JP5193810B2 - 分散液、金属酸化物含有膜および金属酸化物膜付き基板の製造方法 - Google Patents
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Description
(イ)スパッタ法、
(ロ)塗布法、
の2種類の方法がある。
(1)導電性膜の導電性が高く、且つ、該導電性膜を低コストで成膜できること、
(2)導電性膜が、各種有機溶剤に対する耐久性を備えていること、
が求められている。
近年の各種デバイス製造においては、高機能化、多機能化などを目的として前記金属酸化物膜の上に、更に複数の機能性膜を成膜することがある。該機能性膜の成膜を、機能性成分や各種有機溶剤を含む分散液の塗布・焼成によって行う場合には、該分散液を前記金属酸化物膜上に塗布することになる。このときに前記金属酸化物膜が前記分散液中に含まれる各種有機溶剤によって溶解してしまうことが問題として挙げられている。
また、耐有機溶剤性についても、本願発明者らが行った試験結果によると、特許文献1、2の提案によるものは、さらに、改善が必要なものであった。
尚、本発明における圧粉抵抗値とは、金属酸化物を1t/cm2で圧縮処理して厚さ1mmのペレット状に成形した試料に対し、ロレスタ(三菱化学社製)を用いて測定した電気抵抗値のことである。
金属酸化物含有膜を形成するための分散液であって、金属酸化物粒子と、(メタ)アクリレートモノマーと、硬化剤と、溶剤とを含み、
前記(メタ)アクリレートモノマーが、1,9−ノナンジオールジアクリレート及び1,10−デカンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレートからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする分散液である。
前記金属酸化物粒子の平均粒子径が1〜100nmであることを特徴とする第1の発明に記載の分散液である。
前記金属酸化物粒子が錫含有酸化インジウム粒子であることを特徴とする第1又は第2の発明に記載の分散液である。
前記錫含有酸化インジウム粒子に含まれる錫量が、酸化錫として前記錫含有酸化インジウム粒子に対して5〜20質量%の範囲内であることを特徴とする第3の発明に記載の分散液である。
前記(メタ)アクリレートモノマーが1,9−ノナンジオールジアクリレート及び1,10−デカンジオールジアクリレートからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする第1〜第4の発明のいずれかに記載の分散液である。
第1〜第5の発明のいずれかに記載の分散液が基板上に塗布され、当該分散液が焼成されて形成されたことを特徴とする金属酸化物含有膜である。
第6の発明に記載の金属酸化物含有膜であって、
該膜の質量をT 1 、該膜を50℃のN−メチルピロリドンに10分間浸漬させた際に溶け出した膜の質量をT 2 とするときに、(T 2 /T 1 )×100で表される溶け出した膜の百分率割合(%)が15質量%以下であることを特徴とする金属酸化物含有膜である。
体積抵抗値が1.0×10−2〜5.0×10−1Ω・cmの範囲内であることを特徴とする第6又は第7の発明に記載の金属酸化物含有膜である。
前記金属酸化物が錫含有酸化インジウムであることを特徴とする第6〜第8の発明のいずれかに記載の金属酸化物含有膜である。
前記錫含有酸化インジウムに含まれる錫量が酸化錫として前記錫含有酸化インジウムに対して5〜20質量%の範囲内であることを特徴とする第9の発明に記載の金属酸化物含有膜である。
第1〜第5の発明のいずれか記載の分散液を基板に塗布する工程と、前記塗布された基板を100〜300℃の範囲で焼成する工程とを、行うことを特徴とする金属酸化物膜付き基板の製造方法である。
本発明に係る分散液は、導電成分としての金属酸化物粒子と、バインダー成分としての(メタ)アクリレートモノマーと、更に硬化剤と、溶剤とを少なくとも含んでなる。
係る分散液を用いて得られる金属酸化物含有膜が、従来の膜よりも耐有機溶剤性に優れるのかについての理由は定かではないが、現時点では、以下のように推察できる。
係る分散液がバインダー成分として(メタ)アクリレートモノマーを使用しているため、該膜の焼成時に(メタ)アクリレートモノマーが架橋することにより膜が形成されるため、従来技術で用いられていたポリマー等を含む樹脂が架橋する場合よりもより緻密に架橋し合う。この緻密な架橋により、膜として従来よりも更に強固且つ耐有機溶剤性に優れたものになるものと考えられる。
本発明に係る金属酸化物は、用途上、透明導電性材料として使用できるものが好ましい。具体的には、錫含有酸化インジウム(ITO)、酸化錫−酸化アンチモン(ATO)、酸化亜鉛−アルミニウム(AZO)等が挙げられるが、透明導電性材料として使用できる金属酸化物であれば問題なく使用できる。
また、膜中における粒子同士の接点を増加させる意味から、該金属酸化物の粒子径としては1〜100nmの範囲内にあることが好ましい。粒子径が1nm以上あれば技術面、コスト面から粒径制御が容易である。100nm以下であれば粒子同士の接点が確保出来
所望の効果が得られる。
また、前記金属酸化物粒子の作製方法としては、公知の方法で作製することができ、一例としては、インジウムと錫の混合酸性溶液とNH3水溶液などのアルカリ溶液とを混合して得られる錫とインジウムの共沈水酸化物を、還元ガスを含む不活性ガス中で焼成する方法などが挙げられる。
本発明に係るバインダー成分の(メタ)アクリレートモノマーとしては、単官能基、二官能基、及び三官能基以上の(メタ)アクリレートモノマーを使用できる。
以下に、それぞれの具体例を挙げるが、本発明で使用できる(メタ)アクリレートモノマーは以下に限られるものではない。
単官能基の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、二官能基の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、アリルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能基以上の例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
以上説明した(メタ)アクリレートモノマーの中でも、二官能基の(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、さらに好ましくは1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。この場合には、特に高い耐溶剤性を示す膜を作製することができる。
本発明に係る金属酸化物粒子含有分散液において、金属酸化物粒子とバインダーとの質量比率(金属酸化物粉末量:バインダー量)は、70:30〜97:3の範囲内にあることが好ましい。
該比率が70:30よりも金属酸化物粉末量が多ければ、金属酸化物粉末量に対するバインダー量の比率が十分あることにより膜の導電性が確保できる。また、97:3よりも金属酸化物粉末量が少なければ、金属酸化物粉末量に対するバインダー量を確保することができ、膜強度や耐溶剤性を確保することができる。即ち、好ましい該比率は、80:20〜96:4であり、更に好ましくは90:10〜95:5である。
バインダー成分の硬化剤としては、各種の過酸化物、光重合開始剤等が使用できる。これらの中でも特に有機過酸化物を好ましく使用することができる。硬化剤の添加量としてはバインダー成分に対して0.5〜5.0質量%の範囲内が好ましい。硬化剤の添加量が0.5質量%以上あればバインダーに対して硬化剤量が確保され、膜強度や耐溶剤性を保つことができる。また、硬化剤の添加量が5.0質量%以下であれば、膜を硬化させるために必要な量を確保できるとともに、膜中に余計な不純物として残留することを回避でき、導電性を良好に保つことができる。具体例としては、ルペロックスTBH、ルペロックスTAH、ルペロックスLP、ルペロックスTBEC、ルペロックス331(いずれも、アルケマ吉富(株)社製)などを挙げることができる。
本発明で使用できる溶剤は金属酸化物粒子の分散性が良好で、バインダー成分を溶解できるもので、且つ設定した焼成温度で蒸散するものであれば特に制限は無い。具体例としてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、イソホロン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。
本発明に係る金属酸化物粒子を含有する分散液の製造方法としては、特に制限されるものではない。具体例としては、前記金属酸化物粒子とバインダー成分、硬化剤および溶剤を混合した後、該混合物に対し分散処理を行うことで作製することができる。また、該分散処理の方法についても本発明の効果を損なわない範囲内であれば特に制限されるものではない。具体例としては、超音波処理、スリーロールミル、サンドグラインダー等を使用することができる。
金属酸化物含有膜から溶け出す膜の割合は、0質量%であれば理想的である。
ここで、金属酸化物含有膜の耐溶剤性は、本発明に係る金属酸化物含有膜を50℃に加温した有機溶剤中に10分間浸漬させ、該浸漬前の膜質量T1と該浸漬中に溶け出した膜の質量T2との百分率割合(T2/T1)×100の値を求めることにより評価できる。
よって、本発明に係る金属酸化物含有膜は、前記膜の質量をT1、前記膜を50℃のN−メチルピロリドンに10分間浸漬させた際に溶け出した膜の質量をT2とするときに、溶け出した膜の百分率割合(T2/T1)×100が、15質量%以下になるという性質を有するものである。
ここで、該T1及びT2の測定方法手順を以下に説明する。
(T1の測定方法)
(1)分散液を塗布する前の基板質量T0を測定する。
(2)基板上に分散液を塗布・焼成した後の金属酸化物膜付き基板の質量T0’を測定し、(T0’−T0)から金属酸化物膜の質量T1を測定する。
(T2の測定方法)
(1)N−メチルピロリドンに浸漬した後の金属酸化物膜付き基板の質量T2’を測定する。
(2)(T1−(T2’−T0))により、溶け出した膜質量T2を測定する。
なお、耐有機溶剤性試験に用いる有機溶剤の種類は一般的に膜形成用の分散液に溶媒として用いられるものであればよいため、例えばアセトン、イソプロピルアルコール(IPA)、N−メチルピロリドン、γ−ブチルラクトンやこれらの任意の組合せなどを耐有機溶剤性試験で使用することが考えられるが、前記溶け出した膜の質量T2の値は浸漬する溶媒の種類によって変化すると考えられるため、本発明ではこれらの中でも溶解度の高いN−メチルピロリドンを用いて測定した値を、耐有機溶剤性を量る指標として用いることとした。
本発明者等は、有機溶剤浸漬によって金属酸化物含有膜の導電性が悪化しないためには、浸漬時に溶け出す膜の割合が15質量%以下である必要があることを見出した。この浸漬時に溶け出す膜の割合は、浸漬前後の導電性の劣化の観点から10質量%以下であることが更に好ましい。
即ち、分散液の焼成時に(メタ)アクリレートモノマーが架橋することにより膜が形成されるため、従来技術で用いられていたポリマー等を含む樹脂が架橋する場合よりもより緻密に架橋し合うことで、膜として従来よりも更に強固且つ耐有機溶剤性に優れたものになったのではないかと考えられる。
本発明に係る金属酸化物粒子含有分散液を100℃〜300℃程度の低温で焼成することによって焼成膜を作製する。しかし、一般的に100℃〜300℃程度の範囲の温度では、本発明で用いる金属酸化物粒子は焼結を起こさないため、電子移動は膜中に存在する該金属酸化物粒子同士の接点を通じて行われることになる。つまり、本発明に係る金属酸化物含有膜は、一定の圧力を粉末に掛けた状態で測定される圧粉抵抗値に近い膜抵抗値を示すほど、導電性の良好な膜と言うことができる。
.0×10−2〜8.0×10−2Ω・cmである。
本発明に係る金属酸化物含有膜付き基板は、前記金属酸化物粒子含有分散液を基板上に塗布し、100〜300℃で焼成することによって作製できる。焼成温度が100℃以上あれば、膜の硬化が十分得られ、耐有機溶剤性を確保できる。また、焼成温度が300℃以下であれば、バインダーの蒸散が回避でき、本発明に係る金属酸化物含有膜の耐有機溶剤性を確保できる。好ましい焼成温度は130〜270℃であり、さらに好ましくは150〜250℃である。また、基板上に塗布する方法としては、インクジェット印刷やスクリーン印刷、スピンコート等の公知の方法を用いることができる。
(1)金属酸化物(錫含有酸化インジウム:ITO)粒子の作製
インジウム濃度が18.7質量%の塩化インジウム水溶液(InCl3)7204gと、塩化錫(SnCl2)272gとを秤量し、純水に溶解して塩化インジウムと塩化錫の混合溶液30Lを調製した。尚、当該混合溶液において、錫の濃度は酸化錫(SnO2)として錫含有酸化インジウム(In2O3+SnO2)に対して10質量%となっている。
(1)で作製したITO粒子36gと、溶媒としてN−メチルピロリドン26.1gとターピネオールを26.1gと、更にバインダーとして1,9−ノナンジオールジアクリレート(新中村化学(株)社製A−NOD−N)1.8gとを、容量200ccの縦長ZrOポット中に入れた。尚、バインダー量は、[バインダー重量/ITO粉重量]で5/95となる量である。
該ポットをアイメックス社製サンドグラインダー4TSGにセットし、直径0.2mmのジルコニアビーズ((株)ニッカトー社製YTZ)を360g入れた。その後、該サンドグラインダーを用いて回転数600rpmで5分間の前駆的な分散を行った後、2000rpmで40分間分散して、実施例1に係る分散物を得た。
得られた分散物に、ターピネオール10gと、硬化剤としてルベロックスTAH85(アルケマ吉富(株)社製)0.07gと、IPA80gとを、添加した後、さらに該サンドグラインダーを用いて2000rpmで10分間分散して、実施例1に係る分散液を作製した。
(2)で作製した分散液を、ガラス基板上に2000rpmのスピンコートで成膜した。その後、加熱炉としてベルト焼成炉を用いて、該分散液を成膜したガラス基板を大気中において230℃で20分間焼成して、実施例1に係る耐溶剤性評価用の金属酸化物含有膜(ITO焼成膜)を得た。該膜を、50℃に加温したN−メチルピロリドン中に10分間浸漬させた。浸漬前の該焼成膜の質量T1に対する浸漬で溶け出した膜の質量T2の百分率割合(T2/T1)×100の値で評価した。当該評価結果を表1に示す。
(2)で作製した分散液をガラス基板上に2000rpmのスピンコートで成膜した。その後、加熱炉としてベルト焼成炉を用いて、該分散液を成膜したガラス基板を、大気中または窒素中において、焼成温度を200℃、250℃、300℃として焼成し、実施例1に係る抵抗値測定用の金属酸化物含有膜(ITO焼成膜)を得た。該膜の抵抗値を、ロレスタ(三菱化学(株)社製)を用いて測定した。当該評価結果を表1に示す。
(2)で作製した分散液において、バインダー重量/ITO粉重量を10/90とした以外は、該実施例1と同様にして、金属酸化物含有膜を得た。該膜に対し(3)の耐溶剤性評価を実施した。当該評価結果を表1に示す。
実施例1の(2)においてバインダーを1,10−デカンジオールジアクリレート(新中村化学(株)社製、A−DOD−N)に代替したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2に係る分散液および金属酸化物含有膜を作製した。そして、該膜に対し(3)の耐溶剤性評価、(4)の抵抗値の測定を実施した。当該評価結果を表1に示す。
実施例1の(2)においてバインダーをジプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)社製、APG−100)に代替したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例3に係る分散液および金属酸化物含有膜を作製した。そして、該膜に対し(3)の耐溶剤性評価を実施した。また、N−メチルピロリドンに浸漬する前、および、浸漬した後の該膜の抵抗値を、それぞれロレスタ(三菱化学(株)社製)を用いて測定した。当該評価結果を表1に示す。
実施例1の(2)においてバインダーをネオペンチルグリコールジアクリレート(新中村化学(株)社製、A−NPG)に代替したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例4に係る分散液および金属酸化物含有膜を作製した。そして、該膜に対し(3)の耐溶剤性評価を実施した。当該評価結果を表1に示す。
実施例1の(2)においてバインダーをジエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学(株)社製、2G)に代替したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例5に係る分散液および金属酸化物含有膜を作製した。そして、該膜に対し(3)の耐溶剤性評価を実施した。当該評価結果を表1に示す。
実施例1の(2)において、バインダーをアクリル樹脂(三菱レーヨン(株)社製、BR113)に代替し、またルベロックスTAHを添加しないこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1に係る分散液を作製した。
作製した分散液を2000rpmのスピンコートでガラス基板上に成膜した後、大気中と窒素中で250℃10分間、大気中で300℃10分間焼成し、該焼成膜に対し、実施例1と同様の(3)の耐溶剤性評価、(4)の抵抗値の測定を実施した。また、N−メチルピロリドンに浸漬する前、および、浸漬した後の該膜の抵抗値を、それぞれロレスタ(三菱化学(株)社製)を用いて測定した。当該評価結果を表1に示す。
実施例1〜5および比較例1に係る金属酸化物含有膜の評価を表1に示した。
まず、実施例1〜5において、該膜の質量をT1、該膜を50℃のN−メチルピロリドン中に10分間浸漬させた際に溶け出した膜の質量をT2とするときに、(T2/T1)×100で表される溶け出した膜の百分率割合(%)が10質量%以下であり、15質量%を大きく下回り、優れた耐有機溶剤性を有していることが判明した。
これに対し、比較例1においては、該(T2/T1)×100で表される溶け出した膜の百分率割合(%)が17質量%、29質量%であり、耐有機溶剤性に劣ることが判明した。
次に、実施例1及び実施例3に係る金属酸化物含有膜において、耐有機溶剤性試験の前後で体積抵抗値を測定した結果みると、該耐有機溶剤性試験の前後での体積抵抗値の変化がほぼ見られなかった。
これに対して、比較例1に係る耐溶剤性が劣る金属酸化物含有膜の場合、溶剤への浸漬によって体積抵抗値が著しく増加する結果となった。
Claims (11)
- 金属酸化物含有膜を形成するための分散液であって、金属酸化物粒子と、(メタ)アクリレートモノマーと、硬化剤と、溶剤とを含み、
前記(メタ)アクリレートモノマーが、1,9−ノナンジオールジアクリレート及び1,10−デカンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレートからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする分散液。 - 前記金属酸化物粒子の平均粒子径が1〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載の分散液。
- 前記金属酸化物粒子が錫含有酸化インジウム粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の分散液。
- 前記錫含有酸化インジウム粒子に含まれる錫量が、酸化錫として前記錫含有酸化インジウム粒子に対して5〜20質量%の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の分散液。
- 前記(メタ)アクリレートモノマーが1,9−ノナンジオールジアクリレート及び1,10−デカンジオールジアクリレートからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の分散液。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の分散液が基板上に塗布され、当該分散液が焼成されて形成されたことを特徴とする金属酸化物含有膜。
- 請求項6に記載の金属酸化物含有膜であって、
該膜の質量をT 1 、該膜を50℃のN−メチルピロリドンに10分間浸漬させた際に溶け出した膜の質量をT 2 とするときに、(T 2 /T 1 )×100で表される溶け出した膜の百分率割合(%)が15質量%以下であることを特徴とする金属酸化物含有膜。 - 体積抵抗値が1.0×10−2〜5.0×10−1Ω・cmの範囲内であることを特徴とする請求項6又は7に記載の金属酸化物含有膜。
- 前記金属酸化物が錫含有酸化インジウムであることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の金属酸化物含有膜。
- 前記錫含有酸化インジウムに含まれる錫量が酸化錫として前記錫含有酸化インジウムに対して5〜20質量%の範囲内であることを特徴とする請求項9に記載の金属酸化物含有膜。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の分散液を基板に塗布する工程と、前記分散液が塗布された基板を100〜300℃の範囲で焼成する工程とを、行うことを特徴とする金属酸化物膜付き基板の製造方法。
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