JP2015197044A - ロータリ圧縮機 - Google Patents

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Takashi Kamikawa
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Abstract

【課題】低速回転での運転を実現しつつ、圧縮機構及び軸受に油が確実に供給されやすいロータリ圧縮機を提供する。
【解決手段】ロータリ圧縮機は、下部に油溜空間SLが形成されたケーシング20、シリンダ51,53、シリンダ内に吸入圧縮室を形成するピストン52,54、ピストンと連結されるシャフト40、及びシャフトを軸支する上部軸受60を備える。シャフトには、上部軸受と接触する第1接触面41aが形成され、第1接触面には、その上部からシリンダまで下方に延びる油溝60bが形成される。シャフト内部には、油溜空間の油Lが流れる給油主経路82、給油主経路から吸入圧縮室へと向かって油が流れる第2,第3給油副経路83b,83c、及び油溝の上部と連通する第1給油副経路83aが形成される。第1給油副経路から供給された第1圧力の油は、第1圧力より小さな圧力の吸入圧縮室に向かって、油溝を下方に流れる。
【選択図】図2

Description

本発明は、ロータリ圧縮機に関する。
従来、ロータリ圧縮機の圧縮機構と圧縮機構の上方及び下方に配置される上部及び下部軸受とを潤滑するため、遠心ポンプ作用及び/又は粘性ポンプ作用を利用した給油が行われている。例えば、特許文献1(特開平10−47281号公報)には、ケーシング下部に溜められた油が、粘性ポンプ作用により、圧縮機構及び軸受に供給される構成が開示されている。また、例えば、特許文献2(特開平7−145796号公報)には、ケーシング下部に溜められた油が、遠心ポンプ作用により、圧縮機構及び軸受に供給される構成が開示されている。
ところで、現在、1台の圧縮機で幅広い負荷に対応することを目的として、従来よりも低速回転で運転可能なロータリ圧縮機のニーズが高まりつつある。
しかしながら、低速回転でロータリ圧縮機の運転が行われる場合に、遠心ポンプ作用や粘性ポンプ作用を利用して圧縮機構及び軸受に給油を行おうとすると、遠心ポンプ作用や粘性ポンプ作用による給油量は回転数にほぼ比例することから、圧縮機構及び軸受への油の供給が不十分となる可能性がある。また、下記のような理由から、特に、軸受への油の給油は不十分になりやすい。
通常、ロータリ圧縮機では、図5のように、主に遠心ポンプ作用や粘性ポンプ作用により矢印Aのような経路で軸受へ、遠心ポンプ作用や粘性ポンプ作用に加え、油溜空間と吸入圧縮室との圧力差により矢印Bのような経路で圧縮機構へ、それぞれ給油が行われる。そして、圧縮機が低速回転で運転されると、遠心ポンプ作用や粘性ポンプ作用による油の移送力が小さくなり、矢印Aの方向への油の移送力に比べ、矢印Bの方向への油の移送力が相対的に大きくなる。その結果、本来軸受に供給されるべき油も、矢印Bの方向へ、すなわち圧縮機構へ移送されやすくなり、軸受への油の供給が困難になりうる。
本発明の課題は、低速回転での運転を実現しつつ、圧縮機構及び軸受に油が確実に供給されやすく、焼き付きや磨耗が防止されるロータリ圧縮機を提供することにある。
本発明の第1観点に係るロータリ圧縮機は、ケーシングと、シリンダと、ピストンと、シャフトと、上部軸受と、を備える。シリンダは、ケーシング内に配置される。ピストンは、シリンダ内に吸入圧縮室を形成する。シャフトは、ピストンと連結される。上部軸受は、シリンダの上方に配され、シャフトを軸支する。ケーシングの下部には、高圧の吸入圧縮室と少なくとも一定期間連通し、第1圧力の油が溜められる油溜空間が形成される。シャフトには、上部軸受と接触する第1接触面が形成される。第1接触面、及び、上部軸受の第1接触面と対向する上部軸受側接触面の少なくとも一方には、第1接触面の上部からシリンダまで下方に延びる第1油溝が形成される。シャフトの内部には、油溜空間と連通し、油溜空間に溜められた油が上方に向かって流れる給油主経路と、給油主経路から吸入圧縮室へと向かって油が流れる第1分岐路と、給油主経路と第1油溝の上部とを連通する第2分岐路と、が形成される。第2分岐路から第1油溝の上部に供給された第1圧力の油は、第1圧力より小さな圧力の吸入圧縮室に向かって、第1油溝を下方に流れる。
ここでは、油溜空間と吸入圧縮室との圧力差を駆動力として、油溜空間の油が、シャフト及び上部軸受の少なくとも一方に形成された第1油溝の上部に供給される。第1油溝の上部に供給された油は、吸入圧縮室に向かって、第1油溝を下方に移動し、シャフトと上部軸受との摺接面を潤滑する。そのため、ロータリ圧縮機が低速回転で運転される場合にも、確実に上部軸受に油が供給されやすい。その結果、低速回転での運転を実現しつつ、シャフトと上部軸受との摺接面の焼き付き等の異常を防止できる。
本発明の第2観点に係るロータリ圧縮機は、第1観点に係るロータリ圧縮機であって、第1油溝の上部と上部軸受の上方に形成される高圧空間とが、気密状態で区画される。
ここでは、上部軸受の上方に形成される高圧空間から給油経路への冷媒の流入を防止でき、圧縮機構及び上部軸受に十分な量の油を供給することが容易になる。その結果、シャフトと上部軸受との摺接面の焼き付き等の異常が防止されやすい。
本発明の第3観点に係るロータリ圧縮機は、第1観点又は第2観点に係るロータリ圧縮機であって、第1油溝は、シャフトの回転により油を下方に移動させるように、螺旋状に形成される。
ここでは、第1油溝の上部に供給された油は、油溜空間と吸入圧縮室の圧力差に加え、いわゆる粘性ポンプ作用によっても吸入圧縮室まで移送され、より確実に上部軸受に油が供給されやすい。その結果、シャフトと上部軸受との摺接面の焼き付き等の異常を防止できる。
本発明の第4観点に係るロータリ圧縮機は、第1観点から第3観点のいずれかに係るロータリ圧縮機であって、下部軸受を更に備える。下部軸受は、シリンダの下方に配され、シャフトを軸支する。シャフトには、下部軸受と接触する第2接触面が更に形成される。第2接触面、及び、下部軸受の第2接触面と対向する下部軸受側接触面の少なくとも一方には、第2接触面の下部からシリンダまで上方に延びる第2油溝が形成される。シャフトの内部には、給油主経路と第2油溝の下部とを連通する第3分岐路が更に形成される。第3分岐路から第2油溝の下部に供給された第1圧力の油は、第1圧力より小さな圧力の吸入圧縮室に向かって、第2油溝を上方に流れる、
ここでは、油溜空間と吸入圧縮室との圧力差を駆動力として、油溜空間の油が、シャフト及び下部軸受の少なくとも一方に形成された第2油溝の下部に供給される。第2油溝の下部に供給された油は、吸入圧縮室に向かって、第2油溝を上方に移動し、シャフトと下部軸受との摺接面を潤滑する。そのため、ロータリ圧縮機が低速回転で運転される場合にも、確実に下部軸受に油が供給されやすい。その結果、低速回転での運転を実現しつつ、シャフトと下部軸受との摺接面の焼き付き等の異常を防止できる。
本発明の第5観点に係るロータリ圧縮機は、第4観点に係るロータリ圧縮機であって、第2油溝は、シャフトの回転により油を上方に移動させるように、螺旋状に形成される。
ここでは、第2油溝の下部に供給された油は、油溜空間と吸入圧縮室の圧力差に加え、粘性ポンプ作用によっても吸入圧縮室まで移送され、より確実に下部軸受に油が供給されやすい。その結果、シャフトと下部軸受との摺接面の焼き付き等の異常を防止できる。
本発明の第6観点に係るロータリ圧縮機は、第1観点から第5観点のいずれかに係るロータリ圧縮機であって、シャフトには、ピストンと接触する第3接触面が形成される。第3接触面には、第1分岐路と連通する第1開口が形成される。
ここでは、ピストンとシャフトの摺接面に第1分岐路と連通する第1開口が形成されるため、ピストンと吸入圧縮室との摺接面に確実に油が供給されやすい。
本発明に係るロータリ圧縮機では、油溜空間と吸入圧縮室との圧力差を駆動力として、油溜空間の油が、シャフト及び上部軸受の少なくとも一方に形成された第1油溝の上部に供給される。第1油溝の上部に供給された油は、吸入圧縮室に向かって、第1油溝を下方に移動し、シャフトと上部軸受との摺接面を潤滑する。そのため、ロータリ圧縮機が低速回転で運転される場合にも、確実に上部軸受に油が供給されやすい。その結果、低速回転での運転を実現しつつ、シャフトと上部軸受との摺接面の焼き付き等の異常を防止できる。
本発明の実施形態に係るロータリ圧縮機の概略構成図である。 図1のロータリ圧縮機に係る給油経路周辺の拡大図である。なお、図2では、第1給油副経路から油溝に供給された油の移動方向と、第4給油副経路から油溝に供給された油の移動方向とを、それぞれ下向き、上向きの矢印で表現しているが、実際には、第1給油副経路から油溝に供給された油は主に上部軸受の油溝内を下方に、第4給油副経路から油溝に供給された油は主に下部軸受の油溝内を上方にそれぞれ移動する。 図1のIII−III矢視におけるフロントシリンダ部分の概略断面図である。 図1のIV−IV矢視におけるリアシリンダ部分の概略断面図である。 従来のロータリ圧縮機における軸受及び圧縮機構への給油を説明する図である。
以下、本実施形態のロータリ圧縮機の構成について説明する。なお、下記の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
(1)全体構成
本実施形態に係るロータリ圧縮機10は、空気調和装置の室外機に使用される。ロータリ圧縮機10は、図1に示されるように、主に、ケーシング20、駆動モータ30、シャフト40、ロータリ圧縮機構50、上部軸受60、下部軸受70を含んで構成される。
ケーシング20内には、駆動モータ30とロータリ圧縮機構50とが、シャフト40によって連結されて配置される。また、ケーシング20内には、ロータリ圧縮機構50を挟むように上部軸受60及び下部軸受70が配置される。
ロータリ圧縮機10について以下に詳述する。なお、以下の説明では、特に断りの無い場合、図1中の矢印Uの方向を上として方向の説明を行う。
(2)詳細構成
(2−1)ケーシング
ロータリ圧縮機10のケーシング20は、図1のように、上下が開口した円筒形状の胴部21と、胴部21の上方に設けられた上蓋22aと、胴部21の下方に設けられた下蓋22bと、を有する。
胴部21の下部には、図1のように、アキュムレータ100内の冷媒を、ロータリ圧縮機構50が圧縮する流体として吸入する2本の吸入管23が、胴部21の下部側面を貫通して設けられる。ケーシング20の上部には、図1のように、圧縮後の冷媒を吐出する吐出管24が、上蓋22aを貫通して設けられる。
ケーシング20内には、図1のように、主に、駆動モータ30と、駆動モータ30の下方に配置されるロータリ圧縮機構50と、駆動モータ30とロータリ圧縮機構50とを連結するシャフト40と、ロータリ圧縮機構50の上方及び下方に配置され、シャフト40を軸支する、上部軸受60及び下部軸受70と、が収容される。シャフト40は、胴部21の中心線に沿って、上下方向に延びるように配置される。
また、ケーシング20の底部には、図1のように、油Lを貯留する油溜空間SLが形成される。油Lは、ロータリ圧縮機構50や、上部軸受60及び下部軸受70等の潤滑に用いられる。
なお、本実施形態に係るロータリ圧縮機10は、いわゆる高圧ドーム型の圧縮機であって、油溜空間SLは、後述するフロントシリンダ51の高圧側の吸入圧縮室S1b及びリアシリンダ53の高圧側の吸入圧縮室S2bに、高圧空間S3を介して連通し、高圧(略吐出圧)になる。
(2−2)駆動モータ
駆動モータ30は、下方に配置されるロータリ圧縮機構50を駆動するために設けられる。駆動モータ30は、低速から高速まで、幅広い速度領域で運転される。
駆動モータ30は、図1のように、固定子31と回転子32とを含んで構成される。固定子31は、環状の部材であり、ケーシング20の胴部21の内壁面に固定されている。回転子32は、固定子31の内部空間に、固定子31とエアギャップ空間Gを介して回転自在に配置されている。回転子32の中央部には、上下方向に延びるシャフト40の主軸41の上部が固定され、回転子32とシャフト40とが連結される。駆動モータ30は、固定子31と回転子32との間に発生する磁力により回転子32を回転させ、シャフト40を介して、ロータリ圧縮機構50を駆動する。
(2−3)シャフト
シャフト40は、図1のように、ケーシング20の胴部21の中心軸に沿って延びる円柱状の主軸41と、主軸41に対して偏心している偏心部42とを有する。また、シャフト40には、図1のように、油溜空間SLに溜められた油Lを、ロータリ圧縮機構50、上部軸受60及び下部軸受70に供給するための給油経路80が形成されている。
主軸41は、図2のように、上部軸受60と接触する第1接触面41aと、下部軸受70と接触する第2接触面41bとを有する。
偏心部42は、図2のように、第1偏心部42aと、第1偏心部42aと180°位相をずらして偏心された第2偏心部42bとを有する。
第1偏心部42aは、図2のように、後述するロータリ圧縮機構50のフロントシリンダ51内に配置されるピストン52の、環状のピストン本体部52aの内部に、回転自在に嵌合している。つまり、シャフト40は、第1偏心部42aを介してピストン52と連結される。第1偏心部42aには、ピストン本体部52aの内面と接触する第3接触面42aaが形成される。
第2偏心部42bは、図2のように、後述するロータリ圧縮機構50のリアシリンダ53内に配置されるピストン54の、環状のピストン本体部54aの内部に、回転自在に嵌合している。つまり、シャフト40は、第2偏心部42bを介してピストン54と連結される。第2偏心部42bには、ピストン本体部54aの内面と接触する第4接触面42baが形成される。
給油経路80は、図2のように、吸込部81と、給油主経路82と、第1〜第4給油副経路83a,83b,83c,83dと、を有する。吸込部81は、中空であり、油溜空間SL内に下端が配置され、主軸41まで上方に延びる。給油主経路82は、シャフト40の内部に形成され、吸込部81を介して油溜空間SLと連通し、ケーシング20の胴部21の中心軸に沿って第1接触面41aの上端付近まで延びる。第1〜第4給油副経路83a,83b,83c,83dは、給油主経路82からシャフト40の径方向に延びる。
第1給油副経路83aは、第2分岐路の一例である。第1給油副経路83aは、図2のように、主軸41内を、給油主経路82から、上部軸受60と接触する第1接触面41aの上部までシャフト40の径方向に延びる。第1接触面41aの上部には、第1給油副経路83aと連通する開口83aaが形成される。第1給油副経路83aは、給油主経路82と、後述する上部軸受60の上部軸受内面60aに形成された油溝60bの上部とを連通する。第1給油副経路83aは、シャフト40が回転すると、1回転あたり所定の期間、給油主経路82と油溝60bとを連通する。
第2給油副経路83bは、第1分岐路の一例である。第2給油副経路83bは、図2及び図3のように、第1偏心部42aの上下方向の中心付近を、給油主経路82から第1偏心部42aの第3接触面42aaまでシャフト40の径方向に延びる。第3接触面42aaには、第2給油副経路83bと連通する開口83baが形成される。第2給油副経路83bを流れる油Lは、後述するように低圧又は中間圧の吸入圧縮室S1a,S1bに向かって流れる。つまり、第2給油副経路83bは、吸入圧縮室S1a,S1bと、ピストン52の端面と後述するフロントヘッド56及びミドルプレート55との隙間を介して、連通している。
第3給油副経路83cは、第1分岐路の一例である。第3給油副経路83cは、図2及び図4のように、第2偏心部42bの上下方向の中心付近を、給油主経路82から第2偏心部42bの第4接触面42baまでシャフト40の径方向に延びる。第4接触面42baには、第3給油副経路83cと連通する開口83caが形成される。第3給油副経路83cを流れる油Lは、後述するように低圧又は中間圧の吸入圧縮室S2a,S2bに向かって流れる。つまり、第3給油副経路83cは、吸入圧縮室S2a,S2bと、ピストン54の端面と後述するミドルプレート55及びリアヘッド57との隙間を介して、連通している。
第4給油副経路83dは、第3分岐路の一例である。第4給油副経路83dは、図2のように、主軸41内を、給油主経路82から、下部軸受70と接触する第2接触面41bの下部までシャフト40の径方向に延びる。第2接触面41bの下部には、第4給油副経路83dと連通する開口83daが形成される。第4給油副経路83dは、給油主経路82と、後述する下部軸受70の下部軸受内面70aに形成された油溝70bの下部とを連通する。第4給油副経路83dは、シャフト40が回転すると、1回転あたり所定の期間、給油主経路82と油溝70bとを連通する。
なお、給油経路80は、後述する上部軸受60の上方の高圧空間S3とは直接連通しない。言い換えれば、油溝60bの上部と、上部軸受60の上方に形成される高圧空間S3とは、気密状態で区画される。
(2−4)ロータリ圧縮機構
ロータリ圧縮機構50は、2つのシリンダを有する2シリンダ型の圧縮機構である。ロータリ圧縮機構50は、吸入管23から吸入された冷媒を圧縮して吐出する。
ロータリ圧縮機構50は、図1のように、フロントシリンダ51、ピストン52、リアシリンダ53、ピストン54、ミドルプレート55、フロントヘッド56、リアヘッド57、フロントマフラ58、及びリアマフラ59を主に有する。リアシリンダ53及びピストン54は、フロントシリンダ51の下方に配置される。ミドルプレート55は、フロントシリンダ51とリアシリンダ53との間に配置される。フロントヘッド56及びリアヘッド57は、フロント及びリアシリンダ51,53を上下から挟むように設けられている。フロントマフラ58は、フロントヘッド56の上方に配置される。リアマフラ59は、リアヘッド57の下方に配置される。
以下に、各構成について詳細を説明する。
(2−4−1)フロントシリンダ
フロントシリンダ51には、図3のように、シリンダ空間S1、吸入孔51a、ブッシュ収容孔51b、及びブレード収容孔51cが形成されている。
シリンダ空間S1は、フロントシリンダ51、フロントヘッド56及びミドルプレート55により周囲を囲まれる空間である(図2参照)。シリンダ空間S1内には、ピストン52が配置され、ピストン52により、吸入孔51aが連通する低圧側の吸入圧縮室S1aと、後述するフロントヘッド56に形成された吐出孔56aが連通する高圧側の吸入圧縮室S1bとが区画される。
吸入孔51aは、フロントシリンダ51を径方向に貫通し、吸入管23と低圧側の吸入圧縮室S1aとを連通する。
ブッシュ収容孔51bは、フロントシリンダ51を板圧方向に貫通する円柱状の孔である。ブッシュ収容孔51bには、一対の半円形状のブッシュ511が、後述するピストン52のブレード52bを挟み込むように収容される。ブッシュ511は、フロントシリンダ51に対して揺動可能に取り付けられている。
ブレード収容孔51cはフロントシリンダ51を板圧方向に貫通する円柱状の孔であり、ブッシュ収容孔51bと連通している。
(2−4−2)ピストン
ピストン52は、フロントシリンダ51内に配置され、フロントシリンダ51のシリンダ空間S1内に低圧側及び高圧側の吸入圧縮室S1a,S1bを形成する(図3参照)。ピストン52が、偏心回転運動することで、低圧側の吸入圧縮室S1aに吸引された冷媒が、高圧側の吸入圧縮室S1bで圧縮される。
ピストン52は、図3のように、環状のピストン本体部52aと、ピストン本体部52aから径方向外向きに延びる平板状のブレード52bと、を有する。
ピストン本体部52aには、シャフト40の第1偏心部42aが挿嵌される。シャフト40が回転すると、ブレード52bは揺動すると同時に長手方向に沿って進退運動を行い、ピストン本体部52aはフロントシリンダ51の内周面と摺接しながら偏心回転運動を行う。この時、吸入管23から低圧側の吸入圧縮室S1aに吸入された冷媒は、ピストン本体部52aにより高圧側の吸入圧縮室S1bにおいて圧縮され、後述するフロントヘッド56に形成された吐出孔56aから、後述するマフラ空間S4に吐出される。
(2−4−3)リアシリンダ
リアシリンダ53には、図4のように、シリンダ空間S2、吸入孔53a、ブッシュ収容孔53b、及びブレード収容孔53cが形成されている。
シリンダ空間S2は、リアシリンダ53、リアヘッド57及びミドルプレート55により周囲を囲まれる空間である(図2参照)。シリンダ空間S2内には、ピストン54が配置され、ピストン54により、吸入孔53aが連通する低圧側の吸入圧縮室S2aと、後述するリアヘッド57に形成された吐出孔57aが連通する高圧側の吸入圧縮室S2bとが区画される。
吸入孔53aは、リアシリンダ53を径方向に貫通し、吸入管23と低圧側の吸入圧縮室S2aとを連通する。
ブッシュ収容孔53bは、リアシリンダ53を板圧方向に貫通する円柱状の孔である。ブッシュ収容孔53bには、一対の半円形状のブッシュ531が、後述するピストン54のブレード54bを挟み込むように収容される。ブッシュ531は、リアシリンダ53に対して揺動可能に取り付けられている。
ブレード収容孔53cはリアシリンダ53を板圧方向に貫通する円柱状の孔であり、ブッシュ収容孔53bと連通している。
(2−4−4)ピストン
ピストン54は、リアシリンダ53内に配置され、リアシリンダ53のシリンダ空間S2内に低圧側及び高圧側の吸入圧縮室S2a,S2bを形成する。ピストン54が、偏心回転運動することで、低圧側の吸入圧縮室S2aに吸引された冷媒が、高圧側の吸入圧縮室S2bで圧縮される。
ピストン54は、図4のように、環状のピストン本体部54aと、ピストン本体部54aから径方向外向きに延びる平板状のブレード54bと、を有する。
ピストン本体部54aには、シャフト40の第2偏心部42bが挿嵌される。シャフト40が回転すると、ブレード54bは揺動すると同時に長手方向に沿って進退運動を行い、ピストン本体部54aはリアシリンダ53の内周面と摺接しながら偏心回転運動を行う。この時、吸入管23から低圧側の吸入圧縮室S2aに吸入された冷媒は、ピストン本体部54aにより高圧側の吸入圧縮室S2bにおいて圧縮され、後述するリアヘッド57に形成された吐出孔57aから、後述するマフラ空間S5に吐出される。
(2−4−5)ミドルプレート
ミドルプレート55は、図1のように、フロントシリンダ51とリアシリンダ53との間に配置される。ミドルプレート55は、フロントシリンダ51のシリンダ空間S1の下方の開口を閉塞し、リアシリンダ53のシリンダ空間S2の上方の開口を閉塞する。
(2−4−6)フロントヘッド
フロントヘッド56は、フロントシリンダ51の上方に配置される(図1参照)。フロントヘッド56は、フロントシリンダ51のシリンダ空間S1の上方の開口を閉塞する。また、フロントヘッド56には、上下方向に延びるシャフト40を軸支する上部軸受60が一体に形成されている。上部軸受60については後述する。
フロントヘッド56には、ピストン52の偏心回転駆動によって圧縮された高圧側の吸入圧縮室S1b内の冷媒を、後述するマフラ空間S4に吐出させるための吐出孔56aが形成されている(図3参照)。吐出孔56aは、フロントヘッド56を上下方向に貫通するように形成される。吐出孔56aの上方には、図示しない吐出弁が配置される。
(2−4−7)リアヘッド
リアヘッド57は、リアシリンダ53の下方に配置される(図1参照)。リアヘッド57は、リアシリンダ53のシリンダ空間S2の下方の開口を閉塞する。また、リアヘッド57には、上下方向に延びるシャフト40を軸支する下部軸受70が一体に形成されている。下部軸受70については後述する。
リアヘッド57には、ピストン54の偏心回転駆動によって圧縮された高圧側の吸入圧縮室S2b内の冷媒を、後述するマフラ空間S5に吐出させるための吐出孔57aが形成されている(図4参照)。吐出孔57aは、リアヘッド57を上下方向に貫通するように形成される。吐出孔57aの下方には、図示しない吐出弁が配置される。
(2−4−8)フロントマフラ
フロントマフラ58は、フロントヘッド56の上方に設けられ、フロントマフラ58とフロントヘッド56との間にマフラ空間S4を形成する(図2参照)。マフラ空間S4が形成されることで、高圧側の吸入圧縮室S1bからの冷媒の吐出に伴う騒音が低減される。
フロントマフラ58には、マフラ空間S4から冷媒を吐出するため、図示しない吐出孔が形成されている。マフラ空間S4内の冷媒は、図示しない吐出孔を通過して、フロントマフラ58の上方、すなわちフロントヘッド56の上方の高圧空間S3に吐出される。高圧空間S3に吐出された冷媒は、駆動モータ30の固定子31と回転子32との間のエアギャップ空間Gを通過して、ケーシング20内を上方に移動し、吐出管24から吐出される。
(2−4−9)リアマフラ
リアマフラ59は、リアヘッド57の下方に設けられ、リアマフラ59とリアヘッド57との間にマフラ空間S5を形成する(図2参照)。マフラ空間S5が形成されることで、高圧側の吸入圧縮室S2bからの冷媒の吐出に伴う騒音が低減される。
マフラ空間S5の冷媒は、リアヘッド57、リアシリンダ53、ミドルプレート55、フロントシリンダ51及びフロントヘッド56を連通して形成される、図示しない連通孔を通って、マフラ空間S4に流入する。
(2−5)上部軸受
上部軸受60は、フロントシリンダ51と隣接するフロントヘッド56と一体に形成され、上下方向に延びるシャフト40を軸支する。上部軸受60の中央の開口部にシャフト40が挿嵌される。
上部軸受60は、図2のように、主軸41の第1接触面41aと対向し、第1接触面41aと接触する上部軸受内面60aを有する。上部軸受内面60aには、雌ネジのような螺旋状の油溝60bが、第1接触面41aの上部の第1給油副経路83aの開口83aa付近から、第1偏心部42aの配置されるフロントシリンダ51まで形成されている。油溝60bは、第1油溝の一例である。油溝60bは、第1給油副経路83aから供給された油Lを、シャフト40の回転により下方へ移動させるように、螺旋状に形成される。言い換えれば、油溝60bは、シャフト40の回転方向に沿って油溝60bをたどった時に、油溝60bが下方に遠ざかるように形成される。第1給油副経路83aから油溝60bの上部に供給された高圧の(第1圧力の)油が、低圧又は中間圧の(第1圧力より小さな圧力の)吸入圧縮室S1a,S1b,S2a,S2bに向かって、油溝60bを下方に流れる。
(2−6)下部軸受
下部軸受70は、リアシリンダ53と隣接するリアヘッド57と一体に形成され、上下方向に延びるシャフト40を軸支する。下部軸受70の中央の開口部にシャフト40が挿嵌される。
下部軸受70は、図2のように、主軸41の第2接触面41bと対向し、第2接触面41bと接触する下部軸受内面70aを有する。下部軸受内面70aには、雌ネジのような螺旋状の油溝70bが、第2接触面41bの下部の第4給油副経路83dの開口83da付近から、第2偏心部42bの配置されるリアシリンダ53まで形成されている。油溝70bは、第2油溝の一例である。油溝70bは、第4給油副経路83dから供給された油Lを、シャフト40の回転により上方へ移動させるように、螺旋状に形成される。言い換えれば、油溝70bは、シャフト40の回転方向に沿って油溝70bをたどった時に、油溝70bが上方に遠ざかるように形成される。第4給油副経路83dから油溝70bの下部に供給された高圧の(第1圧力の)油が、低圧又は中間圧の(第1圧力より小さな圧力の)吸入圧縮室S1a,S1b,S2a,S2bに向かって、油溝70bを上方に流れる。
(3)ロータリ圧縮機の動作
以下に、ロータリ圧縮機10の運転動作及び給油動作について説明する。
(3−1)運転動作
駆動モータ30が起動され回転子32が回転すると、シャフト40も回転し、シャフト40の第1偏心部42a及び第2偏心部42bに連結されるピストン52及びピストン54が駆動される。その結果、フロントシリンダ51及びリアシリンダ53内の冷媒が圧縮され、マフラ空間S4,S5に吐出される。
より具体的に、吸入圧縮室S1a,S1b内での冷媒の圧縮について、図3を用いて説明する。なお、ここでは、吸入圧縮室S1a,S1bにおける冷媒の圧縮についてのみ記載するが、吸入圧縮室S2a,S2bにおける冷媒の圧縮についても同様である。
回転子32が回転され、シャフト40が回転すると、第1偏心部42aの第3接触面42aaが、環状のピストン本体部52aの内周面と摺接する。そして、ピストン52のブレード52bは揺動すると同時に長手方向に沿って進退運動を行い、ピストン本体部52aは偏心回転運動を行う。ピストン本体部52aの外周面は、フロントシリンダ51の内周面と摺接する。
この際、フロントシリンダ51内に、吸入孔51aと連通する低圧側の吸入圧縮室S1aが区画され、アキュムレータ100から冷媒が吸引される。また、同時に吐出孔56aと連通する高圧側の吸入圧縮室S1bでは冷媒が圧縮され、所定の圧力になると、吐出孔56aの上方に配置される吐出弁を押し上げて冷媒がマフラ空間S4内に吐出される。マフラ空間S4に吐出された冷媒は、フロントヘッド56の上方に形成される高圧空間S3に流入し、駆動モータ30の固定子31と回転子32との間のエアギャップ空間Gを通過してケーシング20内を上方に移動し、吐出管24から吐出される。
なお、リアシリンダ53の吸入圧縮室S2a,S2bからマフラ空間S5に吐出された冷媒は、一旦マフラ空間S4に流入し、マフラ空間S4から上記と同じ経路を通って吐出管24から吐出される。
(3−2)給油動作
給油経路80では、第1圧力の油溜空間SLとフロントシリンダ51の吸入圧縮室S1a,S1bとの圧力差、及び、第1圧力の油溜空間SLとリアシリンダ53の吸入圧縮室S2a,S2bとの圧力差を駆動力として、油Lが移送される。
具体的には、高圧の吸入圧縮室S1b,S2bから冷媒が流入する高圧空間S3と連通する油溜空間SLの第1圧力は、定常時には高圧(略吐出圧)になり、第1圧力より小さな圧力の(すなわち低圧(吸入圧)又は中間圧である)吸入圧縮室S1a,S1b及び、第1圧力より小さな圧力の(すなわち低圧(吸入圧)又は中間圧である)吸入圧縮室S2a,S2bに向かって油Lが移送される。なお、中間圧とは、吸入圧と吐出圧との中間の圧力であり、吸入圧縮室S1b,S2bでの、圧縮途中にある冷媒の圧力である。
油Lは、概ね図2に示される経路Rに沿って移動する。
上記のように、油溜空間SLに溜められた第1圧力の油Lは、圧力差を駆動力として吸込部81から吸い上げられ、給油主経路82を上方に移動する。給油主経路82を流れる油Lは、第1〜第4給油副経路83a,83b,83c,83dに分岐して流れる。
第1給油副経路83aの、第1接触面41aの上部に形成された開口83aaから流出した油Lは、油溝60bを下方に流れる。第4給油副経路83dの、第2接触面41bの下部に形成された開口83daから流出した油Lは、油溝70bを上方に流れる。なお、図2では、第1給油副経路83a及び第4給油副経路83dから流出する油Lの流れる方向を、それぞれ鉛直下向き及び鉛直上向きの矢印で示しているが、実際には、第1給油副経路83aから流出する油Lは、油溝60bを下方に、第4給油副経路83dから流出する油Lは、油溝70bを上方に、それぞれ移動する。
開口83aaから油溝60bを下方に、又は、開口83daから油溝70bを上方に流れた油Lの一部は、第2給油副経路83bの開口83baからピストン52と接する第1偏心部42aの第3接触面42aaへと供給される油Lと共に、油溜空間SLから供給される油Lの圧力よりも圧力の低い、低圧又は中間圧の吸入圧縮室S1a,S1b内に移送される。この際、油Lは、ピストン52の上下の端面と、フロントヘッド56及びミドルプレート55との隙間を通過し、ピストン52の端面と、フロントヘッド56及びミドルプレート55のピストン52の端面との摺接面と、を潤滑する。また、吸入圧縮室S1a,S1b内に流入した油Lは、ピストン本体部52aの外周面と、フロントシリンダ51の内周面とを潤滑する。
また、開口83aaから油溝60bを下方に、又は、開口83daから油溝70bを上方に流れた油Lの一部は、第3給油副経路83cの開口83caからピストン54と接する第2偏心部42bの第4接触面42baへと供給される油Lと共に、油溜空間SLから供給される油Lの圧力よりも圧力の低い、低圧又は中間圧の吸入圧縮室S2a,S2b内に移送される。この際、油Lは、ピストン54の上下の端面と、ミドルプレート55及びリアヘッド57との隙間を通過し、ピストン54の端面と、ミドルプレート55及びリアヘッド57のピストン54の端面との摺接面と、を潤滑する。また、吸入圧縮室S2a,S2b内に流入した油Lは、ピストン本体部54aの外周面と、リアシリンダ53の内周面とを潤滑する。
(4)特徴
(4−1)
本実施形態のロータリ圧縮機10では、ケーシング20と、シリンダとしてフロントシリンダ51及びリアシリンダ53と、ピストン52,54と、シャフト40と、上部軸受60と、を備える。フロントシリンダ51及びリアシリンダ53は、ケーシング20内に配置される。ピストン52,54は、それぞれフロントシリンダ51内、リアシリンダ53内に、吸入圧縮室S1a,S1b、吸入圧縮室S2a,S2bを形成する。シャフト40は、ピストン52,54と連結される。上部軸受60は、フロントシリンダ51の上方に配され、シャフト40を軸支する。ケーシング20の下部には、高圧側の吸入圧縮室S1b,S2bと少なくとも一定期間連通し、第1圧力の油Lが溜められる油溜空間SLが形成される。シャフト40には、上部軸受60と接触する第1接触面41aが形成される。上部軸受60の、第1接触面41aと対向する上部軸受側接触面としての上部軸受内面60aに、第1接触面41aの上部からフロントシリンダ51まで下方に延びる、第1油溝としての油溝60bが形成される。シャフト40の内部には、油溜空間SLと連通し、油溜空間SLに溜められた油Lが上方に向かって流れる給油主経路82と、給油主経路82から吸入圧縮室S1a,S1bへと向かって油が流れる第2給油副経路83bと、給油主経路82から吸入圧縮室S2a,S2bへと向かって油が流れる第3給油副経路83cと、給油主経路82と油溝60bの上部とを連通する第1給油副経路83aと、が形成される。第2給油副経路83b及び第3給油副経路83cは、第1分岐路の一例である。第1給油副経路83aは、第2分岐路の一例である。第1給油副経路83aから油溝60bの上部に供給された第1圧力の油Lは、第1圧力より小さな圧力の吸入圧縮室S1a,S1b、又は、第1圧力より小さな圧力の吸入圧縮室S2a,S2bに向かって、油溝60bを下方に流れる。
ここでは、油溜空間SLと吸入圧縮室S1a,S1b,S2a,S2bとの圧力差を駆動力として、油溜空間SLの油Lが、上部軸受60に形成された油溝60bの上部に供給される。油溝60bの上部に供給された油Lは、吸入圧縮室S1a,S1b,S2a,S2bに向かって、油溝60bを下方に移動し、シャフト40と上部軸受60の摺接面を潤滑する。そのため、遠心ポンプ作用や粘性ポンプ作用により油Lが移送される場合と異なり、ロータリ圧縮機10が低速回転で運転される場合にも、確実に上部軸受60に油Lが供給されやすい。その結果、低速回転での運転を実現しつつ、シャフト40と上部軸受60との摺接面の焼き付き等の異常を防止できる。
(4−2)
本実施形態のロータリ圧縮機10では、油溝60bの上部と、上部軸受60の上方に形成される高圧空間S3とが、気密状態で区画される。
これにより、高圧空間S3から給油主経路82への冷媒の流入を防止でき、ロータリ圧縮機構50及び上部軸受60に十分な量の油Lを供給することが容易になる。その結果、シャフト40と上部軸受60との摺接面の焼き付き等の異常が防止されやすい。
(4−3)
本実施形態のロータリ圧縮機10では、上部軸受60の油溝60bは、シャフト40の回転により油Lを下方に移動させるように、螺旋状に形成される。
これにより、第1接触面41aの上部に供給された油Lは、油溜空間SLと吸入圧縮室S1a,S1b,S2a,S2bとの圧力差に加え、いわゆる粘性ポンプ作用によっても、吸入圧縮室S1a,S1b,S2a,S2bまで移送され、より確実に上部軸受60に油Lが供給されやすい。その結果、シャフト40と上部軸受60との摺接面の焼き付き等の異常を防止できる。
(4−4)
本実施形態のロータリ圧縮機10では、下部軸受70を備える。下部軸受70は、リアシリンダ53の下方に配され、シャフト40を軸支する。シャフト40には、下部軸受70と接触する第2接触面41bが形成される。下部軸受70の第2接触面41bと対向する下部軸受側接触面としての下部軸受内面70aには、第2接触面41bの下部からリアシリンダ53まで上方に延びる第2油溝としての油溝70bが形成される。シャフト40の内部には、給油主経路82と油溝70bの下部とを連通する第4給油副経路83dが形成される。第4給油副経路83dは、第3分岐路の一例である。第4給油副経路83dから油溝70bの下部に供給された第1圧力の油Lは、第1圧力より小さな圧力の吸入圧縮室S1a,S1b、又は、第1圧力より小さな圧力の吸入圧縮室S2a,S2bに向かって、油溝70bを上方に流れる、
ここでは、油溜空間SLと吸入圧縮室S1a,S1b,S2a,S2bとの圧力差を駆動力として、油溜空間SLの油Lが、下部軸受70に形成された油溝70bの下部に供給される。油溝70bの下部に供給された油Lは、吸入圧縮室S1a,S1b,S2a,S2bに向かって、油溝70bを上方に移動し、シャフト40と下部軸受70の摺接面を潤滑する。そのため、遠心ポンプ作用や粘性ポンプ作用により油Lが移送される場合と異なり、ロータリ圧縮機10が低速回転で運転される場合にも、確実に下部軸受70に油Lが供給されやすい。その結果、低速回転での運転を実現しつつ、シャフト40と下部軸受70との摺接面の焼き付き等の異常を防止できる。
(4−5)
本実施形態のロータリ圧縮機10では、油溝70bは、シャフト40の回転により油Lを上方に移動させるように、螺旋状に形成される。
これにより、油溝70bの下部に供給された油Lは、油溜空間SLと吸入圧縮室S1a,S1b,S2a,S2bの圧力差に加え、粘性ポンプ作用によっても吸入圧縮室S1a,S1b,S2a,S2bまで移送され、より確実に下部軸受70に油Lが供給されやすい。その結果、シャフト40と下部軸受70との摺接面の焼き付き等の異常を防止できる。
(4−6)
本実施形態のロータリ圧縮機10では、シャフト40には、ピストン52、54と接触する第3接触面42aa及び第4接触面42baが形成される。第3接触面42aa及び第4接触面42baには、それぞれ第2給油副経路83bと連通する開口83ba、第3給油副経路83cと連通する開口83ca、が形成される。
これにより、ピストン52,54及び吸入圧縮室S1a,S1b,S2a,S2bの摺接面に確実に油Lを供給されやすい。
(5)変形例
以下に本実施形態の変形例を示す。なお、複数の変形例を適宜組み合わせてもよい。
(5−1)変形例A
上記の実施形態のロータリ圧縮機10では、上部軸受60の上部軸受内面60a、下部軸受70の下部軸受内面70aに、油溝60b、油溝70bがそれぞれ形成されている。しかし、これに限定されるものではなく、上部軸受内面60aに代えてシャフト40の第1接触面41aに、及び/又は、下部軸受内面70aに代えてシャフト40の第2接触面41bに油溝が形成されてもよい。
また、上部軸受内面60a及び下部軸受内面70aに加え、第1接触面41a及び/又は第2接触面41bに油溝が形成されてもよい。
これによっても、上記の実施形態と同様の効果が得られる。
(5−2)変形例B
上記の実施形態のロータリ圧縮機10では、2つのシリンダ(フロントシリンダ51及びリアシリンダ53)を有するが、シリンダの数はこれに限定されるものではない。
シリンダは1つでもよいし、3つ以上のシリンダを有するロータリ圧縮機であってもよい。また、多段で圧縮が行われるロータリ圧縮機であってもよい。
(5−3)変形例C
上記の実施形態のロータリ圧縮機10では、油溝60b,70bは螺旋状に形成されるが、これに限定されるものではなく、上下方向に直線上に油溝が形成されてもよい。
(5−4)変形例D
上記の実施形態のロータリ圧縮機10では、駆動部として駆動モータ30が用いられるが、これに限定されるものではなく、例えば、原動機などにより駆動されてもよい。
10 ロータリ圧縮機
20 ケーシング
40 シャフト
41a 第1接触面
41b 第2接触面
42aa 第3接触面
42ba 第4接触面(第3接触面)
51 フロントシリンダ(シリンダ)
52 ピストン
53 リアシリンダ(シリンダ)
54 ピストン
60 上部軸受
60a 上部軸受内面(上部軸受側接触面)
60b 油溝(第1油溝)
70 下部軸受
70a 下部軸受内面(下部軸受側接触面)
70b 油溝(第2油溝)
82 給油主経路
83a 第1給油副経路(第2分岐路)
83b 第2給油副経路(第1分岐路)
83ba 開口(第1開口)
83c 第3給油副経路(第1分岐路)
83ca 開口(第1開口)
83d 第4給油副経路(第3分岐路)
L 油
S1a 吸入圧縮室(低圧側)
S1b 吸入圧縮室(高圧側)
S2a 吸入圧縮室(低圧側)
S2b 吸入圧縮室(高圧側)
S3 高圧空間
SL 油溜空間
特開平10−47281号公報 特開平7−145796号公報

Claims (6)

  1. ケーシング(20)と、
    前記ケーシング内に配置されるシリンダ(51,53)と、
    前記シリンダ内に吸入圧縮室(S1a,S1b,S2a,S2b)を形成するためのピストン(52,54)と、
    前記ピストンと連結されるシャフト(40)と、
    前記シリンダの上方に配され、前記シャフトを軸支する上部軸受(60)と、
    を備え、
    前記ケーシングの下部には、高圧の前記吸入圧縮室(S1b,S2b)と少なくとも一定期間連通し、第1圧力の油(L)が溜められる油溜空間(SL)が形成され、
    前記シャフトには、前記上部軸受と接触する第1接触面(41a)が形成され、
    前記第1接触面、及び、前記上部軸受の前記第1接触面と対向する上部軸受側接触面(60a)の少なくとも一方には、前記第1接触面の上部から前記シリンダまで下方に延びる第1油溝(60b)が形成され、
    前記シャフトの内部には、前記油溜空間と連通し、前記油溜空間に溜められた前記油が上方に向かって流れる給油主経路(82)と、前記給油主経路から前記吸入圧縮室(S1a,S1b,S2a,S2b)へと向かって前記油が流れる第1分岐路(83b,83c)と、前記給油主経路と前記第1油溝の上部とを連通する第2分岐路(83a)と、が形成され、
    前記第2分岐路から前記第1油溝の上部に供給された前記第1圧力の前記油は、前記第1圧力より小さな圧力の前記吸入圧縮室(S1a,S1b,S2a,S2b)に向かって、前記第1油溝を下方に流れる、
    ロータリ圧縮機(10)。
  2. 前記第1油溝の前記上部と、前記上部軸受の上方に形成される高圧空間(S3)とは、気密状態で区画される、
    請求項1に記載のロータリ圧縮機。
  3. 前記第1油溝は、前記シャフトの回転により前記油を下方に移動させるように、螺旋状に形成される、
    請求項1又は2に記載のロータリ圧縮機。
  4. 前記シリンダの下方に配され、前記シャフトを軸支する下部軸受(70)、
    を更に備え、
    前記シャフトには、前記下部軸受と接触する第2接触面(41b)が更に形成され、
    前記第2接触面、及び、前記下部軸受の前記第2接触面と対向する下部軸受側接触面(70a)の少なくとも一方には、前記第2接触面の下部から前記シリンダまで上方に延びる第2油溝(70b)が形成され、
    前記シャフトの内部には、前記給油主経路と前記第2油溝の下部とを連通する第3分岐路(83d)が更に形成され、
    前記第3分岐路から前記第2油溝の下部に供給された前記第1圧力の前記油は、前記第1圧力より小さな圧力の前記吸入圧縮室に向かって、前記第2油溝を上方に流れる、
    請求項1から3のいずれか1項に記載のロータリ圧縮機。
  5. 前記第2油溝は、前記シャフトの回転により前記油を上方に移動させるように、螺旋状に形成される、
    請求項4に記載のロータリ圧縮機。
  6. 前記シャフトには、前記ピストンと接触する第3接触面(42aa,42ba)が形成され、
    前記第3接触面には、前記第1分岐路と連通する第1開口(83ba,83ca)が形成される、
    請求項1から5のいずれか1項に記載のロータリ圧縮機。
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