との間で引張応力の伝達が可能となる。
また、角鋼管21A、21Bのブレース部材30が接続される位置には大きな応力が作用するため、角鋼管21A、21Bの内面にはスタッド24が取付けられている。スタッド24によりモルタルグラウト22と角鋼管21との付着力が向上されるため、ブレース部材30と周辺枠20とがより強固に接続されている。以上説明した構成により周辺枠20とブレース部材30とが強固に接続され、一体となって機能することとなる。
既存建物に水平応力が作用すると柱梁架構1にせん断力が作用する。柱梁架構1に作用したせん断力は、柱梁架構1に取り付けられた周辺枠20に伝達される。周辺枠20にせん断力が作用すると、ブレース部材30に圧縮力が生じるが、ブレース部材30の圧縮耐力によりこのせん断力に対して抵抗する。このようにして、本実施形態の補強構造10が柱梁架構1に作用するせん断力を負担するため、既存建物を耐震補強することができる。
以下、このような補強構造10を構築する方法を、図3〜図7を参照しながら説明する。
まず、図3に示すように、複数に分割された角鋼管21を柱梁架構1の梁3、柱2及び床4の内側の面に接着剤により接着する。この際、隣接する角鋼管21の隙間の幅を適宜調整することにより、柱梁架構1の寸法が設計上の寸法と誤差がある場合であっても、この誤差を吸収することができる。また、角鋼管21は、複数に分割されており、中空な構成であるため、重量が軽く、大掛かりな重機を用いずに施工を行うことができる。なお、角鋼管21を配置する際に、角鋼管21の内部に、次の工程で用いられる接合鉄筋23を予め入れておく。
次に、図4に示すように、隣接する角鋼管21の間に亘って、接合鉄筋23を角鋼管21の内部に配筋する。図8は、接合鉄筋23を配筋する様子を示す斜視図である。同図に示すように、予め、角鋼管21を柱梁架構1に接着する際に角鋼管21の内部に入れておいた複数の接合鉄筋23を、角鋼管21に設けられた開口211Aより作業員が手を挿入して、隣接する角鋼管21へ向けて移動させることにより配筋する。なお、これら複数の接合鉄筋23の間には適宜スペーサなどを取り付けておくことで、これら接合鉄筋23を所定の間隔に保持することができる。接合鉄筋23を配筋した後、この開口211Aは閉塞する。なお、本実施形態では、上方の両コーナー部における接合鉄筋23Aとして、L字型のものを用いており、上記のような方法では配筋することができない。このため、上方の両コーナー部の接合鉄筋23Aは、梁3側の角鋼管21を柱梁架構1に接着する際に、梁3に接着した角鋼管21内の所定の位置にL字型の接合鉄筋23Aを配置した後、柱側の角鋼管21を内部に接合鉄筋23Aの端部が挿入されるように配置することにより配筋する。そして、柱梁架構1の下方の両コーナー部に接着された角鋼管21Aの開口210Aより突出するように、ブレース部材30の下方にあたる位置に埋設される応力伝達筋40を配筋する。
次に、図5に示すように、下側の両コーナー部の角鋼管21の開口210Aより突出している応力伝達筋40が内部に挿入されるように、ブレース部材30を構成する鋼管31を配置する。この際、上記の周辺枠20の場合と同様に、柱梁架構1に寸法誤差がある場合であっても、周辺枠20の角鋼管21と、ブレース部材30の鋼管31との間の隙間を調整することにより、この寸法誤差を吸収することができる。
そして、ブレース部材30の上方にあたる位置に埋設される応力伝達筋40を両端が夫々周辺枠20を構成する角鋼管21B及びブレース部材30を構成する鋼管31との接続部を通るように配筋する。なお、この配筋作業は、図8を参照して説明したのと同様に、鋼管31に開口を設けるとともに鋼管31の内部に応力伝達筋40を入れておき、鋼管31を配置した後、開口より応力伝達筋40を移動させることで配筋できる。
次に、図6に示すように、周辺枠20を構成する角鋼管21の間の隙間及び、周辺枠20を構成する角鋼管21A,21Bと、ブレース部材30を構成する鋼管31の間の隙間を覆うように、型枠50を設置する。なお、隙間以外の部分は角鋼管21を型枠として用いることができるため、型枠設置の手間を削減できる。
次に、図7に示すように、周辺枠20及びブレース部材30を構成する角鋼管21、31内にモルタルグラウト22、32を充填する。充填したモルタルグラウト22、32が硬化した後、型枠50を撤去することにより、補強構造10の構築が完了する。
以上説明したように、本実施形態によれば、周辺枠20を構成する複数の角鋼管21の隙間の幅を適宜調整することにより施工誤差を吸収することができる。また、これと同様に、ブレース部材30を構成する鋼管31と周辺枠20を構成する角鋼管21との間の隙間を適宜調整することにより柱梁架構1の寸法誤差を吸収することができる。
また、周辺枠20及びブレース部材30を、角鋼管21、31と、モルタルグラウト22,32と、接合鉄筋23とが一体となって外力に抵抗する構成としているので、角鋼管21、31の断面を小さくすることができ、軽量化を図れる。さらに、角鋼管21,31を複数に分割する構成としたため、部材重量が軽量でとなり、大掛かりな重機がなくても施工することができる。
なお、上記の実施形態では、周辺枠20を構成する枠材として角鋼管21を用いているが、これに限らず、溝形鋼(チャンネル鋼)を用いる構成とすることも可能である。図9は、枠材として溝形鋼121を用いた場合の実施形態を示す図であり、(A)は鉛直断面図であり、(B)は、(A)におけるI−I´断面図であり、(C)は(A)におけるII−II´断面図である。なお、上記実施形態と同じ構成の部位については、同じ符号を付して説明を省略する。同図に示すように、本実施形態では、周辺枠20を構成する枠材として角鋼管21に替えて溝形鋼121を用いている。溝形鋼121を用いる場合には、モルタルグラウト22と溝形鋼121との付着を確保するため、溝形鋼121の内面にスタッド124を取付けておく。かかる構成によっても、上記の実施形態と同様の効果が得られる。
また、上記の各実施形態では、周辺枠を構成する枠材及びブレース部材を構成する管状部材として鋼製の部材を用いているが、これに限らず、FRP(繊維補強プラスチック)やアルミ製の部材を用いることもできる。
また、上記の各実施形態では、ブレース部材30を構成する鋼管31としてブレース部材30全長に亘るものを用いたがこれに限らず、複数に分割された鋼管を用い、隣接する分割された鋼管の間に亘って接合鉄筋をモルタルグラウト内に埋設する構成としてもよい。
また、上記の各実施形態では、周辺枠20にブレース部材30をV字状に設ける場合について説明したが、これに限らず、例えば図10(A)に示すように、ブレース部材30を周辺枠20の対角線上に交差するように設ける構成としてもよいし、また、柱梁架構内に開口を設ける場合には、図10(B)に示すように、ブレース部材30を複数の鋼管31から構成し、前記開口を避けるようにこれら複数の鋼管31を接続するような構成としてもよく、要するに、周辺枠20の上下を結ぶようにブレース部材を設ける場合は本発明に含まれる。
また、上記の各実施形態では、周辺枠20を構成する鋼管21を柱2、梁3及び床4に接着剤25により接着することとしたが、これに限らず、開口5の上下にあたる箇所の鋼管21のみを梁3及び床4に接着剤25により接着し、開口5の両側部にあたる箇所の鋼管21は柱2に接着せずに、周辺枠20と柱2との間にはスリットを設ける構成としてもよい。
また、上記の各実施形態では、柱梁架構1の床4、梁3、及び柱2で囲まれた開口5内に補強構造10を設ける構成について説明したが、これに限らず、床、梁、及び対向する耐力壁で囲まれた開口内に本発明の補強構造を設けることも可能であり、要するに既存建物のせん断変形が生じる矩形状の開口であれば本発明の補強構造を設けることができる。
また、上記の各実施形態では、周辺枠20を構成する枠材として複数に分割された鋼管21や溝形鋼121を用いたが、これに限らず、図11に示すように、周辺枠20を開口5の上下に当たる部分のみに設けるものとし、周辺枠20を構成する枠材として一体に形成された(すなわち、複数に分割されていない)鋼管や溝形鋼を用い、さらに、ブレース部材30を構成する枠材として複数に分割された鋼管221を用いて構築もよい。かかる構成の補強構造110によっても、ブレース部材30を構成する鋼管31と周辺枠30を構成する鋼管131との間の隙間、及びブレース部材30を構成する鋼管131の隙間を調整することにより、誤差を吸収することができる。さらに、ブレース部材30を構成する枠材として一体の鋼管を用いた場合であっても、ブレース部材30を構成する鋼管と周辺枠を構成する鋼管との間を調整することにより、誤差を吸収することができる。
また、上記の各実施形態では、周辺枠20を構成する鋼管21と、ブレース部材30を構成する鋼管31とに亘ってセメント系材料に応力伝達筋を埋設することにより、周辺枠20とブレース部材30とを接合するものとしたが、これに限らず、図12に示すように、周辺枠20及びブレース部材30を構成する枠材とが一体となった鋼管321A,321Bを用い、鋼管321A、321Bの間の隙間及び周辺枠20を構成する鋼管21の間の隙間を調整することにより、誤差を吸収してもよい。このように、周辺枠20及びブレース部材30を構成する鋼管21、31が一体に形成されておらず、任意の位置で複数に分割されていれば、誤差を吸収することが可能となる。
また、上記の各実施形態では、周辺枠20を柱梁架構1に沿って枠状に構築するものとしたが、これに限らず、図13に示すように、少なくとも梁3及び床4に沿ってブレース部材30の接続される部分が構築されていればよい。このような構成は柱梁架構1内に扉などの開口部を設ける場合に好適である。
また、上記の各実施形態では、隣接する鋼管21又は溝形鋼121の間に亘ってモルタルグラウト22内に接合鉄筋23を埋設することにより鋼管21の間で応力伝達可能としており、また、周辺枠20の鋼管21とブレース部材30の鋼管31とに亘ってモルタルグラウト22、32内に応力伝達筋40を埋設することにより周辺枠20とブレース部材30との間で応力伝達可能としている。しかし、これに限らず、例えば、図14に示すように、隣接する鋼管21に亘って鋼板やFRP製の板材などの応力伝達可能な板材223を取り付け、この板材223により隣接する鋼管21の間で応力伝達可能とし、また、これと同様に、周辺枠20の鋼管21とブレース部材30の鋼管31とに亘って、応力伝達可能な板材240を取り付け、この板材240により周辺枠20とブレース部材30との間で応力伝達可能としてもよい。
本実施形態の鉄筋コンクリート造の既存建物の柱梁架構内に設けられた補強構造の構成を示す図であり、(A)は、正面図であり、(B)は断面図であり、(C)は(A)におけるI−I´断面図であり、(D)は(A)におけるII−II´断面図である。 ブレース部材が接続される位置における鋼管の構成を示す斜視図である。 複数に分割された鋼管を柱梁架構の内側の面に接着剤により接着した状態を示す図である。 隣接する鋼管の間に亘って、接合鉄筋を配筋した状態を示す図である。 ブレース部材を構成する鋼管を配置した状態を示す図である。 鋼管の間の隙間を覆うように、型枠を設置した状態を示す図である。 周辺枠及びブレース部材を構成する鋼管内にモルタルグラウトを充填した状態を示す図である。 接合鉄筋を配筋する様子を示す斜視図である。 枠材として溝形鋼を用いた場合の実施形態を示す図であり、(A)は鉛直断面図であり、(B)は、(A)におけるI−I´断面図であり、(C)は(A)におけるII−II´断面図である。 (A)は、ブレース部材を周辺枠の対角線上に交差するように設けた構成の補強構造を示す図であり、(B)は、柱梁架構内に開口を設ける場合の開口を避けるように複数の鋼管を接続してブレース部材を構成した場合の補強構造を示す図である。 周辺枠を構成する鋼管として一体に形成された鋼管を用い、ブレース部材を構成する鋼管として複数に分割された鋼管を用いた場合の補強構造を示す図である。 周辺枠を構成する分割された鋼管とブレース部材を構成する鋼管とが一体となった部材を用いた場合の補強構造を示す図である。 周辺枠をブレース部材の接続される部分にのみ設けた場合の補強構造を示す図である。 板材により分割された鋼管を接合した場合の補強構造を示す図である。
符号の説明
1 柱梁架構 2 柱
3 梁 4 床
10 補強構造 20 周辺枠
21、21A、21B 鋼管 22 モルタルグラウト
23 接合鉄筋 24 スタッド
25 接着剤 30 ブレース部材
31 鋼管 32 モルタルグラウト
40 応力伝達筋 50 型枠
121 溝形鋼 124 スタッド
223、240 板材

Claims (4)

  1. 既存建物の矩形状の開口を囲む架構の前記開口の内周面のうち少なくとも上下の面に取り付けられた周辺部と、前記開口の上下に取り付けられた前記周辺部を接続するように設けられたブレース部と、により構成され、前記周辺部及び前記ブレース部にあたる部分に鋼管を配置し、前記鋼管と一体となるように前記鋼管の内部にセメント系材料を打設してなる補強構造であって、
    前記周辺部分に当たる部分の鋼管は前記開口の内周面のうち少なくとも上下の面に接着剤により接着されており、
    前記鋼管は二つ以上に分割されて、分割部分には隙間が形成されており、前記分割された鋼管の間で応力伝達可能な応力伝達部材が設けられ
    前記セメント系材料は、前記分割された鋼管の間に亘って、前記隙間にも連続して打設されており、
    前記応力伝達部材は、隣接する前記分割された鋼管の間に亘って、前記鋼管に直接固定されることなく前記鋼管内に配筋されて、前記セメント系材料に埋設された応力伝達筋であることを特徴とする既存建物の補強構造。
  2. 前記周辺部は、前記開口の内面全周に沿って取りつけられていることを特徴とする請求項1記載の既存建物の補強構造。
  3. 既存建物の矩形状の開口を囲む架構の前記開口の内周面の上下の面に取り付けられるとともに、前記開口の両側面に沿って当該両側面との間にスリットを形成するように取り付けられた周辺部と、前記開口の上下に取り付けられた前記周辺部を接続するように設けられたブレース部材と、により構成され、前記周辺部及び前記ブレース部にあたる部分に鋼管を配置し、前記鋼管と一体となるように前記鋼管の内部にセメント系材料を打設してなる前記既存建物の補強構造であって、
    前記周辺部分に当たる部分の鋼管は前記開口の上下の面に接着剤により接着されており、
    前記鋼管は少なくとも二つ以上に分割されて、分割部分には隙間が形成されており、前記分割された鋼管の間で応力伝達可能な応力伝達部材が設けられ
    前記セメント系材料は、前記分割された鋼管の間に亘って、前記隙間にも連続して打設されており、
    前記応力伝達部材は、隣接する前記分割された鋼管の間に亘って、前記鋼管に直接固定されることなく前記鋼管内に配筋されて、前記セメント系材料に埋設された応力伝達筋であることを特徴とする既存建物の補強構造。
  4. 既存建物の矩形状の開口を囲む架構の前記開口の内周面のうち少なくとも上下の面に取り付けられた周辺部と、前記開口の上下に取り付けられた前記周辺部を接続するように設けられたブレース部と、により構成される補強構造を設けることにより既存建物を補強する方法であって、
    前記周辺部及び前記ブレース部にあたる部分に二つ以上に分割された鋼管分割部分に隙間が形成されるように配置するとともに、前記周辺部分に当たる部分の鋼管を前記開口の内周面のうち少なくとも上下の面に接着剤により接着し、
    前記分割された鋼管の間に亘って、応力伝達可能な応力伝達部材を、前記鋼管に直接固定することなく前記鋼管内に配筋し
    前記鋼管と一体となるようにセメント系材料を、前記分割された鋼管の間に亘って、前記隙間にも連続して打設することを特徴とする既存建物の補強方法
JP2007226613A 2007-08-31 2007-08-31 既存建物の補強構造、既存建物の補強方法 Active JP5205877B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007226613A JP5205877B2 (ja) 2007-08-31 2007-08-31 既存建物の補強構造、既存建物の補強方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007226613A JP5205877B2 (ja) 2007-08-31 2007-08-31 既存建物の補強構造、既存建物の補強方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009057761A JP2009057761A (ja) 2009-03-19
JP5205877B2 true JP5205877B2 (ja) 2013-06-05

Family

ID=40553757

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007226613A Active JP5205877B2 (ja) 2007-08-31 2007-08-31 既存建物の補強構造、既存建物の補強方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5205877B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113089830B (zh) * 2021-04-17 2021-11-30 苏邑设计集团有限公司 一种装配式斜支撑节点钢框架结构

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09111755A (ja) * 1995-10-13 1997-04-28 Nkk Corp コンクリート充填鋼管構造
JPH09291598A (ja) * 1996-04-26 1997-11-11 Shimizu Corp 充填鋼管コンクリート構造体の継手構造
JPH10266584A (ja) * 1997-03-28 1998-10-06 Taisei Corp 既存rc構造物の耐震補強方法
JPH10317683A (ja) * 1997-05-19 1998-12-02 Takenaka Komuten Co Ltd 補強部材及びその施工方法
JP3844386B2 (ja) * 1997-08-28 2006-11-08 株式会社竹中工務店 耐震補強の鉄骨ブレース増設工法
JP3752669B2 (ja) * 2002-03-01 2006-03-08 清水建設株式会社 ドア開口部を有する耐震補強開口部の構造
JP3980984B2 (ja) * 2002-10-03 2007-09-26 泰稔 山本 耐震補強構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009057761A (ja) 2009-03-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100797194B1 (ko) 콘크리트 복합 기둥 및 이를 이용한 건축물 시공방법
KR101632701B1 (ko) 원형 선조립 기둥 구조체 및 이를 이용한 역타공법과 골조 시공방법
KR101617221B1 (ko) 내진 보강형 증축 리모델링 모듈러유닛의 접합구조 및 접합방법
KR101458434B1 (ko) 선제작된 pc패널을 이용한 hpc기둥의 제작방법 및 이를 이용한 시공방법
JP4942475B2 (ja) 既存柱の補強方法及び補強構造
KR101619067B1 (ko) 보구조체의 범용 접합구조를 가진 조립 기둥구조체
KR101458435B1 (ko) 안장형 띠철근과 이중 대근을 이용한 hpc기둥의 제작방법 및 이를 이용한 시공방법
JPH07292783A (ja) Pc部材の接続構造
JP5205877B2 (ja) 既存建物の補強構造、既存建物の補強方法
KR20130117204A (ko) 건축물용 내진 보강 구조물 및 이를 이용한 건축물 내진 보강 공법
JP2009046829A (ja) 耐震補強壁
JP3999591B2 (ja) 繊維補強セメント系材料によるコンクリート系構造物の制震構造
KR20190046336A (ko) 샌드위치 피씨-월 및 그 제조방법
KR102461223B1 (ko) 중공 합성벽체용 선조립 모듈 및 이를 이용한 중공 합성벽체
KR20010090294A (ko) 공동주택에 적용되어 가변형 평면을 가능하게 하는 피시구조
KR101338890B1 (ko) 비용접 고정식 프레임패널을 갖는 벽체시스템, 그리고 그의 제작 및 시공방법
KR101437953B1 (ko) 합성 구조용 비용접 고정식 프레임패널을 갖는 데크모듈, 그리고 이 데크모듈을 이용한 합성보 및 그의 제작방법
JP3909488B2 (ja) 既存建物の耐震補強構造及びその施工方法
KR100868557B1 (ko) Pc블럭 적층시공용 가설구조 및 pc블럭을 이용한수직구조물 축조 공법
JP2008014047A (ja) 柱梁接合部構造およびその施工方法
JP2010133171A (ja) 既存躯体の補強方法、既存躯体の補強構造
KR102235422B1 (ko) 모듈유닛의 접합구조체 및 그 시공방법
JP3870871B2 (ja) 架構の補強構造
JP2019078056A (ja) 袖壁を用いるラーメン構造及びその接合方法
JP2013036282A (ja) 既存建物の補強構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100720

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120416

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120424

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120621

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130204

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160301

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5205877

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150