JP5199938B2 - 感光性接着剤組成物およびそれを用いて得られる電子部品用シール材 - Google Patents

感光性接着剤組成物およびそれを用いて得られる電子部品用シール材 Download PDF

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Description

本発明は、露光・現像処理によって微細加工が可能な感光性接着剤組成物と、それを用いて得られる電子部品用シール材に関するものである。
一般に、イメージセンサ等の固体撮像素子や、各種センサ類を実装する場合、センサ上部に空間を設けた状態で、所定の基材上にこれらを接着させる必要がある。このため、両者を接着させる接着剤には、接着機能だけでなくギャップ形成機能が要求される。
このような接着剤としては、従来から、露光・現像によって微細なパターンを形成することのできる感光性接着剤が汎用されている。しかし、上記感光性接着剤は、パターン形成時に架橋硬化するため、高温でその表面を軟化させた状態で基材に熱圧着しなければならず、対象となる素子やセンサに熱的ダメージを与えやすいという問題がある。このため、素子やセンサの種類によっては、上記熱圧着による接着工程に代えて、別途比較的穏やかな条件での接着工程が必要となり、余分なコストと手間を要するという問題が派生する。
また、上記感光性接着剤を用いて熱圧着を行う際、すでに述べたように、上記感光性接着剤は、パターン形成時に架橋硬化しているため、熱圧着時に多少軟化するものの、充分な流動性を発現するには至らず、その結果として、基材や素子の接着面に凹凸があったり微妙な反り等が発生していると、両者の接着界面に隙間が生じて接着強度が不充分になるという問題もある。
そこで、エポキシ当量の異なる2種類の多官能エポキシ樹脂を組み合わせることにより、パターン形成後の接着力を高めた感光性接着剤組成物が提案されている(特許文献1を参照)。
特開2006−321984公報
たしかに、上記感光性接着剤組成物によれば、一定の接着力向上効果を得ることができる。しかし、近年、高密度実装技術のさらなる発達により、対象物の小型化・微細化が進んでおり、感光性接着剤組成物に対しても、より微細な凹凸への追従性と接着力の向上が強く求められている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、パターン形成が可能で、しかも微細な凹凸に対する優れた追従性と高い接着力を兼ね備えた感光性接着剤組成物と、それを用いて得られる電子部品用シール材の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の(A)成分をベースポリマーとして含有するとともに、下記の(B)〜(E)成分を含有し、上記(A)成分と(C)成分の配合割合が、(C)成分のエポキシ基のモル数/(A)成分のカルボキシル基のモル数=1〜1.5となるように設定されている感光性接着剤組成物を第1の要旨とする。
(A)分子中にカルボキシル基とラジカル重合性基とウレタン結合とを有するポリマー。
(B)分子中にカルボキシル基を有しないウレタン(メタ)アクリレートポリマー。
(C)エポキシ樹脂。
(D)光重合開始剤。
(E)熱硬化促進剤。
そして、本発明は、そのなかでも、特に、上記(A)成分のベースポリマーが、カルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレートポリマーである感光性接着剤組成物を第2の要旨とする。
また、本発明は、第1の要旨である感光性接着剤組成物からなり、露光による硬化後、被着体との熱圧着によって被着体との密着性が発現するよう設定された電子部品用シール材であって、上記露光による硬化後、被着体との熱圧着の前における弾性率が、125℃において1MPa以下である電子部品用シール材を第3の要旨とする。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、その記載部分が「アクリレート」である場合と「メタクリレート」である場合の双方を含む趣旨で用いている。
すなわち、本発明者らは、露光・現像によるパターン形成が可能で、しかもそのパターン形成後も高い接着力と微細な凹凸への追従性を備えた感光性接着剤組成物を得るために、一連の研究を重ねた。その結果、上記カルボキシル基とラジカル重合性基とウレタン結合とを有する樹脂と光重合開始剤とを組み合わせて用いることにより、露光・現像によるパターン形成が可能な感光性の樹脂に対し、ウレタン結合に由来する柔軟性を付加することができることを見いだした。また、光照射によっては変化しないエポキシ樹脂と熱硬化促進剤とを組み合わせて用いることにより、パターン形成後の加熱時に、これらと上記感光性の樹脂に含有されるカルボキシル基とエポキシ樹脂のエポキシ基とを反応させて接着機能を発現させることができることを見いだし、本発明に到達した。
本発明の樹脂組成物は、上記のように、ベースポリマーとしてカルボキシル基とラジカル重合性基とウレタン結合とを有する特殊なポリマー(A)と、光重合開始剤(D)とが用いられているため、露光・現像によるパターン形成が可能な感光性を備えている。しかも、上記ベースポリマー(A)はウレタン結合を有するため、ウレタン(メタ)アクリレートポリマー(B)の存在と相俟って、全体に柔軟性が高められており、微細な凹凸等への追従性が非常に高いという優れた特性を備えている。そしてさらに、光照射によっては変化しないエポキシ樹脂(C)と熱硬化促進剤(E)とが用いられているため、パターン形成後の加熱時に、この両者と上記特殊な樹脂(A)のカルボキシル基とが反応して、優れた接着機能が発現するようになっている。
したがって、本発明の感光性接着剤組成物を用いて、ガラス基板、有機基板、シリコン基板等の第1の被着体上に、接着剤層をパターン形成し、空間となる開口部を設けた後、この上に、固体撮像素子や各種センサ等の第2の被着体を熱圧着するようにすると、このとき、感光性接着剤組成物には、光照射では反応しない未反応のエポキシ樹脂が存在するため、組成物が流動性を有し、被着体の凹凸に追従して上記空間の周囲を完全にシールした状態で両者の接着を、強固に行うことができる。
そして、本発明のなかでも、特に、上記(A)成分のベースポリマーとして、カルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレートポリマーを用いたものは、とりわけ熱圧着時の柔軟性、凹凸への追従性に優れたものとなり、好適である。
また、本発明の電子部品用シール材は、上記特殊な組成の感光性接着剤組成物からなり、露光による硬化後、被着体との熱圧着の前における弾性率が、125℃において1MPa以下で、柔軟性を有し凹凸への追従性に優れているため、これを用いることにより、高いシール性を達成することができる。
(a)〜(d)は、いずれも本発明の感光性接着剤組成物を用いてイメージセンサ素子のパッケージングを行う方法の説明図である。 (a)、(b)は、ともに本発明の感光性接着剤組成物を用いてイメージセンサ素子のパッケージングを行う方法の説明図である。 本発明の感光性接着剤組成物を用いてSAWフィルタ素子のパッケージングを行う方法の説明図である。 (a)〜(e)は、いずれも本発明の感光性接着剤組成物を用いてSAWフィルタ素子のパッケージングを行う方法の説明図である。 (a)は従来のパッケージングの問題点の説明図、(b)は本発明の感光性接着剤組成物を用いた場合の優位性の説明図である。 (a)、(b)は、ともに評価用の試料として用いられる枠状パターン付チップの作製方法の説明図である。 上記枠状パターン付チップを用いて接着性を評価する方法の説明図である。 上記枠状パターン付チップを用いて凹凸追従性を評価する方法の説明図である。
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)分子中にカルボキシル基とラジカル重合性基とウレタン結合とを有するポリマーをベースポリマーとして用い、さらに、(B)分子中にカルボキシル基を有しないウレタン(メタ)アクリレートポリマーと、(C)エポキシ樹脂と、(D)光重合開始剤と、(E)熱硬化促進剤とを用いて得られるものである。
まず、ベースポリマーとして用いられるポリマー(A)は、その分子中に、(C)のエポキシ樹脂のエポキシ基と反応して接着性を発現するためのカルボキシル基と、主として光触媒によって重合反応を生起してパターン形成するためのラジカル重合性基と、光硬化後の樹脂に柔軟性を付与して被着体の凹凸に沿わせるためのウレタン結合とを有するものである。
このようなポリマー(A)としては、ラジカル重合性を有するエチレン性不飽和モノマーと、(メタ)アクリル酸やカルボキシル基含有スチレン誘導体、無水マレイン酸等のカルボキシル基導入モノマーと、ウレタン結合を形成するための有機イソシアネートと、ポリオールとを組み合わせてなるウレタンオリゴマーもしくは反応性ポリウレタンがあげられる。
上記エチレン性不飽和モノマーとしては、各種のオレフィン系モノマーが用いられるが、なかでも、(メタ)アクリレートが好適に用いられる。例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
また、上記有機イソシアネートとしては、分子内に反応性のイソシアネート基を2個以上有する各種の有機ポリイソシアネートを用いることができる。例えば、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等や、それらジイソシアネートから得られる三量体、上記ジイソシアネート類をトリメチロールプロパン等の多価アルコールと反応させたプレポリマー、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等があげられ、これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、上記有機イソシアネートとともに用いられるポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリカプロラクタンポリオール、ポリエステルポリオール等があげられ、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
なお、前記エチレン性不飽和モノマーとして、水酸基を含有するモノマーを用いる場合は、上記ポリオールを用いる必要はなく、上記モノマーの水酸基を利用して、ウレタン結合を形成することができる。このような水酸基含有エチレン性不飽和基としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、εーカプロラクトン縮合物、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸等との反応により得られるエポキシ(メタ)アクリレート等があげられる。これらも、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらを用いて得られるポリマー(A)としては、特に、カルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレートポリマーが好ましく、そのなかでも特に、(メタ)アクリレート当量が550〜4,400g/当量であることが好ましい。また、酸価は20〜75KOHmg/gであることが好ましく、その重量平均分子量は12,000〜37,000であることが好ましい。
すなわち、上記(メタ)アクリレート当量が550g/当量未満では、弾性率が上がり、凹凸への追従性が低下するという傾向がみれら、逆に4,400g/当量を超えると、パターン形成性が低下するという傾向がみられるため、好ましくない。そして、酸価が20KOHmg/g未満では、現像性(アルカリ性水溶液への溶解性)が低下するという傾向がみられ、逆に75KOHmg/gを超えると、吸水率が高くなるという傾向がみられるため、好ましくない。さらに、その重量平均分子量が12,000未満では、感光性接着剤組成物の粘度が低下し、塗膜形成が困難になるおそれがあり、逆に37,000を超えると、現像性(アルカリ性水溶液への溶解性)が低下するおそれがあるため、好ましくない。
一方、本発明に用いられる、分子中にカルボキシル基を有しないウレタン(メタ)アクリレートポリマー(B)は、上記ポリマー(A)のウレタン結合と同様、光硬化後の樹脂に柔軟性を付与して被着体の凹凸に沿わせることを目的として配合されるもので、ポリマー(A)の場合と同様の、(メタ)アクリル酸や各種の(メタ)アクリレートと、ウレタン結合を形成するための有機イソシアネートと、ポリオールとを組み合わせてなるウレタンオリゴマーもしくは反応性ポリウレタンを用いて得ることができる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートポリマー(B)のなかでも、特に、(メタ)アクリレート当量が1,000〜30,000g/当量、重量平均分子量が2,500〜50,000のものが好ましい。すなわち、上記(メタ)アクリレート当量が1,000g/当量未満では、光硬化後の弾性率が上がり、凹凸追従性が低下するという傾向がみられ、逆に30,000g/当量を超えると、パターン形成性が低下するという傾向がみられるため、好ましくない。そして、その重量平均分子量が2,500未満では、感光性接着剤組成物の粘度が低下し、塗膜形成が困難になるおそれがあり、逆に、50,000を超えると、上記ポリマー(A)との相溶性が低下するおそれがあるため、好ましくない。
さらに、本発明に用いられるエポキシ樹脂(C)は、露光・硬化後の熱圧着時に、前記樹脂(A)に含有されるカルボキシル基と反応して優れた接着性を発現させるためのもので、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビフェニル型、ノボラック型またはフルオレン型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂や、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂等があげられる。なお、上記「フェノキシ樹脂」とは、ビスフェノールAやビスフェノールFとエピクロルヒドリンとを反応させ、分子量を格段に大きくしたエポキシ樹脂をいう。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
そして、上記エポキシ樹脂のなかでも、特に、エポキシ当量が100〜500g/当量であることが好ましい。すなわち、エポキシ当量が100g/当量未満では、感光性接着剤組成物の粘度が低下し、塗膜形成が困難になるという傾向がみられ、逆に500g/当量を超えると、現像性(アルカリ性水溶液への溶解性)が低下するという傾向がみられるため、好ましくない。
なお、前記ポリマー(A)と上記エポキシ樹脂(C)との組成比は、ポリマー(A)のカルボキシル基とエポシキ樹脂(C)のエポキシ基の割合によって決まり、上記エポキシ樹脂(C)のエポキシ基のモル数/ポリマー(A)のカルボキシル基のモル数=1〜1.5となる割合に設定することが必要である。すなわち、上記範囲よりもカルボキシル基が多いと、吸水率が増加してトラブルを生じやすく、逆にエポキシ基が多いと、熱圧着前の弾性率が大きくなって、感光性接着剤組成物が微細な凹凸に追従しにくくなるとともに、露光後現像時にパターンが白濁して光学的な品質が悪くなるからである。
さらに、本発明に用いられる光重合開始剤(D)としては、例えば、置換または非置換の多核キノン類(2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン等)、α−ケタルドニルアルコール類(ベンゾイン、ピバロン等)、エーテル類、α−炭化水素置換芳香族アシロイン類(α−フェニル−ベンゾイン、α,α−ジエトキシアセトフェノン類等)、芳香族ケトン類(ベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン等の4,4′−ビスジアルキルアミノベンゾフェノン等)、チオキサントン類(2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−エチルチオキサントン等)、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−モルホリノプロパン−1−オン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
そして、本発明の感光性樹脂組成物に用いられる熱硬化促進剤(E)としては、エポキシ樹脂を熱硬化させるための促進剤として、例えば、イミダゾール系、アミン系、リン系(トリフェニルフォスフィン等)を使用することができる。
さらに、本発明の感光性接着剤組成物には、上記必須成分以外に、必要に応じて、他の添加剤、例えば、フタロシアニングリーン,フタロシアニンブルー等の顔料、シリカ,硫酸バリウム,タルク等の充填剤、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、安定剤、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾールや5−アミノ−1−H−テトラゾール等の密着性付与剤、ベンゾトリアゾール等の防錆剤、ブロックイソシアネート等の熱架橋剤等を適宜配合することができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。そして、これらの他の添加剤は、感光性樹脂組成物全体の0.01〜20重量%の範囲内で用いることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、これらの成分を、有機溶剤中に所定の割合で投入し、混合することにより、ワニスとして用いることができる。上記有機溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ソルベントナフサ、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メシチレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の溶剤またはこれらの混合溶剤を用いることができる。
なお、上記有機溶剤の使用量は、感光性樹脂組成物の塗工作業の容易性と塗布後の乾燥時間とを考慮して、適宜に設定することができる。
このようにして得られる感光性樹脂組成物(ワニス)を、基板等の表面に所定厚みで塗工し、露光による硬化・現像後、その上に所定の被着体を重ねて熱圧着することにより、被着体を密着させることができる。このとき、上記感光性接着剤組成物は、露光による硬化後であっても、その弾性率が125℃において1MPa以下という柔軟な物性を有しているため、被着体の接着面に微細な凹凸があっても、凹凸に隙間なく入り込んだ状態で、接着力を発揮するため、両者を強固に密着させることができる。したがって、本発明の感光性接着剤組成物は、電子部品用シール材として優れた性能を発揮することができる。
そして、上記感光性接着剤組成物によって形成された接着剤層は、その光硬化特性を利用して、フォトリソグラフィ工程によって、予めパターン形成を行い、接着剤層で囲われた中空部分を形成することができる。したがって、この感光性接着剤組成物は、素子の表面に一定の空間(ギャップ)を設ける必要のあるイメージセンサ素子やSAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)フィルタ素子のパッケージを構成するのに非常に有用である。
ちなみに、本発明の感光性接着剤組成物を用いて、例えばつぎのようにして、イメージセンサ素子のパッケージングを行うことができる。すなわち、まず、本発明の感光性接着剤組成物を有機溶剤と混合してワニスを調製する。そして、これを剥離紙上に所定厚みで塗工し、有機溶剤を乾燥除去することにより、未硬化の、粘着性ある感光性接着剤層(シート)を形成する。そして、この感光性接着剤層1を、図1(a)に示すように、光学ガラスからなるウェーハ2の表面に転写する。
そして、フォトマスクを利用して露光し、感光性接着剤層1のうち、目的とするパターン部分を光硬化させる。図1(b)において、露光によって光硬化した部分を細かい斜線Pで示す。
なお、上記露光のための光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハイドライドランプ等の紫外線を有効に照射するものが用いられる。また、写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に照射するものも用いられる。
つぎに、アルカリ性水溶液等の現像液を用いて、例えば、スプレー,揺動浸漬,ブラッシング,スクラッピング等の公知の方法により、上記感光性接着剤層1の未硬化部分を除去して現像し、図1(c)に示すように、目的とするパターン(この例では、縦横に正方形の枠が並ぶパターン)を形成することができる。
なお、上記現像液としては、例えば、0.1〜5重量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5重量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液等を用いることができる。
一方、図1(d)に示すように、別途シリコンウェーハ3を用意し、その表面に、上記感光性接着剤層1のパターンの、正方形の各枠内に収まる配置でイメージセンサ素子4を規則的に設ける。そして、これを、上記パターン形成された感光性接着剤層1の上方に、正確に位置決めして対峙させる。
そして、対峙された両者を貼り合わせ、例えば90〜200℃、より好ましくは100〜160℃、0.1〜6N/m2 、より好ましくは0.5〜3N/m2 の加熱・加圧条件で、両者を熱圧着する。この熱圧着時の熱によって、ポリマー(A)のカルボキシル基とエポキシ樹脂(C)とが反応して完全に硬化するとともに、両者の界面で強固な接着力を発現する。ただし、上記熱圧着時の加熱温度は、被着体が熱的ダメージを受けて損傷しないようできるだけ低く設定することが好ましい。
そして、上記熱圧着によって強固に接着され一体化された積層物を、図2に示すように、鎖線Qで示す切断ラインに沿って、個々にダイシングして、目的とするイメージセンサ素子4のパッケージ品を得ることができる。得られたパッケージ品を図2(b)に示す。
このものは、イメージセンサ素子4の上部が中空で、その周囲が強固に接着され密封されているため、高品質のものとなる。
また、本発明の感光性接着剤組成物を用いて、例えばつぎのようにして、SAWフィルタ素子のパッケージングを行うことができる。すなわち、まず、表面にSAWフィルタ素子(図示せず)が形成されたシリコンウェーハ10を準備し、図3に示すように、その上に、前記イメージセンサ素子のパッケージングの場合と同様にして、感光性接着剤組成物をシート状に成形してなる感光性接着剤層1を転写して積層する。
そして、前記の場合と同様、フォトマスクを利用して露光し、感光性接着剤層1のうち、目的とするパターン部分を光硬化させる。図4(a)において、露光によって光硬化した部分を細かい斜線Pで示す。
つぎに、アルカリ性水溶液等の現像液を用いて、前記と同様にして、上記感光性接着剤層1の未硬化部分を除去して現像し、図4(b)に示すように、目的とするパターン(バンプ形成予定部のウェーハ面が露出するよう、その周囲を環状に囲ったパターン)を形成することができる。
つぎに、上記パターンのバンプ形成予定部に、図4(c)に示すように、はんだを用いてバンプ11を形成する。
そして、図4(d)に示すように、上記バンプ11が形成されたシリコンウェーハ10を、上下逆にして、別途用意される基板12に対峙させ、基板12側の導線パターンと上記バンプ11とを正確に位置決めする。そして、両者を貼り合わせ、例えば100〜160℃、0.5〜3N/m2 の加熱・加圧条件で、両者を熱圧着する。この熱圧着時の熱によって、ポリマー(A)のカルボキシル基とエポキシ樹脂(C)とが反応して完全に硬化するとともに、両者の界面で強固な接着力を発現する。
つぎに、上記熱圧着によって強固に接着され一体化された積層物を、鎖線Qで示す切断ラインに沿って、個々にダイシングして、目的とするSAWフィルタ素子のパッケージ品を得ることができる。得られたパッケージ品を図4(e)に示す。
このものは、SAWフィルタ素子の上部が中空で、その周囲が感光性接着剤層1によって強固に接着され密封されているため、高品質のものとなる。
特に、従来の感光性接着剤組成物を用いて同様の構成のものを得ようとしても、露光後の感光性接着剤層1の粘弾性が低く、凹凸に追従しにくいため、図5(a)に示すように、バンプ11の周囲と感光性接着剤層1との間に隙間が生じて、接続信頼性が損なわれやすいという問題がある。これに対し、本発明の感光性接着剤組成物を用いた感光性接着剤層1によれば、図5(b)に示すように、バンプ11の周囲に感光性接着剤層1が完全に充填されて強固に接着するため、高い接続信頼性を実現することができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜3、比較例1、2〕
後記の表1、表2に示す組成の感光性接着剤組成物を調製し、感光性接着剤組成物100重量部と、45重量部のメチルエチルケトンとを混合してワニスを得た。そして、シリコーン樹脂で剥離処理されたPETフィルム上に上記ワニスを、乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布し乾燥することにより、感光性接着シートを作製した。
なお、上記感光性接着剤組成物の調製に用いた成分の詳細は、下記のとおりである。
〔A成分〕
・カルボキシル基含有ウレタンアクリレートポリマー1:UN−5507、根上工業社製 (酸価72KOHmg/g、カルボキシル基のモル数1.28×10-3モル/g、重量 平均分子量17000)
・カルボキシル基含有ウレタンアクリレートポリマー2:UC−3000、東亞合成社製 (酸価74KOHmg/g、カルボキシル基のモル数1.32×10-3モル/g、重量 平均分子量10000)
〔B成分〕
・カルボキシル基非含有ウレタンアクリレートポリマー1:UN−333、根上工業社製 (二重結合当量2500g/当量)
・カルボキシル基非含有ウレタンアクリレートポリマー2:UP−1080、東亞合成社 製(二重結合当量900g/当量)
〔C成分〕
・エポキシ樹脂:ジシクロペンタジエンエポキシ樹脂、HP−7200、大日本インキ社 製(エポキシ当量263g/当量、エポキシ基のモル数3.80×10-3モル/g)
〔D成分〕
・光重合開始剤:2−ベンジル−2−ジメチルアミキ−1−(4−モルホリノフェニル) −ブタノン−1、Irgacure369、チバジャパン社製
〔E成分〕
・熱硬化促進剤:イミダゾールシラン、IM100F、日鉱マテリアル社製
このようにして得られた感光性接着シートの特性を、下記の方法に従って評価し、その結果を、後記の表1、表2に併せて示した。
〔露光後貯蔵弾性率〕
上記の感光性接着シートを、35mm×35mmの大きさに切り取った後、UV照射(400mJ/cm2 )して、さらに5mm×35mmの大きさに切り取って試料とした。この試料を用いて、固体粘弾性測定装置(RSAIII、レオメトリックサイエンテフィック社製)にて、25〜200℃の引張貯蔵弾性率(周波数1Hz)を測定し、その100〜150℃の値を、露光後の接着温度における弾性率とした。
〔パターン形状の変形の有無、接着性〕
上記の感光性接着シートを、150mm×150mm×0.5mm厚のホウケイ酸ガラス表面の全面に、熱ロールラミネータを用いて80℃で貼り合わせた。そして、マスクを介してUV照射(400mJ/cm2 )してPETフィルムを剥離した後、0.7重量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて圧力0.15MPaで1分間現像し、図6(a)において、斜線Rで示すような枠状パターンを形成した。このものの1つの枠の大きさ(内寸)は5mm×5mmで、ライン幅は200μmである。上記枠状パターン付ホウケイ酸ガラスを、鎖線Qの切断線に従い個々にダイシングして、図6(b)に示すような枠状パターン付のチップを切り出した。そして、その1個を、20mm×70mm×0.6mm厚のシリコンウェーハ上に載置し、フリップチップボンダーを用いて、125℃、1.5MPa、10secで接着することにより、図7に示すような、模擬的なパッケージ品を作製した。30がホウケイ酸ガラス、31が感光性接着シートに由来する感光性接着剤層、32がシリコンウェーハである。そして、上記感光性接着剤層31のパターン形状が変形していないかどうかを目視により観察した。また、矢印のようにホウケイ酸ガラス30の側面に荷重をかけることにより、上記感光性接着剤層31の剪断接着力を測定した。
〔凹凸追従性〕
図8に示すように、15.4mm×15mm×0.23mm厚のシリコンウェーハ32の表面に、厚み5μmのAlからなる素子形成層33を、幅140μmの環状部分33aを露出させた状態で形成した。そして、この上に、上記と同様の、図6(b)に示すような枠状パターン付のチップを載置し、上記と同様にして、模擬的なパッケージ品を作製した。そして、ホウケイ酸ガラス30の上から、枠状パターン部分の接着状態を観察した。このとき、干渉縞が見える場合は接着していない(×)と判断し、干渉縞が見えない場合は接着している(○)と判断した。
Figure 0005199938
Figure 0005199938
上記の結果から、実施例1〜3品は、どの項目についても優れた評価および測定値が得られており、シール性能、接着性能が良好であることがわかる。これに対し、比較例1品は、露光後の弾性率が高すぎて、凹凸への追従性が悪い。また、比較例2品は、露光後の弾性率が低いため、接着時のパターン形状の変形が大きい。
〔実施例4〕
実施例1に準じて、感光性接着シートを作製した。ただし、その組成を調製することにより、露光後貯蔵弾性率が、125℃において1.0MPaとなるようにした。このものは、実施例1〜3のものより弾性率が高いため、やや評価が劣るものの、実用上問題のないものであった。
本発明は、各種の素子やセンサ類を実装する際に用いられる感光性接着剤組成物と、それを用いた電子部品用シール材に利用することができる。

Claims (3)

  1. 下記の(A)成分をベースポリマーとして含有するとともに、下記の(B)〜(E)成分を含有し、上記(A)成分と(C)成分の配合割合が、(C)成分のエポキシ基のモル数/(A)成分のカルボキシル基のモル数=1〜1.5となるように設定されていることを特徴とする感光性接着剤組成物。
    (A)分子中にカルボキシル基とラジカル重合性基とウレタン結合とを有するポリマー。
    (B)分子中にカルボキシル基を有しないウレタン(メタ)アクリレートポリマー。
    (C)エポキシ樹脂。
    (D)光重合開始剤。
    (E)熱硬化促進剤。
  2. 上記(A)成分のベースポリマーが、カルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレートポリマーである請求項1記載の感光性接着剤組成物。
  3. 請求項1に記載された感光性接着剤組成物からなり、露光による硬化後、被着体との熱圧着によって被着体との密着性が発現するよう設定された電子部品用シール材であって、上記露光による硬化後、被着体との熱圧着の前における弾性率が、125℃において1MPa以下であることを特徴とする電子部品用シール材。
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