JP2014207516A - 薄型アンテナおよびアンテナユニット - Google Patents
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Abstract
Description
RFIDタグの普及に伴い読み取り装置のバリエーションも増加しており、利便性を優先させるケースとして、専用の読み取り装置では無く、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末内にRFIDタグの読み取り機能(アンテナおよび読み取り回路)を内蔵させ、携帯端末に機能を付加したものが商品化されている。
その理由として、多くの携帯電話および一部のPDAなどでは、情報表示面とは反対側の面(裏面)の内側にアルミニウム製の金属ケース(金属部材)に封入されたリチウムイオン型などの蓄電池が搭載されており、裏面側の大部分はこの蓄電池の金属ケースで占められている。よって、装置の裏面側にはRFIDタグの情報を読み取るための小型パッチアンテナを組み込むスペースがないからである。
特許文献1のパッチアンテナでは、アンテナ特性の中心周波数が4GHzにおいて磁性体の厚さは2mmであった。RFIDタグのUHF帯の周波数は860〜960MHzであることから、この周波数に対応した場合では波長が4倍近く長くなり、磁性体の厚さはさらに厚くなってしまうことが想定される。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、金属部材に取り付けられていても通信を良好に行うことができる、UHF帯及びHF帯の2種類の周波数、通信方式に対応可能とした、RFIDタグの読み取り用の薄型アンテナ、およびこの薄型アンテナを用いたアンテナユニットを提供することを目的とする。
即ち、本発明に係る薄型アンテナは、磁性シートと、前記磁性シートの一方の面上に配置された第一のアンテナ部と、前記第一のアンテナ部を取り囲むコイル状をなす第二のアンテナ部と、前記磁性シートの他方の面上に配置された導体地板と、を備え、前記磁性シートの厚さ方向に見たときに、前記第一のアンテナ部と第二のアンテナ部および前記導体地板は少なくとも一部が重なるように配置されていることを特徴としている。さらに、前記磁性シートの厚さが200μm以上600μm以下であることが好ましい。
また、上記の薄型アンテナにおいて、前記第一のアンテナ部と前記第二のアンテナ部と前記導体地板とが自身の主面上に形成されたフィルム状の基材を備え、前記主面が外側になるように折り返された前記基材の間に前記磁性シートが挟まれていることがより好ましい。
また、上記のアンテナユニットにおいて、前記導体地板は、前記金属部材に電気的に統合されていることがより好ましい。
また、上記のアンテナユニットにおいて、前記金属部材は、携帯端末に内蔵されている蓄電池の外装部材であることがより好ましい。
また、上記のアンテナユニットにおいて、前記第一のアンテナ部はUHF帯の電波方式で動作するとともに、前記第二のアンテナ部はHF帯の電磁誘導方式で動作することがより好ましい。
また、上記のアンテナユニットにおいて、前記導体地板は、前記第二のアンテナ部から生じる電磁誘導磁界の漏洩防止の遮断板としての機能を兼ねていることがより好ましい。
以下、本発明に係る薄型アンテナの第1実施形態を、図1から図10を参照しながら説明する。本薄型アンテナは、RFIDタグとの間で非接触にて通信を行うものである。
図1から図3に示すように、
本実施形態の薄型アンテナ1は、磁性シート2と、磁性シート2の一方の面2a上に配置されたUHF帯用のアンテナエレメント(第一のアンテナ部)3と、HF帯用のアンテナコイル(第二のアンテナ部)12と、磁性シート2の他方の面2b上に配置された導体地板4とを備えている。なお、図1においては、後述する基材6は示していない。
ブリッジ・スルーホール7aの一端は、基材6を貫通するスルーホール構造によって主面6a上のアンテナエレメント3に接続され、他方の一端は接続線7に接続されている。他
方のブリッジ・スルーホール15aの一端は、前述と同様のスルーホール構造によって主面6a上のアンテナコイル12に接続され、他方の一端は接続線15に接続されている。
アンテナエレメント3、アンテナコイル12および導体地板4は、基材6上に配したアルミ薄膜をエッチング法にて成形したり、基材6に銀ペーストインキをパターン印刷したりすることで形成されている。
平面視において、アンテナエレメント3は三角形状に形成され、導体地板4は長方形状に形成されている。
基材6は、主面6aが内側になるように折り線L(図3参照。)で折り返されていて、折り返された基材6の間に磁性シート2を挟んで不図示の接着剤などで接着することで、磁性シート2にアンテナエレメント3、アンテナコイル12および導体地板4が取り付けられている。言い換えれば、磁性シート2は基材6に巻きつけられている。
UHF帯において電波方式で動作するアンテナエレメント3と導体地板4は、接続線7、8の一端がそれぞれ接続されている。接続線7、8の他端は、不図示のUHF帯用の読み取り回路部に接続されている。他方のHF帯において電磁誘導方式で動作するアンテナコイル12には、接続線14,15の一端がそれぞれ接続されている。接続線14,15の他端は、不図示のHF帯用の読み取り回路部に接続されている。
薄型アンテナ1、接続線7、8、14、15、UHF帯用とHF帯用の2種類の読み取り回路部で、データ読み取り装置を構成する。
アンテナコイル12のD下方向には、磁性シート2を挟んで導電性を有するUHF帯用の導体地板4が設けられているが、アンテナコイル12と導体地板4との間には、前述のとおり高透磁率(比透磁率=50)を有する磁性シート2が備えられ、アンテナコイル12と導体地板4との間に、前述の磁力線をとおすロスの少ない磁束のルートが確保されていることで、通信性を良好に確保することができる。
問い合わせ信号を受信した不図示のHF帯用RFIDタグの内部では、この問い合わせに対する応答信号が生成される。HF帯用RFIDタグからの応答信号は同アンテナコイル12にて受信され、接続線14、15を介して読み取り回路部に送られ解読されることで、HF帯用RFIDタグに記憶された情報を読み取ることができる。
実験には、下記および図4に示す機材および材料を使用した。
・磁性シート2:大同特殊鋼(株)製 NRC010(厚さ100μm)
磁性シート2の寸法 35mm×30mm 比透磁率=17(1GHz)
・アンテナエレメント3:厚さ12μmのアルミニウムの薄膜
三角形状の各辺の長さは、23mm、23mm、26mm
長方形状のアンテナエレメント3A(図8参照。)の寸法は、32mm×9mm
・読み取り装置(読み取り回路部)R1:950MHz帯RFID用読み取り装置 三菱電機(株)製
RF−RW002(最大出力1W 30dBm)
・固定減衰器R2:ヒロセ電機(株)製 AT−103(減衰量 3dB)
・金属板(金属部材)11:アルミニウム製 180mm(長さ)×80mm(幅)×3mm(厚さ)
・RFIDタグT:UPM社製 Belt
図5および6に示すように、金属板11の中心部にSMA規格に準じた同軸コネクタR11を設け、金属板11の厚さ方向に同軸コネクタR11の心線部を貫通させ、その心線部の先端をアンテナエレメント3に電気的に接続する給電部R12とした。
図4に示すように、同軸コネクタR11とRFIDタグの読み取り装置R1とは、固定減衰器R2が設けられた同軸ケーブルR3で接続される。
これら、薄型アンテナ1、読み取り装置R1、固定減衰器R2、同軸ケーブルR3、同軸コネクタR11、および給電部R12で、データ読み取り装置Rを構成する。
まず、図7に示すように金属板11上に磁性シート2を置き、その磁性シート2の上に三角形状のアンテナエレメント3を、その先端部分に給電部R12の心線が接触するようにして重ねた。
この実験では、アンテナエレメント3、磁性シート2、および金属板11を厚さ方向に密着させるために、不図示の発砲スチロールをアンテナエレメント3上に置き、その発泡スチロールの両端と金属板11とを薄い粘着テープで止めた。
RFIDタグTを金属板11上のアンテナエレメント3に向け回転させ、データ読み取り
装置Rが非接触でRFIDタグTから情報を読み取ることができる距離の最大値(通信距離)を求めた。なお、発泡スチロールは通信距離の測定結果にはほとんど影響を与えないことが分かっている。
磁性シート2の厚さを100μm〜700μmに変化させ、厚さの違いによる通信距離の変動を測定し記録した。磁性シート2の厚さを変化させるために、同一形状に加工された100μm厚の磁性シートを複数枚重ね合わせて、厚さが100μm〜700μmの磁性シート2とした。なお、本実験で使用した磁性シート2は、1GHz付近における比透磁率が16と、市販されている磁性シートの中では高い値を示すものである。
三角形状のアンテナエレメント3を用いて、磁性シート2の厚さを100μm〜700μmに変化させた実験の結果(グラフ)を図9に示す。図9より、磁性シート2の厚さが100μmでは通信距離が50mmと低い値を示すが、通信距離が95mmと高い値を示す300〜400μmをピークとして、200〜600μmの間では良好な結果となった。
前述の三角形状のアンテナエレメント3を用いた実験結果と比較すると、通信距離は全体的に短くなってしまった。通信距離が70mmと高い値を示す300μmをピークとして、全体に山型の特性を示す結果となった。
これらの結果より、アンテナエレメントの形状の違いによる通信距離の差はあるものの、磁性シート2の厚さを200〜600μmにすることで良好な通信結果が得られることがわかった。
その他、読み取り装置R1の装置側の入出力インピーダンスは50Ωであり、実験に用いた薄型アンテナ1のインピーダンスとは整合が取れていないと思われる。このため、インピーダンス整合回路を付加すること、磁性シート2の電気的な物性値(透磁率、磁性損失、誘電率、誘電損失など)を好適なものにすること、アンテナエレメント3の形状を最適化することなどで、通信距離はさらに長くできると考えられる。
このため、導体地板4側に金属板11を取り付けて薄型アンテナ1を使用した場合であっても、導体地板4に対してアンテナエレメント3とは反対側に配置された金属板11の影響がアンテナエレメント3に及ぶのを抑えて、アンテナエレメント3とRFIDタグTとの間で通信を良好に行うことができる。
また、磁性シート2の厚さが200μm以上600μm以下であるため、薄型アンテナ1の厚さを、従来型のアンテナと比較した場合に1/3〜1/10と非常に薄く形成するこ
とができる。
さらに、薄型アンテナ1には高価な部材も使われていないことから、薄型アンテナ1を安価に製造することもできる。
次に、本発明の第2実施形態について図11を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。この例では、図11に示すように、携帯電話(携帯端末)21に、リチウムイオン型などの蓄電池31、および前述の薄型アンテナ1が内蔵された構成となっている。
蓄電池31の収容ケース(金属部材、外装部材)32は、アルミニウムや鉄などの金属で形成されている。
薄型アンテナ1は、磁性シート2の他方の面2b側に収容ケース32が配されるように、外装ケース22と収容ケース32との間に取り付けられている。薄型アンテナ1は、収容ケース32に密着した状態で取り付けられている。
薄型アンテナ1は、収容ケース32とともに、本実施形態のアンテナシステム36を構成する。
収容ケース32と導体地板4とは、厚さが50μm程度の誘電体である基材6を介した静電容量結合効果により、高周波的に接続される。これにより、導体地板4の面積を静電容量結合可能な程度にまで小さくすることもできる。
背面に位置する前述の主回路に対する遮断板(シールド板)として機能する。このことから、UHF帯およびHF帯のRFIDタグ読み取り時の電磁波放射、電磁誘導磁界に対する内部の電磁波吸収体、遮蔽板(シールド版)等の電波障害対策を軽減することができる。
薄型アンテナ1をUHF帯用のアンテナ(パッチアンテナ)としてみた場合の導体地板4は、放射アンテナであるアンテナエレメント3に対する導体地板になる。一方のHF帯のアンテナ(コイルアンテナ)としてみた場合の導体地板4では、アンテナコイル12から生じる電磁誘導磁界の背面への影響を軽減するための前述の主回路に対する遮断板として機能する。
次に、本発明の第3実施形態について図12を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。この例では、図12に示すように、携帯電話41に、前述の蓄電池31および薄型アンテナ51が内蔵された構成となっている。
本実施形態では、薄型アンテナ51の導体地板は、収容ケース32に基材6が密着した状態に配置されることで収容ケース32に電気的に統合されている。すなわち、導体地板は収容ケース32に一体化されている。
薄型アンテナ51は、収容ケース32とともに、本実施形態のアンテナシステム56を構成する。
この場合、蓄電池31の収容ケース32に接続した不図示の既存電源ライン(グランドライン)を読み取り装置に接続することになる。
薄型アンテナ51の導体地板が収容ケース32に電気的に統合されているため、薄型アンテナ51の性能を維持しつつ、薄型アンテナ51をさらに薄型化することができる。
また、金属部材が蓄電池31の収容ケース32であるため、薄型アンテナ51を蓄電池31と組み合わせたアンテナシステム56を薄型化することができる。
携帯電話の中に薄型アンテナを組み込む場合、金属製の収容ケース32は、スペース的に
も電気的には大きな障害になっている。このような状況において発明者が着目したのが、障害になっている収容ケース32であった。この収容ケース32を薄型アンテナの導体地板にして、非常に薄い薄型アンテナを作ることが、本発明の発想の一つである。
次に、本発明の第4実施形態について図13を参照して説明する。なお、図13において図1と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。図13に示すように、第4実施形態の薄型アンテナ61は、平面視において磁性シート2が2つのエリアに分割されている点において第1実施形態と相違する。
即ち、磁性シート2の領域2cでは、その電気的な物性値(透磁率、磁性損失、誘電率、誘電損失など)をUHF帯の電波方式にあった好適なものにすることができる。また、磁性シート2の他の領域は、その電気的な物性値(透磁率、磁性損失、誘電率、誘電損失など)をHF帯の電磁誘導方式にあった好適なものにすることができる。
たとえば、前記第2実施形態および第3実施形態では、携帯端末は携帯電話であるとした。しかし、携帯端末はこれに限ることなく、PDAやスマートフォンなどでもよいし、薄型アンテナが携帯端末以外の、自動車などの乗り物や、家庭用電気製品などに用いられてもよい。
この理由は、金属部材である金属板11、収容ケース32と導体地板4とは、基材および接着層を介した静電容量結合効果で電気的に接続され、この作用よりこれら金属部材と導体地板4とがアンテナエレメント3に対する統合された一つの導体地板となり、アンテナエレメント3は必然的に前述の導体地板の輪郭内に配置されることになるからである。
また、アンテナエレメント3の形状は三角形状や長方形状に限定されず、円形状、楕円形状、多角形状、メアンダ形状、アレーアンテナ形状などであってもよい。導体地板4の形状も長方形状に限定されず、厚さ方向Dに見たときに少なくとも一部がアンテナエレメントに重なっていれば、その形状は、円形状、楕円形状、多角形状などであってもよい。一方のアンテナコイル12においても同様であり、アンテナエレメント3をその周囲から囲むような構成であればいかなる形状であってもよい。
2 磁性シート
2a 一方の面
2b 他方の面
2c 領域
3、3A アンテナエレメント(第一のアンテナ部)
4 導体地板
6 基材
6a 主面
7、8、14、15 接続線
7a ブリッジ・スルーホール
11 金属板(金属部材)
12 アンテナコイル(第二のアンテナ部)
15a ブリッジ・スルーホール
21、41 携帯電話(携帯端末)
31 蓄電池
32 収容ケース(金属部材、外装部材)
36、56 アンテナシステム
Claims (10)
- 磁性シートと、
前記磁性シートの一方の面上に配置された第一のアンテナ部と、
前記第一のアンテナ部を取り囲むコイル状をなす第二のアンテナ部と、
前記磁性シートの他方の面上に配置された導体地板と、を備え、
前記磁性シートの厚さ方向に見たときに、前記第一のアンテナ部と第二のアンテナ部とはそれぞれ、少なくとも一部が前記導体地板と重なるように配置されたことを特徴とする薄型アンテナ。 - 前記第一のアンテナ部と前記第二のアンテナ部と前記導体地板とが自身の主面上に形成されたフィルム状の基材を備え、
前記主面が内側になるように折り返された前記基材の間に前記磁性シートが挟まれていることを特徴とする請求項1に記載の薄型アンテナ。 - 前記第一のアンテナ部と前記第二のアンテナ部と前記導体地板とが自身の主面上に形成されたフィルム状の基材を備え、
前記主面が外側になるように折り返された前記基材の間に前記磁性シートが挟まれていることを特徴とする請求項1に記載の薄型アンテナ。 - 前記磁性シートの厚さが200μm以上600μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の薄型アンテナ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の薄型アンテナと、
前記薄型アンテナにおける前記磁性シートの他方の面側に取り付けられた金属部材と、
を備えることを特徴とするアンテナユニット。 - 前記導体地板は、前記金属部材に電気的に統合されていることを特徴とする請求項5に記載のアンテナユニット。
- 前記金属部材は、携帯端末に内蔵されている蓄電池の外装部材であることを特徴とする請求項5または6に記載のアンテナユニット。
- 前記第一のアンテナ部はUHF帯の電波方式で動作するとともに、
前記第二のアンテナ部はHF帯の電磁誘導方式で動作することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のアンテナユニット。 - 前記導体地板は、前記第二のアンテナ部から生じる電磁誘導磁界の漏洩防止の遮断板としての機能を兼ねていることを特徴とする請求項8に記載のアンテナユニット。
- 前記磁性シートの厚さが200μm以上600μm以下であることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載のアンテナユニット。
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