JP2011219581A - 水性塗料組成物およびその製造方法 - Google Patents

水性塗料組成物およびその製造方法 Download PDF

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Keiichi Yagi
圭一 八木
Risa Nii
梨沙 仁位
Nobutaka Hase
信隆 長谷
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Abstract

【課題】環境への負荷が小さく、また、複層塗膜界面(中塗り塗膜と上塗り塗膜との界面、上塗り塗膜とクリヤー塗膜との界面)での混層を抑制でき、さらには耐チッピング性および光沢に優れた塗膜を形成できる水性塗料組成物を提供する。
【解決手段】本発明の水性塗料組成物は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂およびポリエステルからなる群から選ばれる1種以上を含む塗料樹脂(G)と、密度が0.850〜0.920g/cm、ガラス転移温度が−60〜−20℃であるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)を分散質として含む水性分散体(E)とを含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体を含有する水性塗料組成物およびその製造方法に関する。
自動車車体、特にその外板部の表面には、通常、優れた防食性や外観を付与することを目的として、高い防食性を有する下塗り塗膜と、優れた平滑性や耐チッピング性を有する第1ベース塗膜(以下、「中塗り塗膜」という。)と、優れた外観を有する第2ベース塗膜(以下、「上塗り塗膜」という。)と、クリヤー塗膜からなる複層塗膜とが形成されている。
これら複層塗膜の形成方法としては、一層ずつ、塗布・乾燥により未硬化の塗膜を形成し、これを焼付け硬化する方法と、塗布により複層の未硬化塗膜を形成した後、これらを同時に焼付け硬化する方法とが知られている。このうち、複層の未硬化塗膜を同時に焼付け硬化する方法では、中塗り塗料や上塗り塗料の乾燥工程を省略できるため、環境面および経済性の点で有利である。
近年、環境への負荷低減がより一層求められている。そのため、焼付け硬化時の揮発性有機溶剤(VOC)排出による環境汚染を抑制するために、水性の中塗り塗料を塗布した後に硬化せずに水性の上塗り塗料を重ね塗りする水性ウェットオンウェット塗装の適用が求められている。
しかしながら、水性ウェットオンウェット塗装では、中塗り塗料および上塗り塗料の分散媒が共に水であるため、互いの塗料が混じりやすく、中塗り塗料と上塗り塗料の界面において、塗料のなじみや反転(以下、「混層」という。)が生じることがあった。塗膜界面にて混層が生じると、平滑性や光沢等の塗膜仕上がり外観などが低下するだけでなく、塗膜が連続化することにより、耐チッピング性等の塗膜性能も低下するといった問題が生じた。
また、クリヤー塗料は溶剤型塗料が多用されており、クリヤー塗料中に含まれる有機溶剤によって塗膜が侵されて混層が生じて、平滑性や光沢等の塗膜外観が低下することがあった。そのため、中塗り塗料および上塗り塗料には、高い耐溶剤性が求められる。
混層を制御する方法としては、例えば、特許文献1では、塗料にウレタン変性ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート化合物、コアシェル構造を有する非水ディスパージョン樹脂を含有させることで、各塗膜間での混層を制御する方法が開示されている。
また、特許文献2では、塗料にアミド基含有アクリル樹脂、ウレタン変性ポリエステル、ポリエチレンワックスを含有させて、中塗り塗膜と上塗り塗膜との混層を抑制する方法が開示されている。
特開2004−337738号公報 特開2002−146282号公報
しかしながら、特許文献1,2に記載の方法でも、中塗り塗膜と上塗り塗膜との混層抑制効果は不充分である上に、上塗り塗膜とクリヤー塗膜との混層は防げなかった。さらに、特許文献2に記載の方法では、混層防止性付与粒子として非水ディスパージョンを使用しているため、塗料中の有機溶剤量が増加し、環境負荷の低減を図ることができなかった。
本発明は、環境への負荷が小さく、また、複層塗膜界面(中塗り塗膜と上塗り塗膜との界面、上塗り塗膜とクリヤー塗膜との界面)での混層を抑制でき、さらには耐チッピング性および光沢に優れた塗膜を形成できる水性塗料組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を包含する。
[1]アクリル樹脂、ウレタン樹脂およびポリエステルからなる群から選ばれる1種以上を含む塗料樹脂(G)と、密度が0.850〜0.920g/cm、ガラス転移温度が−60〜−20℃であるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)を分散質として含む水性分散体(E)とを含有することを特徴とする水性塗料組成物。
[2]水性分散体(E)が、ポリエチレンに不飽和ジカルボン酸類が付加した酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン型界面活性剤と、塩基性物質とを含む[1]に記載の水性塗料組成物。
[3]塗料樹脂(G)と水性分散体(E)との固形分質量比[(G)/(E)]が99/1〜70/30である[1]または[2]に記載の水性塗料組成物。
[4]アクリル樹脂、ウレタン樹脂およびポリエステルからなる群から選ばれる1種以上を含む塗料樹脂(G)と、密度が0.850〜0.920g/cm、ガラス転移温度が−60〜−20℃であるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)を分散質として含む水性分散体(E)とを混合する混合工程を有することを特徴とする水性塗料組成物の製造方法。
[5]水性分散体(E)を下記(a)〜(c)の工程を経て得る[4]に記載の水性塗料組成物の製造方法。
(a)前記エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)と、ポリエチレンに不飽和ジカルボン酸類が付加した酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン型界面活性剤とを溶融混練して溶融混練物を得る溶融混練工程
(b)前記溶融混練物に水および塩基性物質を添加し、樹脂固形分が粒子状に水中に分散するように転相させて転相物を得る転相工程
(c)前記転相物の水分を、水分含有率3〜90質量%になるように調整する水分調整工程
[6]混合工程では、塗料樹脂(G)と水性分散体(E)との混合比[(G)/(E)]を、固形分の質量基準で99/1〜70/30にする[4]または[5]に記載の水性塗料組成物の製造方法。
本発明の水性塗料組成物によれば、複層塗膜界面での混層を抑制でき、平滑性、光沢等の塗膜仕上がり外観および耐チッピング性等の塗膜物性に優れた塗膜を形成できる。また、本発明の水性塗料組成物は、水を分散媒とし、有機溶剤を含有していないため、環境への負荷が小さい。
本発明の水性塗料組成物の製造方法によれば、上述した水性塗料組成物を容易に製造できる。
「水性塗料組成物(I)」
本発明の水性塗料組成物(I)は、塗料樹脂(G)と水性分散体(E)とを含有する。
<塗料樹脂(G)>
塗料樹脂(G)は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂およびポリエステルからなる群から選ばれる1種以上を含むものである。塗料樹脂(G)は、水性分散体(E)との混合性が高くなることから、水に分散されていることが好ましい。
(アクリル樹脂)
アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を公知の重合方法により重合して得た重合体である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどが挙げられる。
アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体以外に水酸基含有重合性不飽和単量体単量体が共重合されていてもよい。ここで、水酸基含有重合性不飽和単量体は、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物である。
水酸基含有重合性不飽和単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール、さらに、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの単量体は、単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体および水酸基含有重合性不飽和単量体以外の単量体(以下、「その他の単量体」という。)が共重合されていてもよい。
その他の単量体としては、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
(ウレタン樹脂)
ウレタン樹脂は、公知の方法により得られたものが使用される。ウレタン樹脂は、具体的には、多官能イソシアネート化合物と、活性水素基を1分子中に2個以上有する活性水素化合物とを反応させることで得られる。
多官能イソシアネート化合物としては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、含硫脂肪族イソシアネート、芳香族スルフィド系イソシアネート、脂肪族ジスルフィド系イソシアネート、芳香族スルホン系イソシアネート、スルホン酸エステル系イソシアネート、芳香族スルホン酸アミド系イソシアネート、含硫複素環化合物などが挙げられる。
さらに、脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−ω,ω’−ジイソシアネート、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、キシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプロピル)ベンゼン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、ビス(イソシアナトメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタレート、メシチレントリイソシアネート、2,6−ジ(イソシアナトメチル)フラン等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタン−ジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、2,2−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナト−n−ブチリデン)ペンタエリスリトール、ダイマー酸ジイソシアネート、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.1.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.1.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2,5−ビスイソシアナートメチルノルボルナン、2,6−ビスイソシアナートメチルノルボルナン等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピレンフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチルナフタレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビベンジル−4,4’−ジイソシアネート、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメリックMDI、ナフタレントリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアネート、4−メチル−ジフェニルメタン−3,5,2’,4’,6’−ペンタイソシアネート、フェニルイソシアナトメチルイソシアネート、フェニルイソシアナトエチルエチルイソシアネート、テトラヒドロナフチレンジイソシアネート、ヘキサヒドロベンゼンジイソシアネート、ヘキサヒドロジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、エチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、1,3−プロピレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、ベンゾフェノンジイソシアネート、ジエチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、ジベンゾフランジイソシアネート、カルバゾールジイソシアネート、エチルカルバゾールジイソシアネート、ジクロロカルバゾールジイソシアネート等が挙げられる。
含硫脂肪族イソシアネートとしては、例えば、チオジエチルジイソシアネート、チオプロピルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、ジメチルスルフォンジイソシアネート、ジチオジメチルジイソシアネート、ジチオジエチルジイソシアネート、ジチオプロピルジイソシアネート、ジシクロヘキシルスルフィド−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族スルフィド系イソシアネートとしては、例えば、ジフェニルスルフィド−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、3,3’ ,4,4’−ジイソシアナトジベンジルチオエーテル、ビス(4−イソシアナトメチルベンゼン)スルフィド、4、4’−メトキシベンゼンチオエチレングリコール−3,3’−ジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジスルフィド系イソシアネートとしては、例えば、ジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−6,6’−ジイソシアネート、4,4’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−3,3’−ジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族スルホン系イソシアネートとしては、例えば、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、ベンジディンスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタンスルホン−4,4’−ジイソシアネート、4−メチルジフェニルメタンスルホン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネートジベンジルスルホン、4,4’−ジメチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジ−tert−ブチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシベンゼンエチレンジスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート等が挙げられる。
スルホン酸エステル系イソシアネートとしては、例えば、4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニル−4’−イソシアナトフェノールエステル、4−メトキシ−3−イソシアナトベンゼンスルホニル−4’−イソシアナトフェノールエステル等が挙げられる。
芳香族スルホン酸アミド系イソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジメチルベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−3,3’−ジイソシアネート、4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニルアニリド−4−メチル−3’−イソシアネート等が挙げられる。
含硫複素環化合物としては、例えば、チオフェン−2,5−ジイソシアネート、チオフェン−2,5−ジイソシアナトメチル、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアネート、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアナトメチル等が挙げられる。
多官能イソシアネート化合物としては、上述した各化合物のアルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体や、多価アルコールとのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、ダイマー化あるいはトリマー化反応生成物等も使用できる。また、上述した化合物以外の多官能イソシアネート化合物を使用してもかまわない。
これらの多官能イソシアネート化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
一方、活性水素化合物としては、例えば以下に例示するものが挙げられる。
ポリオール化合物:エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、1,2−メチルグリコサイド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、スレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アリトール、マニトール、ドルシトール、イディトール、グリコール、イノシトール、ヘキサントリオール、トリグリセロース、ジグリペロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−ジメタノール、ビシクロ[4.3.0]−ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカンジオール、ビシクロ[4.3.0]ノナンジメタノール、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカンジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ[5.3.1.1]ドデカノール、スピロ[3,4]オクタンジオール、1,1’−ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、マルチトール、ラクチトール等の脂肪族ポリオール;ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ビフェニルテトラオール、ピロガロール、(ヒドロキシナフチル)ピロガロール、トリヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA−ビス−(2−ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA−ビス−(2−ヒドロキシエチルエーテル)、ビスフェノールS等の芳香族ポリオール;ジブロモネオペンチルグリコール等のハロゲン化ポリオール;ポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリエーテルポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、シリコンポリオール、フランジメタノール。
また、活性水素化合物としては、シュウ酸、グルタミン酸、アジピン酸、酢酸、フタル酸、イソフタル酸、サリチル酸、ピロメリット酸等の有機酸と、前記ポリオール化合物との縮合反応生成物;前記ポリオール化合物と、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとの付加反応生成物;アルキレンポリアミンとアルキレンオキシドとの付加反応生成物;2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸、3,4−ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、およびこれらのカプロラクトン変性品;2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリンジ(メルカプトアセテート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、2,4−ジメルカプトフェノール、2−メルカプトハイドロキノン、4−メルカプトフェノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1−ヒドロキシエチルチオ−3−メルカプトエチルチオベンゼン、4−ヒドロキシ−4’−メルカプトジフェニルスルフォン、2−(2−メルカプトエチルチオ)エタノール、ジヒドロキシエチルスルフィドモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ジメルカプトエタンモノ(サルチレート)、ヒドロキシエチルチオメチル−トリス(メルカプトエチルチオ)メタン等が挙げられる。
さらに、活性水素化合物としては、上述した以外にも、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ピペラジン、2ーメチルピペラジン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、α,α’−メチレンビス(2−クロルアニリン)3,3’−ジクロル−α,α’−ビフェニルアミン、m−キシレンジアミン、イソフォロンジアミン、N−メチル−3,3’−ジアミノプロピルアミン、ノルボルネンジアミン等のポリアミノ化合物、セリン、リジン、ヒスチジン等のα−アミノ酸も使用することができる。
(ポリエステル)
ポリエステルは、多塩基酸と多価アルコールとのエステルを有する重合体であり、例えば、多塩基酸と多価アルコールとをエステル化反応させることによって合成することができる。ポリエステルの質量平均分子量については、特に制限されない。
多塩基酸は、1分子中に2個以上のカルボキシ基を有する化合物であり、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4−ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルメタン、4,4−ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘット酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、およびこれらの無水物などが挙げられる。
また、多塩基酸として、1分子中に1個以上の脂環式構造(主として4〜6員環)と2個以上のカルボキシ基を有する脂環式多塩基酸を用いることもできる。脂環式多塩基酸としては、例えば、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、およびこれらの無水物などが挙げられる。
多価アルコールのうち、1分子中に2個の水酸基を有する多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3−メチル−4,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル等のグリコール類、これらのグリコール類にε−カプロラクトン等のラクトン類を付加したポリラクトンジオール、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート等のポリエステルジオール類などが挙げられる。
また、多価アルコールのうち、1分子中に3個以上の水酸基を有する多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトールなどが挙げられる。
また、多価アルコールとして、1分子中に1個以上の脂環式構造(主として4〜6員環)と2個以上の水酸基とを有する脂環式多価アルコールを用いることもできる。脂環式多価アルコールとしては、例えば、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、スピログリコール、ジヒドロキシメチルトリシクロデカンなどが挙げられる。
ポリエステルとして、ポリエステル中の水酸基の一部にポリイソシアネート化合物をウレタン化反応により付加させて高分子量化した、いわゆるウレタン変性ポリエステルを使用してもよい。
(その他の樹脂、硬化剤)
また、塗料樹脂(G)は、硬化剤との反応性を有する極性基含有樹脂と、硬化剤(例えば、イソシアネート、メラミン樹脂、アミノ樹脂、アミン化合物等)とを含有してもよい。
<水性分散体(E)>
本発明の水性塗料組成物(I)の構成成分である水性分散体(E)は、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)を分散質として含有する。
(エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A))
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)は、エチレンとα−オレフィンとのランダム共重合体である。
エチレンとα−オレフィンをランダムに共重合させることで、水性塗料組成物(I)より形成される塗膜の混層防止性を高くできる。そのため、該塗膜と、隣接する塗膜同士の混層を抑制でき、平滑性や光沢等の塗膜仕上がり外観や、耐チッピング性等の塗膜物性が良好となる。なお、エチレンとα−オレフィンをランダム共重合以外の方法(例えばブロック共重合、グラフト共重合など)で共重合した場合には、塗膜界面での混層防止性が得られず、平滑性、光沢および耐チッピング性が低下する。
α−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチルデセン−1、11−メチルドデセン−1、12−エチルテトラデセン−1などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせてもよい。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、具体的には、エチレン−1−オクテンランダム共重合体、エチレン−1−ブテンランダム共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体等が挙げられる。
水性分散体(E)の分散質が、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)以外の重合体から構成された場合、塗膜界面での混層防止性が得られず、平滑性、光沢および耐チッピング性が低下する。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)の密度は0.850〜0.920g/cmであり、0.860〜0.910g/cmであることが好ましい。密度が上記範囲外であると、塗膜界面での混層防止性が得られず、平滑性、光沢および耐チッピング性が低下する。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)の密度は、重合時のエチレンとα−オレフィンの混合ガスの比率を調整することで制御することができる。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)のガラス転移温度は−60〜−20℃であり、−55〜−25℃であることが好ましい。ガラス転移温度が上記範囲外であると、塗膜界面での混層防止性を得られず、平滑性、光沢および耐チッピング性が低下する。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)のガラス転移温度は、密度の調整同様に、重合時のエチレンとα−オレフィンの混合ガスの比率を調整することで制御することができる。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)には、α,β−モノエチレン性不飽和基を有する単量体および/またはその他共重合可能な単量体が付加されていてもよい。付加方法は限定されず、例えば、未付加の重合体を有機溶剤に溶解した状態で液状の単量体を付加する方法、未付加の重合体を水中に懸濁した状態で液状の単量体を付加する方法、未付加の重合体に、気化させた単量体を反応させて付加する方法や、付加する単量体と未付加の重合体を押出機に供給し、溶融混練する方法等が挙げられる。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)の製造方法は特に制限はないが、例えば、可溶性バナジウム化合物とアルキルアルミニウムハライド化合物とからなるバナジウム系触媒、またはメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物等の助触媒とからなるメタロセン系触媒の存在下で、エチレンとα−オレフィンとをランダムに共重合させる方法が挙げられる。
エチレンとα−オレフィンの共重合条件は、重合温度が40〜200℃であることが好ましい。また、圧力が、大気圧〜10MPaであることが好ましい。重合方法としては、反応安定性の点から溶液重合法が好ましい。
重合形式としては、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができるが、連続式で行うことが好ましい。半連続式または連続式では、反応条件の異なる2段以上に分けて行うこともできる。
(酸変性ポリエチレン(B))
水性分散体(E)は、貯蔵安定性を向上できることから、ポリエチレンに不飽和ジカルボン酸類が付加した酸変性ポリエチレン(B)を含有することが好ましい。
不飽和ジカルボン酸類としては特に制限はなく、例えばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸の無水物;マレイン酸メチル等の不飽和ジカルボン酸のエステル誘導体などが挙げられる。これらの不飽和ジカルボン酸類は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、カルボン酸は塩の形態をなしていても構わない。
酸変性ポリエチレン(B)の質量平均分子量は特に制限はないが、1,000〜35,000であることが好ましい。質量平均分子量が上記範囲内であれば、得られる水性分散体(E)の貯蔵安定性がより向上する。
酸変性ポリエチレン(B)の質量平均分子量は、ポリエチレンと不飽和ジカルボン酸類との反応における反応条件(例えば反応温度等)を調整することで制御できる。
酸変性ポリエチレン(B)の酸価は特に制限はないが、10〜60mgKOH/gであることが好ましい。酸価が上記範囲内であれば、水性分散体(E)の貯蔵安定性がより向上する。ここで、「酸価」とは、酸変性ポリエチレン1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数のことであり、JIS K5902に準拠して測定された値である。
酸変性ポリエチレン(B)の酸価は、ポリエチレンに対する不飽和ジカルボン酸の反応量(率)を調整することで制御できる。
酸変性ポリエチレン(B)の含有量は特に制限はないが、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)100質量部に対して1.0〜30.0質量部であることが好ましい。酸変性ポリエチレン(B)の含有量が上記範囲内にあれば、水性分散体(E)の貯蔵安定性が向上する。
(アニオン型界面活性剤(C))
また、水性分散体(E)は、貯蔵安定性を向上できることから、アニオン型界面活性剤(C)を含有することが好ましい。
アニオン型界面活性剤(C)としては特に制限はないが、例えば、第一級高級脂肪酸塩、第二級高級脂肪酸塩、第一級高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、第一級高級アルキルスルホン酸塩、第二級高級アルキルスルホン酸塩、高級アルキルジスルホン酸塩、スルホン化高級脂肪酸塩、高級脂肪酸硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸スルホン酸塩、高級アルコールエーテルのスルホン酸塩、高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェノールスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アルキルベイゾイミダゾールスルホン酸塩などが挙げられる。
これらのアニオン型界面活性剤の中で一般的なものとしては、高級脂肪酸類の塩、特に炭素数10〜20の飽和または不飽和の高級脂肪酸塩、特にアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)が挙げられる。
具体的には、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、等の飽和脂肪酸、リンデン酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸、あるいは牛脂酸等のこれらの混合物のアルカリ金属塩を挙げることができる。その中でも牛脂酸塩、スルホン酸塩が水性分散体(E)の貯蔵安定性の点で好ましい。
アニオン型界面活性剤(C)の含有量は特に制限はないが、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)100質量部に対して0.1〜20.0質量部であることが好ましい。アニオン型界面活性剤(C)の含有量が上記範囲内にあれば、水性分散体(E)の未乳化物の発生を抑えることができ、収率が向上する。
(水性分散体(E)の性状)
水性分散体(E)は、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)を含む樹脂固形分が、微細分散粒子として水中に分散しており、アニオン型界面活性剤を含有する場合には、乳化状態になっている。
微細分散粒子の体積平均粒子径は特に制限されないが、0.2〜0.8μmであることが好ましい。微細分散粒子の体積平均粒子径が上記範囲内であれば、水性分散体(E)の貯蔵安定性が向上する。ここで、体積平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定される値である。
微細分散粒子の体積平均粒子径は、水性分散体(E)製造時の剪断力、酸変性ポリエチレン(B)やアニオン型界面活性剤(C)の添加量を調整することで制御できる。
水性分散体(E)は、水分含有率が3〜90質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましい。水分含有率が上記範囲内であれば、水性分散体(E)の貯蔵安定性を充分に確保できる。
ただし、水性分散体(E)は、水分含有率が3〜35質量%の範囲内であると、通常、固形状またはペースト状となる。したがって、塗料樹脂(G)との混合の際には、混合しやすくなることから、水分含有率が40〜80質量%になるように水を添加して希釈することが好ましい。
水性分散体(E)の水分含有率は、以下のようにして測定できる。
すなわち、水性分散体(E)を1g採取し、120℃のオーブンで20分間乾燥させる。乾燥後の水性分散体(E)の質量を測定し、下記式を用いて水分含有率を求める。
水分含有率[%]={1[g]−(乾燥後の水性分散体(E)の質量[g]/1[g])}×100
<塗料樹脂(G)と水性分散体(E)との割合>
水性塗料組成物(I)における塗料樹脂(G)と水性分散体(E)との固形分質量比[(G)/(E)]は、99/1〜70/30であることが好ましく、99/1〜90/10であることがより好ましい。
水性分散体(E)の固形分質量比が1以上(塗料樹脂(G)と水性分散体(E)の合計を100として)であれば、塗膜界面での混層防止性がより向上し、平滑性および耐チッピング性がより向上する。一方、水性分散体(E)の固形分質量比が30以下(塗料樹脂(G)と水性分散体(E)の合計を100として)であれば、塗膜界面での混層防止性がより向上し、平滑性、光沢および耐チッピング性がより向上する。
<その他の成分>
水性塗料組成物(I)には、本発明の効果を損なわない程度に、各種副資材、例えば安定化剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化剤、老化防止剤、可塑剤、充填剤、着色剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤等が含まれていてもよい。
<作用効果>
上記水性塗料組成物(I)によれば、塗膜界面での混層防止性が高く、平滑性、光沢等の塗膜仕上がり外観、および耐チッピング性等の塗膜物性に優れた塗膜を形成できる。
このような水性塗料組成物(I)の用途は、塗料樹脂(G)が通常使用される用途であれば特に制限されないが、複層塗膜を形成する用途(例えば、自動車塗料用途)にとりわけ好適である。水性塗料組成物(I)を自動車塗料用途に適用する場合には、水性中塗り塗料として使用することで、水性中塗り塗膜と水性上塗り塗膜の界面での混層を抑制できる。また、水性上塗り塗料として使用することで、水性上塗り塗膜と溶剤型クリヤー塗膜の界面での混層を抑制できる。
また、水性塗料組成物(I)は、有機溶剤を含有しないため、環境への負荷が小さい。
「水性塗料組成物(I)の製造方法」
本発明の水性塗料組成物(I)の製造方法は、塗料樹脂(G)と水性分散体(E)とを混合する混合工程を有する。
有機溶剤を使用せず、貯蔵安定性に優れた水性分散体および水性塗料組成物が得られる点では、下記(a)〜(d)の工程を有する製造方法が好ましい。
(a)エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)と酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン型界面活性剤(C)とを溶融混練して溶融混練物を得る溶融混練工程
(b)前記溶融混練物に水および塩基性物質を添加し、樹脂固形分が粒子状に水中に分散するように転相させて転相物を得る転相工程
(c)前記転相物の水分を調整して水性分散体(E)を得る水分調整工程
(d)塗料樹脂(G)と水性分散体(E)とを混合する混合工程
混合工程では、例えば、公知の攪拌機を備えた容器を用いて、塗料樹脂(G)と水性分散体(E)とを混合すればよい。塗料樹脂(G)と水性分散体(E)との混合比[(G)/(E)]は、上述したように、固形分の質量基準で99/1〜70/30にすることが好ましく、99/1〜90/10にすることがより好ましい。
溶融混練工程で用いる溶融混練手段としては公知のいかなるものでもよいが、ニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機などが好適である。
溶融混練工程における酸変性ポリエチレン(B)の配合量は特に制限はないが、上述したように、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)100質量部に対して1.0〜30.0質量部であることが好ましい。
また、アニオン型界面活性剤(C)の配合量も特に制限はないが、上述したように、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)100質量部に対して0.1〜20.0質量部であることが好ましい。
溶融混練工程における加熱温度は、140〜250℃であることが好ましい。加熱温度が140℃以上であれば、溶融粘度が充分に低くなるので容易に混練できる。一方、加熱温度が250℃以下であれば、必要以上に加熱しないので、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)の劣化や加熱分解を抑制し、かつエネルギー使用量を削減できる。
転相工程では、樹脂固形分に水が含まれる状態から、水に樹脂固形分が分散する状態に転相させる。
転相工程においても、溶融混練工程と同様に、ニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機などの溶融混練手段を用いて溶融混練することが好ましい。その際、溶融混練工程と同様に、140〜250℃に加熱しながら溶融混練することが好ましい。混練後、自然冷却または強制冷却により室温程度まで冷却し、微細分散粒子を固化させて、安定な転相物を得る。
水分調整工程では、転相物の水分を、水分含有率が3〜90質量%になるように調整する。水分調整方法としては、転相物を水中に投入して分散させる方法、転相物に水を添加して希釈する方法などが挙げられる。
転相工程では、水を溶融混練物に直接添加してもよいし、塩基性物質が溶解した水溶液の形態で添加してもよい。水を直接添加する場合、その添加量は特に制限はないが、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)100質量部に対して0.5〜20.0質量部が好ましい。
転相工程で用いられる塩基性物質は、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)を含む樹脂固形分を微細分散粒子として転相させる際に、未中和の酸変性ポリエチレン(B)をケン化するためのものである。
塩基性物質としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、およびアミン等の水中で塩基として作用する物質、アルカリ金属の酸化物、水酸化物、弱塩基、水素化物、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、弱塩基、水素化物等の水中で塩基として作用する物質、これらの金属のアルコキシド等が挙げられる。
塩基性物質は、溶融混練物に直接添加してもよいが、5〜40質量%程度の水溶液の形態で添加することが好ましい。
塩基性物質の添加量は特に制限はないが、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)100質量部に対して固形分換算で0.2〜8.0質量部が好ましい。塩基性物質の添加量が上記範囲内であれば、水性分散体(E)の未乳化物の発生を抑えることができ、収率が向上する。
上述した溶融混練工程と転相工程と水分調整工程とを有する製造方法によれば、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)を含む樹脂固形分が水中に乳化分散した水性分散体(E)を容易に製造できる。したがって、水性塗料組成物も容易に製造できる。しかも、この製造方法では有機溶剤を使用しないから、得られる水性分散体(E)および水性塗料組成物(I)は環境への負荷が小さい上に、貯蔵安定性に優れる。
以下、本発明を製造例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において「%」は「質量%」、「部」は「質量部」のことを意味する。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)の密度、ガラス転移温度、水性分散体の固形分濃度、体積平均粒子径、貯蔵安定性および残存有機溶剤量を、下記のようにして測定した。
[密度]
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)の密度は、ASTM D 792に準拠して測定した。
[ガラス転移温度]
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)のガラス転移温度は、自動動的粘弾性測定装置(「MCR301」、日本シーベルヘグナー(株)製)を用いて、下記条件で測定した。
測定条件;
サンプル形状:幅10mm、厚み1mm
測定温度:−100〜50℃、昇温速度:2℃/分
周波数:10Hz
[水分含有率]
水性分散体(E)を1g採取し、120℃のオーブンで20分間乾燥させた。乾燥後の水性分散体(E)の質量を測定し、下記式により水分含有率を求めた。
水分含有率[%]={1[g]−(乾燥後の水性分散体(E)の質量[g]/1[g])}×100
[体積平均粒子径]
日機装社製のマイクロトラック(ナノトラック150)(測定溶媒;純水)を用いて、水性分散体の体積基準の平均粒子径を測定した。
[貯蔵安定性の評価]
水性分散体を1000mLの樹脂製の容器中に充填し、常温(23℃)にて3ヶ月間静置した。その後、水性分散体の外観について目視にて観察し、下記評価基準に従って貯蔵安定性を評価した。
○ :分離および沈殿せず、粘度に変化がない。
○△:分離および沈殿は確認されないが、増粘している。
△ :分離および/または沈殿が確認されたが、攪拌にて容易に分散できる。
× :分離および/または沈殿が確認され、攪拌にて容易に分散できない。
なお、分離および/または沈殿が確認されるが、攪拌にて容易に分散できる場合は、貯蔵安定性を有すると判断した。
[残存有機溶剤量測定]
ガスクロマトグラフ計を用いた。トルエンの検量線を使用して、水性分散体中の有機溶剤含有量を測定した。
<(A)成分>
以下の実施例および比較例において、下記のエチレン−1−オクテンランダム共重合体(A−1)〜(A−5)、エチレン−プロピレンランダム共重合体(A−10)、エチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−6)〜(A−9),(A−11)、およびプロピレン−1−ブテンランダム共重合体(A−12)を用いた。
(エチレン−1−オクテンランダム共重合体(A−1)の調製)
重合器にヘキサンを仕込んだ後に、エチレンと1−オクテンの混合ガスを表1に示す供給量で供給すると共に水素ガスを供給し、ビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリドとメチルアルミノキサンのトルエン溶液を重合触媒として用いて、70℃、0.4MPa、滞留時間1時間の条件下で連続的にエチレンと1−オクテンとをランダムに共重合した。
次いで、得られた反応溶液から重合触媒を分離し、密度0.885cm、ガラス転移温度−40℃のエチレン−1−オクテンランダム共重合体(A−1)を得た。
(エチレン−1−オクテンランダム共重合体(A−2)〜(A−5)の調製)
エチレンと1−オクテンの混合ガスの供給量を表1に示す条件に変更したこと以外はエチレン−1−オクテンランダム共重合体(A−1)の製法と同様にして、エチレン−1−オクテンランダム共重合体(A−2)〜(A−5)を得た。各共重合体の密度およびガラス転移温度を表1に示す。
(エチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−11)の調製)
重合器にヘキサンを仕込んだ後に、エチレンと1−ブテンの混合ガスを表1に示す供給量で供給すると共に水素ガスを供給し、オキシ三塩化バナジウムとエチルアルミニウムセスキクロリドを重合触媒として用いて、40℃、0.5MPa、滞留時間1時間の条件下で連続的にエチレンと1−ブテンとを重合した。
次いで、得られた反応溶液から重合触媒を分離し、密度0.885cm、ガラス転移温度−40℃のエチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−11)を得た。
(エチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−6)〜(A−9)の調製)
エチレンと1−ブテンの混合ガスの供給量を表1に示す条件に変更したこと以外はエチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−11)の製法と同様にして、エチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−6)〜(A−9)を得た。各共重合体の密度およびガラス転移温度を表1に示す。
(エチレン−プロピレンランダム共重合体(A−10)の調製)
重合器にトルエンを仕込んだ後に、メチルアルミノオキサンおよびジクロライドチタンからなる重合触媒とし、プロピレン、エチレンを表1に示す供給量で供給し、さらに0.6MPaの圧力でエチレンを連続供給し、30分間重合した。その後、得られた反応液から触媒を分離し、密度0.885cm、ガラス転移温度−40℃のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A−10)を得た。
(プロピレン−1−ブテンランダム共重合体(A−12)の調製)
重合器にヘキサンを仕込んだ後に、ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(3−t−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライドおよびトリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートからなる重合触媒、プロピレンと1−ブテンの混合ガスを表1に示す供給量で供給すると共に水素ガスを供給し、45℃で反応させた。その後、得られた反応溶液から触媒を分離し、密度0.885cm、ガラス転移温度−40℃のプロピレン−1−ブテンランダム共重合体(A−12)を得た。
Figure 2011219581
<(B)成分>
(B−1):無水マレイン酸ポリエチレン(「三井ハイワックス 2203A」、三井化学(株)製、質量平均分子量:2700、酸価:30mgKOH/g)
<(C)成分>
(C−1):脂肪酸カリウム(「KSソープ」、花王(株)製)
<(E)成分>
(水性分散体(E−1)の製造)
エチレン−1−オクテンランダム共重合体(A−1)100部と、酸変性ポリエチレン(B)として無水マレイン酸変性ポリエチレン(B−1)15部と、アニオン型界面活性剤(C)として脂肪酸カリウム(C−1)3部とを混合した。
これにより得られた混合物を、ホッパーより4kg/時間で、二軸スクリュー押出機(「PCM−30型」、池貝鉄鋼(株)製、L/D=40)に供給し、また、水酸化カリウム14%水溶液を240g/時間で連続的に供給しながら、200℃に加熱して溶融混練し、溶融混練物を得た。
次いで、二軸スクリュー押出機から吐出された溶融混練物を、その押出機先端に取り付けた冷却装置に連続的に供給し、90℃まで冷却した。取り出した見掛け上固体のものを80℃の温水中に投入し、連続的に分散させて、水性分散体(E−1)を得た。得られた水性分散体の体積平均粒子径、貯蔵安定性および残存有機溶剤量を表2に示す。
(水性分散体(E−2)〜(E−12)の製造)
エチレン−1−オクテンランダム共重合体(A−1)の代わりに、エチレン−1−オクテンランダム共重合体(A−2)〜(A−12)を使用した以外は水性分散体(E−1)の製法と同様にして、水性分散体(E−2)〜(E−12)を得た。得られた水性分散体の体積平均粒子径、貯蔵安定性および残存有機溶剤量を表2に示す。
(水性分散体(E−13)の製造)
攪拌機を備えた内容積2Lのオートクレーブ内に、エチレン−1−オクテンランダム共重合体(A−1)100部と無水マレイン酸変性ポリエチレン(B−1)15部とトルエン500部を仕込み、125℃で1時間攪拌して溶解した後、90℃に冷却した。
また、これとは別に、攪拌機を備えた内容積2Lのオートクレーブ内で、脂肪酸カリウム(C−1)3部と水600部を含む水溶液を90℃に加熱し、その中に、前記エチレン−1−オクテンランダム共重合体(A−1)100部と、無水マレイン酸変性ポリエチレン(B−1)15部を含むトルエン溶液及び、および水酸化カリウム5部、水3.5部を攪拌継続下で添加した。2時間攪拌して分散した後、高速ホモジナイザー(「HG−92型」、エスエムテー(株)製)を用いて、10000rpmで10分間分散した。
次いで、攪拌翼による攪拌を継続したまま、凝縮水を還流させながら、2時間水蒸気蒸留してトルエンを留去して、水性分散体(E−13)を得た。得られた水性分散体の体積平均粒子径、貯蔵安定性および残存有機溶剤量を表2に示す。
(水性分散体(E−14)の製造)
無水マレイン酸ポリエチレン(B−1)を使用しなかった以外は、水性分散体(E−13)の製法と同様にして、水性分散体(E−14)を得た。得られた水性分散体の体積平均粒子径、貯蔵安定性および残存有機溶剤量を表2に示す。
Figure 2011219581
<(G)成分>
(塗料樹脂(G−1):水酸基含有アクリル塗料樹脂)
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器および滴下装置を備えた反応容器に、脱イオン水70.7部およびアニオン型界面活性剤(「アクアロンKH−10」、第一工業製薬(株)製)0.52部を仕込み、窒素気流中で攪拌混合し、80℃に昇温した。
次いで、下記のモノマー乳化物のうちの全量の1%量および6%過硫酸アンモニウム水溶液5部を反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成した後、5%2−(ジメチルアミノ)エタノール水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却して、水酸基含有アクリル樹脂を含む固形分濃度40%の塗料樹脂(G−1)を得た。
モノマー乳化物:脱イオン水50部、スチレン10部、メチルメタクリレート40部、エチルアクリレート35部、n−ブチルメタクリレート3.5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、アクリル酸1.5部、アクアロンKH−10 1.0部および過硫酸アンモニウム0.03部を混合攪拌して、モノマー乳化物を得た。
(塗料樹脂(G−2):水性ウレタン塗料樹脂)
攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、数平均分子量1000のメトキシポリエチレングリコール100部と、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート168部とを仕込み、窒素雰囲気下70℃で6時間反応させた。得られた反応液を薄膜蒸留して、未反応の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを取り除き、ポリオキシエチレン基含有モノイソシアネートを得た。
次いで、攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、ジエタノールアミン86部を仕込み、窒素雰囲気下、空冷しながら上記ポリオキシエチレン基含有モノイソシアネート950部を、反応温度が70℃を超えないように徐々に滴下した。滴下終了後、約1時間、窒素雰囲気下において70℃で攪拌し、イソシアネート基が消失したことを確認し、ジアルカノールアミン誘導体を得た。
次いで、攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、水添キシリレンジイソシアネート(「タケネート600」、三井化学ポリウレタン(株)製)175部、上記ジアルカノールアミン誘導体172部を加え、乾燥窒素を吹き込みながら80℃まで昇温した。1時間経過後オクチル酸第一スズ0.12部を添加し、さらに3時間攪拌して、イソシアネート基末端プレポリマーを得た。
次いで、これに、p−メトキシフェノール0.36部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(「ライトアクリレートPE−3A」、共栄社化学(株)製)732部を添加し、乾燥空気を吹き込みながら攪拌して、70℃まで昇温した。1時間経過時にオクチル酸第一スズ0.24部を添加し、さらに5時間攪拌して、水性ウレタン樹脂を得た。
上記水性ウレタン樹脂70部に、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(「ライトアクリレートPE−4A」、共栄社化学(株)製)30部を混合した。得られた混合物229部を40℃に調整し、ホモミキサーにより、2000rpmで攪拌しながら23℃のイオン交換水280部を30分かけて添加した。その後、レベリング剤(「オルフィンE1004」、東信化学(株)製)0.25部を添加し、1000rpmでさらに1時間攪拌して、水性ウレタン塗料樹脂を含む固形分濃度40%の塗料樹脂(G−2)を得た。
(塗料樹脂(G−3):水酸基含有ポリエステル塗料樹脂)
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器および水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン174部、ネオペンチルグリコール327部、アジピン酸352部、イソフタル酸109部および1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物101部を仕込み、160℃〜230℃まで3時間かけて昇温させた。その後、生成した縮合水を水分離器により留去しながら230℃で保持し、酸価が3mgKOH/g以下となるまで反応させた。この反応生成物に、無水トリメリット酸59部を添加し、170℃で30分間付加反応を行った。次いで、50℃以下に冷却し、2−(ジメチルアミノ)エタノールを酸基に対して当量添加し中和してから、脱イオン水を徐々に添加することにより、水酸基含有ポリエステルを含む固形分濃度40%の塗料樹脂(G−3)を得た。
(塗料樹脂(G−4):水性エポキシ塗料樹脂)
温度計、撹拌機を取り付けたフラスコにビスフェノールA228gとエピクロルヒドリン185g、SY−GTA80を18.9g、n−ブタノール36g、トルエン71gを仕込み溶解させた。その後、窒素ガスパージを施しながら、65℃に昇温した後に、20%水酸化ナトリウム水溶液400gを5時間かけて滴下した。次いで、この条件下で0.5時間撹拌を続けた。その後、トルエン355gを添加し、水層を除去した。その後、樹脂溶液を共沸によって系内を脱水し、エポキシ樹脂を得た。
上記エポキシ樹脂500gをベンジルアルコール41g、メトキシプロパノール41gに90℃で溶解した。溶解後、温度を下げ、50〜60℃にて高速攪拌しながら、水を分割添加して、水性エポキシ樹脂を含む固形分濃度40%の塗料樹脂(G−4)を得た。
(実施例1)水性塗料組成物(I−1)
塗料樹脂(G−1)90部と水性分散体(E−1)10部とを混合して、水性塗料組成物(I−1)を得た。
この水性塗料組成物(I−1)を水性中塗り塗料として使用した際の混層防止性と耐チッピング性、水性上塗り塗料として使用した際の混層防止性と光沢を以下のように評価した。その結果を表3に示す。
[水性中塗り塗料としての評価]
リン酸亜鉛系化成処理剤(「サーフダインSD2000」、日本ペイント(株)製)で化成処理したダル鋼板(「SPCC−SD」、大きさ:20cm×30cm、板厚:0.8mm)に、カチオン電着塗料(「パワートップU−50」、日本ペイント(株)製)を、乾燥膜厚が20μmになるように電着塗装し、160℃で30分間焼き付けて、電着塗膜を形成した。
次に、該電着塗膜上に、水性中塗り塗料として水性塗料組成物(I−1)を、乾燥膜厚が30μmになるようにスプレー塗装し、80℃で3分間プレヒートを行って、中塗り塗膜を形成した。
さらに、該中塗り塗膜上に水性上塗り塗料として、水酸基含有アクリル樹脂とメラミン樹脂を含有する熱硬化性上塗り塗料(「WBC−713T」、関西ペイント(株)製)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、乾燥膜厚15μmとなるように静電塗装して、上塗り塗膜を形成した。
次いで、140℃で30分間加熱することにより、中塗り塗膜および上塗り塗膜を同時に硬化させて、試験片(J−1)を作製した。
・混層防止性評価
混層防止性は、塗膜平滑性を以下のように測定することによって評価した。
すなわち、BYK−Gardner(株)製「ウェーブスキャン」を用い、得られた試験片(J−1)の320〜800μmの長波長領域の測定値「W3」、および50〜320μmの短波長領域の測定値「W4」により平滑性を評価した。これらの測定値W3、W4の数値が小さい程、塗膜が平滑で、塗膜界面での混層が抑制されていることを示す。
なお、平滑性の値が、W3が14以下、W4が10以下の範囲内にある場合、平滑性を有する、すなわち混層防止性を有すると判断した。
・耐チッピング性
塗膜の耐チッピング性は、グラベロメータ法により以下のようにして評価した。
ショット材として道路用砕石6号を使用し、このショット材が90°の角度で当たるように、試験板(J−1)をグラベロメータ(「JA400LB」、スガ試験機(株)製)の所定位置にセットした。
次に、0.4MPaのエアー圧に調節したグラベロメータに250gのショット材を入れ、エアバルブを開いてショット材を試験板(J−1)の表面に吹き付けた。吐出後、試験板(J−1)を取り外し、塗面の破壊部位を目視にて観察し、下記評価基準に従って評価を行った。
○:塗膜破壊による素地金属の露出がない。
△:素地金属の露出が小さい。
×:素地金属の露出が大きい。
なお、評価結果が○、△である場合、耐チッピング性を有する、すなわち混層防止性を有するものと判断した。
[水性上塗り塗料としての評価]
リン酸亜鉛系化成処理剤(「サーフダインSD2000」、日本ペイント(株)製)で化成処理したダル鋼板(「SPCC−SD」、大きさ:20cm×30cm、板厚:0.8mm)に、カチオン電着塗料(「パワートップU−50」、日本ペイント(株)製)を、乾燥膜厚が20μmになるように電着塗装し、160℃で30分間焼き付けて、電着塗膜を形成した。
次に、該電着塗膜上に、水性中塗り塗料として水性アクリル塗料(「リカボンドES−20」、中央理化工業(株)製)を、乾燥膜厚が30μmとなるようにスプレー塗装し、140℃で30分間加熱硬化させて、中塗り塗膜を形成した。
次に、該中塗り塗膜上に、水性上塗り塗料として水性塗料組成物(I−1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、乾燥膜厚15μmとなるように静電塗装し、80℃で3分間プレヒートを行って上塗り塗膜を形成した。
さらに、該上塗り塗膜上に溶剤型クリヤー塗料として、カルボキシ基含有アクリル樹脂とエポキシ基含有アクリル樹脂を含有する熱硬化型クリヤー塗料(「マジクロンKINO−1210TW」、関西ペイント(株)製)を、乾燥膜厚で35μmとなるように静電塗装した。
次いで、140℃で20分間加熱することにより、上塗り塗膜およびクリヤー塗膜を同時に硬化させて、試験片(K−1)を作製した。
試験片(J−1)の代わりに試験片(K−1)を用い、中塗り塗料の評価と同様に、混層防止性を評価した。
試験板(K−1)の光沢は、光沢計(「GM−26」、村上色彩研究所製)を用いて、塗膜面の60°鏡面光沢値を測定した。光沢は、数値が高い程、塗膜の光沢が優れていることを表す。また、光沢が高い程、塗膜界面での混層が抑制されている。
光沢の値が80以上である場合には、塗膜が優れた光沢を有し、混層防止性を有するものと判断した。
(実施例2)水性塗料組成物(I−2)
水酸基含有アクリル塗料樹脂(G−1)の代わりに水性ウレタン塗料樹脂(G−2)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−2)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表3に示す。
(実施例3)水性塗料組成物(I−3)
水酸基含有アクリル塗料樹脂(G−1)の代わりに水酸基含有ポリエステル塗料樹脂(G−3)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−3)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表3に示す。
(実施例4)水性塗料組成物(I−4)
水性分散体(E−1)の代わりに水性分散体(E−3)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−4)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表3に示す。
(実施例5)水性塗料組成物(I−5)
水性分散体(E−1)の代わりに水性分散体(E−4)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−5)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表3に示す。
(実施例6)水性塗料組成物(I−6)
水性分散体(E−1)の代わりに水性分散体(E−7)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−6)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表3に示す。
(実施例7)水性塗料組成物(I−7)
水性分散体(E−1)の代わりに水性分散体(E−8)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−7)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表3に示す。
(実施例8〜11)水性塗料組成物(I−8)〜(I−11)
水酸基含有アクリル塗料樹脂(G−1)と水性分散体(E−1)の固形分質量比を表4に示す比率に変更した以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−8)〜(I−11)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例12)水性塗料組成物(I−12)
水性分散体(E−1)の代わりに水性分散体(E−10)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−12)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例13)水性塗料組成物(I−13)
水性分散体(E−1)の代わりに水性分散体(E−11)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−13)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例14)水性塗料組成物(I−14)
水性分散体(E−1)の代わりに水性分散体(E−13)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−14)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例15)水性塗料組成物(I−15)
水性分散体(E−1)の代わりに水性分散体(E−14)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−15)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表4に示す。
(比較例1)水性塗料組成物(I−16)
水性分散体(E−1)を配合しなかった以外は実施例1と同様にして、塗料組成物(I−16)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表5に示す。
(比較例2)水性塗料組成物(I−17)
水酸基含有アクリル塗料樹脂(G−1)の代わりに、水性エポキシ塗料樹脂(G−4)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−17)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表5に示す。
(比較例3)水性塗料組成物(I−18)
水性分散体(E−1)の代わりに水性分散体(E−2)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−18)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表5に示す。
(比較例4)水性塗料組成物(I−19)
水性分散体(E−1)の代わりに水性分散体(E−5)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−19)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表5に示す。
(比較例5)水性塗料組成物(I−20)
水性分散体(E−1)の代わりに水性分散体(E−6)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−20)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表5に示す。
(比較例6)水性塗料組成物(I−21)
水性分散体(E−1)の代わりに水性分散体(E−9)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−21)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表5に示す。
(比較例7)水性塗料組成物(I−22)
水性分散体(E−1)の代わりに水性分散体(E−12)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−22)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表5に示す。
(比較例8)水性塗料組成物(I−23)
水性分散体(E−1)の代わりに、アクリルエマルション(「ビニデラックス300」、関西ペイント(株)製)からなる水性分散体(E−15)を用いた以外は、実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−23)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表5に示す。
(比較例9)水性塗料組成物(I−24)
水性分散体(E−1)の代わりに、ウレタンエマルション(「スーパーフレックス210」、第一工業製薬(株)製)からなる水性分散体(E−16)を用いた以外は実施例1と同様にして、水性塗料組成物(I−24)を得た。そして、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表5に示す。
Figure 2011219581
Figure 2011219581
Figure 2011219581
アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステルのいずれかの塗料樹脂(G)と、密度が0.850〜0.920g/cm、ガラス転移温度が−60〜−20℃のエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)を分散質とする水性分散体(E)とを含有する実施例1〜15の水性塗料組成物(I−1)〜(I−15)では、塗膜界面での混層防止性が高く、平滑性、光沢および耐チッピング性が良好であった。
中でも、塗料樹脂(G)と水性分散体(E)との固形分質量比が99/1〜70/30の範囲内にあり、水性分散体(E)を(a)溶融混練工程と(b)転相工程と(c)水分調整工程とを有して得た実施例1〜7,9,10,12,13の水性塗料組成物(I−1)〜(I−7),(I−9),(I−10),(I−12),(I−13)では、塗膜界面での混層防止性が特に良好であった。
水性分散体(E)を配合しなかった比較例1では、塗膜界面での混層防止性が不充分で、平滑性、光沢および耐チッピング性が低かった。
水性エポキシ塗料(G−4)を含有する比較例2の水性塗料組成物(I−17)では、塗膜界面での混層防止性が不充分で、平滑性、光沢および耐チッピング性が低かった。
密度が0.850g/cm未満のエチレン−1−オクテンランダム共重合体(A−2)を含む水性分散体(E−2)を含有する比較例3の水性塗料組成物(I−18)では、塗膜界面での混層防止性が不充分で、平滑性、光沢および耐チッピング性が低かった。
密度が0.920g/cm以上のエチレン−1−オクテンランダム共重合体(A−5)を含む水性分散体(E−5)を含有する比較例4の水性塗料組成物(I−19)では、塗膜界面での混層防止性が不充分で、平滑性および耐チッピング性が低かった。
ガラス転移温度が−60℃未満のエチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−6)を含む水性分散体(E−6)を含有する比較例5の水性塗料組成物(I−20)では、塗膜界面の混層防止性が不充分で、平滑性、光沢および耐チッピング性が低かった。
ガラス転移温度が−20℃を超えるエチレン−1−ブテンランダム共重合体(A−9)を含む水性分散体(E−9)を含有する比較例6の水性塗料組成物(I−21)では、塗膜界面での混層防止性が不充分で、平滑性および耐チッピング性が低かった。
プロピレン−1−ブテンランダム共重合体(A−12)を含む水性分散体(E−12)を含有する比較例7の水性塗料組成物(I−22)では、塗膜界面での混層防止性が不充分で、平滑性、光沢および耐チッピング性が低かった。
アクリルエマルション(E−14)からなる水性分散体を含有する比較例8の水性塗料組成物(I−23)では、塗膜界面での混層防止性が不充分で、平滑性、光沢および耐チッピング性が低かった。
ウレタンエマルション(E−15)からなる水性分散体を含有する比較例9の水性塗料組成物(I−24)では、塗膜界面での混層防止性が不充分で、平滑性、光沢および耐チッピング性が低かった。

Claims (6)

  1. アクリル樹脂、ウレタン樹脂およびポリエステルからなる群から選ばれる1種以上を含む塗料樹脂(G)と、密度が0.850〜0.920g/cm、ガラス転移温度が−60〜−20℃であるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)を分散質として含む水性分散体(E)とを含有することを特徴とする水性塗料組成物。
  2. 水性分散体(E)が、ポリエチレンに不飽和ジカルボン酸類が付加した酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン型界面活性剤と、塩基性物質とを含む請求項1に記載の水性塗料組成物。
  3. 塗料樹脂(G)と水性分散体(E)との固形分質量比[(G)/(E)]が99/1〜70/30である請求項1または2に記載の水性塗料組成物。
  4. アクリル樹脂、ウレタン樹脂およびポリエステルからなる群から選ばれる1種以上を含む塗料樹脂(G)と、密度が0.850〜0.920g/cm、ガラス転移温度が−60〜−20℃であるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)を分散質として含む水性分散体(E)とを混合する混合工程を有することを特徴とする水性塗料組成物の製造方法。
  5. 水性分散体(E)を下記(a)〜(c)の工程を経て得る請求項4に記載の水性塗料組成物の製造方法。
    (a)前記エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)と、ポリエチレンに不飽和ジカルボン酸類が付加した酸変性ポリエチレン(B)と、アニオン型界面活性剤とを溶融混練して溶融混練物を得る溶融混練工程
    (b)前記溶融混練物に水および塩基性物質を添加し、樹脂固形分が粒子状に水中に分散するように転相させて転相物を得る転相工程
    (c)前記転相物の水分を、水分含有率3〜90質量%になるように調整する水分調整工程
  6. 混合工程では、塗料樹脂(G)と水性分散体(E)との混合比[(G)/(E)]を、固形分の質量基準で99/1〜70/30にする請求項4または5に記載の水性塗料組成物の製造方法。
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