JP5186298B2 - 水性分散体組成物とその製造方法、及び該水性分散体組成物を用いた塗料組成物 - Google Patents

水性分散体組成物とその製造方法、及び該水性分散体組成物を用いた塗料組成物 Download PDF

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本発明は、水性分散体組成物とその製造方法、及び該水性分散体組成物を用いた塗料組成物に関する。
自動車は走行中、小石、砂利などを車輪で跳ね上げることがある。この跳ね上げられた小石や砂利が自動車の塗膜に衝突すると、局所的な塗膜の破損(この塗膜の破損をチッピングという)を生じて自動車車体の金属素地を露出させる。その金属素地の露出部分は空気に直接接触するため、発錆、腐食等の欠陥を生じやすくなる。
一般的に自動車の塗膜は、電着塗料からなる塗膜、中塗り塗料からなる塗膜及び上塗り塗料からなる塗膜等、複数の塗膜より構成されている。これら塗膜のうち、中塗り塗料からなる塗膜によって、塗膜全体にチッピングを防ぐための耐チッピング性を付与することがある。
中塗り塗料からなる塗膜に耐チッピング性を付与するには、例えば、中塗り塗料自体に柔軟性を持たせ、更に、振動吸収剤として顔料や充填剤を多く含有させて、厚い塗膜を形成する方法がある。具体的には、主成分としてポリエステル樹脂とブロックイソシアネート化合物とを組み合わせた柔軟性のある樹脂を用い、これに充填剤として無機顔料を含有させた塗料組成物(特許文献1参照)が広く使用されてきた。
特開平3−131671号公報
しかしながら、特許文献1に記載の塗料組成物のように、塗膜を形成する樹脂自体を軟質にすると、塗膜の耐久性の低下を招き、形成された塗膜に割れ等が発生しやすくなるという問題がある。また、特許文献1に記載の塗料組成物は無機顔料等の充填剤を含有している為、塗膜の光沢が得られにくく、且つ表面がざらつきやすい等、塗膜外観が優れないという問題があった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、塗料組成物に添加した際、その塗料組成物からなる塗膜に耐チッピング性を付与しながらも、塗膜耐久性及び塗膜外観の低下が起き難い水性分散体組成物とその製造方法、及び該水性分散体を含有する塗料組成物を目的とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1]非共役ポリエン成分を含まず、質量平均分子量が30,000〜140,000であるエチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)と、酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも一種と、水とを含有し、前記エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)が架橋され、前記エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)の架橋度が20〜80質量%であり、前記エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)と、酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも1種とからなる分散質の平均粒子径が0.4〜0.8μmである水性分散体組成物。
]前記エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)がエチレン‐1‐ブテンランダム共重合体である、上記[1]に記載の水性分散体組成物。
]非共役ポリエン成分を含まず、質量平均分子量が30,000〜140,000であるエチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)と、酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも一種とを含有する混合物を溶融混練して溶融混練物を得る工程と、該溶融混練物を水中に分散させて水性分散体(E)を得る工程と、該水性分散体(E)に、10時間半減期温度が100℃を超え、且つ150℃以下であり、活性化エネルギーが130kJ/mol以上である有機過酸化物(F)を添加して、エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)を架橋度が20〜80質量%に架橋させる工程とを有して、前記エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)と、酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも1種とからなる分散質の平均粒子径が0.4〜0.8μmである水性分散体組成物を得る水性分散体組成物の製造方法。
]上記[1]または[2]に記載の水性分散体組成物と塗料樹脂(G)とを含有する塗料組成物。
]前記塗料樹脂(G)がポリエステルである、上記[]に記載の塗料組成物。
]前記塗料樹脂(G)100質量部(固形分換算)に対して、前記水性分散体組成物を5〜30質量部(固形分換算)含有する、上記[]又は[]に記載の塗料組成物。
本発明の水性分散体組成物を含有する、本発明の塗料組成物よりなる塗膜は、耐チッピング性に優れ、かつ塗膜耐久性及び塗膜外観の低下が生じにくいものとなる。
本発明の水性分散体組成物の製造方法によれば、上記水性分散体組成物を製造できる。
[水性分散体組成物]
本発明の水性分散体組成物は、エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)と、酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも一種と、水とを含有し、前記エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)が架橋されているものである。
(エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A))
本発明で用いるエチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)は、非共役ポリエン成分を含まないものである。
α‐オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン 、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン 、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチルデセン−1、11−メチルドデセン−1、12−エチルテトラデセン−1などがあげられ、これらを1種あるいは2種以上組み合わせることが可能である。
具体的には、エチレン−1−オクテンランダム共重合体、エチレン−1−ブテンランダム共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体等が挙げられる。中でも耐チッピング性の点から、エチレン−1−ブテンランダム共重合体が特に好ましい。
非共役ポリエン成分を含むエチレン−α‐オレフィンランダム共重合体を用いた場合、耐チッピング性を得難い。これは、非共役ポリエン成分を含むエチレン−α‐オレフィンランダム共重合体は、外部からの衝撃エネルギーを均一分散し難いためである。
本発明で用いるエチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)は、質量平均分子量が30,000〜140,000であり、40,000〜135,000であるとより好ましく、45,000〜130,000であると更に好ましい。
質量平均分子量が30,000未満の場合、塗膜の凝集力が不足するため、塗膜耐久性、耐チッピング性を得難い。一方質量平均分子量が140,000を超える場合、良好な塗膜外観を維持し難い。
なお、エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)の質量平均分子量は、重合温度などの重合条件を変更することで調整できる他、重合中に添加する水素(分子量調節剤)の使用量を制御することにより調節できる。
非共役ポリエン成分を含まないエチレン−α‐オレフィンランダム共重合体の製造法は特に制限しないが、例えば、可溶性バナジウム化合物とアルキルアルミニウムハライド化合物とからなるバナジウム系触媒、またはメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物等の助触媒とからなるメタロセン系触媒の存在下で、エチレンとα‐オレフィンとをランダムに共重合させることが好ましい。
エチレンとα‐オレフィンとの共重合条件は、重合温度が40〜200℃であると好ましく、50〜150℃であるとより好ましい。更にこのとき、圧力が、大気圧〜100kg/cmであると好ましく、大気圧〜50kg/cmであるとより好ましい。
以上の重合温度及び圧力下での共重合反応は、様々な重合方法により実施することが可能であるが、特に溶液重合により行うことが、反応安定性の点から好ましい。共重合形式としては、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができるが、連続式で行うことが好ましい。さらに反応条件を変えて、共重合反応を2段以上にわけて行うこともできる。
本発明の水性分散体組成物において、エチレン−α‐オレフィンランダム共重合体(A)の共重合体鎖同士は架橋されている。
水性分散体組成物におけるエチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)の架橋度は、20〜80質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましく、40〜60質量%であることが更に好ましい。
架橋度が20〜80質量%の範囲内であれば、耐チッピング性を付与しながらも、塗膜外観、塗膜耐久性を良好に維持することができる水性分散体組成物を得ることができる。
尚、本発明において架橋度とは水性分散体組成物を希硫酸にて凝固した後、これを0.5g採取し、200mlのトルエン中に125℃で40時間浸漬し、次いで200メッシュのステンレススチール製金網にて濾過し、残渣を乾燥して、下記一般式(I)を用いて求めたものである。
架橋度(%)=トルエン浸漬後の残渣質量(g)/トルエン浸漬前のサンプル質量(g)×100・・・(I)
註:トルエン浸漬後の残渣はトルエンを十分に揮発させたものを指す。
(酸変性ポリエチレン(B))
酸変性ポリエチレン(B)とは、ポリエチレンに対し常法に従って不飽和ジカルボン酸類を反応させることにより製造されたものであり、その変性基が塩の形態をなしていてもよい。
酸変性ポリエチレン(B)の製造に用いられる不飽和ジカルボン酸類に特に制限はなく、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、などの不飽和ジカルボン酸、ならびに無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸の無水物やマレイン酸メチル等の不飽和ジカルボン酸のエステル誘導体などが挙げられる。これらの不飽和ジカルボン酸類は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
酸変性ポリエチレン(B)は公知のものであれば特に制限されるものではないが、特に無水マレイン酸変性ポリエチレンが好ましい。
酸変性ポリエチレン(B)の質量平均分子量は、2,000〜35,000であることが好ましく、2,000〜35,000であることが更に好ましい。酸変性ポリエチレン(B)の質量平均分子量が2,000〜35,000の範囲内であると、水性分散体組成物の分散安定性を得易い。
酸変性ポリエチレン(B)の酸価は、10〜60mg/gであることが好ましく、20〜50mg/gであることが更に好ましい。酸変性ポリエチレン(B)の酸価が10〜60mg/gの範囲内であると、水性分散体組成物の分散安定性を得易い。
なお、ここでいう酸価は、酸変性ポリエチレン1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数である。
酸変性ポリエチレン(B)は、エチレン−α‐オレフィンランダム共重合体(A)100質量部に対して3〜20質量部含有されていることが好ましく、5〜15質量部含有されていることが更に好ましい。酸変性ポリエチレン(B)の含有量が3〜20質量部の範囲内であると、水性分散体組成物の分散安定性を得易い。
(アニオン系乳化剤(C))
アニオン系乳化剤(C)としては、特に制限はないが、例えば、第一級高級脂肪酸塩、第二級高級脂肪酸塩、第一級高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、第一級高級アルキルスルホン酸塩、第二級高級アルキルスルホン酸塩、高級アルキルジスルホン酸塩、スルホン化高級脂肪酸塩、高級脂肪酸硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸スルホン酸塩、高級アルコールエーテルのスルホン酸塩、高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェノールスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アルキルベイゾイミダゾールスルホン酸塩などが挙げられる。
これらのアニオン系乳化剤の中で一般的なものとしては、高級脂肪酸類の塩、特に炭素数10〜20の飽和または不飽和の高級脂肪酸塩、特にアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)が挙げられる。
具体的には、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸、リンデン酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸、あるいはこれらの混合物のアルカリ金属塩を挙げることができる。その中でも牛脂酸塩、スルホン酸塩が水性分散体組成物の分散安定性の点で特に好ましい。
(有機酸(D))
中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)としては、特に制限はないが、例えば、第一級高級脂肪酸、第二級高級脂肪酸、第一級高級アルコール硫酸エステル、第二級高級アルコール硫酸エステル、第一級高級アルキルスルホン酸、第二級高級アルキルスルホン酸、高級アルキルジスルホン酸、スルホン化高級脂肪酸、高級脂肪酸硫酸エステル、高級脂肪酸エステルスルホン酸、高級アルコールエーテルの硫酸スルホン酸、高級アルコールエーテルのスルホン酸、高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルフェノールスルホン酸、アルキルナフタリンスルホン酸、アルキルベイゾイミダゾールスルホン酸などが挙げられる。
これらの有機酸の中で特に一般的なものとしては、高級脂肪酸類、特に炭素数10〜20の飽和または不飽和の高級脂肪酸などが挙げられ、具体的には、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸、リンデン酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。その中でも牛脂酸、スルホン酸が水性分散体組成物の分散安定性の点で特に好ましい。
以上の有機酸は中和してアルカリ金属塩等にするとアニオン系乳化剤として用いることができる。
アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)はこれらの1種を単独で用いても良く、また2種以上を併用しても良い。
アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも一種は、エチレン−α‐オレフィンランダム共重合体(A)100質量部に対して0.5〜20質量部含有されていることが好ましく、1.5〜15質量部含有されていることが更に好ましい。アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも一種の含有量が0.5〜20質量部の範囲内であると、水性分散体組成物の分散安定性を得易い。
(水)
水性分散体組成物の固形分濃度は、水を添加することで調整できる。
本発明の水性分散体組成物の固形分濃度は20〜60質量%であると好ましく、25〜55質量%であるとより好ましく、30〜50質量%であると更に好ましい。
なお、固形分とは水性分散体組成物より水を除いたものを示し、固形分濃度とはその固形分の割合を示す。
水性分散体組成物の固形分濃度が60質量%以上であれば、水性分散体組成物の安定性が確保され難く、20質量%以下であれば(塗料中の水含有量が高くなるため)良好な塗膜外観が得難い。
(その他の成分)
また、本発明の水性分散体組成物には、各種副資材、例えば安定化剤、湿潤材、起泡剤、凝固剤、ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、塩酸吸収剤、顔料、染料、核剤、ブロッキング防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、充填剤、着色剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤等を必要に応じて含有していてもよい。
本発明の水性分散体組成物のエチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)と、酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも1種とからなる分散質の平均粒子径は、0.4〜0.8μmであることが塗膜外観、耐チッピング性の点で好ましく、0.5〜0.7μmであることが更に好ましい。
尚、本発明における分散質とは、エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)と、酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも1種とから形成される粒子を示す。
また、水性分散体組成物においては、その粒子中のエチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)が架橋されている。
また、本発明でいうところの平均粒子径とは体積平均粒子径を示す。
水性分散体組成物のエチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)と、酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも1種とからなる分散質の平均粒子径が0.4〜0.8μmの範囲内であれば、耐チッピング性を付与しながらも、塗膜外観を良好に維持することができる水性分散体組成物が得られる。
本発明の水性分散体組成物のエチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)と、酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも1種とからなる分散質の平均粒子径を0.4〜0.8μmとするには、酸変性ポリエチレン(B)並びに、アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも一種の量を調整することが好ましい。
[水性分散体組成物の製法]
本発明の水性分散体組成物の製法は、非共役ポリエン成分を含まず、質量平均分子量が30,000〜140,000であるエチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)と、酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも一種とを含有する混合物を溶融混練して溶融混練物を得る工程と、該溶融混練物を水中に分散させて、水性分散体(E)を得る工程と、該水性分散体(E)に、有機過酸化物(F)を添加して、エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)を架橋させる工程とを有することを特徴とする。
まず、所定量のエチレン−α‐オレフィンランダム共重合体(A)と、酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)とを溶融混練し、溶融混練物を得る。
溶融混練手段は公知のいかなるものでも良く、例えば、ニーダ、バンバリーミキサ、多軸スクリュ押出機などを用いた方法を例示することができる。
次に、得られた溶融混練物に水を添加し、溶融混練物を転相させて、水中に溶融混練物を分散させた水性分散体(E)を得る。ここで、転相とは溶融混練物に水が含まれる状態から、水に溶融混練物が分散する状態となる現象をさす。
なお、水と共に塩基性物質を添加しても良い。塩基性物質を添加すると、酸変性ポリエチレン(B)由来の酸を中和し、水性分散体を容易に得られるため好ましい。塩基性物質として具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムや有機アミン等が挙げられる。
水および塩基性物質は逐次滴下することが好ましく、溶融混練物を水中に分散させて好ましい固形分濃度の水性分散体(E)を得ると良い。
なお、水性分散体(E)の製造方法は、以上の方法に限られない。
水性分散体(E)の固形分濃度は、20〜60質量%であることが好ましく、25〜55質量%であることがより好ましく、30〜50質量%であることが更に好ましい。水性分散体(E)は固形分濃度が20〜60質量%の範囲であれば分散安定性を得易い。
次に、得られた水性分散体(E)に有機過酸化物(F)を添加して、エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)を架橋させる。
本発明で用いる有機過酸化物(F)は、10時間半減期温度が100℃を超え、且つ150℃以下であり、110〜140℃であると好ましく、115〜135℃であると更に好ましい。
ここで、半減期とは一定温度における有機過酸化物の分解速度を表し、有機過酸化物が分解して、その活性酸素量が1/2になるまでに要する時間であり、10時間半減期温度とは、有機過酸化物の半減期が10時間である温度をさす。
10時間半減期温度が100℃以下である場合、反応過程においてエチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)の架橋反応が進行しすぎてしまいゲル化するため水性分散体組成物を得難い。一方150℃を越えると、エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)を架橋し難い。
また、有機過酸化物(F)においては、活性化エネルギーは130(KJ/mol)以上であり、150(KJ/mol)以上であるとより好ましく、170(KJ/mol)以上であると更に好ましい。活性化エネルギーの上限値は200(KJ/mol)であると好ましく、190(KJ/mol)であるとより好ましく、180(KJ/mol)であると更に好ましい。
活性化エネルギーは−O−O−結合がラジカル開裂するのに必要なエネルギーである。
活性化エネルギーが130(KJ/mol)未満である場合、反応過程においてエチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)の架橋反応が進行しすぎてしまいゲル化するため水性分散体組成物を得難い。一方、200(KJ/mol)を超えると、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)に架橋構造を形成し難い。
10時間半減期温度が100℃を超え、且つ150℃以下であり、活性化エネルギーが130(KJ/mol)以上である有機過酸化物(F)としては、t−ブチルパーオキシアクリレート、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾネート、n−ブチル−4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレレート、ジ−(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシル−パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン、t−ブチル−クミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、パーメンタハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキセンなどが挙げられる。
これらの有機過酸化物(F)は、1種を単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
有機過酸化物(F)は、水性分散体(E)の固形分100質量部に対して0.3〜20質量部用いることが好ましく0.5〜10質量部用いることがより好ましく、1〜5質量部用いることが更に好ましい。有機過酸化物(F)の使用量が20質量部を超えると、反応過程においてエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)の架橋反応が進行しすぎてしまいゲル化するため、本発明の水性分散体組成物を得難い。一方、使用量が0.3質量部未満の場合、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)の粒子内に架橋構造を形成し難くい。
つまり、有機過酸化物(F)の使用量が0.3〜20質量部の範囲内であれば、架橋構造を有した水性分散体を得やすい傾向にある。
有機過酸化物(F)を使用すると、遊離ラジカルにより、水性分散体(E)における非共役ポリエンを含まないエチレン−α‐オレフィンランダム共重合体(A)の共重合体鎖の水素原子の引き抜きが生じ、共重合体鎖同士がラジカル結合をすることで、架橋構造を形成させることができる。従って、エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)と、酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも1種とからなる分散質が架橋構造を有する水性分散体組成物を得ることができる。
なお、エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)を架橋するために、アゾ化合物、電離性放射線等の有機過酸化物以外を用いた場合、非共役ポリエンを含まないエチレン−α‐オレフィンランダム共重合体(A)の共重合体鎖同士のラジカル結合がおきず、前記エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)と、酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも1種とからなる分散質内に架橋構造を形成することができない。
エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)を架橋するには、水性分散体(E)に有機過酸化物(F)を均一分散させた後、加熱すると好ましい。
このとき、加熱温度及び加熱時間は好ましい架橋度が得られる範囲であれば特に限定されない。
以下に、具体的な一例を示す。
オートクレーブ中で水性分散体(E)の固形分100質量部に対して、t−ブチル−クミルパーオキサイド等の有機過酸化物(F)を所定量添加して、温度を60〜135℃にして、0.5〜7.5時間程度反応させる。これによりエチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)が架橋度20〜80質量%程度に架橋されている水性分散体組成物が得られる。
なお、水性分散体組成物には、多官能性モノマーを添加しても良い。
多官能性モノマーとしては、例えば2個以上のエチレン性不飽和基、特にビニル基を有するモノマーが好ましく用いられる。具体的には、ジビニルベンゼン、テトラメチレンジアクリレート、グリセリルトリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、テトラアリロキシエタンなどが挙げられる。
水性分散体組成物における、多官能性モノマーは、水性分散体(E)の固形分100質量部に対して0.1〜20質量部含有されていることが好ましく、0.3〜5質量部含有されていることが更に好ましい。
多官能性モノマーは水性分散体組成物において、(三次元的な網目構造を形成するための)架橋剤としての作用を示し、上記範囲内で水性分散体組成物に含有させると架橋構造を形成しやすくなる。
[塗料組成物]
本発明の塗料組成物は、本発明の水性分散体組成物と塗料樹脂(G)とを含有するものである。
塗料樹脂(G)としては、例えばウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びアルキド樹脂等が挙げられるが、本発明の塗料組成物を水性塗料として使用する場合はこれら樹脂の水酸基含有樹脂を使用することが好ましい。水酸基含有樹脂とは1分子中に2個以上の水酸基を有する樹脂である。中でも、ポリエステル樹脂や、ポリエステル樹脂をウレタン樹脂変性したものが耐チッピング性の点から好ましい。
本発明で好適に用いられるポリエステル樹脂は、既知の方法で、常法に従い多塩基酸と多価アルコールとをエステル化反応させることによって合成することができる。
多塩基酸は、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルメタン、4,4−ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘット酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、及びこれらの無水物などが挙げられる。
また、多塩基酸として脂環式多塩基酸を用いることができる。脂環式多塩基酸は、1分子中に1個以上の脂環式構造(主として4〜6員環)と2個以上のカルボキシル基を有する化合物であり、たとえば、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、及びこれらの無水物などが挙げられる。
多価アルコールのうち、1分子中に2個の水酸基を有する多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3−メチル−4,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルなどのグリコール類、これらのグリコール類にε−カプロラクトンなどのラクトン類を付加したポリラクトンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレートなどのポリエステルジオール類が挙げられる。
また、多価アルコールのうち、1分子中に3個以上の水酸基を有する多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトールなどが挙げられる。
また、多価アルコールとして脂環式多価アルコールを用いることができる。脂環式多価アルコールは1分子中に1個以上の脂環式構造(主として4〜6員環)と2個以上の水酸基とを有する化合物であり、例えば、1、3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、スピログリコール、ジヒドロキシメチルトリシクロデカンなどが挙げられる。
上記、多塩基酸/脂環式多塩基酸、多価アルコール/脂環式多価アルコールを反応させ
てなるポリエステル樹脂の質量平均分子量は特に制限されない。
また塗料樹脂(G)はポリエステル樹脂中の水酸基の一部にポリイソシアネート化合物をウレタン化反応により伸長させ高分子量化した、いわゆるウレタン変性ポリエステル樹脂を使用してもよい。ウレタン変性水酸基含有ポリエステル樹脂は、水酸基含有ポリエステル樹脂中の水酸基の一部にポリイソシアネート化合物をウレタン化反応により伸長させ高分子量化したものである。
水性塗料の製法は公知のものであれば特に制限されないが、例えば、水酸基含有樹脂のカルボキシル基を、中和剤で中和することにより水分散することができる。そのような中和剤として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア;エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノールなどの第1級モノアミン;ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−またはジ−iso −プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミンなどの第2級モノアミン;ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノールなどの第3級モノアミン;ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミンなどのポリアミンを挙げることができる。
本発明の塗料組成物は、塗料樹脂(G)100質量部(固形分換算)に対し、本発明の水性分散体組成物を5〜30質量部(固形分換算)含有することが好ましく、15〜25質量部含有することが更に好ましい。塗料組成物において水性分散体組成物を5〜30質量部(固形分換算)含有させると、塗膜外観、塗膜耐久性、耐チッピング性の点で好ましい。
また、塗料組成物中には、水性分散体組成物及び塗料樹脂(G)以外に硬化剤、顔料、増粘剤、表面調整剤、分散剤、及び紫外線吸収剤等の添加剤を含有させても良い。
本発明の塗料組成物に含有させる硬化剤は特に制限されないが例えばメラミン樹脂、メチロール化アミノ樹脂、ブロック化ポリイソシアネート化合物などが挙げられる。
本発明の塗料組成物に含有させる顔料は特に制限されず、着色顔料、無機顔料、有機顔料等を用いることができ、目的に応じて配合することができる。
以上のようにして得られる、本発明の塗料組成物は、例えば、水系塗料、溶剤系塗料、粉体塗料などの塗料形態、透明若しくは濁りクリヤー塗料、カラーベース塗料、エナメル塗料、下塗り塗料、又は艶有り若しくは艶消し塗料などの塗料用途、常温乾燥型塗料や硬化型塗料等のタイプについて、使用することができる。
以上のように、本発明の水性分散体組成物を塗料組成物に添加すると、該塗料組成物によって形成される塗膜の耐チッピング性を飛躍的に向上させることが可能である。また、本発明の水性分散体組成物は、塗料組成物に添加しても、塗膜外観の悪化及び塗膜耐久性の低下を起こし難い。従って、本発明の水性分散体組成物を含有している本発明の塗料組成物は、塗膜外観及び塗膜耐久性を良好に維持しながらも、耐チッピング性に優れた塗膜を形成することができる。
更に、本発明の水性分散体組成物は有機系の溶剤を用いることなく製造することが可能であるので、環境対応型の塗料の成分として極めて有用であるといえる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下において特に限定のない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」のことを意味する。(註:但し、塗膜外観ならびに塗膜耐久性の評価結果についてはこの中に入れない。)
また以下の各製造例、実施例及び比較例における、物性の特性は、下記のようにして測定した。
(質量平均分子量)
ウォーターズ社製、アライアンスGPC V2000型を用いて、標準物質;ポリスチレン換算、溶媒;オルトジクロロベンゼン、測定温度;140℃の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィ法にて測定した。
(酸価)
JIS K5902に準拠し測定した。
(体積平均粒子径)
Microtrac UPA(Mountech Co.Ltd)を用いて分散質の体積平均粒子径を測定した。
(固形分濃度)
得られた各水性分散体組成物を1g採取し、120℃のオーブンで20分間乾燥して、下記一般式(H)を用いて求めた。
固形分濃度(%)=乾燥後の水性分散体組成物質量(g)/1(g)×100
・・・(H)
(架橋度)
得られた各水性分散体組成物を希硫酸にて凝固した後、これを0.5g採取し、200mlのトルエン中に125℃で40時間浸漬し、次いで200メッシュのステンレススチール製金網にて濾過し、残渣を乾燥して、下記一般式(I)を用いて求めた。
架橋度(%)=トルエン浸漬後の残渣質量(g)/トルエン浸漬前のサンプル質量(g)×100・・・(I)
註:トルエン浸漬後の残渣はトルエンを十分に揮発させたものを指す。
(成分(A))
以下の実施例及び比較例において、成分(A)として、下記の(A−1)〜(A−8)を用いた。
エチレン‐1−ブテンランダム共重合体(A−1):
重合器中で、オキシ三塩化バナジウムとエチルアルミニウムセスキクロリドを重合触媒とし、重合溶媒ヘキサン中にエチレンと1−ブテンの混合ガス及び水素ガスを供給し、40℃、5kg/cm、滞留時間1時間の条件下で連続的にエチレンと1−ブテンとを重合した。
次いで、得られた反応溶液から触媒を分離し、質量平均分子量85,000エチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−1)を得た。
エチレン‐1−ブテンランダム共重合体(A−2)〜(A−5):
水素ガスの供給量を調整した以外は(A−1)の製法と同様にして、質量平均分子量を変化させたエチレン‐1−ブテンランダム共重合体(A−2)〜(A−5)を得た。
なお、エチレン‐1−ブテンランダム共重合体(A−2)の質量平均分子量を28,000とし、エチレン‐1−ブテンランダム共重合体(A−3)の質量平均分子量を32,000とし、エチレン‐1−ブテンランダム共重合体(A−4)の質量平均分子量を138,00とし、エチレン‐1−ブテンランダム共重合体(A−5)の質量平均分子量を142,000とした。
エチレン‐1−オクテンランダム共重合体(A−6):
重合器中で、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリドとメチルアルミノキサンのトルエン溶液を重合触媒とし、重合溶液ヘキサン中にエチレンと1−オクテンの混合ガス及び水素ガスを供給し、70℃、4kg/cm、滞留時間1時間の条件下で連続的にエチレンと1−オクテンとを重合した。次いで、得られた反応溶液から触媒を分離し、分子量85,000のエチレン−1−オクテンランダム共重合体(A−6)を得た。
エチレン−プロピレン−ジエンランダム共重合体(A−7):
重合器中でメチルアルミノオキサン、ジクロライドチタンを重合触媒とし、重合溶液トルエン中に、プロピレン、エチレン、非共役ポリエンである1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンを混合し、6kg/cmの圧力でさらにエチレンを連続供給し30分間重合した。その後、得られた反応液から触媒を分離し、分子量85,000のエチレン−プロピレン−ジエンランダム共重合体(A−7)を得た。
プロピレン‐1−ブテンランダム共重合体(A−8):
重合器中でジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(3−t−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを重合触媒とし、重合溶液ヘキサン中にプロピレンと1−ブテンの混合ガス及び水素ガスを供給し、45℃で反応させた。次いで、得られた反応溶液から触媒を分離し、分子量85,000のプロピレン−1−ブテンランダム共重合体(A−8)を得た。
[実施例1]
エチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−1)100部と、酸変性ポリエチレンと
して無水マレイン酸変性ポリエチレン(三井化学(株)製「三井ハイワックス 2203A」、質量平均分子量:2,700、酸価:30mg/g)10部と、アニオン系乳化剤としてオレイン酸カリウム3部とを混合した。
次いで、この混合物を二軸スクリュー押出機(池貝鉄鋼(株)製「PCM−30型」L/D=40)のホッパーより4kg/時間で供給し、水酸化カリウム14%水溶液を240g/時間で連続的に供給しながら、220℃に加熱して溶融混練し、得られた溶融混練物を押出した。
引き続き、溶融混練物を同押出機先端に取り付けた冷却装置に連続的に供給し、90℃まで冷却した。取り出した固体を80℃の温水中に投入し、連続的に分散させて、表1に示す性質を有する水性分散体(E−1)を得た。
得られた水性分散体(E−1)の固形分100部に対して、有機過酸化物として、10時間半減期温度119.5℃、活性化エネルギー173.1(KJ/mol)であるt−ブチル−クミルパーオキサイドを3部添加し、130℃で5時間反応させて、平均粒子径0.60μmの水性分散体組成物(X−1)を調整した。この水性分散体組成物(X−1)におけるエチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−1)の架橋度を測定したところ50%であった。結果を表1に示す。
[実施例2〜4]
エチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−1)100部の代わりに、エチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−3)100部、エチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−4)100部、又はエチレン−1−オクテンランダム共重合体(A−6)100部を用いた他は実施例1と同様にして、表1に示す性質を有する水性分散体(E−2)〜(E−4)を得た。
更に得られた水性分散体(E−2)〜(E−4)の固形分100部に対してt−ブチル‐クミルパーオキサイドを3部添加し、130℃で5時間反応させて、架橋度50%、平均粒子径0.60μmの水性分散体組成物(X−2)〜(X−4)を得た。結果を表1に示す。
[実施例6、7、参考例5、8
水性分散体として、実施例1と同様の水性分散体(E−1)を用いた。水性分散体(E−1)の固形分100部に対して添加する、t−ブチル‐クミルパーオキサイドの量を、それぞれ表1に記載の量(1部、1.5部、4.5部、5部)に変更した以外は実施例1と同様にして、架橋度がそれぞれ18%、22%、78%、82%で、平均粒子径0.60μmの水性分散体組成物(X−5)〜(X−8)を得た。結果を表1に示す。
[実施例10、11、参考例9、12
無水マレイン酸変性ポリエチレンとオレイン酸カリウムの添加量を、それぞれ表1に記載の量(無水マレイン酸変性ポリエチレン(部)/オレイン酸カリウム(部)=14/5、12/4、8/2、6/1.5)に変更した以外は実施例1と同様にして、表1に示す性質を有する水性分散体(E−5)〜(E−8)を得た。
更に得られた水性分散体(E−5)〜(E−8)の固形分100部に対してt−ブチル‐クミルパーオキサイドを3部添加し、130℃で5時間反応させて、架橋度が50%で、平均粒子径がそせぞれ、0.38μm、0.42μm、0.78μm、0.82μmである水性分散体組成物(X−9)〜(X−12)を得た。結果を表1に示す。
Figure 0005186298
表1によれば、実施例においてはエチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)が架橋されている水性分散体組成物を得ることができた。
[比較例1〜4]
エチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−1)100部の代わりに、エチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−2)100部、エチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−5)100部、エチレンプロピレンジエンランダム共重合体(A−7)100部、又はプロピレン−1−ブテンランダム共重合体(A−8)100部、を用いた他は実施例1と同様にして、表2に示す性質を有する水性分散体(E−9)〜(E−12)を得た。
更に得られた(E−9)〜(E−12)の固形分100部に対してt−ブチル‐クミルパーオキサイドを3部添加し、130℃で5時間反応させて、架橋度50%、平均粒子径0.60μmの水性分散体組成物(X−13)〜(X−16)を得た。結果を表2に示す。
[比較例5]
水性分散体として、実施例1と同様の水性分散体(E−1)を用いた。水性分散体(E−1)の固形分100部に対して添加する、有機過酸化物の代わりに、アゾ化合物であるアゾビスイソブチロニトリル3部を添加した他は実施例1と同様にして、平均粒子径0.60μmの水性分散体組成物(X−17)を得たが、(X−17)中のエチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−1)に架橋構造を形成することはできなかった。結果を表2に示す。
[比較例6]
水性分散体として、実施例1と同様の水性分散体(E−1)を用いた。水性分散体(E−1)の固形分100部に対して添加する、有機過酸化物として、t−ブチル−クミルパーオキサイドの代わりに、10時間半減期温度64.7℃、活性化エネルギー141.2(KJ/mol)である2,2−ジ−4,4−ジ−t−ブチルペルオキシプロパンを3部添加した他は実施例1と同様にしたところ、架橋反応途中でゲル状となり、水性分散体組成物(X−18)を得ることができなった。結果を表2に示す。
[比較例7]
水性分散体として、実施例1と同様の水性分散体(E−1)を用いた。水性分散体(E−1)の固形分100部に対して添加する、有機過酸化物として、t−ブチル−クミルパーオキサイドの代わりに、10時間半減期温度166.5℃、活性化エネルギー132.5(KJ/mol)であるt−ブチルハイドロパーオキサイドを3部添加した他は実施例1と同様にして、平均粒子径0.60μmの水性分散体組成物(X−19)を得たが、(X−19)中のエチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−1)に架橋構造を形成することはできなかった。結果を表2に示す。
[比較例8]
水性分散体として、実施例1と同様の水性分散体(E−1)を用いた。水性分散体(E−1)の固形分100部に対して添加する、有機過酸化物として、t−ブチル−クミルパーオキサイドの代わりに、10時間半減期温度145.1℃、活性化エネルギー128.1(KJ/mol)であるジイソプロピルハイドロパーオキサイドを3部添加した他は実施例1と同様にしたところ、架橋反応途中でゲル状となり、水性分散体組成物(X−20)を得ることができなった。結果を表2に示す。
Figure 0005186298
表2によれば、有機過酸化物(F)として半減期温度が100℃未満である2,2−ジ−4,4−ジ−t−ブチルペルオキシプロパンを用いた比較例6、及び活性化エネルギーが130(KJ/mol)未満であるジイソプロピルハイドロパーオキサイドを用いた比較例8では、架橋時に水性分散体がゲル化してしまい、水性分散体組成物を得ることができなかった。
その他の比較例では、水性分散体組成物を得ることはできたが、以下の比較例10、11及び13〜18で示されるように、得られた水性分散体組成物を用いた塗料組成物の塗膜において、塗膜外観、塗膜耐久性、及び耐チッピング性のいずれかが劣る傾向にあった。
[実施例13]
まず、リン酸亜鉛系下地処理剤(パルボンド#302:日本パーカーライジング(株)製)で化成処理した亜鉛メッキ鋼板に、カチオン電着塗料(エレクトロン2000:関西ペイント(株)製)を電着塗装した後170℃で20分間焼き付け、厚さ20μmの電着塗装板を作成した。
次に、塗料樹脂として、水性ポリエステル塗料「バイロナールMD−1200:東洋紡績(株)製」100部(固形分換算)を用い、これに対して、実施例1で得られた水性分散体組成物(X−1)20部(固形分換算)加えた塗料組成物を作製した。
この塗料組成物を中塗り塗料として、電着塗装板表面にエアースプレーにて厚さ約35μmになるように塗装した後、140℃で30分間加熱硬化させてサンプルを作成した。
得られたサンプルについて以下に示す評価を行った。結果を表3に示す。
(塗膜外観)
<光沢低下率>
各実施例で作成する電着塗装板に、各実施例で用いた塗料樹脂のみをエアースプレーにて厚さ約35μmになるように塗装し、その後140℃で30分間加熱硬化させたサンプル(a)を作成した。
得られたサンプル(a)と、実施例にて得られたサンプルについて光沢を測定し、水性分散体組成物添加後の塗膜の光沢低下率を調べ、下記の基準で評価を行った。
なお、光沢低下率は、デジタル変角光沢計(スガ試験機(株)製:UGV−5D)を用い、測定条件60°にて塗膜の光沢を測定した。
塗膜外観が特に優れる:水性分散体組成物添加による塗膜の外観変化なし(光沢低下率が0%)。
塗膜外観が優れる:水性分散体組成物添加による塗膜の光沢低下率が30%未満。
塗膜外観が優れない:水性分散体組成物添加による塗膜の光沢低下率が30%以上。
<凝集物>
実施例にて得られたサンプルを目視で判定し、凝集物の有無を調べ、以下の基準で評価を行った。
○:塗膜に凝集物が見られない。
×:塗膜に凝集物が見られる。
(塗膜耐久性)
塗膜の耐久性はヌープ硬度(KHN)により評価した。
各実施例で作成する電着塗装板に、各実施例で用いた塗料樹脂のみをエアースプレーにて厚さ約35μmになるように塗装し、その後140℃で30分間加熱硬化させたサンプル(a)を作成した。
得られたサンプル(a)と、実施例にて得られたサンプルとについてヌープ硬度を測定し、水性分散体組成物添加後の塗膜のヌープ硬度低下率を調べ、下記の基準で評価を行った。
なお、ヌープ硬度は、島津製作所製、MCT−W500により測定した。
塗膜耐久性が特に優れる:水性分散体組成物添加による塗膜のヌープ硬度低下率10%未満。
塗膜耐久性が優れる:水性分散体組成物添加による塗膜のヌープ硬度低下率10%以上、30%未満。
塗膜耐久性が優れない:水性分散体組成物添加による塗膜のヌープ硬度低下率割30%以上。
(耐チッピング性)
耐チッピング性はグラベロメータ法により評価した。
まず、ショット材として道路用砕石6号を使用し、このショット材が90°の角度で当たるように、実施例で得られたサンプルをグラベロメータ(スガ試験機(株)製:JA400LB)の所定位置にセットした。
次に4.0kg/cmのエアー圧に調節したグラベロメータに250gのショット材を入れエアバルブを開いてショット材をサンプルに吹き付け、吐出後、サンプルを取り外し、塗面の破壊部位を以下の基準で目視により評価した。
○:塗膜破壊で素地金属の露出なし
△:素地金属の露出小
×:素地金属の露出大
[実施例14〜16、18、19、22、23、参考例17、20、21、24]
水性分散体組成物(X−1)の代わりに、(X−2)〜(X−12)を使用した以外は、実施例13と同様にしてサンプルを作成した。
得られたサンプルについて実施例13と同様にして各評価を行った。結果を表3に示す。
[実施例25]
塗料樹脂として、水性ポリウレタン塗料(スーパーフレックス210:第一工業製薬製)100部(固形分換算)を使用した以外は、実施例13と同様にしてサンプルを作成した。
得られたサンプルについて実施例13と同様にして各評価を行った。結果を表4に示す。
[実施例26]
塗料樹脂として水性アクリル塗料(リカボンドES−20:中央理化工業製)100部(固形分換算)を使用した以外は、実施例13と同様にしてサンプルを作成した。
得られたサンプルについて実施例13と同様にして各評価を行った。結果を表4に示す。
[実施例27〜30]
水性分散体組成物(X−1)の添加量をそれぞれ固形分換算で、4部、6部、29部、31部とした他は、実施例13と同様にしてサンプルを作成した。
得られたサンプルについて実施例13と同様にして各評価を行った。結果を表4に示す。
[比較例9]
水性分散体組成物を添加しなかった以外は、実施例13と同様にしてサンプルを作成した。
得られたサンプルについて実施例13と同様にして各評価を行った。結果を表5に示す。
[比較例10、11]
水性分散体組成物(X−1)の代わりに、(X−13)又は(X−14)を使用した以外は、実施例13と同様にしてサンプルを作成した。
得られたサンプルについて実施例13と同様にして各評価を行った。結果を表5に示す。
[比較例12]
水性分散体組成物(X−1)の代わりに、水性分散体(E−1)を使用した以外は、実施例13と同様にしてサンプルを作成した。
得られたサンプルについて実施例13と同様にして各評価を行った。結果を表5に示す。
[比較例13〜15]
水性分散体組成物(X−1)の代わりに、(X−15)〜(X−17)を使用した以外は、実施例13と同様にしてサンプルを作成した。
得られたサンプルについて実施例13と同様にして各評価を行った。結果を表5に示す。
[比較例16]
(X−18)はゲル化したため、水性分散体組成物(X−1)の代わりに使用することができず、評価を行うことができなかった。
[比較例17]
水性分散体組成物(X−1)の代わりに、(X−19)を使用した以外は、実施例13と同様にしてサンプルを作成した。
得られたサンプルについて実施例13と同様にして各評価を行った。結果を表5に示す。
[比較例18]
(X−20)はゲル化したため、水性分散体組成物(X−1)の代わりに使用することができず、評価を行うことができなかった。
Figure 0005186298
Figure 0005186298
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実施例14、15及び比較例10、11では分子量の影響、実施例16ではα−オレフィン成分の影響、参考例17、20及び実施例18、19では架橋度の影響、参考例21、24及び実施例22、23では水性分散体の粒子径の影響、実施例25、26では塗料樹脂の影響、実施例27〜30では塗料樹脂に対する水性分散体組成物の添加量の影響を比較している。
表3及び4で示されるように、実施例13〜16、18、19、22、23、25〜30及び参考例17、20、21、24の塗料組成物では、非共役ポリエンを含まないエチレン−α‐オレフィンランダム共重合体を含有する水性分散体に、10時間半減期温度が100℃を超え、且つ150℃以下であり、活性化エネルギーが130(KJ/mol)以上である有機過酸化物を作用させ、分散質中のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体に架橋構造を形成させた水性分散体組成物(X−1)〜(X−12)を用いた。従って、実施例13〜16、18、19、22、23、25〜30及び参考例17、20、21、24の塗料組成物による塗膜は、塗膜外観、塗膜耐久性及び耐チッピング性が良好であった。中でも、実施例13、14、15、18、19、22、23、28、29は水性分散体組成物中の架橋度、粒子径、分子量を調整したことにより、塗膜外観、塗膜耐久性及び耐チッピング性の総てが優れたものであった。
表5で示されるように、比較例9では、水性分散体組成物が添加されていないため、塗膜の耐チッピング性が低かった。
比較例10で用いた水性分散体組成物(X−13)は、質量平均分子量が30,000未満であるエチレン−α‐オレフィンランダム共重合体(A)から構成されているため、該水性分散体を用いた塗料組成物の塗膜では、凝集力が不足し、耐チッピング性が低かった。
比較例11で用いた水性分散体組成物(X−14)は、質量平均分子量が140,000を超えるエチレン−α‐オレフィンランダム共重合体(A)から構成されているため、該水性分散体を用いた塗料組成物の塗膜では、良好な塗膜外観を得にくかった。
比較例12、15、17で用いた水性分散体(E−1)及び水性分散体組成物(X−17)、(X−19)は、(水性分散体(E−1)及び水性分散体組成物(X−17)、(X−19)の構成成分である)エチレン−α−オレフィンランダム共重合体が架橋構造を形成していないため、該水性分散体を用いた塗料組成物の塗膜では、強靭性が不足し、塗膜耐久性及び耐チッピング性が低かった。
比較例13、14で用いた水性分散体組成物(X−15)及び(X−16)は、エチレン−α‐オレフィンランダム共重合体(A)が、非共役ポリエンを含むエチレン−α‐オレフィンランダム共重合体、又はプロピレン−α‐オレフィンランダム共重合体で構成されているため、該水性分散体を用いた塗料組成物の塗膜では、耐チッピング性が低かった。
比較例16、18で用いた水性分散体組成物(X−18)及び(X−20)は、架橋時に水性分散体がゲル化したため、水性分散体組成物を得ることができず、評価を行うことができなかった。

Claims (6)

  1. 非共役ポリエン成分を含まず、質量平均分子量が30,000〜140,000であるエチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)と、酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも一種と、水とを含有し、
    前記エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)が架橋され、前記エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)の架橋度が20〜80質量%であり、
    前記エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)と、酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも1種とからなる分散質の平均粒子径が0.4〜0.8μmである水性分散体組成物。
  2. 前記エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)がエチレン‐1ブテンランダム共重合体である、請求項1に記載の水性分散体組成物。
  3. 非共役ポリエン成分を含まず、質量平均分子量が30,000〜140,000であるエチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)と、酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも一種とを含有する混合物を溶融混練して溶融混練物を得る工程と、
    該溶融混練物を水中に分散させて水性分散体(E)を得る工程と、
    該水性分散体(E)に、10時間半減期温度が100℃を超え、且つ150℃以下であり、活性化エネルギーが130kJ/mol以上である有機過酸化物(F)を添加して、エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)を架橋度が20〜80質量%に架橋させる工程とを有して、
    前記エチレン‐α‐オレフィンランダム共重合体(A)と、酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン系乳化剤(C)及び中和してアニオン系乳化剤となる有機酸(D)の少なくとも1種とからなる分散質の平均粒子径が0.4〜0.8μmである水性分散体組成物を得る水性分散体組成物の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の水性分散体組成物と塗料樹脂(G)とを含有する塗料組成物。
  5. 前記塗料樹脂(G)がポリエステルである、請求項に記載の塗料組成物。
  6. 前記塗料樹脂(G)100質量部(固形分換算)に対して、前記水性分散体組成物を5〜30質量部(固形分換算)含有する、請求項又はに記載の塗料組成物。
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