JP5182464B2 - 鉛蓄電池用負極集電体及び該集電体を用いた鉛蓄電池の製造方法 - Google Patents

鉛蓄電池用負極集電体及び該集電体を用いた鉛蓄電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉛蓄電池用負極集電体及び該集電体を用いた鉛蓄電池の製造方法に関する。
鉛蓄電池は、セパレータを介して積層され又は巻回された正極板と負極板とを電槽に収納し、さらに、希硫酸水溶液を主成分とする電解液を電槽内に注液することによって製造される。この正極板及び負極板は、鉛又は鉛合金からなる格子状の集電体に活物質を担持させたものである。正極板の活物質には二酸化鉛が用いられることが多い。負極板の活物質には海綿状の金属鉛が用いられることが多い。
負極板に用いられる集電体(以下、負極集電体という。)の一例を図3に示す。図3に示される負極集電体は、鉛又は鉛合金のシートをレシプロ方式のエキスパンド機で展開することによって製造される。
負極集電体は、ほぼ方形の板状である。その上部には、左右に長く形成された上額部1が形成されている。格子部2は上額部1に接続されて形成されている。上額部1にはさらに上方に突出する耳基材3と呼ばれる部分がある。
格子部2は、レシプロ方式のエキスパンド機により、鉛シートを下端から順に格子状に展開して多数のマス目を形成した部分である。このような格子状とすることによって、多数のマス目に負極活物質が効率良く担持される。耳基材3がエキスパンド機によって作製される場合には、鉛シートを上額部1とともに凸形状に切り出すことによって形成される。正極板と負極板とが積層された後、耳基材3の先端部はストラップ4に溶接される。
溶接は、キャスト・オン・ストラップ(Cast on Strap、COS)法やアーク溶接法により行われることが多い。
キャスト・オン・ストラップ法とは、溶融した足し鉛合金が注ぎ込まれている鋳型に負極集電体の耳基材を入れ、この足し鉛合金を冷却・凝固させることによって溶接する方法である。この方法においては、鋳型をストラップの形状にしておけば、耳基材と足し鉛との溶接と同時に、ストラップが形成されることになる。
アーク溶接法とは、集電体の耳基材にくし型治具がはめこまれた後、アークにより溶融された足し鉛が治具に流し込まれ、その後、溶融した足し鉛が凝固することによって、集電体の耳基材にストラップを形成させる方法である。このような方法は、たとえば、特許文献1に記載されている。
完成した鉛蓄電池の充放電が繰り返された場合、正極板から脱落した微細な正極活物質が充電時に発生したガスによって電解液中を浮遊し、負極板の耳基材3や上額部1に付着することがある。そして、この付着が進行する場合、スポンジ状の鉛が堆積する。このスポンジ状の鉛は、モス(moss)と呼ばれる。このモスが堆積しつづけると、正極板にまで達し短絡を引き起こすおそれがあるという問題がある。この問題は、たとえば特許文献2に開示されている。
特開平8−31401号公報 特開平8−203554号公報
この問題を解決するために、本願の出願人は、特願2004−324343号を出願している。この出願では、鉛蓄電池用の負極集電体の上額部および耳基材の表面に、Sn層、Sb層、またはSn及びSbの少なくともどちらか一方を含むPb合金層(ただし、このPb合金層に占めるSn及びSbの総和が、合金層の全体に対して10質量%以上のもの)からなる被覆層を配して「耳部」とした発明が開示されている。なお、このように耳基材に被覆層を配したものを、本願発明では「耳部」と呼ぶ。
この発明を実施しようとした場合、モスの付着を抑制するためには、被覆層の融点が耳基材のそれよりも低いものとならざるを得なかった。そのため、この被覆層は、耳部の上部にストラップ4を溶接するときに、溶融して消失する場合があった。ストラップ4の溶接時に、その被覆層の融点まで温度が上昇する場合があるからである。その結果、耳部とストラップ4との「溶接界面」の「付近」には被覆層が存在せず、負極集電体の材料自体が露出する場合があった。そのため、結局、負極集電体の材料自体が露出している部分にモスが堆積することとなり、前に示した特願2004−324343号の発明によって得られる効果、すなわち、モスの堆積を防止することができるという効果が発揮されないという問題があった。
なお、ここでいう「溶接界面」とは、耳部のうちストラップに埋め込まれて一体となった部分はストラップとみなしたうえで、耳部とストラップとの境界を形成する面の「輪郭線」をいう。この境界は、図1(a)でいえば、点線7である。また、溶接界面の「付近」とは、図1の点線7で示された溶接界面の輪郭線を、図1の下方向に移動させて得られる面をいう。
以上の問題を解決するために、本願発明は、負極集電体の耳部にストラップを溶接させるときに、耳基材に備えさせた被覆層が溶融して消失しないようにすることを目的とする。そして、本願発明は、耳部にストラップを溶接した後にも、耳部とストラップとの溶接界面の付近に被覆層が存在する負極集電体を提供することを目的とする。さらに、本願発明は、このような負極集電体とストラップとを鉛蓄電池に備えたことによって、モスが堆積せずサイクル寿命性能が優れた鉛蓄電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本願発明は、格子部に接続された上額部から突出した耳部を有する鉛蓄電池用負極集電体において、前記耳部は、耳基材、第一被覆層、及び第二被覆層を備え、前記耳基材の前記上額部に近い基端側は、前記第一被覆層により被覆されて前記第一被覆層が表面に露出しており、前記耳基材の先端側は、少なくとも前記第二被覆層により被覆されて前記第二被覆層が表面に露出しており、前記第一被覆層は、Sn層を5%以上12%未満含むPb合金層を有し、前記第二被覆層は、前記第一被覆層より融点が高い、Pb層からなることを特徴とする。また、格子部に接続された上額部から突出した耳部を有する鉛蓄電池用負極集電体において、前記耳部は、耳基材、第一被覆層、及び第二被覆層を備え、前記耳基材の前記上額部に近い基端側は、前記第一被覆層により被覆されて前記第一被覆層が表面に露出しており、前記耳基材の先端側は、少なくとも前記第二被覆層により被覆されて前記第二被覆層が表面に露出しており、前記第一被覆層は、Sn層を12%以上50%以下含むPb合金層を有し、前記第二被覆層は、前記第一被覆層より融点が高い、Pb層またはSnを10%以下含むPb合金層からなることを特徴とする。また、格子部に接続された上額部から突出した耳部を有する鉛蓄電池用負極集電体において、前記耳部は、耳基材、第一被覆層、及び第二被覆層を備え、前記耳基材の前記上額部に近い基端側は、前記第一被覆層により被覆されて前記第一被覆層が表面に露出しており、前記耳基材の先端側は、少なくとも前記第二被覆層により被覆されて前記第二被覆層が表面に露出しており、前記第一被覆層は、Sb層を5%以上12%以下含むPb合金層を有し、前記第二被覆層は、前記第一被覆層より融点が高い、Pb層からなることを特徴とする
また、本願発明は、前記耳基材の前記先端側は、前記第一被覆層により被覆され、且つ、当該第一被覆層は前記第二被覆層により被覆されていることを特徴とする。
また、本願発明は、第二被覆層の厚さが第一被覆層の厚さより大であることを特徴とする。
本願発明のように、耳基材が第一被覆層によって被覆され、第一被覆層が第二被覆層によって被覆され、且つ、第二被覆層の融点が第一被覆層の融点より高いことによって、耳部にストラップを溶接した後においても、ストラップと耳部との溶接界面の付近が第一被覆層に覆われた状態とすることができる。
その結果、この負極集電体にストラップを溶接して製造された鉛蓄電池においては、耳部にモスが付着することが抑制される。また、このような負極集電体を鉛蓄電池の製造方法に使用する場合、耳基材が隙間なく被覆層に覆われた負極集電体を備えた鉛蓄電池を、容易に得ることができる。
このように、耳部にストラップが溶接された後においても、溶接界面の付近を第一被覆層に覆われた状態とすることができる理由は、おそらく、たとえ第一被覆層が溶融し始めたとしても第二被覆層が溶融しにくいため、溶融した第一被覆層が溶接部界面付近から移動することを第二被覆層が抑制しているためと考えられる。
なお、本願発明のように、耳基材が第一被覆層によって被覆され、第一被覆層が第二被覆層によって被覆され、且つ、第二被覆層の融点が第一被覆層の融点より高いことによって、耳基材を第一被覆層に覆われた状態とすることができるのであるから、耳基材に第一被覆層が備えられる目的はどのようなものであっても良い。つまり、本願発明を実施する場合、様々な目的で耳基材の表面に備えられた被覆層を、ストラップの溶接後であっても残すことができるのである。しかし、本願明細書では、その様々な目的の中でも特にモスを抑制する目的で備えられた第一被覆層について言及する。
次に、本願発明のように、耳基材の先端側部分が第二被覆層に被覆され、耳基材の根元側部分が第一被覆層に被覆され、第二被覆層の融点が第一被覆層の融点より高いことによって、耳部にストラップを溶接した後においても、耳基材を、第一被覆層及び第二被覆層に被覆させることができる。すなわち、耳基材のうちストラップに溶接される部位は、融点が高い第二被覆層に被覆され、耳基材のうちストラップに溶接される部位から離れた部位は、モスの付着を抑制する効果が高い第一被覆層に被覆されているので、このような耳部を備えた負極集電体は、耳基材が露出した負極集電体とくらべて、耳部へのモスの付着が抑制される。
ここで、耳基材を被覆する第一被覆層と第二被覆層とが接している必要は無い。第一被覆層と第二被覆層とが接していなくても、耳基材が露出する面積を小さくしさえすれば、モスが付着するのを抑制することができるからである。しかし、第一被覆層と第二被覆層とが接していれば、モスが付着するのを抑制する効果は顕著に得られる。
なお、ここでいう第一被覆層と第二被覆層とが「接する」とは、第一被覆層と第二被覆層とがそれぞれの層の組成を保ちつつ接している場合だけでなく、第二被覆層の一部と第一被覆層の一部が混合している場合も含むものとする。このような場合であっても、本願発明の効果が発揮されるからである。また、「耳基材の根元側部分」及び「耳基材の先端側部分」は、次のように定義される。すなわち、上額部1から耳基材3が突出する方向と垂直の任意に定めた面によって耳基材を二つに分けた場合において、上額部1に接続する側にある部分が「耳基材の根元側部分」である。一方、「耳基材の根元側部分」ではない部分が「耳基材の先端側の部分」である。
本願発明においては、第一被覆層として、Sn、Sb、Pb−Sn系合金、Pb−Sb系合金、又はPb−Sn−Sb系合金が好ましい。これによって、このような負極集電体を用いて製造された鉛蓄電池において、モスの付着を抑制する効果が高くなる。この場合において、第一被覆層がPb−Sn系合金の場合にあっては、Snの含有量が合金組成の全体に対して10質量%以上であることが好ましい。また、第一被覆層がPb−Sb系合金の場合にあっては、Sbの含有量が合金組成の全体に対して10質量%以上であることが好ましい。また、第一被覆層がPb−Sn−Sb系合金の場合にあっては、Sn及びSbの総含有量が合金組成の全体に対して10質量%以上であることが好ましい。なぜなら、第一被覆層の組成を上記の組成とすることによって、モスの付着を防止する効果が極めて高いからである。その結果、サイクル寿命性能が極めて高くなるからである。これらの効果は、後述の実施の形態1及び2において、具体的に数値によって説明されている。
本願発明の第二被覆層の材料は、Pb、Pb−Sn系合金、Pb−Sb系合金、又はPb−Sn−Sb系合金であって、第一被覆層よりも融点が高いものが用いられる。第一被覆層の材料がSn又はPb−Sn系合金である場合には、この第二被覆層をPbとすることにより、第二被覆層の融点の方が高くなる。
第一被覆層がSb、Pb−Sb系合金又はPb−Sn−Sb系合金である場合、合金の全体に占めるSbの含有量が多くなるほど第一被覆層の融点が低くなるとは限らない。そのため、Pb又は各種組成のPb−Sn系合金、Pb−Sb系合金若しくはPb−Sn−Sb系合金の中からこの第一被覆層よりも融点が高くなるものを選択してこの第二被覆層に用いる必要がある。
ただし、この第二被覆層のSnやSbの含有量が、耳基材3や上額部1の材料の含有量よりも小さい場合には、第二被覆層のモスの付着防止効果が耳基材3や上額部1よりも低くなる。そのため、第二被覆層のSnやSbの含有量を、耳基材3や上額部1の材料よりも増やすことが好ましい。しかし、第二被覆層におけるモスの付着を抑制する効果が小さくても、第一被覆層におけるモスの付着を抑制する効果が十分に大きければ、モスの堆積を抑制できる。そのため、第二被覆層として、例えばPb等のようなモスの付着防止効果のほとんどない金属を用いることもできる。
また、本願発明の第一被覆層及び第二被覆層の厚みについては、5〜200ミクロン(さらに好ましくは、10〜60ミクロン)に調整されることが好ましい。厚みが小さすぎる場合には、モスの付着を防止する効果および第一被覆層が溶融して消失するのを防止する効果が小さくなるからである。また、厚みが大きすぎる場合には負極集電体も厚くなってしまうため、鉛蓄電池が大きく又は重くなってしまうからである。
実施例で示す種々の負極集電体、およびこれらを備えた鉛蓄電池に共通する事項について、最初に説明する。
実施例で用いられた負極集電体は、レシプロ方式のエキスパンド機により鉛シートが展開されて、ほぼ方形の板状に形成されたものである。鉛シートの材料としては、一般的には、鉛又は鉛合金が用いられるが、本実施例では、Pb−Ca−Sn系合金(組成:Pb99.67質量%−Ca0.03質量%−Sn0.3質量%)を用いた。
負極集電体は、図3のように、上額部1を有する。上額部1には、格子部2がつながる。上額部1には、図面の上方に突出する耳基材3が形成されている。上額部1、格子部2及び耳基材3は、いずれも同じ材料であるPb−Ca−Sn系合金(組成:Pb99.67質量%−Ca0.03質量%−Sn0.3質量%)が用いられている。
実施例の負極集電体の耳部については、図1や図2に示すように、耳基材3の表面が第一被覆層5や第二被覆層6で覆われている。なお、図1及び図2では、耳部の断面構造をわかりやすくするために、実際よりも板厚方向(図面の左右方向)の厚みが厚く示されている。また、図3に示した従来例と同様の機能を有する構成部材には、同じ番号が付されている。
なお、耳基材の表面の被覆層5、6は、圧延法またはメッキ法等によって備えられる。
圧延法とは、次の工程を備える。すなわち、(i)スラブ鋳造体の表面及び裏面の一部に、第一被覆層5となるべき金属箔がはり付けられる工程、(ii)この第一被覆層5となる金属箔の一部を覆うように、第二被覆層6となるべき金属箔が重ねてはり付けられる工程、及び(iii)金属箔がはり付けられたスラブ鋳造体を圧延することによって、被覆層5,6が設けられたシートが得られる工程である。圧延工程によって形成された被覆層5、6は、耳基材3や上額部1の材料に埋め込まれているので、被覆層5,6と耳基材とが確実に密着している。すなわち、その構造は、図1(a)及び図2(a)に示すようなものである。なお、第一被覆層及び第二被覆層の厚みは、貼り付ける金属箔の厚みと圧延の強度を調節することによって、任意に定められ得る。
メッキ法とは、図1(b)に示すように、耳基材の表面にメッキによる膜形成を行うことにより被覆層を形成する方法である。この方法によって、第一被覆層5の上にさらに第二被覆層を形成すれば、図1のような構造の耳部を備えた負極集電体が作製される。また、第一被覆層5が存在しない部分に第二被覆層6を形成すれば、図2(a)又は(b)の構造の負極集電体が作製される。この構造は、図1(b)及び図2(b)に示されている。なお、メッキによって被覆層が形成される場合には、耳基材の表裏の表面だけでなく、側端面の表面も被覆層で覆われる。なお、第一被覆層及び第二被覆層の厚みは、メッキする量を調節することによって、任意に定められ得る。
負極集電体の格子部には、活物質ペーストが充填されている。活物質ペーストとは、酸化鉛を主成分とする鉛粉に、リグニン、バリウム化合物、カーボン及び所定量の希硫酸を添加し、さらに混合して得られる混合物である。
活物質ペーストが充填された負極集電体が摂氏35度で3日間熟成されることによって、80D26用の未化成負極板が作製される。この未化成負極板と、公知の方法で作製された正極板と、ポリエチレンからなる成型セパレータを用いて、一般的な鉛蓄電池の製法によって、80D26サイズの鉛蓄電池(公称電圧:12V、定格容量:55Ah)を製造する。
なお、実施例の負極集電体は、レシプロ方式のエキスパンド機によって作製されたが、ロータリ方式のエキスパンド機によっても作製され得る。また、鋳造によっても作製され得る。鋳造によって作製される場合、格子部2のマス目の形状は任意である。また、鋳造によって製造された負極集電体の場合、下額部だけでなく、左額部及び右額部も形成されることが多い。また、鋳造によって負極集電体が作製される場合、耳基材3は、鋳型によって上額部1と一体的に成形される。また、被覆層5、6が負極集電体の鋳造後に形成されることが多い。
また、実施例では、第一被覆層5を耳基材にだけ形成したものを示している。しかし、第一被覆層5は、耳基材3の表面だけでなく、上額部1の上部又は全部にまで形成され得る。
また、実施例では、耳部とストラップとの溶接の方法として、キャスト・オン・ストラップ法が用いられたが、前に述べたアーク溶接法などの他の溶接法であってもよい。
また、後述する実施の形態1で示した負極集電体では、耳基材の表面に第一被覆層5が直接形成され、且つ、この第一被覆層5の表面に第二被覆層6が直接形成されたものである。しかし、耳基材の表面と第一被覆層5との間、又は第一被覆層5の表面と第二被覆層6との間に、下地層又は中間層が形成されても良い。このような層を形成した場合、層間の密着性が向上する。
この場合において、耳基材の表面と第一被覆層5との間に形成する下地層には、例えばSn、Sb、Pb−Sn系合金(Snの含有量が合金組成の全体に対して10質量%以上)、Pb−Sb系合金(Sbの含有量が合金組成の全体に対して10質量%以上)又はPb−Sn−Sb系合金(SnとSbの総含有量が合金組成の全体に対して10質量%以上)からなる金属層を用いることができる。また、この下地層の融点を第二被覆層6と同等又はより高いものとすることもできる。
<実施の形態1>
(1)集電体の作製
実施例となる負極集電体として、図1(a)の構造の負極集電体、すなわち、耳部は、耳基材、第一被覆層、及び第二被覆層を備え、Pb99.67質量%−Ca0.03質量%−Sn0.3質量%からなる耳基材は、第一被覆層によって被覆され、第一被覆層は第二被覆層によって被覆され、第二被覆層の融点が第一被覆層の融点より高い負極集電体を作製した(A04、A07、A10、A12、A13、A15、A16、A18、A19、A22、A25、A28、A31)。被覆層を備える方法として、前に述べた圧延法を用いた。なお、第一被覆層及び第二被覆層には種々の材料を用いたので、表1にまとめて示す。また、第一被覆層及び第二被覆層の厚みは、すべての負極集電体について、50ミクロンに調整した。
比較例として、第一被覆層及び第二被覆層のいずれも備えない負極集電体(A01)と第一被覆層のみを備えた負極集電体(A02、A05、A08、A11、A14、A17、A20、A23、A26、A29、A32、A35)を作成した。
また、別の比較例として、耳基材が第一被覆層及び第二被覆層を備えるが、第一被覆層の融点が第二被覆層の融点と同じ又はより高い負極集電体を作成した(A03、A06、A09、A21、A24、A27、A30、A33、A34、A36、A37)。
これらの実施例および比較例となる負極集電体の概略が、表1でまとめて示されている。それぞれの負極集電体にはA01等の記号が付されている。以後、負極集電体は、この記号によって特定する。
Figure 0005182464
(2)ストラップ溶接による確認試験
図1(a)の負極集電体の耳部にストラップ4が溶接された後においても、耳部とストラップ4との溶接界面付近が第一被覆層5で覆われた状態となるか否かを確認するために、次のような比較試験を行った。
図1(a)の構造となっている実施例A04、A07、A10、A12、A13、A15、A16、A18、及びA19の負極集電体の耳部に、ストラップを溶接により接続した。また、比較例となるA02〜A03、A05〜A06、A08〜A09、A11、A14、及びA17の負極集電体の耳基材に、ストラップを溶接により接続した。これらの溶接は、一般的なキャスト・オン・ストラップ法により行った。
その後、耳部又は耳基材とストラップ4との溶接界面付近の観察を行った。観察は、溶接界面付近の集電体の断面を採取し、その断面の元素分析を行うことにより行った。元素分析には、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer、電子線マイクロアナライザ)を用いた。この分析によって、被覆層の有無を明らかにすることができる。
その結果、実施例においては、負極集電体とストラップ4の溶接界面付近において、表面に第一被覆層が隙間なく残っていた。しかし、比較例においては、溶接界面付近以外では第一被覆層が残っていたが、溶接界面の付近では、第一被覆層の存在が認められなかった。以上から、A04、A07、A10、A12、A13、A15、A16、A18、及びA19の負極集電体は、それにストラップを溶接した場合、溶接界面付近であっても、第一被覆層を残存させることが可能であり、本願発明の効果が得られていることが確認できた。
(3)負極集電体を鉛蓄電池に適用した場合のサイクル寿命性能の確認
負極集電体とストラップとの溶接界面付近に被覆層が存在することによる効果を定量的に把握するために、表1に示す負極集電体を用いた鉛蓄電池(前述の80D26サイズの鉛蓄電池)を製造し、これらの鉛蓄電池のサイクル寿命性能を調査した。サイクル寿命性能の調査は、JIS軽負荷寿命試験(JIS D 5301)による。
各鉛蓄電池のサイクル寿命性能を表1の最右列に示している。ここで、「サイクル比」とは、比較例となるA01の負極集電体を用いて製造された鉛蓄電池のサイクル寿命性能を100とした場合における各負極集電体を用いて製造された鉛蓄電池のサイクル寿命性能を意味する。また、以下の説明において、「A01の負極
集電体を用いて製造された鉛蓄電池のサイクル寿命性能」は、「A01のサイクル寿命性能」と簡略化して記載する。
第一被覆層がPb−Sn合金であるA01〜A19のサイクル寿命性能について以下に述べる。
たとえば、第一被覆層がPb−5%Sn(Pb95質量%とSn5質量%との合金の組成を意味する。以後、同様に記載する。)であるA02、A03、及びA04のサイクル寿命性能同士を比較すると、第二被覆層を備えないA02のサイクル寿命性能、及び第二被覆層を備えるが第二被覆層の融点が第一被覆層のそれより低いA03のサイクル寿命性能に比べて、A04のサイクル寿命性能は優れていた。この傾向は、第一被覆層がPb−8%Sn等他の組成である場合にも認められた。
また、A04、A07、A10、A13、A16、及びA19のサイクル寿命性能を比較すると、第一被覆層のSnの比率が、第一被覆層の合金全体に対して10%で以上である場合に、顕著にサイクル寿命性能が良好となることがわかった。なお、A04、A07、A10、A13、A16、及びA19における第一被覆層と第二被覆層との融点の差はA04が14℃、A07が20℃、A10が25℃、A13が29℃(A12では4℃)、A16が70℃(A15では45℃)、A19が114℃(A18では89℃)であり、融点の差が大きくなるほどサイクル寿命性能が良好となっているが、前述したモスの付着を抑制という点を考えると、一般的なキャスト・オン・ストラップ法によって溶接し、耳基材に第一被覆層が隙間なく残存していて、第二被覆層との接合界面が互いに混合するようになっているのが好ましく、A19における融点の差を上限とするのがよいと思われる。
次に、第一被覆層がPb−Sb合金であるA20〜A37のサイクル寿命性能について、以下に述べる。
第一被覆層がPb−Sb合金である場合にも、第一被覆層がPb−Sn合金である場合と同じ傾向が認められた。すなわち、第一被覆層がPb−5%SbであるA20、A21、及びA22のサイクル寿命性能同士を比較すると、第二被覆層を備えないA20のサイクル寿命性能、及び第二被覆層を備えるが第二被覆層の融点が第一被覆層のそれより低いA21のサイクル寿命性能に比べて、A22のサイクル寿命性能は優れていた。
この傾向は、第一被覆層がPb−8%Sb等他の組成である場合にも認められたが、第一被覆層がPb−30%Sb、又はPb−50%Sbである場合は、第二被覆層にPbを用いても、第二被覆層の融点が第一被覆層の融点より低くなる。そのため、A34及びA37のサイクル寿命性能は、それぞれ、A32及びA35のサイクル寿命性能とほとんど変わらなかった。
次に、サイクル寿命性能が比較的良好であったA15における第一被覆層と第二被覆層を用い、耳基材の組成を種々変化させた場合について、同様にサイクル寿命性能を調べ、結果を表2に示す。
Figure 0005182464
表2から、耳基材にCaを含有させずSnの含有量を変化させた場合は、Snの含有量が0.5質量%の場合に最もサイクル寿命性能が良好であることがわかる。この傾向はCaの含有量が0.06質量%の場合も、0.1質量%の場合も同様であったが、最もサイクル寿命性能が良好であったのはCaの含有量が0.06質量%の場合であることがわかる。
また、表2において、最もサイクル寿命性能が良好であったPb99.44質量%−Ca0.06質量%−Sn0.5質量%からなる耳基材を用いたものについて、セパレータをポリエチレンからなる成型セパレータからガラス繊維からなる抄紙セパレータに代えて同様にサイクル寿命性能を調査したが、ほぼ同じ結果であった。また、電解液中に硫酸ナトリウムを10g/リットル添加した場合と添加しない場合とについても比較したが、ほぼ同じ結果であった。
次に、上記したPb99.44質量%−Ca0.06質量%−Sn0.5質量%からなる耳基材に、A15における第一被覆層の厚さ50ミクロン、第二被覆層の厚さ50ミクロンに対し、第一被覆層の厚さを5ミクロンにして第二被覆層の厚さを5ミクロン、10ミクロン、20ミクロン、30ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、100ミクロンとした場合、第一被覆層の厚さを10ミクロンにして第二被覆層の厚さを10ミクロン、20ミクロン、30ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、100ミクロンとした場合、第一被覆層の厚さを20ミクロンにして第二被覆層の厚さを20ミクロン、30ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、100ミクロンとした場合、第一被覆層の厚さを30ミクロンにして第二被覆層の厚さを30ミクロン、40ミクロン、50ミクロン、100ミクロンとした場合、第一被覆層の厚さを40ミクロンにして第二被覆層の厚さを40ミクロン、50ミクロン、100ミクロンとした場合、第一被覆層の厚さを50ミクロンにして第二被覆層の厚さを100ミクロンとした場合について、それぞれの不良率を調査し、結果を表3に示す。ここで、不良率というのは、COSによってストラップが形成された後の耳部の断面観察を行って、第一被覆層の厚さがCOS前の70%以下であるものを、第一被覆層の厚さと第二被覆層の厚さが同じ場合において、それが70%以下であるものを100とし、第一被覆層の厚さと第二被覆層の厚さが異なる場合において、それが70%以下になっているものの割合で示した。
Figure 0005182464
表3から、第一被覆層の厚さをどのように変化させても、第二被覆層の厚さが第一被覆層の厚さより大であれば、不良率の低下が図れることがわかる。
次に、不良率の低下が比較的良好であった第一被覆層の厚さが10ミクロン、第二被覆層の厚さが30ミクロンのものに着目し、第一被覆層の厚さと第二被覆層の厚さがそれぞれ10ミクロンの場合の不良率を100として、耳基材の組成を種々変化させた場合の不良率を調査し、結果を表4に示す。
Figure 0005182464
表4から、耳基材の組成を変化させても不良率に変化はほとんど認められないことがわかる。これは、耳基材の組成がPb99.44質量%−Ca0.06質量%−Sn0.5〜2質量%からなる場合において、第一被覆層の組成がPb−30質量%Sn、第二被覆層の組成がPb−10質量%Snであれば、耳基材の組成がどのような場合であっても、良好な圧延が行われることによると考えられる。
<実施の形態2>
(1)集電体の作製
実施例となる負極集電体として、図2(a)の構造の負極集電体、すなわち、耳部は、耳基材、第一被覆層、及び第二被覆層を備え、Pb99.67質量%−Ca0.03質量%−Sn0.3質量%からなるからなる耳基材は、その先端側部分が第二被覆層に被覆され、耳基材の根元側部分が第一被覆層に被覆され、第二被覆層の融点が第一被覆層の融点より高い負極集電体を作製した(B04、B07、B10、B12、B13、B15、B16、B18、B19、B22、B25、B28、B31)。被覆層を備える方法として、前に述べた圧延法を用いた。なお、第一被覆層及び第二被覆層には種々の材料を用いたので、表2にまとめて示す。また、第一被覆層及び第二被覆層の厚みは、すべての負極集電体について、50ミクロンに調整した。
比較例として、第一被覆層のみを備えた負極集電体(B02、B05、B08、B11、B14、B17、B20、B23、B26、B29、B32、B35)を作成し、さらに別の比較例として、耳基材が第一被覆層及び第二被覆層を備えるが、第一被覆層の融点が第二被覆層の融点と同じ又はより高い負極集電体を作成した(B03、B06、B09、B21、B24、B27、B30、B33、B34、B36、B37)。
これらの実施例および比較例となる負極集電体の概略が、表5でまとめて示されている。
Figure 0005182464
(2)負極集電体を鉛蓄電池に適用した場合のサイクル寿命性能の確認
負極集電体とストラップとの溶接界面付近に被覆層が存在することによる効果を定量的に把握するために、表2に示す負極集電体を用いた鉛蓄電池(前述の80D26サイズの鉛蓄電池)を製造し、これらの鉛蓄電池のサイクル寿命性能を調査した。サイクル寿命性能の調査は、JIS軽負荷寿命試験(JIS D 5301)による。
各鉛蓄電池のサイクル寿命性能を表5の最右列に示している。ここで、「サイクル比」とは、<実施の形態1>で述べられた意味と同様の意味である。
第一被覆層がPb−Sn合金であるB01〜B19のサイクル寿命性能について以下に述べる。
たとえば、第一被覆層がPb−5%SnであるB02、B03、及びB04のサイクル寿命性能を比較すると、第二被覆層を備えないB02のサイクル寿命性能、及び第二被覆層を備えるが第二被覆層の融点が第一被覆層のそれより低いB03のサイクル寿命性能にくらべて、B04のサイクル寿命性能は優れていた。この傾向は、第一被覆層がPb−8%Sn等他の組成である場合にも認められた。
また、B04、B07、B10、B13、B16、及びB19のサイクル寿命性能を比較すると、第一被覆層のSnの比率が、第一被覆層の合金全体に対して10%で以上である場合に、顕著にサイクル寿命性能が良好となることがわかった。
次に、第一被覆層がPb−Sb合金であるB20〜B37のサイクル寿命性能について、以下に述べる。
第一被覆層がPb−Sb合金である場合にも、第一被覆層がPb−Sn合金である場合と同じ傾向が認められた。すなわち、第一被覆層がPb−5%SbであるB20、B21、及びB22のサイクル寿命性能同士を比較すると、第二被覆層を備えないB20のサイクル寿命性能、及び第二被覆層を備えるが第二被覆層の融点が第一被覆層のそれより低いB21のサイクル寿命性能に比べて、B22のサイクル寿命性能は優れていた。
この傾向は、第一被覆層がPb−8%Sb等他の組成である場合にも認められたが、第一被覆層がPb−30%Sb、又はPb−50%Sbである場合は、第二被覆層にPbを用いても、第二被覆層の融点が第一被覆層の融点より低くなる。そのため、B34及びB37のサイクル寿命性能は、それぞれ、B32及びB35のサイクル寿命性能とほとんど変わらなかった。
<実施の形態3>
耳部を第一被覆層5が覆い、第二被覆層6が第一被覆層5を覆う場合において、第一被覆層5のすべてを第二被覆層6が覆うことは、必要とされない。たとえば、図1の(a)や(b)に示したように、第一被覆層5の一部のみ(図1の上側のみ)を第二被覆層6が覆うようにすることにより、本願発明の効果は得られる。この場合において、どこにストラップを溶接させたときに、本願発明の効果が顕著に得られるかについての調査を、以下の手順で行った。
(1)集電体の作製
第一被覆層5にはPb−12質量%Snを、第二被覆層6にはPbを用いた負極集電体を、前述の<実施の形態1>の場合と同じ手順で作製した。この負極集電体の構造は、図1(b)に示すように、第一被覆層の一部が第二被覆層に覆われた構造である。また、第一被覆層及び第二被覆層の厚みは、50ミクロンに調整した。
(2)ストラップ溶接による確認試験
図1の(a)や(b)に示したように、第二被覆層6の下端の位置から距離d(mm)の位置にストラップを溶接した。その後、負極集電体とストラップ4との溶接界面付近の観察を行った。溶接の方法及び観察の方法は、<実施の形態1>と同様である。
その結果、距離dが−1mmの場合には、負極集電体とストラップ4との溶接界面付近において、第一被覆層の存在が認められないことがわかった。また、距離dが0mmの場合には、負極集電体とストラップ4との溶接界面付近において、第一被覆層が部分的に認められたが、隙間なく残っている状態ではなかった。しかし、距離dが0.2mm以上の場合には、負極集電体とストラップ4との溶接界面付近において、第一被覆層を隙間なく残った状態にできることが確認できた。
(3)負極集電体を鉛蓄電池に適用した場合のサイクル寿命性能の確認
距離dの大きさがサイクル寿命性能に及ぼす影響を定量的に調べるために、距離dの大きさを変えてストラップ4を溶接した負極集電体(C01〜C12)を作製し、さらに、これを用いた鉛蓄電池(前述の80D26サイズの鉛蓄電池)を製造し、これらの鉛蓄電池のサイクル寿命性能を調査した。サイクル寿命性能の調査は、JIS軽負荷寿命試験(JIS D 5301)による。
その結果を表6に示す。表6に示した負極集電体(C01〜C12)を用いた鉛蓄電池のサイクル寿命性能を表6の最右列に示されている。ここで、「サイクル比」とは、<実施の形態1>で述べられた意味と同様の意味である。
Figure 0005182464
その結果、距離dが−1mm又は0mmの場合には、サイクル寿命性能がA01のそれとほとんど変わらなかった。これは、おそらく、耳部の上部にストラップ4が溶接されたときに、第一被覆層5が消失したためと考えられる。しかし、距離dが0.2mm以上の場合にはサイクル寿命性能が向上した。また、距離dが1mm以上の場合には、顕著にサイクル寿命性能が向上することがわかった。
一方、距離dは10mm以下であることが好ましいこともわかった。これは、おそらく、距離dが10mmを超えた場合、耳部の表面が、第一被覆層5だけでなく第二被覆層6にも広く覆われることになり、モスの付着を防止する効果が低下したためと考えられる。
以上のことから、負極集電体とストラップとを溶接する製造工程を含む鉛蓄電池の製造方法においては、図1又は図2の距離dを1mm以上10mm以下して製造することが好ましい。
上記した如く、本発明は、モスの付着抑制に寄与することができるから、その産業上の利用可能性が大である。
本願発明の一実施例を示すものであり、負極集電体の耳部の側面図で、耳部の断面構造が分かりやすいように、第一被覆層及び第二被覆層の厚さを大きくして示している。 本願発明の一実施例を示すものであり、負極集電体の耳部の側面図で、耳部の断面構造が分かりやすいように、第一被覆層及び第二被覆層の厚さを大きくして示している。 負極集電体の構造を示す正面図である。
符号の説明
1 上額部
2 格子部
3 耳基材
4 ストラップ
5 第一被覆層
6 第二被覆層
7 耳部とストラップとの境界

Claims (6)

  1. 格子部に接続された上額部から突出した耳部を有する鉛蓄電池用負極集電体において、
    前記耳部は、耳基材、第一被覆層、及び第二被覆層を備え、
    前記耳基材の前記上額部に近い基端側は、前記第一被覆層により被覆されて前記第一被覆層が表面に露出しており、
    前記耳基材の先端側は、少なくとも前記第二被覆層により被覆されて前記第二被覆層が表面に露出しており、
    前記第一被覆層は、Sn層を5%以上12%未満含むPb合金層を有し、
    前記第二被覆層は、前記第一被覆層より融点が高い、Pb層からなることを特徴とする鉛蓄電池用負極集電体。
  2. 格子部に接続された上額部から突出した耳部を有する鉛蓄電池用負極集電体において、
    前記耳部は、耳基材、第一被覆層、及び第二被覆層を備え、
    前記耳基材の前記上額部に近い基端側は、前記第一被覆層により被覆されて前記第一被覆層が表面に露出しており、
    前記耳基材の先端側は、少なくとも前記第二被覆層により被覆されて前記第二被覆層が表面に露出しており、
    前記第一被覆層は、Sn層を12%以上50%以下含むPb合金層を有し、
    前記第二被覆層は、前記第一被覆層より融点が高い、Pb層またはSnを10%以下含むPb合金層からなることを特徴とする鉛蓄電池用負極集電体。
  3. 格子部に接続された上額部から突出した耳部を有する鉛蓄電池用負極集電体において、
    前記耳部は、耳基材、第一被覆層、及び第二被覆層を備え、
    前記耳基材の前記上額部に近い基端側は、前記第一被覆層により被覆されて前記第一被覆層が表面に露出しており、
    前記耳基材の先端側は、少なくとも前記第二被覆層により被覆されて前記第二被覆層が表面に露出しており、
    前記第一被覆層は、Sb層を5%以上12%以下含むPb合金層を有し、
    前記第二被覆層は、前記第一被覆層より融点が高い、Pb層からなることを特徴とする鉛蓄電池用負極集電体。
  4. 前記耳基材の前記先端側は、前記第一被覆層により被覆され、且つ、当該第一被覆層は前記第二被覆層により被覆されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鉛蓄電池用負極集電体。
  5. 前記第二被覆層の厚さが前記第一被覆層の厚さより大であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鉛蓄電池用負極集電体。
  6. 負極集電体にストラップを溶接する製造工程を含む鉛蓄電池の製造方法において、請求項1〜のいずれかに記載された負極集電体を前記製造工程に用いることを特徴とする鉛蓄電池の製造方法。
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