JP5195604B2 - 液体濃度検出装置 - Google Patents
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Description
一方、特許文献1に記載の測定器は、アルコールとガソリンとからなる混合気を誘電体とする2つの電極間の静電容量をこの電極に電気的に接続するオペアンプの出力周波数として検出することで、アルコール濃度を検出している。この測定器は、アルコール濃度が低濃度となり、静電容量が小さくなることでオペアンプの出力周波数が検出不能な程度の周波数となることを防止するため、この2つの電極に並列してコンデンサを付加している。
さらに、異常検出部は、静電容量検出手段及び温度検出手段のうちで、被検出液の変化に対する応答が速い一方の検出結果の変化の有無を判定した後、被検出液の変化に対する応答が遅い他方の検出結果の変化の有無を判定する。仮に、応答の遅い他方の検出結果の変化の有無を判定した後、応答の速い一方の検出結果の変化の有無を判定するとすれば、他方の検出結果の変化を判定したときには、一方の検出結果の変化は既に終っていることが考えられる。そのため、応答の速い一方の検出結果の変化の有無を判定した後、応答の遅い他方の検出結果の変化の有無を判定することで、正確な異常検出を行うことができる。
なお、所定期間の設定により、異常検出の速さを調節することができる。
請求項6に記載の発明によると、異常検出部は、静電容量検出手段の検出した静電容量が変化したことを検出した場合、過去に行われた異常判定を取り消す。静電容量検出手段の検出する静電容量が変化した場合は、過去に行われた異常判定が、温度と静電容量とが同期して変化したことに起因する一時的なものであると考えられる。このため、異常検出部は、過去に行われた異常判定を取り消すことで、正確な異常検出を行うことができる。
請求項7に記載の発明によると、被検出液が入れ替わったことを検出したとき、異常検出部が異常判定を行うことを所定期間停止する判定処理停止部をさらに備える。被検出液が入れ替わったときは、被検出液の静電容量と温度とが同期して変化する可能性が大きくなる。この場合に異常検出部の異常判定を禁止することで、誤検出を防止することができる。なお、異常検出部が異常判定を行うことを停止される所定期間とは、被検出液が交換された後、異常検出に影響を及ぼす期間をいう。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による液体濃度検出装置は、被検出液として燃料に含まれるエタノール濃度を検出するエタノール濃度センサであって、図1に示すように、自動車用エンジンの燃料供給系統に設けられる。エタノール濃度センサ1は、燃料タンク2とデリバリパイプ5とを接続する燃料配管4に設けられている。燃料タンク2内の燃料は、燃料ポンプ3によって燃料配管4を通りデリバリパイプ5へ圧送され、インジェクタ6から図示しない吸気管またはシリンダ内へ噴射される。エタノール濃度センサ1の検出したエタノール濃度は、エンジンのECU(電子制御ユニット)7に伝送される。ECU7は、エタノール濃度に応じ、インジェクタ6から噴射される燃料噴射量及び点火時期等を制御し、エンジンのトルク特性を適正にすることで、運転性を良好にするとともに、排出ガス中の有害成分を低減している。
第1ハウジング10は、例えばステンレス等の金属から略筒状に形成され、内部に燃料室11を有している。第1ハウジング10の軸方向の両端に、シール部材12、13を挟んで連結パイプ20、21がねじ結合している。連結パイプ20、21は、例えばステンレス等の金属から筒状に形成され、内部に通路22、23を有している。連結パイプ20、21の軸方向の途中には径外方向に突出する爪24、25が設けられている。連結パイプ20、21は、この爪24、25に接続する図示しないコネクタを経由し、燃料配管4と連結する。これにより、連結パイプ20、21の通路22、23、及び第1ハウジング10の燃料室11に燃料が供給される。
第1電極31は、径方向に通じる燃料孔33、34を有している。このため、第1ハウジング10の燃料室11から燃料孔33、34を経由し、第1電極31と第2電極32との間の空間35に燃料が流入する。これにより、第1電極31及び第2電極32は、燃料を誘電体としたコンデンサとして機能する。
第2ハウジング50と第1ハウジング10との間には、環状のパッキン52及び板状の弾性部材53が挟まれている。パッキン52は、第2ハウジング50と第1ハウジング10との間に外部から水等が浸入することを防止している。弾性部材53は、第1電極31を第1ハウジング10へ押し付けている。
第2ハウジング50の開口部には、板状の蓋54が設けられ、第2ハウジング50の内側へ外部から水等が浸入することを防止している。蓋54は、第2ハウジング50の径外方向に突出する係止部55に係止された板状のスプリング56によって固定されている。
第2ハウジング50の底部51には収容孔57が設けられ、第2電極32の端部を収容している。
静電容量検出回路61は、第1電極31と第2電極32との間の充放電により、静電容量を検出する。温度検出回路62は、サーミスタ40への通電により、第1電極31と第2電極32との間の燃料温度を検出する。
ここで、第1、第2電極31、32、静電容量検出回路61及び第1、第2導電体37、38により、静電容量検出手段8が構成される。また、サーミスタ40、温度検出回路62及び第3、第4導電体41、42により温度検出手段9が構成される。
一方、異常検出部は、温度検出手段9の検出した温度が変化し、静電容量検出手段8の検出した静電容量が変化しない場合、静電容量検出手段8に異常が生じたとする異常検出を行う。
出力回路64は、濃度検出部の検出したエタノール濃度、及び、異常検出部の検出した静電容量検出手段8の異常をECU7に伝送する。
エンジン始動後、温度検出手段9の検出する温度は、実線Aに示すように、時間の経過とともに上昇する。一方、静電容量検出手段8の検出する静電容量は、実線Bに示すように、温度の上昇に伴って小さくなる。なお、静電容量検出手段8の検出する静電容量の変化に対し、温度検出手段9の検出する温度の変化は、第2電極32の板厚を熱伝導することによって、T1−T2の時間分、遅れて検出される。
ここで、第1、第2電極31、32、静電容量検出回路61、第1、第2導電体37、38のいずれかに異常が生じると、静電容量検出手段8の検出値が、破線Cに示すように、一定の値となることが考えられる。この場合、異常検出部は、温度検出手段9の検出した温度が変化したとき、静電容量検出手段8の出力値が異常値であることを検出することができる。
異常検出処理は、イグニッション電源がオンされた時に開始する。
最初のステップS10(以下、「ステップ」を省略し、単に「S」で表わす)では、初期化処理を行う。初期化処理では、イグニッション電源がオンされる以前に行われた異常検出処理による「変化有りフラグ」、及び「仮異常フラグ」をいずれも「0」とする。また、イグニッション電源がオンされる以前に行われた異常検出処理によってメモリに記憶された「仮異常カウンタ」を読み出す。
続くS12では、温度検出手段9の検出した燃料温度を「現在温度」として記録する。また、静電容量検出手段8の検出した静電容量を「現在容量」として記録する。
具体的には、濃度検出部が検出したエタノール濃度が40%以下であるとき、マイクロコンピュータ63は、判定処理禁止部として機能し、異常検出部が異常検出処理を行うことを禁止する。なお、第2閾値ΔTを20℃よりも大きく設定することで、エタノール濃度が40%以下の燃料において異常検出を行うことが可能となる。
続くS17では、「仮異常フラグ」の記録が「1」であるか否かを判定する。本異常検出処理では、イグニッション電源のオンからオフの間のサイクルにおいて、「仮異常カウンタ」をインクリメントするのは1回としている。このため、S17では、「仮異常フラグ」が「1」である場合(S17:YES)、処理をS12へ移行する。一方、「仮異常フラグ」が「0」である場合(S17:NO)、処理をS18へ移行する。
続くS19では、「仮異常カウンタ」の数値が「K」以上であるか否かを判定する。ここで、「K」は、任意の正整数として設定される。「K」を適正に設定することで、異常検出を確実に行うことができる。「仮異常カウンタ」の数値が「K」未満である場合(S19:NO)、処理をS12へ移行する。一方、「仮異常カウンタ」の数値が「K」以上である場合(S19:YES)、処理をS20へ移行する。
本発明の第2実施形態において、異常検出部が行う異常検出処理を図8に基づいて説明する。本実施形態において、第1実施形態と実質的に同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、S21において、S10の処理から一定時間経過したか否かを判定する。ここで、「一定時間」は、任意に設定することが可能である。S21では、「一定時間」経過したとき(S21:YES)、処理をS10へ移行する。一方、「一定時間」経過していないとき(S21:NO)、処理をS12へ移行する。
本発明の第3実施形態で行われる異常検出停止処理を、図9に基づいて説明する。
マイクロコンピュータ63は、RAM、ROM等に記憶されたプログラムをCPUが実行することで判定処理停止部として機能する。判定処理停止部は、燃料が入れ替わったことを検出したとき、異常検出部が異常検出処理を行うことを所定期間停止する異常検出停止処理を行う。
本処理は、イグニッション電源がオンされた後、所定間隔で実行される。
最初のS30では、燃料レベルゲージに変化があったか否かを判定する。燃料レベルゲージに変化があった場合(S30:YES)、処理をS31へ移行する。燃料レベルゲージに変化がない場合(S30:NO)、処理S30を繰り返す。
次のS31では、判定処理停止部は、異常検出部が異常検出処理を行うことを所定期間停止する
異常検出部の異常検出処理を停止する期間は、燃料レベルゲージに変化があった後、インジェクタ6による燃料噴射量が、燃料タンク2とエタノール濃度センサ1との間の燃料配管4の容積以上となるまでの期間である。この期間を経過した後、判定処理停止部は、異常検出部の異常検出処理の停止を解除する。このため、エタノール濃度センサは、異常検出部の誤検出を防止し、正確な異常検出を行うことができる。
上述した複数の実施形態では、自動車用エンジンの燃料供給系統に適用され、燃料に含まれるエタノール濃度を検出する液体濃度検出装置について説明した。これに対し、本発明の液体濃度検出装置は、エタノール以外の被検出液の濃度を検出するものであってもよく、自動車用エンジンの燃料供給系統以外に適用されるものであってもよい。
上述した複数の実施形態では、回路60のマイクロコンピュータ63を異常検出部として機能させた。これに対し、本発明の液体濃度検出装置は、車載式故障診断システム(OBD)に異常検出部を備えてもよい。
上述した複数の実施形態では、サーミスタ40を、第2電極32の内側に設けた。これに対し、本発明の液体濃度検出装置は、サーミスタ40のシール性を向上し、被検出液に浸漬する構成にしてもよい。この場合、被検出液の温度変化に対する温度検出手段の応答が、静電容量検出手段の応答よりも速くなれば、異常検出部は、温度検出手段の変化の有無を、静電容量検出手段の変化の有無より先に判定してもよい。
以上説明したように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
Claims (7)
- 被検出液の静電容量を検出する静電容量検出手段と、
被検出液の温度を検出する温度検出手段と、
前記静電容量検出手段の検出した静電容量と前記温度検出手段の検出した温度とにより被検出液の濃度を検出する濃度検出部と、
前記温度検出手段の検出した温度が変化し、前記静電容量検出手段の検出した静電容量が変化しない場合、前記静電容量検出手段に異常が生じたとして異常判定を行う異常検出部とを備え、
前記異常検出部は、前記静電容量検出手段及び前記温度検出手段のうちで、被検出液の変化に対する応答が速い一方の検出結果の変化の有無を判定した後、被検出液の変化に対する応答が遅い他方の検出結果の変化の有無を判定することを特徴とする液体濃度検出装置。 - 被検出液の静電容量を検出する静電容量検出手段と、
被検出液の温度を検出する温度検出手段と、
前記静電容量検出手段の検出した静電容量と前記温度検出手段の検出した温度とにより被検出液の濃度を検出する濃度検出部と、
前記温度検出手段の検出した温度が変化し、前記静電容量検出手段の検出した静電容量が変化しない場合、前記静電容量検出手段に異常が生じたとして異常判定を行う異常検出部とを備え、
前記異常検出部は、前記静電容量検出手段の検出した静電容量の変化量が、特定の濃度の被検出液において所定の温度範囲で変化する静電容量の変化量未満の値に設定された第1閾値以下の場合、前記静電容量検出手段の検出した静電容量が変化していないと判定することを特徴とする液体濃度検出装置。 - 被検出液の静電容量を検出する静電容量検出手段と、
被検出液の温度を検出する温度検出手段と、
前記静電容量検出手段の検出した静電容量と前記温度検出手段の検出した温度とにより被検出液の濃度を検出する濃度検出部と、
前記温度検出手段の検出した温度が変化し、前記静電容量検出手段の検出した静電容量が変化しない場合、前記静電容量検出手段に異常が生じたとして異常判定を行う異常検出部とを備え、
前記異常検出部は、特定の濃度の被検出液において温度特性により変化する静電容量の変化量を前記異常検出部が検出可能となる温度範囲として設定された第2閾値よりも、前記温度検出手段の検出した温度の変化量が大きい場合に前記温度検出手段の温度が変化したと判定することを特徴とする液体濃度検出装置。 - 被検出液の静電容量を検出する静電容量検出手段と、
被検出液の温度を検出する温度検出手段と、
前記静電容量検出手段の検出した静電容量と前記温度検出手段の検出した温度とにより被検出液の濃度を検出する濃度検出部と、
前記温度検出手段の検出した温度が変化し、前記静電容量検出手段の検出した静電容量が変化しない場合、前記静電容量検出手段に異常が生じたとして異常判定を行う異常検出部と、
前記濃度検出部の検出した被検出液の濃度が、温度特性による静電容量の変化を前記異常検出部が検出困難となる所定濃度以下にあるとき、前記異常検出部が異常判定を行うことを禁止する判定処理禁止部を備えることを特徴とする液体濃度検出装置。 - 前記異常検出部は、異常判定が所定期間継続したとき、または複数回連続したとき、前記静電容量検出手段に異常が生じたことを確定する異常確定を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体濃度検出装置。
- 前記異常検出部は、前記静電容量検出手段の検出した静電容量が変化したことを検出した場合、過去に行われた異常判定を取り消すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体濃度検出装置。
- 被検出液が入れ替わったことを検出したとき、前記異常検出部が異常判定を行うことを所定期間停止する判定処理停止部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体濃度検出装置。
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