JP5199162B2 - 機能性フィルムの製造方法、及び製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は機能性フィルムの製造方法及び製造装置において、特に、成膜されたコーティング膜を巻き取ったフィルムロールを送り出して、そのコーティング膜上に無機膜を成膜することで積層構造を備えた機能性フィルムの製造方法、及び製造装置に関する。
光学素子、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置、半導体装置、薄膜太陽電池など、各種の装置に、ガスバリアフィルム、保護フィルム、光学フィルタや反射防止フィルム等の光学フィルムが利用されている。
また、これらの光学フィルムの製造に、スパッタリングやプラズマCVD等の真空成膜法による成膜技術が利用される。真空成膜法によって、効率良く、高い生産性を確保して成膜を行なうために、長尺な基材に連続的に成膜することも行われている。
上述の光学フィルムを製造する一つの方法を説明する。長尺な支持体を、フィルムロールから連続的に送り出し、支持体上に塗布液を塗布し、乾燥、硬膜して塗布膜を形成し、塗布膜が成膜された支持体を巻き取り、フィルムロールを作製する。次いで、塗布膜が成膜されたフィルムロールを真空成膜装置の送出部にセットし、支持体をフィルムロールから連続的に成膜室に送り出し、成膜室で塗布膜上に無機膜を成膜し、塗布膜と無機膜の積層構造が形成されたフィルムを巻き取り、フィルムロールを作製する。このような成膜方法を実施する設備として、いわゆるロール・ツー・ロール(Roll to Roll)の成膜装置が知られている。この成膜装置により、塗布膜と無機膜の成膜工程を複数回実行することによって、複数の積層構造が形成された光学フィルムが製造される。
上述の製造方法において、無機膜を成膜する際の巻きずれを防止して光学フィルムの品質を均一にするため、特許文献1には、真空成膜装置に巻硬度70〜95のフィルムロールを送出し部にセットし、支持体上に無機膜を連続的に成膜する方法が記載されている。
また、特許文献2には、長尺のプラスチックフィルムの巻回体を蒸着室内に挿入し、2分以上の時間をかけて20Torrまで減圧し、次いで通常の蒸着圧力まで排気して、プラスチックフィルム上に蒸着法で強磁性合金又は合金を被着することが記載されている。
特開平8−92727号公報 特開平6−60374号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているように塗布膜が形成されたフィルムロールを巻硬度70〜95で巻き取ったとしても、フィルムロールは支持体を巻き取る際に同伴エアーを巻き込んでしまう。同伴エアーを巻き込んだフィルムロールを減圧された真空成膜装置の送出し部にセットすると、フィルムロール内の同伴エアーが抜け出す。これにより、フィルムロール内部の巻取り時の応力(張力、摩擦力)のバランスが崩れ、フィルムロールが「巻き締まり(ロール径収縮)」の動きを起こしてしまう。
この「巻き締まり」を起こすと、フィルムロールでは、支持体上の塗布膜が上部にある支持体の裏面と擦れ、また、支持体の裏面に付着したゴミとの接触を起こし、塗布膜は微小な膜の破裂を発生させ、平滑性を失う。この後に支持体を搬送し、塗布膜上に無機膜を成膜すると、成膜不良が発生し、無機膜の割れ/抜けの問題を起こす。
特許文献2では、排気開始時に、少なくとも2分の時間をかけて20Torrに減圧してフィルムロール幅方向の巻きズレを抑制しようとするものである。しかしながら、この条件では径方向の巻き締まり(収縮)による巻きズレは完全には抑制されないことが判明した。
また、特許文献2では、蒸着室内にフィルムロールをセットして減圧しているので、蒸着室内全体を蒸着に必要な圧力まで減圧する必要がある。そのため、巻きズレを防止するために減圧に時間を掛けると、成膜するまでのトータルの減圧時間が長くなり、生産性が低下する問題がある。特に、大型のフィルムロールに対応した蒸着装置の場合、蒸着室内の容量が大きくなるので、トータルの減圧時間が非常に長くなり生産性が著しく低下する。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、真空成膜法によりコーティング膜上に無機膜を形成するときに、無機膜の割れ/抜け等の欠陥が発生するのを防止でき、さらに生産性の高い機能性フィルムの製造方法、及び製造装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の機能性フィルムの製造方法は、フィルムロールから連続的に支持体を送り出し、該支持体上にコーティング膜を成膜し、該支持体をフィルムロールに巻き取る工程と、前記工程で巻き取られたフィルムロールを真空成膜装置の供給室にセットし、常圧から100Paまでの減圧時間が7分以上となる減圧速度で減圧し、さらに所定の真空度まで減圧する工程と、前記フィルムロールから前記支持体を、前記供給室の減圧速度より速い減圧速度で所定の真空度まで減圧された真空成膜装置の成膜室に供給し、前記コーティング膜上に無機膜を成膜する工程と、前記無機膜が成膜された前記支持体を、前記真空成膜装置の巻取り室でフィルムロールに巻き取る工程と、を少なくとも備えることを特徴とする。
本発明によれば、フィルムロールを真空成膜装置の供給室にセットし、常圧から100Paまでの減圧時間が7分以上となる減圧速度で減圧することで、真空成膜装置内でのフィルムロールの急激な同伴エアー抜けによる巻き締まりの発生を防止することができる。さらに、成膜室の減圧速度より遅い速度で供給室を減圧することで、フィルムロールをセットした領域のみを単独で排気することができる。高真空度が要求される成膜室を、供給室とは別に速い減圧速度で減圧するので、トータルの減圧時間を短くすることができる。
本発明の機能性フィルムの製造方法は、前記無機膜が20nm以上の500nm以下の厚さを有することが好ましい。無機膜が20nmよりも薄い場合には、コーティング膜の表面状態の粗さで欠陥が発生してしまう場合があるからである。一方、無機膜が500nmより厚いと、硬い無機膜が割れやすくなるからである。
本発明の機能性フィルムの製造方法は、前記発明において、前記コーティング膜が鉛筆硬度4B〜3Hの膜硬度を有することが好ましい。コーティング膜が3H以上の硬度を有すると割れるリスクが高まり、4B以下では強度不足となるからである。
本発明の機能性フィルムの製造方法は、前記発明において、前記コーティング膜が放射線硬化性のモノマー又はオリゴマーを含む材料から成膜されることが好ましい。
本発明の機能性フィルムの製造方法は、前記発明において、前記無機膜が金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属フッ化物もしくはそれらの2種以上の複合物を、少なくとも一つを含む無機膜であることが好ましい。
本発明の機能性フィルムの製造装置は、フィルムロールから支持体を連続的に送出す機構と、該支持体上にコーティング膜を成膜する機構と、該支持体をフィルムロールに巻き取る機構を備えたコーティング膜成膜装置と、前記コーティング膜成膜装置で巻き取られた前記フィルムロールがセットされる供給室と、該供給室から連続的に送り出された支持体に無機膜を成膜する成膜室と、該成膜室から送り出された該支持体をフィルムロールに巻き取る巻取り室を備える真空成膜装置と、該供給室、該成膜室、及び該巻取り室は真空排気手段を備え、前記供給室の圧力を、常圧から100Paまでの減圧時間が7分以上となる減圧速度で減圧し、さらに所定の真空度まで減圧するよう前記供給室の排気速度を制御する第一の制御装置と、前記成膜室の圧力を、前記供給室の減圧速度より速い減圧速度で、所定の真空度まで減圧するよう前記成膜室の排気速度を制御する第二の制御装置と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、コーティング膜と無機膜の積層構造を用いた機能性フィルムにおいて、コーティング膜の平滑性を損なうことに起因する無機膜の欠陥を防止でき、生産性を低下させることなく機能性フィルムの高品質化を図ることができる。
本発明に係る製造方法によって製造される機能性フィルムを示す図。 機能性フィルムの製造方法を実施する装置の一例を示す図。 実施例の結果を示す表図。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明されるが、本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。従って、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を含む範囲を意味する。
図1に、本発明に係る機能性フィルムの製造方法によって製造される機能性フィルムの概念図を示す。図1に示すように、機能性フィルム10は、支持体Bの表面に成膜されたコーティング膜12と、コーティング膜12の上に成膜された無機膜14を有する。図1に示す機能性フィルム10は、コーティング膜12と無機膜14の2層の組み合わせを、繰り返しの単位として、これを3回繰り返したものである。
コーティング膜には、例えば、密着性を向上させるためのアンカーコート層、大気圧プラズマで成膜される酸化膜、熱硬化性や紫外線硬化性の有機膜等の無機膜が成膜される前に成膜される全ての膜が含まれる。
以下、本発明の機能性フィルムの製造方法、及び製造装置について説明する。機能性フィルムを製造するための製造装置は、例えば、支持体Bの表面にコーティング膜を成膜するコーティング膜成膜装置20と、コーティング膜上に無機膜を成膜する真空成膜装置22とで構成される。
図2(A)に、コーティング膜成膜装置20の一例を概念的に示す。コーティング膜成膜装置20は、塗布手段26、加熱手段28、および、UV照射装置30を有する。コーティング膜成膜装置20において、例えば、予め調製した放射線硬化性のモノマー又はオリゴマーが含有された塗布液を支持体Bに塗布手段26で塗布し、加熱手段28で乾燥して、UV照射装置30で重合することにより、コーティング膜を硬膜化して成膜する。
このコーティング膜成膜装置20は、ロール・ツー・ロールによってコーティング膜を成膜するものである。フィルムロール40が回転軸32に装填される。引取ローラ36によりフィルムロール40から支持体Bが長手方向に搬送される。塗布手段26、加熱手段28、及びUV照射装置30を経て、支持体Bの表面にコーティング膜が成膜される。コーティング膜が成膜された支持体Bが引取ローラ36により引き取られ、フィルムロール42として巻取り軸34に巻き取られる。支持体Bの巻き取りテンションは、巻き径に応じて巻き一定、例えば(150n/m)、となるように制御される。
支持体B上のコーティング膜は、膜硬度が4B〜3Hの範囲であることが好ましく、より好ましくは3B〜3Hであり、さらに好ましくはB〜3Hである。コーティング膜が上述の範囲の膜硬度を有することによって、より壊れにくく、性能の高い膜を形成することができる。UV照射装置30の紫外線の照射量を、照度、もしくは搬送速度を変えることによって、コーティング膜の硬度を調整することができる。これにより、所望の膜硬度を有するコーティング膜を得ることができる。なお、膜硬度は鉛筆硬度試験機を用いて測定することができる(塗膜用鉛筆硬度試験機PS-320 (株)丸菱科学機械製作所)。
図2(B)に示すように、真空成膜装置22は、コーティング膜成膜装置20と同様に、ロール・ツー・ロールによる成膜を行なう装置である。フィルムロール42から支持体Bが送り出される。支持体Bを長手方向に搬送しながら、無機膜が支持体Bのコーティング膜上に成膜される。コーティング膜と無機膜の積層膜が成膜された支持体Bが巻取り軸58によってフィルムロール48に巻き取られる。
真空成膜装置22は、支持体Bの表面、すなわちコーティング膜の表面に、無機膜を成膜する装置である。真空成膜装置22は、供給室50と、成膜室52と、巻取り室54とを備える。
供給室50には、真空排気手段61が設けられる。真空排気手段61と供給室50の間には、排気速度を変更するため可変バルブ82が接続される。可変バルブ82により真空排気手段61への開口面積を可変することによって、排気速度が制御される。可変バルブ82は、真空排気手段61への開口面積を可変できるものであればよく、例えば、公知のゲートバルブ等を使用することができる。コーティング膜が成膜された支持体Bを巻回したフィルムロール42が、真空成膜装置22の供給室50に装填される。可変バルブ82により排気速度を制御することによって、供給室50内が、常圧から100Paまでの減圧時間が7分以上となる減圧速度で減圧され、さらに所定の真空度まで減圧される。この減圧速度で供給室50内を減圧することで、供給室50内でフィルムロール42の同伴エアー抜けによる急激な巻き締まりの発生を防止することができる。これにより、コーティング膜の平滑性を維持することができる。なお、真空排気手段61として、後述する成膜室52の真空排気手段72と同様、公知の物を使用することができる。
コーティング膜が成膜された支持体Bを巻き回したフィルムロール42が、供給室50の回転軸56に装填される。フィルムロール42から支持体Bが送り出され、隔壁74のスリットローラ74aを通して、供給室50から成膜室52に搬送される。供給室50内では、図示しない駆動源によって回転軸56を図中時計方向に回転する。フィルムロール42から支持体Bが、ガイドローラ60によって所定の経路を経て成膜室52に搬送される。スリットローラ74aは支持体Bが通過するクリアランスを変更することができる。
なお、減圧下でコーティング膜に接触するガイドローラ60は、支持体Bの端部(搬送方向と直交する方向(幅方向)の端部)のみに接触する段差付きローラが好ましい。また、供給室50には、図示した部材以外にも、搬送ローラ対や、支持体Bの幅方向の位置を規制するガイド部材など、支持体Bを所定の経路で搬送するための搬送手段を有してもよい。
支持体Bは、ガイドローラ60によって案内され、成膜室52に搬送される。成膜室52では、支持体Bの表面、すなわちコーティング膜の表面に、無機膜が成膜される。図2(B)に示すように、成膜室52は、ドラム62と、成膜手段64a,64b、64c、および64dと、ガイドローラ68および70と、真空排気手段72と、可変バルブ84を備える。可変バルブ84により真空排気手段72への開口面積を可変することによって、排気速度が制御される。これにより、成膜室52の減圧速度が、供給室50の減圧速度より速くなるよう制御される。これにより、供給室50と成膜室52の減圧速度を独立に制御することができる。巻き締まりによるコーティング膜の平滑性が維持できるよう、供給室50はゆっくり減圧される。一方、成膜室52では、成膜に必要な十分に低い圧力となるよう、供給室50より速い減圧速度で減圧される。したがって、トータルの減圧時間を短くすることができる。
なお、成膜室52が、スパッタリングやプラズマCVD等による成膜をおこなうものである場合、成膜室52には、さらに、高周波電源等も設置される。
成膜室52のドラム62は、中心線を中心に図示しない駆動源によって、図中反時計方向に回転する。ガイドローラ68によって所定の経路に案内された支持体Bは、ドラム62の周面の所定領域に掛け回されて、ドラム62に支持/案内されつつ、所定の搬送経路を搬送され、成膜手段64a〜64dによって、コーティング膜上に無機膜が成膜される。
成膜手段64a〜64dは、真空成膜法によって、支持体Bの表面に無機膜を成膜する装置である。成膜手段として限定はなく、CVD、プラズマCVD、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング等、公知の真空成膜法(気相堆積法)が、全て、利用することができる。
従って、成膜手段64a〜64dは、実施する真空成膜法に応じた、各種の部材で構成される。例えば、成膜室52がICP−CVD法(誘導結合型プラズマCVD)によって無機膜の成膜を行なうものであれば、成膜手段64a〜64dは、誘導磁場を形成するための誘導コイルや、成膜領域に反応ガスを供給するためのガス供給手段等を有して構成される。
また、成膜室52が、CCP−CVD法(容量結合型プラズマCVD)によって無機膜の成膜を行なうものであれば、成膜手段64a〜64dは、中空状でドラム62に対向する面に多数の小孔を有し反応ガスの供給源に連結される、高周波電極および反応ガス供給手段として作用するシャワー電極等を有して構成される。
また、成膜室52が、CVD法によって気相成膜により無機膜の成膜を行なうものであれば、成膜手段64a〜64dは、反応ガスの導入手段等を有して構成される。
さらに、成膜室52が、スパッタリングによって無機膜の成膜を行なうものであれば、成膜手段64a〜64dは、ターゲットの保持手段や高周波電極、スパッタガスの供給手段等を有して構成される。
真空排気手段72は、成膜室52内を真空排気して、真空成膜法による無機膜の成膜に応じた真空度とするものである。真空排気手段72は、特に限定はなく、ターボポンプ、メカニカルブースターポンプ、ロータリーポンプなどの真空ポンプ、さらには、クライオコイル等の補助手段、到達真空度や排気量の調整手段等を利用する、真空成膜装置に用いられている公知の(真空)排気手段が、各種利用可能である。
成膜手段64a〜64dによって無機膜が成膜された支持体Bは、ガイドローラ70及び78によって、隔壁75のスリットローラ75aに案内され、巻取り室54に搬送される。巻取り室54には真空排気手段80が設けられる。巻取り室54と真空排気手段80との間には、可変バルブ86が設置される。可変バルブ86により、巻取り室54の減圧速度が制御される。巻取り室54内に設けられた巻取り軸58によって、支持体Bがフィルムロール48に巻き取られる。
次いで、フィルムロール48はコーティング膜成膜装置20の回転軸32にフィルムロール40としてセットされ、無機膜上にコーティング膜が成膜される。コーティング膜/無機膜/コーティング膜が成膜された支持体Bは、フィルムロール42として巻取り軸34に巻き取られる。
次いで、フィルムロール42は真空成膜装置22の供給室50に装填される。支持体B上に無機膜が成膜される。複数回のコーティング膜の成膜工程、無機膜の成膜工程を経て、所望の機能性フィルムが製造される。
コーティング膜が成膜されたフィルムロール42を供給室50にセットしたときは、供給室50内は常圧から100Paまでの減圧時間が7分以上となる減圧速度で減圧され、さらに所定の真空度まで減圧される。したがって、複数のコーティング膜を成膜したフィルムロール42が供給室50に装填された場合、供給室50内で上述の減圧速度で減圧されるので巻き締まりによる巻ズレが発生するのを防止することができる。
なお、コーティング膜の成膜工程と無機膜の成膜工程が、3回繰り返し実行され、図1に示す機能性フィルムが製造される。
コーティング膜の材料として、例えば、密着性を向上させるためのアンカーコート層、大気圧プラズマで成膜される酸化膜、熱硬化性や紫外線硬化性の有機膜を、無機膜の成膜前に使用できるものであれば良い。
例えば、具体的には、使用されるモノマー又はオリゴマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有し、光の照射によって付加重合するモノマー又はオリゴマーであることが好ましい。
コーティング膜の成膜方法としては、通常の溶液塗布法、あるいは真空成膜法等を挙げることができる。溶液塗布法としては、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法、或いは、米国特許第2681294号明細書に記載のホッパ−を使用するエクストル−ジョンコート法により塗布することができる。
例えば、機能性フィルムとして、ガスバリアフィルム(水蒸気バリアフィルム)を製造する際には、無機膜として、窒化ケイ素膜、酸化アルミニウム膜、酸化ケイ素膜等を成膜することが好ましい。
機能性フィルムとして、有機ELディスプレイや液晶ディスプレイのような表示装置など、各種のデバイスや装置の保護フィルムを製造する際には、無機膜として、酸化ケイ素膜等を成膜することが好ましい。
さらに、光反射防止フィルム、光反射フィルム、各種のフィルタ等の機能性フィルムを製造する際には、無機膜として、目的とする光学特性を有する、あるいは発現する材料からなる膜を成膜することが好ましい。
特に、本発明に係る機能性フィルムにおいては、真空成膜装置内で巻ズレを生じないので、コーティング膜は優れた表面平滑性を有する。このコーティング膜上に無機膜を成膜するので、高品質な機能性フィルムを製造することができる。
以上、本発明の機能性フィルムの製造方法について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよい。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明を、より詳細に説明する。
[実施例]
図2に示されるコーティング膜成膜装置20と真空成膜装置22を用いて機能性フィルムを製造した。コーティング膜の材料として、アクリレート系モノマーと光重合開始材で溶解させた塗布液を調製した。支持体として、幅1000mm厚さ100μmのPETフィルムを使用した。ダイコータにより、PETフィルム上に調製した塗布液を塗布し、紫外線硬化により硬膜させた。これにより、PETフィルム上に、硬化した状態で1μmの厚さを有するコーティング膜を成膜した。PETフィルムを巻取り軸34でフィルムロール42に巻き取った。
フィルムロール42を供給室50内にセットし、常圧から100Paまでの排気時間を7分、10分と変化させて供給室50を減圧した。供給室50内の到達真空度を1.50×10−2(Pa)、4.00×10−2(Pa)と変化させた。各種条件でコーティング膜上に10nm、50nm、200nmの厚さを有する無機膜を成膜した。アルミニウムをターゲットとして、反応性スパッタによりアルミナ膜を成膜した。
[比較例]
比較例では、フィルムロール42を供給室50内にセットし、比較例1では供給室の100Paまでの到達時間を変更し、比較例2では供給室と成膜室を同一の真空排気系を用いて減圧する構成とした。また比較例3では供給室と成膜室が隔壁で分離されてない一体型の成膜装置を用いた。それ以外は実施例と同じ条件で機能性フィルムを得た。
[評価方法]
機能性フィルムの性能は水蒸気透過性を用いることでバリア性能の評価を行った。透過率が1.0×10−3g/m・日以上を×とし、5.0×10−4 g/m・日以上1.0×10−3 g/m・日未満を△とし、1.5×10−4g/m・日以上5.0×10−4g/m・日未満を○とし、1.5×10−4g/m・日未満を◎とした。
生産性の評価について、成膜室52が成膜可能となるまでの時間で判断した。総合評価について、バリア性能・生産性を考慮して総合的に判断した。
[評価結果]
図3は、本発明の実施例1−7と比較例1−3に関して、成膜の条件と性能評価の結果を一覧表にまとめたものである。実施例1−7は、チャンバ構造として供給室50と成膜室52が隔壁74で分離されているものを使用した。供給室50と成膜室52の到達真空度、及び常圧から100Paまでの到達時間を別々に制御した。供給室50内にフィルムロール42をセットした後、常圧から100Paまでの到達時間が7分以上となる減圧速度で供給室50を減圧した。その結果、バリア性能が全ての実施例で△以上の評価であった。
成膜室52を供給室50より速い減圧速度で減圧できるように独立の真空排気系を構成した。成膜室52において、100Paに到達に要する時間は2分であった。その後、引き続き成膜室52の減圧を行い、成膜室52が減圧開始から成膜可能となるまでの時間は60分であり、生産性の評価は○であった。その結果、実施例1−7に関して、総合評価は全て△以上の評価を得た。
有機膜硬度及び無機膜の厚さが同じ場合(実施例1−3)、到達時間が遅いものはバリア性能が高かった。実施例1と3では供給室50の到達真空度に違いがあったが、バリア性能に差はなかった。このことは、常圧から100Paまでの時間が重要であることが理解できる。
無機膜の厚さを除き同じ条件である実施例4と5を比較すると、無機膜の厚い実施例5がバリア性能に優れていることが理解できる。また、有機膜の硬度を除き同じ条件である実施例6と7を比較すると、有機膜の硬度が高い実施例6がバリア性能に優れていることが理解できる。
比較例1−2は、チャンバ構造として供給室50と成膜室52が隔壁74で分離されているものを使用し、比較例3は隔壁74で分離されない一体型のものを使用した。比較例1及び3は、常圧から100Paまでの減圧時間が3分と5分となる減圧速度で供給室50を減圧したものである。この場合、フィルムロール42に巻き締まりによる巻ズレが発生するため、コーティング膜の平滑性が失われた。そのため、バリア性能の評価が×であった。比較例2では、供給室50と成膜室52を同一の真空排気系を用いて常圧から100Paまで減圧するのに7分となるように構成して排気を行った。その後、引き続き成膜室52の減圧を行ったところ、比較例2において、成膜室52が減圧開始から成膜可能となるまでの時間は120分であり、生産性の評価は×でであった。
10…機能性フィルム、12…コーティング膜、14…無機膜、20…コーティング膜成膜装置、22…真空成膜装置、26…塗布手段、28…加熱手段、30…UV照射装置、34…巻取り軸、36…引取ローラ、61,72,80…真空排気手段、50…供給室、52…成膜室、54…巻取り室、64a,64b,64c,64d…成膜手段、82,84,86…可変バルブ

Claims (6)

  1. フィルムロールから連続的に支持体を送り出し、該支持体上にコーティング膜を成膜し、該支持体をフィルムロールに巻き取る工程と、
    前記工程で巻き取られたフィルムロールを真空成膜装置の供給室にセットし、常圧から100Paまでの減圧時間が7分以上となる減圧速度で減圧し、さらに所定の真空度まで減圧する工程と、
    前記フィルムロールから前記支持体を、前記供給室の減圧速度より速い減圧速度で所定の真空度まで減圧された真空成膜装置の成膜室に供給し、前記コーティング膜上に無機膜を成膜する工程と、
    前記無機膜が成膜された前記支持体を、前記真空成膜装置の巻取り室でフィルムロールに巻き取る工程と、
    を少なくとも備える機能性フィルムの製造方法。
  2. 前記無機膜が20nmより厚い厚さを有する請求項1記載の機能性フィルムの製造方法。
  3. 前記コーティング膜が鉛筆硬度4B〜3Hの膜硬度を有する請求項1又は2記載の機能性フィルムの製造方法。
  4. 前記コーティング膜が放射線硬化性のモノマー又はオリゴマーを含む材料から成膜される請求項1〜3の何れか記載の機能性フィルムの製造方法。
  5. 前記無機膜が金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属フッ化物もしくはそれらの2種以上の複合物を、少なくとも一つを含む請求項1〜4の何れか記載の機能性フィルムの製造方法。
  6. フィルムロールから支持体を連続的に送出す機構と、該支持体上にコーティング膜を成膜する機構と、該支持体をフィルムロールに巻き取る機構を備えたコーティング膜成膜装置と、
    前記コーティング膜成膜装置で巻き取られた前記フィルムロールがセットされる供給室と、該供給室から連続的に送り出された支持体に無機膜を成膜する成膜室と、該成膜室から送り出された該支持体をフィルムロールに巻き取る巻取り室を備える真空成膜装置と、該供給室、該成膜室、及び該巻取り室は真空排気手段を備え、
    前記供給室の圧力を、常圧から100Paまでの減圧時間が7分以上となる減圧速度で減圧し、さらに所定の真空度まで減圧するよう前記供給室の排気速度を制御する第一の制御装置と、
    前記成膜室の圧力を、前記供給室の減圧速度より速い減圧速度で、所定の真空度まで減圧するよう前記成膜室の排気速度を制御する第二の制御装置と、
    を有する機能性フィルムの製造装置。
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