JP5192140B2 - 廃瓦再生骨材を用いたコンクリート材及びコンクリート製品 - Google Patents

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Description

本発明は、コンクリートの骨材組成の全量を廃瓦再生骨材とするとともに、混和材を含
む配合条件を特定することにより品質を確保し、かつ、経済性を改善した廃瓦再生骨材を
用いたコンクリート材及びコンクリート製品に関する。
従来より、破砕又は粉砕した廃瓦をコンクリートの骨材として代替使用し、水及び結合
材と混練することにより固化したコンクリート製品の提案が知られている。(例えば、特
許文献1、2を参照。)
特開2000−34155号公報 特開2002−104865号公報
特許文献1記載の発明は、廃瓦を骨材として用いたセメント硬化体(コンクリート製品
)を得ているが、長期強度(材齢28日)は20N/mm2 に達していない。また、廃瓦を3〜5
mm程度(細骨材相当)に粒度調整することを推奨していることから、実施例製品はモルタ
ル製品であると推認される。なお、補強材には骨材として一般的な砂利を使用してもよい
との記載があることから、この発明には、コンクリート原料の骨材組成の全量を廃瓦再生
骨材とするというアイデアは認められない。当然のことながら、この場合に不可欠な混和
材の選択や配合条件について注目すべき点はなく、本願発明構成に影響を及ぼすものでは
ない。
特許文献2記載の発明は、廃瓦を細骨材(粒径3mm以下を推奨)として使用することを
特徴構成としている点で、技術動向としては先の特許文献1の発明内容から推移したもの
と解されるが、本願発明に関する目的効果との隔たりは拡大している。すなわち、廃瓦の
利用先を細骨材に特化した目的効果やコンクリート材の配合条件からして本願発明とは効
果において異質なものとなっている。
また、破砕又は粉砕した廃瓦をコンクリート原料の混和材として使用したコンクリート
製品の提案が知られている。(例えば、特許文献3を参照。)
特開2003−89560号公報
特許文献3記載の発明は、廃瓦を混和材(粒径3mm以下を推奨)として活用することを
特徴構成としている点で、技術動向としては先の特許文献2の発明内容から推移したもの
と解される。ここでは、廃瓦の微粉体がフライアッシュに比肩できるポゾラン活性を呈す
るという点に着目して混和材としての適用を見出している。しかしながら、廃瓦の利用先
を混和材に特化しており、本願発明構成との隔たりはより拡大している。すなわち、廃瓦
は骨材として使用されないので、本願発明とは効果において異質なものである。また、配
合条件において、混和材(廃瓦)のセメントに対する置換率は1/20程度であり、廃瓦の
再生利用(有効利用)である点は認められるとしても、使用量(消費量)は期待できるほ
どではないと言える。
解決しようとする課題は以下(1)〜(3)の点である。
(1)コンクリート材及びコンクリート製品への廃瓦再生骨材の混入率(重量%)を大
きくすることで、リサイクル率のアップを図る。
(2)コンクリートの骨材組成の全量を廃瓦再生骨材としたコンクリート材及びコンク
リート製品において、硬化前の性状(例えば、ワーカビリティ。)や硬化後の物性(例え
ば、圧縮強度。)に関する品質確保又は品質改善を実現する。あわせて、低コストのコン
クリート材及びコンクリート製品を提供する。
(3)全体として、マテリアルリサイクルの実現と、景観に配慮したコンクリート材及
びコンクリート製品を提供する。
課題を解決するために第1の解決手段は、コンクリート材料の中で、粗骨材、細骨材す
べてに破砕または粉砕した廃瓦を使用することを特徴とするものである。
第2の解決手段は、鉱物由来の微粉体からなる混和材を配合したことを特徴とするもの
である。
第3の解決手段は、廃瓦を粗骨材としても使用するため、破砕または粉砕時の粒形最大
寸法が30mm程度でよいことを特徴とするものである。
第4の解決手段は、細骨材、粗骨材は、30mm程度に破砕した廃瓦を細骨材、粗骨材に分
級したもの(以下、分級あり。)、または30mm程度に破砕した廃瓦を分級しないもの(以
下、分級なし。)と、分級の有無が選択可能であることを特徴とするものである。
第5の解決手段は廃瓦再生骨材を用いたコンクリート製品であって、コンクリート材を
凝結させ所定形状に賦型化してコンクリート硬化体を造形することを特徴とするものであ
る。
第6の解決手段は、前記コンクリート製品において、該セメント硬化体の造形表面の少
なくとも一部に研磨、洗い出し、刻設その他の表面加工を施した化粧面を形成してなるこ
とを特徴とするものである。
本発明によれば以下に挙げる効果を奏する。
(1)コンクリート骨材すべてに破砕または粉砕した廃瓦を使用することで、その混入
率は65〜70(重量%)と、リサイクル率のアップを図ることができる。
(2)混和材を配合することで、廃瓦再生骨材の微粒分を補い、硬化前の性状(例えば
、ワーカビリティ。)や硬化後の物性(例えば、圧縮強度30N/mm2。)に関する品質確保
又は品質改善を実現することができる。
(3)廃瓦の破砕または粉砕が粒形最大寸法の30mm程度でよいことや、分級作業の省力
化が可能となることで、低コストのコンクリート材及びコンクリート製品を提供すること
ができる。
(4)廃瓦を、骨材としてコンクリート材及びコンクリート製品に使用することで、マ
テリアルリサイクルを実現することができる。
(5)コンクリート製品において、その造形表面の少なくとも一部に研磨、洗い出し、
刻設その他の表面加工を施した化粧面を形成することで、景観性を向上させるとともに、
瓦の「風合い」を演出することができる。
本発明の実施の最良形態は、上記構成のコンクリート材において、再生骨材は、廃瓦を
破砕または粉砕後、粗骨材と細骨材に分級して、所定の細骨材率(s/a)で配合したも
のである。再生骨材は、廃瓦を破砕または粉砕後、30mm程度の篩を通過する廃瓦粒を分級
することなく配合する場合がある。
また、上記構成のコンクリート製品において、前記コンクリート材を凝結させ所定形状
に賦型化してセメント硬化体を造形し、該セメント硬化体の造形表面の少なくとも一部に
研磨、洗い出し、刻設その他の表面加工を施した化粧面を形成している。
本発明コンクリート材の一実施例に係る鉄筋コンクリート(RC)構造物に適用する場合について以下説明する。
実施例コンクリート材〔以下、RC材。〕は、骨材組成の全量を廃瓦再生骨材に代替するとともに、水/結合材比(W/B)に寄与する結合材組成としてセメント以外に少なくとも鉱物由来の微粉体からなる混和材を配合してなるものである。
表1に廃瓦再生骨材の物性、表2に配合条件をそれぞれ示す。廃瓦再生骨材については
、分級の有無を選択可能であるが、配合条件をやや異にするので、以下にそれぞれの場合
について説明する。
Figure 0005192140
Figure 0005192140
廃瓦再生骨材を分級して用いる場合、廃瓦を破砕又は粉砕後、篩下30mm以下の廃瓦粒と
し、さらに粗骨材と細骨材に分級して、所定の細骨材率(s/a)で配合している。
また、廃瓦再生骨材を分級なしで用いる場合、廃瓦を破砕又は粉砕後、篩下30mm以下の
廃瓦粒を、分級することなく使用する。その粗粒率は一般的に4.50〜5.20程度である。
なお、両者に共通して、混和材はフライアッシュ、PFBC灰、高炉スラグ微粉末、石
粉その他の微粉体であって、結合材全量に対する混入率を30重量%程度としている。
表3に硬化後のコンクリートの基礎物性を示す。分級あり、分級なし共に、材齢7日で
圧縮強度36N/mm2 、材齢28日で圧縮強度47N/mm2を確保している。ここで、単位体積質量が2.13t/m3 と軽量であることに着目されたい。
Figure 0005192140
本発明コンクリート材の他の実施例に係るプレストレストコンクリート(PC)構造物に適用する場合について以下説明する。
実施例コンクリート材〔以下、PC材。〕は、骨材組成の全量を廃瓦再生骨材に代替するとともに、水/結合材比(W/B)に寄与する結合材組成としてセメント以外に少なくとも鉱物由来の微粉体からなる混和材を配合してなるものである。ここでは、PC材の品質要求の高さを考慮して分級ありの廃瓦再生骨材を用いることを前提とする。
PC材に要求される圧縮強度(材齢28日)は、一般的にポストテンション方式の場合は40N/mm2以上、プレテンション方式の場合では50N/mm2 以上である。
そこで、これらのPC材に対応できる配合条件の一例を表4に示す。また、表5に硬化後の材齢とともに発現した圧縮強度の結果を示す。
Figure 0005192140
Figure 0005192140
表4、5から理解されるように、それぞれの配合条件でそれぞれの目標強度を十分に達成できている。なお、混和材はフライアッシュ、PFBC灰、高炉スラグ微粉末、石粉その他の微粉体であって、結合材全量に対する混入率は30重量%程度に維持される。
叙上のとおり、かわら(廃瓦再生骨材)は種々のコンクリート配合における骨材として代替適用可能であり、従来的な骨材に比して不利はなく、マテリアルリサイクルの有効性を確認できた。しかも、後述するように、用途開発の道筋も拡大可能である。
本発明コンクリート製品の一実施例について以下に説明する。
上記実施例コンクリート材(RC材又はPC材)のいずれかを凝結させ所定形状に賦型化してセメント硬化体を造形する。このコンクリート製品は、無筋コンクリート鉄筋コンクリート(RC)構造物又はプレストレストコンクリート(PC)構造物に適用が可能である。
具体的な製品としては、プレキャストコンクリート二次製品として工場製作される、カルバート製品、擁壁(L 型、重力式)、水路製品、下水道製品、道路用製品、魚礁、建築用製品、橋梁部材その他のPC製品などがある。
図1及び図2は、上記構成のコンクリート製品において、該セメント硬化体の造形表面の少なくとも一部に研磨、洗い出し、刻設その他の表面加工を施した化粧面を形成しており、景観性の向上と、瓦の「風合い」が演出されている。
本発明は、廃瓦のマテリアルリサイクル技術の確立に寄与し、もって産業上の利用可能性を拡大し、その発展に貢献することが期待できる点で、産業上の利用価値が高いものである。
実施例コンクリート製品の組織(表面研磨)の一例を示す図面代用写真である。 実施例コンクリート製品の組織(洗い出し)の他例を示す図面代用写真である。

Claims (3)

  1. 破砕または粉砕した廃瓦をコンクリートの骨材(廃瓦再生骨材に同じ)として使用し、水および結合材と混練することにより凝結させるようにしたコンクリート材において、
    30mm程度の篩を通過する篩下廃瓦粒を粗骨材と細骨材に分級して50重量%の細骨材率(s/a)で調製した廃瓦再生骨材と、フライアッシュ、PFBC灰、高炉スラグ微粉末、石粉その他の鉱物由来の微粉体から選ばれた混和材とを配合し、45重量%の水/結合材比(W/B)で混練し凝結させることにより得られる鉄筋コンクリート(RC)構造物に適用可能な材料物質であって、配合条件を含む以下の性質を有することを特徴とする廃瓦再生骨材を用いたコンクリート材。
    (1)骨材組成の全量が廃瓦再生骨材である。
    (2)結合材全量に対する混和材の混入率が30重量%である。
    (3)混和材を含む結合材と廃瓦再生骨材との成分間の重量配合比が略1:3である。
    (4)硬化後(セメント硬化体)の発現強度初期圧縮強度(材齢7日)36N/mm 2 、かつ、長期圧縮強度(材齢28日)47N/mm 2 を確保している。
  2. 破砕または粉砕した廃瓦をコンクリートの骨材(廃瓦再生骨材に同じ)として使用し、水および結合材と混練することにより凝結させるようにしたコンクリート材において、
    30mm程度の篩を通過する篩下廃瓦粒を粗骨材と細骨材に分級して50重量%の細骨材率(s/a)で調製した廃瓦再生骨材と、フライアッシュ、PFBC灰、高炉スラグ微粉末、石粉その他の鉱物由来の微粉体から選ばれた混和材とを配合し、29.1〜32.0重量%の水/結合材比(W/B)で混練し凝結させることにより得られるプレストレストコンクリート(PC)構造物に適用可能な材料物質であって、配合条件を含む以下の性質を有することを特徴とする廃瓦再生骨材を用いたコンクリート材。
    (1)骨材組成の全量が廃瓦再生骨材である。
    (2)結合材全量に対する混和材の混入率が30重量%である。
    (3)混和材を含む結合材と廃瓦再生骨材との成分間の重量配合比が略1:2.5〜2.9である。
    (4)硬化後(セメント硬化体)の発現強度が長期圧縮強度(材齢28日)66N/mm 2 〜79N/mm 2 を確保している。
  3. 廃瓦再生骨材を用いたコンクリート製品において、
    請求項1又は2記載のコンクリート材を凝結させ所定形状に賦型化してセメント硬化体を造形するとともに、該セメント硬化体の造形表面の少なくとも一部に研磨、洗い出し、刻設その他の表面加工を施した化粧面を形成してなることを特徴とする廃瓦再生骨材を用いたコンクリート製品。
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