JP5193011B2 - 冷凍サイクル - Google Patents
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Description
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、複数台の圧縮機を備える冷凍サイクルにおいて、各圧縮機内の潤滑油を一定量以上確保することができる冷凍サイクルを提供することを目的とする。
本発明の冷凍サイクルは、密閉ハウジングに接続され、蒸発器からの冷媒を低段側圧縮機構に供給する吸入配管と、密閉ハウジングに接続され、高段側圧縮機構で圧縮された冷媒を凝縮器に向けて吐出する吐出配管と、を備える。
また、本発明の冷凍サイクルは、複数の圧縮機に対応して複数のインジェクション回路が設けられ、このインジェクション回路は、冷媒回路から抽出される中間圧冷媒を対応する圧縮機の密閉ハウジング内に供給する。
本発明の冷凍サイクルは、複数の圧縮機を繋ぐ均油配管を備え、複数のインジェクション回路から供給される中間圧冷媒の流量を相違させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明の冷凍サイクルは、複数のインジェクション回路から供給される中間圧冷媒の流量を相違させることにより、複数の密閉ハウジング間に圧力差をつけて、偏った潤滑油が均油配管を通って移動して、複数の圧縮機の潤滑油量を平均化(均油化)する。
なお、均油配管を用いて均油化することは、例えば特許文献2に記載されているように知られているが、多段の圧縮機を用い、インジェクション回路を備えた冷凍サイクルについて、インジェクション回路を操作して均油化する手法について示唆を与えるものでない。
以下、本発明の第1実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。
図1に示すように、第1実施形態にかかる冷凍サイクル10は、並列に配置された3つの圧縮機20a、20b、20cと、凝縮器30と、膨張弁51、52と、蒸発器70とが順次接続されて冷媒回路が構成されている。圧縮機20a、20b、20cは、各々、1つの密閉ハウジング21a、21b、21cのキャビティ内に低段側圧縮機構としてのローリングピストン型圧縮機構22a、22b、22cと、高段側圧縮機構としてのスクロール型圧縮機構23a、23b、23cと2つの圧縮機構が収容された多段圧縮機である。多段圧縮機は、例えば特許文献2に開示されているように公知なので、ここでの詳しい説明は省略する。
圧縮機20aと圧縮機20bの間には均油配管29aが設けられており、また、圧縮機20aと圧縮機20cの間には均油配管29bが設けられている。均油配管29aと均油配管29bとが繋がれているので、圧縮機20a、20b、20cは、均油配管29aと均油配管29bにより、相互に連通され、潤滑油が相互に移動できる。
中間冷却器41aは冷媒配管25a1上に設けられ、膨張弁42aは冷媒配管25a2上に設けられる。冷媒配管25a2は、一端が冷媒配管25a1に繋がれ、他端が中間冷却器41aに繋がれる。中間冷却器41aと圧縮機20aとの間には、インジェクション配管25a3が設けられている。
中間冷却器41bは冷媒配管25から分岐された冷媒配管25b1上に設けられ、膨張弁42bは冷媒配管25b2上に設けられる。冷媒配管25b2は、一端が冷媒配管25b1に繋がれ、他端が中間冷却器41bに繋がれる。中間冷却器41bと圧縮機20bとの間には、インジェクション配管25b3が設けられている。
中間冷却器41cは冷媒配管25から分岐された冷媒配管25c1上に設けられ、膨張弁42cは冷媒配管25c2上に設けられる。冷媒配管25c2は、一端が冷媒配管25c1に繋がれ、他端が中間冷却器41cに繋がれる。中間冷却器41cと圧縮機20cとの間には、インジェクション配管25c3が設けられている。
アキュムレータ80は、蒸発器70から吐出される低圧の冷媒ガスを受け、液分(油を含む)を分離する。液分が分離されたガス冷媒が吸入配管27a、27b、27cを介して、圧縮機20a、20b、20cのローリングピストン型圧縮機構22a、22b、22cに吸入される。ローリングピストン型圧縮機構22a、22b、22cは、冷媒を直接吸入するため、アキュムレータ80で液分が除かれる。
アキュムレータ80で分離された油を含む液分は、油戻し管28a、28b、28cを介して、圧縮機20a、20b、20c底部の油溜まりに供給される。
圧縮機20aのローリングピストン型圧縮機構22aには、吸入配管27aを介して直接冷媒ガスが吸入される。この冷媒ガスは、ローリングピストン型圧縮機構22aの回転動作により、中間圧まで圧縮された後、ローリングピストン型圧縮機構22aの上方のキャビティに吐出される。これにより、このキャビティ内は中間圧雰囲気とされる。
中間圧の冷媒ガスは、高段側のスクロール型圧縮機構23aに吸い込まれる。スクロール型圧縮機構23aにおける公転旋回駆動により高圧状態まで圧縮され、吐出配管24aに向けて吐出される。
暖房または加熱時においては、ガスインジェクションによる中間圧冷媒が加わるため、冷媒循環量が増大され、その分暖房または加熱能力が向上される。
アキュムレータ80で分離されたガス冷媒は吸入配管27aを介して、圧縮機20aのローリングピストン型圧縮機構22aに吸入され、再び圧縮される。一方、アキュムレータ80で分離された油は、油戻し管28aを介して、圧縮機20a、20b、20cの底部の油溜まりに供給される。
コントローラ90は、冷凍サイクル10で通常運転が行なわれている間(図2 S101)、圧縮機20a、20b、20cの各々からの潤滑油の吐出量が制限範囲を超えるか否かを監視する(図2 S103)。この吐出量は、運転時間の積算等、公知の手法を採用することができる。
次に、コントローラ90は、均油運転を行なうよう、インジェクション回路40a、40b、40cの膨張弁42a、42b、42cの開度を指令する。以下、この開度の調整について、冷凍サイクル10が小負荷の場合、中負荷の場合を例にして説明する。
図3は、冷凍サイクル10の負荷(横軸)と能力(縦軸)の関係を示している。冷凍サイクル10は、小負荷の場合には圧縮機20a(♯20a)のみを運転する。同様に、中負荷の場合には圧縮機20aと圧縮機20b(♯20b)を運転し、大負荷の場合には全ての圧縮機20a、20b、20c(♯20c)を運転する。
圧縮機20aのみを運転している小負荷のときに、圧縮機20a、20b、20cにおける潤滑油の量が、仮に図4の「均油前」に示すとおりとする。つまり、圧縮機20a、20cの潤滑油量は均油レベル(圧縮機に最低限必要な潤滑油量)を超えているが、圧縮機20bの潤滑油量は均油レベル未満である。この場合、小負荷で圧縮機器内の油が確保されたままで冷凍サイクルが運転されるのであれば問題ないが、小負荷から中負荷以上に運転負荷が切り替えられるときに備えて各圧縮機(20a、20b、20c)の油を均一にするため、均油運転を行なう必要がある。
均油運転開始前は、膨張弁42aは所定の開度で開かれているが、膨張弁42b、42cは閉じられている。この状態で、圧縮機20a、20cの潤滑油量は均油レベルを超え、圧縮機20bの潤滑油量は均油レベル未満である(図4の均油前)。冷凍サイクル10は、圧縮機20aのみを運転させる小負荷運転を行っているので、圧縮機20aの潤滑油の量は少なすぎると圧縮機の故障、多すぎると潤滑油の吐出量の増加になるので、油は一定範囲内であることが望ましい。一方、圧縮機20b、20cについては、後に行われるかもしれない中・大負荷運転に備えるために、均油量に等しい程度にしておけばよい。以下の均油運転は、このことを前提としている。なお、以下では、従前よりも相対的に開度を大きくすることをONといい、開度を小さくすることをOFFということにする。
次に、圧縮機20a、20bを運転させている中負荷運転について説明する。なお、均油前は、図6に示すように、圧縮機20a、20cの潤滑油量は均油レベルを超え、圧縮機20bの潤滑油量は均油レベル未満にあるものとする。
冷凍サイクル10は、圧縮機20a、20bを運転させる中負荷運転を行っているので、圧縮機20a、20bの潤滑油の量は少なすぎると圧縮機の故障、多すぎると潤滑油の吐出量の増加になるので、油は一定範囲内であることが望ましい。一方、圧縮機20cについては、後に行われるかもしれない大負荷運転に備えるために、均油量に等しい程度にしておけばよい。以下の均油運転は、このことを前提としている。
以上説明したように、冷凍サイクル10は、均油配管(29a、29b)を介して、他の圧縮機(20a、20b、20c)から潤滑油を流入させることができるので、各圧縮機内の潤滑油を一定量以上の一定範囲に確保することができる。
また、全ての圧縮機が運転するような大負荷では、冷凍サイクル10は、均油運転をインジェクション回路(40a、40b、40c)の膨張弁(42a、42b、42c)の開度を操作して、インジェクション回路から圧縮機に供給される中間圧冷媒の流量を相違させることにより、均油化を図る。例えば、各圧縮機(20a、20b、20c)の回転数を相違させることにより均油化することも可能であるが、圧縮機の加減速を伴う。これに比べてインジェクション回路を操作する方が、空調負荷に対する供給能力を変動少なく確保可能となるので好ましい。もっとも、本発明は、インジェクション回路を操作することに加えて、各圧縮機(20a、20b、20c)の回転数を調整することを排除するものではない。
さらに、冷凍サイクル10は、3つの圧縮機20a、20b、20cを備えているが、本発明はこれに限定されず、2つ以上の複数の圧縮機を備える冷凍サイクルに適用することができる。
冷凍サイクル100は、インジェクション回路(40a、40b、40c)について、中間冷却器(41a、41b、41c)と膨張弁(42a、42b、42c)とを備えているが、本発明はこれに限定されない。アキュムレータと膨張弁又は開閉弁とを備える形態のインジェクション回路について本発明を適用することができる。
図8はこの形態による冷凍サイクル100を示している。図8において、図1に示した冷凍サイクル100と同じ要素については、同じ符号を付している。なお、冷凍サイクル100は、圧縮機を2つ(20a、20b)備えている。
アキュムレータ110から圧縮機20a、20bに向けてインジェクション配管121が設けられ、このインジェクション配管121は、途中、インジェクション配管121aと121bに分岐される。インジェクション配管121aは圧縮機20aの密閉ハウジング21a内に連通し、インジェクション配管121bは圧縮機20bの密閉ハウジング21b内に連通する。インジェクション配管121a上には膨張弁122aが、インジェクション配管121b上には膨張弁122bが設けられている。
本発明は、一つの冷凍サイクル・ユニットについて適用できるのはもちろん、複数の冷凍サイクル・ユニットを並列に接続した冷凍サイクルについても適用できる。図9を用いてこの例を説明する。
冷凍サイクル200は、第1冷凍ユニット300と第2冷凍ユニット400とから構成される。第1冷凍ユニット300、第2冷凍ユニット400は、各々第1実施形態で説明した冷凍サイクル100と同様の構成をなしており、図9において、図1と同じ要素については、同じ符号を付している。以下では、第3実施形態の特徴的な部分を中心に説明する。
第1冷凍ユニット300において、圧縮機320a、320bから延びる吐出配管324a、324bは所定位置で吐出配管324に集合される。また、第2冷凍ユニット400において、圧縮機420a、420bから延びる吐出配管424a、424bは所定位置で吐出配管324に集合される。吐出配管324、424は分岐されてその端末が凝縮器330a、330bに接続されている。第1冷凍ユニット300と第2冷凍ユニット400は、凝縮器330aと凝縮器330bとを共用している。なお、凝縮器330aと凝縮器330bとを一体化させることができることは言うまでもない。
第1冷凍ユニット300において、圧縮機320aと圧縮機320bの間には均油配管329aが設けられている。また、第2冷凍ユニット400において、圧縮機420aと圧縮機420bの間には均油配管429aが設けられている。さらに、第1冷凍ユニット300の圧縮機320bと第2冷凍ユニット400の圧縮機420bとの間には、均油配管430が設けられている。
これらインジェクション回路340a、340b、440a、440bは、中間冷却器(341a、341b、441a、441b)と、膨張弁(342a、342b、442a、442b)とを備えている。また、中間冷却器341a、341b、441a、441bと、圧縮機320a、320b、420a、420bとの間には、インジェクション配管325a3、325b3、425a3、425b3が設けられている。
蒸発器370の下流には冷媒配管326の一端が繋がれ、この冷媒配管326の他端にはアキュムレータ380が繋がれている。同様に、蒸発器470の下流には冷媒配管426の一端が繋がれ、この冷媒配管426の他端にはアキュムレータ480が繋がれている。アキュムレータ380、480の機能は、冷凍サイクル100のアキュムレータ80と同様である。
均油運転の際に、膨張弁342a、342b、442a、442bの開度を調整することは、第1実施例と同様であるが、第3実施形態では、均油配管430を備えているため、第1冷凍ユニット300の圧縮機320bと第2冷凍ユニット400の圧縮機420bとの間で潤滑油を流通させることができる。このように、本発明は、単一の冷凍(サイクル)ユニットの内部での潤滑油の均油化に限らず、複数の冷凍ユニット間における潤滑油の均油化を図ることもできる。図9では均油配管は、第1冷凍ユニット300の圧縮機320bと第2冷凍ユニット400の圧縮機420bとの間で連結されているが、第1冷凍ユニット300の均油配管329aと第2冷凍ユニット400の均油配管429a間を連結させても、同様の効果が得られる。
20a,20b,20c,320a,320b,420a,420b…圧縮機
29,29a,29b,29c,329a,429a,430…均油配管
30,330a,330b…凝縮器
40a,40b,40c,120,340a,340b,440a,440b…インジェクション回路
41a,41b,41c,341a,341b,441a,441b…中間冷却器
70,370,470…蒸発器
90…コントローラ
Claims (4)
- 密閉ハウジングの低段側圧縮機構と高段側圧縮機構とを各々が備え、並列に配置された複数の圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器とが順次接続されて冷媒回路が構成される冷凍サイクルであって、
前記密閉ハウジングに接続され、前記蒸発器からの冷媒を前記低段側圧縮機構に供給する吸入配管と、
前記密閉ハウジングに接続され、前記高段側圧縮機構で圧縮された冷媒を前記凝縮器に向けて吐出する吐出配管と、
複数の前記圧縮機に対応して設けられ、前記冷媒回路から抽出される中間圧冷媒を対応する前記圧縮機に供給する複数のインジェクション回路と、
複数の前記圧縮機を繋ぐ均油配管と、
複数の前記インジェクション回路から供給される前記中間圧冷媒の流量を相違させる制御手段と、を備えることを特徴とする冷凍サイクル。 - 前記インジェクション回路は、
前記凝縮器と前記蒸発器との間に並列に接続される、中間冷却器と弁とからなり、
前記制御手段は、
前記弁の開度を調整または開閉することにより、複数の前記インジェクション回路から供給する前記中間圧冷媒の流量を相違させることを特徴とする請求項1の冷凍サイクル。 - 前記インジェクション回路は、
前記凝縮器と前記蒸発器との間に直列に接続される、気液分離器と弁とからなり、
前記制御手段は、
前記弁の開度を調整または開閉することにより、複数の前記インジェクション回路から供給する前記中間圧冷媒の流量を相違させることを特徴とする請求項1の冷凍サイクル。 - 密閉ハウジング内に低段側圧縮機構と高段側圧縮機構とを各々が備え、並列に配置された複数の圧縮機と、凝縮器と、膨張弁と、蒸発器とが順次接続されて冷媒回路が構成される複数の冷凍サイクル・ユニットが、並列に接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の冷凍サイクル。
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