JP5182573B2 - 交通信号制御システム、信号制御装置 - Google Patents
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また、図5のように、下り方向と上り方向の双方向のスルーバンドを確保できるようなオフセットを与えてもよいし、図示しないが、上り方向のみのスルーバンドを確保することもできる。
このサブエリアの構成は、交通信号制御システムの管理者が実際の道路交通の状況を見て、経験的に決めるという方法が用いられている。具体的には、例えば、幹線道路上に連続して存在する交差点の場合であれば、交差点間の距離が所定以上離れたところをサブエリアの境界とし、離隔距離が一定以内の交差点を1つのサブエリアとするような方法が用いられる。
このサブエリアの構成を動的に変化させる方法として、サブエリアとサブエリアの境界で起こりうる交通流の乱れを低減するために、サイクル長の差が小さい近接するサブエリア同士を結合して1つのサブエリアとする方法等が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、交通流は時間帯に応じて変動するから、時間帯によってはサブエリアに含まれる全ての交差点を連続して通過する車両の台数が少なくなり、一旦決定したサブエリアの構成が適切ではなくなるケースがある。
また、周辺地域の環境変化(新しい施設の建設、移転等)によってそれまでの交通流が変化し、サブエリアの構成を見直す必要に迫られることもある。
なお、ここにいう走行経路とは、制御対象エリア内において多数の車両が走行する経路を指すものとする。この走行経路は制御対象エリア内に複数存在する場合もある。
また、プローブ情報を受信する通信装置は、道路脇に設けておいても良いし、ビル等の建物の屋上等に設置しておいても良く、車両との間で通信可能であれば良い。
なお、本発明にかかる交通信号制御システムに用いられ、前記サブエリア構成決定手段を備えるサブエリア構成決定装置(請求項2)、コンピュータを前記サブエリア構成決定装置として動作させるためのコンピュータプログラム(請求項3)、及び、本発明に対応するサブエリア構成の決定方法(請求項4)も大変有用である。
この方法によれば、進行方向の割合が変動する交差点に着目するため、サブエリアの境界をどこに設定するのかを適切に決定することが可能になる。
できるだけサブエリアの境界をまたいで走行する回数を低減する構成とすることで、車両が信号待ちしなければならなくなる確率を低減し、円滑な走行を支援することが可能となる。
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る交通信号制御システムの信号機が設置された交差点の地理的関係を示す模式図である。
図1のように、道路R1上には4つの交差点A乃至交差点Dが連続して存在しており、交差点Cにおいて道路R1と交差する道路R2上には交差点Eが存在している。
そして、これらの交差点には、それぞれ信号機1A乃至信号機1Eが設置されており、各交差点に向かって進行する車両に対して通行権の有無を表示する。なお、信号機1A乃至信号機1Eは、通信回線を通じて交通管制センターに設置された信号制御装置3B(図7)の中央装置と接続されており、データを送受信することができるようになっている。前記中央装置は、交通状況等に応じて、逐次各信号機1A乃至信号機1Eに対して信号制御に関する指示を与える機能を備えている。
このプローブ情報とは、車両が通過した地点の位置(緯度・経度)とその地点の通過時刻とを離散的にサンプリングして時系列に並べたものであり、例えば図6に示すようなデータ形式である。図6の例では、サンプリングされる各地点において、位置や時刻の情報以外に、車両に搭載される方向指示器やワイパー等の各機器の動作状態や、各種センサのセンシング情報等が含まれており、車両の搭載する機能等において適宜こういった情報を付加することができる。
これらの路上通信装置2は、ルータ等の通信装置を介して交通管制センターに設置されたプローブ情報収集装置3Aに対してプローブ情報を送信する。これにより、プローブ情報収集装置3Aは、この周辺地域を走行する多数の車両からプローブ情報を収集することが可能となる。
信号制御装置3Bは、各交差点の信号機1A等に対して、通常、1サイクル毎に信号制御指令情報を送信している。この信号制御指令情報には1サイクル分の信号表示についての指示が含まれている。具体的には、1サイクルの長さであるサイクル長、交差する各方路に割り当てる青時間の割合(スプリット)、サイクルの開始時刻と基準時刻とのズレ(オフセット)や地点感応制御の実行可否に関する指示等が含まれている。
信号制御指令情報を受信した信号機1A等は、1サイクルの開始直前の時点で到着している最新の信号制御指令情報に基づいて、当該1サイクルにおける信号制御プランを決定し、当該信号制御プランに含まれる各信号灯色の表示時間に従って各信号灯器を制御する。
なお、1サイクルとは、信号機の表示が一巡する期間のことを指し、通常は主道路側に対して青信号の表示を開始した時から、再び主道路側に対して青信号の表示を開始する直前までの期間をいう。
そして、同一のサブエリアに含まれる信号機に対して送信される信号制御指令情報のサイクル長は同一の値に設定される。また、同一サブエリア内の信号機に与えられるオフセットは、既に説明した通り、路線の平均車両走行速度や交差点間の距離に応じて予め記憶されており、その記憶値を信号制御指令情報に設定する。なお、方路ごとの青時間の長さ(スプリット)についても、同一のサブエリア内の信号機に対しては同一の長さを指定する。
次に、プローブ情報収集装置3Aによって収集されたプローブ情報を用いて信号制御装置3Bがサブエリア構成を決定する方法について説明する。
プローブ情報収集装置3Aは、既述の通り、交通管制センターに設置されており、交差点A乃至交差点Eを含む周辺地域を走行する車両の車載機が送信するプローブ情報を収集する機能を備えている。この場合、走行する車両の全てがプローブ情報を作成して送信する機能を有する車載機を搭載しているとは限らないが、搭載率が所定以上(たとえば1割程度)であれば、収集したプローブ情報に基づいておおよその交通流を把握することが可能である。なお、前記車載機には、車両に取り付けられるカーナビゲーション装置や搭乗者が保持する携帯端末装置等が含まれ、車両等の移動体のプローブ情報を作成して外部出力する機能を備えていればどのようなものであっても良い。
この例では簡単のため、道路R1上を直進して交差点A乃至交差点Dを連続して通過する車両(タイプPとする)と、道路R1上を交差点Aから交差点Cまで直進し、交差点Cで左折して交差点Eを通過する車両(タイプQとする)との2つのタイプが大半を占め、これ以外の進路をとる車両(例えば交差点Cで右折する車両等)の割合は無視できる程度に小さいものとする。
なお、プローブ情報を作成して路上通信装置に対して送信可能な車両の割合が所定以上(例えば1割以上)であれば、収集されるプローブ情報に基づいて得られる前記進行経路別の割合は、全ての車両についての進行経路別の割合と近似していると考えられるため、ここでは、プローブ情報に基づいて得られる前記進行経路別の割合を全ての車両についての進行経路別の割合の推定値として活用する。
信号制御装置3Bは、受信したこの割合等に基づいてサブエリア構成を決定し、同一のサブエリアに属する信号機を系統的に制御する。
このようにタイプPよりもタイプQの割合が所定以上大きい場合、信号制御装置3Bは、交差点A、B、C、Eの順番で連続して通過する車両の割合が多いのであるから、これら4つの交差点を系統的に制御し、信号機1A、1B、1Cの3台の信号機が道路R1の下り方向進行車両に対して表示する青信号の時刻と、信号機1Eが道路R2の東向き進行車両に対して表示する青信号の時刻に適切なオフセットを設けて制御すれば、この地域の交通流が円滑となる、と判断する。そしてその判断に応じて、図3の(a)に示すように、交差点A、B、C、Eの4つの交差点を少なくとも同一のサブエリアとすると決定し、信号機1A、1B、1C、および1Eを系統的に制御する。
そこで、交差点A、B、C、Eの4つの交差点を連続して順番に通過可能なように青信号の時刻にオフセットを与えておくことで、交差点Eでの信号待ち車両の台数を減少させ、交差点C付近での渋滞発生を未然に防ぐことができるようになる。
例えば、交差点Dよりも下り方向にある交差点と交差点Dとを連続して通過する車両の割合が所定以上であれば、交差点Dは交差点C等と同一のサブエリアとするよりも、下り方向にある交差点と同一のサブエリアとする方が望ましい。
また、交差点Dよりも下り方向にある交差点と交差点Dとを連続して通過する車両の割合も小さい場合には、交差点Dは他の交差点との結びつきが小さいから、交差点Dを交差点Cなどと同一のサブエリアとしても良いし、交差点Dのみを1つのサブエリアとする方法でも良い。
一方、交差点Eから交差点Cに進行して交差点Cを左折して交差点Dに流入する車両の割合が大きいといった場合には、交差点Dを交差点CやEと同じサブエリアとする方がよい。
仮に、プローブ情報によって得られる交通状況に応じて、信号制御装置3Bが頻繁にサブエリア構成を変更すると、サブエリア構成を変更した時間帯の前後において、サブエリアの変更を強いられる信号機がオフセット追従動作を頻繁に繰り返すことになるため、その影響でかえって交通流が円滑ではなくなり、渋滞が発生する可能性がある。
また、大幅な構成変更を行うのではなく、例えば、限られた交差点のみを対象にして、構成を変更する方法でも良い。例えば、交差点Dを交差点Cと同じサブエリアとするか別のサブエリアとするかのみを判断し、それ以外の周辺のサブエリア構成は変更しないといった方法でも良いし、予め用意した複数のサブエリア構成のパタンのどれを選定するかを随時決定するといった方法でも良い。
この場合、プローブ情報収集装置3Aによる走行経路状況の分析の結果、走行経路1のように左端の3つの交差点を連続して通過する車両と、走行経路2のように制御対象エリア内で1度ずつ右左折して通過する車両の割合が多い場合、aのパタンでサブエリアを構成した場合、走行経路1は2つのサブエリアを通過し、走行経路2は3つのサブエリアを通過することになる。
つまり、制御対象エリア内における代表的な走行経路について、サブエリアをまたぐ回数は合計3回となる。
同一のサブエリア内を走行する場合には系統的に制御されているために信号待ちを強いられる可能性が低いのに対し、異なるサブエリア間をまたいで走行する場合には、その地点で信号待ちしなければならない可能性が高くなる。したがって、この例では、信号制御装置3Bは、bのパタンを採用してサブエリアを構成する。このようにすれば、車両がサブエリアをまたいで走行する回数が少なくなるため、aのパタンに比べて制御対象エリア内での信号待ちの回数を少なくすることができ制御対象エリア内の交通流を円滑なものとすることが可能になる。
2 路上通信装置
2A 通信アンテナ
3A プローブ情報収集装置
3B 信号制御装置
4 中央ルータ
Claims (4)
- 制御対象エリア内の複数の信号機を複数のサブエリアにグループ化し、一のサブエリアに属する信号機が複数の場合にこれらの信号機を同一のサイクル長で動作させる交通信号制御システムであって、
前記制御対象エリア内を走行する車両から当該車両の走行軌跡の情報であるプローブ情報を受信する通信装置と、
複数の車両から受信したプローブ情報に基づいて前記制御対象エリア内の走行経路のうち割合の大きい1又は複数の代表走行経路を抽出する代表走行経路抽出手段と、
抽出された前記代表走行経路がサブエリアの境界を通過する回数が小さくなるようにサブエリア構成を決定するサブエリア構成決定手段とを備えること
を特徴とする交通信号制御システム。 - 請求項1に記載の交通信号制御システムに用いられ、前記サブエリア構成決定手段を備えることを特徴とするサブエリア構成決定装置。
- コンピュータを、請求項2に記載のサブエリア構成決定装置として動作させるためのコンピュータプログラム。
- 制御対象エリア内の複数の信号機を複数のサブエリアにグループ化し、一のサブエリアに属する信号機が複数の場合にこれらの信号機を同一のサイクル長で動作させる交通信号制御システムにおけるサブエリア構成の決定方法であって、
前記制御対象エリア内を走行する車両の走行軌跡の情報であるプローブ情報に基づいて前記制御対象エリア内の走行経路のうち割合の大きい1又は複数の代表走行経路を抽出するステップと、
抽出された前記代表走行経路がサブエリアの境界を通過する回数が小さくなるようにサブエリア構成を決定するステップとを備えること
を特徴とする方法。
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