JP5205327B2 - 作業装置の潤滑構造 - Google Patents
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Description
また、上記の潤滑構造においては、ギヤ収容室に連通する凹部が、偏心カムとクランク部材との摺動接触面に部分的に形成されている。そのため、偏心カムとクランク部材との摺動接触面のうち、凹部の近傍と凹部から遠い部分とで潤滑剤の供給量にムラが生じてしまい、特に、高粘度の潤滑剤を用いる場合に、潤滑剤の供給が部分的に不足して摩耗劣化が進行するおそれがあった。
また、請求項1に記載の発明において、回転伝達体は駆動源の動力を受けて回転動するものであれば、その形状や動力の伝達構造は特に限定されない。回転伝達体は、例えば、駆動源に直結して連係された円盤状の部材であってもよいし、駆動源に連係する他のギヤに噛合して回転するギヤであってもよい。
また、偏心カムと嵌合リング部との摺動接触面であれば、凹部を偏心カムの外周面に設けてもよいし、嵌合リング部に形成された偏心カムを挿通させる挿通孔の内周面に設けてもよい。
また、クランク部材に形成される潤滑通路は、嵌合リング部に形成されてもよいし、ロッド部に形成されてもよく、さらには嵌合リング部とロッド部とにわたって形成されてもよい。
請求項3に記載の発明は、上記凹部は環状の溝であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、上記偏心カムは上記嵌合リング部の一方の面から他方の面へ貫通しており、上記凹部の少なくとも一部が、上記嵌合リング部の一方の面から他方の面へ貫通してなり、上記第1潤滑通路は上記一方の面に形成され、上記第2潤滑通路は上記他方の面に形成され、上記他方の面を上記回転伝達体に対向させた標準状態の場合には、上記第1潤滑通路と上記第1の室とが連通するとともに上記第2潤滑通路と上記第2の室とが連通し、上記一方の面を上記回転伝達体に対向させた反転状態の場合には、上記第2潤滑通路が上記第1潤滑通路として機能して上記第1の室と連通するとともに、上記第1潤滑通路が上記第2潤滑通路として機能して上記第2の室に連通するように上記第1潤滑通路と上記第2潤滑通路とが前記クランク部材に形成されていること特徴とする。
請求項7に記載の発明においては、クランク部材の嵌合リング部で、凹部がクランク部材の両面を貫通するように形成され、クランク部材を反転させて両面を入れ替えて組み付けても、上記第1の室に満たされた潤滑剤が、凹部を介して第2の室に導かれる。
このように、第1の室から凹部に潤滑剤が吐出されるときに、当該凹部から第2の室へと潤滑剤が吐出されるので、凹部が圧抜きされて、速やかに潤滑剤を凹部へ導くことができる。また、圧力変動が過剰にならずに、潤滑剤の温度が過剰に上昇することなく、粘性の低下による流出を抑えることができ、特に請求項2および5に記載の発明によれば、潤滑通路が少なくとも2つに分けられているので、第1の室の圧力が低下しすぎることなく、凹部へ確実に潤滑剤を供給することができる。
特に請求項7に記載の発明によれば、クランク部材を反転させて両面を入れ替えて組み付けても、第1の室に満たされた潤滑剤が、凹部を介して第2の室に導かれるので、クランク部材に表裏がなくなり、組み間違えによる潤滑装置の機能不全を防止することが可能となる。
図1(a)および図1(b)は、ヘッジトリマHの下面図及び断面図を示している。ヘッジトリマHは、本体ケース1および底面ケース2をボルトで接合してなるケース3を備えている。ケース3には、駆動ギヤ収容室3a、本発明の収容室である従動ギヤ収容室3b、およびブレード収容室3cが連続して形成されており、これら各収容室3a〜3cに各種の部材が収容される。
第1ブレード4および第2ブレード5は、本体ケース1の上面に固定される不図示の駆動源(例えばエンジンや電動モータ等)の駆動力によって作動するが、駆動源の駆動力を第1ブレード4および第2ブレード5に伝達するのが、ケース3に設けられた動力伝達装置10である。
駆動ギヤ11は、図2に示すように、軸部11aと、この軸部11aの先端外周に形成された歯部11bとを有しており、ベアリング20を介して駆動ギヤ収容室3aに回転動自在に支持されている。この駆動ギヤ11は、本体ケース1の上方に固定された駆動源の出力軸が連係され、当該駆動源の動力を受けて回転動することとなる。
なお、本実施形態においては、従動ギヤ12、第1偏心カム13および第2偏心カム14が一体成形されているが、これらを別部材で構成しても構わない。
第1クランク部材15は、第1偏心カム13と厚さを等しくする薄板状の金属部材からなり、ロッド部15aの一端に嵌合リング部15bを有している。嵌合リング部15bには、第1偏心カム13を相対回転可能に挿通する挿通孔15b1が形成されており、第1偏心カム13の外周面と挿通孔15b1の内周面とが接触状態で対面している。一方で、ロッド部15aの他端には、嵌合リング部15bよりも小径の小リング部15cが設けられている。この小リング部15cには、第1ブレード4の基端に設けられた連結ピン4aを相対回転可能に挿通する挿通孔15c1が形成されており、連結ピン4aの外周面と挿通孔16c1の内周面とが接触状態で対面している。
なお、ここでは第1クランク部材15について説明したが、第2クランク部材16も同様に、ロッド部16a、嵌合リング部16bおよび小リング部16cを有している。そして、嵌合リング部16bの挿通孔16b1に第2偏心カム14を相対回転可能に挿通させ、小リング部16cの挿通孔16c1に、第2ブレード5に設けられた連結ピン5aを相対回転可能に挿通させている。
また、すでに説明したとおり、第1偏心カム13および第2偏心カム14は、従動ギヤ12の両面12a,12bにおいて、従動ギヤ12の回転方向に180度位相をずらして設けられている。したがって、第1ブレード4および第2ブレード5は、一方がケース3から突出したときに他方がケース3に没入するといった具合に、常に反対方向に移動する。言い換えれば、第1ブレード4および第2ブレード5は出没を交互に繰り返すこととなり、これにより両ブレード4,5の側辺に設けられた刃が噛み合って、刈り取り作用がもたらされることとなる。
本実施形態においては、第1偏心カム13と第1クランク部材15(挿通孔15b1)との摺動接触面、および第2偏心カム14と第2クランク部材16(挿通孔16b1)との摺動接触面における潤滑性能を向上すべく、第1クランク部材15および第2クランク部材16を次のように構成している。
このように、第1偏心カム13と嵌合リング部15bとの摺動接触面の全周にわたって環状の溝30が形成されることにより、当該環状の溝30に潤滑剤が入り込んで、潤滑性能を向上させることができる。
ここで、図5(a)〜(h)に示すように、ギヤ収容室3bには、本体ケース3の内壁と従動ギヤ12とによって区画される図中斜線で示す室33が、従動ギヤ12の第1の面12a側に形成される。言い換えれば、ギヤ収容室3bが従動ギヤ12によって仕切られた結果、従動ギヤ12の第1の面12a側に室33が形成される。
より詳細には、第1ブレード4の連結ピン4aの軸中心すなわち第1クランク部材15と第1ブレード4との連結部、および、第1偏心カム13の中心を結ぶ線分(仮想線)Lを描いたときに、図5(b)〜(g)に示すとおり、当該線分Lを境にして一方の側に第1の室33aが形成され、他方の側に第2の室33bが形成される。
すでに説明したとおり、室33はグリス等の潤滑剤で満たされているため、上記のようにして第1の室33aの容積が収縮すると、当該第1の室33a内の圧力が上昇する。第1の室33aは、特に図5(f)〜(g)に示す過程でもっとも容積が収縮されることから、この時点で第1の室33a内の圧力がもっとも高くなる。
このように、環状の溝30は、第1潤滑通路31を介して相対的に高圧となる第1の室33aに連通するのと同時に、第2潤滑通路32を介して相対的に低圧となる第2の室33bにも連通するので、環状の溝30の圧抜き効果がもたらされて潤滑剤が供給されやすくなる。
なお、ここでは、従動ギヤ12の第1の面12a側に形成される室33を用いて説明したが、従動ギヤ12の第2の面12b側においても、第2偏心カム14および第2クランク部材16の位置変位によって、上記と同様の作用効果が当然にもたらされる。
しかも、環状の溝30は、容積変化によって高圧になる第1の室33aと、低圧になる第2の室33bとに同時に連通するので、環状の溝30に導かれた潤滑剤が循環しやすくなり、一層潤滑性能を向上させることができる。
また、上記実施形態においては、第1ブレード4および第2ブレード5を同時に往復直線運動させるようにしたが、例えば片刃タイプのヘッジトリマのように、往復直線運動するブレードは1つだけであってもよい。この場合には、従動ギヤ12の片面にのみ偏心カムを設ければよく、こうした場合にも上記と同様にクランク部材を形成することで、上記と同様の作用効果がもたらされる。
このとき、偏心カム13が嵌合リング部15b,16bの一方の面から他方の面へ貫通するとともに、例えば環状の溝30に貫通孔30aを設けるなどして、環状の溝30の少なくとも一部を、嵌合リング部15b,16bの一方の面から他方の面へ貫通させればよい。このようにすれば、クランク部材15,16に表裏がなくなり、組み付けの間違いが生じることがない。
ただし、凹溝を隙間sに臨ませたとしても、例えば隙間sが小さい場合や、凹溝または環状の溝30が大きい場合には、上記のような問題が生じることはないので、このような場合には、凹溝を隙間sに臨ませても何ら問題が生じることはない。
なお、この第3実施形態においては、環状の溝ではなく偏心カム13の一部を切り欠いて凹部13xを形成し、この凹部13xが潤滑通路34を介して両室33a,33bに連通するようにしたが、凹部13xを環状の溝30としてもよいのは当然である。
一方で、環状の溝30や凹部13xを低圧の第2の室33bに連通させる第2潤滑通路32は、いずれに配置しても構わない。例えば、環状の溝30を挟んで第1潤滑通路31に対向する位置、つまり第1潤滑通路31から180度回転した位置に第2潤滑通路32を設ければ、両通路31,32間の距離が、環状の溝30の周方向において均等となり、一層潤滑剤を均等に満遍なくいきわたらせることが期待できる。
2 底面ケース
3 ケース
3a 駆動ギヤ収容室
3b 従動ギヤ収容室
3c ブレード収容室
4 第1ブレード
4a 連結ピン
5 第2ブレード
5a 連結ピン
10 動力伝達装置
11 駆動ギヤ
11a 軸部
11b 歯部
12 従動ギヤ
12a 第1の面
12b 第2の面
13 第1偏心カム
13a 回転軸挿通孔
13x 凹部
14 第2偏心カム
14a 回転軸挿通孔
15 第1クランク部材
15a ロッド部
15b 嵌合リング部
15b1 挿通孔
15c 小リング部
15c1 挿通孔
16 第2クランク部材
16a ロッド部
16b 嵌合リング部
16b1 挿通孔
16c 小リング部
16c1 挿通孔
20 ベアリング
21 軸孔
22 回転軸
30 環状の溝
31 第1潤滑通路
32 第2潤滑通路
33 室
33a 第1の室
33b 第2の室
34 潤滑通路
L ブレードとクランク部材との連結部および偏心カムの中心を結ぶ線分
H ヘッジトリマ
s 偏心カムと本体ケースとの間に形成される隙間
Claims (8)
- 所定の作業を行うブレードが往復動自在に支持されたケースと、
該ケースに形成される収容室に回転動自在に収容され、駆動源の動力を受けて回転動する回転伝達体と、
該回転伝達体に設けられた偏心カムと、
該偏心カムに一端が摺動自在に連結され、上記ブレードに他端が連結され、上記回転伝達体の回転運動を上記ブレードの往復運動に変換するクランク部材と、を備え、
上記クランク部材は、上記偏心カムに摺動自在に挿通される嵌合リング部と、該嵌合リング部に連続するとともに上記ブレードが連結されるロッド部とを有し、
上記収容室に満たされた潤滑剤が、上記クランク部材の揺動にともなって上記偏心カムと嵌合リング部との摺動接触面に導かれる作業装置の潤滑構造において、
上記収容室は、上記クランク部材の揺動過程で、上記ロッド部におけるブレードとの連結部および上記嵌合リング部の中心を結ぶ線分を境にして一方の側に形成される第1の室と、上記線分を境にして他方の側に形成される第2の室とに仕切られ、上記回転伝達体の回転に応じて、上記第1の室の容積は縮小し、上記第2の室の容積は拡大し、
上記偏心カムと嵌合リング部との摺動接触面には凹部が形成され、
上記凹部を介して上記第1の室と上記第2の室とが連通する潤滑通路が上記クランク部材に形成され、
上記回転伝達体の回転により少なくとも上記第1の室の容積が略最小となるタイミングで、上記凹部を介して上記第1の室と上記第2の室とが連通することで、上記第1の室に満たされた潤滑剤が、上記凹部を介して上記第2の室に導かれることを特徴とする作業装置の潤滑構造。 - 上記第1の室と第2の室とを連通する上記潤滑通路は、上記凹部を介して上記第1の室に開口する第1潤滑通路と、上記第2の室に開口する第2潤滑通路とによって構成されることを特徴とする請求項1に記載の作業装置の潤滑構造。
- 上記凹部は環状の溝であることを特徴とする請求項1または2に記載の作業装置の潤滑構造。
- 所定の作業を行うブレードが往復動自在に支持されたケースと、
該ケースに形成される収容室に回転動自在に収容され、駆動源の動力を受けて回転動する回転伝達体と、
該回転伝達体に設けられた偏心カムと、
該偏心カムに一端が摺動自在に連結され、上記ブレードに他端が連結され、上記回転伝達体の回転運動を上記ブレードの往復運動に変換するクランク部材と、を備え、
上記クランク部材は、上記偏心カムに摺動自在に挿通される嵌合リング部と、該嵌合リング部に連続するとともに上記ブレードが連結されるロッド部とを有し、
上記収容室に満たされた潤滑剤が、上記クランク部材の揺動にともなって上記偏心カムと嵌合リング部との摺動接触面に導かれる作業装置の潤滑構造において、
上記偏心カムの外周面と、上記外周面に対面する嵌合リング部の内周面との摺動接触面には環状の溝からなる凹部が形成され、
上記クランク部材には、少なくとも上記偏心カムの径方向外方に位置する収容室の空間と上記環状の溝とを連通する潤滑通路が形成され、
該潤滑通路を介して収容室に満たされた潤滑剤が上記環状の溝に導かれることを特徴とする作業装置の潤滑構造。 - 上記収容室は、上記クランク部材の揺動過程で、上記ロッド部とブレードとの連結部および上記偏心カムの中心を結ぶ線分を境にして一方の側に形成される第1の室と、上記線分を境にして他方の側に形成される第2の室とに仕切られ、上記潤滑通路は、上記凹部を介して上記第1の室に開口する第1潤滑通路と、上記第2の室に開口する第2潤滑通路とによって構成されることを特徴とする請求項4に記載の作業装置の潤滑構造。
- 上記環状の溝は、上記クランク部材の嵌合リング部に設けられたことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の作業装置の潤滑構造。
- 上記偏心カムは上記嵌合リング部の一方の面から他方の面へ貫通しており、
上記凹部の少なくとも一部が、上記嵌合リング部の一方の面から他方の面へ貫通してなり、
上記第1潤滑通路は上記一方の面に形成され、上記第2潤滑通路は上記他方の面に形成され、
上記他方の面を上記回転伝達体に対向させた標準状態の場合には、上記第1潤滑通路と上記第1の室とが連通するとともに上記第2潤滑通路と上記第2の室とが連通し、
上記一方の面を上記回転伝達体に対向させた反転状態の場合には、上記第2潤滑通路が上記第1潤滑通路として機能して上記第1の室と連通するとともに、上記第1潤滑通路が上記第2潤滑通路として機能して上記第2の室に連通するように上記第1潤滑通路と上記第2潤滑通路とが前記クランク部材に形成されていること特徴とする請求項2または5に記載の作業装置の潤滑構造。 - 上記駆動源に連係し、該駆動源からの動力を受けて回転動する駆動ギヤを備え、上記回転伝達体は、上記駆動ギヤに噛合する従動ギヤによって構成されてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の作業装置の潤滑構造。
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