JP5200984B2 - 780MPa以上の引張強度を有する高強度熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、自動車の足回り部品などに適した板厚8mm以下の高強度熱延鋼板、特に、加工後の伸びフランジ性に優れ、かつ鋼板内材質変動の小さい780MPa以上の引張強度TSを有する高強度熱延鋼板の製造方法に関する。
近年、環境問題に対する関心が高まるなか、自動車用鋼板には、軽量化による燃費向上を目的に一層の高強度-薄肉化が要求されている。特に、自動車の足回り部品などには、現状多用されている440MPa程度のTSを有する高強度熱延鋼板に代わって、590MPa以上さらには780MPa以上のTSを有する高強度熱延鋼板の使用が増大する傾向にある。
自動車の足回り部品を製造するには、厳しい伸びフランジ加工がともなう場合が多いので、こうした高強度熱延鋼板には、優れた伸びフランジ性、特に、近年のプレス技術の進歩により、伸びフランジ加工はドロー(絞りおよび張り出し)→トリム(穴抜き)→リストライク(穴広げ)のような工程で行われる場合が増加しているため、優れた加工後の伸びフランジ性が必要である。
従来より、ベイナイト単相組織またはベイニチックフェライトとベイナイトの複合組織を主体とし、780MPa以上のTSを有し、かつ伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板がいくつか提案されている。例えば、特許文献1には、質量%で、C:0.02〜0.15%、Si:1.5%以下、Mn:1.0〜3.0%、P:0.04〜0.15%、S:0.010%以下、CrおよびMoの1種または2種を0.1~0.5%、Al:0.01~0.1%、Ni:1.2%以下、Cu:0.6~1.6%、Nb、TiおよびVの1種または2種以上を0.05~0.25%含有し、P+Cu/10-(Cr+Mo)/3≧0を満足する鋼を仕上圧延後の平均冷却速度10℃/s以上、巻取温度700℃以下とすることで、ベイナイトを主体とした溶接部の疲労特性に優れた高強度鋼板およびその製造方法が開示されている。特許文献2には、質量%で、C:0.02〜0.05%、Si:0.3~1%、Mn:1.3〜2.3%、P:0.1%以下、S<0.0010%、Cr:0.05~0.7%、Mo:0.05~0.5%を含有し、かつ(P-0.02)/Si>1/60、さらにTi:0.01~0.06%、Nb:0.01~0.03%、V:0.01~0.08%の1種または2種以上を含有する鋼を仕上圧延後、冷却速度35〜65℃/sで500〜600℃まで冷却し、その後、冷却速度2〜20℃/sで冷却後300〜475℃巻取ることを特徴とする加工性と疲労特性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法が開示されている。特許文献3には、質量%で、C:0.02〜0.15%、Si:0.3~2.5%、Mn:0.5〜2.5%、P:0.1%以下、S:0.01%以下、Sol.Al:0.005〜0.08%、N:0.008%以下、あるいはさらにCu、Ni、Mo、Sn、Nb、Ti、V、Zr、B、Cr、W、Ca、REMのうち1種または2種以上を含有する鋼を100〜850mpm範囲で一定速圧延し、仕上圧延後10℃/s以上の冷却速度で700℃以下に冷却後、300〜550℃で巻取ることを特徴とするベイナイト系高張力鋼板の製造方法が開示されている。特許文献4には、C:0.05〜0.30%、Si:1.0%以下、Mn:1.5〜3.5%、P:0.02%以下、S:0.005%以下、Al:0.150%以下、N:0.02%以下を含み、かつTi:0.005~0.2%、Nb:0.003~0.2%の1種または2種以上を含有する鋼を仕上圧延後2s以内に冷却を開始し、冷却速度20~150℃/sで巻取温度まで連続冷却し、300~550℃で巻取ることを特徴とする伸びフランジ性に優れる高強度熱延鋼板およびその製造方法が開示されている。
特開平5-331595号公報 特開2001-172745号公報 特開2000-87143号公報 特開2000-109951号公報 特開2000-42621号公報
一般に、熱間圧延後巻取りまでの冷却速度制御には、水冷を利用して強制冷却が行われている。しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の製造方法では、水冷時に膜沸騰と核沸騰が混在する遷移沸騰状態となる500℃以下の冷却速度が遅く、水冷時に遷移沸騰状態となり、鋼板の冷却ムラが生じて鋼板内の材質変動が生じる。特許文献3に記載の鋼板では、一定速圧延とすることで冷却ムラを抑え鋼板内のTS変動を小さくしようとしているが、500℃以下の冷却を制御していないため必ずしも鋼板内材質変動を小さくできない。特許文献4に記載の製造方法では、150℃/sを超える冷却速度で冷却しようとすると鋼板内の強度変動が大きくなるため、急冷時の冷却速度制御を厳密に行う必要があるが、急冷下で冷却速度を厳密に制御することは困難であり、特に巻取温度が500℃以下となる場合は、必ずしも鋼板内材質変動を小さくできない。また、特許文献1~4に記載の技術は、いずれも加工後の伸びフランジ性の向上を図ったものではない。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、加工後の伸びフランジ性に優れ、かつ鋼板内材質変動を安定して小さくできる780MPa以上のTSを有する高強度熱延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、加工後の伸びフランジ性に優れ、かつ鋼板内材質変動を安定して小さくできる板厚が1〜8mm程度で780MPa以上のTSを有する高強度熱延鋼板の製造方法について検討を重ねた結果、以下のことを見出した。
i) 780MPa以上のTSで優れた加工後の伸びフランジ性を得るには、熱間圧延後の冷却条件を制御することにより、ベイナイト単相組織とすることが効果的である。ここで、ベイナイトとは、ベイニチックフェライトおよびベイナイトの両者を意味する。
ii) 鋼板内材質変動を安定して小さくするには、鋼板の水冷時に膜沸騰冷却と核沸騰冷却が共存する遷移沸騰冷却となる500℃以下の温度域を120℃/秒以上の冷却速度で核沸騰冷却となる条件で冷却することが効果的である。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたもので、質量%で、C:0.04〜0.15%、Si:0.05〜1.5%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.06%以下、S:0.005%以下、Al:0.10%以下、Ti:0.05〜0.20%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼片を、1150〜1300℃の加熱温度で加熱し、800〜1000℃の仕上温度で熱間圧延後、55℃/秒以上の冷却速度で冷却し、引き続き少なくとも500℃以下の温度域を200℃/秒以上の冷却速度で核沸騰冷却となる条件で冷却後、350〜500℃の巻取温度で巻取ることを特徴とする780MPa以上の引張強度を有する高強度熱延鋼板の製造方法を提供する。
本発明の製造方法では、少なくとも500℃以下の温度域を250℃/秒以上の冷却速度で核沸騰冷却となる条件で冷却することが好ましい。また、質量%で、Si:0.3〜1.5%であったり、さらに、Cr:0.1〜0.8%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.2%、W:0.005〜0.2%、Mo:0.01〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上を含む成分組成を有する鋼片を用いることが好ましい。
本発明の製造方法により、加工後の伸びフランジ性に優れ、かつ鋼板内材質変動を安定して小さくできる780MPa以上のTSを有する高強度熱延鋼板を製造可能になった。本発明の製造方法で製造された高強度熱延鋼板は、特に、自動車の足回り部品に好適である。
以下に、本発明の高強度熱延鋼板の製造方法の詳細について説明する。なお、各成分元素の含有量を表す「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。
1) 成分組成
C:0.04〜0.15%
Cは、ベイナイトを生成させ必要な強度を確保するのに必要な元素である。780MPa以上のTSを得るためにはC量を0.04%以上とする必要があるが、0.15%を超えると加工後の伸びフランジ性が低下する。したがって、C量は0.04〜0.15%、好ましくは0.05〜0.10%とする。
Si:0.05〜1.5%
Siは、固溶強化により強度を上昇させるのに必要な元素である。Si量が0.05%未満では780MPa以上のTSを得るために高価な合金元素の添加量を増やす必要がある。一方、1.5%を超えると表面性状の低下を招き疲労特性を劣化させる。したがって、Si量は0.05〜1.5%、好ましくは0.3〜1.5%、より好ましくは0.3〜1.2%とする。
Mn:0.5〜2.0%
Mnは、固溶強化およびベイナイト生成に有効な元素である。780MPa以上のTSを得るためにはMn量を0.5%以上とする必要があるが、2.0%を超えると溶接性が低下する。したがって、Mn量は0.5〜2.0%、好ましくは0.8〜0.18%とする。
P:0.06%以下
P量が0.06%を超えると偏析による加工後の伸びフランジ性の低下を招く。したがって、Pは0.06%以下、好ましくは0.03%以下とする。なお、Pは固溶強化に有効な元素でもあり、この効果を得る上では0.005%以上含有していることが好ましい。
S:0.005%以下
Sは、MnおよびTiと硫化物を形成して加工後の伸びフランジ性を低下させるとともに、高強度化に有効なMnやTi量の低減を招く。したがって、S量は0.005%以下とし、より好ましくは0.003%以下とする。なお、S量は極力低減することが好ましい。
Al:0.10%以下
Alは、鋼の脱酸剤として重要な元素であるが、鋼中のAl量が0.10%を超えると鋼板表面性状の低下を招く。したがって、Al量は0.10%以下、好ましくは0.06%以下とする。なお、脱酸効果を十分に確保する上では、Al量は0.005%以上とすることが好ましい。
Ti:0.05〜0.20%
Tiは、その一部がCと結合し微細な炭化物を形成し、強度上昇や溶接時のHAZ(熱影響部)軟化防止に寄与する元素である。こうした効果を得るにはTi量を0.05%以上とする必要があるが、0.20%を超えると加工後の伸びフランジ性の低下を招く。したがって、Ti量は0.05〜0.20%、好ましくは0.07〜0.14%とする。
残部はFeおよび不可避的不純物であるが、以下の理由により、さらに、質量%で、Cr:0.1〜0.8%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.2%、W:0.005〜0.2%、Mo:0.01〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上を含有させることが好ましい。
Cr:0.1〜0.8%
Crは、焼入れ性向上に効果的な元素である。Cr量が0.1%未満ではその効果が小さく、0.8%を超えると加工後の伸びフランジ性の低下を招く。したがって、Cr量は0.1〜0.8%、好ましくは0.3〜0.7%とする。
Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.2%、W:0.005〜0.2%、Mo:0.01〜0.3%
Nb、V、WおよびMoは、いずれもCと結合し微細な炭化物を形成して強度上昇に寄与する元素である。しかしながら、Nb、V、W量が各々0.005%未満、あるいはMo量が0.01%未満では炭化物の生成量が少なく強度上昇が不十分となり、Nb量が0.1%超え、VおよびW量は各々0.2%超え、あるいはMo量が0.3%超えると加工後の伸びフランジ性の低下を招く。したがって、Nb量は0.005〜0.1%、V量は0.005〜0.2%、W量は0.005〜0.2%、Mo量は0.01〜0.3%とする。
なお、本発明の作用効果に害をおよぼさない微量元素として、Cu、Ni、Cr、Sn、Pb、Sbを各々0.1%以下の範囲で含有してもよい。
2) 製造条件
熱間圧延前の加熱温度:1150〜1300℃
圧延荷重の低減および良好な表面性状の確保の観点から、加熱温度は1150℃以上とする必要がある。また、熱間圧延前にTiの炭化物、あるいはさらにNb、V、WおよびMoを添加した場合は、これらの炭化物を溶解させる上でも、1150℃以上の加熱が必要である。一方、加熱温度が1300℃を超えるとオーステナイト粒が粗大化して加工後の伸びフランジ性が低下する。したがって、加熱温度は1150〜1300℃とする。
熱間圧延の仕上温度:800〜1000℃
仕上温度が800℃未満では圧延荷重の増大による表面欠陥の増加を招く。また、仕上温度が800℃未満ではフェライトとオーステナイトの二相域圧延になり780MPa以上のTSが得られなくなる場合もある。一方、仕上温度が1000℃を超えるとオーステナイト粒の微細化が不十分でベイナイト組織が粗大化するため加工後の伸びフランジ性が低下する。したがって、仕上温度は800〜1000℃、好ましくは820〜950℃とする。
熱間圧延後の冷却条件:冷却速度55℃/秒以上で冷却し、引き続き少なくとも500℃以下の温度域を冷却速度120℃/秒以上で核沸騰冷却となる条件で冷却
熱間圧延後の冷却速度が55℃/秒未満ではフェライトが生成するため、加工後の伸びフラン性の低下を招く。このため冷却速度は55℃/秒以上必要である。なお、70℃/秒以上での冷却がより好ましい。ここで、鋼板の冷却に水冷を利用する場合、従来の膜沸騰を主体とした冷却では500℃以下の温度域で膜沸騰冷却と核沸騰冷却が共存する遷移沸騰冷却となるため、鋼板内の温度ムラの発生が避けられなかった。しかしながら、500℃以下の温度域を冷却速度120℃/秒以上、好ましくは250℃/秒以上で核沸騰冷却すれば、温度ムラを確実に解消でき、鋼板内材質変動を安定して小さくすることができる。ここで、核沸騰冷却する場合、熱間圧延後核沸騰冷却開始するまでの冷却における平均冷却速度を55℃/秒以上とし、引き続き核沸騰冷却となる条件で冷却すればよい。また、上記500℃以下の温度域の冷却速度(120℃/秒以上)は、500℃以下巻取温度までの平均冷却速度である。本発明においては、少なくとも500℃以下の温度域を核沸騰冷却すればよく、熱間圧延後500℃以上の温度から核沸騰冷却となる条件での冷却を開始してもよい。
特許文献5には、膜沸騰冷却と核沸騰冷却が共存する遷移沸騰冷却される温度域を核沸騰冷却で行い、遷移沸騰冷却によって生じる鋼板面内の温度ムラを縮小させる技術が開示されている。しかし、本発明者らの検討によれば、遷移沸騰冷却を単に核沸騰冷却に代えるだけでは必ずしも鋼板面内の温度ムラを解消できず、安定して温度ムラを解消するには核沸騰冷却時の冷却速度を120℃/秒以上にすることが必要であることを見出した。なお、核沸騰冷却時の冷却速度は200℃/秒以上にすることが好ましく、250℃/秒以上にすることがより好ましい。この理由は、必ずしも明確ではないが、冷却速度が遅いと鋼板表面の水膜の破壊が十分でない部分が発生するためと考えられる。冷却速度120℃/秒以上で核沸騰冷却を確実に行うためには、水量密度を2000L/min.m2以上とすることが好ましい。核沸騰冷却を実施するには、従来の方法、すなわち鋼板上面に対しては直進性に優れたラミナーもしくはジェット冷却が好ましい。ノズルの形状としては、一般的に円管やスリットノズルがあるがどちらを採用しても問題はない。また、ラミナーもしくはジェット冷却の流速は4m/秒以上とすることが好ましい。これは、冷却時に鋼板上に生成する液膜をラミナーもしくはジェット冷却により安定的に突き破るための運動量を得る必要があるためである。なお、鋼板下面に対しは重力により冷却水は落下するため、鋼板面に液膜ができないため、スプレー冷却を用いても問題ない。もちろん、鋼板上面の場合と同様なラミナーやジェット冷却を採用することもできる。
巻取温度:350〜500℃
冷却後まで維持された残留オーステナイトをベイナイトに変態させるために、350〜500℃、好ましくは400〜500℃の巻取温度でコイル状に巻取る必要がある。これは、巻取温度が300℃未満ではベイナイトより硬質なマルテンサイトが生成し、また、500℃を超えるとパーライトが生成して、加工後の伸びフランジ性が低下するためである。巻取温度が500℃未満の場合は、500℃以下では遷移沸騰冷却が起こるため、上述のように、500℃から巻取温度までの温度域を冷却速度120℃/秒以上で核沸騰冷却する必要がある。なお、巻取温度が500℃のときは、500℃以下の水冷が不要になるので、核沸騰冷却を考慮する必要はなく、巻取温度までの平均冷却速度を55℃/秒以上とすればよい。
このようにして得られる高強度熱延鋼板の組織は、ベイナイト単相組織であり、体積率で95%超えのベイナイトあるいはさらに不可避的に生じる5%未満の他の相(マルテンサイトや残留オーステナイト)とから構成されている。
その他の製造条件は通常の条件で行える。例えば、所望の成分組成を有する鋼は転炉や電気炉などで溶製後、真空脱ガス炉にて2次精錬を行って製造される。その後の鋳造は、生産性や品質上の点から連続鋳造法で行うのが好ましい。鋳造後は、本発明の方法にしたがって熱間圧延を行う。熱間圧延後は、表面にスケールが付着した状態であっても、酸洗を行いスケールを除去した状態であっても、鋼板の特性が変わることはない。また、熱間圧延後、調質圧延を行ったり、溶融亜鉛めっき、電気めっき、化成処理を施すことも可能である。
表1に示す化学組成の鋼片を、1250℃に加熱し、表2に示す仕上温度で熱間圧延して板厚3.2mmの熱延板とした後、表2に示す冷却条件により水冷を利用して冷却し、表2に示す巻取温度でコイル状に巻取った。なお、ここで、巻取温度は鋼帯の幅方向中央部の巻取温度を鋼帯の長手方向に計測し、それらを平均した値である。また、このとき、巻取り装置の直前に鋼板表面温度を2次元的に測定可能な放射温度計[NEC三栄(株)製型式TH7800]を設置し、次のように鋼板面の温度ムラを評価した。
温度ムラ:放射温度計で計測された局所的に巻取温度が350℃未満となる低温部の面積を求め、その鋼板の全面積に占めるの割合S[=(低温部の面積)/(鋼板の全面積)×100(%)]を算出し、S<5%であれば温度ムラがないとした。
なお、表2中、No.1は巻取温度が500℃であり、核沸騰冷却となる条件での冷却を行わなかった。
次に、巻取り後の熱延板を酸洗後、コイル先端部から長手方向に30m入った位置で鋼板の幅方向中央におけるベイナイト体積率を、また、コイル先端部から30mの位置で幅方向中央、幅方向1/4および3/4の3箇所からJIS 5号引張試験片(圧延方向に直角方向)および穴広げ試験用試験片を採取してTSおよび加工後の穴広げ率λを、次のようにして測定した。
ベイナイト体積率:走査型電子顕微鏡(SEM)用試験片を採取し、圧延方向に平行な板厚断面を研磨後、ナイタール腐食し、倍率1000倍でSEM写真を10視野で撮影し、ベイナイトを画像処理により抽出し、画像解析処理によりベイナイトの面積および観察視野の面積を測定してベイナイト面積率[=(ベイナイトの面積)/(観察視野の面積)×100(%)]を求め、これをベイナイト体積率とした。
TS:3本の引張試験片に歪み速度10mm/minで引張試験を行って引張強度TSを求め、3本の平均値をTSとした。
λ:採取した3個の穴広げ試験用試験片に圧下率10%の冷間圧延を施した後、130mm角の板を切り出し、板中央に10mmφの穴を打ち抜いた後、60°円錐ポンチをバリと反対側から押し上げ、亀裂が板厚を貫通した時点での穴径dmmを測定し、次式より算出し、3個の平均値によりλを評価した。
λ(%)=[(d-10)/10]×100
さらに、鋼板内材質変動を調査するため、コイル先端部から長手方向に100、200、400、600、700m入った各位置で、圧延方向に平行な方向を試験片の長手方向として、鋼板の幅方向に、幅方向の両端25mmの内側から25本の試験片を等間隔に採取し、合計125本のJIS 5号引張試験片(圧延方向に平行な方向が引張方向)を採取し、上記と同様な方法でTSを求め、その標準偏差σを算出した。
結果を表3に示す。本発明例では、TSが780MPa以上であり、かつ加工後平均λが80%以上で加工後の伸びフランジ性にも優れているとともに、コイル内の温度ムラがほとんどないためTSの標準偏差σは15MPa以下と小さく、鋼板内材質変動が小さいことがわかる。
Figure 0005200984
Figure 0005200984
Figure 0005200984

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.04〜0.15%、Si:0.05〜1.5%、Mn:0.5〜2.0%、P:0.06%以下、S:0.005%以下、Al:0.10%以下、Ti:0.05〜0.20%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する鋼片を、1150〜1300℃の加熱温度で加熱し、800〜1000℃の仕上温度で熱間圧延後、55℃/秒以上の冷却速度で冷却し、引き続き少なくとも500℃以下の温度域を200℃/秒以上の冷却速度で核沸騰冷却となる条件で冷却後、350〜500℃の巻取温度で巻取ることを特徴とする780MPa以上の引張強度を有する高強度熱延鋼板の製造方法。
  2. 前記鋼片のSi含有量が、質量%で、0.3〜1.5%であることを特徴とする請求項1に記載の780MPa以上の引張強度を有する高強度熱延鋼板の製造方法。
  3. 少なくとも500℃以下の温度域を250℃/秒以上の冷却速度で核沸騰冷却となる条件で冷却することを特徴とする請求項1または2に記載の780MPa以上の引張強度を有する高強度熱延鋼板の製造方法。
  4. 前記鋼片が、さらに、質量%で、Cr:0.1〜0.8%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.2%、W:0.005〜0.2%、Mo:0.01〜0.3%のうちから選ばれた1種または2種以上を含む成分組成を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の780MPa以上の引張強度を有する高強度熱延鋼板の製造方法。
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