JP5183884B2 - 補正方法、及び測定装置 - Google Patents
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Description
このような精密測定機器は、スタイラスと、ピックアップ機構とを備える。
スタイラスの測定子でワーク上をX軸方向にトレースすると、スタイラスは、ワークの高さに追従して上下動する。ピックアップ機構は、スタイラスの上下動を検出し、ワーク上の点の座標値情報を得ている。
このようにして得られたワーク上の座標値情報から、ワークの形状等を求めている。
しかしながら、ピボット式スタイラスでは、スタイラスアームが支点を中心に円弧運動するので、測定結果に誤差が生じることがある。このため、これを、適切に低減することが非常に重要である。
このような要望に応えるため、従来は、ピボット式スタイラスで測定されたデータを、例えば特許文献1〜5等に記載の補正アルゴリズムで補正し、ピボット式スタイラスの円弧運動による測定誤差の影響の低減化を試みることが考えられる。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的はスタイラスで測定されたデータを、より高精度に補正することのできる補正方法、及び測定装置を提供することにある。
ここで、前記校正測定工程は、前記スタイラスを運動させ、該スタイラスの高さ検出軸方向値に応じた移動軸方向値のずれ情報を含む校正測定データを得る。
また、前記補正パラメータ設定工程は、前記校正測定工程で得られた校正測定データに含まれるスタイラスのずれ情報に基づいて、該スタイラスの垂直降下誤差による測定誤差を補正するのに最適な垂直誤差補正パラメータの値を求める。
ここで、前記測定データ補正工程は、測定ワークを前記スタイラスでトレースして得ら
れた測定データを、前記垂直誤差補正パラメータの値ないし前記運動誤差補正パラメータ
の値を使って、補正している。該測定データ補正工程は、該測定データを補正するのに最
適な垂直誤差補正パラメータの値ないし運動誤差補正パラメータの値を、該測定データの
持つ高さ検出軸方向値に基づいて、前記補正パラメータ設定工程で求められた垂直誤差補
正パラメータの値ないし運動誤差補正パラメータの値の中から選択する。
前記測定誤差は、前記スタイラスの垂直降下誤差による測定誤差を対象とするものである。該垂直降下誤差は、高さ検出軸と移動軸とで規定される垂直誤差補正対象面における測定子位置の、高さ検出軸方向値に応じた移動軸方向へのずれを対象とするものである。
そして、該測定装置は、前記補正機構が、校正測定手段と、補正パラメータ設定手段と、測定データ補正手段と、を備えることを特徴とする。
ここで、前記校正測定手段は、前記スタイラスを運動させ、該スタイラスの高さ検出軸方向値に応じた移動軸方向値のずれ情報を含む校正測定データを得る。
また、前記補正パラメータ設定手段は、前記校正測定手段で得られた校正測定データに含まれるスタイラスのずれ情報に基づいて、該スタイラスの垂直降下誤差による測定誤差を補正するのに最適な垂直誤差補正パラメータの値を求める。
前記測定データ補正手段は、前記補正パラメータ設定手段で求められた垂直誤差補正パラメータの値を使って、測定ワークを前記スタイラスでトレースして得られた測定データを補正する。
したがって、本発明においては、スタイラスで得られた測定データの補正を、従来に比較し極めて高精度に行うことができる。
ここで、本発明においては、前記補正パラメータの値を全て同時に求めることにより、前記高精度な補正を、より効率的に行うこともできる。
図1には本発明の一実施形態にかかる補正方法を行うための測定装置の概略構成が示されている。
なお、同図(A)はスタイラスをXZ平面から見た図、同図(B)はスタイラスをYZ面から見た図である。
本実施形態では、ピボット式スタイラスの垂直降下誤差による測定誤差を補正する場合について説明する。
ピボット式スタイラス12は、測定子16でワーク18の対象面上をX軸方向(測定軸方向)にトレースすると、ワーク18の対象面に追従してXZ平面(運動誤差補正対象面)で支点20を中心に円弧運動する。
ピックアップ機構14は、Z値検出器22を備え、ピボット式スタイラス12のXZ平面での円弧運動、つまりスタイラスアーム24のXZ平面での円弧運動によるスタイラスアーム24のZ軸方向へ変位量を検出する。
このために本実施形態においては、補正機構26を備えている。
補正機構26は、ピックアップ機構(校正測定手段)14と、補正パラメータ設定手段28と、測定データ補正手段30と、を備える。
すなわち、ピックアップ機構14は、校正測定工程として、スタイラス12を円弧運動(運動)させ、スタイラス12のZ値(高さ検出軸方向値)に応じたY値(移動軸方向値)のずれ情報を含む校正測定データを得ている。
また、補正パラメータ設定手段26は、例えばコンピュータ32よりなり、補正パラメータ設定工程を行う。
すなわち、補正パラメータ設定手段28は、補正パラメータ設定工程として、校正測定データに含まれるスタイラス12のずれ情報に基づいて、スタイラス12の垂直降下誤差による測定誤差を補正するのに最適な垂直誤差補正パラメータの値を求める。
測定データ補正手段30は、例えばコンピュータ32よりなり、測定データ補正工程を行う。
すなわち、測定データ補正手段30は、測定データ補正工程として、補正パラメータ設定手段28で求められた垂直誤差補正パラメータの値を使って、測定ワークをスタイラス12でトレースして得られた測定データ補正する。
すなわち、ピックアップ機構14は、校正測定工程として、基準球18a上の指定Y値をスタイラス12でX軸方向にトレースすることにより、スタイラス12をXZ平面内で円弧運動させている。
また、ピックアップ機構14は、校正測定工程として、基準球18a上の複数の異なるY値において、それぞれ少なくとも頂点を含むXZ断面形状情報を得ることにより、校正測定データを得ている。
なお、本実施形態においては、基準球18aとして、表面が精密に仕上げられた真球に
近い半径Rが既知のものを用いている。
このために本実施形態においては、補正パラメータ設定手段28が、校正測定データに含まれる各頂点の情報に基づいて、スタイラス12が実際にYZ平面で描く実動作軌跡情報を求めている。
また、補正パラメータ設定手段28は、基準球18aの有する基準形状情報に基づいて、スタイラス12のYZ平面での理想的な動作軌跡情報を求めている。
そして、補正パラメータ設定手段28は、スタイラス12の実動作軌跡情報と理想的動作軌跡情報とを比較することにより、スタイラス12のZ値に応じたY値のずれ情報を推定している。補正パラメータ設定手段28は、推定されたずれ情報を補正するのに最適な垂直誤差補正パラメータの値を求めている。
ここで、送り装置34は、支点20をX軸方向に送る。
X軸検出器36は、送り装置34による支点20のX軸方向への送り量を出力する。
Y軸テーブル38は、ワーク18が載置される。Y軸テーブル38は、ワーク18を載置した状態でY軸方向に送る。
Y値検出器40は、Y軸テーブル38のY軸方向への送り量を出力する。
すなわち、本実施形態においては、スタイラスアーム長l、スタイラスエッジ長h、送り装置34による支点20のX軸方向への送り量等に基づき、測定子16のXYZ座標値を推定している。推定された測定子16のXYZ座標値に基づき、ワーク18上の点のXYZ座標値を推定している。
ここで、解析手段42は、測定データ補正手段30で得られた補正済みデータ(ワーク上の点のXYZ座標値)から、必要とする形状等の解析を行っている。
まず本発明は、以下の点に注目してなされたものである。
すなわち、ピボット式スタイラス12のピックアップ機構14では、スタイラスアーム24の円弧運度を考慮した補正を行う必要がある。スタイラスアーム24の円弧運度を考慮した補正では通常、図2(A)に示されるような、スタイラスアーム24の円弧運動軌跡が、XZ平面内にあることのみを想定しており、XZ平面内からのずれによる影響はないものと仮定していた。
同図(B)に示されるようにスタイラス12の理想的な動作は、YZ平面内でZ軸方向に平行なのに対し、スタイラス12の現実の動作は、YZ平面内でZ値に応じたY値のずれが生じている。
その上で、本発明は、このようなスタイラスのYZ平面内での垂直降下誤差による測定誤差を補正するための補正機構を設けている。
この結果、本発明においては、スタイラスで測定されたデータの補正処理を、より高精度に行うことができる。
本実施形態においては、より高精度に補正処理を行うため、スタイラスの垂直降下誤差による測定誤差を補正している。
このために本実施形態においては、図3に示されるような、校正測定工程(S10)と、補正パラメータ設定工程(S12)と、を備える。
校正測定工程(S10)では、スタイラス12を運動させ、スタイラス12のZ値に応じたY値のずれ情報を含む校正測定データを得ることができる。
検出器の指示値に基づいてスタイラス12を基準球18a上の指定のY値にセットする。同図(A)に示されるように、指定Y値において、スタイラス12をX軸方向に走査し、指定Y置におけるXZ断面形状情報を取得している。
このような指定Y値におけるXZ断面形状情報の取得を、Y軸テーブル38のY軸方向への移動により指定Y値を変えて行っている。同図(B)に示されるような複数の指定Y値において、XZ断面形状情報を取得している。
前記構成測定工程(S10)の終了後、補正パラメータ設定工程(S12)を行う。
すなわち、補正パラメータ設定工程(S12)では、校正測定工程(S10)で得られた校正測定データに含まれるスタイラス12のずれ情報に基づいて、スタイラス12の垂直降下誤差による測定誤差を補正するのに最適な垂直誤差補正パラメータの値を求めることができる。
より具体的には、補正パラメータ設定工程(S12)では、前記校正測定データに含まれる各頂点の情報に基づいてスタイラス12が実際にYZ平面で描く実動作軌跡情報を求める。また、補正パラメータ設定工程(S12)では、基準球18aの有する基準形状情報に基づいて、スタイラス12のYZ平面での理想的な動作軌跡情報を求めている。
そして、補正パラメータ設定工程(S12)では、スタイラス12の実動作軌跡情報と理想的動作軌跡情報とを比較することにより、スタイラス12のZ値に応じたY値のずれ情報を推定している。そして、補正パラメータ設定工程(S12)では、推定されたずれ情報を補正するのに最適な垂直誤差補正パラメータの値を求めている。
すなわち、図4に示されるようなワーク測定工程(S14)では、基準ワーク18aに代えて、測定ワーク18bをスタイラス12でトレースし、測定データを得ている。
ワーク測定工程(S14)の終了後、測定データ補正工程(S16)を行う。
すなわち、測定データ補正工程(S16)では、補正パラメータ設定工程(S12)で求められた補正パラメータの値を使って、ワーク測定工程(S14)で得られた測定データを補正している。
この結果、本実施形態においては、測定データから、スタイラス12の垂直降下誤差による測定誤差、つまりYZ平面内でのZ値に応じたY値の測定誤差を高精度に補正することができる。
この結果、本実施形態では、スタイラスの垂直降下誤差を、より高精度に補正することができる。したがって、本実施形態では、スタイラスで測定されたデータの補正処理を、より高精度に行うことができる。
前記測定データ補正工程(S16)の終了後、解析工程(S18)を行う。
すなわち、解析工程(S18)では、測定データ補正工程(S16)で得られた補正済みデータを使って、測定ワークの形状等を解析している。これにより、本実施形態においては、形状等の解析を、一般的なデータを使ったものに比較し、より高精度に行うことができる。
ところで、本実施形態においては、スタイラス12で測定されたデータの補正処理を、より高精度に行うためには、前記構成において、以下の工夫をすることも非常に重要である。
すなわち、本実施形態においては、スタイラス12で測定されたデータの補正処理を、より高精度に行うために、スタイラス12のXZ平面内での円弧運動による測定誤差も同時に考慮することが非常に重要である。
そこで、本発明においては、前記測定誤差として、さらに図5に示されるような、XZ平面(運動誤差補正対象面)内でのピボット式スタイラス12の円弧運動による測定誤差を対象としている。本発明においては、前記補正パラメータ設定工程が、さらに、XZ平面でのピボット式スタイラスの円弧運動による測定誤差を補正するのに最適な円弧運動誤差補正パラメータを求めている。
したがって、本実施形態においては、スタイラス12の垂直降下誤差による測定誤差のみに注目したもの、又はスタイラス12の円弧運動による測定誤差のみに注目したものに比較し、スタイラス12で測定されたデータの補正処理を、より適切に行うことができる。
ここで、スタイラス12の垂直降下誤差による測定誤差を補正するのに、一般的な補正アルゴリズムを用いることが考えられる。つまりZ軸方向の測定範囲の全域で、同じ補正パラメータの値を用いることが考えられる。
このために本実施形態においては、図6(A)に示されるように予めZ軸方向の測定範囲(Zレンジ)を、所定数の複数領域(領域1,領域2,…領域N)に分割している。そして、本実施形態においては、各分割領域(領域1,領域2,…領域N)において、それぞれ最適な垂直誤差補正パラメータの値を設定している。
この結果、本実施形態においては、一般的な補正アルゴリズムを用いたものに比較し、垂直誤差補正パラメータの値を、より適切に求めることができる。
このために本実施形態においては、同図(B)に示されるように予めZ軸方向の測定範囲(Zレンジ)を、所定数の複数領域(領域1,領域2,…領域N)に分割しており、分割された各Z領域において、それぞれ最適な円弧運動誤差補正パラメータの値を設定している。
この結果、本実施形態においては、一般的な補正アルゴリズムを用いたものに比較し、円弧運動誤差補正パラメータの値を、より適切に求めることができる。
これにより、本実施形態においては、一度の基準球18aの校正測定で、前記各種誤差の補正に必要な全ての補正パラメータの値を同時に算出することができるので、補正処理の効率化を図ることができる。
そして、本実施形態においては、前述のようにして求められた補正パラメータを使って、測定データを以下のようにして補正している。
すなわち、測定データ補正工程(S16)では、測定データのZ値から、測定データの属するZ領域を特定する。
このようにして測定データ補正工程(S16)では、特定されたZ領域の測定データを補正するのに最適な垂直誤差補正パラメータの値及び円弧運動誤差補正パラメータの値を、補正パラメータ設定工程(S12)で求められた垂直誤差補正パラメータの値、及び円弧運動誤差補正パラメータの値の中から選択している。
測定データ補正工程(S16)では、選択された垂直誤差補正パラメータの値及び円弧運動誤差補正パラメータの値を使って、測定データを補正している。
このため、本実施形態では、スタイラス12で測定されたデータの補正処理を、従来方式に比較し、つまりZ軸の全域において同じ補正パラメータの値を使っているものに比較し、より高精度に行うことができる。
次に、前記垂直降下誤差の補正について、より具体的に説明する。
ピボット式スタイラス12のピックアップ機構14から得られる測定データは、下記の数式1で表せる補正式で補正することができる。
すなわち、測定データのY座標値ymが与えられたとき、Y誤差は、スタイラス12の降下位置を表わすZ座標値に依存している。このY誤差は、一次近似として、下記の数式2で表せる。
以下に、前記多層構造アルゴリズムについて、より具体的に説明する。
すなわち、多層構造アルゴリズムの基本概念は、図6に示されるように、ピボット式スタイラス12で測定可能なZレンジを複数領域(領域1,領域2,…領域N)に分割し、各領域(領域1,領域2,…領域N)に対して、それぞれ最適な補正パラメータの値を設定したことである。
また基準球の中心座標(xc,yc,zc)、測定子半径rは、各領域に共通な補正パラメ
ータの値となる。
そして、補正パラメータを推定するために、まず基準球を使った校正測定を行う。
なお、基準球は、表面が精密に仕上げられた真球に近い半径値Rが既知のワークとしている。また、ピボット式スタイラス12の先端形状(測定子25の形状)は球としている。
Zレンジは、N個の複数領域(領域1,領域2,…領域N)に分割するが、この領域の分割は等分割である必要はない。
このために基準球の半径をR、基準球の中心座標を(xc,yc,zc)、スタイラス先端の測定子半径をrとすると、下記の数式4で表せる評価量fを最小にする補正パラメータを求める。
また基準球18aの中心座標(xc,yc,zc)、測定子16の半径rは、各分割領域に
共通な補正パラメータの値となる。
しかも、本実施形態によれば、多層構造アルゴリズムを採用することにより、ピボット式スタイラス12のXZ平面内での円弧運動を的確にモデル化することができることは勿論、ピボット式スタイラス12の円弧運動が理想的な円弧から逸脱している状況であっても、これを、より的確にモデル化することができる。
このため、本実施形態によれば、従来方式に比較し、より高精度な補正結果が得られる。
なお、本実施形態においては、多層構造アルゴリズムによる補正処理の高精度化を確実に得るためには、Zレンジの分割数Nの選択も非常に重要である。
本実施形態においては、Zレンジの分割数Nを、10以上、50以下とすることが、特に好ましい。
すなわち、Zレンジの複数領域への分割数Nが、10よりも少なくと、十分な補正結果が得られないことがあるのに対し、この分割数Nが、50よりも多いと、計算結果の安定性が損なわれることがあるからである。
前記補正パラメータの推定に用いるのに好適な非線形最小二乗法について説明する。
すなわち、本発明においては、前記補正パラメータを推定する際に、非線形最小二乗法を利用することにより、評価量φを最小にする補正パラメータの組(li,hi,gi,di)(i=1,2…N)、基準球18aの中心座標(xc,yc,zc)、測定子16の半径rを、全て同時に求めることができる。
次に非線形最小二乗法で重要な初期値の設定について説明する。
すなわち、非線形最小二乗法による補正パラメータの推定を適正に行うためには、補正パラメータの初期値の設定は非常に重要であり、最適な補正パラメータの初期値を与えなければならない。もしこの補正パラメータの初期値の与え方が悪いと、収束に長い時間がかかり、場合によっては全く異なった解を与えてしまうからである。
このために下記の初期値を補正パラメータの初期値として非線形最小二乗法を行うことが好ましい。
すなわち、スタイラス先端の測定子半径r、スタイラスアーム長li(i=1,2,…,N)、スタイラスエッジ長hi(i=1,2,…,N)については初期値として、設計値を使うことができる。
また、ゲイン係数gi(i=1,2,…,N)は1を初期値とし、降下補正係数di(i=1,2,…,N)は0を初期値とすることが好ましい。
また、非線形最小二乗法によるパラメータの推定を効率的に行うためには、以下のLevenberg−Marqurdt法を用いることができる。
非線形最小二乗法の計算にLevenberg−Marqurdt法を使う場合、評価量を、ヤコビアン行列をJ、ダンピングファクターをμとして下記の数式11を解くことで、未知パラメータの更新量ベクトルΔXを求めることができる。
具体的には、下記の数式12として、ヤコビアン行列の各要素は、下記の数式13により求めることができる。
<未知パラメータ>
なお、前記実施形態においては、半径Rが既知の基準球を用いて校正を行った場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、基準球の半径Rが正確に値付けされていない場合であっても、スタイラスの測定子半径rが既知であれば(ピンゲージを使った測定等で得られる校正値を使うことも可能)、スタイラスの測定子半径rに代えて、基準球の半径Rを未知パラメータと考えることにより、前記実施形態での理論展開と同様の理論展開が可能である。
また、前記実施形態では、スタイラスとしてピボット式スタイラスを用いた例について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、直動スタイラスに適用することも好ましい。
直動スタイラスは、ワークの対象面上をX軸方向にトレースすると、ワークの高さに追従して直線運動するものである。
本発明は、直動スタイラスのYZ平面内での垂直降下誤差による測定誤差、ないし直動スタイラスのXZ平面内での直線運動の真直度に起因する測定誤差の補正に適用することも非常に好ましい。
12 ピボット式スタイラス(スタイラス)
14 ピックアップ機構(校正測定手段)
26 補正機構
28 補正パラメータ設定手段
30 測定データ補正手段
Claims (9)
- 測定軸、高さ検出軸および移動軸が、それぞれ直交する関係にあり、
前記移動軸は、スタイラスの測定子がトレースする前記測定軸の方向と該トレースの際に変位する測定子の前記高さ検出軸の方向を含む平面に対しての垂直な方向で規定され、
ワークの対象面上を前記スタイラスの測定子で測定軸方向にトレースして得られたデータに含まれる測定誤差を補正する補正方法であって、
前記測定誤差は、前記ワークの対象面に追従して変位するスタイラスの垂直降下誤差による測定誤差を対象とするものであり、該垂直誤差は、前記高さ検出軸と前記移動軸とで規定される垂直誤差補正対象面における測定子位置の、高さ検出軸方向値に応じた移動軸方向へのずれを対象とするものであり、
前記スタイラスを運動させ、前記スタイラスの高さ検出軸方向値に応じた移動軸方向値のずれ情報を含む校正測定データを得る校正測定工程と、
前記校正測定工程で得られた校正測定データに含まれるスタイラスのずれ情報に基づいて、該スタイラスの垂直降下誤差による測定誤差を補正するのに最適な垂直誤差補正パラメータの値を求める補正パラメータ設定工程と、を備え、
前記校正測定工程は、表面が精密に仕上げられた真球に近い基準球上を指定移動軸方向値にて前記スタイラスで測定軸方向にトレースすることにより、該スタイラスを運動させており、また、該基準球上の複数の異なる移動軸方向値において、それぞれ少なくとも頂点を含む断面形状情報を得ることにより、前記校正測定データを取得し、
前記補正パラメータ設定工程は、前記校正測定データと前記基準球の有する基準値とを比較することにより、前記垂直誤差補正パラメータの値を求めることを特徴とする補正方法。 - 請求項1記載の補正方法において、
前記補正パラメータ設定工程は、前記校正測定データに含まれる各頂点の情報に基づいて前記スタイラスが実際に前記垂直誤差補正対象面で描く実動作軌跡情報を求め、また前記基準球の有する基準形状情報に基づいて該スタイラスの前記垂直誤差補正対象面での理想的な動作軌跡情報を求め、
また、該補正パラメータ設定工程は、該スタイラスの実動作軌跡情報と理想的動作軌跡情報とを比較することにより、該スタイラスの高さ検出軸方向値に応じた移動軸方向値のずれ情報を推定し、該推定されたずれ情報を補正するのに最適な垂直誤差補正パラメータの値を求めることを特徴とする補正方法。 - 請求項1または2記載の補正方法において、
前記測定誤差は、測定軸と高さ検出軸とで規定される運動誤差補正対象面において円弧
運動するピボット式スタイラスの垂直降下誤差による測定誤差を対象としていることを特徴とする補正方法。 - 請求項1または2に記載の補正方法において、
前記測定誤差は、測定軸と高さ検出軸とで規定される運動誤差補正対象面において直線運動する直動スタイラスの垂直降下誤差を対象としていることを特徴とする補正方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の補正方法において、
前記測定誤差は、さらに、前記測定軸と高さ検出軸とで規定される運動誤差補正対象面内でのスタイラスの運動による測定誤差を対象とするものであり、
前記補正パラメータ設定工程は、さらに、前記運動誤差補正対象面での該スタイラスの運動による測定誤差を補正するのに最適な運動誤差補正パラメータの値を求めることを特徴とする補正方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の補正方法において、
前記高さ検出軸方向の測定範囲は、予め所定数の複数領域に分割されており、
前記補正パラメータ設定工程は、前記各分割領域においてそれぞれ最適な垂直誤差補正パラメータの値ないし運動誤差補正パラメータの値を求めることを特徴とする補正方法。 - 請求項6記載の補正方法において、
前記補正パラメータ設定工程は、非線形最小二乗法により、前記各分割領域においてそれぞれ最適な垂直誤差補正パラメータの値及び運動誤差補正パラメータの値を同時に求めることを特徴とする補正方法。 - 請求項6又は7記載の補正方法において、
測定ワークを前記スタイラスでトレースして得られた測定データを、前記垂直誤差補正パラメータの値ないし前記運動誤差補正パラメータの値を使って補正する測定データ補正工程を備え、
前記測定データ補正工程は、前記測定データを補正するのに最適な垂直誤差補正パラメータの値ないし運動誤差補正パラメータの値を、該測定データの持つ高さ検出軸方向値に基づいて、前記補正パラメータ設定工程で求められた垂直誤差補正パラメータの値ないし運動誤差補正パラメータの値の中から選択することを特徴とする補正方法。 - ワークの対象面に追従して変位するスタイラスと、
前記スタイラスの少なくとも高さ検出軸方向値を出力するピックアップ機構と、
を備えた測定装置において、
前記スタイラスの測定子がトレースする測定軸方向と前記高さ検出軸方向とを含む平面に対して垂直な方向であるよう規定される移動軸を有し、
前記ワークの対象面上を前記スタイラスの測定子で前記測定軸方向にトレースして得られたデータに含まれる測定誤差を補正する補正機構を備え、
前記測定誤差は、前記スタイラスの垂直降下誤差による測定誤差を対象とするものであり、該垂直降下誤差は、前記高さ検出軸と前記移動軸とで規定される垂直誤差補正対象面における前記測定子位置の、高さ検出軸方向値に応じた移動軸方向へのずれを対象とするものであり、
前記補正機構は、前記スタイラスを運動させ、該スタイラスの高さ検出軸方向値に応じた移動軸方向値のずれ情報を含む校正測定データを得る校正測定手段と、
前記校正測定手段で得られた校正測定データに含まれるスタイラスのずれ情報に基づいて、該スタイラスの垂直降下誤差による測定誤差を補正するのに最適な垂直誤差補正パラメータの値を求める補正パラメータ設定手段と、
前記補正パラメータ設定手段で求められた垂直誤差補正パラメータの値を使って、測定ワークを前記スタイラスでトレースして得られた測定データを補正する測定データ補正手段と、を備え、
前記校正測定手段は、表面が精密に仕上げられた真球に近い基準球上を指定移動軸方向値にて前記スタイラスで測定軸方向にトレースすることにより、該スタイラスを運動させた際、該基準球上の複数の異なる移動軸方向値において、それぞれ少なくとも頂点を含む断面形状情報を得ることにより、前記校正測定データを得るものであり、
前記補正パラメータ設定手段は前記校正測定データと前記基準球の有する基準値とを比較することにより、前記垂直誤差補正パラメータの値を求めること、
を特徴とする測定装置。
以 上
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