JP5193390B1 - 動力伝達装置のケース構造および組み付け方法 - Google Patents

動力伝達装置のケース構造および組み付け方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ギヤの軸心に沿ってケースが分割構成された動力伝達装置において、一方のケースに組み付けたギヤ支持用のベアリングやシムの拡開を抑えることにより、ケース同士の組み付け作業の向上を図る。
【解決手段】リングギヤ4と、リングギヤ4と一体に回転するデフケース5と、デフケース5を軸方向の両端で支持するベアリング6,6と、ベアリング6,6の外側面に予圧をかけるシム7,7と、を内蔵し、リングギヤ4の軸心Oと平行な面を分割面23,24として二分割されたケースを備えた終減速装置1において、ケースを、軸心Oからベアリング6の外径の範囲内でオフセットした分割面23,24により、軸心Oを含む第1ケース21と、軸心Oを含まない第2ケース22とに分割構成し、シム7の外側面に当接するシム圧接壁面に関し、第1ケース21のシム圧接壁面30,31の方を第2ケース22のシム圧接壁面37,38よりも面積を大きく形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、動力伝達装置のケース構造および組み付け方法に関する。
一般に自動車の終減速装置は、ケースの内部においてリングギヤの軸両端をベアリングで支持した構造であり、ケースとしては、主に装置の大型化と部品点数の増加を抑制する目的で車両前後方向に分割して構成されたものが多い(例えば特許文献1参照)。
ケースの内部に組み込まれる前記リングギヤ等はハイポイドギヤからなり、その噛合い反力がギヤの軸心方向に作用するため、ギヤ支持用のベアリングは一般にテーパローラベアリングが用いられる。テーパローラベアリングは円錐状の内輪と外輪との間でローラが転動する構造であり、通常、ローラと内輪,外輪との間に隙間が生じないようにベアリングの軸方向外側に適当な厚さのシムを介在させる。
特許文献1に記載の構造のように、ケースの分割面が、リングギヤの軸心を含み軸心に平行な面として形成されている場合、終減速装置の組み付け手順としては、例えば図16に示すように、分割した一方のケース101に予めリングギヤ103、リングギヤ103と一体に回転する回転体としてのデフケース組立体104、ベアリング105,105、シム106,106等を組み込んだ状態としておく。そして、これに他方のケース102を合わせて図示しないボルトにより両ケース101、102を締結するという方法が一般的である。
特開2000−65191号公報
前記したようにベアリング105においては、ローラ105Cと内輪105A、外輪105Bとの間に隙間が生じないようにシム106によって予圧をかける構造であるため、各ケース101、102におけるシム圧接壁面107,107間および108,108間のケース寸法L1、L2は共にきつめの値に設定されている。そのため、一方のケース101にリングギヤ103、デフケース組立体104、ベアリング105,105、シム106,106等を組み込むと、ベアリング105は半環状に形成されたシム圧接壁面107によってその半分のみが支持されているため、ケース101からはみ出た残り半分、すなわち他方のケース102側に嵌合される部分の外輪105Bがベアリングテーパに沿って軸方向外側に滑り、その結果、ケース102側に嵌合される部分のシム106が白矢印で示すように軸方向外側に拡開するおそれがある。このようにシム106が拡開すると、ケース102を組み付ける際、シム106をケース102のシム圧接壁面108に収めることが困難となって組み付け作業に手間がかかりやすくなる。
本発明は、このような課題を解決するために創案されたものであり、ギヤの軸心に沿ってケースが分割構成された動力伝達装置において、一方のケースに組み付けたギヤ支持用のベアリングやシムの拡開を抑えることにより、ケース同士の組み付け作業の向上を図ることを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は、ギヤと、該ギヤと一体に回転する回転体と、該回転体を軸方向の両端で支持するベアリングと、該ベアリングの外側面に予圧をかけるシムと、を内蔵し、前記ギヤの軸心と平行な面を分割面として二分割されたケースを備えた動力伝達装置において、前記ケースは、前記ギヤの軸心から前記ベアリングの外径の範囲内でオフセットした分割面により、前記ギヤの軸心を含む第1ケースと、前記ギヤの軸心を含まない第2ケースとに分割構成され、前記シムの外側面に当接するケースのシム圧接壁面に関し、前記第1ケースの方が前記第2ケースよりも面積が大きく形成されていることを特徴とする。
「ギヤの軸心を含む第1ケース」とは、ギヤの軸心が分割面よりもケースの内部側で通過するように形成されたケースをいい、「ギヤの軸心を含まない第2ケース」とはギヤの軸心が分割面よりもケースの外部側で通過するように形成されたケースをいう。
このケース構造によれば、シムを第1ケースに組み付けた際、シムは、従来よりも多くの面積をもって第1ケースのシム圧接壁面に支持され、その分、第1ケースからはみ出る部分が少なくなる。これにより、シムの軸方向外側への拡開が抑制され、第2ケースをシムと干渉することなく第1ケースに組み付けることができる。
また、本発明は、前記第1ケースにおいて、前記シムの外周面を収容するシム収容壁と、前記ベアリングの外周面を収容するベアリング収容壁とが、前記ギヤの軸心方向から見て、前記ベアリングおよびシムを前記ギヤの軸心との直交方向から組み込み可能となるように、前記分割面において開口する略U字形状に形成されていることを特徴とする。
このケース構造によれば、シム収容壁とベアリング収容壁とを分割面において開口する略U字形状に形成したことにより、シムおよびベアリングをそれぞれスムースにシム収容壁、ベアリング収容壁に組み込むことができる。
また、本発明は、前記シムの外周面と前記シム収容壁の直線部との間に形成される隙間、および前記ベアリングの外周面と前記ベアリング収容壁の直線部との間に形成される隙間が、前記二分割されたケース内に充填された潤滑油の油路を構成することを特徴とする。
このケース構造によれば、ベアリングの外周面側に潤滑油の油路が形成されるため、ベアリングへの潤滑油の供給に有利な構造となる。
また、本発明は、前記回転体がデフケースであり、前記二分割されたケースが終減速装置のケースであることを特徴とする。
このケース構造によれば、終減速装置の組み付け工程の簡略化、迅速化を図ることができる。
また、本発明は、前記回転体が、その内部が中空状に形成されたリングギヤシャフトであり、前記二分割されたケースが、前輪と後輪とに動力を分配する四輪駆動用副変速装置のケースであることを特徴とする。
このケース構造によれば、四輪駆動用副変速装置の組み付け工程の簡略化、迅速化を図ることができる。
また、本発明は、以上の動力伝達装置のケース構造を用い、前記第1ケースに前記ギヤと前記回転体と前記ベアリングと前記シムとを組み付け、次いで、前記第2ケースと前記第1ケースとをボルトにより締結することを特徴とする。
この組み付け方法によれば、シムを第1ケースに組み付けた際、シムは、従来よりも多くの面積をもって第1ケースのシム圧接壁に支持され、その分、第1ケースからはみ出る部分が少なくなる。これにより、シムの軸方向外側への拡開が抑制され、第2ケースをシムと干渉することなく第1ケースに組み付けることができる。
(1)ギヤ、ベアリング等を一方のケースに組み付けてから他方のケースを組み付けるケースの組み付け工程において、シムの拡開を防止するための治具を要することがなく、その治具の取り付け作業が不要となる分、組み付け工程が迅速化される。
(2)ギヤ、ベアリング等を一方のケースに組み付けてから他方のケースを組み付けるケースの組み付け工程において、シムの拡開に起因するシムの変形や損傷を防止でき、再組み立て作業を行うことがなくなる。
本発明の第1実施形態に係る図面であり、終減速装置の平断面図である。 図1におけるシム圧接壁周りの拡大図である。 図1におけるA矢視図である。 図1におけるB−B断面図である。 図1におけるB−B断面部において、(a)はシムを図示した場合、(b)はベアリングを図示した場合の説明図である。 図1におけるB−B断面部における組付け時の作用を示す説明図である。 本発明の第2実施形態に係る図面であり、四輪駆動用副変速装置の平面図である。 図7におけるC矢視図である。 図8におけるD矢視図である。 図8におけるE−E断面図である。 図9におけるF−F断面図である。 図10の部分拡大図である。 図12におけるG−G断面図である。 図12におけるG−G断面部において、(a)はシムを図示した場合、(b)はベアリングを図示した場合の説明図である。 図12におけるG−G断面部における組付け時の作用を示す説明図である。 従来の動力伝達装置のケース構造において、ケースの組み付け手順を示す平断面図である。
「第1実施形態」
図1ないし図6を参照して第1実施形態を説明する。第1実施形態は、本発明を後輪駆動用の終減速装置に適用した形態である。
図1において、動力伝達装置である終減速装置1は、ドライブピニオンシャフト2と、ドライブピニオンシャフト2の後端に形成されるドライブピニオンギヤ3と、ドライブピニオンギヤ3に直交に噛合するリングギヤ(請求項に記載の「ギヤ」に相当)4と、リングギヤ4と一体に回転する回転体としてのデフケース5と、デフケース5を軸方向(リングギヤ4の軸心Oに沿う方向)の両端で支持するベアリング6,6と、該ベアリング6,6の外側面6Dに予圧をかけるシム7,7と、以上の構成要素を内蔵するケース8と、を備えて構成される。
符号41は粘性継手を示す。粘性継手41は、前輪の回転に伴って回転するプロペラシャフト(図示せず)に連結したアウターハウジング42と、アウターハウジング42の内部に同軸上に配され、ドライブピニオンシャフト2にスプライン結合により連結したインナーハブ43と、アウターハウジング42と一体に回転するアウタープレート44と、インナーハブ43と一体に回転するインナープレート45とを備える。
ドライブピニオンシャフト2の前端周りはインナーハブ43の前端よりも突出し、この突出部にロックナット47が螺合される。アウターハウジング42の前端寄りの内径部は、インナーハブ43の外周と摺接する程度の小内径部として形成され、このアウターハウジング42の小内径部とインナーハブ43の外周との間にベアリング48およびシール部材49が介設される。
アウターハウジング42の後端寄りの内径部は大内径部として形成され、この大内径部とインナーハブ43との間に環状の作動室46が形成される。アウターハウジング42の後端寄りには作動室46の後側を塞ぐようにエンドカバー50が取り付けられる。作動室46には、アウターハウジング42の内周面にスプライン結合した前記アウタープレート44と、インナーハブ43の外周面にスプライン結合した前記インナープレート45とが前後方向に交互に積層された状態で収容される。作動室46には粘性流体としてシリコンオイルが封入され、アウタープレート44とインナープレート45との間に回転数差が生じたときに、両プレート間のシリコンオイルにせん断力が生じることでアウタープレート44とインナープレート45との間で、すなわちプロペラシャフトからドライブピニオンシャフト2に動力が伝達される。
「デフケース5(回転体)、リングギヤ4」
デフケース5は、ギヤ収納室9を構成して軸心O回りに回転する略球殻形状のシェル部10と、シェル部10の左右方向両端に形成され、軸心Oを中心に円筒形状をなす一対のボス部11とを備えた形状からなる。ギヤ収納室9には、軸心Oとの直交面に沿うようにピニオンシャフト12が配される。ピニオンシャフト12は、その両端がシェル部10に形成されたシャフト取付孔13に差し込まれてシェル部10と一体化される。
ピニオンシャフト12の両端寄りにはピニオンギヤ14がピニオンシャフト12に対し回転自在に取り付けられる。各ボス部11には図示しないドライブシャフトが挿入され、ギヤ収納室9において、ドライブシャフトの端部にスプライン結合によりドライブシャフトと一体回転かつ軸心Oに沿って摺動可能に取り付けられたサイドギヤ15がピニオンギヤ14に噛合する。サイドギヤ15の背面とギヤ収納室9の内面との間にはスラストワッシャ16が介設される。ボス部11の内周面には、ドライブシャフトが前進回転方向に回転したときにドライブシャフトの表面上の潤滑油をギヤ収納室9側に導くための螺旋溝17が形成されている。
デフケース5のシェル部10の軸心O方向一方寄りには、デフケース5と一体となって軸心O回りに回転するリングギヤ4が取り付けられている。具体的には、シェル部10の軸心O方向一方寄りには径外方向に延設するフランジ部18が形成され、このフランジ部18にリングギヤ4がボルト19により締結固定される。
「ケース8」
ケース8は、軸心Oと平行な面を分割面として二分割に構成されている。従来、軸心Oと平行な面を分割面とした動力伝達装置のケースにおいては、分割面が軸心Oを通るように形成されていたのに対し、本発明のケース8は、分割面が、軸心Oを通ることなく、軸心Oからベアリング6の外径の範囲内でオフセットした位置に配されている。
分割面が軸心Oからオフセットした位置に配されることにより、ケース8は、分割面よりもケース内部に軸心Oを含むように形成されたケースと、軸心Oを含まない、つまりケース外部に軸心Oが位置するように形成されたケースとに分割されることとなる。以降、前者のケースを第1ケース21、後者のケースを第2ケース22として詳細に説明する。ケース8の分割面(図1および図3に示す第1ケース21の分割面23および第2ケース22の分割面24を指す)は、リングギヤ4の軸心Oからオフセット寸法Sだけ離れて位置する。オフセット寸法Sは、ベアリング6(外輪6B)の外径の範囲内の寸法、つまり、「0<オフセット寸法S≦ベアリング6(外輪6B)の外径の半径寸法」となる寸法である。
本実施形態では、図3からも判るように、分割面23,24は鉛直方向に沿う面として形成されており、軸心Oよりも車両後方側に位置している。オフセット寸法Sとは、勿論、軸心Oから分割面23,24までの分割面23,24との直交線分の寸法である。したがって、本実施形態のように分割面23,24が鉛直方向に沿う面として形成されている場合、オフセット寸法Sは、水平方向に沿った線分の寸法となる。そして、本発明においては、分割面23,24は鉛直方向に沿う面に限定されず、鉛直方向に対し傾斜した面として形成されていてもよく、この場合のオフセット寸法Sとは、傾斜した分割面23,24と直交する傾斜方向に沿った線分の寸法となる。
「第1ケース21」
図1において、第1ケース21は、前記したようにケース内部に軸心Oを含むように形成されたケースであり、本実施形態では車両前後方向に分割されたケース8の内で車両前寄りに配されたケースとしている。
第1ケース21は、後端および左右両端の一部が開口形成されたケース後部21Aと、ケース後部21Aの前部から前方に延設された略筒形状のケース前部21Bとを備えた形状からなる。ケース後部21Aの後端の開口周りの縁が分割面23を構成する。図3において、分割面23の縁部周りにはフランジ21Cが形成され、このフランジ21Cにはケース締結用のボルト40を螺合させるボルト孔(図示せず)が形成されている。ケース後部21A内には、図1に示すように、主にドライブピニオンギヤ3と、リングギヤ4、デフケース5、ベアリング6、シム7の各々前寄り半分強の部位とが収められる。
ケース前部21B内には、ドライブピニオンシャフト2の後端周りが回転自在に軸支される。具体的には、ドライブピニオンシャフト2は前後一対のベアリング25,26を介してケース前部21Bの内壁に支持される。ドライブピニオンギヤ3はハイポイドギヤであり、その噛合い反力がドライブピニオンシャフト2の軸方向に作用するため、その軸方向荷重に対応するべくベアリング25,26はテーパローラベアリングから構成される。ベアリング25,26間にはコラプサブルスペーサ27が介設されており、ロックナット47を適当なトルクで締め付けることによりコラプサブルスペーサ27をドライブピニオンシャフト2の軸方向に変形させ、その反力によりテーパローラベアリングであるベアリング25,26の予圧を調整する。
ケース後部21Aには、デフケース5のボス部11,11を回転自在に軸支する左右一対のベアリング6,6が取り付けられる。リングギヤ4はハイポイドギヤであり、その噛合い反力が軸心Oに沿う方向に作用するため、その軸方向荷重に対応するべくベアリング6,6はテーパローラベアリングから構成される。図2に示すように、ベアリング6は、内輪6Aと外輪6Bとローラ6Cとを備え、内輪6Aがデフケース5のボス部11に取り付けられる。外輪6B、すなわちベアリング6の外周面は、ケース後部21Aの内壁の一部として形成されたベアリング収容壁28に接面して収容される。
テーパローラベアリングからなるベアリング6に予圧をかけるべく、各ベアリング6の軸方向外側にはシム7,7が設けられる。シム7は、その外径寸法がベアリング6の外径寸法と略同一の金属製のリング状の部材であり、その内側面がベアリング6の外輪6Bの外側面6Dに接面する。シム7の外径はベアリング6の外径と略同一であり、シム7の外周面を収容するシム収容壁29は、前記ベアリング収容壁28と面一に連なるように形成されている。
図4に示すように、第1ケース21のケース後部21Aの分割面23は、軸心Oよりも後方にオフセット寸法Sだけオフセットされていることから、もしベアリング収容壁28およびシム収容壁29を分割面23に至るまでの全範囲において円弧状に形成すると、つまり略C字形状に形成すると、分割面23におけるベアリング収容壁28およびシム収容壁29の上下方向の開口寸法がベアリング6およびシム7の外径寸法よりも小さくなってしまい、ベアリング6およびシム7を軸心Oとの直交方向から第1ケース21に組み込むことができないという不都合が生じる。
この問題に対し、本実施形態では、ベアリング収容壁28とシム収容壁29とが、軸心Oの方向から見て、ベアリング6およびシム7を軸心Oとの直交方向から組み込み可能となるように、分割面23において開口する略U字形状に形成されている。すなわち、ベアリング収容壁28およびシム収容壁29は、軸心Oを通る鉛直面Vまでの範囲は、従来と同様にベアリング6およびシム7の外径曲率寸法に合わせた円弧状の曲面として形成され、鉛直面Vから分割面23に至る範囲は水平方向に延設する上平面部32,下平面部33として形成される。勿論、上平面部32と下平面部33との対向間隔はベアリング6およびシム7を軸心Oとの直交方向から挿入可能とする寸法である。これにより、ベアリング6およびシム7を軸心Oとの直交方向からベアリング収容壁28,シム収容壁29に挿入して組み込むことができる。
図1に戻り、ケース後部21Aには、シム7,7の前寄りの各外側面に当接し、シム7,7を介してベアリング6に予圧をかけるシム圧接壁面30,31が形成されている。シム圧接壁面30,31は軸心Oとの直交面に沿って形成された略半環状の壁面である。従来の構造では、図4において、ケース後部21Aの分割面23が軸心Oを通る鉛直面Vに位置していたため、シム圧接壁面30の形成範囲も鉛直面Vまでの半円の範囲のみであったが、本発明ではシム圧接壁面30は鉛直面Vよりもさらにオフセット寸法Sだけ後方に位置した分割面23まで延長して形成され、逆にその分、後記する第2ケース22のシム圧接壁面37,38の形成範囲は半円に満たず狭くなっている。シム圧接壁面31についても同様である。つまり、第1ケース21のシム圧接壁面30,31の方が第2ケース22のシム圧接壁面37、38よりも面積が大きく形成されている。シム圧接壁面30,31の各内縁(軸心O回りの円周方向に沿って形成された内側の縁)34は分割面23に至る全範囲において円弧状に形成されている。
「第2ケース22」
図1において、第2ケース22は、前記したように軸心Oを含まない、つまりケース外部に軸心Oが位置するように形成されたケースであり、本実施形態では車両前後方向に分割されたケース8の内で車両後寄りに配されたケースである。第2ケース22は、その前端および左右両端の一部が開口形成されて略半筒形状を呈している。第2ケース22の前端の開口周りの縁が分割面24を構成する。図3において、分割面24の縁部周りにはフランジ22Aが形成され、このフランジ22Aにはケース締結用のボルト40を通すボルト孔(図示せず)が形成されている。第2ケース22内には、図1に示すように、リングギヤ4、デフケース5、ベアリング6、シム7の各々後寄り半分弱の部位が収められる。
第2ケース22には、ベアリング収容壁35およびシム収容壁36が面一に連なって形成されており、ベアリング6の後寄りの外周面がベアリング収容壁35に接面して収容される。シム7の後寄りの外周面もシム収容壁36に収容される。ベアリング収容壁35およびシム収容壁36は、分割面24に至るまでの全範囲において、軸心Oの方向から見て、ベアリング6およびシム7の外径曲率寸法に合わせた円弧状の曲面として形成される。
第2ケース22には、シム7,7の後寄りの各外側面に当接し、シム7,7を介してベアリング6,6に予圧をかけるシム圧接壁面37,38が形成されている。図4に示すように、シム圧接壁面37は軸心Oとの直交面に沿って形成された略半環状の壁面である。シム圧接壁面38も同様である。分割面24が軸心Oを通る鉛直面Vよりも後方にオフセットされた位置にあるため、シム圧接壁面37,38の形成範囲は半円に満たず、その面積は第1ケース21のシム圧接壁面30,31の面積よりも小さい。シム圧接壁面37,38の各内縁(軸心O回りの円周方向に沿って形成された内側の縁)39は分割面24に至る全範囲において円弧状に形成されている。
「第1ケース21と第2ケース22の組み付け手順」
図1において、第1ケース21のケース前部21Bにベアリング25,26、コラプサブルスペーサ27、ドライブピニオンシャフト2等を組み付け、ロックナット47を適当なトルクで締め付けることによりコラプサブルスペーサ27をドライブピニオンシャフト2の軸方向に変形させ、その反力によりテーパローラベアリングであるベアリング25,26の予圧を調整する。
次いで、第1ケース21のケース後部21Aにリングギヤ4が取り付けられたデフケース5、ベアリング6、シム7等を組み込み、リングギヤ4とドライブピニオンギヤ3とを噛合させる。図4における上平面部32および下平面部33によって、ベアリング収容壁28およびシム収容壁29は軸心O方向から見てベアリング6、シム7を挿通可能とする程度の略U字形状に形成されているため、ベアリング6およびシム7は何ら不都合なくベアリング収容壁28、シム収容壁29に組み込まれる。
図1において、軸心O方向におけるシム圧接壁面30,31間の寸法はきつめに設定されており、組み込んだときに、ベアリング6,6にはシム7,7を介してシム圧接壁面30,31から予圧がかかる。このとき、従来であれば、前記予圧等に起因して、第1ケース21からはみ出た後寄り半分の部分のベアリング6の外輪6Bがベアリングテーパに沿って軸方向外側に滑り、第1ケース21からはみ出た後寄り半分の部分のシム7が軸方向外側に拡開するおそれがあった。
これに対し本発明では図6に示すように、シム圧接壁面30は従来の分割面である鉛直面Vよりもさらにオフセット寸法Sだけ後方に位置した分割面23まで延長して形成されているため、シム7は従来よりも多くの面積をもってシム圧接壁面30に支持されることとなり、その分、第1ケース21からはみ出る部分が少なくなる。シム圧接壁面31側のシム7についても同様である。これにより、シム7の軸方向外側への拡開が抑制される。したがって、第2ケース22を第1ケース21に対して、第1ケース21からはみ出たシム7と第2ケース22のシム圧接壁面37の内縁39との干渉が生ずることなく、スムースに組み付けることができる。組み付け後、分割面23,24に沿って適宜に複数配置されたボルト孔にボルト40(図3)を通して両ケースを締結する。その後、オイルシール(図示せず)等を組み付け、一体化された第1ケース21および第2ケース22内に潤滑油を充填して作業を終了する。
ここで、前記充填された潤滑油は第1ケース21および第2ケース22の底部に貯留される。貯留された潤滑油は主に回転時のリングギヤ4によって上方に掻き揚げられて飛散し、リングギヤ4とドライブピニオンギヤ3との噛合部、ピニオンギヤ14とサイドギヤ15との噛合部、ベアリング6,6等、潤滑油を要する部位に供給される。潤滑油はこれらの部位に飛沫として直接供給される以外にも第1ケース21、第2ケースの内壁を伝って供給される。
本実施形態では図5(a)に示すように、シム収容壁29の上平面部32、下平面部33の存在により、シム7の外周面と上平面部32,下平面部33との間にそれぞれ隙間T1,T2が形成される。同様に、図5(b)に示すように、ベアリング収容壁28の上平面部32、下平面部33の存在により、ベアリング6の外周面と上平面部32,下平面部33との間にもそれぞれ隙間T1,T2が形成される。これら隙間T1,T2は潤滑油の油路を構成する。図5(a),(b)の各隙間T1は互いに連通して、一端側が第1ケース21,第2ケース22内の空間に臨む。他端側はシム圧接壁面30,31により閉塞されているものの、シム7と第1ケース21の内壁との接面部に滲み出てベアリング6のベアリング6の軸方向外側の側面部に供給される。隙間T2についても同様である。
本発明におけるオフセット寸法Sは前記したように「0<オフセット寸法S≦ベアリング6(外輪6B)の外径の半径寸法」となる寸法であるが、オフセット寸法Sを大きくとれば、その分隙間T1,T2も大きくなり、潤滑油の油路や油溜まりの機能として有利となる。しかし、隙間T1,T2が大きくなると、その分、ベアリング収容壁28およびシム収容壁29によるベアリング6およびシム7の外周面の支持範囲が小さくなる。したがって、隙間T1,T2による潤滑油の油路や油溜まりの機能とベアリング収容壁28およびシム収容壁29によるベアリング6およびシム7の外周面の支持機能との両立の点から、オフセット寸法Sとしては、「ベアリング6(外輪6B)の外径の半径寸法」をRとすると、「0<オフセット寸法S≦R/2」の範囲に設定することが好ましく、「R/4<オフセット寸法S≦R/2」の範囲に設定することがより好ましい。
「第2実施形態」
図7ないし図15を参照して第2実施形態を説明する。第2実施形態は、本発明を四輪駆動用の副変速装置に適用した形態である。当該装置を搭載する四輪駆動車は前輪駆動車をベースに四輪駆動化されたものであり、図7〜9に示す副変速装置51は図示しないトランスアクスル(変速機)に連結され、前輪を駆動するために出力された動力を後輪にも出力するべく動力を分配する装置である。
副変速装置51は、図10に示すように、リングギヤ(請求項に記載の「ギヤ」に相当)52と、リングギヤ52と一体に回転する回転体としてのリングギヤシャフト53と、リングギヤシャフト53を軸方向(リングギヤ52の軸心Oに沿う方向)の両端で支持するベアリング54,54と、該ベアリング54,54の外側面54Dに予圧をかけるシム55,55と、リングギヤ52に直交に噛合するドライブピニオンギヤ56と、ドライブピニオンギヤ56を前端に形成し、後端側が図示しないプロペラシャフトに連結されるドライブピニオンシャフト57と、以上の構成要素を内蔵するケース58と、を備えて構成される。
「リングギヤシャフト53(回転体)、リングギヤ52」
リングギヤシャフト53は、車幅方向に延びて左右両端が開口し、内部が中空に形成された略円筒状の部材であり、動力を伝達する軸である。リングギヤシャフト53は、その中間部分において右側に向かうにつれて徐々に拡径した中間部59と、中間部59の左側に形成されたボス部60と、中間部59の右側に形成されたボス部61と、を備えた形状からなる。リングギヤシャフト53の左側には、トランスアクスルの内部に設けられた図示しないフロントデフ装置が配置されており、このフロントデフ装置から右前輪に向かって延びる図示しない右前輪用駆動軸がリングギヤシャフト53の内部を挿通している。
左側のボス部60の左端周りはケース58から突出し、その突出部位の外周面にはスプライン軸58Aが形成されている。当該スプライン軸58Aは前記フロントデフ装置のデフケースに形成された孔スプラインとスプライン結合している。これによりリングギヤシャフト53はフロントデフ装置のデフケースと一体に回転し、リングギヤシャフト53に一体に取り付けられたリングギヤ52とドライブピニオンギヤ56との噛合によりドライブピニオンシャフト57が回転して動力がプロペラシャフトを介して後輪に伝達される。
リングギヤシャフト53の中間部59の右寄りには、リングギヤシャフト53と一体となって軸心O回りに回転するリングギヤ52が取り付けられている。具体的には、中間部59の右寄りには径外方向に延設するフランジ部62が形成され、このフランジ部62にリングギヤ52がボルト63により締結固定される。
「ケース58」
ケース58は、軸心Oと平行な面を分割面として二分割に構成されており、その分割面は、軸心Oを通ることなく、軸心Oからベアリング6の外径の範囲内でオフセットした位置に配されている。
分割面が軸心Oからオフセットした位置に配されることにより、ケース58は、ケース内部に軸心Oを含むように形成されたケースと、軸心Oを含まない、つまりケース外部に軸心Oが位置するように形成されたケースとに分割される。以降、前者のケースを第1ケース71、後者のケースを第2ケース72として詳細に説明する。ケース58の分割面(第1ケース71の分割面73および第2ケース72の分割面74を指す)は、リングギヤ52の軸心Oからオフセット寸法Sだけ離れて位置する。オフセット寸法Sは、ベアリング54(外輪54B)の外径の範囲内の寸法、つまり、「0<オフセット寸法S≦ベアリング54(外輪54B)の外径の半径寸法」となる寸法である。
本実施形態では、図8からも判るように、分割面73,74は鉛直方向に沿う面として形成されており、軸心Oよりも車両前方側に位置している。オフセット寸法Sとは、軸心Oから分割面73,74までの分割面73,74との直交線分の寸法である。また、本発明においては、分割面73,74は鉛直方向に沿う面に限定されず、鉛直方向に対し傾斜した面として形成されていてもよく、この場合のオフセット寸法Sとは、傾斜した分割面73,74と直交する傾斜方向に沿った線分の寸法となる。
「第1ケース71」
第1ケース71は、前記したようにケース内部に軸心Oが通るように形成されたケースであり、本実施形態では車両前後方向に分割されたケース8の内で車両後寄りに配されたケースとしている。
図10において、第1ケース71は、前端および左右両端の一部が開口形成された略半球殻状を呈するケース前部71Aと、ケース前部71Aの後部上寄りから後方に延設された略筒形状のケース後部71Bとを備えた形状からなる。ケース前部71Aの前端の開口周りの縁が分割面73を構成する。ケース前部71A内には、主にドライブピニオンギヤ56と、リングギヤ52、リングギヤシャフト53、ベアリング54、シム55の各々後寄り半分強の部位とが収められる。
ケース後部71B内にはドライブピニオンシャフト57が回転自在に軸支される。具体的には、ケース後部71Bの後端には略筒形状の第3ケース75がボルト76により締結固定されており、ドライブピニオンシャフト57の前寄り約2/3程度の長さ分がケース後部71B内に収容され、残りが第3ケース75内に収容されている。ケース後部71Bの前寄り内壁にはベアリング77が配されるとともに、ケース後部71Bの後端内壁と第3ケース75の前端内壁とにかけてベアリング78が配されており、これらベアリング77,78を介してドライブピニオンシャフト57が回転自在に軸支される。ドライブピニオンギヤ56はハイポイドギヤであり、その噛合い反力がドライブピニオンシャフト57の軸方向に作用するため、その軸方向荷重に対応するべくベアリング77,78はテーパローラベアリングから構成される。
図12に示すように、ケース前部71Aには、リングギヤシャフト53のボス部60,61を回転自在に軸支する左右一対のベアリング54,54が取り付けられる。リングギヤ52はハイポイドギヤであり、その噛合い反力が軸心Oに沿う方向に作用するため、その軸方向荷重に対応するべくベアリング54,54はテーパローラベアリングから構成される。ベアリング54は、内輪54Aと外輪54Bとローラ54Cとを備え、内輪54Aがボス部60,61に取り付けられる。外輪54B、すなわちベアリング54の外周面は、ケース前部71Aの内壁の一部として形成されたベアリング収容壁79に接面して収容される。
テーパローラベアリングからなるベアリング54に予圧をかけるべく、各ベアリング54の軸方向外側にはシム55,55が設けられる。シム55は、その外径寸法がベアリング54の外径寸法と略同一の金属製のリング状の部材であり、その内側面がベアリング54の外輪54Bの外側面54Dに接面する。シム55の外径はベアリング54の外径と略同一であり、シム55の外周面を収容するシム収容壁80は前記ベアリング収容壁79と面一に連なるように形成されている。
図13に示すように、第1ケース71のケース前部71Aの分割面73は、軸心Oよりも前方にオフセット寸法Sだけオフセットされていることから、もしベアリング収容壁79およびシム収容壁80を分割面73に至るまでの全範囲において円弧状に形成すると、つまり略C字形状に形成すると、分割面73におけるベアリング収容壁79およびシム収容壁80の上下方向の開口寸法がベアリング54およびシム55の外径寸法よりも小さくなってしまい、ベアリング54およびシム55を軸心Oとの直交方向から第1ケース71に組み込むことができないという不都合が生じる。
この問題に対し、本実施形態では、ベアリング収容壁79とシム収容壁80とが、軸心Oの方向から見て、ベアリング54およびシム55を軸心Oとの直交方向から組み込み可能となるように、分割面73において開口する略U字形状に形成されている。すなわち、ベアリング収容壁79およびシム収容壁80は、軸心Oを通る鉛直面Vまでの範囲は、従来と同様にベアリング54およびシム55の外径曲率寸法に合わせた円弧状の曲面として形成され、鉛直面Vから分割面73に至る範囲は水平方向に延設する上平面部81,下平面部82として形成される。勿論、上平面部81と下平面部82との対向間隔はベアリング54およびシム55を軸心Oとの直交方向から挿入可能とする寸法である。これにより、ベアリング54およびシム55を軸心Oとの直交方向からベアリング収容壁79,シム収容壁80に挿入して組み込むことができる。
図12に戻り、ケース前部71Aには、シム55,55の後寄りの各外側面に当接し、シム55,55を介してベアリング54に予圧をかけるシム圧接壁面83,84が形成されている。シム圧接壁面83,84は軸心Oとの直交面に沿って形成された略半環状の壁面である。従来の構造では、図13において、ケース前部71Aの分割面73が軸心Oを通る鉛直面Vに位置していたため、シム圧接壁面83の形成範囲も鉛直面Vまでの半円の範囲のみであったが、本発明ではシム圧接壁面83は鉛直面Vよりもさらにオフセット寸法Sだけ前方に位置した分割面73まで延長して形成され、逆にその分、後記する第2ケース72のシム圧接壁面88,89の形成範囲は半円に満たず狭くなっている。シム圧接壁面84についても同様である。つまり、第1ケース71のシム圧接壁面83,84の方が第2ケース72のシム圧接壁面88、89よりも面積が大きく形成されている。シム圧接壁面83,84の各内縁(軸心O回りの円周方向に沿って形成された内側の縁)85は分割面73に至る全範囲において円弧状に形成されている。
図9において、ケース前部71Aの左右方向一端、本実施形態では左端には、副変速装置51のケース58を図示しないトランスアクスルのケースに一体に取り付けるためのフランジ71Cが形成されている。フランジ71Cは軸心Oとの直交面に沿って延設されており、図8、図11からも判るようにケース前部71Aの上下に張り出している。上側のフランジ71Cには2箇所、下側のフランジ71Cには3箇所のボルト挿通孔71Dが形成されており、これらボルト挿通孔71Dに通したボルトにより副変速装置51のケース58がトランスアクスルのケースに締結固定される。下側のフランジ71Cの一部は分割面73よりも第2ケース72側に延設されており、その延設部位にボルト挿通孔71Dの一つが形成されている。下側のフランジ71Cには図8、図9に示すように位置決めピン71Fが突設されている。この位置決めピン71Fは副変速装置51のケース58をトランスアクスルのケースに取り付ける際に、トランスアクスルのケース側に形成された位置決め穴に挿通される。
「第2ケース72」
図10において、第2ケース72は、前記したようにケース外部に軸心Oが位置するように形成されたケースであり、本実施形態では車両前後方向に分割されたケース58の内で車両前寄りに配されたケースである。第2ケース72は、その後端および左右両端の一部が開口形成されて略半筒形状を呈している。第2ケース72の後端の開口周りの縁が分割面74を構成する。第2ケース72内には、リングギヤ52、リングギヤシャフト53、ベアリング54、シム55の各々前寄り半分弱の部位が収められる。
第2ケース72には、図12に示すように、ベアリング収容壁86およびシム収容壁87が面一に連なって形成されており、ベアリング54の後寄りの外周面がベアリング収容壁86に接面して収容される。シム55の後寄りの外周面もシム収容壁87に収容される。ベアリング収容壁86およびシム収容壁87は、分割面74に至るまでの全範囲において、軸心Oの方向から見て、ベアリング54およびシム55の外径曲率寸法に合わせた円弧状の曲面として形成される。
第2ケース72には、シム55,55の前寄りの各外側面に当接し、シム55,55を介してベアリング54,54に予圧をかけるシム圧接壁面88,89が形成されている。図13に示すように、シム圧接壁面88は軸心Oとの直交面に沿って形成された略半環状の壁面である。シム圧接壁面89も同様である。分割面74が軸心Oを通る鉛直面Vよりも前方にオフセットされた位置にあるため、シム圧接壁面88,89の形成範囲は半円に満たず、その面積は第1ケース71のシム圧接壁面83,84の面積よりも小さい。シム圧接壁面88,89の各内縁(軸心O回りの円周方向に沿って形成された内側の縁)90は分割面74に至る全範囲において円弧状に形成されている。
「第1ケース71と第2ケース72の組み付け手順」
先ず、図10、図11において、第1ケース71と第3ケースとによりベアリング77,78、ドライブピニオンシャフト57等を組み付ける。次いで、第1ケース71のケース前部71Aにリングギヤ52が取り付けられたリングギヤシャフト53、ベアリング54、シム55等を組み込み、リングギヤ52とドライブピニオンギヤ56とを噛合させる。図13における上平面部81および下平面部82によって、ベアリング収容壁79およびシム収容壁80は軸心O方向から見てベアリング54、シム55を挿通可能とする程度の略U字形状に形成されているため、ベアリング54およびシム55は何ら不都合なくベアリング収容壁79、シム収容壁80に組み込まれる。
図12において、軸心O方向におけるシム圧接壁面83,84間の寸法はきつめに設定されており、組み込んだときに、ベアリング54,54にはシム55,55を介してシム圧接壁83,84から予圧がかかる。このとき、従来であれば、前記予圧等に起因して、第1ケース71からはみ出た前寄り半分の部分のベアリング54の外輪54Bがベアリングテーパに沿って軸方向外側に滑り、第1ケース71からはみ出た前寄り半分の部分のシム55が軸方向外側に拡開するおそれがあった。
これに対し本発明では図15に示すように、シム圧接壁面83は従来の分割面である鉛直面Vよりもさらにオフセット寸法Sだけ前方に位置した分割面73まで延長して形成されているため、シム55は従来よりも多くの面積をもってシム圧接壁面83に支持されることとなり、その分、第1ケース71からはみ出る部分が少なくなる。シム圧接壁面84側のシム55についても同様である。これにより、シム55の軸方向外側への拡開が抑制される。したがって、第2ケース72を第1ケース71に対して、第1ケース71からはみ出たシム55と第2ケース72のシム圧接壁面88の内縁90との干渉が生ずることなく、スムースに組み付けることができる。組み付け後、分割面73,74に沿って適宜に複数配置されたボルト孔にボルト91(図7)を通して両ケースを締結する。その後、オイルシール92,93等を組み付け、一体化された第1ケース71および第2ケース72内に潤滑油を充填して作業を終了する。
充填された潤滑油は第1ケース71および第2ケース72の底部に貯留される。貯留された潤滑油は主に回転時のリングギヤ52によって上方に掻き揚げられて飛散し、リングギヤ52とドライブピニオンギヤ56との噛合部、ベアリング54,54等、潤滑油を要する部位に供給される。
第2実施形態においても、図14(a)に示すように、シム収容壁80の上平面部81、下平面部82の存在により、シム55の外周面と上平面部81,下平面部82との間にそれぞれ隙間T1,T2が形成される。同様に、図14(b)に示すように、ベアリング収容壁79の上平面部81、下平面部82の存在により、ベアリング54の外周面と上平面部81,下平面部82との間にもそれぞれ隙間T1,T2が形成される。これら隙間T1,T2も第1実施形態と同様に潤滑油の油路を構成するものである。
以上、本発明の好適な実施形態を説明した。説明した実施形態は、後輪駆動用の終減速装置および四輪駆動用の副変速装置に適用した例であるが、前輪を駆動する終減速装置においても本発明は適用可能である。
また、ケース8,58の分割面23,24,73,74は、装置の組立手順、周辺装置との隙間関係を考慮し、ドライブピニオンギヤの軸心に対して直角に限定せず傾斜を持たせても良いし、リングギヤの軸心から前後のどちらにオフセットしてもよい。
1 終減速装置(動力伝達装置)
4 リングギヤ(ギヤ)
5 デフケース(回転体)
6 ベアリング
7 シム
8 ケース
21 第1ケース
22 第2ケース
23 (第1ケースの)分割面
24 (第2ケースの)分割面
28 (第1ケースの)ベアリング収容壁
29 (第1ケースの)シム収容壁
30,31 (第1ケースの)シム圧接壁面
35 (第2ケースの)ベアリング収容壁
36 (第2ケースの)シム収容壁
37,38 (第2ケースの)シム圧接壁面
41 粘性継手
51 副変速装置(動力伝達装置)
52 リングギヤ(ギヤ)
53 リングギヤシャフト(回転体)
54 ベアリング
55 シム
58 ケース
71 第1ケース
72 第2ケース
73 (第1ケースの)分割面
74 (第2ケースの)分割面
79 (第1ケースの)ベアリング収容壁
80 (第1ケースの)シム収容壁
83,84 (第1ケースの)シム圧接壁面
86 (第2ケースの)ベアリング収容壁
87 (第2ケースの)シム収容壁
88,89 (第2ケースの)シム圧接壁面
S オフセット寸法
T1,T2 隙間

Claims (6)

  1. ギヤと、該ギヤと一体に回転する回転体と、該回転体を軸方向の両端で支持するベアリングと、該ベアリングの外側面に予圧をかけるシムと、を内蔵し、前記ギヤの軸心と平行な面を分割面として二分割されたケースを備えた動力伝達装置において、
    前記ケースは、前記ギヤの軸心から前記ベアリングの外径の範囲内でオフセットした分割面により、前記ギヤの軸心を含む第1ケースと、前記ギヤの軸心を含まない第2ケースとに分割構成され、
    前記シムの外側面に当接するケースのシム圧接壁面に関し、前記第1ケースの方が前記第2ケースよりも面積が大きく形成されていることを特徴とする動力伝達装置のケース構造。
  2. 前記第1ケースにおいて、前記シムの外周面を収容するシム収容壁と、前記ベアリングの外周面を収容するベアリング収容壁とが、前記ギヤの軸心方向から見て、前記ベアリングおよびシムを前記ギヤの軸心との直交方向から組み込み可能となるように、前記分割面において開口する略U字形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置のケース構造。
  3. 前記シムの外周面と前記シム収容壁の直線部との間に形成される隙間、および前記ベアリングの外周面と前記ベアリング収容壁の直線部との間に形成される隙間が、前記二分割されたケース内に充填された潤滑油の油路を構成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の動力伝達装置のケース構造。
  4. 前記回転体がデフケースであり、前記二分割されたケースが終減速装置のケースであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の動力伝達装置のケース構造。
  5. 前記回転体が、その内部が中空状に形成されたリングギヤシャフトであり、前記二分割されたケースが、前輪と後輪とに動力を分配する四輪駆動用副変速装置のケースであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の動力伝達装置のケース構造。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の動力伝達装置のケース構造を用い、
    前記第1ケースに前記ギヤと前記回転体と前記ベアリングと前記シムとを組み付け、次いで、前記第2ケースと前記第1ケースとをボルトにより締結することを特徴とする動力伝達装置の組み付け方法。
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