JP5205026B2 - ウレタン樹脂成形体 - Google Patents
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Description
従来のウレタン樹脂成形体ではガラス繊維を補強材として使用していた。成形方法としては、成形型にガラス繊維をマット状に敷き詰め、当該成形型にウレタン樹脂原料を流し込むことで混合させたり、ガラス繊維を細かくカットし短繊維としながらウレタン樹脂と混合して型に吹き付けたりした後、型締めして硬化成形させていた。
さらに当該ガラス繊維は、作業者の皮膚等を刺激し、ちくちく感を与えたりかぶれを生じさせる等の問題がある。
上記特許文献1のようにサンドウィッチ構造としているのは、植物繊維とウレタン樹脂原料とが良好に混合できない等の問題があるためである。
請求項3のウレタン樹脂成形体では、請求項1または2において、前記竹繊維は、平均直径30〜500μmで、長さが20〜200mmであることを特徴としている。
請求項4のウレタン樹脂成形体では、請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記熱可塑性樹脂繊維は、植物由来原料のものであることを特徴としている。
そのままではハンドリング困難でありウレタン樹脂原料とも混合し難い竹繊維を、ポリブチレンサクシネート樹脂からなる熱可塑性樹脂繊維を混合しマット化することで、ハンドリング性を向上させることができ、ウレタン樹脂原料との混合も良好にすることができる。
そして、成形体全体としての植物度を50wt%以上とすることで、石油由来原料の使用を半減させ、焼却時における二酸化炭素の発生を大幅に抑制させることができる。
請求項2のウレタン樹脂成形体によれば、ウレタン樹脂原料における植物由来原料の使用度合いを上げることで、より石油由来原料の使用を半減させ、焼却時における二酸化炭素の発生を大幅に抑制させることができる。
そして、このように20〜200mmという比較的長い竹繊維を使用することで、ウレタン樹脂成形体の強度を大幅に向上させることができる。
請求項5のウレタン樹脂成形体によれば、熱可塑性樹脂繊維は、170℃以下で溶融するものであるので、竹繊維に含まれるリグニンやヘミセルロースが水と高温で分解して臭い成分やVOC(揮発成分)が生成するのを極力抑制することができる。
図1を参照すると、本発明に係るウレタン樹脂成形体の斜視断面図が示されている。
図1に示す平板状のウレタン樹脂成形体1は、補強材として竹繊維を用いたウレタン樹脂成形体である。
当該竹繊維は、機械的に粉砕して解繊したり、蒸煮または爆砕処理を施しローラー等で押し潰したり、水酸化ナトリウム等の強アルカリにより肉質を溶かしたり等して取り出されたものである。
また、当該竹繊維は、成形の際に、熱可塑性樹脂繊維が混合され加熱及び軽くプレスされマット化されたもの(竹マット)が使用されている。
当該熱可塑性樹脂繊維としては、例えばポリエチレンテフタレート(PET)(融点254℃)、ポリアミド6(PA6)(融点220℃)、ポリブチレンテフタレート(PBT)(融点224℃)、熱可塑性ポリビニルアルコール(PVA)(融点216℃)等の汎用的な石油由来の繊維が使用可能である。なお、ポリプロピレン(PP)(融点165℃)はウレタン樹脂原料との接着性が悪く好ましくないことがわかっている。
ポリオールはヒマシ油や大豆油等の植物由来のものが主として使用され、イソシアネートは石油由来のものが使用されている。ただし、当該ポリオールは、粘度調整、ウレタン樹脂成形体の機械的強度等の物性を考慮した場合、ウレタン樹脂原料中の植物度を最高でも40%程度とすることが好ましいため、石油由来のポリオールも併せて使用する。
図2を参照すると、本発明に係るウレタン樹脂成形体の成形方法の一例を表す工程図が示されている。
まず、工程S1において、例えば機械的な解繊により竹から竹繊維を取り出す。
続く、工程S2においては、フリースマシン、反毛機、カード機等の機械式混合機やエア式混合機(流動混合機)により上記工程S1にて取り出した竹繊維と熱可塑性樹脂繊維とを絡み合わせるように混合する。
一方、工程S5において、主に植物由来原料からなるポリオールと石油由来からなるイソシアネートとを混合しウレタン樹脂原料を生成する。当該ポリオール及びイソシアネート等の混合にはRIM成形機、2液混合機、ミキシングヘッド、及びスタチックミキサ(静的混合ミキサ)等が使用される。
続く工程S7においては、成形型を型締めし、マット状の竹繊維とウレタン樹脂が一体化して数分で硬化する。
以上のように、本発明に係るウレタン樹脂成形体では、補強材として熱可塑性樹脂繊維を混合させマット化させた竹繊維を使用し、ウレタン樹脂原料として植物由来原料のポリオールを使用してウレタン樹脂成形体を成形している。
このように、熱可塑性樹脂繊維を混合しマット化することで、そのままではハンドリングが困難でありウレタン樹脂原料とも混合し難かった竹繊維のハンドリング性を向上させることができ、且つウレタン樹脂原料との混合も良好なものにすることができる。
こうして、ウレタン樹脂成形体の植物度を例えば50wt%以上とすれば、石油由来原料の使用を半減させ、焼却等による二酸化炭素量の発生も大幅に抑制することができる。また、補強材が竹繊維であれば、燃焼炉を傷めることもない。
以上のことから、本発明に係るウレタン樹脂成形体は、補強材に竹繊維を用いた場合にも良好にウレタン樹脂原料と混合させて成形することができ、成形体の植物度及び強度を向上させることができる。
機械的に解繊して取り出した平均繊維長55mm、平均繊維径175μmの竹繊維と、繊維長15mm、繊維径2.2dtexであって芯部がPET(融点254℃)であり鞘部が融点130℃の低融点PETであるPET/低融点PET芯鞘繊維とを90:10(wt%)の割合で使用した。
さらに、下記表1に詳しく示す主に植物由来のポリオールからなる主剤A液とイソシアネートからなる硬化剤B液とを配合比A/B=100/100にてハンドミキシングにより混合したウレタン樹脂原料を成形型に流し込んだ。
そして、型締めし硬化させてウレタン樹脂成形体を成形した。
実施例2
上記実施例1と同じ竹繊維(平均繊維長55mm、平均繊維径175μm)とPET/低融点PET芯鞘繊維(繊維長15mm、繊維径2.2dtex)とを95:5(wt%)の割合で使用し、下記表1からなるウレタン樹脂原料を使用して上記実施例1と同様の成形方法でウレタン樹脂成形体を成形した。
実施例3
上記実施例1と同じ竹繊維(平均繊維長55mm、平均繊維径175μm)と、繊維長10mm、繊維径15dtexのポリブチレンサクシネート樹脂(PBS)繊維とを80:20(wt%)の割合で使用し、下記表1からなるウレタン樹脂原料を使用して上記実施例1と同様の成形方法で成形した。
実施例4
上記実施例3と同じ竹繊維(平均繊維長55mm、平均繊維径175μm)とPBS繊維(繊維長10mm、繊維径15dtex)とを80:20(wt%)の割合で使用し、下記表2に示す主に植物由来及び石油由来のポリオールからなる主剤A液とイソシアネートからなる硬化剤B液とを配合比A/B=100/100にてハンドミキシングで混合したウレタン樹脂原料を使用して上記実施例1と同様の成形方法で成形した。
機械的に解繊して取り出した平均繊維長55mm、平均繊維径175μmの竹繊維を100wt%、即ち熱可塑性樹脂繊維を混合せず竹繊維のみでマット化した。
比較例2
従来のように、ガラス繊維と、下記表3に示す全て石油由来原料からなるウレタン樹脂原料とを70:30(wt%)の割合で使用してウレタン樹脂成形体を成形した。
これらのことから、実施例1乃至4のように熱可塑性樹脂繊維を混合しマット化させた竹繊維を用い、且つ植物由来のポリオールを用いて生成したウレタン樹脂原料を使用してウレタン樹脂成形体を成形することで、50%以上の高い植物度を実現することができる上、従来よりも強度の優れたウレタン樹脂成形体を得ることができることがわかった。
このことから、実施例1乃至4のように補強材として竹繊維を用いることで、燃焼炉を傷めることもなく、成形時の作業性も向上させることができるということがわかった。
上記実施形態におけるウレタン樹脂成形体1は平板状をなしているが、当該ウレタン樹脂成形体の形状はこれに限られるものではなく、例えば3次元形状であっても構わない。
Claims (5)
- ポリオール及びイソシアネートを含んでなるウレタン樹脂原料を補強材と一体化して成形されるウレタン樹脂成形体であって、
前記ウレタン樹脂原料として、植物由来原料のポリオールを使用し、
前記補強材として、ポリブチレンサクシネート樹脂からなる熱可塑性樹脂繊維を混合させた後、該熱可塑性樹脂繊維が溶融するように加熱するとともに圧力をかけてマット化させた竹繊維を使用し、
成形体全体としての植物由来原料の使用度合いを50wt%以上とすることを特徴とするウレタン樹脂成形体。 - 前記ウレタン樹脂原料における植物由来原料の使用度合いを20wt%以上とすることを特徴とする請求項1に記載のウレタン樹脂成形体。
- 前記竹繊維は、平均直径30〜500μmで、長さが20〜200mmであることを特徴とする請求項1または2に記載のウレタン樹脂成形体。
- 前記熱可塑性樹脂繊維は、植物由来原料のものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のウレタン樹脂成形体。
- 前記熱可塑性樹脂繊維は、170℃以下で溶融するものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載のウレタン樹脂成形体。
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