JP5192456B2 - Rfタグ読み書き装置 - Google Patents

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Description

本発明は、誘電体アンテナにより放射・捕捉される電波を介してRFタグに対してデータを読み書きするRFタグ読み書き装置に関する。
誘電体アンテナが基板上に実装されている構成として例えば特許文献1、2に示すものがある。
特開2001−60823号公報 特開2005−184615号公報
RFタグを利用したデータ通信は長い通信距離を確保することができる点に特徴を有するが、小型のRFタグ読み書き装置やハンディ型のRFタグ読み書き装置では、構造上の制約により、アンテナのサイズを適切に確保することが困難であり、利得を高めることができず、所望の通信距離を確保することができないのが現状である。
又、アンテナの方式としては直線偏波と回転偏波とがあるが、直線偏波はアンテナとRFタグとの位置関係によりデータ通信が成立する場合と成立しない場合とがあり、ハンディ型のRFタグ読み書き装置のようなRFタグとの相対位置が変動する態様には不適であり、回転偏波が望まれている。しかしながら、回転偏波はアンテナ面上に電流を流す必要があり、アンテナのサイズを大きくする必要がある。このような事情からも、アンテナのサイズが小さい場合には、利得を高めることができず、所望の通信距離を確保することができない。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アンテナのサイズに制約がある場合であっても、所望の通信距離を適切に確保することを可能とするRFタグ読み書き装置を提供することにある。
請求項1に記載した発明によれば、長手方向の寸法が誘電体アンテナのアンテナエレメントにより放射・捕捉される電波の波長の2分の1倍に相当する寸法よりも短い寸法に構成されている導体部材を、誘電体アンテナのアンテナエレメントが電波を放射する放射方向とは反対側に位置するように当該誘電体アンテナの背面側に設け、一端部が導体部材の長手方向の一端部に接続されると共に他端部が開放されている導体線を設け、導体部材の長手方向の寸法と導体線の全長の寸法との和が誘電体アンテナのアンテナエレメントにより放射・捕捉される電波の波長の2分の1倍に相当する寸法に構成した。
これにより、導体部材の長手方向の寸法が電波の波長の2分の1倍に相当する寸法よりも短い寸法に制約されている場合であっても、導体線を設けることにより、導体部材と導体線とを誘電体アンテナから放射された電波を反射する反射板として機能させることができ、誘電体アンテナから直接放射された電波と誘電体アンテナから放射されて導体部材と導体線とで反射された電波とを合成させることで利得を高めることができる。その結果、導体部材の面積に制約があることに伴って誘電体アンテナのサイズに制約がある場合であっても、所望の通信距離を適切に確保することができる。
請求項2に記載した発明によれば、導体線を導体部材の長手方向に平行な1つ以上の平行部分と導体部材の長手方向に垂直な1つ以上の垂直部分とを有するように1つ以上の折曲げ部を有する形状に構成したので、導体線が占める導体部材の長手方向の寸法を短くすることができ、装置全体の長手方向の寸法を短くすることができる。
請求項3に記載した発明によれば、導体線を導体部材の長手方向に垂直な2つ以上の垂直部分を有するミアンダ形状に構成したので、導体線が占める導体部材の長手方向の寸法をより一層短くすることができ、装置全体の長手方向の寸法をより一層短くすることができる。
請求項4に記載した発明によれば、導体線を垂直部分同士の間隔が所定距離以上に構成したので、垂直部分同士で適切な間隔を確保することにより、導体線を反射板として適切に機能させることができる。
請求項5に記載した発明によれば、誘電体アンテナを導体部材の長手方向の他端部又は導体線の他端部から誘電体アンテナのアンテナエレメントにより放射・捕捉される電波の波長の4分の1倍に相当する寸法だけ離れた位置に配置したので、誘電体アンテナを反射板の中央に配置させることができ、導体部材と導体線とを誘電体アンテナから放射された電波を反射する反射板としてより適切に機能させることができる。
請求項6に記載した発明によれば、誘電体アンテナを平板形状をなす多層基板上に実装し、導体部材を多層基板における多数の層のうち一の層をなす導体層から構成したので、誘電体アンテナから放射された電波を反射する反射板として機能させる導体部材を多層基板における多数の層のうち一の層をなす導体層を用いて実現することができる。
請求項7に記載した発明によれば、導体層をグランド層又は電源層から構成したので、誘電体アンテナから放射された電波を反射する反射板として機能させる導体部材を多層基板における多数の層のうち一の層をなすグランド層又は電源層を用いて実現することができる。
請求項8に記載した発明によれば、誘電体アンテナのアンテナエレメントにより放射・捕捉される電波の波長の2分の1倍に相当する寸法に構成されている羽導体部材を備え、導体部材の長手方向と羽導体部材の長手方向とが直交するように導体部材と羽導体部材とを配置したので、導体部材を誘電体アンテナから放射された電波を反射する反射板として機能させることに加えて、羽導体部材をも誘電体アンテナから放射された電波を反射する反射板として機能させることができ、所望の通信距離をより適切に確保することができる。又、羽導体部材を誘電体アンテナにより放射・捕捉される電波の波長の2分の1倍に相当する寸法に構成したので、軸比を「1(0dB)」に近づけることにより、RFタグ読み書き装置の向きに拘らずRFタグに対してデータを適切に読み書きすることができる。
請求項9に記載した発明によれば、羽導体部材を格納状態と展開状態との間で回動可能とし、格納状態で導体部材の長手方向に沿うように構成し、展開状態で導体部材の長手方向に対して直交する方向に誘電体アンテナのアンテナエレメントにより放射・捕捉される電波の波長の2分の1倍に相当する寸法を有するように構成したので、RFタグに対してデータを読み書きしないときには羽導体部材を格納状態に回動させ、RFタグに対してデータを読み書きするときにのみ羽導体部材を展開状態に回動させれば良く、使い勝手を高めることができる。
本発明の第1の実施形態を示すもので、RFタグ読み書き装置の平面図及び縦断側面図 誘電体アンテナが実装されている多層基板の平面図及び縦断側面図 機能ブロック図 測定結果を示す図 図4相当図 図4相当図 図4相当図 図4相当図 図4相当図 図4相当図 図4相当図 図4相当図 図4相当図 図4相当図 図4相当図 図4相当図 図4相当図 図4相当図 図4相当図 図4相当図 本発明の第2の実施形態を示すもので、RFタグ読み書き装置の平面図及び縦断側面図 図4相当図
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図1乃至図20を参照して説明する。図1(a)はRFタグ読み書き装置の平面図を示しており、図1(b)はRFタグ読み書き装置の縦断側面図を示している。RFタグ読み書き装置(リーダライタ)1は、ユーザが把持可能なハンディ型のものであり、その筐体2は幅広形状に形成されている頭部2aとユーザが把持可能に直線形状に形成されている把持部2bとが組み合わされて構成されている。頭部2aには例えば液晶ディスプレイからなる表示部3が設けられており、把持部2bには複数のキーが配列されてなるキー操作部4が設けられている。筐体2の内部にはメイン基板としての多層基板5が実装されていると共にRFタグ読み書き装置1の動作電力を各部に供給するバッテリ6が搭載されている。多層基板5の一方の表面部には誘電体アンテナ7とRFタグ制御部8(本発明でいうRFタグ制御手段)とが実装されている。誘電体アンテナ7は、直方体形状をなす誘電体9の上面部に金属板からなるアンテナエレメント10が搭載されて構成されている。
図2(a)は誘電体アンテナ7が実装されている多層基板5の平面図を示しており、図2(b)は誘電体アンテナ7が実装されている多層基板5の縦断側面図を示している。多層基板5の内部には平板形状をなすグランド層11(本発明でいう導体部材)及び平板形状をなす電源層12が対向して積層されている。グランド層11の長手方向の一端部(図1では上端部)には導体線13の一端部が接続されており、導体線13の他端部は開放されている。
多層基板5において、グランド層11の長手方向の寸法(図2中「L1」にて示す)は誘電体アンテナ7により放射・捕捉される電波の波長の4分の1倍に相当する寸法と同等に構成されており、グランド層11の長手方向の寸法と導体線13の長手方向の寸法との和(図2中「L2」にて示す)は誘電体アンテナ7により放射・捕捉される電波の波長の2分の1倍に相当する寸法と同等に構成されている。誘電体アンテナ7は、多層基板5上にあってグランド層11の上端側に対応する位置に搭載されており、即ち、グランド層11の他端部(図2では下端部)から誘電体アンテナ7により放射・捕捉される電波の波長の4分の1倍に相当する寸法だけ離れた位置に搭載されている。
図3は上記したRFタグ読み書き装置1の電気的な構成を機能ブロック図により示している。処理部14は、CPU15、メモリ16及び入出力部17を有し、上記した表示部3、キー操作部4及びRFタグ制御部8を接続して構成されている。CPU15は、データ通信指令をRFタグ制御部8に出力することにより、送信データを変調して所定周波数の電波を誘電体アンテナ7から放射する送信動作や誘電体アンテナ7により捕捉された所定周波数の電波を復調して受信データを抽出する受信動作をRFタグ制御部8により行うRF通信処理を行う。又、CPU15は、表示指令を表示部3に出力することにより、各種の表示情報を表示部3に表示させる表示処理を行ったり、ユーザがキー操作部4を操作したことに応じてキー操作部4から操作信号を入力すると、その入力した操作信号を受付ける操作受付処理を行ったりする。尚、処理部14を構成する各種の電子部品は多層基板5の表面上に実装されている。又、誘電体アンテナ7が放射・捕捉する電波の所定周波数は例えば952〜954[MHz]である。
上記した構成では、グランド層11の長手方向の一端部に導体線13の一端部を接続し、グランド層11の長手方向の寸法と導体線13の長手方向の寸法との和を誘電体アンテナ7により放射・捕捉される電波の波長の2分の1倍に相当する寸法と同等にし、且つ、誘電体アンテナ7を多層基板5上にあってグランド層11の上端側に対応する位置に搭載した構成を採用しているが、これは、以下の理由を根拠とするものである。即ち、発明者は、上記したグランド層11を金属板と見做して誘電体アンテナと金属板との関係について以下の(1)及び(2)を測定した。尚、ここでいうグランド層11の長手方向の中央部とはある程度の幅を有する範囲を示す。
(1)金属板の長さ(長手方向の寸法)を変化させた場合のV偏波(垂直偏波)の利得の変化
(2)金属板の中央部から誘電体アンテナまでの距離を変化させた場合のV偏波の利得の変化
図4は上記した(1)における測定条件(a)及び測定結果(b)を示しており、金属板の幅が「40mm」、誘電体アンテナの背面から金属板までの距離が「5mm」、金属板の端部から誘電体アンテナの中心位置までの距離が「25mm」のときに、金属板の長さを「40〜200mm」で変化させた場合のV偏波の利得の変化を示している。この測定結果から明らかなように、金属板の長さが「約145mm」であるときにV偏波の利得が最良であることが判る。この金属板の長さである「約145mm」は誘電体アンテナ7が放射・捕捉する所定周波数である例えば952〜954[MHz]の電波の波長の2分の1倍に近い値である。
図5は上記した(2)における測定条件(a)及び測定結果(b)を示しており、金属板の幅が「40mm」、金属板の長さが「140mm」、誘電体アンテナの背面から金属板までの距離が「5mm」のときに、金属板の中心位置から誘電体アンテナの中心位置までの距離を「−50〜0mm」で変化させた場合のV偏波の利得の変化を示している。この測定結果から明らかなように、金属板の中心位置から誘電体アンテナの中心位置までの距離が「0mm」であるときに(誘電体アンテナの中心位置が金属板の中心位置に近いほど)V偏波の利得が最良であることが判る。これは、誘電体アンテナが金属板の中心位置に搭載されていることにより、金属板が誘電体アンテナから放射された電波を反射する反射板として最も効率良く機能し、誘電体アンテナから直接放射された電波と誘電体アンテナから放射されて金属板で反射された電波とが最も効率良く合成されることで利得が効率良く高められるためである。
以上に示した測定結果を根拠として、本実施形態では、ハンディ型のRFタグ読み書き装置1における誘電体アンテナ7のサイズの制約を解消するために、グランド層11の長手方向の一端部に導体線13の一端部を接続し、グランド層11の長手方向の寸法と導体線13の長手方向の寸法との和を誘電体アンテナ7により放射・捕捉される電波の波長の2分の1倍に相当する寸法と同等とし、且つ、誘電体アンテナ7を多層基板5上にあってグランド層11の上端側に対応する位置に搭載しているものである。
次に、発明者は金属板に接続する導体線の形状について検討した。最初に、発明者は金属板の長さと利得との関係について測定した。図6は測定条件(a)及び測定結果(b)を示しており、金属板の幅が「40mm」、誘電体アンテナの背面から金属板までの距離が「5mm」、金属板の端部から誘電体アンテナの中心位置までの距離が「70mm」のときに、金属板の長さを変化させた場合のV偏波の利得の変化を示している。この測定結果から明らかなように、金属板の長さが「140〜160mm」であるときにV偏波の利得が最良であることが判る。以下においては、金属板の幅が「40mm」、金属板の長さが「90mm」、誘電体アンテナの背面から金属板までの距離が「5mm」、金属板の端部から誘電体アンテナの中心位置までの距離が「70mm」のときを条件として、導体線の形状を検討した。
図7及び図8は直線形状の導体線を金属板の端部に接続する場合に、直線形状の導体線の接続位置を変化させた場合のV偏波の利得の変化を示している。図7(a)及び(b)は直線形状の導体線の接続位置を左右片端にした場合の測定条件及び測定結果を示しており、図7(c)及び(d)は直線形状の導体線の接続位置を中央にした場合の測定条件及び測定結果を示しており、図8(a)及び(b)は直線形状の導体線の接続位置を左右両端にした場合の測定条件及び測定結果を示しており、図8(c)は測定結果の比較を示している。この測定結果から明らかなように、直線形状の導体線の接続位置に拘らず導体線の長さに比例して利得が向上し、直線形状の導体線の長さが「55mm」であるときに、即ち、金属板の長さと直線形状の導体線の長さとの和が「145mm」であるときに利得が上記した目標値と同等であることが判り、直線形状の導体線が反射板として機能していることが判る。又、直線形状の導体線を金属板の左右両端に接続した構成が他よりも利得が僅かに高いが、接続位置に拘らず利得に大差ないことが判る。
図9及び図10はL字形状の導体線を金属板の端部に接続する場合に、導体線の全長を「55mm」に一定にしてL字形状の導体線の接続位置を変化させた場合のV偏波の利得の変化を示している。図9(a)及び(b)はL字形状の導体線の接続位置を左右片端にした場合の測定条件及び測定結果を示しており、図9(c)及び(d)はL字形状の導体線の接続位置を中央にした場合の測定条件及び測定結果を示しており、図10(a)及び(b)はL字形状の導体線の接続位置を左右両端にした場合の測定条件及び測定結果を示しており、図10(c)は測定結果の比較を示している。この測定結果から明らかなように、上記した直線形状の導体線を接続する場合と同様に、L字形状の導体線の接続位置に拘らずL字形状の導体線における長手方向の長さに比例して利得が向上し、L字形状の導体線の全長が「55mm」であれば、即ち、金属板の長さとL字形状の導体線の全長との和が「145mm」であれば、折曲げ位置が金属板の端部から「5mm」を越える範囲では折曲げ位置に拘らず利得が上記した目標値と同等であることが判り、L字形状の導体線が反射板として機能していることが判る。
図11は直線形状の導体線を金属板の端部に接続する場合とL字形状の導体線を金属板の端部に接続する場合との測定結果の比較を示している。図11(a)は導体線の接続位置を左右片端にした場合の測定結果の比較を示しており、図11(b)は導体線の接続位置を中央にした場合の測定結果の比較を示しており、図11(c)は導体線の接続位置を左右両端にした場合の測定結果の比較を示している。この測定結果から明らかなように、何れの場合においても、直線形状の導体線を金属板の端部に接続する場合とL字形状の導体線を金属板の端部に接続する場合とでは、L字形状の導体線を接続する場合の方が直線形状の導体線を接続する場合よりも導体線が占める導体部材の長手方向の寸法を短くすることができ、装置全体の長手方向の寸法を短くすることができる。
図12はL字形状を変化させた場合のV偏波の利得の変化を示している。図12(a)及び(b)はL字形状(導体線の一端部から折曲げ部までの長さ及び折曲げ部から他端部までの長さ)を変化させた場合の測定条件及び測定結果を示している。何れの場合においても、導体線の長さが「65mm」であるときに、即ち、金属板の長さとL字形状の導体線の長さとの和が「155mm」であるときに利得が上記した目標値と同等であることが判り、L字形状の導体線が反射板として機能していることが判る。又、導体線の一端部から折曲げ部までの長さが「35mm」以上では利得が上記した目標値付近で一定していることが判る。尚、導体線の一端部から折曲げ部までの長さが「15mm」以下では折曲げ部から他端部までの長さが「40mm」を越えるので、L字形状の導体線が金属板の幅方向ではみ出すことになる。
図13はミアンダ形状の導体線を金属板の端部に接続する場合に、ミアンダ形状の幅及び間隔を一定にして導体線の長さを変化させた場合のV偏波の利得の変化を示している。図13(a)及び(b)はミアンダ形状の幅が「40mm」、間隔が「5mm」であるときに導体線の長さを変化させた場合の測定条件及び測定結果を示している。この測定結果から明らかなように、導体線の長さが「80〜90mm」であるときに、即ち、導体線の開放端が金属板の端部から「10mm」であるときに利得が上記した目標値に対して「0.5dB」程度低下するが略同等であることが判る。又、導体線をL字形状にした場合と同等以上の効果が得られることが判る。
図14はミアンダ形状の間隔を変化させた場合のV偏波の利得の変化を示している。図14(a)乃至(c)はミアンダ形状の幅が「40mm」であるときに間隔を変化させた場合の測定条件及び測定結果を示している。この測定結果から明らかなように、ミアンダ形状の間隔が「15mm」であるときには導体線の長さが「60mm」であるときに利得が最大となり上記した目標値を越えていることが判る。しかしながら、ミアンダ形状の間隔が小さくなると、利得最大時の導体線の長さが大きくなり、利得の最大値も低下することが判る。又、ミアンダ形状の間隔が大きくなると、利得の最大値は「8dB弱」に収束することが判る。又、ミアンダ形状の間隔が小さくなると、利得最大時の導体線の長さが「90mm」に収束することが判るが、利得の最大値が「8dB弱」よりも低下するので、実用上無意味であることが判る。
図15乃至図17はミアンダ形状を縦方向に配置して幅を変化させた場合のV偏波の利得の変化を示している。図15(a)及び(b)はミアンダ形状の幅が「25mm」、間隔が「10mm」であるときに導体線の長さを変化させた場合の測定条件及び測定結果を示しており、図15(c)及び(d)はミアンダ形状の幅が「20mm」、間隔が「10mm」であるときに導体線の長さを変化させた場合の測定条件及び測定結果を示しており、図16(a)及び(b)はミアンダ形状の幅が「15mm」、間隔が「10mm」であるときに導体線の長さを変化させた場合の測定条件及び測定結果を示しており、図16(c)及び(d)はミアンダ形状の幅が「10mm」、間隔が「10mm」であるときに導体線の長さを変化させた場合の測定条件及び測定結果を示しており、図17は測定結果の比較を示している。この測定結果から明らかなように、ミアンダ形状の幅を変化させたときに傾向はないことが判る。又、この場合も、導体線をL字形状にした構成に対して同等以上の効果が得られることが判る。
図18はミアンダ形状を縦方向に配置して間隔を変化させた場合のV偏波の利得の変化を示している。図18(a)乃至(c)はミアンダ形状の幅が「20mm」、間隔が「5mm」又は「10mm」であるときに導体線の長さを変化させた場合の測定条件及び測定結果を示している。この測定結果から明らかなように、ミアンダ形状の間隔を変化させたときに傾向はないことが判る。
図19は導体線を金属板の背面に延ばした場合の利得の変化を示している。この測定結果から明らかなように、誘電体アンテナの正面方向から不可視の位置(重なる位置)に配置した場合には利得が改善されないことが判る。
図20は導体線を金属板に接続することによる効果を評価するために、金属板の長さを変化させたとき、L字形状の導体線を接続したとき、ミアンダ形状の導体線を接続したときのV偏波の利得の変化を示している。この測定結果から明らかなように、金属板の長さを変化させたときには金属板の長さが小さくなると利得が低下することが判るが、これに対して、L字形状の導体線やミアンダ形状の導体線を接続したときには全体の長さ(金属板の端部から導体線の端部までの長手方向の長さ)が「100mm」を超えている範囲では利得が低下しないことが判る。
尚、以上は、金属板の片端部だけに導体線を接続する態様について説明したが、金属板の両端部に導体線を接続する態様についても同等の効果を得ることができる。
以上に説明したように第1の実施形態によれば、RFタグ読み書き装置1において、誘電体アンテナ7の背面側に設けられているグランド層11の長手方向の寸法が誘電体アンテナ7により放射・捕捉される電波の波長の2分の1倍に相当する寸法よりも短い寸法である場合に、一端部がグランド層11の長手方向の一端部に接続されると共に他端部が開放されている導体線13を設け、グランド層11の長手方向の寸法と導体線13の全長の寸法との和が誘電体アンテナ7により放射・捕捉される電波の波長の2分の1倍に相当する寸法に構成したので、グランド層11と導体線13とを誘電体アンテナ7から放射された電波を反射する反射板として機能させることができ、誘電体アンテナ7から直接放射された電波と誘電体アンテナ7から放射されてグランド層11と導体線13とで反射された電波とを合成させることで利得を高めることができる。これにより、グランド層11の面積に制約があることに伴って誘電体アンテナ7のサイズに制約がある場合であっても、所望の通信距離を適切に確保することができる。
又、導体線13をL字形状やミアンダ形状に構成しても直線形状と同等以上の効果が得られることから、導体線13を必ずしも直線形状に構成する必要はなく、導体パターン13をL字形状やミアンダ形状に構成することにより、導体線13が占めるグランド層の長手方向の寸法を短くすることができ、装置全体の長手方向の寸法を短くすることができる。又、誘電体アンテナ7をグランド層11の長手方向の他端部又は導体線13の他端部から誘電体アンテナ7により放射・捕捉される電波の波長の4分の1倍に相当する寸法だけ離れた位置に配置したので、誘電体アンテナ7を反射板の中央に配置させることで、グランド層11と導体線13とを誘電体アンテナ7から放射された電波を反射する反射板としてより適切に機能させることができる。更に、長手方向の全長をより短くすることができ、装置全体を小型化することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図21及び図22を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。この第2の実施形態は、上記した第1の実施形態に対して羽アンテナ部を追加したものである。
図21(a)、(b)はRFタグ読み書き装置の平面図を示しており、図21(c)はRFタグ読み書き装置の縦断側面図を示している。RFタグ読み書き装置21の筐体22は頭部22aと把持部22bとが同一幅で構成されており、頭部22aには表示部23が設けられており、把持部22bには上記した第1の実施形態で説明したキー操作部4が設けられている。筐体22の内部にはメイン基板としての多層基板24が設けられており、その多層基板24の一方の表面部には上記した第1の実施形態で説明した誘電体アンテナ7とRFタグ制御部8とが実装されている。
多層基板24は上記した第1の実施形態で説明した多層基板5と同様にして平板形状をなすグランド層25(本発明でいう導体部材)及び平板形状をなす電源層が対向して積層されており、グランド層25の長手方向の一端部(図21では上端部)には導体線26の一端部が接続されており、導体線26の他端部は開放されている。
そして、この第2の実施形態では、グランド層25に左右対称に羽アンテナ部27(本発明でいう羽導体部材)が回動可能に設けられている。羽アンテナ部27は、筐体22の長手方向に沿って格納される格納状態と、それらの先端側が筐体22から突出される展開状態との間で回動可能になっており、展開状態での寸法(図21中「L3」にて示す)は誘電体アンテナ7により放射・捕捉される電波の波長の2分の1倍に相当する寸法とされている。これは、以下の理由を根拠とするものである。即ち、発明者は、羽アンテナ部の形状について軸比を測定した。
図22は測定条件(a)及び測定結果(b)を示しており、金属板の幅が「40mm」、金属板の長さが「140mm」、誘電体アンテナの背面から金属板までの距離が「5mm」のときに、羽アンテナ部の形状(横方向の寸法d及び縦方向の寸法e)を変化させた場合の軸比の変化を示している。この測定結果から明らかなように、羽アンテナ部の横方向の寸法が「約120mm」であるときに軸比が最良(軸比が「1(0dB)」に近い)であることが判り、この羽アンテナ部の横方向の寸法である「約120mm」は誘電体アンテナが放射・捕捉する所定周波数である例えば952〜954[MHz]の電波の波長の2分の1倍に近い値である。
この場合、軸比が「1」から大きく外れてしまうと、RFタグ読み書き装置21においてデータを読み書き可能な向きと読み書き不可能な向きとが発生することになるので、軸比は「1」に近い方が望ましい。本実施形態では、羽アンテナ部27の横方向の寸法を誘電体アンテナ7が放射・捕捉する所定周波数である例えば952〜954[MHz]の電波の波長の2分の1倍に近い値にすることにより、軸比を「1(0dB)」に近い値としており、ユーザはRFタグ読み書き装置21の向きを意識することなく、データを読み書きすることができ、使い勝手を高めることができる。
以上に説明したように第2の実施形態によれば、RFタグ読み書き装置21において、羽アンテナ部27を設けたので、グランド層25と導体線26とを誘電体アンテナ7から放射された電波を反射する反射板として機能させることに加えて、羽アンテナ部37をも誘電体アンテナ7から放射された電波を反射する反射板として機能させることができ、誘電体アンテナ7から直接放射された電波と誘電体アンテナ7から放射されてグランド層11と導体線13と羽アンテナ部27とで反射された電波とを合成させることで利得をより一層高めることができる。又、羽アンテナ部27の寸法を誘電体アンテナ7により放射・捕捉される電波の波長の2分の1倍に相当する寸法に構成したので、軸比を略「1(0dB)」にすることができ、RFタグ読み書き装置21の向きに拘らずRFタグに対してデータを適切に読み書きすることができ、使い勝手を高めることができる。
さらに、羽アンテナ部27を格納状態と展開状態との間で回動可能に構成したので、RFタグに対してデータを読み書きしないときには羽アンテナ部27を格納状態に回動させ、RFタグに対してデータを読み書きするときにのみ羽アンテナ部27を展開状態に回動させれば良く、使い勝手を高めることができる。
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
RFタグ読み書き装置は、RFタグに対してデータを読み書きする専用の装置に限らず、RFタグに対してデータを読み書きするモジュールが組み込まれた携帯電話機や携帯情報端末などの携帯端末であっても良い。又、RFタグ読み書き装置は、固定されて用いられる態様のものであっても良い。
図面中、1はRFタグ読み書き装置、5は多層基板、7は誘電体アンテナ、8はRFタグ制御部(RFタグ制御手段)、9は誘電体、10はアンテナエレメント、11はグランド層(導体部材)、12は電源層、13は導体線、21はRFタグ読み書き装置、25はグランド層(導体部材)、26は導体線、27は羽アンテナ部(羽導体部材)である。

Claims (9)

  1. 誘電体の上面部にアンテナエレメントが搭載されてなる誘電体アンテナと、
    前記誘電体アンテナの前記アンテナエレメントにより放射・捕捉される電波を介してRFタグに対してデータを読み書きするRFタグ制御手段と、
    前記誘電体アンテナの前記アンテナエレメントが電波を放射する放射方向とは反対側に位置するように当該誘電体アンテナの背面側に前記アンテナエレメントとは離れて設けられ、長手方向の寸法が前記誘電体アンテナの前記アンテナエレメントにより放射・捕捉される電波の波長の2分の1倍に相当する寸法よりも短い寸法に構成されている導体部材と、
    一端部が前記導体部材の長手方向の一端部に接続されると共に他端部が開放されている導体線とを備え、
    前記RFタグ制御手段は、平板形状をなす多層基板上に実装され、
    前記導体部材は、前記多層基板における多数の層のうち一の層をなす導体層から構成され、
    前記導体部材の長手方向の寸法と前記導体線の全長の寸法との和が前記誘電体アンテナの前記アンテナエレメントにより放射・捕捉される電波の波長の2分の1倍に相当する寸法に構成されていることを特徴とするRFタグ読み書き装置。
  2. 請求項1に記載したRFタグ読み書き装置において、
    前記導体線は、前記導体部材の長手方向に平行な1つ以上の平行部分と前記導体部材の長手方向に垂直な1つ以上の垂直部分とを有するように1つ以上の折曲げ部を有する形状に構成されていることを特徴とするRFタグ読み書き装置。
  3. 請求項2に記載したRFタグ読み書き装置において、
    前記導体線は、前記導体部材の長手方向に垂直な2つ以上の垂直部分を有するミアンダ形状に構成されていることを特徴とするRFタグ読み書き装置。
  4. 請求項3に記載したRFタグ読み書き装置において、
    前記導体線は、垂直部分同士の間隔が所定距離以上に構成されていることを特徴とするRFタグ読み書き装置。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載したRFタグ読み書き装置において、
    前記誘電体アンテナは、前記導体部材の長手方向の他端部又は前記導体線の他端部から前記誘電体アンテナの前記アンテナエレメントにより放射・捕捉される電波の波長の4分の1倍に相当する寸法だけ離れた位置に配置されていることを特徴とするRFタグ読み書き装置。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載したRFタグ読み書き装置において、
    前記誘電体アンテナは、前記多層基板上に実装されていることを特徴とするRFタグ読み書き装置。
  7. 請求項6に記載したRFタグ読み書き装置において、
    前記導体層は、グランド層又は電源層から構成されていることを特徴とするRFタグ読み書き装置。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載したRFタグ読み書き装置において、
    前記誘電体アンテナの前記アンテナエレメントにより放射・捕捉される電波の波長の2分の1倍に相当する寸法に構成されている羽導体部材を備え、
    前記導体部材の長手方向と前記羽導体部材の長手方向とが直交するように前記導体部材と前記羽導体部材とが配置されていることを特徴とするRFタグ読み書き装置。
  9. 請求項8に記載したRFタグ読み書き装置において、
    前記羽導体部材は、格納状態と展開状態との間で回動可能であり、前記格納状態で前記導体部材の長手方向に沿うように構成され、前記展開状態で前記導体部材の長手方向に対して直交する方向に前記誘電体アンテナの前記アンテナエレメントにより放射・捕捉される電波の波長の2分の1倍に相当する寸法を有するように構成されていることを特徴とするRFタグ読み書き装置。
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