JP5187295B2 - 日射遮蔽用合わせ構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の車両用の安全ガラス、建築用窓ガラス等として用いられる日射遮蔽用合わせ構造体に係り、例えばヘイズ値が0.4%以下で、接着性も良好で、かつ、高い可視光透過率の条件下においても良好な日射遮蔽機能を有する日射遮蔽用合わせ構造体に関するものである。
従来、自動車用等の安全ガラスとしては、2枚の板ガラス間に日射遮蔽機能を有する介在層を挟み込んで合わせガラスを構成し、合わせガラスから入る太陽エネルギーを遮断して冷房負荷や人の熱暑感の軽減を目的としたものが提案されている。
例えば、特許文献1には、少なくとも2枚の板ガラスの間に、Sn、Ti、Si、Zn、Zr、Fe、Al、Cr、Co、Ce、In、Ni、Ag、Cu、Pt、Mn、Ta、W、V、Moの金属、この酸化物、窒化物、硫化物あるいはSbやFのドープ物またはこれ等の複合物をビニル系樹脂に分散した中間膜を設け、この中間膜を上記介在層とした合わせガラスが開示されている。
また、特許文献2には、少なくとも2枚の透明ガラス板状体の間に3層から成る中間膜を設け、第2層の中間膜を、Sn、Ti、Si、Zn、Zr、Fe、Al、Cr、Co、In、Ni、Ag、Cu、Pt、Mn、Ta、W、V、Moの金属、この酸化物、窒化物、硫化物あるいはSbやFのドープ物またはこれ等の複合物がビニル系樹脂に分散した層で構成し、かつ、第1層と第3層の中間膜を樹脂層で構成した合わせガラスも提案されている。
ところで、特許文献1〜2に記載された従来の合わせガラスにおいては、上記中間膜の樹脂成分であるビニル系樹脂内に錫含有酸化インジウム(ITO)微粒子等の日射遮蔽成分を高濃度に分散させた場合に中間膜のへイズが高くなる欠点があり、例えば、ヘイズ値が0.4%以下程度の値となる配合量のITOを分散させて合わせガラスを構成した場合、可視光透過率が72%前後の条件下においてその日射透過率が40%未満となる合わせガラスを得ることが困難な問題点が存在した。
更に、ヘイズ値が0.4%以下程度の値となる配合量の錫含有酸化インジウム(ITO)微粒子を分散させて可視光透過率が72%前後の条件下における日射透過率42〜46%程度(日射透過率が40%以上)の合わせガラスを製造することは可能であるが、中間膜に分散させるITO微粒子は高額な材料のため、可視光透過率が72%前後の条件下における日射透過率が40%以上程度の合わせガラスであってもその製造コストが高くなる問題点が存在した。
特開平8−259279号公報(段落番号0012) 特開平10−297945号公報(段落番号0018)
本発明はこの様な問題点に着目してなされたもので、その課題とするところは、ヘイズ値が0.4%以下かつ可視光透過率が72%前後の条件下における日射透過率が42〜46%程度の日射遮蔽用合わせ構造体について低コストで製造することが可能な日射遮蔽用合わせ構造体を提供することにある。
そこで、上記課題を解決するため本発明者等が鋭意研究を行った結果、ビニル系樹脂と相違して、日射遮蔽成分を高濃度に分散させてもヘイズ値が0.4を越え難いアルキルシリケート若しくはアクリル系樹脂を発見し、かつ、日射遮蔽機能に優れた日射遮蔽成分を見出すに至った。本発明はこの様な技術的発見に基づき完成されたものである。
すなわち、請求項1に係る発明は、
日射遮蔽機能を有する介在層が少なくとも2枚の透明ガラス若しくはプラスチックの板状体間に介在する日射遮蔽用合わせ構造体を前提とし、
延性フィルム基板の片面側にアクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂と六ホウ化物微粒子とアンチモン含有酸化錫微粒子を含む日射遮蔽層が形成された日射遮蔽フィルムの日射遮蔽層により上記介在層が構成され、一方の板状体の合わせ面側に上記日射遮蔽フィルムの日射遮蔽層が接触するように配置され、他方の板状体の合わせ面側と上記日射遮蔽フィルムの延性フィルム基板側との間にビニル系樹脂を主成分とする中間膜が配置されると共に、可視光透過率が72%において日射透過率が42〜46%、ヘイズ値が0.4%以下の光学特性を有し、かつ、六ホウ化物微粒子が分散された六ホウ化物微粒子分散液と、アンチモン含有酸化錫微粒子が分散されたアンチモン含有酸化錫微粒子分散液とを混合して混合液を調製し、この混合液に、アクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂が混合されて成る日射遮蔽層形成用塗布液を用いて、上記アクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂と六ホウ化物微粒子とアンチモン含有酸化錫微粒子を含む日射遮蔽層が延性フィルム基板の片面側に形成されていることを特徴とし、
請求項2に係る発明は、
日射遮蔽機能を有する介在層が少なくとも2枚の透明ガラス若しくはプラスチックの板状体間に介在する日射遮蔽用合わせ構造体を前提とし、
片面側にアクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂と六ホウ化物微粒子とアンチモン含有酸化錫微粒子を含む日射遮蔽層が形成されたビニル系樹脂を主成分とする中間膜の上記日射遮蔽層により介在層が構成され、一方の板状体の合わせ面側に上記中間膜の日射遮蔽層が接触し、他方の板状体の合わせ面側に上記中間膜の反対側が接触するように配置されると共に、可視光透過率が75%において日射透過率が42〜46%、ヘイズ値が0.4%以下の光学特性を有し、かつ、六ホウ化物微粒子が分散された六ホウ化物微粒子分散液と、アンチモン含有酸化錫微粒子が分散されたアンチモン含有酸化錫微粒子分散液とを混合して混合液を調製し、この混合液に、アクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂が混合されて成る日射遮蔽層形成用塗布液を用いて、上記アクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂と六ホウ化物微粒子とアンチモン含有酸化錫微粒子を含む日射遮蔽層が中間膜の片面側に形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項3に係る発明は、
請求項1または2に記載の発明に係る日射遮蔽用合わせ構造体を前提とし、
一方の板状体の合わせ面側と上記日射遮蔽層との間に接着層が介在していることを特徴とし、
請求項4に係る発明は、
請求項1または2に記載の発明に係る日射遮蔽用合わせ構造体を前提とし、
上記六ホウ化物微粒子の比表面積が10m2/g以上、アンチモン含有酸化錫微粒子の比表面積が90m2/g以下であることを特徴とし、
請求項5に係る発明は、
請求項1〜4のいずれかに記載の発明に係る日射遮蔽用合わせ構造体を前提とし、
上記六ホウ化物微粒子のL表色系における粉体色Lが30〜51、aが−5〜10、bが−10〜2で、アンチモン含有酸化錫微粒子のL表色系における粉体色Lが45〜65、aが−5〜−1、bが−11〜−1であることを特徴とするものである。
請求項1〜5記載の発明に係る日射遮蔽用合わせ構造体によれば、
ビニル系樹脂を主成分とし少なくとも2枚の板状体を接着させる中間膜に加えて、アクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂と六ホウ化物微粒子とアンチモン含有酸化錫微粒子を含有し上記介在層として作用する日射遮蔽層が組込まれている。
そして、上記アクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂内に日射遮蔽成分を高濃度に分散させても日射遮蔽層のヘイズ値が0.4%を越え難く、しかも、日射遮蔽層に分散される六ホウ化物微粒子は従来のITO等の日射遮蔽成分と較べその日射遮蔽機能に優れているため日射遮蔽成分の配合量を低減することが可能となり、かつ、上記構造を有していることから適度の接着性を有している。
従って、日射遮蔽成分について六ホウ化物微粒子と安価なアンチモン含有酸化錫(ATO)微粒子で構成することにより、ヘイズ値が0.4%以下かつ可視光透過率が72%前後の条件下における日射透過率が42〜46%程度の日射遮蔽用合わせ構造体を低コストで製造できる効果を有する。
本発明に係る日射遮蔽用合わせ構造体の構成断面図。 本発明の変形例に係る日射遮蔽用合わせ構造体の構成断面図。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明に係る第一の日射遮蔽用合わせ構造体は、図1に示すように一対の透明ガラス若しくはプラスチックの板状体1、5と、その間に配置された日射遮蔽フィルム10並びに中間膜4とでその主要部が構成されている。
また、上記日射遮蔽フィルム10は、延性フィルム基板3と、この片面側に形成されたアクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂と六ホウ化物微粒子とアンチモン含有酸化錫微粒子を含有する日射遮蔽層2とで構成されており、この日射遮蔽層2が一方の板状体1の合わせ面側に接触するように配置されていると共に、他方の板状体5の合わせ面側と上記日射遮蔽フィルム10の延性フィルム基板3側との間にビニル系樹脂を主成分とする上記中間膜4が配置されていることを特徴としている。
他方、本発明に係る第二の日射遮蔽用合わせ構造体は、図2に示すように一対の透明ガラス若しくはプラスチックの板状体1、5と、その間に配置された中間膜4並びにこの中間膜4の片面に形成された日射遮蔽層2とでその主要部が構成されており、上記日射遮蔽層2はアクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂と六ホウ化物微粒子とアンチモン含有酸化錫微粒子を含んでいることを特徴とする。
そして、本発明に係る第一および第二の日射遮蔽用合わせ構造体における板状体1、5としての透明ガラスは、用途によって適宜選択される。例えば、無機質ガラス、有機ガラスあるいはこれ等の複合ガラス、特に、所謂フロート法で製造された無機質で透明なクリアあるいは着色ガラス、強化ガラスやそれに類するガラス、プライマーや各種機能性膜等被覆膜付きガラス等が挙げられる。そして、好ましくは、グリーン系ガラスやブロンズ系ガラスがあり、更に、グレー系ガラスやブルー系ガラス等も使用できる。上記板状体の板厚は任意で特に限定されないが、通常、1.0mm程度以上で12mm程度以下であり、特に自動車用としては、1.5mm程度以上で3.0mm程度以下が好ましく、2.0mm程度以上で2.5mm程度以下がより好ましい。
また、上記板状体1、5としてのプラスチックとしては、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂等が例示される。尚、プラスチック板状体の板厚も任意であり用途に応じて適宜設定される。
次に、本発明に係る第一の日射遮蔽用合わせ構造体の上記延性フィルム基板3として、例えば、ポリエステル樹脂にて構成されるフィルム基板が挙げられる。また、フィルム基板の表面は、アクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂との接着性向上を目的として、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、プライマー層コート処理等による表面処理を施してもよい。
また、本発明に係る第一および第二の日射遮蔽用合わせ構造体におけるビニル系樹脂を主成分とする中間膜としては、従来の合わせガラス用中間膜として汎用性を有するものであれば適用することができ、合わせガラスとしての品質をニーズに整合し得るような中間膜となるものであれば特に限定されるものではない。例えば、ポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体、塩化ビニル−エチレン−グリシジルアクリレート共重合体、塩化ビニル−グリシジルメタクリレート共重合体、塩化ビニル−グリシジルアクリレート共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリ酢酸ビニルエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール−ポリビニルブチラール混合物等が挙げられる。また、ビニル系樹脂に可塑剤が添加されていてもよく、この可塑剤として、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、アジピン酸−ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソデシル、エポキシ脂肪酸モノエステル、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、ジヘキシルアジペート、セバシン酸ジブチル、ジブチルセバケート等が挙げられる。
尚、透明ガラス若しくはプラスチックの板状体表面と接する側の中間膜表面は、接着性の観点からエンボス加工が施されていることが好ましい。尚、中間膜内には、日射遮蔽性能を更に高めるため、ヘイズ値の上昇が起こらない範囲の条件で六ホウ化物微粒子単独あるいは六ホウ化物微粒子と錫含有酸化インジウム微粒子および/またはアンチモン含有酸化錫微粒子を添加してもよい。また、用途によって、紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を添加してもよい。
次に、延性フィルム基板3若しくは中間膜4の片面側に設けられる日射遮蔽層2は、上述したようにアクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂と六ホウ化物微粒子とアンチモン含有酸化錫微粒子を含んでいる。
そして、上記六ホウ化物微粒子としてその比表面積10m2/g以上(平均粒子径で約127nm以下に相当)の微粒子が好ましく、アンチモン含有酸化錫微粒子として比表面積90m2/g以下(平均粒子径で約10nm以上に相当)の微粒子が好ましい。これ等微粒子の比表面積が上記特性を外れた場合、所望とする光学特性が得られない場合があるからである。尚、上記比表面積は、カルロエルバ社製の装置を用いた窒素ガス吸着法によって測定したものである。
また、上記アンチモン含有酸化錫微粒子において元素換算でのアンチモン含有量は、添加効果の観点から1〜15重量%が好ましい。
次に、本発明に使用される上記六ホウ化物微粒子は、結晶としての完全性が高いほど大きい日射遮蔽効果が得られるが、結晶性が低くX線回折でブロードな回折ピークを生じるようなものであっても、微粒子内部の基本的な結合が各金属とホウ素の結合からなり立っているものであるならば特に限定されるものではない。代表例を挙げれば、LaB6、CeB6、PrB6、NdB6、GdB6、TbB6、DyB6、HoB6、YB6、SmB6、EuB6、ErB6、TmB6、YbB6、LuB6、(La、Ce)B6、SrB6、CaB6等の微粒子であるが、特にLaB6、CeB6、PrB6、NdB6、GdB6が好ましい。尚、六ホウ化物微粒子の表面は酸化していないことが好ましいが、通常は僅かに酸化していることが多く、また微粒子の分散工程で表面の酸化が起こることはある程度避けられない。しかし、その場合でも日射遮蔽効果を発現する有効性には何ら影響を与えることはない。
また、上記六ホウ化物粒子を更に安定して使用するためには六ホウ化物微粒子の表面を被覆することが好ましい。この被覆化合物としては、Si、Ti、Al、Zrから選ばれた1種以上の元素の化合物であって、分子中にアルコキシ基を含む化合物またはその加水分解重合物、あるいは珪酸ナトリウム等の上記いずれかの元素を含むナトリウム塩やカリウム塩、若しくはこれ等の混合物等を挙げることができる。特に、Siの化合物では、アルコキシシラン、クロロシラン、シラザン、若しくはこれ等の加水分解重合物が好ましく、これ等は表面処理剤として市販されているものを用いることができる。
上記アルコキシシランは、そのアルコキシ基が六ホウ化物粒子と粒子表面で共有結合を形成し、これによって粒子表面が覆われて耐水性が向上する。代表的なものとして、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリウルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロデシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、上記クロロシランは、そのクロロ基が六ホウ化物粒子と粒子表面で共有結合を形成し、これによって粒子表面が被覆されて耐水性が向上する。代表的なものは、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリフロロプロピルトリクロロシラン、ヘプタデカフロロデシルトリクロロシラン等を挙げることができる。
また、上記シラザンは、六ホウ化物粒子との反応性が強く、六ホウ化物粒子と粒子表面で共有結合し、粒子表面をシラザンで覆うことが可能である。更に、シラザンは親油性であり、分子構造が小さいため緻密に粒子表面を覆うことができ、最外郭が疎水性となるため耐水性向上に有効である。具体的には、ヘキサメチルジシラザン、サイクリックシラザン、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、N−トリメチルシリルアセトアミド、ジメチルトリメチルシリルアミン、ジエチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール、N−トリメチルシリルフェニルウレア等が挙げられる。
尚、六ホウ化物粒子の表面被覆処理は、その粒子表面をSi化合物等の被覆化合物で被覆することができればよく、その方法は特に限定されない。例えば、被覆化合物を六ホウ化物粒子に直接作用させて表面を被覆してもよい。特に効率よく粒子表面を被覆する方法として湿式法がある。この方法は、六ホウ化物粒子を液体中に分散し、ここにアルコキシシラン表面処理剤や珪酸ナトリウム等の被覆化合物を1種以上添加混合する方法である。アルコキシシラン表面処理剤やナトリウム塩等の被覆化合物は、液体中で効率良く粒子表面を覆い、耐水性の向上した被覆六ホウ化物粒子を簡単に得ることができる。
また、六ホウ化物粒子が凝集していると被覆が十分に行われない部分が残り、後工程で凝集が解れたとき未被覆部が現れるため、耐水性が十分に得られないことがある。未被覆部が残ることを防ぐためには、超音波照射や撹拌ミル等の手段によって、粒子の凝集を液体中で解すことが好ましい。
また、六ホウ化物微粒子は灰黒色、茶黒色、緑黒色等に着色した粉末であるが、粒径が可視光波長に較べて十分小さく日射遮蔽層中に分散した状態においては日射遮蔽層に可視光透過性が生じるが、赤外光遮蔽能は十分強く保持できる。この理由は詳細には判明していないが、これ等微粒子中の自由電子の量が多く、微粒子内部および表面の自由電子によるバンド間間接遷移の吸収エネルギーがまさに可視から近赤外の付近にあるため、この波長領域の熱線が選択的に反射・吸収されるものと考えられる。実験によれば、六ホウ化物微粒子の比表面積10m2/g以上とし、かつ、均一に分散した膜では、透過率が波長400nm〜700nmの間に極大値を持ち、また、波長700nm〜1800nmの間に極小値を持ち、更にこれ等の透過率の極大値と極小値の差が15ポイント以上であることが観察される。可視光波長が380nm〜780nmであり、視感度が550nm付近をピークとする釣鐘型であることを考慮すると、このような膜では可視光を有効に透過しそれ以外の熱線を有効に反射若しくは吸収する。
一方、錫含有酸化インジウム微粒子は、可視光領域で光の反射・吸収が殆どなく、1000nm以上の領域でプラズマ共鳴に由来する反射若しくは吸収が大きい。これ等の透過プロファイルは、近赤外領域で長波長側に向かうに従って低下する傾向を示す。
また、アンチモン含有酸化錫微粒子の透過プロファイルは、錫含有酸化インジウム微粒子と同様に近赤外領域で長波長側に向かうに従って低下するが、近赤外領域の遮蔽特性は錫含有酸化インジウム微粒子と較べると劣る。
そして、六ホウ化物微粒子の透過プロファイルは、上述したように波長700nm〜1800nmの間に極小値を、具体的には1000nm付近に極小値をもち、それより長波長側では徐々に上昇する傾向を示す。このため、六ホウ化物微粒子とアンチモン含有酸化錫微粒子とを併用することによって可視光透過率を減少させずに、より近赤外領域の太陽光線を遮蔽することが可能となり、アンチモン含有酸化錫単独で使用するよりも日射遮蔽特性を向上させることができる。
また、六ホウ化物微粒子の単位重量当たりの日射遮蔽能力は非常に高く、錫含有酸化インジウム微粒子、アンチモン含有酸化錫微粒子と比較して10分の1以下の使用量でその効果を発揮する。更に、アンチモン含有酸化錫微粒子と併用することによって、一定の可視光透過率を保ちながら日射遮蔽特性のみをさらに向上させることができるのでコストも削減できる。また、全微粒子の使用量を大幅に削減することができるので、日射遮蔽層の摩耗強度や耐候性を向上させることが可能となる。また、六ホウ化物微粒子は使用量を増すと可視光領域に吸収があるため、その添加量を制御することにより可視光領域の吸収を自由に制御でき、明るさ調整やプライバシー保護等への応用も可能となる。そして、六ホウ化物微粒子とアンチモン含有酸化錫微粒子との重量比は、コス卜削減効果や日射遮蔽特性の観点から(アンチモン含有酸化錫微粒子):(六ホウ化物微粒子)=99.95:0.05〜90:10の範囲が好ましい。
尚、より優れた光学特性を具備する日射遮蔽用合わせ構造体を得るには、六ホウ化物微粒子のL表色系における粉体色Lが30〜51、aが−5〜10、bが−10〜2である条件を満たし、かつ、アンチモン含有酸化錫微粒子のL表色系における粉体色Lが45〜65、aが−5〜−1、bが−11〜−1である条件を満たすことが望ましい。
次に、延性フィルム基板若しくは中間膜の片面側に日射遮蔽層を形成する方法としては任意であるが、アクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂のバインダー成分と六ホウ化物微粒子とアンチモン含有酸化錫微粒子が溶媒中に分散された日射遮蔽層形成用塗布液を用いた方法が例示される。
そして、六ホウ化物微粒子とアンチモン含有酸化錫微粒子を溶媒に分散させる方法としては、微粒子が均一に溶媒中に分散する方法であれば任意であり、例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散等の方法が挙げられる。また、上記溶媒も特に限定されるものではなく、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、メチルエーテル,エチルエーテル,プロピルエーテル等のエーテル類、エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン等のケトン類といった各種の有機溶媒が挙げられ、必要に応じて酸やアルカリを添加してpH調整してもよい。更に、塗布液中の微粒子の分散安定性を向上させるため、各種の界面活性剤、カップリング剤等を添加してもよい。また、延性フィルム基板若しくは中間膜の片面側に日射遮蔽層形成用塗布液を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、バーコート法、スプレーコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、ロールコート法、流し塗り等、日射遮蔽層形成用塗布液を平坦かつ薄く均一に塗布できる手法であればいずれの方法でもよい。
尚、一方の板状体の合わせ面側と上記日射遮蔽層との間には必要に応じて接着層を介在させてもよい。接着層を構成する材料として、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル−エポキシ三元共重合体、エチレン−酢酸ビニル−ビニルアルコール三元共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリレート三元共重合体、ポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアセタール樹脂等が挙げられる。更に、上記接着層表面をシラン系またはチタネート系カップリング剤処理を施してもよい。
以下に、本発明の実施例について参考例と共に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
また、粉体色(光源D65)、得られた合わせ構造体の可視光透過率および日射透過率については日立製作所(株)社製の分光光度計「U−4000」を用いて測定し、かつ、JIS R3106に基づいて算出し、ヘイズ値については村上色彩技術研究所(株)社製「HR−200」を用いて測定している。また、膜評価においては線径の異なる3種のバーコーターで成膜し、かつ、得られた膜厚が異なる3種類の膜の可視光透過率、日射透過率、ヘイズ値をそれぞれ測定すると共に、可視光透過率72%若しくは可視光透過率75%のときの日射透過率およびヘイズ値を前記膜の3点プロットから求めている。特に、自動車用を想定し、日射透過率50%以下で、かつ、ヘイズ値0.4%以下を合格とした。更に、板ガラス表面と中間膜との接着性は以下のパンメル試験によって評価した。
〔パンメル試験〕
合わせ構造体を−18℃±0.6℃の条件下で16時間保持した後、ハンマー(頭の部分の重量が1ポンドである)粉砕試験機にかけ、被着ガラスの粒子径が最大6mm以下になるまで粉砕する。
次に、割れたガラス片を振り落とし、中間膜の露出度を0〜8にランク分けして板ガラスと中間膜との密着力を評価した。
露出度が低いほどパンメル値は大きく、耐貫通性が小さいことを示すが、3〜7の範囲内が望ましい。
[参考例1]
比表面積19.7m2/gのLaB6微粒子20重量%、高分子系分散剤7重量%およびイソブチルアルコール73重量%を混合し、直径0.3mmのZrO2ビーズと共に容器に充填した後、6時間のビーズミル分散処理を施して六ホウ化ランタン微粒子分散液を調製した(A液)。
次に、調製された上記A液にUV硬化樹脂(東亜合成株式会社製アクリル系樹脂 商品名グレードUV3701)および希釈剤としてエタノールを添加し、LaB6微粒子濃度が0.2重量%の日射遮蔽層形成用塗布液を調製した。
次に、バーコーターで上記日射遮蔽層形成用塗布液を延性ポリエステルフィルム(厚さ50μm)の片面に塗布し、乾燥させた後、70℃で1分の条件で高圧水銀ランプを照射して日射遮蔽層を形成した。
延性ポリエステルフィルムの日射遮蔽層側を、100mm×100mm×約2mm厚の寸法を有するグリーンガラスの合わせ面に接触するように配置し、かつ、延性ポリエステルフィルム側と100mm×100mm×約2mm厚の寸法を有する他方のグリーンガラスとの間に0.76mm厚の中間膜用ポリビニルブチラール樹脂を介在させ、80℃に加熱して仮装着した後、140℃で14kg/cm2の条件でオートクレーブによる本装着を行って、参考例1に係る合わせ構造体Aを作製した。
そして、以下の表1に示すように、可視光透過率72%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ42.3%、0.2%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[参考例2]
上記中間膜として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を用いた以外は参考例1と同様にして参考例2に係る合わせ構造体Bを作製した。
表1に示すように、可視光透過率72%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ42.6%、0.2%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[参考例3]
参考例1において比表面積19.7m2/gのLaB6微粒子に代えて14.1m2/gのLaB6微粒子を用いた以外は参考例1と同様にして参考例3に係る合わせ構造体Cを作製した。
表1に示すように、可視光透過率72%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ42.9%、0.3%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[参考例4]
参考例1において比表面積19.7m2/gのLaB6微粒子に代えて比表面積16.5m2/gのCeB6を用いた以外は参考例1と同様にして参考例4に係る合わせ構造体Dを作製した。
表1に示すように、可視光透過率72%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ43.9%、0.3%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[参考例5]
参考例1において比表面積19.7m2/gのLaB6微粒子に代えて比表面積17.3m2/gのNdB6を用いた以外は参考例1と同様にして参考例5に係る合わせ構造体Eを作製した。
表1に示すように、可視光透過率72%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ43.9%、0.2%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[参考例6]
参考例1において比表面積19.7m2/gのLaB6微粒子に代えて比表面積15.1m2/gのPrB6を用いた以外は参考例1と同様にして参考例6に係る合わせ構造体Fを作製した。
表1に示すように、可視光透過率72%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ44.1%、0.3%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[参考例7]
比表面積77.6m2/gの錫含有酸化インジウム(ITO)微粒子30重量%、イソブチルアルコール56重量%、分散剤14重量%を混合し、直径0.15mmのガラスビーズと共に容器に充填した後、1時間のビーズミル分散処理を施してITO分散液を調製した(B液)。
次いで、上記A液と調製されたB液をよく混合し、UV硬化樹脂(東亜合成株式会社製 商品名グレードUV3701)および希釈剤としてエタノールを添加し、LaB6濃度が0.2重量%、ITO濃度が9.8重量%の日射遮蔽層形成用塗布液を調製した。
そして、この日射遮蔽層形成用塗布液を適用した以外は参考例1と同様にして参考例7に係る合わせ構造体Gを作製した。
表1に示すように、可視光透過率72%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ37.7%、0.2%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[参考例8]
参考例7において比表面積77.6m2/gのITO微粒子に代えて比表面積58.1m2/gのITO微粒子を用いた以外は参考例7と同様にして参考例8に係る合わせ構造体Hを作製した。
表1に示すように、可視光透過率72%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ38.5%、0.2%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[参考例9]
参考例7において比表面積77.6m2/gのITO微粒子に代えて比表面積97.1m2/gのITO微粒子を用いた以外は参考例7と同様にして参考例9に係る合わせ構造体Iを作製した。
表1に示すように、可視光透過率72%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ37.2%、0.2%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[参考例10]
参考例7においてLaB6濃度0.05重量%、ITO濃度9.95重量%の日射遮蔽層形成用塗布液を調製した以外は参考例7と同様にして参考例10に係る合わせ構造体Jを作製した。
表1に示すように、可視光透過率72%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ37.1%、0.3%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[実施例11]
比表面積43.7m2/gのアンチモン含有酸化錫(ATO)微粒子30重量%、イソブチルアルコール55重量%、分散剤15重量を混合し、直径0.15mmのガラスビーズと共に容器に充填した後、1.5時間のビーズミル分散処理を施してATO分散液を調製した(C液)。
上記A液と調製したC液をよく混合し、UV硬化樹脂(東亜合成株式会社製 商品名グレードUV3701)および希釈剤としてエタノールを添加し、LaB6微粒子濃度が0.2重量%、ATO微粒子濃度が9.8重量%の日射遮蔽層形成用塗布液を調製した。
そして、この日射遮蔽層形成用塗布液を適用した以外は参考例1と同様にして実施例11に係る合わせ構造体Kを作製した。
表1に示すように、可視光透過率72%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ42.8%、0.4%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[参考例12]
参考例1において、延性ポリエステルフィルムの片面上に形成した日射遮蔽層と、この日射遮蔽層が接触する100mm×100mm×約2mm厚のグリーンガラス合わせ面との間に、接着層としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を介在させた以外は参考例1と同様にして参考例12に係る合わせ構造体Lを作製した。
表1に示すように、可視光透過率72%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ42.1%、0.2%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[参考例13]
参考例1で適用された日射遮蔽層形成用塗布液をシート状に成型した中間膜用ポリビニルブチラール(厚さ0.76mm)の片面に塗布し、105℃で乾燥させて日射遮蔽層を形成した。
そして、片面側に日射遮蔽層が形成された上記中間膜用ポリビニルブチラールを、100mm×100mm×約2mm厚の寸法を有する2枚のグリーンガラス間に介在させ、80℃に加熱して仮装着した後、140℃で14kg/cm2の条件でオートクレーブによる本装着を行い、参考例13に係る合わせ構造体Mを作製した。
表2に示すように、可視光透過率75%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ44.3%、0.3%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[参考例14]
参考例3で適用したLaB6微粒子を用いた以外は参考例13と同様にして参考例14に係る合わせ構造体Nを作製した。
表2に示すように、可視光透過率75%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ43.1%、0.3%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[参考例15]
参考例4で適用したCeB6を用いた以外は参考例13と同様にして参考例15に係る合わせ構造体Oを作製した。
表2に示すように、可視光透過率75%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ45.9%、0.3%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[参考例16]
参考例5で適用したNdB6を用いた以外は参考例13と同様にして参考例16に係る合わせ構造体Pを作製した。
表2に示すように、可視光透過率75%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ46.0%、0.3%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[参考例17]
参考例6で適用したPrB6を用いた以外は参考例13と同様にして参考例17に係る合わせ構造体Qを作製した。
表2に示すように、可視光透過率75%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ46.1%、0.2%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[参考例18]
参考例7で適用された日射遮蔽層形成用塗布液を用いた以外は、参考例13と同様にして参考例18に係る合わせ構造体Rを作製した。
表2に示すように、可視光透過率75%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ39.1%、0.3%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[参考例19]
参考例9で適用された日射遮蔽層形成用塗布液を用いた以外は、参考例13と同様にして参考例19に係る合わせ構造体Sを作製した。
表2に示すように、可視光透過率75%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ38.7%、0.3%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[参考例20]
参考例10で適用された日射遮蔽層形成用塗布液を用いた以外は、参考例13と同様にして参考例20に係る合わせ構造体Tを作製した。
表2に示すように、可視光透過率75%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ39.3%、0.3%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[実施例21]
実施例11で適用された日射遮蔽層形成用塗布液を用いた以外は、参考例13と同様にして実施例21に係る合わせ構造体Uを作製した。
表2に示すように、可視光透過率75%のときの日射透過率およびヘイズ値はそれぞれ44.0%、0.2%で、かつ、パンメル値は5と良好であった。
[比較例1]
参考例1で調製したA液と参考例7で調製したB液をポリビニルブチラールに添加し、可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレートを加え、LaB6濃度が0.0015重量%、ITO濃度が0.15重量%、ポリビニルブチラール樹脂が70重量%となるように中間膜用組成物を調製した。
次いで、調製された中間膜用組成物をロールで混錬して0.76mm厚のシート状に成型し中間膜を作製した。
そして、中間膜を100mm×100mm×約2mm厚の寸法を有する一対のグリーンガラス間に介在させ、80℃に加熱して仮装着した後、140℃で14kg/cm2の条件でオートクレーブによる本装着を行い、比較例1に係る合わせ構造体Vを作製した。
表2に示すように、可視光透過率75%のときの日射透過率は46.0%で、パンメル値は5と良好であったが、ヘイズ値が0.7%と0.4%を超えるものであった。
従って、ヘイズ値が0.4%以下でかつ高い可視光透過率の条件下において良好な日射遮蔽機能を具備するものではなかった。
Figure 0005187295
Figure 0005187295
「評 価」
(1)参考例1〜参考例6においては、LaB6等の濃度が0.2重量%の日射遮蔽層形成用塗布液を調製して日射遮蔽用合わせ構造体A〜Fが製造されている。
そして、日射遮蔽成分であるLaB6等の濃度が低い分、従来法と較べて日射遮蔽用合わせ構造体A〜Fの製造コストは安価になっているが、ヘイズ値が0.4%以下かつ可視光透過率が72%の条件下における日射透過率が42〜46%程度(42.3〜44.1%)の日射遮蔽用合わせ構造体が得られていることが確認される。
また、参考例1〜6で調整された日射遮蔽層形成用塗布液が適用された参考例12〜17に係る日射遮蔽用合わせ構造体L〜Qにおいても、日射遮蔽成分であるLaB6等の濃度が低い分、従来法と較べて日射遮蔽用合わせ構造体L〜Qの製造コストは安価になっているが、ヘイズ値が0.4%以下かつ可視光透過率が72%〜75%の条件下における日射透過率が42〜46%程度(42.1〜46.1%)の日射遮蔽用合わせ構造体が得られることが確認される。
更に、LaB6微粒子濃度が0.2重量%、ATO微粒子濃度が9.8重量%の日射遮蔽層形成用塗布液を適用した実施例11および21に係る日射遮蔽用合わせ構造体K、Uについては、LaB6の濃度が低くかつATO微粒子が安価な日射遮蔽成分のため、従来法と較べて日射遮蔽用合わせ構造体の製造コストは安価になっているが、ヘイズ値が0.4%以下かつ可視光透過率が72%の条件下における日射透過率が42〜46%程度(42.8〜44.0%)の日射遮蔽用合わせ構造体が得られていることが確認される。
(2)他方、参考例7〜参考例9においては、LaB6濃度が0.2重量%、ITO濃度が9.8重量%の日射遮蔽層形成用塗布液を調製して日射遮蔽用合わせ構造体G〜Iが製造され、また、参考例10においては、LaB6濃度0.05重量%、ITO濃度9.95重量%の日射遮蔽層形成用塗布液を調製して日射遮蔽用合わせ構造体Jが製造されている。
そして、ITO微粒子が高濃度で適用されている分、日射遮蔽用合わせ構造体G〜Jの製造コストは割高となるが、ヘイズ値が0.4%以下(0.2〜0.3%)かつ可視光透過率が72%の条件下における日射透過率が40%未満(37.1〜38.5%)に設定された日射遮蔽用合わせ構造体を提供できることが確認される。
また、参考例7〜参考例10で調整された日射遮蔽層形成用塗布液が適用された参考例18〜20に係る日射遮蔽用合わせ構造体R〜Tにおいても、ヘイズ値が0.4%以下(0.3%)かつ可視光透過率が75%の条件下における日射透過率が40%未満(38.7〜39.3%)に設定されていることが確認される。
本発明に係る日射遮蔽用合わせ構造体は、可視光透過率が72%または75%において日射透過率が42〜46%、ヘイズ値が0.4%以下の光学特性を備えているため、車両用の安全ガラスや建築用窓ガラス等に適用される産業上の利用可能性を有している。
1 板状体
2 日射遮蔽層
3 延性フィルム基板
4 中間膜
5 板状体
10 日射遮蔽フィルム

Claims (5)

  1. 日射遮蔽機能を有する介在層が少なくとも2枚の透明ガラス若しくはプラスチックの板状体間に介在する日射遮蔽用合わせ構造体において、
    延性フィルム基板の片面側にアクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂と六ホウ化物微粒子とアンチモン含有酸化錫微粒子を含む日射遮蔽層が形成された日射遮蔽フィルムの日射遮蔽層により上記介在層が構成され、一方の板状体の合わせ面側に上記日射遮蔽フィルムの日射遮蔽層が接触するように配置され、他方の板状体の合わせ面側と上記日射遮蔽フィルムの延性フィルム基板側との間にビニル系樹脂を主成分とする中間膜が配置されると共に、可視光透過率が72%において日射透過率が42〜46%、ヘイズ値が0.4%以下の光学特性を有し、かつ、六ホウ化物微粒子が分散された六ホウ化物微粒子分散液と、アンチモン含有酸化錫微粒子が分散されたアンチモン含有酸化錫微粒子分散液とを混合して混合液を調製し、この混合液に、アクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂が混合されて成る日射遮蔽層形成用塗布液を用いて、上記アクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂と六ホウ化物微粒子とアンチモン含有酸化錫微粒子を含む日射遮蔽層が延性フィルム基板の片面側に形成されていることを特徴とする日射遮蔽用合わせ構造体。
  2. 日射遮蔽機能を有する介在層が少なくとも2枚の透明ガラス若しくはプラスチックの板状体間に介在する日射遮蔽用合わせ構造体において、
    片面側にアクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂と六ホウ化物微粒子とアンチモン含有酸化錫微粒子を含む日射遮蔽層が形成されたビニル系樹脂を主成分とする中間膜の上記日射遮蔽層により介在層が構成され、一方の板状体の合わせ面側に上記中間膜の日射遮蔽層が接触し、他方の板状体の合わせ面側に上記中間膜の反対側が接触するように配置されると共に、可視光透過率が75%において日射透過率が42〜46%、ヘイズ値が0.4%以下の光学特性を有し、かつ、六ホウ化物微粒子が分散された六ホウ化物微粒子分散液と、アンチモン含有酸化錫微粒子が分散されたアンチモン含有酸化錫微粒子分散液とを混合して混合液を調製し、この混合液に、アクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂が混合されて成る日射遮蔽層形成用塗布液を用いて、上記アクリル系樹脂から成るUV硬化型樹脂と六ホウ化物微粒子とアンチモン含有酸化錫微粒子を含む日射遮蔽層が中間膜の片面側に形成されていることを特徴とする日射遮蔽用合わせ構造体。
  3. 一方の板状体の合わせ面側と上記日射遮蔽層との間に接着層が介在していることを特徴とする請求項1または2に記載の日射遮蔽用合わせ構造体。
  4. 上記六ホウ化物微粒子の比表面積が10m/g以上、アンチモン含有酸化錫微粒子の比表面積が90m/g以下であることを特徴とする請求項1または2記載の日射遮蔽用合わせ構造体。
  5. 上記六ホウ化物微粒子のL表色系における粉体色Lが30〜51、aが−5〜10、bが−10〜2で、アンチモン含有酸化錫微粒子のL表色系における粉体色Lが45〜65、aが−5〜−1、bが−11〜−1であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の日射遮蔽用合わせ構造体。
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