JP2009287634A - 歯車伝動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】偏心揺動型の歯車伝動装置において、装置内の潤滑剤を循環させることができる技術を提供する。
【解決手段】歯車伝動装置100は、内歯歯車30と、内歯歯車30に噛み合いながら偏心回転する外歯歯車3を備えている。内歯歯車30には、内歯歯車30の歯の谷から内歯歯車30の外側に通じている潤滑剤用孔40が形成されている。内歯歯車30の外側に、潤滑剤通路42が設けられている。潤滑剤通路42は、潤滑剤用孔40に通じている。外歯歯車3の偏心回転に伴って、内歯歯車30と外歯歯車3に囲まれた空隙が狭くなる側では潤滑剤が潤滑剤通路42に押し出され、内歯歯車30と外歯歯車3に囲まれた空隙が広くなる側では潤滑剤が潤滑剤通路42から吸い込まれる。
【選択図】 図2
【解決手段】歯車伝動装置100は、内歯歯車30と、内歯歯車30に噛み合いながら偏心回転する外歯歯車3を備えている。内歯歯車30には、内歯歯車30の歯の谷から内歯歯車30の外側に通じている潤滑剤用孔40が形成されている。内歯歯車30の外側に、潤滑剤通路42が設けられている。潤滑剤通路42は、潤滑剤用孔40に通じている。外歯歯車3の偏心回転に伴って、内歯歯車30と外歯歯車3に囲まれた空隙が狭くなる側では潤滑剤が潤滑剤通路42に押し出され、内歯歯車30と外歯歯車3に囲まれた空隙が広くなる側では潤滑剤が潤滑剤通路42から吸い込まれる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、内歯歯車と、内歯歯車に噛み合いながら偏心回転する外歯歯車を備える歯車伝動装置に関する。
歯車伝動装置の内部は、一般的に潤滑剤で満たされている。歯車の磨耗粉が滞留しないように、あるいは、潤滑剤が高温にならないように、歯車伝動装置内を潤滑剤が循環することが好ましい。さらに、歯車伝動装置は、専用のポンプを備えることなく、潤滑剤を循環させる機構を備えていることが好ましい。例えば特許文献1に、専用のポンプを備えることなく、潤滑剤を循環させることができる歯車伝動装置が開示されている。特許文献1に開示された歯車伝動装置は、歯車とともに回転する潤滑剤に作用する遠心力によって、潤滑剤を歯車の径方向の外側へ移動させる。すなわち、この歯車伝動装置は、潤滑剤を循環させるための力として遠心力を利用する。
潤滑剤を循環させる力として遠心力を利用する場合、その力は歯車の回転速度に依存する。従って、歯車が低速で回転する歯車伝動装置の場合、潤滑剤を循環させる力として遠心力を利用することは得策でない。歯車伝動装置の種類の一つに、内歯歯車と、内歯歯車に噛み合いながら偏心回転する外歯歯車を備える偏心揺動型の歯車伝動装置が知られている。偏心揺動型の歯車伝動装置の場合、外歯歯車は内歯歯車に対して低速で自転するので、潤滑剤に作用する遠心力が小さく、潤滑剤を充分に循環させることができない。
本明細書は、偏心揺動型の歯車伝動装置に特有の構造に着目し、遠心力とは異なる力を利用して潤滑剤を循環させることができる歯車伝動装置を開示する。
本明細書は、偏心揺動型の歯車伝動装置に特有の構造に着目し、遠心力とは異なる力を利用して潤滑剤を循環させることができる歯車伝動装置を開示する。
本明細書に開示する歯車伝動装置は、内周に内歯が形成されている内歯歯車と、内歯歯車に噛み合いながら内歯歯車の軸線の周りを偏心回転する外歯歯車とを備えている。すなわち、本明細書で開示する歯車伝動装置は、偏心揺動型の歯車伝動装置である。
本明細書に開示する歯車伝動装置は、内歯歯車の歯の谷から内歯歯車の外側に通じている潤滑剤用孔が内歯歯車に少なくとも1つ形成されているとともに、潤滑剤用孔に通じている潤滑剤通路が内歯歯車の外側に設けられていることを特徴とする。なお、潤滑剤用孔は、外歯歯車の外周面に対向する位置で内歯歯車に形成されている。また、本明細書でいう「内歯歯車の歯の谷」とは、隣接する内歯と内歯の間の部分を意味する。
本明細書に開示する歯車伝動装置は、内歯歯車の歯の谷から内歯歯車の外側に通じている潤滑剤用孔が内歯歯車に少なくとも1つ形成されているとともに、潤滑剤用孔に通じている潤滑剤通路が内歯歯車の外側に設けられていることを特徴とする。なお、潤滑剤用孔は、外歯歯車の外周面に対向する位置で内歯歯車に形成されている。また、本明細書でいう「内歯歯車の歯の谷」とは、隣接する内歯と内歯の間の部分を意味する。
内歯歯車と外歯歯車の間の空隙は潤滑剤で満たされている。外歯歯車は内歯歯車に噛み合いながら偏心回転するので、その偏心回転に伴って、外歯歯車と内歯歯車が深く噛み合う位置が、内歯歯車の軸線の周りを移動する。すなわち、外歯歯車の偏心回転に伴って、外歯歯車と内歯歯車の間の空隙は狭くなったり広くなったりする。外歯歯車と内歯歯車の間の空隙が狭くなるにつれて、外歯歯車と内歯歯車の間の潤滑剤が、潤滑剤用孔を通じて内歯歯車の内側から内歯歯車の外側に押し出される。押し出された潤滑剤は、潤滑剤通路によって内歯歯車の内側に戻される。
上記の歯車伝動装置は、外歯歯車の偏心回転に伴って外歯歯車と内歯歯車の間の空隙が狭くなったり広くなったりするという、偏心揺動型の歯車伝動装置に固有のメカニズムを利用して潤滑剤を循環させる。上記の歯車伝動装置は、遠心力を利用することなく潤滑剤を循環させることができる。
複数の潤滑剤用孔が形成されており、潤滑剤通路が複数の潤滑剤用孔に連通していることが好ましい。1つの潤滑剤用孔から押し出された潤滑剤が、潤滑剤通路を通って、他の潤滑剤用孔から外歯歯車と内歯歯車の間に戻される。潤滑剤通路はさらに、内歯歯車の外周を一巡していることが好ましい。外歯歯車と内歯歯車の間の空隙は、一方で狭くなるにつれて他方で広くなる。空隙が広くなる側では、潤滑剤通路内の潤滑剤を、潤滑剤用孔を通じて空隙内に吸い込む力が発生する。潤滑剤は、一方で空隙から押し出されながら、他方で空隙内に吸い込まれる。内歯歯車の外周を一巡している潤滑剤通路を備える歯車伝動装置は、潤滑剤を効率よく循環させることができる。
本明細書に開示する歯車伝動装置は、次の技術的特徴を有することも好適である。
歯車伝動装置は、内歯歯車の軸線の両側に互い違いに偏心している複数の外歯歯車を備えている。そして、夫々の外歯歯車の外周面に対向している複数の潤滑剤用孔が内歯歯車の軸線に沿って並んでいる。潤滑剤用孔の内側開口部が、外歯歯車の外周面に対向している。潤滑剤通路が、一方の外歯歯車の外周面に対向している潤滑剤用孔と、他方の外歯歯車の外周面に対向している潤滑剤用孔を連通している。一方の外歯歯車の外周面に対向している潤滑剤用孔において空隙が狭くなるときに、他方の外歯歯車の外周面に対向している潤滑剤用孔において空隙が広くなる。従って、上記の技術的特徴を有する歯車伝動装置でも、潤滑剤は、一方で空隙から押し出されながら、他方で空隙内に吸い込まれる。
歯車伝動装置は、内歯歯車の軸線の両側に互い違いに偏心している複数の外歯歯車を備えている。そして、夫々の外歯歯車の外周面に対向している複数の潤滑剤用孔が内歯歯車の軸線に沿って並んでいる。潤滑剤用孔の内側開口部が、外歯歯車の外周面に対向している。潤滑剤通路が、一方の外歯歯車の外周面に対向している潤滑剤用孔と、他方の外歯歯車の外周面に対向している潤滑剤用孔を連通している。一方の外歯歯車の外周面に対向している潤滑剤用孔において空隙が狭くなるときに、他方の外歯歯車の外周面に対向している潤滑剤用孔において空隙が広くなる。従って、上記の技術的特徴を有する歯車伝動装置でも、潤滑剤は、一方で空隙から押し出されながら、他方で空隙内に吸い込まれる。
潤滑剤中には、歯車の磨耗によって生じた金属粉が含まれている。そのため、潤滑剤通路に磁石が配置されていることが好ましい。内歯歯車と外歯歯車の磨耗によって生じた金属粉は、内歯歯車の歯の谷に形成された潤滑剤用孔を通じて潤滑剤通路に移動し、磁石に吸着される。内歯歯車と外歯歯車の磨耗によって生じた金属粉が潤滑剤から除去される。
歯車伝動装置が駆動すると、歯車同士の摩擦によって、潤滑剤の温度が上昇する。潤滑剤の温度が上昇すると、潤滑剤の粘度が低下して、歯車等の部品表面の油膜が切れることがある。そのため、潤滑剤通路に潤滑剤を冷却する構造(冷却装置)を取り付ければ、部品表面の油膜が切れることを抑制することができる。
本明細書で開示される歯車伝動装置は、歯車の回転にともなう遠心力を利用することなく、歯車伝動装置内の潤滑剤を循環させることができる。
(第1実施形態)
図1、2を参照し、歯車伝動装置100について説明する。図1は、歯車伝動装置100の断面図を示す。図2は、図1のII−II線に沿った断面図を示す。
図1、2に示すように、歯車伝動装置100は、内周に複数の内歯ピン29が配置されているケース30と、ケース30の内側に配置されている外歯歯車3を備えている。複数の内歯ピン29が、ケース30の内周に一巡して配置されており、ケース30とともに内歯歯車を形成している。以下の説明では、内歯ピン29とケース30を併せて、内歯歯車30と呼ぶことがある。ケース30の内周面において、隣接する内歯ピン29の間の領域が、内歯歯車30の歯の谷に相当する。なお、詳細は後述するが、外歯歯車3は、内歯歯車30の軸線CL1の周りを偏心回転する。外歯歯車3の歯数と内歯歯車30の歯数(内歯ピン29の数)が異なるので、外歯歯車3が内歯歯車30と噛み合いながら軸線CL1の周りを偏心回転すると、外歯歯車3が内歯歯車30に対して相対的に回転する。ケース30内には潤滑剤(潤滑油)が封入されている。外歯歯車3と内歯歯車30の間の空隙50(図2を参照)は、潤滑剤で満たされている。
図1、2を参照し、歯車伝動装置100について説明する。図1は、歯車伝動装置100の断面図を示す。図2は、図1のII−II線に沿った断面図を示す。
図1、2に示すように、歯車伝動装置100は、内周に複数の内歯ピン29が配置されているケース30と、ケース30の内側に配置されている外歯歯車3を備えている。複数の内歯ピン29が、ケース30の内周に一巡して配置されており、ケース30とともに内歯歯車を形成している。以下の説明では、内歯ピン29とケース30を併せて、内歯歯車30と呼ぶことがある。ケース30の内周面において、隣接する内歯ピン29の間の領域が、内歯歯車30の歯の谷に相当する。なお、詳細は後述するが、外歯歯車3は、内歯歯車30の軸線CL1の周りを偏心回転する。外歯歯車3の歯数と内歯歯車30の歯数(内歯ピン29の数)が異なるので、外歯歯車3が内歯歯車30と噛み合いながら軸線CL1の周りを偏心回転すると、外歯歯車3が内歯歯車30に対して相対的に回転する。ケース30内には潤滑剤(潤滑油)が封入されている。外歯歯車3と内歯歯車30の間の空隙50(図2を参照)は、潤滑剤で満たされている。
内歯歯車30には、隣接する内歯ピン29の間(内歯歯車30の歯の谷)から内歯歯車30の外側に通じている潤滑剤用孔40が複数形成されている。歯車伝動装置100では、内歯歯車30の歯の谷の全てに、潤滑剤用孔40が形成されている(図2を参照)。図1に示すように、潤滑剤用孔40は、外歯歯車3の外周面に対向する位置で内歯歯車30に形成されている。換言すると、潤滑剤用孔40の内側開口部が、外歯歯車3の外周面に対向している。
内歯歯車30の外周にリング部材48が配置されている。リング部材48の内周面に一巡する溝42が形成されている。図2に示すように、溝42と内歯歯車30の外周面によって、内歯歯車30の外周を一巡する通路が形成される。以下の説明では、溝42を潤滑剤通路42と呼ぶ。
リング部材48には磁石46が取り付けられている。磁石46の一面は、潤滑剤通路42に面している。なお、潤滑剤用孔40の内部と潤滑剤通路42の内部も潤滑剤で満たされている。
内歯歯車30の外周にリング部材48が配置されている。リング部材48の内周面に一巡する溝42が形成されている。図2に示すように、溝42と内歯歯車30の外周面によって、内歯歯車30の外周を一巡する通路が形成される。以下の説明では、溝42を潤滑剤通路42と呼ぶ。
リング部材48には磁石46が取り付けられている。磁石46の一面は、潤滑剤通路42に面している。なお、潤滑剤用孔40の内部と潤滑剤通路42の内部も潤滑剤で満たされている。
歯車伝動装置100の動作について説明する。
図1に示すように、基部32に、ケース(内歯歯車)30とモータ36が固定されている。一対のアンギュラ玉軸受26によって、キャリア22がケース30に支持されている。キャリア22とケース30は相対的に回転することができる。キャリア22の柱状部20が外歯歯車3の貫通孔16に遊嵌しているので、キャリア22と外歯歯車3は、一体となって内歯歯車30に対して相対的に回転する(図2も参照)。キャリア22に、被回転部材2が固定されている。歯車伝動装置100は、基部32に対して被回転部材2を相対的に回転させることができる。
図1に示すように、基部32に、ケース(内歯歯車)30とモータ36が固定されている。一対のアンギュラ玉軸受26によって、キャリア22がケース30に支持されている。キャリア22とケース30は相対的に回転することができる。キャリア22の柱状部20が外歯歯車3の貫通孔16に遊嵌しているので、キャリア22と外歯歯車3は、一体となって内歯歯車30に対して相対的に回転する(図2も参照)。キャリア22に、被回転部材2が固定されている。歯車伝動装置100は、基部32に対して被回転部材2を相対的に回転させることができる。
一対の円錐ころ軸受10によって、クランクシャフト38がキャリア22に支持されている。クランクシャフト38は、軸線CL1に沿って延びている。クランクシャフト38に、偏心体6と平歯車12が固定されている。平歯車12は、モータ36の出力軸に固定されている出力歯車14に噛み合っている。偏心体6は、針状ころ軸受4を介して、外歯歯車3の貫通孔8に嵌合している。モータ36の出力軸が回転すると、出力歯車14と平歯車12を介して、クランクシャフト38が回転する。クランクシャフト38が回転すると、偏心体6の偏心回転に伴って、外歯歯車3が内歯歯車30の軸線CL1の周りを偏心回転する。上記したように、外歯歯車3の歯数と内歯歯車30の歯数が異なるので、外歯歯車3が軸線CL1の周りを偏心回転すると、その歯数差に相当する角度だけ、外歯歯車3が内歯歯車30に対して回転する。外歯歯車3とともにキャリア22が内歯歯車30に対して回転する。すなわち、歯車伝動装置100は、偏心揺動型の減速装置である。
図1に示すように、歯車伝動装置100は、2つの外歯歯車3を備えている。夫々の外歯歯車3が、軸線CL1の両側に互い違いに偏心している。換言すると、夫々の外歯歯車3が、軸線CL1を挟んで互いに反対方向に偏心している。夫々の外歯歯車3の中心が軸線CL1を挟んで互いに反対方向に位置するので、歯車伝動装置100の回転バランスを安定にすることができる。
上記したように、外歯歯車3が軸線CL1の周りを偏心回転するので、外歯歯車3と内歯歯車30の間の空隙50は広くなったり、狭くなったりする。図3と図4に、図2の部分拡大図を示す。図3と図4は、ひとつの潤滑剤用孔40aと、この潤滑剤用孔40aの内側に形成されている部分的空隙50aを示す。部分的空隙50aは、潤滑剤用孔40aの両側の内歯29aと29b、及び外歯歯車3の外周面によって区画された空隙を意味する。図3は、部分的空隙50aが広いときを示し、図4は、部分的空隙50aが狭いときを示す。
図3、4に示すように、部分的空隙50a、潤滑剤用孔40a、及び潤滑剤通路42は、潤滑剤Wで満たされている。外歯歯車3が偏心回転すると、その偏心回転に伴って部分的空隙50aが狭くなる。部分的空隙50aが狭くなることによって、図4の矢印が示すように、部分的空隙50aを満たしている潤滑剤Wが潤滑剤用孔40aを通じて内歯歯車30の外側に押し出される。
他方、部分的空隙50aが狭くなるにつれて、外歯歯車3の軸線CL1を挟んで反対側では部分的空隙が広くなる。部分的空隙が広くなる側では、潤滑剤用孔40を通じて潤滑剤Wが部分的空隙へ吸い込まれる。すなわち、潤滑剤Wは、部分的空隙(内歯歯車30の内歯29と外歯歯車3の外周面に囲まれた空隙)が狭くなる側で部分的空隙から潤滑剤通路42へ押し出され、部分的空隙が広くなる側で潤滑剤通路42から部分的空隙へ吸い込まれる。このように歯車伝動装置100は、外歯歯車3が内歯歯車30の内側を偏心回転するメカニズムを利用して潤滑剤を循環させる。
図3、4に示すように、部分的空隙50a、潤滑剤用孔40a、及び潤滑剤通路42は、潤滑剤Wで満たされている。外歯歯車3が偏心回転すると、その偏心回転に伴って部分的空隙50aが狭くなる。部分的空隙50aが狭くなることによって、図4の矢印が示すように、部分的空隙50aを満たしている潤滑剤Wが潤滑剤用孔40aを通じて内歯歯車30の外側に押し出される。
他方、部分的空隙50aが狭くなるにつれて、外歯歯車3の軸線CL1を挟んで反対側では部分的空隙が広くなる。部分的空隙が広くなる側では、潤滑剤用孔40を通じて潤滑剤Wが部分的空隙へ吸い込まれる。すなわち、潤滑剤Wは、部分的空隙(内歯歯車30の内歯29と外歯歯車3の外周面に囲まれた空隙)が狭くなる側で部分的空隙から潤滑剤通路42へ押し出され、部分的空隙が広くなる側で潤滑剤通路42から部分的空隙へ吸い込まれる。このように歯車伝動装置100は、外歯歯車3が内歯歯車30の内側を偏心回転するメカニズムを利用して潤滑剤を循環させる。
上記したように、ケース(内歯歯車)30内には潤滑剤が封入されている。ケース30と基部32の間にOリング34が配置されており、ケース30とキャリア22の間にオイルシール24が配置されている。Oリング34とオイルシール24が、潤滑剤がケース30の外に漏れることを防止している。ケース30内の潤滑剤は、潤滑剤用孔40からのみケース30の外に移動する。ケース30とリング部材48の間にOリング28が配置されている。Oリング28が、潤滑剤通路42から潤滑剤が漏れることを防止している。
歯車伝動装置100が駆動すると、歯車が磨耗して潤滑剤中に金属粉が混入することがある。特に、外歯歯車3と内歯歯車30の間には大きな力が作用するので、金属粉が発生しやすい。その金属粉によって、オイルシール24のシール性能が劣化したり、歯車同士の磨耗が進んだりする。また、金属粉が軸受内に侵入すると、軸受が破損することもある。そのため、潤滑剤は定期的に交換する必要がある。歯車伝動装置100では、リング部材48に磁石46が配置されているので、内歯歯車30の内側から潤滑剤通路42に押し出された潤滑剤中の金属粉は、磁石46に吸着される。そして、金属粉が取り除かれた潤滑剤が、潤滑剤通路42から内歯歯車30の内側に戻される。歯車伝動装置100は、潤滑剤通路42に磁石46を配置することによって、潤滑剤の交換頻度を少なくすることできる。
上記したように、歯車伝動装置100では、磁石46によって潤滑剤に含まれている磨耗粉を取り除く。磁石46は、潤滑剤通路42の壁面に埋め込まれており、その一面が潤滑剤通路42に面している。従って、磁石46が流路を狭めることがない。
また、外歯歯車3の偏心回転に伴って、潤滑剤は潤滑剤通路42を往復する場合がある。磁石46は、潤滑剤に含まれる金属粉を吸着し、潤滑剤が往復しても金属粉が再び内歯歯車30の内側へ戻ることを防止する。
また、外歯歯車3の偏心回転に伴って、潤滑剤は潤滑剤通路42を往復する場合がある。磁石46は、潤滑剤に含まれる金属粉を吸着し、潤滑剤が往復しても金属粉が再び内歯歯車30の内側へ戻ることを防止する。
(第2実施形態)
図5、6を参照し、歯車伝動装置200について説明する。以下では、歯車伝動装置100と同じ部品には同じ符号を付すことにより、それらの説明を省略する。
図5に示すように、歯車伝動装置200では、潤滑剤通路242が、外歯歯車3aの外周面に対向している潤滑剤用孔240aと、外歯歯車3bの外周面に対向している潤滑剤用孔240bを連通している。潤滑剤用孔240aと潤滑剤用孔240bは、軸線CL1方向に沿って並んでいる。なお、歯車伝動装置200でも、外歯歯車3aと外歯歯車3bが、軸線CL1を挟んで互いに反対方向に偏心している。また、潤滑剤用孔240aの内側開口部は外歯歯車3aの外周面に対向しており、潤滑剤用孔240bの内側開口部は外歯歯車3bの外周面に対向している。
歯車伝動装置200では、外歯歯車3aと外歯歯車3bが互い違いに偏心している。そのため、潤滑剤用孔240aに面している部分的空隙(外歯歯車3aと内歯歯車230の間の空隙)が広がっていくときは、潤滑剤用孔240bに面している部分的空隙(外歯歯車3bと内歯歯車230の間の空隙)が狭くなっていく。反対に、潤滑剤用孔240aに面している部分的空隙が狭くなっていくときは、潤滑剤用孔240bに面している部分的空隙が広がっていく。外歯歯車3aと内歯歯車230の間の空隙から潤滑剤用孔240aを通じて潤滑剤通路242に押し出された潤滑剤は、潤滑剤用孔240bを通じて外歯歯車3bと内歯歯車230の間の空隙に吸い込まれる。
リング部材248に磁石246が取り付けられており、磁石246が潤滑剤通路242に面しているので、潤滑剤に含まれている金属粉を取り除くことができる。なお、磁石246は、潤滑剤通路242の壁面に埋め込まれている。
図5、6を参照し、歯車伝動装置200について説明する。以下では、歯車伝動装置100と同じ部品には同じ符号を付すことにより、それらの説明を省略する。
図5に示すように、歯車伝動装置200では、潤滑剤通路242が、外歯歯車3aの外周面に対向している潤滑剤用孔240aと、外歯歯車3bの外周面に対向している潤滑剤用孔240bを連通している。潤滑剤用孔240aと潤滑剤用孔240bは、軸線CL1方向に沿って並んでいる。なお、歯車伝動装置200でも、外歯歯車3aと外歯歯車3bが、軸線CL1を挟んで互いに反対方向に偏心している。また、潤滑剤用孔240aの内側開口部は外歯歯車3aの外周面に対向しており、潤滑剤用孔240bの内側開口部は外歯歯車3bの外周面に対向している。
歯車伝動装置200では、外歯歯車3aと外歯歯車3bが互い違いに偏心している。そのため、潤滑剤用孔240aに面している部分的空隙(外歯歯車3aと内歯歯車230の間の空隙)が広がっていくときは、潤滑剤用孔240bに面している部分的空隙(外歯歯車3bと内歯歯車230の間の空隙)が狭くなっていく。反対に、潤滑剤用孔240aに面している部分的空隙が狭くなっていくときは、潤滑剤用孔240bに面している部分的空隙が広がっていく。外歯歯車3aと内歯歯車230の間の空隙から潤滑剤用孔240aを通じて潤滑剤通路242に押し出された潤滑剤は、潤滑剤用孔240bを通じて外歯歯車3bと内歯歯車230の間の空隙に吸い込まれる。
リング部材248に磁石246が取り付けられており、磁石246が潤滑剤通路242に面しているので、潤滑剤に含まれている金属粉を取り除くことができる。なお、磁石246は、潤滑剤通路242の壁面に埋め込まれている。
図6は、図5のVI−VI線に沿った断面図を示す。図6に示すように、歯車伝動装置200では、内歯歯車230の歯の谷の1つにだけ潤滑剤用孔240aと240bが形成されている(図5も参照)。そのため、内歯歯車230の形状を、歯車伝動装置100の内歯歯車30の形状よりも簡単にすることができる。内歯歯車230を容易に加工することができる。
なお、歯車伝動装置100のように、内歯歯車230の歯の谷の全てに潤滑剤用孔240a、240bを形成してもよい。その場合、リング部材248に、軸線CL1方向に沿って並んでいる潤滑剤用孔240aと潤滑剤用孔240bの夫々を連通する潤滑剤通路を形成する。換言すると、リング部材248に、軸線CL1方向に沿って複数の溝を形成する。
なお、歯車伝動装置100のように、内歯歯車230の歯の谷の全てに潤滑剤用孔240a、240bを形成してもよい。その場合、リング部材248に、軸線CL1方向に沿って並んでいる潤滑剤用孔240aと潤滑剤用孔240bの夫々を連通する潤滑剤通路を形成する。換言すると、リング部材248に、軸線CL1方向に沿って複数の溝を形成する。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
上記実施形態では、リング部材に磁石を取り付けることにより、潤滑剤中の金属粉を取り除いている。
また、潤滑剤通路内の潤滑剤を冷却する構造(例えば冷却フィン等)を、リング部材に取り付けてもよい。このようにすれば、潤滑剤通路内の潤滑剤を冷やすことができ、潤滑剤の粘度低下による油膜切れを抑制することができる。
また、潤滑剤通路内の潤滑剤を冷却する構造(例えば冷却フィン等)を、リング部材に取り付けてもよい。このようにすれば、潤滑剤通路内の潤滑剤を冷やすことができ、潤滑剤の粘度低下による油膜切れを抑制することができる。
また、潤滑剤通路に窪みを設け、その窪みの底面に磁石を配置することも好適である。そのような構成は、磁石に吸着された金属粉を窪みに留めることができ、吸着された金属粉によって潤滑剤通路の流路抵抗が増大することを防止できる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
3:外歯歯車
30:内歯歯車
40:潤滑剤用孔
42:潤滑剤通路
46:磁石
100:歯車伝動装置
30:内歯歯車
40:潤滑剤用孔
42:潤滑剤通路
46:磁石
100:歯車伝動装置
Claims (6)
- 内歯歯車と、内歯歯車に噛み合いながら偏心回転する外歯歯車とを備えている歯車伝動装置であって、
内歯歯車の歯の谷から内歯歯車の外側に通じている潤滑剤用孔が少なくとも1つ形成されており、
潤滑剤用孔に通じている潤滑剤通路が内歯歯車の外側に設けられていることを特徴とする歯車伝動装置。 - 複数の潤滑剤用孔が形成されており、潤滑剤通路が複数の潤滑剤用孔に連通していることを特徴とする請求項1に記載の歯車伝動装置。
- 潤滑剤通路が内歯歯車の外周を一巡していることを特徴とする請求項2に記載の歯車伝動装置。
- 内歯歯車の軸線の両側に互い違いに偏心している複数の外歯歯車を備えており、
夫々の外歯歯車の外周面に対向している複数の潤滑剤用孔が内歯歯車の軸線に沿って並んでおり、
潤滑剤通路が、一方の外歯歯車の外周面に対向している潤滑剤用孔と、他方の外歯歯車の外周面に対向している潤滑剤用孔を連通していることを特徴とする請求項2に記載の歯車伝動装置。 - 潤滑剤通路に磁石が配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の歯車伝動装置。
- 潤滑剤通路に冷却装置が配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の歯車伝動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008139407A JP2009287634A (ja) | 2008-05-28 | 2008-05-28 | 歯車伝動装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2008
- 2008-05-28 JP JP2008139407A patent/JP2009287634A/ja active Pending
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