JP5185139B2 - ドライアイ疾患治療用アデノシンa3レセプターアゴニスト - Google Patents

ドライアイ疾患治療用アデノシンa3レセプターアゴニスト Download PDF

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Description

本発明は、ドライアイの治療に有用な化合物及び方法に関するものである
眼球前方の涙液膜は、角膜の充全性の維持、感染からの保護、視力の保全に重要な役割を果たすものである。一方、これらの機能は、涙液膜構造の安定性、張度、及び/又は組成に決定的に依存するものである。涙液膜の変化、不全、又は欠如は、角膜上皮の所望されない乾燥、角膜潰瘍及び穿孔形成、感染性疾患の罹患率増加、及び最終的には深刻な視覚障害及び失明につながるものである。
ドライアイの症状はしばしば症候群又は疾患とされ、様々な用語によっても知られている。乾性角膜結膜炎(Keratoconjunctivitis sicca, (KCS))、又はより一般的にkeratitis siccaとは、ある程度の乾燥を伴う全ての眼の状態を指す。
ドライアイにおいては、涙が異常に早く蒸発する、又は十分な涙が生成されない、の何れかの原因によって眼が乾燥する。
世界中で無数の患者がドライアイ症候群に苦しんでいる。涙液膜の機能障害につながる異常については4つの一般的なカテゴリーに細分することが可能である。(a)涙腺疾患に源を発し、自己免疫疾患、先天性無涙液症、麻痺性分泌不全、又は排出管閉塞症を含む、ドライアイ状態の原因として最も多い水性涙液欠乏症、(b)スティーヴンズ−ジョンソン症候群、トラコーマ、類天疱瘡、熱傷及び化学熱傷、等の様々な結膜瘢痕化状態、並びにビタミンA不足症に見られるムチン欠乏症、(c)瞼炎症(例えば慢性的眼瞼炎)で発生することのある脂質異常、及び(d)瞼機能低下(非特許文献1)。
治療の最初の段階は、通常は人工の涙液として作用する点眼薬であって、防腐剤が含まれていないことが好ましい。人工涙液の殆どは、眼球表面の水分含量を増加させ、幾分の一時的緩和をもたらすヒドロゲルである。これらの液体又は軟膏は一時的には緩和させるものであるが、悪化状態を停止又は好転させるものではない。最近導入された人工涙液製品は、ひまし油エマルジョン(Refresh Endura tears)に基づくものである。
更に、閉じた瞼の皮膚に適用される温湿湿布も、蒸発による涙液の損失を減少させるために用いられる。
角膜が炎症を起こし、ドライアイがより深刻な場合には、時に局所的ステロイド等の抗炎症剤が(点眼剤の形態で)処方される。一例は、ひまし油とシクロスポリンとの組み合わせ(Restasis)を含むものである。
ドライアイ用の経口薬も存在する。例えば、Salagen(登録商標)の活性成分であるピロカルピン、又はEvoxac(登録商標)の活性成分であるcevimelineは、涙腺中の特異的レセプターを刺激し、涙液の分泌を増加させることが知られている。
他の治療には、(涙が涙管から鼻に流れ落ちるのをブロックする)刺プラグ及び刺クロージャー、市販のアマニ油サプリメント(Omega-3 Supplement, TheraTears)等の食品サプリメントが含まれる。
米国特許第5688774号明細書 米国特許第5773423号明細書 米国特許第5573772号明細書 米国特許第5443836号明細書 米国特許第6048865号明細書 国際公開第95/02604号パンフレット 国際公開第99/20284号パンフレット 国際公開第99/06053号パンフレット 国際公開第97/27173号パンフレット 米国特許出願第09/700751号明細書 国際公開第00/59420号パンフレット Holly, F.J., Tear film physiology. Internat. Ophthalmol. Clin. 27:2-6 (1987)
ドライアイ症候群は、乾性角膜結膜炎(KCS)の客観的な臨床兆候を生じる多様な疾患プロセス要因を包含するものである。ドライアイ症候群の古典的プロトタイプはシェーグレン症候群であるが、トラコーマ及び類天疱瘡等の瘢痕性結膜疾患、特定のドライアイ症状を発生させる非瘢痕性症候群、目は兆候的及び客観的に乾燥しているが涙の生成はそれと矛盾して通常のものである角膜軟化症等の異型症候群、を含む他の多くのKCSの原因が存在する。
ドライアイの主要な症状は、通常は、痒み又は何かが目に入ったような異物感である。他の症状として、目のずきずき感、焦燥感;非常な乾燥感に続く過剰な涙生成、目からの粘性分泌物、目の痛み及び赤み、等がある場合がある。ドライアイ患者はときに瞼の重み、又は視野のかすみ、変化、減少を経験することがあるが、失明に至ることは稀である。
ドライアイ患者の中には涙が頬をつたって落ちる者がいる。これは、涙を眼中に保つことを助ける類膜の脂質及びムチンの生成が不足していることが原因である場合がある。そのような場合、涙は目を湿らせるのに十分に長く眼中に存在しない。
本発明は、1つ以上のドライアイ症状及び兆候を示す個人に、ドライアイ症状の治療に有効量のAアデノシンレセプター(AAR)アゴニストを提供することを含む、ドライアイ状態、特にドライアイ症候群、の治療方法を提供するものである。
本発明の第一実施態様において、個体にAアデノシンレセプター(AAR)アゴニストを投与する段階を含み、その投与量が当該個体のドライアイ症状を改善するのに有効な量である、個体におけるドライアイ状態を治療する方法、が提供される。
一つの実施形態において、本発明は、個体にAアデノシンレセプター(AAR)アゴニストを投与する段階を含む、個体におけるドライアイ症候群を治療する方法、を提供す
本発明の第二実施態様において、活性成分としてAアデノシンレセプター(AAR)アゴニストと、薬学的に許容されるキャリヤとを含み、該AARアゴニストの量がドライアイ症状を改善するのに有効な量である、医薬組成物が提供される。
本発明の第三実施態様において、ドライアイ状態を治療する医薬組成物を調製するためのAARアゴニストの使用、が提供される。
本発明が上記方法について以下に詳細に記述される一方で、本発明の範疇には当該治療に使用されるAARを含む組成物も包含されることは理解される。
本発明のコンテクストにおいて、「ドライアイ状態」という語は、ドライアイ症状を発現する結果となる全ての状態及び症候群を意味する。これは既に存在する状態及び擬似ドライアイ状態、即ち、ドライアイ症候群に罹患しやすい状態を含む。ドライアイ症候群は、例えば、シェーグレン症候群、閉経、又は関節リウマチ、といったドライアイを発症させる他の状態が遠因となっている場合がある。また、ドライアイは、例えば眼瞼炎等の炎症、又は眼中の異物等の合併症である場合がある。更にドライアイは感染の結果生じる場合があり、或いは、投薬の副作用、毒物、化学薬品、又は他の物質に晒された場合にもドライアイの症状又は状態を発生する場合がある。
本明細書中に「ドライアイ兆候」という語と互換性を有して用いられる「ドライアイ症状」というという語は、個人によって経験される全ての感覚、或いは眼の通常の機能又は構造における変化を意味する。主体によって知覚され、ドライアイ症候群を示す兆候の非制限的なリストには、ドライアイ感覚、異物感、目の痒み、焦燥感、目の刺痛感又はそう痒感、過剰流涙、目の痛み、赤み、かすみ、視界低下、が含まれる。
本明細書中において、「治療する」又は「治療」等の語は、所望される薬理学的及び生理学的効果を得ることを指して用いられる。この効果は、ドライアイの疾患、症状、又は状態を防止する又はその一部を防止することについて予防的である、並びに/或いはドライアイ症候群に起因する疾患、状態、症状、又は副作用の部分的又は完全な治癒に関して治療的なものであることができる。本明細書中に用いられる「治療」という語は、哺乳類、特にヒト、における疾患の全ての治療を包含し、(a)ドライアイ症候群を罹患しやすい状態にあるが、未だ発症したとは診断されていない個体においてドライアイ症候群が発症するのを妨げる、即ち、ドライアイ症候群に罹患しやすいが未だドライアイ症候群を経験又は発症していない主体において、ドライアイ症候群の臨床症状を発症させないようにする、(b)ドライアイ症候群を阻害する、即ちドライアイ症候群又はその臨床症状の悪化を阻止又は減少させる、(c)ドライアイ症候群を緩和する、即ち、ドライアイ症候群並びに/或いはその兆候又は状態を退行させる、ことを含むものである。
本発明のコンテクストにおける「Aアデノシンレセプターアゴニスト」(AARアゴニスト)という語は、AARに特異的に結合することによって、当該レセプターを全体的又は部分的に活性化させることのできる全ての分子を意味する。従って、AARアゴニストは、AARに結合して活性化させることによってその主要な効果を発揮する分子である。これは、それが投与される際の投与量においては、実質的にAARのみに結合して活性化させることを意味する。一つの好ましい実施形態において、AARアゴニストのヒトAARに対する結合親和性(K)は、100nM未満、一般的には50nM未満、好ましくは20nM未満、より好ましくは10nM未満、理想的には5nM未満の範囲である。ヒトアデノシンARに対するKが、2nM未満、望ましくは1nM未満、のAARが特に好ましい。
幾つかのAARは、より親和性の低い(即ち、Kの高い)他のレセプターとも作用して活性化させることができることには注意すべきである。本発明のコンテクストにおいて、ある分子のAARに対する親和性が他の全てのアデノシンレセプター(即ち、A、A2a、及びA2b)に対する親和性よりも、少なくとも3倍(即ち、AARに対するそのKが少なくとも3倍低い)、好ましくは10倍、望ましくは20倍、最も好ましくは少なくとも50倍より大きい場合に、当該分子はAARアゴニスト(即ち、AARに結合し活性化させることによってその主要な効果を発揮する分子)であると考えられる。
ヒトAARに対するAARアゴニストの親和性、並びに他のヒトアデノシンレセプターに対するその相対的親和性は、結合実験等の多くのアッセイによって求めることができる。結合実験の例には、レセプターを含む膜を用い、結合した放射性アゴニストをAARアゴニストが置き換える能力を測定する方法、それぞれのヒトアデノシンレセプターを示す細胞を用い、機能アッセイにおいて、cAMPレベルの増加又は減少によってアデニレートシクラーゼの効果を測定する等のダウンストリーム・シグナリングをAARアゴニストが活性化又は非活性化させる能力を測定する方法、等が含まれる。AARアゴニストの投与レベルがその血中レベルがA、A2a、及びA2bのアデノシンレセプターのKレベルに近づくレベルに達するように増加されるならば、投与後にAARの活性化に加えてこれらのレセプターの活性化が起こる場合があることは明らかである。従って、その血中レベルが実質的にAARのみを活性化させるような投与量でAARアゴニストが投与されることが好ましい。
幾つかのアデノシンAARアゴニストの特徴及びそれらの調製方法は、とりわけ特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、及び出願人による係属中の特許出願である特許文献10(WO01/19360に対応)に詳細に記載されており、それら全てが本明細書に援用される。
より詳細には、下記の特定の例が特許文献1の第4コラム、第67行〜第6コラム、第16行;第5コラム、第40〜45行;第6コラム、第21〜42行;第7コラム、第1〜11行;第7コラム、第34〜36行;及び第7コラム、第60〜61行、に記載されている。
−(3−ヨードベンジル)−9−メチルアデニン;
−(3−ヨードベンジル)−9−ヒドロキシエチルアデニン;
R−N−(3−ヨードベンジル)−9−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アデニン;
S−N−(3−ヨードベンジル)−9−(2,3−ジヒドロキシプロピル)アデニン;
−(3−ヨードベンジルアデニン−9−イル)酢酸;
−(3−ヨードベンジル)−9−(3−シアノプロピル)アデニン;
2−クロロ−N−(3−ヨードベンジル)−9−メチルアデニン;
2−アミノ−N−(3−ヨードベンジル)−9−メチルアデニン;
2−ヒドラジド−N−(3−ヨードベンジル)−9−メチルアデニン;
−(3−ヨードベンジル)−2−メチルアミノ−9−メチルアデニン;
2−ジメチルアミノ−N−(3−ヨードベンジル)−9−メチルアデニン;
−(3−ヨードベンジル)−9−メチル−2−プロピルアミノアデニン;
2−ヘキシルアミノ−N−(3−ヨードベンジル)−9−メチルアデニン;
−(3−ヨードベンジル)−2−メトキシ−9−メチルアデニン;
−(3−ヨードベンジル)−9−メチル−2−メチルチオアデニン;
−(3−ヨードベンジル)−9−メチル−2−(4−ピリジルチオ)アデニン;
(1S,2R,3S,4R)−4−(6−アミノ−2−フェニルエチルアミノ−9H−プリン−9−イル)シクロペンタン−1,2,3−トリオール;
(1S,2R,3S,4R)−4−(6−アミノ−2−クロロ−9H−プリン−9−イル)シクロペンタン−1,2,3−トリオール;
(±)−9−[2a,3a−ジヒドロキシ−4a−(N−メチルカルバモイル)シクロペンタ−1a−イル)]−N−(3−ヨードベンジル)−アデニン;
2−クロロ−9−(2’−アミノ−2’,3’−ジデオキシ−a−D−5’−メチル−アラビノ−フロンアミド)−N−(3−ヨードベンジル)アデニン;
2−クロロ−9−(2’,3’−ジデオキシ−2’−フルオロ−a−D−5’−メチル−アラビノ−フロンアミド)−N−(3−ヨードベンジル)アデニン;
9−(2−アセチル−3−デオキシ−a−D−5−メチル−リボフロンアミド)−2−クロロ−N(3−ヨードベンジル)アデニン;
2−クロロ−9−(3−デオキシ−2−メタンスルホニル−a−D−5−メチル−リボフロンアミド)−N−(3−ヨードベンジル)アデニン;
2−クロロ−9−(3−デオキシ−a−D−5−メチル−リボフロンアミド)−N−(3−ヨードベンジル)アデニン;
2−クロロ−9−(3,5−1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキシ−a−D−5−リボフラノシル)−N−(3−ヨードベンジル)アデニン;
2−クロロ−9−(2’,3’−O−チオカルボニル−a−D−5−メチル−リボフロンアミド)−N−(3−ヨードベンジル)アデニン;
9−(2−フェノキシチオカルボニル−3−デオキシ−a−D−5−メチル−リボフロンアミド)−2−クロロ−N−(3−ヨードベンジル)アデニン;
1−(6−ベンジルアミノ−9H−プリン−9−イル)−1−デオキシ−N,4−ジメチル−a−D−リボフラノシズロンアミド);
2−クロロ−9−(2,3−ジデオキシ−a−D−5−メチル−リボフロンアミド)−N−ベンジルアデニン;
2−クロロ−9−(2’−アジド−2’,3’−ジデオキシ−a−D−5’−メチル−アラビノ−フロンアミド)−N−ベンジルアデニン;
2−クロロ−9−(a−D−エリスロフラノシド)−N−(3−ヨードベンジル)アデニン;
−(ベンゾジオキサンメチル)アデノシン;
1−(6−フルフリルアミノ−9H−プリン−9−イル)−1−デオキシ−N−メチル−a−D−リボフラノシズロンアミド);
−[3−(L−プロリルアミノ)ベンジル]アデノシン−5’−N−メチルウロンアミド;
−[3−(a−アラニルアミノ)ベンジル]アデノシン−5’−N−メチルウロンアミド;
−[3−(N−T−Boc−a−アラニルアミノ)ベンジル]アデノシン−5’−N−メチルウロンアミド;
6−(N’−フェニルヒドラジニル)プリン−9−a−リボフラノシド−5’−N−メチルウロンアミド;
6−(O−フェニルヒドロキシルアミノ)プリン−9−a−リボフラノシド−5’−N−メチルウロンアミド;
9−(a−D−2’,3’−ジデオキシエリスロフラノシル)−N−[3−(a−アラニルアミノ)ベンジル]アデノシン;
9−(a−D−エリスロフラノシド)−2−メチルアミノ−N−(3−ヨードベンジル)アデニン;
2−クロロ−N−(3−ヨードベンジル)−9−(2−テトラヒドロフリル)−9H−プリン−6−アミン;
2−クロロ−(2’−デオキシ−6’−チオ−L−アラビノシル)アデニン;及び
2−クロロ−(6’−チオ−L−アラビノシル)アデニン。
特許文献2の第6コラム、第39行〜第7コラム、第14行において、好ましい化合物には以下の式のものが含まれる。
Figure 0005185139
ここでXはRNC(=O)であり、R及びRは同一又は相違しており、水素、C〜C10アルキル基、アミノ基、C〜C10ハロアルキル基、C〜C10アミノアルキル基、及びC〜C10シクロアルキル基からなる群から選択され、
は、水素、ハロ基、C〜C10アルコキシ基、アミノ基、C〜C10アルケニル基、及びC〜C10アルキニル基からなる群から選択され、
は、R−及びS−1−フェニルエチル基、非置換ベンジル基、並びにC〜C10アルキル基、アミノ基、ハロ基、C〜C10ハロアルキル基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アセタミド基、C〜C10アルコキシ基、及びスルホ基からなる群から選択される置換基によって1つ又はそれ以上の位置を置換されたベンジル基、からなる群より選択される。
より特定的な化合物には、R及びRが同一又は相違しており、特にRが、水素又はハロ基、特に水素、である場合に、水素、及びC〜C10アルキル基からなる群から選択される上記式で示されるものが含まれる。
これらに加えて、特定的な化合物は、特にR5が非置換のベンジル基である場合に、Rが水素であり、Rも水素である化合物である。
更に特定的な化合物は、RがC〜C10アルキル基又はC〜C10シクロアルキル基、特にC〜C10アルキル基、より好ましくはメチル基である化合物である。
特に特定的な化合物は、Rが水素であり、RがC〜C10アルキル基又はC〜C10シクロアルキル基であり、RがR−又はS−1−フェニルエチル基、或いはハロ基、アミノ基、アセタミド基、C〜C10ハロアルキル基、及びスルホ基、ここでスルホ誘導体はトリエチルアンモニウム塩等の塩である、からなる群から選択される置換基によって1つ又はそれ以上の位置を置換されたベンジル基、である化合物である。
特許文献2に開示された特に好ましい化合物の例は、IB−MECAである。加えて、Rが式:R−C=C−(ここでRはC〜Cアルキル基である)のC〜C10アルケニレン基である化合物が特にこの明細書に記される。同様に特定的なのは、Rが水素以外であり、特にRが、ハロ基、C〜C10アルキルアミノ基、又はC〜C10アルキルチオ基である化合物であり、更にRが水素である場合に、RがC〜C10アルキル基であり、及び/又はRが置換ベンジル基である化合物がより好ましい。
そのような特に開示された化合物には、2−クロロ−N−(3−ヨードベンジル)−9−[5−(メチルアミド)−a−D−リボフラノシル]−アデニン、N−(3−ヨードベンジル)−2−メチルアミノ−9−[5−(メチルアミド)−a−D−リボフラノシル]−アデニン、及びN−(3−ヨードベンジル)−2−メチルチオ−9−[5−(メチルアミド)−a−D−リボフラノシル]−アデニンが含まれる。
更に特許文献2の第7コラム、第60行〜第8コラム、第6行には、AARアゴニストが下記の式を有する改質されたキサンチン−7−リボシドとして開示されている。
Figure 0005185139
ここで、XはOであり、
はRNC(=O)であり、ここでR及びRは同一又は相違しており、水素、C〜C10アルキル基、アミノ基、C〜C10ハロアルキル基、C〜C10アミノアルキル基、及びC〜C10シクロアルキル基からなる群から選択され、
及びRは同一又は相違しており、C〜C10アルキル基、R−及びS−1−フェニルエチル基、非置換ベンジル基、並びにC〜C10アルキル基、アミノ基、ハロ基、C〜C10ハロアルキル基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アセタミド基、C〜C10アルコキシ基、及びスルホ基からなる群から選択される置換基によって1つ又はそれ以上の位置を置換されたベンジル基、からなる群から選択され、
は、ハロ基、ベンジル基、フェニル基、及びC〜C10シクロアルキル基からなる群から選択される。
特許文献8の実施例19〜33には、下記から選択される化合物が開示されている。
−(4−ビフェニル−カルボニルアミノ)−アデノシン−5’−N−エチルウロンアミド;
−(2,4−ジクロロベンジル−カルボニルアミノ)−アデノシン−5’−N−エチルウロンアミド;
−(4−メトキシフェニル−カルボニルアミノ)−アデノシン−5’−N−エチルウロンアミド;
−(4−クロロフェニル−カルボニルアミノ)−アデノシン−5’−N−エチルウロンアミド;
−(フェニル−カルボニルアミノ)−アデノシン−5’−N−エチルウロンアミド;
−(ベンジルカルバモイルアミノ)−アデノシン−5’−N−エチルウロンアミド;
−(4−スルホンアミド−フェニルカルバモイル)−アデノシン−5’−N−エチルウロンアミド;
−(4−アセチル−フェニルカルバモイル)−アデノシン−5’−N−エチルウロンアミド;
−((R)−a−フェニルエチルカルバモイル)−アデノシン−5’−N−エチルウロンアミド;
−((S)−a−フェニルエチルカルバモイル)−アデノシン−5’−N−エチルウロンアミド;
−(5−メチル−イソオキサゾール−3−イル−カルバモイル)−アデノシン−5’−N−エチルウロンアミド;
−(1,3,4−チアジアゾール−2−イル−カルバモイル)−アデノシン−5’−N−エチルウロンアミド;
−(4−n−プロポキシ−フェニルカルバモイル)−アデノシン−5’−N−エチルウロンアミド;
−ビス−(4−ニトロフェニルカルバモイル)−アデノシン−5’−N−エチルウロンアミド;及び
−ビス−(5−クロロ−ピリジン−2−イル−カルバモイル)−アデノシン−5’−N−エチルウロンアミド。
本発明の一つの実施形態において、AARアゴニストはアデノシンAARに結合して活性化することによりその主要な効果を発揮する化合物であり、下記の一般式(I)の範囲内のプリン誘導体である。
Figure 0005185139
ここでR11は、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基、又はシアノアルキル基、或いは下記の一般式(II)の基である:
Figure 0005185139
ここで、Yは酸素原子、硫黄原子、又はCHであり、
11は、H、アルキル基、RNC(=O)−、又はHOR−であって、ここでR及びRは同一又は相違しており、水素、アルキル基、アミノ基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、BOC−アミノアルキル基、及びシクロアルキル基からなる群から選択されるか、又は共に結合して2〜5個の炭素原子を含有する複素環を形成し、Rはアルキル基、アミノ基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、BOC−アミノアルキル基、及びシクロアルキル基からなる群から選択され、
12は、H、ヒドロキシル基、アルキルアミノ基、アルキルアミド基、又はヒドロキシアルキル基であり、
13及びX14は、独立して、水素、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、アジド基、ハロ基、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基、ニトリロ基、ニトロ基、トリフルオロ基、アリール基、アルカリル基、チオ基、チオエステル基、チオエーテル基、−OCOPh、又は−OC(=S)OPhであり、或いはX13及びX14は共に酸素であって、>C=Sに結合して5員環を形成するか、或いはX12及びX13は式(III)の環を形成する。
Figure 0005185139
ここで、R’及びR”は独立してアルキル基を表し、
12は、水素、ハロ基、アルキルエーテル基、アミノ基、ヒドラジド基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、ピリジルチオ基、アルケニル基、アルキニル基、チオ基、及びアルキルチオ基、からなる群から選択され、
13は、式:−NR1516で表される基であり、ここで
15は、水素原子、或いはアルキル基、置換アルキル基、及びアリール−NH−C(Z)−基(ここで、ZはO、S、又はNRであり、Rは上記と同様の定義を有する)からなる群から選択され、R15が水素である場合には、
16は、非置換、又は1つ若しくはそれ以上の位置をアルキル基、アミノ基、ハロ基、ハロアルキル基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アセトアミド基、アルコキシ基、及びスルホン酸又はそれらの塩からなる群から選択される置換基によって置換されたR−及びS−1−フェニルエチル基、ベンジル基、フェニルエチル基、又はアニリド基;ベンゾジオキサンメチル基、フルフリル基、L−プロピルアラニル基、アミノベンジル基、β−アラニルアミノベンジル基、T−BOC−β−アラニルアミノベンジル基、フェニルアミノ基、カルバモイル基、フェノキシ基、又はシクロアルキル基からなる群から選択され;或いはR16は下記の式の基である:
Figure 0005185139
或いは、R15がアルキル又はアリール−NH−C(Z)−基である場合に、R16は、ヘテロアリール−NR−C(Z)−、ヘテロアリール−C(Z)−、アルカリール−NR−C(Z)−、アルカリール−C(Z)−、アリール−NR−C(Z)−、及びアリール−C(Z)−、(ここでZは、酸素、スルホ基、又はアミン基である)からなる群から選択されるか、又は上記化合物の生理学的に許容される塩である。
一つの好ましい実施形態において、AARアゴニストは一般式(IV)で表されるヌクレオシド誘導体である:
Figure 0005185139
ここで、X、R、及びRは上述の定義のもの、及び当該化合物の生理学的に許容される塩である。
本発明の化合物の置換基の一部を形成する非環状炭水化物基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アラールキル基、アルカリール基、アルキルアミン基、等)は、分枝又は非分枝のものであり、1つ又は2〜12の炭素原子を含むことが好ましい。
本発明において用いられる化合物の「生理学的に許容される塩」という語により、斯界に知られる方法によって調製され、医薬業界で通常使用される、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アンモニウム、及びプロタミン亜鉛の塩を含む、全ての非毒性アルカリ金属、アルカリ土類金属及びアンモニウム塩を意味する。この語は、本発明の化合物を適当な有機酸又は無機酸と反応させることによって一般的に調製される非毒性「酸付加塩」も含むものである。酸付加塩は、遊離塩基の生物学的効果及び定性的特性を保ち、毒性又は望ましくない塩ではない塩である。例として、とりわけ、鉱酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタリン酸、等に由来する酸が含まれる。有機酸には、とりわけ、酒石酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、グリコール酸、グルコン酸、ピルビン酸、コハク酸、サリチル酸、及びp−トルエンスルホン酸等のアリールスルホン酸、が含まれる。
本発明の一般式(IV)に従って用いることのできるAARアゴニストの特定の例としては、これらに限定されるものではないが、N−2−(4−アミノフェニル)エチルアデノシン(APNEA)、N−(4−アミノ−3−ヨードベンジル)アデノシン−5’−(N−メチルウロンアミド)(AB−MECA)、N−(3−ヨードベンジル)アデノシン−5’−N−メチルウロンアミド(IB−MECA)、及び2−クロロ−N−(3−ヨードベンジル)アデノシン−5’−N−メチルウロンアミド(CI−IB−MECA)、が含まれる。IB−MECAは本発明において最も好ましい化合物である。
他の実施形態において、AARアゴニストは、2−プリン位置がアルコキシ基、アミノ基、アルケニル基、アルキニル基、又はハロゲンによって置換されることのある、N−ベンジルアデノシン−5’−N−アルキルウロンアミド−N−オキシド、又はN−ベンジルアデノシン−5’−N−ジアルキルウロンアミド−N−オキシド、等のアデノシンのオキシド誘導体である。
本発明のコンテクストにおいて、「有効量」又は「〜に有効な量」という語は、ドライアイの患者における症状を予防、又は低下させるAARアゴニストの量をいう。本発明において、「有効量」は、複数の被検者に様々な量のAARアゴニストを投与し、次に生理学的反応(例えば、幾つかの治療的に有益な効果を組み合わせる集積「SSインデックス」)を量の関数としてプロットすることによって容易に求めることができる。その代わりに、有効量は、時に、適切な動物モデルに対して実験を行い、複数の変換方法のうちの一つを用いてヒトに当てはめる、或いは血漿濃度又は一定時間の血漿濃度の曲線下面積(AUC)を測定し、比較可能な血漿濃度又はAUCを生じるように有効量を計算する、ことによっても求めることができる。知られているように、有効量は、投与仕様(例えば、経口投与は特定の血漿レベル又はAUCを達成するのに静脈投与よりも高い投与量を必要とする場合がある)、年齢、体重、体表面積、性別、健康状態、及び被検者の遺伝要素、他に処方されている薬、等の様々な要素に依存する。
以下において、特に言及されない限り、投与量は重量/Kgで示され、これはそれぞれの投与において、治療される被検者の体重1キログラムに対して投与されるAARアゴニスト(例えば、IB−MECA又はCI−IB−MECA)の重量を意味する。例えば、mg/Kg及びμg/Kgは、それぞれ、治療される被検者の体重1キログラムに対して投与される剤のミリグラム、及びマイクログラムを示す。
有効量は約1mg/kg未満であることが好ましく、特に約500μg/kg未満又は約200μg/kg未満、時には約100μg/kg未満又は約50μg/kg未満であることが好ましい。IB−MECAに関して、有効量は、1日に1度投与する場合には5mg未満(即ち、個人の平均体重を約70kgと仮定して、約70μg/kg未満の投与)であることが好ましく、1日に2度投与する場合には約4mg未満(即ち、約57μg/kg未満)であることが好ましい。IB−MECAの投与は、1回の投与量が約2mg未満であることがより好ましく、1日に1度又は2度投与する場合には、1回の投与量が約0.1〜1mg(体重1kg当たりの重さに換算した投与量で、それぞれ約29μg/kg及び約1.5〜15μg/kg)であることが一般的である。
ARアゴニストの個体への投与は、薬学的に許容されるキャリヤと共に行うことが可能である。経口投与の場合には、キャリヤは経口投与に適したものである。投与が局所的なものである場合には、キャリヤは、局所投与に適したものであり、その一例には眼球投与がある。
「薬学的に許容されるキャリヤ」という語は、AARアゴニストと反応せず、希釈剤又はキャリヤとして製剤に加えることができるか、又は製剤に形態又はコンシステンシーを付与する全ての不活性な非毒性物質を意味する。
経口製剤は、丸剤、カプセル形体、シロップ形体、芳香粉末、及び他の様々な形体であることができる。キャリヤは、時に、製剤の所望される形体に基づいて選択される。また、キャリヤは、時に、活性成分の標的組織への到達又は浸透を向上させ、薬剤の安定性を向上させ、クリアランス速度を低下させ、緩効性を付与し、所望されない副作用を減少させる、等の効果を有する。また、キャリヤは、食用香味を製剤に付与する等、製剤を安定させる物質(例えば、保存剤)であることができる。キャリヤは慣習的に用いられているものを全て含み、AARアゴニストに対する溶解性及び反応性の欠如等の化学的、物理学的考察、及び投与ルートによってのみ限定される。キャリヤには、添加剤、色素、希釈剤、緩衝剤、粉末化剤、湿潤剤、保存剤、香料、及び薬理学的に適合したキャリヤが含まれる。加えて、キャリヤは、予期される仕様で活性成分の作用に影響を与える物質と定義される補助剤であることができる。
経口投与に適したキャリヤの一般的な例には、(a)活性物質の有効量が水、生理食塩水、天然果汁、アルコール、シロップ、等の希釈剤中に溶解された液体溶液、(b)それぞれが所定量のトラガカントを固体又は粒体として含有するカプセル(例えば、界面活性剤、潤滑剤、及び不活性充填剤、等を含む、普通、ハード、又はソフトなゼラチンタイプのもの)、錠剤、(活性物質がショ糖及びアカシア又はトラガカント等の香味剤中に存在する、或いは活性物質がゼラチン及びグリセリン等の不活性ベース中に存在する)ロゼンジ、及びトローチ、(c)粉末、(d)適当な液体中の懸濁剤、(e)適当なエマルション、(f)リポソーム配合物、その他が含まれる。
局所的製剤は、これに制限されるものではないが、眼科用液剤(例えば、点眼剤)、眼科用ゲル、眼科用軟膏、又は油性ローション、を含む局所的投与に適切な全ての形体であることができる。また、AARアゴニストの局所的投与は、AARアゴニストを適切な薬剤含有層内に有し、瞼の上に装着される眼帯の使用、及びAARアゴニストを含有する装置であり、上下結膜嚢の中に配置されるOcularインサート(例えば、特許文献11参照)を含むものである。
点眼剤は、生理食塩水等の無菌水相溶液にAARアゴニストを溶解させるか、又は溶解される粉末組成物を使用の前に組み合わせておくことによって調製することが可能である。点眼剤には、等張剤(例えば、塩化ナトリウム等)、緩衝剤(例えば、ホウ酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等)、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール等)、増粘剤(例えば、ラクトース、マンニトール、マルトース等の糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム等のヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸等のムコ多糖、ポリアクリレートナトリウム、カルボキシビニルポリマー、架橋ポリアクリレート、等)の他の添加剤を加えることが可能である。
眼科用軟膏は、基剤にAARアゴニストを混合することによって調整することができる。眼科用軟膏の基剤の例には、ワセリン、セレン50、プラスチベース、マクロゴール等が含まれるが、これらに限定されるものではない。
製剤に用いることのできる眼薬の粘性増加剤の幾つかの例には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリビニルアルコール、及びプロビドン(providone)が含まれる。
また、ビーガム、アルギン酸塩、キサンタンガム、ゼラチン、アカシア、トラガカント、等の天然物の幾つかを眼薬溶液の粘性を増加させるために用いることが可能である。
低張の点眼剤は角膜の浮腫を生じさせ、高張の点眼剤は角膜の変形を生じさせるため、張度は重要である。理想的な張度は約300mOsMである。張度は斯界の当業者に知られるRemingtonのThe Science and Practice of Pharmacyに記述されている方法によって調整することが可能である。
ここに用いられる「a」、「an」、「the」は、そうではないと文脈に明示されていない限り、単数及び複数形態を包含するものである。例えば、「(an) AARアゴニスト」という語は、特異的にAARに結合し、それによって当該レセプターを全体的又は部分的に活性化させることができる1つ又はそれ以上の化合物を包含するものである。
更に、ここで用いられる「含む(comprising)」という用語は、組成物が記載された活性物質、即ち、AARアゴニストを包含するものであるが、生理学的に許容されるキャリヤ及び賦形剤等の他の要素並びにその他の活性剤を除外するものではないことを意味する。同様に、「〜から実質的になる(consisting essentially of)」は、組成物が記載された要素を包含するが、ドライアイ症候群の治療に対して実質的な影響を及ぼす可能性のある他の要素は除外することを意味する。「〜からなる(consisting of)」は、微量な他の要素以外のものについては排除することを意味する。これらの遷移用語のそれぞれによって定義される具体例は、本発明の範囲内のものである。
更に、例えば、AARアゴニストを活性成分として含む組成物を構成する要素の量又は範囲を参照する場合、といった全ての数値は、記載された値から(+)又は(−)20%まで、時に10%まで、変化する近似値である。常に明記されるわけではないが、全ての数値は「約」を伴うものであることは理解される。
本発明に従って行われた以下の実験の記述によって、本発明をこれから例証する。これらの例は、限定する性質のものではなく、例証することを意図するものであることは理解される。上述の教示に照らして、これらの例に多くの改良及び変更を加えることができることは明白である。従って、添付された特許請求の範囲内において、本発明を以下に特に記述した以外の無数の可能な方法で実施することができることは理解される。
(実施例):IB−MECAによる関節リウマチ患者のドライアイ症候群の改善
薬剤:
使用したAARアゴニストは、GMPに基づいてAlbany Molecular Research Inc(米国ニューヨーク州アルバニー)がCan-Fite BioPharma社用に合成した一般に1−デオキシ−1−[6−[[(3−ヨードフェニル)メチル]アミノ]−9H−プリン−9−イル]−N−メチル−D−リボフラヌロンアミド又はN−(3−ヨードベンジル)−アデノシン−5’−N−メチルウロンアミド(IB−MECA)として知られる臨床レベルの化合物であった。
このIB−MECAを楕円形のソフトゲルカプセル中に配合した。このカプセルはCremophor RH40及びMiglyol812中にIB−MECAの溶液を含むものであった。カプセルには0.1、1、又は4mgの量のIB−MECAが含まれており、それぞれのカプセルタイプにおける正確な組成を以下の表1〜3に示す。
Figure 0005185139
Figure 0005185139
Figure 0005185139
方法:
IB−MECAの入ったカプセルを患者に1日に2度投与した。全ての患者は、関節リウマチ(RA)を患っており、これらの患者におけるRA疾患症状の改善におけるIB−MECAの効果を試験することを目的とした治験のフレームワークの範囲内でIB−MECAを投与した。患者には、上記の投与量のうちの1つのカプセルが無作為に与えられた。患者はIB−MECAの投与を12週間受けた。
治療を受けた患者のうち、4人は乾燥症候群(Sicca)も患っており、彼らのドライアイ症候群に対するIB−MECAの効果も同様に調査した。
結果:
表4はRA患者に対するCF101治療の結果をまとめたものである。特に、RAを8±2年患っている年齢が58±4才である4人の患者の追跡調査を行った。治療前において、患者のリウマチ因子は高レベル、即ち、313±120IU/ml(0<通常<40)、にあり、ドライアイを5±1.6年患っていた。CF101による6.25±1.1ヶ月の治療の結果、シルマー試験において、8.5±1.4mmから15.6±2.9mmの向上が観察された。
Figure 0005185139

Claims (9)

  1. −(3−ヨードベンジル)アデノシン−5’−N−メチルウロンアミド(IB−MECA)であるアデノシンレセプター(AAR)アゴニストと、薬学的に許容されるキャリヤとを含む、ドライアイ症状の治療用医薬組成物。
  2. 経口投与用の形態をしている、請求項1に記載の組成物。
  3. 局所的投与用の形態をしている、請求項1に記載の組成物。
  4. 眼への局所的投与用の形態をしている、請求項3に記載の組成物。
  5. ドライアイ状態を治療する医薬組成物を調製するための、N −(3−ヨードベンジル)アデノシン−5’−N−メチルウロンアミド(IB−MECA)であるアデノシンレセプター(AAR)アゴニストの使用。
  6. ドライアイ症候群を治療するための、請求項に記載の使用。
  7. 経口投与用の医薬組成物を調製するための、請求項に記載の使用。
  8. 局所的投与用の医薬組成物を調製するための、請求項に記載の使用。
  9. 眼への局所的投与用の医薬組成物を調製するための、請求項に記載の使用。
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