JP5190287B2 - 地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物 - Google Patents

地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物 Download PDF

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本発明は、地盤に中空円管を水平方向に隣接して打設することによって形成した側壁と、上床版及び下床版とによって雨水貯留空間が形成されるとともに、この雨水貯留空間の内部に中空円管からなる中間柱を立設することによって構築した地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物に関する。
近年の都市化や宅地開発に伴い、雨水が地下に浸透しきれずに流出する問題が増加している。この対策の一環として、地下に雨水を一時的に貯留する大容量の雨水貯留構造物の構築が図られている。
従来、このような大容量の雨水貯留構造物は、上床版、下床版及び側壁をそれぞれ場所打ちコンクリートによって構築されるのが一般的であった。しかし、場所打ちコンクリート工法による工期の長期化などの問題を改善するため、近年では、下記特許文献1、2に示されるように、プレキャストコンクリートによる工法やPC壁体による工法などが採用されるようになってきた。
下記特許文献1では、平面形状が同等または近似した底面板部と上面板部の左右方向の中間点に支柱板部を直角に連接した縦断面I字形の本体部用ブロックを前後方向に隣接し、左右方向に離隔して配置し、左右の本体部用ブロックの底面開放部を中間底面板で閉塞し、上面開放部を中間上面板で閉塞し、このブロック群の前後左右の側面開放部を、隣接配置もしくは離隔配置した縦断面コ字形の周辺部用ブロックで閉塞して構成した雨水貯留槽が提案されている。
また、下記特許文献2では、PC壁と床版コンクリートとの結合部において、前記PC壁の外周部に予め切欠部を形成し、この切欠部に水膨張性止水材を介在させて床版コンクリートを打設する止水構造が提案されている。
一方、近年における雨水貯留構造物では、周辺への流出を抑制した構造ばかりでなく、例えば下記特許文献3、4に示されるように、貯留した雨水を地中に排出し、地下水を涵養する機能を備えたものも提案されている。
具体的に下記特許文献3では、貯留空間を形成する壁部、上床部および底部を備え、前記壁部または底部には貯留空間に連通した浸透孔が設けられ、地下に埋設されて、前記貯留空間に貯留された雨水を前記浸透孔を介して地中に浸透させる雨水貯留浸透槽が提案されている。
また、下記特許文献4では、方形の天板及び底板の角部を柱状部で平行に結合した側面に開口部を有する箱型のプレキャストコンクリートブロックを複数形成し、このコンクリートブロックを長さ方向及び幅方向に並べて長さ方向及び幅方向に連続する貯水空間を有する構造体を形成し、この構造体の周囲に通水用開口部を設けた雨水地下浸透構造物が提案されている。
特開平6−299591号公報 特開平11−36334号公報 特開平11−61953号公報 特開2005−155229号公報
しかしながら、上記特許文献1に係るプレキャストコンクリートによる工法では、図11に示されるように、雨水貯留構造物50の周囲に仮設土留め壁51を構築した上でコンクリートブロック52、52…を配設する必要があるため、仮設土留め壁51を構築するための工数が余計に掛かっていた。また、雨水貯留空間に配設されたコンクリートブロック52、52…の容積分だけ雨水の貯留容量が減少するため、空間の有効利用が十分に図れていないなどの問題があった。
また、上記特許文献2に係るPC壁体による工法では、図12に示されるように、雨水貯留構造物60の周囲に複数のPC中空杭61、61…を隣接して打設することによりPC壁体62が構築されるようになっている。このPC壁体62は、雨水貯留構造物60の躯体側壁としての利用のみならず、仮設土留め壁としても兼用できるため、仮設土留め壁を別途構築する必要がないという点で前述のプレキャストコンクリートによる工法よりも工期の短縮及び省力化を図ることができるようになる。ところが、PC中空杭61が高価なため工費が嵩むという課題があった。また、PC中空杭61の内部空間は、中掘工法による打設時に利用されるだけで、構築後の内部空間の利用までは行われていなかった。このように従来の雨水貯留構造物では、構築方法のさらなる省力化及び工費の低減などが求められていた。
一方、上記特許文献3、4に係る雨水貯留構造物はいずれも、底部又は壁部に開孔を設けることによって貯留した雨水を地下に浸透させようとしたものである。ところが、このような雨水貯留構造物では、地下水位が前記開孔より低い場合には問題ないのであるが、地下水位が前記開孔より高い場合には、貯留した雨水を地下に浸透できないばかりでなく、逆に地下水が前記開孔から貯留構造物内に浸透してしまい、大雨時に十分な貯留量を確保できないという問題があった。
さらに、貯留した雨水は、単に地下水を涵養するだけでなく、ヒートアイランド現象の改善、生態系の保全など健全な水循環に関わる多用な形で有効活用することが期待されている。
そこで本発明の主たる課題は、構築方法のさらなる省力化及び工費の低減を図るとともに、貯留空間の有効利用を図り、且つ雨水貯留構造物に任意の地下水位に対応可能な浸透機能を付加するとともに、貯留した雨水の治水及び利水機能を併せ持つ地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物を提供することにある。
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、地盤に中空円管を水平方向に隣接して打設することによって形成した側壁と、上床版及び下床版とによって雨水貯留空間が形成されるとともに、この雨水貯留空間の内部に中空円管からなる中間柱を立設した雨水貯留構造物であって、
前記中空円管群の内の一部は、外部からの雨水を管内に流入させる雨水流入口が形成されるとともに、この雨水流入口から管内に流入した雨水を前記雨水貯留空間に流出させる雨水流出孔が形成された雨水流入用中空円管とされ、
前記中空円管群の内の他の一部は、前記下床版を越えて深層側地盤に延在して打設されるとともに、前記雨水貯留空間に対応する管壁部分に、管内への流入のみを許容する逆止弁を備えることによって管内へ雨水を流入させる雨水流入孔が形成され、前記深層側地盤中に打設された管壁部分に、地盤への流出のみを許容する逆止弁を備えることによって地盤へ雨水を排出させる地盤浸透孔が形成された地盤浸透用中空円管とされることを特徴とする地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物が提供される。
上記請求項1記載の発明では、地盤に中空円管を水平方向に隣接して打設することによって雨水貯留構造物の側壁が形成されているため、この側壁が雨水貯留構造物の躯体側壁を構成するとともに、前記中空円管は仮設土留め壁としても兼用できるため、当該構造物の構築方法の省力化及び工費の低減を図ることができる。
また、雨水貯留構造物を構成する側壁及び中間柱を中空円管によって構成し、この中空円管群の内の一部は、雨水流入用中空円管として、外部からの雨水を管内に流入させる雨水流入口が形成されるとともに、この雨水流入口から管内に流入した雨水を前記雨水貯留空間に流出させる雨水流出孔が形成され、また前記中空円管群の内の他の一部は、下床版を越えて深層側地盤に延在して打設されるとともに、前記雨水貯留空間に対応する管壁部分に、管内への流入のみを許容する逆止弁を備えることによって管内へ雨水を流入させる雨水流入孔が形成され、前記深層側地盤中に打設された管壁部分に、地盤への流出のみを許容する逆止弁を備えることによって地盤へ雨水を排出させる地盤浸透孔が形成された地盤浸透用中空円管とされる。
従って、周辺地盤の地下水位が前記地盤浸透孔より低い場合には、貯留した雨水を地盤へ排出でき、且つ前記地下水位が前記地盤浸透孔より高い場合には、前記地盤浸透用中空円管中の雨水水位の方が地下水位よりも高くなるように水頭差を持たせるように制御することで、どのような地下水位であっても、貯留した雨水を地盤へ排出できるようになる。また、地下水位が前記地盤浸透用中空円管の雨水水位より高くなっても地盤浸透孔に備えられた逆止弁によって地下水が流入しないため、雨水貯留量が減少するのを防止できる。
請求項2に係る本発明として、前記中空円管として、プレテンション方式による遠心力高強度コンクリート杭(PHC杭)を用いている請求項1記載の地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物が提供される。
上記請求項2記載の発明では、前記中空円管として、広く汎用されている、プレテンション方式による遠心力高強度コンクリート杭(PHC杭)を用いることによって、材料コストを削減できるとともに、設計変更にも比較的容易に対応できるようになる。
請求項3に係る本発明として、前記中空円管のさらに他の一部は、前記雨水貯留空間に貯留された雨水を管内に流入させる雨水流入孔が形成されるとともに、管内から地上まで連続した毛管部材が配設された利水用中空円管とされている請求項1、2いずれかに記載の地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物が提供される。
上記請求項3記載の発明では、前記中空円管のさらに他の一部を、前記雨水貯留空間に貯留された雨水を管内に流入させる雨水流入孔が形成されるとともに、管内から地上まで連続した毛管部材が配設された利水用中空円管とすることによって、前記雨水貯留空間に貯留された雨水を、前記毛管部材の毛管現象を利用して地上まで吸い上げ、樹木の育成や舗装材を湿潤状態に保つことなどへの利用に供するようにし、生態系の保全やヒートアイランド現象の改善などの利水機能を備えることができるようになる。
請求項4に係る本発明として、前記雨水流入口には、管内に流入する雨水を濾過するための濾過装置が設けられている請求項1〜3いずれかに記載の地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物が提供される。
上記請求項4記載の発明は、雨水流入口に、管内に流入する雨水を濾過するための濾過装置を設けることによって、雨水貯留空間への夾雑物、泥土、油分等の侵入を抑制し、前記地盤浸透用中空円管の雨水流入孔及び地盤浸透孔に備えられる逆止弁の目詰まりを防止するようにしたものである。
請求項5に係る本発明として、前記雨水貯留空間内に貯留された雨水を汲み上げて、前記地盤浸透用中空円管の管内に供給するための揚水ポンプが設けてある請求項1〜4いずれかに記載の地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物が提供される。
請求項6に係る本発明として、前記地盤浸透用中空円管の管内を負圧にすることによって、前記雨水貯留空間内に貯留された雨水を前記浸透用流入孔を通して管内に流入させるための真空ポンプが設けてある請求項1〜4いずれかに記載の地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物が提供される。
上記請求項5、6記載の発明は、地下水位が高い場合に強制的に貯留した雨水を地盤へ排出するためのものである。すなわち、上記請求項5記載の発明では、前記雨水貯留空間内に貯留された雨水を汲み上げて、前記地盤浸透用中空円管の管内に供給するための揚水ポンプを、また上記請求項6記載の発明では、地盤浸透用中空円管の管内を負圧にすることによって、前記雨水貯留空間内に貯留された雨水を前記浸透用流入孔を通して管内に流入させるための真空ポンプを設けることにより、それぞれ地盤浸透孔が形成された地盤浸透用中空円管内の水位を地下水位より高くして、その水頭差を利用して雨水を地盤へ排出できるようにしたものである。
請求項7に係る本発明として、前記中空円管には、ウォータージェットノズルを挿入するためのノズル挿入孔が形成されている請求項1〜6いずれかに記載の地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物が提供される。
上記請求項7記載の発明は、中空円管に、ウォータージェットノズルを挿入するためのノズル挿入孔を形成することによって、逆止弁の清掃や管内壁面の清掃ができるようにしたものである。
以上詳説のとおり本発明によれば、構築方法のさらなる省力化及び工費の低減を図るとともに、貯留空間の有効利用を図り、且つ、雨水貯留構造物に任意の地下水位に対応可能な浸透機能を付加するとともに、貯留した雨水の治水及び利水機能を併せ持つ地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物が提供できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。図1は本発明に係る地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物1の縦断面図、図2はその平面図である。
前記雨水貯留構造物1は、地盤に複数の中空円管2を水平方向に隣接して打設するとともに、隣接する中空円管2、2の間に止水構造15を施すことによって形成した、平面視で閉合形状の側壁3と、プレキャストコンクリート又は現場打ちコンクリートなどからなる上床版4及び下床版5とによって囲まれた雨水貯留空間6が形成されるとともに、この雨水貯留空間6の内部に中空円管2からなる中間柱7、7…を立設した構造である。
そして、前記側壁3及び中間柱7、7…を構成する中空円管群2、2…の内、一部は、外部からの雨水を雨水貯留構造物1内に流入するための雨水流入用中空円管2Aとされている。この雨水流入用中空円管2Aには、図3に示されるように、外部からの雨水を管内に流入する、該中空円管の上端開口部である雨水流入口8が形成されるとともに、この雨水流入口8から管内に流入した雨水を雨水貯留空間6に流出する、中空円管2の下方の管壁部分に設けられた開孔である雨水流出孔9が形成されている。前記雨水流出孔9は、管壁面を貫通する開孔であればよく、管内と雨水貯留空間6との間の流通は双方向から自由に行われるようになっている。また、前記雨水流入口8には、管内に流入する雨水中の夾雑物や泥土などを除去するための濾過装置14が備えられている。
前記側壁3及び中間柱7、7…を構成する中空円管群2、2…の内、上記雨水流入用中空円管2A、2A…として使用される以外の中空円管群2、2…の内の一部は、下床版5を越えて深層側地盤に延在して打設され、雨水貯留構造物1内に貯留した雨水を地下に涵養するための浸透用中空円管2Bとされている。この浸透用中空円管2Bには、図4に示されるように、雨水貯留空間6に対応する管壁部分に、管内への流入のみを許容する逆止弁10を備えることによって管内へ雨水を流入させる雨水流入孔11が形成されるとともに、深層側地盤中に打設された管壁部分に、地盤への流出のみを許容する逆止弁12を備えることによって地盤へ雨水を排出させる地盤浸透孔13が形成されている。
前記側壁3として使用される中空円管2、2…は、少なくとも所定の根入れ長を確保して地盤に打設することによって、雨水貯留構造物1の躯体側壁3を構成するとともに、仮設土留め壁としても兼用できるようになっている。このため、本発明に係る雨水貯留構造物1では、別途仮設土留め壁を構築する必要がなくなり、工事の省力化及び工期の短縮化を図ることができるようになる。
前記雨水流入用中空円管2A以外の中空円管は、支持杭として利用することによって、上床版4に加わる荷重を支持できるようにすることができる。従って、前記浸透用中空円管2Bは支持地盤まで延在させるようにし、前記雨水流入用中空円管2Aは、図1に示されるように、下床版5上に支持されるようにすることが好ましい。
前記中空円管2としては、プレテンション方式による遠心力高強度コンクリート杭(PHC杭)を用いることが望ましい。前記側壁3を構成する中空円管2及び前記下床版5を越えて深層側地盤に延在して打設される中空円管2は、公知の杭打ち工法によって打設することができるが、本発明では地盤浸透用中空円管2Bに前記逆止弁10、12が設置される関係上、その養生のために、予め地盤を削孔又は緩めた部分に杭を挿入設置するプレボーリング工法などが好適に採用される。この場合、前記中空円管2とボーリング孔との隙間部分には、砕石など透水性に優れた材料を充填することが望ましい。
前記止水構造15は、図5に示されるように、側壁3を構成する中空円管2の水平方向に隣接する接続部の外面に、予め軸方向に沿って縦溝2aを形成しておき、前記中空円管2、2を隣接配置したときに当該縦溝2a、2aによって形成される止水空間において公知の手段によって止水を施したものである。なお、図示例では、前記止水空間の各縦溝2a、2a内にそれぞれ軸方向に所定間隔でスペーサー15a、15aを配設するとともに、これらスペーサー15a、15a間に同じく軸方向に連続した止水板15bを架け渡すように配設した止水構造15としている。
前記逆止弁10、12は、一方向にのみ雨水の流通を許容する、スイング式逆止弁、デュアルプレート式逆止弁など公知の方式の逆止弁を使用することができる。また、図6に示されるように、例えば、地盤浸透孔13の管内側に、該孔を所定の高さに仕切る仕切板12aと、雨水流通方向に仕切る垂直壁12b、12cとによって、管内側に開放した下部槽12dと、管外側に開放した上部槽12eとを形成し、かつ前記仕切板12aの中央部に下部槽12d及び上部槽12eを連通する開口12fを形成するとともに、この開口12fを弁座として上部に弁体12gを配設することによって管内から地盤への流出のみを許容した逆止弁12とすることも可能である。かかる逆止弁12は、管内の水位が管外の地下水位より高い場合には、図6(A)に示されるように、前記下部槽12dに流入した雨水が弁体12gを押し上げて上部槽12e側に流出し、管外に排出できる構造となっており、一方、管内の水位が管外の地下水位より低い場合には、同図(B)に示されるように、地下水が上部槽12eに流入しても前記開口12fが弁体12gで閉塞されることにより、管内には流入できない構造となっている。また、雨水流入孔11に備えられる逆止弁10は、前記逆止弁12とは逆向きに配設することによって、管内への流入のみを許容する逆止弁10とすることができる。なお、これら逆止弁10、12は、カセット式として、雨水流入孔11及び地盤浸透孔13にそれぞれ着脱自在に設けることによって、目詰まりなどが生じても容易に交換できるようにすることが好ましい。
また、前記側壁3及び中間柱7、7…を構成する中空円管群2、2…の内、上記雨水流入用中空円管2A、2A…及び地盤浸透用中空円管2B、2B…として使用される以外の中空円管群2、2…の内の一部は、貯留した雨水を有効利用するための利水用中空円管2Cとされている。この利水用中空円管2Cには、図1に示されるように、雨水貯留空間6に対応する管壁部分に、雨水貯留空間6に貯留された雨水を管内に流入させる雨水流入孔16が形成されるとともに、この管内から地上まで連続した毛管部材17が配設されている。前記雨水流入孔16は、管壁面を貫通する開孔であればよく、管内と雨水貯留空間6との間の流通は双方向から自由に行われるようになっている。
前記毛管部材17は、管内から地上に至るまで連続的に形成された細管状部材、繊維状部材などからなる、液体の表面張力によって液体が当該部材に沿って移動可能に構成されたものである。図1に示されるように、この毛管部材17を利水用中空円管2C内部から植生された地盤まで連続して配設することによって、毛管部材17の毛管現象を利用して管内の雨水を供給したり、或いは舗装材を湿潤状態に保つことなどにより、生態系の保全やヒートアイランド現象の改善などを図ることができるようになる。
なお、雨水貯留空間6に貯留された雨水は、送水ポンプ30によって河川31に排水可能とし、雨水貯留量の調整を行えるようにするのが望ましい。
次に、前記雨水貯留構造物1の雨水の流れについて詳述する。
図7は、地上からの雨水流入時の雨水の流れを模式的に示した雨水貯留構造物1の縦断面図である。地上からの雨水は、雨水流入口8に配設された濾過装置14を通過する際に夾雑物、泥土、油分等が除去された上で、雨水流入用中空円管2A内に流入し、下部の雨水流出孔9から雨水貯留空間6に流出する。この雨水貯留空間6に貯留される雨水は、前記地盤浸透用中空円管2Bの雨水流入孔11に備えられた逆止弁10を通過して地盤浸透用中空円管2B内に流入する。その後、地盤浸透用中空円管2Bに流入した雨水は、図示例のように、地盤浸透用中空円管2B内の水位が地下水位より上昇すると、その水頭差により、前記地盤浸透孔13に備えられた逆止弁12を通過して地盤へ排出するようになっている。
また前記利水用中空円管2Cでは、雨水貯留空間6の水位上昇に伴って、雨水が雨水流入孔16から管内に流入し、前記毛管部材17が雨水に浸かる。すると、雨水は、毛管現象によって毛管部材17を上昇し、植物の根元近傍の植生地盤などに拡散して、生態系の保全やヒートアイランド現象の改善などに利用されるようになっている。
一方、地上からの雨水流入が停止し、雨水貯留空間6の水位が地盤中の地下水位より低くなると、地盤浸透孔13からの排出が止まり、地下水の涵養が行われなくなる。このような場合の第1の対策手段として、図8に示されるように、雨水貯留空間6内に貯留された雨水を汲み上げて、前記地盤浸透用中空円管2Bの管内に供給するための揚水ポンプ18を設けるようにする。これにより、雨水貯留空間6内の水位が地盤中の地下水位より低くても、地盤浸透用中空円管2Bの水位を強制的に上昇させることができ、その水頭差により前記地盤浸透孔13に備えられた逆止弁12を通過して地盤へ排出されるようになる。
また、第2の対策手段として、図9に示されるように、前記地盤浸透用中空円管の管内を負圧にすることによって、雨水貯留空間6内に貯留された雨水を、雨水流入孔11を通して管内に流入させるための真空ポンプ19を設けるようにする。同図(A)に示されるように、この真空ポンプ19を稼働して地盤浸透用中空円管2B内を負圧にすることにより雨水貯留空間6の雨水が雨水流入孔11から逆止弁10を通過して管内に流入し、同図(B)に示されるように、地盤浸透用中空円管2Bの水位を強制的に上昇させることができるようになる。これにより、地下水位との水頭差を利用して、管内の雨水を前記地盤浸透孔13に備えられた逆止弁12を通過させ地盤へ排出することができるようになる。また、地盤浸透用中空円管2B内を加圧することにより、地盤浸透用中空円管2B内の雨水を強制排出するようにしてもよい。
次いで、前記雨水貯留構造物1の維持管理のための構造について詳述する。
先ず、雨水貯留構造物1には、前記濾過装置14による夾雑物、泥土、油分等の除去に加えて、泥土の沈降除去機能を備えるようにしてもよい。具体的には、雨水流入用中空円管2Aの管壁部分に設けられる雨水流出孔9より下方に、ある程度の深度で管長を確保し、雨水の一時滞留部とする。この一時滞留部に一時的に雨水を滞留させることにより、雨水に混入した泥土類を沈降除去させ、雨水貯留空間6内への泥土の流入を抑止することができる。これによって、前記逆止弁10、12の目詰まりも防止できるようになる。
また、図10に示されるように、中空円管2には、逆止弁10、12の清掃や管内壁面を清掃するため、ウォータージェットノズルを挿入するためのノズル挿入孔20を設けることができる。このノズル挿入孔20は、同図(A)に示されるように、通常は蓋21を設けておき、点検・洗浄時にこの蓋21を開けてウォータージェットノズル22を挿入する(同図(B))。
一方、前記中空円管2は、前記逆止弁10、12の交換や管内の清掃などのため、上端開口部から管内に侵入できる構造としておくことが好ましい。この場合、上端開口部には、取り外し可能な蓋を設置するようにする。
本発明に係る雨水貯留構造物1の縦断面図である。 その平面図である。 雨水流入用中空円管2Aを示す縦断面図である。 地盤浸透用中空円管2Bを示す縦断面図である。 止水構造15を示す、(A)は図2のIV部分の拡大図、(B)はそのB部分の拡大図である。 逆止弁12を示す地盤浸透孔13部分の拡大断面図である。 雨水の流れを示す、雨水貯留構造物1の縦断面図(その1)である。 雨水の流れを示す、雨水貯留構造物1の縦断面図(その2)である。 雨水の流れを示す、雨水貯留構造物1の縦断面図(その3)である。 ノズル挿入孔20を示す、中空円管2の縦断面図である。 従来の雨水貯留構造物50を示す、(A)は縦断面図、(B)は平面図である。 従来の雨水貯留構造物60を示す、(A)は縦断面図、(B)は平面図、(C)はC部分の拡大図である。
符号の説明
1…雨水貯留構造物、2…中空円管、2A…雨水流入用中空円管、2B…地盤浸透用中空円管、2C…利水用中空円管、3…側壁、4…上床版、5…下床版、6…雨水貯留空間、7…中間柱、8…雨水流入口、9…雨水流出孔、10・12…逆止弁、11…雨水流入孔、13…地盤浸透孔

Claims (7)

  1. 地盤に中空円管を水平方向に隣接して打設することによって形成した側壁と、上床版及び下床版とによって雨水貯留空間が形成されるとともに、この雨水貯留空間の内部に中空円管からなる中間柱を立設した雨水貯留構造物であって、
    前記中空円管群の内の一部は、外部からの雨水を管内に流入させる雨水流入口が形成されるとともに、この雨水流入口から管内に流入した雨水を前記雨水貯留空間に流出させる雨水流出孔が形成された雨水流入用中空円管とされ、
    前記中空円管群の内の他の一部は、前記下床版を越えて深層側地盤に延在して打設されるとともに、前記雨水貯留空間に対応する管壁部分に、管内への流入のみを許容する逆止弁を備えることによって管内へ雨水を流入させる雨水流入孔が形成され、前記深層側地盤中に打設された管壁部分に、地盤への流出のみを許容する逆止弁を備えることによって地盤へ雨水を排出させる地盤浸透孔が形成された地盤浸透用中空円管とされることを特徴とする地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物。
  2. 前記中空円管として、プレテンション方式による遠心力高強度コンクリート杭(PHC杭)を用いている請求項1記載の地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物。
  3. 前記中空円管のさらに他の一部は、前記雨水貯留空間に貯留された雨水を管内に流入させる雨水流入孔が形成されるとともに、管内から地上まで連続した毛管部材が配設された利水用中空円管とされている請求項1、2いずれかに記載の地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物。
  4. 前記雨水流入口には、管内に流入する雨水を濾過するための濾過装置が設けられている請求項1〜3いずれかに記載の地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物。
  5. 前記雨水貯留空間内に貯留された雨水を汲み上げて、前記地盤浸透用中空円管の管内に供給するための揚水ポンプが設けてある請求項1〜4いずれかに記載の地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物。
  6. 前記地盤浸透用中空円管の管内を負圧にすることによって、前記雨水貯留空間内に貯留された雨水を前記雨水流入孔を通して管内に流入させるための真空ポンプが設けてある請求項1〜4いずれかに記載の地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物。
  7. 前記中空円管には、ウォータージェットノズルを挿入するためのノズル挿入孔が形成されている請求項1〜6いずれかに記載の地盤浸透機能を備えた雨水貯留構造物。
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