JP5204591B2 - レンズユニット - Google Patents

レンズユニット Download PDF

Info

Publication number
JP5204591B2
JP5204591B2 JP2008220530A JP2008220530A JP5204591B2 JP 5204591 B2 JP5204591 B2 JP 5204591B2 JP 2008220530 A JP2008220530 A JP 2008220530A JP 2008220530 A JP2008220530 A JP 2008220530A JP 5204591 B2 JP5204591 B2 JP 5204591B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lens
lenses
imaging
barrel
refractive power
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008220530A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010054866A (ja
Inventor
宏行 萩原
玲彦 平石
知文 小石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2008220530A priority Critical patent/JP5204591B2/ja
Publication of JP2010054866A publication Critical patent/JP2010054866A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5204591B2 publication Critical patent/JP5204591B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、監視用カメラや車載用カメラ等の固体撮像素子を備えた撮像装置に用いられるレンズユニットに係り、特に、複数のレンズを用いることで結像特性を得るようにすると共に、高温に晒されるなど、結像性能の維持が難しい環境下でも性能劣化を少なくしたレンズユニットに関するものである。
複数のレンズを筒状の鏡筒に保持させ、結像特性を得るようにすると共に小型、軽量に構成したレンズユニットは、デジタルカメラ、携帯電話用カメラ、監視カメラ、車載用カメラなどに広く用いられている。こういったレンズユニットは、例えば屋外に放置されたり設置されることで太陽熱などで高温となり、熱膨張することでレンズ位置が変化して焦点が変化したり、鏡筒とレンズの膨張率の違いによって膨張の逃げ場がなくなり、コートクラックなどの発生を招いて光学性能を維持することが困難といった問題がある。
そのため例えば特許文献1には、線膨張係数の小さな材質で形成されてプラスチックレンズを保持するレンズ鏡枠と、そのレンズ鏡枠の外周側に配置されて円筒状に形成され、線膨張係数の大きな材質の伸縮部材と、レンズ鏡枠を被写体側に押圧する弾性部材とで構成され、弾性部材による押圧でレンズ鏡枠に設けた第1圧接部が伸縮部材に設けた第2圧接部に圧接され、第1圧接部若しくは第2圧接部の少なくとも何れか一方が、被写体側の中心位置から結像面側の外周方向にかけてテーパー面に形成されて、温度変化による撮影レンズの焦点位置の変化を機械的に相殺して補正するようにした撮影機器が示されている。
また特許文献2には、耐環境性能を向上するため前ケースの被写体側開口をOリングを用いて押え部材により封止し、押え部材の開口は第2のOリングを用いて第1レンズにより封止して、高い密閉性を得られるよう構成した撮像装置が開示されている。
また、このようなレンズユニットは、光学性能を維持するために光学系を構成する複数のレンズを適正な位置、状態で保持することが重要となる。そのため、レンズを適切な位置に保持できるよう、レンズの肉厚間隔、及び遮光材やスペーサーの肉厚を精度良く管理することで間隔を保ち、レンズの外径と鏡筒内径を精度良く製造することで偏芯の影響を受けにくいようにしている。
このように偏芯の影響を受けにくい構成の先行技術としては、例えば特許文献3に、複数のレンズからなる光学系の温度変化による光軸ずれを防止して支持精度を向上できるよう、光学系を収納したバレルの光軸方向一側に小径開口が、他側に大径開口が夫々同心状に形成され、大径開口側に押え環を備えた撮像レンズ構成体において、一のレンズのバレル小径開口側の周淵部に断面テーパ状のレンズ側支持部と、バレルの前記一のレンズに対向するレンズ支持面に断面テーパ状のバレル側支持部とを設け、バレル大径開口側に位置するレンズと押え環との間に弾性部材を介装して、レンズ側支持部を弾性部材の付勢力によりバレル側支持部に位置決め支持し、高い光学性能を確保できる撮像レンズ構成体、光学モジュール及び携帯端末、並びにこれらの組込み、製造方法が示されている。
特開2003−262778号公報 特開2005−17951号公報 特開2007−178541号公報
しかしながら、前記したように複数のレンズで構成するレンズユニットは、良好な画質を維持するために構成する複数のレンズを適正な位置、状態で保持することが重要であるにもかかわらず、近年の撮像素子の小型化に伴ってレンズユニットの小型化が求められ、これに起因してレンズを適正な位置、状態で保持する精度が飛躍的に高まり、要求される精度に部品精度を追い込むことが困難となってきている。
さらに近年、携帯電話用カメラや監視カメラ、車載用カメラでは、使用温度や保証温度の広域化が進み、この広い温度範囲での性能維持を図るのが困難となってきている。
前記した特許文献1に記載されたレンズユニットは、このような温度変化を考慮した構成ではあるが、温度変化による撮像レンズの焦点位置変化を鏡筒材料の選択と構造とで補正しており、鏡筒を2重化するなど、小型化の観点と耐環境性能に対しての向上が困難な構造となっている。
また特許文献2に記載されるレンズユニットは、環境性能向上のために最も物体側のレンズで鏡筒を封止する構成としているが、温度変化に伴う鏡筒の材料特性とレンズの材料特性との差により発生する隙間より偏芯が発生し、光学性能を維持することが困難という問題がある。
さらに特許文献3に記載されているレンズユニットは、テーパを設けることで温度変化が発生しても光軸ずれを防ぐ構成としているが、温度変化による膨張の逃げ場がなくなって結果としてコートクラックなどの発生を招き、光学性能を維持することが困難となる問題がある。
そのため本発明においては、レンズユニットの量産性を考慮して簡易な構成で組み立てを容易にし、高温に晒されるなどの結像性能の維持が難しい環境下でも、焦点変化、鏡筒とレンズの膨張率の違いによって膨張の逃げ場がなくなることで生じるコートクラック、などによる性能劣化を少なくして、常に光学性能を維持することができるレンズユニットを提供することが課題である。
上記課題を解決するため本発明になるレンズユニットは、
3以上の複数のレンズによって構成される撮像レンズと、前記撮像レンズを保持する鏡筒とからなるレンズユニットにおいて、
前記複数のレンズのうちの一のレンズと該一のレンズに隣り合う他のレンズにおける光学的な作用を有する面の周囲に、前記一のレンズ及び他のレンズのうち一方他方側に凸状の、前記一のレンズ及び他のレンズのうち他方一方側に凹状の互いに嵌合可能な段部を有し、嵌合により一体化されて前記鏡筒に保持されており、
前記一のレンズと他のレンズのいずれか一方は、前記複数のレンズのうち最も屈折力の強いレンズであり、
前記一のレンズと他のレンズは屈折力の正負が異なることを特徴とする。
このように撮像レンズを構成する複数のレンズのうちの、隣り合う一のレンズと他のレンズとを嵌合させて鏡筒に収容することで、2つのレンズが一体化されて鏡筒に組み込まれることになるから組立が容易になる。また、高温に晒されるなどの厳しい環境に置かれて熱膨張などがあっても、一体化されているからレンズ間隔の狂いが少なく、軸心ズレが有っても一のレンズと他のレンズとは一緒に軸心がずれるから、性能劣化を小さく押さえることが可能となる。
また、前記一のレンズと他のレンズの他方は、前記複数のレンズのうち最も屈折力の強いレンズに隣接するレンズのうち屈折力の強い方のレンズであってもよい。
また同様に、上記課題を解決するため本発明になるレンズユニットは、
記複数のレンズと鏡筒とは線膨張係数の異なる材料で形成され、前記鏡筒の内径をD、レンズ直径をdとしたとき、Dとdとが下記(1)式を満足することを特徴としてもよい。
0.005mm < D − d < 0.1mm ……(1)
このように隣り合う一のレンズと他のレンズとを嵌合させるだけでなく、レンズと鏡筒とは線膨張係数の異なる材料で形成すると共に、鏡筒の内径Dとレンズ直径をdとの間に(1)式で与えられる隙間(クリアランス)を設けることで、鏡筒とレンズの膨張率の違いにより逃げ場がなくなる問題が解決され、それによるコートクラックや性能劣化を防ぎ、さらに一体化させたことで前記した効果も得られるから、組立が容易で、常に光学性能を維持することができるレンズユニットを提供することができる。
そして、前記一のレンズと他のレンズとは、最も屈折力の強いレンズとそれと隣り合う強い屈折力のレンズとすることで、最も光学性能に影響を与えるレンズを一体化することになり、また、前記一のレンズと他のレンズとは、屈折力が正と負であることで、軸心ズレなどは相殺されることになるから、より、光学性能を維持することができるレンズユニットを提供することができる。
また、前記撮像レンズを構成する複数のレンズは、物体側から順に、物体側を凸とした負の屈折力を持つ第1レンズと、像側を凹とした負の屈折力を持つ第2レンズと、物体側に凸とした正の屈折力を持つ第3レンズと、開口絞りと、像側を凸とした正の屈折力を持つ第4レンズとで構成され、前記一のレンズと他のレンズは前記第2レンズと第3レンズとすることで、嵌合するレンズが物体側と像面側以外となるから、レンズ材料選択の自由度を増すことができる。
そして、前記第1レンズはガラスであり、画面に対する全画角を2Wとしたとき、下記(2)式を満足するよう形成されていることで、例えば屋外で使う監視カメラのレンズユニットの場合、雨や風が当たる可能性があるが、ガラスレンズならそういった悪環境にも耐えられ、さらに大きな画角とすることで監視用として広い範囲を撮像できる、好適なレンズとすることができる。
2W < 130° …………………………………………………………(2)
さらに、前記一のレンズと他のレンズとは、樹脂材料で形成されていることで、非球面などを用いる場合も精度の良いレンズを製作することができる。
また、前記一のレンズと他のレンズとの間における前記光学的な作用を有する面の外周に、遮光材を配置可能な間隙を設けたことで、鏡筒内への不要光をカットすることができ、結像面に不要なフレア、ゴーストなどに起因する光が達するのを防ぐことができる。
以上記載のごとく本発明によれば、小型のレンズユニットにおいて、簡易な構成で組み立てを容易にし、高温に晒されるなどの結像性能の維持が難しい環境下でも、レンズ間隔のズレ、軸心ズレ、光軸方向ズレなど、レンズ性能を劣化させる要因に対して強く、鏡筒とレンズの膨張率の違いによって膨張の逃げ場がなくなることで生じるコートクラック、などによる性能劣化も防げるから、常に望ましい光学性能を維持することができるレンズユニットを提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の形状等は、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明になるレンズユニットの実施例1の基本構成を示す断面図であり、図2は、この実施例1のレンズユニットを構成する撮像レンズのうちの、2つのレンズの嵌合状態を示す断面図である。
図1及び図2に示す実施例1のレンズユニット10の断面図において、図上左側が被写体側(物体側)、右側が像側(結像面側)であり、撮像レンズ(G0)12は、第1レンズ(L1)14、第2レンズ(L2)16、第3レンズ(L3)18、第4レンズ(L4)20、開口絞り(SP)22からなる。そしてこれらのレンズが鏡筒(T1)24内の所定位置に配置されて、レンズ押さえ(T2)26を鏡筒(T1)24の被写体側(物体側)に螺合、または接着、若しくはカシメなどで固定することにより、第1レンズ(L1)14を固定して撮像レンズ(G0)12を鏡筒(T1)24に保持する。
鏡筒(T1)24の内面には、第4レンズ(L4)20における光軸方向位置決めのための第4レンズ保持部242が設けられている。そしてそれ以外のレンズと開口絞り(SP)22は、まず開口絞り(SP)22が第4レンズ(L4)20に設けられた開口絞り保持部202に、第3レンズ(L3)18が開口絞り(SP)22に設けられた第3レンズ保持部222に、第2レンズ(L2)16が第3レンズ(L3)18に設けられた第2レンズ保持部182に、第1レンズ(L1)14が第2レンズ(L2)16に設けられた第1レンズ保持部162にそれぞれ当接し、光軸方向の位置決めがなされている。
また鏡筒(T1)24の内面における、撮像レンズ(G0)12を構成する各レンズ(L1、L2、L3、L4)の外周面に対面する部位、及び開口絞り(SP)22の外周面に対面する部位には、それぞれのレンズの直径に対応して後記する所定のクリアランスを介し、レンズ周囲保持部248、250、252、254が設けられている。さらに鏡筒(T1)24の246で示したOリング保持部には、Oリング28が配されてレンズ押さえ(T2)26で第1レンズ(L1)14を固定する際、第1レンズ(L1)14がOリング28を被写体側(物体側)から像側(結像面側)に押圧する。そのため、このOリング28がOリング保持部246と第1レンズ(L1)14の像面側との間で潰れ、封止効果を持たせて液体が鏡筒(T1)24内部に浸透できないようになっている。
さらに、第2レンズ(L2)16に設けられた第1レンズ保持部162に第1レンズ(L1)14が当接することで、第2レンズ(L2)16から第4レンズ(L4)20を物体側より像側(結像面側)方向に押しつけるから、衝撃などがあっても各レンズ(L1、L2、L3、L4)の光軸ズレを防止することができる。
なお、撮像レンズ(G0)12の像面側に配した30は、水晶ローパスフィルターや赤外カットフィルター、撮像素子を保護する保護ガラス等に対応して設計上設けられたガラスブロック(G)である。そして32は撮像レンズ(G0)12の像面(IP)で、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)で構成された固体撮像素子の感光面が配置される。また、第2レンズ(L2)16と第3レンズ(L3)18との間に隙間を設け、光学的な作用を有する面の外周側に遮光材(T3)34を置いて鏡筒(T1)24に進入する不要光をカットし、像面(IP)32に不要なフレア、ゴーストなどに起因する光が達しないようにしている。
この実施例1の撮像レンズ(G0)12は、無限遠物体から近距離物体へのフォーカスがパンフォーカスとした光学系として構成されていて、レンズユニット10の繰り出しは行っていないが、レンズユニット10を物体側へ繰り出す、または撮像レンズ(G0)12を構成する複数のレンズのうち、一部を繰り出せるように構成してフォーカシングできるようにしても良い。
撮像レンズ(G0)12における第1レンズ(L1)14は、図示したように被写体側(物体側)の面が凸形状で像側の面が物体側に凸形状となっていて、像側の面に比べて物体側の面の屈折力の絶対値が小さく、負の屈折力(光学的パワー=焦点距離の逆数)を有したメニスカス形状のガラスレンズにより成っている。このように物体側を凸形状とすることで、例えば水滴などが物体側より噴射されても水滴が周辺に逃れるようになり、前記したようにOリング28が使われていることと相俟って、環境性能を満足することができる。更に第1レンズ(L1)14をプラスチックレンズに比べて硬さなど環境性能に優れるガラスレンズとすることで、厳しい環境にも耐えられるレンズユニット10とすることができる。
また、本発明のレンズユニット10では、特に監視カメラや車載用カメラとして死角となる領域が多く発生しないよう、この第1レンズ(L1)14の画角は、画面に対する全画角を2Wとしたとき、下記(2)式を満足するように形成する。
2W < 130° …………………………………………………………(2)
第2レンズ(L2)16は像側に凹面を向けた負の屈折力を持ち、樹脂材料を成型することで形成したプラスチックレンズであり、第3レンズ(L3)18は両凸形状の正の屈折力を持つ樹脂材料を成型することで形成したプラスチックレンズである。樹脂材料で構成するレンズはガラスで構成するレンズに比べ、成型の安定性及び重量、コストの観点から優れている。また成型の利点を活かして本実施例の樹脂材料で構成するレンズは、両面(物体側及び像側)を回転対称の非球面を用いている。このように球面からの自由度を広げることにより、少ない構成枚数で良好な結像性能を得ている。
また第2レンズ(L2)16は、像面側の曲率が中心から周辺に向かって屈折力が弱く、かつ物体側及び像面側の面は変曲点を持たない面で構成されている。変曲点を発生させると、画面の一部の範囲で成型バラツキなどによって像面湾曲などの影響を受け、画面全域で良好な結像性能を得ることが困難であり、本実施例のような形状とすることで、コンパクトなレンズ枚数でも画面全域で良好な結像性能を確保することができる。
第4レンズ(L4)20は、被写体側(物体側)はほぼ平坦な形状で像側(結像面側)を強い凸面とした正の屈折力を持ったレンズで、樹脂材料を成型することで形成したプラスチックレンズある。このような形状にすることで、肉厚ズレ、開口絞り(SP)22との光軸方向間隔ズレ、光軸方向ズレなどの開口絞り(SP)22に近い箇所におけるMTF性能劣化量を少なくし、製造しやすいレンズとしている。
開口絞り(SP)22は、第4レンズ(L4)20における開口絞り保持部202で第4レンズ(L4)20と、開口絞り(SP)22における第3レンズ保持部222で第3レンズ(L3)18と当接して配置されている。開口絞り(SP)22を第4レンズ(L4)20より像側に配置すると、レンズ系が大型化することにより好ましくなく、また第2レンズ(L2)16と第3レンズ(L3)18との間に配置するとバックフォーカスを長くすることに対して不利になり好ましくない。従って、上記した第3レンズ(L3)18と第4レンズ(L4)20との間に配置することで、諸収差の良好な補正及びレンズ系のコンパクト化が可能となる。
尚、この図1、図2に示した撮像レンズ(G0)12は、4枚のレンズ(L1、L2、L3、L4)で構成された場合を示したが、本発明はこれに限定されずに撮像レンズ(G0)12は複数枚であれば図示の構成に限定されない
このように構成した本発明のレンズユニット10を構成する撮像レンズ(G0)12のうち、第2レンズ(L2)16と第3レンズ(L3)18とは、図2にその嵌合状態を示したように、それぞれの光学的な作用を有する面の周囲に、第2レンズ(L2)16は第3レンズ(L3)18側に凹状とした段部164を、また第3レンズ(L3)18は第2レンズ(L2)16側に凸状の段部184を有し、それぞれの段部は互いに嵌合可能に構成されて、相互に圧入嵌合させることで一体化させている。
そのため第2レンズ(L2)16と第3レンズ(L3)18とは、互いの空気間隔が常に一定となると共に、光軸ズレ量が同一となる。また、第2レンズ(L2)16と第3レンズ(L3)18とは相対ずれ量が軽減され、鏡筒(T1)24に組み込む前に嵌合させておくことで、部品点数がそれだけ少なくなって組み込みも容易となる。なお、第2レンズ(L2)16と第3レンズ(L3)18とを圧入嵌合するための凹状段部164と凸状段部184とは、どちらのレンズを凸状、凹状にしても良いことは勿論であり、また圧入に際し、それぞれのレンズに歪みを起こさない程度の力で嵌合できるようにする。
また、第2レンズ(L2)16と第3レンズ(L3)18とは、線膨張係数が例えば第2レンズ(L2)16は6(10−5/℃)、第3レンズ(L3)18が7(10−5/℃)と比較的近い材料を用いると、温度変化による膨張・収縮が略同一となり、温度変化にも耐えうる構成となって、光学性能の劣化要因となる空気間隔ズレや、光軸ズレなどの要因を軽減して環境性能向上にも寄与させることができる。
このように、第2レンズ(L2)16には凹状とした段部164を、第3レンズ(L3)18には凸状の段部184を持たせることで、第3レンズ(L3)18の凸状の段部184により、成型時の反りを軽減させる役割と光学的な作用を行なう面の保護を果たし、第2レンズ(L2)16の凹状とした段部164は、コバ付近の肉厚を低減させる役割を果たして軽量化、性能向上に寄与している。
また、第2レンズ(L2)16と第3レンズ(L3)18との間には、前記したように隙間を設けて遮光材(T3)34を配し、不要光をカットして像面(IP)32への不要なフレア、ゴーストなどに起因する光を遮光している。尚、この遮光材(T3)34は、第2レンズ(L2)16の第3レンズ(L3)18側の光学的な作用を有する面の周囲に、墨塗りを実施して不要光を遮光するような構成としても良い。
そしてこれらのレンズ(L1、L2、L3、L4)の焦点距離は、例えば第1レンズ(L1)14が−5.79002mm、第2レンズ(L2)16が−2.5505mm、第3レンズ(L3)18が3.0339075mm、第4レンズ(L4)20が3.530383mmで第2レンズ(L2)16が最も屈折力が強く、第3レンズ(L3)18がそれに次いでいて、それぞれのレンズは屈折力が第2レンズ(L2)16が負、第3レンズ(L3)18が正となっている。
すなわち第2レンズ(L2)16、第3レンズ(L3)18とは、互いの屈折力が正、負の関係にあり、かつ、最も屈折力が強いレンズとそれに隣り合う強い屈折力のレンズとを組み合わせているわけで、このようにすることで最も光学性能に影響を与えるレンズを一体化することになり、また、第2レンズ(L2)16、第3レンズ(L3)18の嵌合部を円周状にしておき、相対的に回転させて軸心ズレが最小となる最適な位置としてから一体化(嵌合)することで軸心ズレの影響を押さえられることになるから、より、光学性能を維持することができるレンズユニットを提供することができる。
そして、本発明になるレンズユニット10は、図2に示したようにDを鏡筒(T1)24における第1レンズ(L1)14、第2レンズ(L2)16、第3レンズ(L3)18、第4レンズ(L4)20のそれぞれの位置における内径、dを各レンズの外径としたとき、このDとdの間にD>dの関係を持たせ、撮像レンズ(G0)12のそれぞれのレンズと鏡筒(T1)24との間に、(D−d)の隙間(クリアランス)を設ける構成としている。そのため、撮像レンズ(G0)12のそれぞれのレンズと鏡筒(T1)24とが、線膨張係数の異なる材料で形成されることで温度変化の激しい場所で膨張量が異なり、レンズを圧迫してコートクラックや性能劣化をまねく、といったことが防止される。
通常のレンズユニットにおいては、各レンズをレンズ鏡筒にガタが生じないようきっちりと嵌め込むようにしているが、このように撮像レンズ(G0)12と鏡筒(T1)24との間に隙間を設けると、光軸ズレが発生して光学性能の劣化要因となる。しかしながら本発明の実施例1のレンズユニット10では、前記図2で説明したように、第2レンズ(L2)16と第3レンズ(L3)18とを一体化させたことで、L2、L3の空気間隔が常に一定となると共に、光軸ズレ量が同一となる。また、第2レンズ(L2)16と第3レンズ(L3)18とは相対ずれ量が軽減され、線膨張係数が比較的近い材料を用いると、温度変化による膨張・収縮が略同一となり、温度変化にも耐えうる構成となって、光学性能の劣化要因となる空気間隔ズレや、光軸ズレなどの要因を軽減して環境性能向上にも寄与させることができる。
ただ、撮像レンズ(G0)12と鏡筒(T1)24との間のクリアランスは、広すぎるとMTF性能劣化量が大きくなり、狭すぎるとレンズを圧迫してコートクラックや性能劣化をまねく。そのため、高い光学特性を維持しつつ環境性能を向上させるため、このDとdとが下記(1)式を満足するように設定することが重要である。
0.005mm < D − d < 0.1mm ……(1)
例えば図1、図2に示した構成の場合、鏡筒(T1)24の線膨張係数が1.5(10−5/℃)、ガラスレンズである第1レンズ(L1)14が0.59(10−5/℃)、前記したように第2レンズ(L2)16が6(10−5/℃)、第3レンズ(L3)18が7(10−5/℃)、そしてプラスチックレンズである第4レンズ(L4)20が6(10−5/℃)であり、鏡筒(T1)24の第1レンズ(L1)14に対応した直径Dが13.71mm、第1レンズ(L1)14の直径dが13.7(公差−0.01)mm、鏡筒(T1)24の第2レンズ(L2)16、第3レンズ(L3)18に対応した直径Dが9.605mm、第2レンズ(L2)16、第3レンズ(L3)18の直径dが9.6(公差−0.005)mm、鏡筒(T1)24の第4レンズ(L4)20に対応した直径Dが7.005mm、第4レンズ(L4)20の直径dが7.0(公差−0.005)mmであるとする。
この場合、80℃の温度上昇があると鏡筒(T1)24の第1レンズ(L1)14に対応した直径Dは0.016452mm、第1レンズ(L1)14の直径dが0.0064664mmそれぞれ増え、鏡筒(T1)24の方の増分が0.0099856mm大きく、第2レンズ(L2)16、第3レンズ(L3)18に対応した直径Dは0.011526mm、膨張率の大きな第3レンズ(L3)18の直径dが0.05376mmそれぞれ増え、第3レンズ(L3)18の増分が0.042234mm大きく、第4レンズ(L4)20に対応した直径Dは0.008406mm、第4レンズ(L4)20の直径dが0.0336mmそれぞれ増え、第4レンズ(L4)20の増分が0.025194mm大きい。従って、この場合はいずれも(1)式の範囲に収まっている。
この(1)式の下限値を下回るクリアランスでは、温度変動によりプラスチックレンズの膨張が発生した際、各レンズ(L1、L2、L3、L4)と鏡筒(T1)24との線膨張係数の違いによる膨張量の差から、鏡筒(T1)24と各レンズとの隙間(D−d)が狭くなる。また、前記したように光軸方向も液体などを封止する目的で各レンズを像面方向に押圧しているから、材質の膨張を逃がす箇所がなくなり、光学的な作用を行なう各レンズ面に形状変化が発生し、それに伴う変化から、透過率向上を図るためのコートにクラックが生じ、環境性能を満足することが困難となる。一方、(1)式の上限値を超えるクリアランスでは、温度変化などの環境変化に伴う膨張による変化は耐えることが可能であるが、光軸ズレ量が大きくなり、温度全域において良好な光学性能を維持することが困難となる。
なお、前記(1)式における数値範囲は、上記光学性能維持の観点からはさらに下記(1a)式のように設定することで、良好な光学性能を維持しつつ環境性能を向上することが可能となる。
0.005mm < D − d < 0.01mm ……(1a)
このように本実施例1のレンズユニット10では、適切なパワー配置と非球面配置、光学性能劣化要因に最も大きく起因する箇所を嵌合して一体化する構成とし、更には撮像レンズ(G0)12と鏡筒(T1)24とに適切な隙間を設けたことにより、撮像素子用のレンズユニットとして良好な光学性能と環境性能の向上を実現しながら、コンパクト化及び低コスト化を達成している。
なお、以上説明してきた実施例1のレンズユニット10を構成する撮像レンズ(G0)12、開口絞り(SP)22のパラメータを以下に示す。この撮像レンズ(G0)12は、焦点距離が1.38mm、Fナンバーが2.59、対角画角が166.67°、像高2.3mm、レンズ全長11.47mmである。
以下のパラメータにおいて、iは物体側からの面の順序を示し、riは第i面の曲率半径、diは第i面と第(i+1)面との間隔、ni、νiはそれぞれd線に対する屈折率、アッベ数を示す。また、最も像側の2面(10、11)は水晶ローパスフィルター、保護ガラス等、設計上設けられたガラスブロック(G)30である。また、非球面形状は光軸からの高さHの位置での光軸方向の変位を面頂点を基準にしてxとし、Rを近軸曲率半径、A、B、C、D、Eを非球面係数、Kを円錐定数とするとき、下記(3)式で表される。
Figure 0005204591
以下のパラメータの単位はmmであり、*は非球面を示す。
i r d n ν
1 18.980 0.700 1.729 54.7
2 3.400 3.045
3* −8.030 0.700 1.530 56.2
4* 1.676 0.556
5* 2.443 2.474 1.585 39.9
6* −4.000 1.412
7(絞り) ∞ 0.443
8* 78.850 2.142 1.530 56.2
9* −1.900 0.100
10 ∞ 1.200 1.516 64.1
11 ∞ 2.220
像面 ∞
以下は非球面係数である。
面番号 K A B C D
3: 0.360000 -7.86000E-04 -1.28500E-04 1.95000E-05 0.00000E+00
4: -1.050000 -2.80000E-02 2.68660E-05 1.41700E-04 0.00000E+00
5: -1.260000 -4.91700E-03 -5.13000E-04 -8.33000E-07 0.00000E+00
6: -1.550000 1.31200E-02 -1.87200E-03 6.01300E-05 0.00000E+00
8: 14.220000 -2.04000E-02 2.82400E-02 -8.41800E-03 -7.13000E-04
9: 0.323350 2.42600E-02 1.27000E-02 -5.61600E-03 2.83600E-03
図3は、本発明になるレンズユニットの実施例2の基本構成を示す断面図であり、図4は、この実施例2のレンズユニットを構成する撮像レンズのうちの、2つのレンズの嵌合状態を示す断面図である。
図3及び図4に示す実施例2のレンズユニット50の断面図は、前記図1、図2に示した実施例1の場合と同様であるが、1つ1つ説明すると、図上左側が被写体側(物体側)、右側が像側(結像面側)であり、撮像レンズ(G0)52は、第1レンズ(L1)54、第2レンズ(L2)56、第3レンズ(L3)58、第4レンズ(L4)60、開口絞り(SP)62からなる。そしてこれらのレンズが鏡筒(T1)64内の所定位置に配置されて、レンズ押さえ(T2)66を鏡筒(T1)54の被写体側(物体側)に螺合、または接着、若しくはカシメなどで固定することにより、第1レンズ(L1)54を固定して撮像レンズ(G0)52を鏡筒(T1)64に保持する。
また、鏡筒(T1)64の内面には、第4レンズ(L4)20における光軸方向位置決めのための第4レンズ保持部644が設けられている。そしてそれ以外のレンズと開口絞り(SP)62は、まず開口絞り(SP)62が第4レンズ(L4)60に設けられた開口絞り保持部602に、第3レンズ(L3)58が開口絞り(SP)62に設けられた第3レンズ保持部622に、第2レンズ(L2)56が第3レンズ(L3)58に設けられた第2レンズ保持部582に、第1レンズ(L1)14が第2レンズ(L2)16に設けられた第1レンズ保持部562にそれぞれ当接し、光軸方向の位置決めがなされている。
また鏡筒(T1)64の内面における、撮像レンズ(G0)52を構成する各レンズ(L1、L2、L3、L4)の外周面に対面する部位、及び開口絞り(SP)62の外周面に対面する部位には、それぞれのレンズの直径に対応して前記(1)、(1a)式に対応する所定のクリアランスを介し、レンズ周囲保持部648、650、652、654が設けられている。さらに鏡筒(T1)64の646で示したOリング保持部には、Oリング68が配されてレンズ押さえ(T2)66で第1レンズ(L1)54を固定する際、第1レンズ(L1)54がOリング68を被写体側(物体側)から像側(結像面側)に押圧する。そのため、このOリング68がOリング保持部646と第1レンズ(L1)54の像面側との間で潰れ、封止効果を持たせて液体が鏡筒(T1)64内部に浸透できないようになっている。
さらに、第2レンズ(L2)56に設けられた第1レンズ保持部562に第1レンズ(L1)54が当接することで、第2レンズ(L2)56から第4レンズ(L4)60を物体側より像側(結像面側)方向に押しつけるから、衝撃などがあっても各レンズ(L1、L2、L3、L4)の光軸ズレを防止することができる。なお、撮像レンズ(G0)52の像面側に配した30、32は、前記と同様水晶ローパスフィルターや赤外カットフィルター、撮像素子を保護する保護ガラス等に対応して設計上設けられたガラスブロック(G)、撮像レンズ(G0)52の像面(IP)で、CCDやCMOSで構成された固体撮像素子の感光面が配置されるのは前記実施例1と同様である。また、74は遮光材(T3)34である。
この実施例2の撮像レンズ(G0)52も、無限遠物体から近距離物体へのフォーカスがパンフォーカスとした光学系として構成されていて、レンズユニット50の繰り出しは行っていないが、レンズユニット50を物体側へ繰り出す、または撮像レンズ(G0)52を構成する複数のレンズのうち、一部を繰り出せるように構成してフォーカシングできるようにしても良い。
撮像レンズ(G0)52における第1レンズ(L1)54は、実施例1と同様被写体側(物体側)の面が凸形状で像側の面が物体側に凸形状となっていて、像側の面に比べて物体側の面の屈折力の絶対値が小さく、負の屈折力(光学的パワー=焦点距離の逆数)を有したメニスカス形状のガラスレンズにより成っている。そのため、Oリング68が使われていることで環境性能を満足し、プラスチックレンズに比べて硬さなど環境性能に優れるガラスレンズを用いることで、厳しい環境にも耐えられるレンズユニット50とすることができる。
また、この実施例2のレンズユニット50でも、監視カメラや車載用カメラとして死角となる領域が多く発生しないよう、この第1レンズ(L1)54の画角は、画面に対する全画角を2Wとしたとき、下記(2)式を満足するように形成する。
2W < 130° …………………………………………………………(2)
第2レンズ(L2)56は像側に凹面を向けた負の屈折力を持ち、樹脂材料を成型することで形成したプラスチックレンズであり、第3レンズ(L3)58は両凸形状の正の屈折力を持つ樹脂材料を成型することで形成したプラスチックレンズである。樹脂材料で構成するで成型の安定性、及び重量、コストの観点からガラスレンズに較べて優れている。また成型の利点を活かして本実施例の樹脂材料で構成するレンズは、両面(物体側及び像側)を回転対称の非球面を用いている。このように球面からの自由度を広げることにより、少ない構成枚数で良好な結像性能を得ている。
また第2レンズ(L2)56は、像面側の曲率が中心から周辺に向かって屈折力が弱く、かつ物体側及び像面側の面は変曲点を持たない面で構成されている。変曲点を発生させると、画面の一部の範囲で成型バラツキなどによって像面湾曲などの影響を受け、画面全域で良好な結像性能を得ることが困難であり、本実施例のような形状とすることで、コンパクトなレンズ枚数でも画面全域で良好な結像性能を確保することができる。
第4レンズ(L4)60は、像側(結像面側)を強い凸面とした正の屈折力を持ったレンズで、樹脂材料を成型することで形成したプラスチックレンズある。このような形状にすることで、肉厚ズレ、開口絞り(SP)62との光軸方向間隔ズレ、光軸方向ズレなどの開口絞り(SP)62に近い箇所におけるMTF性能劣化量を少なくし、製造しやすいレンズとしている。
開口絞り(SP)62は、第4レンズ(L4)60における開口絞り保持部602で第4レンズ(L4)60と、開口絞り(SP)62における第3レンズ保持部622で第3レンズ(L3)18と、それぞれ当接して配置されている。開口絞り(SP)62を第4レンズ(L4)60より像側に配置すると、レンズ系が大型化することにより好ましくなく、また第2レンズ(L2)56と第3レンズ(L3)58との間に配置するとバックフォーカスを長くすることに対して不利になり好ましくない。従って、上記した第3レンズ(L3)58と第4レンズ(L4)60との間に配置することで、諸収差の良好な補正及びレンズ系のコンパクト化が可能となる。
尚、この図3、図4に示した撮像レンズ(G0)52は、4枚のレンズ(L1、L2、L3、L4)で構成された場合を示したが、前記実施例1の場合と同様、本発明はこれに限定されずに撮像レンズ(G0)52は複数枚であれば図示の構成に限定されないことはあきらかである。
このように構成した本発明のレンズユニット50を構成する撮像レンズ(G0)52のうち、第2レンズ(L2)56と第3レンズ(L3)58とは、図4にその嵌合状態を示したように、それぞれの光学的な作用を有する面の周囲に、第2レンズ(L2)56は第3レンズ(L3)58側に凹状とした段部564を、また第3レンズ(L3)58は第2レンズ(L2)56側に凸状の段部584を有し、それぞれの段部は互いに嵌合可能に構成されて、相互に圧入嵌合させることで一体化させている。
そのため第2レンズ(L2)56と第3レンズ(L3)58とは、互いの空気間隔が常に一定となると共に、光軸ズレ量が同一となる。また、第2レンズ(L2)56と第3レンズ(L3)58とは相対ずれ量が軽減され、鏡筒(T1)64に組み込む前に嵌合させておくことで、部品点数がそれだけ少なくなって組み込みも容易となる。なお、第2レンズ(L2)56と第3レンズ(L3)58とを圧入嵌合するための凹状段部564と凸状段部584とは、どちらのレンズを凸状、凹状にしても良いことは勿論であり、また圧入に際し、それぞれのレンズに歪みを起こさない程度の力で嵌合できるようにする。
また、第2レンズ(L2)56と第3レンズ(L3)58とは、線膨張係数が例えば第2レンズ(L2)56は6(10−5/℃)、第3レンズ(L3)58が7.2(10−5/℃)と比較的近い材料を用いると、温度変化による膨張・収縮が略同一となり、温度変化にも耐えうる構成となって、光学性能の劣化要因となる空気間隔ズレや、光軸ズレなどの要因を軽減して環境性能向上にも寄与させることができる。
このように、第2レンズ(L2)56には凹状とした段部564を、第3レンズ(L3)58には凸状の段部584を持たせることで、第3レンズ(L3)58の凸状の段部584により、成型時の反りを軽減させる役割と光学的な作用を行なう面の保護を果たし、第2レンズ(L2)56の凹状とした段部564は、コバ付近の肉厚を低減させる役割を果たして軽量化、性能向上に寄与している。
また、第2レンズ(L2)56と第3レンズ(L3)58との間には、前記したように隙間を設けて遮光材(T3)74を配し、不要光をカットして像面(IP)32への不要なフレア、ゴーストなどに起因する光を遮光している。尚、この遮光材(T3)74は、第2レンズ(L2)56の第3レンズ(L3)58側の光学的な作用を有する面の周囲に、墨塗りを実施して不要光を遮光するような構成としても良い。
そしてこれらのレンズ(L1、L2、L3、L4)の焦点距離は、例えば第1レンズ(L1)54が−6.473172mm、第2レンズ(L2)56が−2.19712mm、第3レンズ(L3)58が2.596598mm、第4レンズ(L4)60が2.474036mmで第2レンズ(L2)56が最も屈折力が強く、第3レンズ(L3)58が第4レンズ(L4)60よりは弱いが屈折力が強く、それぞれのレンズは屈折力が第2レンズ(L2)56が負、第3レンズ(L3)58が正となっている。
すなわち第2レンズ(L2)56、第3レンズ(L3)58とは、互いの屈折力が正、負の関係にあり、かつ、最も屈折力が強いレンズとそれに隣り合う強い屈折力のレンズとを組み合わせているわけで、このようにすることで最も光学性能に影響を与えるレンズを一体化することになり、また、第2レンズ(L2)56、第3レンズ(L3)58の嵌合部を円周状にしておき、相対的に回転させて軸心ズレが最小となる最適な位置としてから一体化(嵌合)することで軸心ズレの影響を押さえられることになるから、より、光学性能を維持することができるレンズユニットを提供することができる。
そして、本発明の実施例2のレンズユニット50は、前記した実施例1と同様、Dを鏡筒(T1)64における第1レンズ(L1)54、第2レンズ(L2)56、第3レンズ(L3)58、第4レンズ(L4)60のそれぞれの位置における内径、dを各レンズの外径としたとき、このDとdの間にD>dの関係を持たせ、撮像レンズ(G0)52のそれぞれのレンズと鏡筒(T1)64との間に、(D−d)の隙間(クリアランス)を設ける構成としている。そのため、撮像レンズ(G0)52のそれぞれのレンズと鏡筒(T1)64とが、線膨張係数の異なる材料で形成されることで温度変化の激しい場所で膨張量が異なり、レンズを圧迫してコートクラックや性能劣化をまねく、といったことが防止される。
なお、撮像レンズ(G0)52と鏡筒(T1)64との間のクリアランスは、前記したように下記(1)式、より好ましくは下記(1a)を満足するように設定することが重要である。
0.005mm < D − d < 0.1mm ……(1)
0.005mm < D − d < 0.01mm ……(1a)
この図3、図4に示した構成の場合も、例えば鏡筒(T1)24の線膨張係数が1.5(10−5/℃)、ガラスレンズである第1レンズ(L1)14が0.59(10−5/℃)、前記したように第2レンズ(L2)16が6(10−5/℃)、第3レンズ(L3)18が7.2(10−5/℃)、そしてプラスチックレンズである第4レンズ(L4)20が6(10−5/℃)であり、鏡筒(T1)24の第1レンズ(L1)14に対応した直径Dが13.4005mm、第1レンズ(L1)14の直径dが13.4(公差−0.01)mm、鏡筒(T1)24の第2レンズ(L2)16、第3レンズ(L3)18に対応した直径Dが9.605mm、第2レンズ(L2)16、第3レンズ(L3)18の直径dが9.6(公差−0.005)mm、鏡筒(T1)24の第4レンズ(L4)20に対応した直径Dが7.2005mm、第4レンズ(L4)20の直径dが7.2(公差−0.005)mmであるとする。
この場合、80℃の温度上昇があると鏡筒(T1)24の第1レンズ(L1)14に対応した直径Dは0.0160806mm、第1レンズ(L1)14の直径dが0.0063248mmそれぞれ増え、鏡筒(T1)24の方の増分が0.0097558mm大きく、第2レンズ(L2)16、第3レンズ(L3)18に対応した直径Dは0.011526mm、膨張率の大きな第3レンズ(L3)18の直径dが0.05376mmそれぞれ増え、第3レンズ(L3)18の増分が0.042234mm大きく、第4レンズ(L4)20に対応した直径Dは0.0086406mm、第4レンズ(L4)20の直径dが0.03456mmそれぞれ増え、第4レンズ(L4)20の増分が0.0259194mm大きい。従って、この場合も(1)式の範囲に収まっている。
このように本実施例2のレンズユニット50でも、適切なパワー配置と非球面配置、光学性能劣化要因に最も大きく起因する箇所を嵌合して一体化する構成とし、更には撮像レンズ(G0)52と鏡筒(T1)64とに隙間を設けたことにより、撮像素子用のレンズユニットとして良好な光学性能と環境性能の向上を実現しながら、コンパクト化及び低コスト化を達成している。
なお、以上説明してきた実施例2のレンズユニット50を構成する撮像レンズ(G0)52、開口絞り(SP)62のパラメータを以下に示す。この撮像レンズ(G0)52は、焦点距離が1.222mm、Fナンバーが2.80、対角画角が132.1°、像高2.3mm、レンズ全長12.655mmである。
以下のパラメータにおいて、iは物体側からの面の順序を示し、riは第i面の曲率半径、diは第i面と第(i+1)面との間隔、ni、νiはそれぞれd線に対する屈折率、アッベ数を示す。また、最も像側の2面(10、11)は水晶ローパスフィルター、保護ガラス等、設計上設けられたガラスブロック(G)30で単位はmmであり、*は非球面を示すことは実施例1の場合と同じである。
i r d n ν
1 13.210 0.730 1.713 53.9
2 3.406 2.217
3* −11.536 0.700 1.530 56.2
4* 1.039 0.538
5* 1.790 2.600 1.632 23.0
6* −9.687 0.775
7(絞り) ∞ 0.360
8* −9.888 1.750 1.530 56.2
9* −1.233 1.025
10 ∞ 0.800 1.516 64.1
11 ∞ 1.160
像面 ∞
以下は非球面係数である。
面番号 K A B C D
3: -11.000000 -9.00000E-03 9.52400E-04 -2.20200E-05 0.00000E+00
4: -1.672000 -1.25900E-02 2.74900E-04 2.49700E-05 0.00000E+00
5: -0.781000 -1.85650E-02 5.27300E-03 -8.07850E-04 0.00000E+00
6: 0.000000 4.29830E-02 -1.40000E-02 1.00000E-03 0.00000E+00
8: 0.000000 -7.47400E-02 6.46300E-02 -7.50000E-02 3.00000E-02
9: -0.777000 9.05150E-03 9.88160E-04 -8.25500E-03 3.45400E-03
本発明によれば、固体撮像素子を用いたレンズユニット、特に監視用カメラや車載カメラなどに好適であり、良好な光学性能が求められ、かつ環境性能に満足したレンズユニットが実現できる。
本発明になるレンズユニットの実施例1の基本構成を示す断面図である。 実施例1のレンズユニットを構成する撮像レンズのうちの、2つのレンズの嵌合状態を示す断面図である。 本発明になるレンズユニットの実施例2の基本構成を示す断面図である。 実施例2のレンズユニットを構成する撮像レンズのうちの、2つのレンズの嵌合状態を示す断面図である。
符号の説明
10 レンズユニット
12 撮像レンズ(G0)
14 第1レンズ(L1)
16 第2レンズ(L2)
162 第1レンズ保持部
164 第2レンズの凹状段部
18 第3レンズ(L3)
182 第2レンズ保持部
184 第3レンズの凸状段部
20 第4レンズ(L4)
202 開口絞り保持部
22 開口絞り(SP)
222 第3レンズ保持部
24 鏡筒(T1)
242 第4レンズ保持部
246 Oリング保持部
248、250、252、254 レンズ周囲保持部
26 レンズ押さえ(T2)
28 Oリング
30 ガラスブロック(G)
32 像面(IP)
34 遮光材(T3)

Claims (7)

  1. 3以上の複数のレンズによって構成される撮像レンズと、前記撮像レンズを保持する鏡筒とからなるレンズユニットにおいて、
    前記複数のレンズのうちの一のレンズと該一のレンズに隣り合う他のレンズにおける光学的な作用を有する面の周囲に、前記一のレンズ及び他のレンズのうち一方他方側に凸状の、前記一のレンズ及び他のレンズのうち他方一方側に凹状の互いに嵌合可能な段部を有し、嵌合により一体化されて前記鏡筒に保持されており、
    前記一のレンズと他のレンズのいずれか一方は、前記複数のレンズのうち最も屈折力の強いレンズであり、
    前記一のレンズと他のレンズは屈折力の正負が異なることを特徴とするレンズユニット。
  2. 前記一のレンズと他のレンズの他方は、前記複数のレンズのうち最も屈折力の強いレンズに隣接するレンズのうち屈折力の強い方のレンズであることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
  3. 記複数のレンズと鏡筒とは線膨張係数の異なる材料で形成され、前記鏡筒の内径をD、レンズ直径をdとしたとき、Dとdとが下記(1)式を満足することを特徴とする請求項1に記載したレンズユニット。
    0.005mm < D − d < 0.1mm ……(1)
  4. 前記撮像レンズを構成する複数のレンズは、物体側から順に、物体側を凸とした負の屈折力を持つ第1レンズと、像側を凹とした負の屈折力を持つ第2レンズと、物体側に凸とした正の屈折力を持つ第3レンズと、開口絞りと、像側を凸とした正の屈折力を持つ第4レンズとで構成され、前記一のレンズと他のレンズは前記第2レンズと第3レンズとであることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載したレンズユニット。
  5. 前記第1レンズはガラスであり、画面に対する全画角を2Wとしたとき、下記(2)式を満足するよう形成されていることを特徴とする請求項に記載したレンズユニット。
    2W < 130° …………………………………………………………(2)
  6. 前記一のレンズと他のレンズとは、樹脂材料で形成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載したレンズユニット。
  7. 前記一のレンズと他のレンズとの間における前記光学的な作用を有する面の外周に、遮光材を配置可能な間隙を設けたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載したレンズユニット。
JP2008220530A 2008-08-28 2008-08-28 レンズユニット Active JP5204591B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008220530A JP5204591B2 (ja) 2008-08-28 2008-08-28 レンズユニット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008220530A JP5204591B2 (ja) 2008-08-28 2008-08-28 レンズユニット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010054866A JP2010054866A (ja) 2010-03-11
JP5204591B2 true JP5204591B2 (ja) 2013-06-05

Family

ID=42070849

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008220530A Active JP5204591B2 (ja) 2008-08-28 2008-08-28 レンズユニット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5204591B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5788185B2 (ja) * 2011-01-27 2015-09-30 オリンパス株式会社 レンズ鏡筒
CN104981723B (zh) * 2013-02-08 2017-07-04 柯尼卡美能达株式会社 摄影光学系统、摄影光学装置以及数字设备
JP6257165B2 (ja) * 2013-03-29 2018-01-10 キヤノン株式会社 レンズ装置及びそれを有する撮像装置
WO2015115351A1 (ja) * 2014-01-28 2015-08-06 コニカミノルタ株式会社 光学素子ユニット及び光学素子ユニットの製造方法
JP7093609B2 (ja) * 2016-06-03 2022-06-30 マクセル株式会社 車載カメラ用レンズユニットおよび車載カメラ
JP6825888B2 (ja) * 2016-11-29 2021-02-03 マクセル株式会社 レンズユニットおよびカメラモジュール
JP6993861B2 (ja) * 2016-12-28 2022-01-14 キヤノン株式会社 保持装置、光学装置、および光学装置を製造する方法
CN106873116B (zh) * 2017-04-06 2023-07-14 浙江舜宇光学有限公司 摄像镜头
JP7172553B2 (ja) 2018-12-18 2022-11-16 株式会社デンソー レンズモジュール及び車両用撮像装置
CN109782410A (zh) * 2019-02-28 2019-05-21 浙江舜宇光学有限公司 一种成像镜头
JP2023007079A (ja) * 2021-07-01 2023-01-18 株式会社タムロン レンズユニット及び車載カメラ

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3739295B2 (ja) * 2001-03-23 2006-01-25 カンタツ株式会社 鏡筒内に二つ以上のレンズを位置決め固定した光学機器
JP4082573B2 (ja) * 2002-07-01 2008-04-30 ローム株式会社 イメージセンサモジュール
JP2005140848A (ja) * 2003-11-04 2005-06-02 Sekinosu Kk 撮像用レンズ
JP2005062432A (ja) * 2003-08-11 2005-03-10 Sony Corp レンズ装置
JP2005309289A (ja) * 2004-04-26 2005-11-04 Konica Minolta Opto Inc レンズおよび組レンズ
JP2005338869A (ja) * 2005-06-27 2005-12-08 Kantatsu Co Ltd 鏡筒内に二つ以上のレンズを位置決め固定する方法及び該方法を適用した光学機器
JP4813192B2 (ja) * 2006-01-26 2011-11-09 日立マクセル株式会社 レンズ装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010054866A (ja) 2010-03-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5204591B2 (ja) レンズユニット
KR101452084B1 (ko) 초소형 광학계 및 이를 구비하는 휴대용 기기
US9557536B2 (en) Zoom lens and image pickup device
KR102180476B1 (ko) 촬상 렌즈 시스템 및 이를 채용한 촬상 장치
KR100933061B1 (ko) 촬상 광학 시스템
US9664879B2 (en) Imaging lens
US20170293111A1 (en) Optical system and image pickup apparatus including the same
TWI424190B (zh) 取像透鏡系統
KR101171517B1 (ko) 초소형 광학계
US7508601B2 (en) Imaging lens
KR102340793B1 (ko) 촬영 렌즈 및 이를 포함한 촬영 장치
KR101208235B1 (ko) 초소형 광학계
US10509211B2 (en) Optical system and image pickup apparatus having the same
US20090310227A1 (en) Zoom Lens, Digital Camera and Mobile Information Terminal Device
JP2004341512A (ja) 結像光学系及びそれを用いた電子機器
CN103728713B (zh) 摄影系统镜头组
JP2010276752A (ja) 広角レンズ
KR102094508B1 (ko) 줌 렌즈 및 이를 포함한 촬영 장치
JP2007212743A (ja) 広角ズームレンズ
KR200458772Y1 (ko) 두 개의 렌즈를 갖는 컴팩트한 짧은 후면 촛점 이미지렌즈 시스템
JP2009093149A (ja) 撮像レンズ
KR100843467B1 (ko) 초소형 촬상 광학계
JP2011008125A (ja) レンズユニット
KR101019519B1 (ko) 촬상 렌즈
CN101995646B (zh) 取像透镜系统

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110801

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120525

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120601

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120726

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130215

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5204591

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160222

Year of fee payment: 3