JP5200212B2 - 植物栽培温度調整装置 - Google Patents

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Description

本発明は、花卉や樹木や野菜などの植物を育成する温度調整装置に関するものであり、さらに詳しくは、植物が適切に成長するために必要な温度条件に加温あるいは冷却する栽培装置及び栽培方法に関するものであり、植物を栽培する必要最小限の空間を直接的に加温あるいは冷却することによって少ないエネルギーで植物に適した温度に調整できる装置及び栽培方法に関するものである。
花卉や樹木や野菜などの植物を人工的に栽培する場合には、各々の植物に適した太陽光、水、空気、炭酸ガスおよび肥料などを施し、温度や湿度を適切に管理する。特に、温度の管理は、栽培用ハウスで、外気との熱遮断をするだけでなく、冬季は温風や温水を循環することによって、ハウスを暖房することが行われている。また、夏季は、ヒートポンプやハウス内にミストを散布する装置(ファッドアンドファン方式)などが提案されている。
特許公開2005−237371には、低消費エネルギーで植物体を加温処理することにより植物体の休眠打破や草勢維持を行うことが可能な植物栽培技術が提案されている。該特許は、植物体の短縮茎を電熱ヒーターにより、局部的に直接加温することにより当該植物体の葉部の伸長に必要な所定の温度範囲に維持する植物栽培方法である。特に、イチゴなどの短縮茎植物においては、成長を制御する部位を適切な温度に管理することが重要である。該特許は、電熱ヒーターにより空気を加温し、加温された空気を媒体として植物の温度管理方法が提案されている。特開2002−305973には、ハウス栽培の土壌に遠赤外線放射体を設け、遠赤外線作用により土壌を加温することにより土壌の温度を上げる方法及び装置を提案するものである。文献1には、ヒートポンポンプ等で冷却した空気を鉢の周囲に供給し、鉢表面を冷却し、熱伝導によって栽培土壌を冷却し、併せて、鉢表面の上部に設置した不織布の囲いの表面に水を散布し、通気による水の蒸発気化熱によって冷却効果を高めようとするものである。これらの先行技術のいずれもが、空気を加熱あるいは冷却し、その熱を鉢あるいは植物に伝導して加温あるいは冷却するものである。空気の持つ熱エネルギーは、水の気化熱及び凝集熱に比較して小さく、加温及び冷却の能力は限定されるものである。先行技術のいずれも、植物を栽培する空間において水を気化あるいは凝集して温度を調節する本特許の加温方法及び冷却方法を示唆するものでない。また、これらのいずれの先行技術も加温あるいは冷却のみを可能にするもので、加温及び冷却の両方を可能にするものではない。
特許2005−237371 特開2002−305973
コチョウランの局部冷房による超低コスト花茎発生技術の開発;施設と園芸、147号、2009秋号
植物の栽培では、植物に適した温度に管理することが、植物を健全に成長させるためには必要である。植物の栽培は、季節性がなくなり、どの季節にも出荷できるように生産されている。そのために、冬季には、ハウスを加温して栽培したり、夏季には、ハウスを冷却したり、涼しい場所に植物を移動して栽培することが通常である。暑さに弱い植物は、夏季の冷却が省略できるように、涼しい地域で栽培されることがあるが、逆に冬季は加温することが必要となる。温風送風機で発生した温気をダクトでハウス内に送風して加温したり、スチーム放熱機、ヒートポンプや地熱で加温したり、温湯を循環して加温することもある。これらの方法でハウスを加温するには、大きなエネルギーが必要である。夏季に植物が成長するに適切な温度範囲を越えると、植物は休眠状態になり成長が止まったり、病気が発生したり、枯死することもある。また、胡蝶蘭のように、花茎を発生するためには、一定以下の温度に、一定期間の間冷却することが必要な植物もある。冷却には、外気を取り込んだり、ヒートポンプで冷却することがあるが、これらの方法は、冷却が十分でなかったり、大きなエネルギーを必要とする問題があった。植物を栽培する時に、低エネルギーすなわち低コストで温度を調整することが求められている。また、低エネルギーで温度を調整することによって、温暖化ガスである炭酸ガスの発生を減少することができ、環境維持に有益である。本発明は、植物栽培における熱エネルギーを減少し、生産コストを低減し、かつ、農業生産によって生じる温暖化ガス発生を低減するものである。
本発明は、植物を適切に栽培する温度調整装置において、送風機によって発生した空気を除加湿・加温冷却器を通して、湿度及び温度すなわち、露天温度及び温度を調整した空気を、植物を栽培する鉢あるいは植物を栽培する空間に供給し、植物を栽培するのに適した温度条件を少ないエネルギーで実現するものである。
除加湿・加温冷却器は、送風機で発生した空気を、小さい圧力損失で加除湿及び加温、冷却する構造からなる。加温するには、空気を通す容器に、ヒーターや加温媒体を通す管を配置する。加湿するには、底部に水は入れ、その上部に設置した多孔質体、例えば多孔質球、多孔質魁あるいは多孔質ハニカムを通して水を気化する方法、水中に空気を通す方法、圧電素子によりミストを発生する方法、スプレーでミストを散布する方法、あるいは、ヒーターで水を加温気化する方法によって行なうことができる。除湿するには、容器にヒートパイプや、冷却媒体を通す管を配置することによって可能である。加温する方法、加湿する方法及び除湿する方法は、管理する温度、規模及び目的によって、適宜選択され、また、上記の方法に限定されるものではない。また、除湿、加湿、加温する設備は、各々の機能を持った複数の設備から構成されてもよく、これらの機能を持つ単独の設備としてもよい。
植物栽培の温度管理は、一般的にハウス全体を加温あるいは冷却することによって行なわれるが、ハウス内にポリフィルムで形成したトンネルによる局部加温あるいは冷却することも提案されている。植物を栽培するのに必要な空間のみを温度管理することは熱エネルギーの減少には有益である。ハウス内を狭い空間で囲うと、その部分が太陽エネルギーで過度に加温されることがあり、その空間の温度制御が必要である。本発明の方法によると、土壌を加温あるいは冷却した空気は、土壌と同じに加温あるいは冷却されており、凝集熱あるいは気化熱によって加温あるいは冷却された空気は、植物を栽培するのに必要な空間を囲うことにより、該空間のみに限定して活用ができる。温度と露天温度を調節した空気で温度調節する方法によると、土壌が直接的に熱発生媒体になり、あるいは、冷却媒体となり、直接的に土壌を加温あるいは冷却することができる。植物によっては、土壌を温度管理すなわち根の温度を管理することが有効なものもあり、また、葉茎の部分の温度管理をすることが重要な場合もある。土壌を通過して温度を調整した空気によって、このように植物に適した温度管理をすることができる。また、土壌以外の容器で加温、加湿あるいは冷却した空気を植物栽培に必要な空間に供給することによって、植物に適した温度管理をすることができる。このように、凝集熱および気化熱による温度管理する装置及び方法と温度管理する空間を限定する囲いによって、植物栽培のエネルギーを大幅に低減できる。
本発明の装置及び方法は、温度と露点温度を調節した空気を、植物を栽培する鉢、鉢を支持する容器、あるいは植物を栽培する空間に供給することによって、加温あるいは冷却をすることができる。植物を栽培する鉢、土壌及び葉茎を含む空間に、それらより高い露点温度の空気を送ると、空気が冷やされ、結露が起きる。1グラムの水蒸気が結露すると538calの熱が発生し、鉢、土壌及び葉茎を含む空間は、露点温度に近づくように加温される。鉢、土壌及び葉茎を含む空間に、それらより低い露点温度の空気を送ると、土壌に含む水分が蒸発して鉢、土壌及び葉茎を含む空間は、水1グラムが蒸発すると538calに相当する熱が吸収され、鉢、土壌及び葉茎を含む空間は冷却される。水の凝集熱によって加温でき、水の気化熱によって冷却できることは、既存の自然現象であるが、本発明はこの自然現象を植物栽培に有効に活用したものである。送風機は、モーターからなり、低エネルギーで稼動し、水は植物栽培の現場には必ず存在する安全で安価な資材である。このように、本発明は、既存の自然現象を植物栽培の温度管理に有効に活用できるように工夫した考案である。
本発明の植物栽培温度調整装置及び方法によって、安全に安価に植物栽培の温度管理を可能にし、植物生産者の経費を低減し、温暖化ガスである炭酸ガス発生を減少する。農業経営に貢献するだけでなく、環境維持に貢献する。
本発明の植物栽培温度調整装置の概念図である。 C鋼底面給水鉢栽培における温度調整装置の構造図である。 胡蝶蘭のトレー鉢栽培における温度調整装置の構造図である。 局部囲いの構造図である。 苗のトレー栽培における温度調整装置の構造図である。 除加湿・加温冷却器の構造図である。
本発明は、図1に示すように、基本的に送風機1、除加湿・加温冷却器2、給気ダクト3、鉢またはトレー及び植物の栽培容積を囲う囲い4から成る。送風機は所定の量の空気を所定の圧力で供給するための装置で、市販の電機送風機、コンプレッサーあるいはエアポンプといわれているものが該当する。植物の量および植物の栽培容積によって、送風量及び送風圧力を選択する。送風圧力損失が大きくなると送風量が低下するので、装置の圧力損失を小さくなるように工夫することが有効である。除加湿・加温冷却器は、必要とする風量に対して、必要な除加湿と加温冷却を行なう装置である。給気ダクトは、除加湿・加温冷却器から出た空気を鉢または植物栽培空間に供給するプラスチック、金属あるいはポリフィルムのダクトである。送風損失が小さく、鉢または植物の取り扱いが簡易に行なわれることが重要である。栽培容積を囲う囲いは、除加湿・加温冷却器から植物に供給された加温空気あるいは冷却空気を閉じ込め、または外部の空気と混合しないための囲いである。支柱に貼り合わせた厚さ50ミクロン程度のポリフィルムの囲いである。植物の成長に必要な空間を植物の栽培の手間をできるだけ簡易にする構造の囲いが好ましい。
図2は、シクラメン栽培の例で、底面給水鉢栽培の場合には、ポリフィルムダクト5でC鋼6全体に覆い、ダクトに鉢を設置する容器7を挿入し、気密を保持するように、ビニールテープ等で接合する。鉢8は容器に挿入し、底部に設置した給水用の紐を、容器の底部に設けた穴を貫通し、C鋼の水に接触させる。送風機で発生し、加温・加湿器で所定の温度、湿度に調整された空気は、ポリフィルムダクトを通して鉢に供給される。加温・加湿で生成される空気の温度を例えば、25℃、相対湿度100%(露天温度25℃)に調整し、ダクトを通して鉢に、各鉢につき1リットル/分から2リットル/分の量の空気を給気すると、途中のダクトで放熱し、空気の温度は低下するものの、鉢中の土壌は次第に空気の露天温度に近づいてくる。空気量を、多くしても、25℃以上に加温されることはなく、温度制御は容易である。除加湿・加温冷却器の加湿、加熱をしない状態で空気を供給すると、空気の露点温度にしたがって冷却することができる。例えば、ハウス内温度が35℃の時に、露点温度が20℃の空気を1個の鉢あたり1リットル/分から5リットル/分の給気を行なうと25℃程度に冷却される。このように、加温と冷却を同じ装置で、供給する空気の露点温度と温度を調整すること及び空気通気量を適切に調整することによって、加温と冷却が可能である。
植物の種類あるいは成長過程において、鉢の大きさや栽培の形態は異なっている。例えば胡蝶蘭の場合には、4号相当ポット(直径120mm、深さ100mm)6個をトレーに設置して栽培することがある。この場合には、トレー単位で給気するのが好ましい。給気のためのポリフィルムダクトは、図3に示すように、ポットの受け容器9を挿入のための開口部を設け、開口部フィルム10とポット受け容器をビニールテープ11等で接着し、また、給気用のビニールホース12をポリフィルムダクトに接着し、トレー13に設置した。栽培用のポットは、トレーに設置した6個のポット受けように設置した。これに、加温。加湿器で調整された空気を供給した。これによって、胡蝶蘭栽培ポットは、通常の栽培と取り扱いが変わることなく、加温あるいは冷却を可能とした。胡蝶蘭の栽培には、図4のように、花茎の高さが収まる、栽培ベンチ14から1000mmに側面15と天上面16にポリフィルム等で囲うことによって、株の温度調節を可能とした。花茎の高さが低い種類の胡蝶蘭を栽培する場合、あるいは、花茎発生の初期段階の栽培をする場合には、それに適した高さの囲いにすると熱効率の改善ができる。また、ハウス内の空気の流れが小さい場合には、上面のポリフィルムを省略して側面のみの囲いで対応可能な場合もある。上面のポリフィルムを省くと、太陽光の照射を減少することはない。ベンチに底部から空調されていない空気が入り込むことがあるので、ベンチの底部17の側面にもポリフィルムで囲うことは、空調効果を高めるには有効である。
葉野菜の栽培には、例えば、縦300mm、横500mm、深さ150mmのトレーに土壌を入れて、種を蒔いて栽培する。このトレーに通気するには、図5に示すように、このトレー18が収納できるプラスチック容器19に気密が保てるように設置し、ビニールホース20を通して、側部から温度と露点温度を調整した空気を通記することによって、トレーの土壌を加温及び冷却することができる。
図6に、本発明の除加湿・加温冷却器の例を示す。縦、横300mm、高さ400mmのステンレス容器21の底部に空気供給口22、ヒーター23設置口、レベル計24設置口、及び排水口25を設け、容器上部に給水口26を設けた。空気供給口は、複数個設け、空気を分散して供給することが好ましい。水は、底部の40〜60mmの深さになるようにレベル計を設定した。底部50mmに位置に金網27を設置し、その上に目開き10mm、高さ100mmのハニカム28を設置した。ステンレス容器の側面から温度と露点温度を調整した空気を取り出す口29を1個または複数個設けた。ヒーター設置口に100V、1KwのU字型管ヒーターを設置した。該除加湿・加温冷却器に電機送風機から給気し、容器の底部で気泡を発生させ、湿ったハニカムに給気することによって、ハニカム壁から水分を蒸発し、加湿した。電気送風機の回転数を調整して、送風量を調整し、ヒーターの電力を調整して空気の温度と湿度すなわち温度と露点温度を調整することができる。このようにして調整した空気を図2、図3あるいは図5に示す植物の栽培容器に供給することによって、植物の温度調整を可能にした。また、該除加湿・加温冷却器で露天温度と温度を調整した空気を図5に示す囲いに供給することによって、該囲いの内部の温度を調整可能にした。
日本電機株式会社製送風機AH800(100V,100、最大風量6立方メートル/分を、図に示す、縦横300mm、高さ400mmのステンレスからなる加温加湿器の底部から空気を供給し、1kWヒーターによって、水を加温し、空気の温度及び相対湿度を調整した。併せて、鉢中の土壌温度及び、土壌より30mmの高さの位置の温度を計測した。鉢を設置する囲いは、縦横各180mm、ベンチ高さ700mm、ベンチ上部高さ1000mmとした。試験試料として、囲いの内部に設置した長さ1700mm、縦80mm、幅120mmのC鋼8本に、C鋼を覆い、5号プラスチック鉢を挿入できる開口部を設けたポリフィルムダクトに該プラスチック鉢を鉢受け容器として設置した。ポリフィルムダクトと該容器は気密を維持できるようにビニールテープで接合した。該容器は吸水紐が通り易いように、直径50mmの開口を設けた。5号プラスチック鉢にピートモスを主体とする土壌を入れ、C鋼の水の部分まで、吸水紐を垂らし、受け容器に設置した。C鋼1本に7個の鉢を設置し、合計64個の鉢を設置して試料1とした。比較として、囲いの外に設置したC鋼に通常の方法で設置した5号プラスチック鉢を比較試料1とした。
ヒーターを35℃に設定して通気すると、排出する空気は、32℃、相対湿度100%、すなわち露天温度は32℃であった。空気の露点温度は株式会社佐藤計量器製作所製デジタル温湿度計SK―120TRHを使用した。該空気を、ポリフィルムダクトを通してC鋼を覆うポリフィルムからプラスチック鉢に供給した。囲いに外の温度は20℃であった時に、囲いの中に天井の温度は31℃、試験試料1の鉢の土壌の温度は30℃、土壌より30mm高い部分の温度は31℃であった。これに対して、比較試料1の鉢の土壌の温度は18℃であった。このように、本発明の装置及び方法で加温した試料は、比較試料に対して、加温効果があることを確認できた。周囲温度が32℃の時に、温度34℃、露天温度21℃の空気をプラスチック鉢に通した。試験試料1の鉢の土壌の温度は、23℃、比較試料1の鉢の温度は29℃であった。このように、本発明の装置及び方法で冷却した試料は、比較試料に対して、冷却効果があることを確認できた。
実施例1と同じ加温・加湿器と囲いを用いて、鉢の代わりに、6個の鉢を設置できるトレーに、図3に示すポリフィルムのダクトで覆い、鉢に通気できる構造とした。トレーを10個設置して、生育3年の胡蝶蘭の株を植えた60個の鉢を挿入し試験試料2とした。囲いの外の温度は18〜25℃であった。囲いの外に、比較試料2として、10個のトレーを設置して比較した。ヒーター温度を40℃とし通気すると、試験試料2の土壌温度は、29〜32℃で、囲いの天井の温度は、31〜33℃であった。比較試料2の土壌温度は16〜22℃で、3週間目に花茎の発生が認められたが、試験試料2の鉢には、花茎発生は、1ヶ月後にも花茎発生は認められなかった。
実施例2において、加湿加温器の水を抜いて、空気を加湿しないで、通気した試料を試験試料3とした。囲いの外の温度は35〜37℃であった。囲いの外に設置した試料を比較試料3とした。通気した空気の温度は、31〜41℃であり、露点温度は19〜21℃であった。試験試料3の土壌の温度は、23〜25℃で、囲いの天井の温度は、25〜27℃、土壌より30mm上部の温度は23〜26℃であった。比較試料3の土壌温度は、29〜34℃であった。比較試料3は1ヶ月後に花茎発生は認められなかったが、試験試料3は、3週間後に花茎の発生が認められ、5週間後には、全ての株に花茎の発生が認められた。このように、本試験の加温加湿器と植物栽培空間を覆った囲いを冷却方法により、胡蝶蘭の花茎発生に効果があることが確認できた。
図5に示す野菜の苗を栽培する縦300mm、横500mm、深さ150mmのトレーを、このトレーを気密に設置できる外形縦340mm。横540mm、深さ200mmの発砲スチロール容器の側面に直径19mmのホースを挿入できる口を設け、給気口とした。
幅4メートル、長さ20メートルのハウスに幅1.5メートル、長さ15メートルのベンチ2列に、各ベンチに横に3個、縦に40個を並べて野菜の種を蒔いて栽培した。昭和電機株式会社製電気送風機AH−1200型を使用し、縦横620mm、高さ500mmのステンレス容器で、15KwのU字型管ヒーターを3本設置した加温・加湿器を使用した。ベンチの下部側面とベンチ上部の高さ300mmの側面をポリフィルムで覆った囲いを設けた。電気送風機から加温・加湿器に空気を送り、空気の温度と湿度すなわち温度と露天温度を調整した。その空気を、ポリ管にから多数のダクトを分岐し、各トレー設置容器に導入して、トレーの土壌の温度及び囲いの温度を調整した。夏季は、加湿・加温器の水の温度を低くし、空気の露点温度を低く設定するか、水と接触しないで乾燥空気をトレー設置容器に導入し温度調節を行なった。冬季は、トレーの上部100mmの位置に設置した温度計でヒーターの通電時間を調節して空気の温度と露天温度を調節して、野菜栽培空間の温度調節を行ないレタスの栽培を行なった。その結果、夏季は、本発明の調整装置を使用しない場合は、ハウス温度が昼間は35〜40℃になり、野菜の発芽率は低く、発芽後も生育が悪く、春秋の温度が適切な季節に比較すると収率は20%以下になることもあり、できた野菜の品質が劣り、販売に影響するものであった。これに対して、本発明の加温加湿器を使用して栽培した場合には、野菜を栽培する空間の温度は25〜30℃に調節することができ、発芽率は春秋の季節とほぼ同じ程度で90%以上を越え、出荷までの栽培期間もほぼ4週間を維持することができた。使用した電力は、電気送風機の運転をハウス温度が30℃を越えた時にのみ運転する制御をすることにより、6,7,8,9月の4ヶ月の期間で、1730Kw・時であった。電力代を17円/Kw・時とすると約3万円弱となり、収益の減少に対して十分効果のある費用である。冬季には、ハウス温度が10℃になるように、ハウスの温度管理を行なうと、11、12、1、2、3月の5ヶ月間で、重油を70キロリットル、電力を1280Kwを使用していたのに対して、本発明の加温加湿器で、野菜の栽培空間の温度が10℃以上になるように調整すると電力量は1470Kwとなった。重油価格を60円/リットル、電力代を17円/Kw・時として計算すると、従来は46万円であったのに対して、本発明の方法では、16500Kw,28万円で39%のコストダウンとなった。
1 送風機
2 除加湿・加温冷却器
3 給気ダクト
4 鉢またはトレー及び植物の栽培容積を囲う囲い
5 ポリフィルムダクト
6 C鋼
7 鉢を設置する容器
8 鉢
9 ポットの受け容器
10 開口部フィルム
11 ビニールテープ
12 給気用のビニールホース
13 胡蝶蘭栽培用トレー
14 栽培ベンチ
15 囲いの側面
16 囲いの天上面
17 囲いのベンチの底部
18 野菜栽培用トレー
19 プラスチック容器
20 給気用ビニールホース
21 除加湿・加温冷却器用のステンレス容器
22 空気供給口
23 ヒーター
24 レベル計
25 排水口
26 給水口
27 金網
28 多孔質ハニカム
29 空気を取り出す口

Claims (2)

  1. 植物を栽培する温度調整装置において、送風機、加湿及び/又は除湿機能と加温及び/又は冷却の機能を有する湿度及び温度調整器及び植物を栽培するのに必要な空間を限定する囲いからなり、露点温度と温度を調整した空気を、植物の栽培媒体に供給し、該栽培媒体を通過することにより、該媒体及び該空間の温度を調整することを特徴とする植物栽培温度調整装置
  2. 請求項1に記載の植物栽培温度調整装置によって、温度及び露点温度を調整した空気を、植物の栽培媒体に供給し、該媒体を通過することにより、該媒体及び該空間の温度を調整することを特徴とする植物栽培方法
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