JP5182258B2 - はんだ合金と電子機器用モジュール部品 - Google Patents

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Description

本発明は、はんだ付け部の引け巣防止を図るはんだ合金およびはんだペーストならびに
それを利用したモジュール部品に関する。特に、本発明は、フロー法およびリフロ−法等
によりはんだ付けを行う際に、引け巣を防止す引け巣防止用のはんだ合金および
はんだペースト、ならびにそのようなはんだ合金を用いてはんだ付けを行った電子機器用
のモジュール部品に関する。
現在、Sn-Ag-Cu系鉛フリーはんだの主流は、Sn-3Ag-0.5Cu、Sn-3.5Ag-0.75Cu となっている。また、鉛フリーはんだの候補として、Sn-Cu 系合金もあるが、溶融温度、および、信頼性の問題から、高品質なはんだ付けを必要とする実装には使用されていない。一方で、上記のSn-Ag-Cu系鉛フリーはんだでは、表面に微細な凹凸ができ、そのためほとんど光沢を示さず、更に、引け巣と呼ばれる凝固欠陥を発生する場合がある。
現在、引け巣に関しては、直接信頼性に結びつくとの報告が無いため、大半の企業では問題がないと判断をされている。しかし、外観上、クラックとの違いが容易に判断できないことや引け巣の大きさによっては信頼性に大きく影響する可能性があるため、引け巣が発生しない合金の開発が期待されている。
さらに、最近のようにはんだ付け間隔がますます微細化する状況下では、外観検査による引け巣とクラックの判定が難しくなり、場合によっては、電子顕微鏡などの非常に高価な装置で確認しなければ判断できない。しかしながら、電子顕微鏡で観察できる試料の大きさは限定され、さらに、観察するための時間は通常の外観検査装置の数百倍以上かかるため、全数検査に用いることは不可能である。
さらに、リフロー法によるはんだ付けの場合、はんだ付け間隔の微細化に伴い、はんだペーストの印刷厚さも50μm になると、結果として、接合部のはんだ厚さは25μm 程度になりはんだ自体が少なくなる。このような微細接合部に10μm 程度の引け巣が発生すると、局所的にはんだフィレットの厚さが10μm 程度となり、信頼性に大きく影響すると考えられる。
すでに述べたように、引け巣それ自体ははんだ付けの機能を直接阻害しないと考えられてきており、特にその防止対策は取られることはないが、はんだ付け部の引け巣を防止し、金属光沢を付与することが必要な場合には、特許文献1に開示のように、はんだ付け後にその部分を適宜冷媒で急冷する急冷システム等が提案されている。
しかし、すでに述べたように、最近に至り、はんだ付け部における引け巣の防止および金属光沢の付与が求められるようになってきており、上述のような実用的なレベルの急冷では、引け巣の抑制、金属光沢面ともに実現することができない場合がある。また、急冷システム導入による設備費の高騰をさけることができない。
また、表面状態が一定でなかったり、引け巣のような欠陥が存在すると本来、正常なはんだ付け状態が外観検査ではんだ付け不良と判断される場合があり、現状の外観検査システムを利用することが困難となる。
このような問題に対する対策としては、表面状態を全面無光沢にする方法と全面金属光沢を有するようにする方法があるが、全面金属光沢にすることで、現状の外観検査装置を使用でき、はんだ付けの鉛フリー化を円滑に進めることができる。
特開2002−118353号公報
ここに、本発明の課題は、フロー法、リフロー法、はんだボール、マニュアルによるはんだ付け法、特にはんだ付けによるパンプ形成法において、はんだ付け部の引け巣を抑制し、且つ表面金属光沢を呈するはんだ付け部を生成する方法、およびそのためのはんだ合金、さらにはフロー法により引け巣フリーのはんだ付けを行う場合のはんだ浴の管理方法を提供することである。
さらに本発明の課題は、そのようなはんだ合金を用いて得たはんだ付け部を備えたモジュール部品を提供することである。
現在、電子機器のはんだ付けに用いられている主流のSn-3Ag-0.5Cu、Sn-3.5Ag-0.75Cu 合金では、引け巣を抑制し、且つ、はんだ付け表面が金属光沢を呈するはんだ付け部を提供することが困難である。
ここに、本発明は、次の通りである。
(1)Ag:3.8質量%超4.2 質量%以下、Cu:0.8〜1.2 質量%、残部Snからなる、金属光沢を有する引け巣フリーのはんだ付け部形成用のはんだ合金。
(2) 得られるはんだ付け部の耐酸化性を向上させるために、さらに、それぞれ0.0 3質量%以下のP、Ge、およびGaの少なくとも1種を含有する上記(1)記載のはんだ合金。
(3)上記(1)または(2)に記載のはんだ合金の粉末とフラックス成分とを有する、金属光沢を有する引け巣フリーのはんだ付け部形成用のはんだペースト。
(4)上記(1)または2)に記載のはんだ合金によるはんだ付け部を備えたことを特徴とする電子機器用モジュール部品。
(5)上記(3)記載のはんだペーストによるはんだ付け部を備えたことを特徴とする電子機器用モジュール部品。
本発明によれば、表面金属光沢の増加に伴い引け巣の発生が抑制され、表面金属光沢を増加させることからはんだ付け部、特にバンプ形成部の引け巣抑制と金属光沢実現を同時に達成できる。
また、Sn-Cu 共晶系はんだに微量元素を添加した合金では、引け巣を抑制し、さらに、表面光沢も呈しているが、Sn-Ag-Cu共晶系はんだに比較して、接合信頼性が低く、信頼性を要求されない接合部にしか用いることができない。それゆえに、信頼性の高いSn-Ag-Cu共晶系はんだにおいて、引け巣抑制、表面金属光沢をともに達成できる本発明は、今後ますます微細接合が要求されるバンプ形成鉛フリーはんだ付けでは非常に重要な発明である。
本発明によれば次のような利点がある。
(1)はんだ付け時の引け巣を抑制し、さらに、表面金属光沢を得ることができる。
(2)表面金属光沢より、Cu濃度を推定でき、槽内のCu濃度を容易に管理できる。
(3)はんだ付け部の引け巣を抑制することで、外観検査でクラックと引け巣を区別する必要がなく、検査が容易となる。更に、引け巣の大きさを限定するユーザでは断面SEM 像による定期的な引け巣の大きさ確認を要求しており、本発明にかかる引け巣対策合金を使用することで、大幅に確認作業が削減できる。
(4)従来のSn-Pb はんだの光沢面を評価する既存の外観検査装置がそのまま使用でき、新たな設備投資を必要としない。
本発明を上述のように規定した理由について、その実施の形態とともに、以下に詳述する。なお、本明細書において合金組成を示す「%」はいずれも「質量%」である。
引け巣抑制効果を有するSn-Ag-Cu系合金の組成を規定する理由は次の通りである。
本発明においては、はんだ合金およびはんだ浴のAg含有量を3.8 %超4.2 質量%以下に限定するが、その範囲を外れると、引け巣防止効果が十分でなく、また金属光沢が得られない場合があるからである。好ましくは、下限は3.8 %、上限は4.1 %である。より好ましくは下限は4.0 %である。
Cu含有量は0.8 〜1.2 質量%に限定するが、この場合にも、その範囲を外れると、所期の効果が得られないことがあるからである。好ましくは、下限は0.9 %、上限は1.1 %である。
本発明にかかるはんだ合金およびはんだ浴には、所望により、耐熱疲労性をさらに改善するために、Ni:0.1質量%以下および/またはCo:0.1質量%以下を含有させてもよい。
また、耐酸化性を改善するために、本発明にかかるはんだ合金およびはんだ浴には、さらに、P、Ge、およびGaの少なくとも1種をそれぞれ0.03質量%以下含有させてもよい。
本発明にかかるはんだ合金およびはんだ浴では、現在広く採用されているSn-3Ag-0.5Cu、Sn-3.5Ag-0.75Cu はんだ合金と比較して、若干液相線が上昇するが、フロー法、リフロー法、マニュアル、ボールによるバンプ形成法については、Sn-3Ag-0.5Cu、Sn-3.5Ag-0.75Cu と同等の作業条件ではんだ付けが可能である。
本発明において「引け巣あり」、「金属光沢あり」とは、0.3gに計量したはんだを直径5mmのアルミパンに載せ、Cu板の上に設置後、260 ℃で2分間放置し、一旦はんだを溶解させ、その後20〜24℃の10mm厚のステンレス鋼板上で急冷するはんだ凝固実験を実施し、凝固後のはんだ表面を100 倍の実験顕微鏡で観察し、表面の凹凸があると判断できる部分を無光沢部とした。表面の凹凸のない部分では、光が鏡面反射され、白か黒になるため、凹凸部と凹凸のない部分は簡単に判断可能である。本発明では、無光沢部の割合が20%以下のものを「金属光沢あり」と判定する。
引け巣に関しては、はんだ付け部の100 倍の表面写真より、長さ100 μm 以上の引け巣を計測し、400 μm 以上の引け巣の数が1個以上、200 μm 以上の引け巣が3個以上、もしくは、100 μm 以上の引け巣の総延長が1.5mm 以上の場合を「引け巣あり」と判定する。
かくして、本発明によれば、上述のような合金組成を備えたSn-Ag-Cu- (-Ni/Co 、−P、Ge、Ga) はんだ合金(はんだ浴)を使用することで、従来にない程度にまではんだ付け部において引け巣を防止することができ、また金属光沢を得ることができる。
特に、フロー法ではんだ付けを行う場合には、はんだ浴の合金組成を上述の範囲に管理することでこれまで見られなかった程度の「引け巣フリー」および「金属光沢」が実現されるのである。
次に、フロー法におけるはんだ浴におけるCu濃度の管理方法を上述のように規定した理由は次の通りである。
フロー法、特に噴流式フロー法によるはんだ付けでは、はんだ付けすべき基板のCu電極よりCuが溶出し、はんだ浴中のCu濃度が増加することが知られている。一方で、極端にCu濃度が低いはんだを大量に供給しつづけると、Cu濃度が低下することがあるため、適切な供給材のCu濃度を選択しなければならない。
一つの態様にあっては、追加供給するはんだ合金のCu濃度を0.8 質量%未満、好ましくは0.7 質量%以下というように、目的とするはんだ浴中のCu濃度より低い濃度のCuを含有するはんだ合金を追加供給するのである。いわば、これは、はんだ浴のCu濃度を希釈するという考えに基づくものである。
別の態様では、追加供給するはんだ合金のCu濃度は上述の場合よりもさらに低い0.2 質量%以下というように、目的とするはんだ浴中のCu濃度よりかなり低いものを使用してもよい。その場合には、単にめっき浴にそのような低Cu濃度のはんだ合金を追加してもよいが、この態様にあっては、めっき浴の一部を予め取り出しておき、そこに低濃度のはんだ合金を供給して、Cu濃度を希釈し、そのように希釈されたはんだ合金浴をもとに戻すのである。
もちろん、いずれの場合にあっても、かかる追加はんだは、固体状態でも溶融状態でもいずれの形態でも供給可能である。はんだ浴の急激な温度低下をさけるためには、予め溶融した状態で供給することが好ましい。
また、基板実装ではAgが外部より混入する恐れがほとんどないため、Cuと同じ意味ではAgは特に制御する必要は無い。しかし、基板、部品よりAgが混入、希釈される可能性もあり、はんだ浴におけるAg濃度の変動は避けられない。そのため、はんだ浴の1部を取り出し、これに5質量%以上のAg含有量のはんだを供給し、これをはんだ浴に戻すことで減少したAg濃度の変動を防止するようにしてもよい。さらに3%以下のAg含有はんだで増加したAg濃度の変動を防止できる。
本発明にかかるはんだ合金は、いわゆるはんだペーストとしても用いることができ、後述する実施例において用いたはんだペーストを例に挙げて説明すると、平均粒径30μm 程度にまで粉末化して、下記組成のフラックス成分にはんだ合金粉末90質量%、フラックス成分10質量%の割合で配合・混練してはんだペーストとする。このときのフラックス成分は、通常の鉛フリーはんだ合金のはんだペーストに用いるものであればいずれであってもよく、本発明においても特に制限はないが、後述の実施例において用いたはんだペーストのフラックス成分は次の通りであった。
フラックス成分:
ロジン 60質量%
チキソ剤 4質量%
活性剤 1質量%
溶剤 35質量%
本発明にかかるこのようなはんだ合金およびはんだぺーストは、一般に電子機器のはんだ付けに用いることができるが、特に各種部品をはんだ付けして構成するいわゆるモジュール部品のはんだ付けには、はんだ付け部の引け巣防止および金属光沢保持という点から、信頼性の高いモジュール部品を製造でき、特に優れた効果を発揮できる。
そのようなモジュール部品としては、特に制限されず、いわゆる電子機器に用いられるモジュール部品一般を包含する。特に信頼性が高いことから、また強度的にも優れた特性を示すことから、特に組み込む部品点数の多いPDP(プラズマディスプレイ) 用の回路基板、例えば放電維持回路基板あるいは信号中継用回路基板などのモジュール部品には最適である。
次に、実施例によって本発明の作用効果をさらに具体的に説明する。
本例は、約300kg の噴流式はんだ槽を使用し250 ℃でフロー法で回路基板のはんだ付けをした場合のはんだ槽内のCu含有量推移を表1に示す。また、1日当たりの基板処理数は5000〜8000枚である。
Figure 0005182258
表1より、条件(3) のように供給材のCu濃度が1%以上では、供給量が多い場合、直ぐにCu濃度が1.2 %近傍になり、常時0.8 〜1.2 %に保持することは困難と考えられる。
また、条件(1) の様にCu濃度が低く、供給量が多い場合は槽内のCu濃度が低下し、引け巣抑制効果を維持できないと考えられる。つまり、条件(2) 、(4) 、(5) 、(6) 、(7) に示すように基板からのCuの溶解量とはんだ供給量を把握し、適切なCu濃度のはんだを供給することで常に槽内のCu濃度を0.8 〜1.2 質量%に維持することができる。供給はんだのCu濃度をゼロにしてもよいが、条件(7) においては Cu 濃度の上昇は避けられない。その場合にははんだの供給量を増加させることが望ましい。
本例は、はんだ槽のCu濃度調整法についての具体例を示す。
Sn-4Ag-1.15Cu のはんだが入った300kg のはんだ槽内のCu濃度を0.95%に調整するために、52.6kgの槽内はんだを抜き出し、同量のSn-4Ag-0.01Cu を投入し、250 ℃で30分噴流をした。計算ではCu濃度は0.95%と推定され、実際にICP 発光分析を実施すると0.96%であり、ほぼ一致した。
さらに、Sn-4Ag-0.5Cuのはんだが入った300kg のはんだ浴のCu濃度を0.80%に調整するために、60kgの槽内はんだを抜き出し、同量の液相線が280 ℃弱のSn-4Ag-2Cuを投入し、280 ℃で30分噴流をした。計算ではCu濃度は0.80%と推定され、実際にICP 発光分析を実施すると0.81%であり、ほぼ一致した。
さらに、Sn-4Ag-0.5Cuのはんだが入った300kg のはんだ浴のCu濃度を0.95%に調整するために、14kgの槽内はんだを抜き出し、同量の液相線が400 ℃を超えるのSn-4Ag-10Cu を800 度以上に加熱し、直接はんだ槽に投入し、250 〜280 ℃で30分噴流をした。計算ではCu濃度は0.95%と推定され、実際にICP 発光分析を実施すると0.94%であり、ほぼ一致した。
本例は、はんだ浴のAg濃度調整法を具体的に示す例である。
Sn-3.5Ag-0.75Cu のはんだが入った300kg のはんだ浴のAg濃度を4.0 %に調整するために、43kgの槽内はんだを抜き出し、同量の液相線が270 ℃程度のSn-7Ag-0.75Cu を投入し、270 ℃で30分噴流をした。計算ではAg濃度は4.0 %と推定され、実際にICP 発光分析を実施すると4.0 %であり、一致した。
さらに、Sn-3Ag-0.5Cuのはんだが入った300kg のはんだ浴のAg濃度を4.0 %に調整するために、15kgの槽内はんだを抜き出し、同量の液相線が400 ℃を超えるSn-20Ag-0.5Cu を投入し、800 度以上に加熱し、直接はんだ槽に投入し、250 〜280 ℃で30分噴流をした。計算ではAg濃度は4.0 %と推定され、実際にICP 発光分析を実施すると3.9 %であり、ほぼ一致した。
各種組成のSn-Ag-Cuはんだ合金についてCu濃度とはんだ付け部の引け巣および金属光沢の状況について調べた。
表2はSn-4Ag-Cu はんだ合金におけるCu濃度と引け巣との関連を示すデータをまとめたものである。
Figure 0005182258
図1は、無光沢部の面積割合に及ぼすCu濃度の影響を示すグラフであり、従来例であるSn−Ag−Cuはんだ合金では、Cu濃度変化にかかわらず無光沢部の面積割合は常に大きく、変化しない。つまり、はんだ付け部における金属光沢は見られない。
一方、本発明にしたがって、Ag:4%を含有するSn-Ag-Cu系はんだ合金にあっては、Cu濃度が大きくなるにしたがって、無光沢部の面積割合が大幅に低減しており、Cu:1%近傍ではほぼゼロ、つまり全体が金属光沢を呈するはんだ付け部が得られることが分かる。
本例では、ガラスエポキシ基板(315mm×190mm ×1.6mm)に、抵抗、コンデンサー、コネクタ、IC等実装される電子部品をはんだ付けした。使用したはんだ合金は、従来のSn-3.0Ag-0.5Cuの鉛フリーはんだ合金と、本発明にかかるSn-4.0Ag-0.9Cu合金とであった。
本例ではリフローはんだ付けおよびフローはんだ付けの2種のはんだ付けを行った。
リフローはんだ付けの場合には、基板上の電子部品が搭載される所定位置に、メタルマスクを用いて、はんだペーストを自動印刷機により印刷した。次いで、実装部品を自動実装装置を使って所定の位置に実装( マウント) した。このときの実装部品は、基板表面上に実装されてはんだ付けされる、いわゆるSMT 部品( 表面実装部品) であり、総数240 点をはんだ付けした。
このようにして用意したモジュール部品をリフロー炉に装入してリフローはんだ付けを行った。
このときのリフロー炉の温度プロファイルは図2に示す通りであった。
実施例8でリフローはんだ付けした基板上に、抵抗、コンデンサ、コネクタ、IC等の電子部品、総数110 点を上記基板に設けられた所定のスルーホールに上記電子部品のリードピンを挿入した後に、フローはんだ付けに代えて、フローはんだ付けを行った。使用したはんだ合金は、従来のSn-3.0Ag-0.5Cuの鉛フリーはんだ合金と、本発明にかかるSn-4.0Ag-0.9Cu合金とであった。溶融はんだ温度255 ℃ではんだ付けを行った。
本例では大気雰囲気ではんだ付けを行ったが、窒素などの不活性ガス雰囲気下ではんだ付けを行ってもよい。
実施例8および9においてはんだ付けを行ったモジュール部品についてはんだ付け部の評価試験を次のようにして行った。
このようにして得られたモジュール部品 (はんだ付け基板) のはんだ付け部の評価を行った。結果はリフロ−法、フロー法も同じ傾向を示したことから、フロ−法によるはんだ付け部の結果だけを示す。
上述した製造工程を経て製造されたモジュールについて、フローはんだ付けされた部品のはんだ付け部の外観検査結果ならびにはんだ接続信頼性試験結果の一例を示す。
まず. 引け巣の検査は、実体顕微鏡を用い、20倍の倍率ではんだ付け部を観察して行った。その結果、本発明の場合には全てのはんだ付け部において、20倍の倍率で確認できる引け巣は皆無であった。従来のはんだ合金を使った場合には、引け巣が顕著に発生していた。
次に、はんだ付け部のはんだ光沢については、実体顕微鏡を用い、20倍の倍率ではんだ付け部を観察し、光沢の程度を次のようにランク分けし擬似定量化した。
5:はんだフィレット全体に光沢がある
4:はんだフィレットの80%以上に光沢部分がある
3:はんだフィレットの50〜80%に光沢部分がある
2:はんだフィレットの20〜50%に光沢部分がある
1:はんだフィレットのほぼ全域に光沢部分が見られない。
そのときの評価結果、つまり代表的な部品におけるはんだ光沢の度合いを観察した結果を表3に示す。いずれの部品のはんだ付け部においても、はんだフィレット全体に光沢が見られた。
比較として従来のはんだ組成品(Sn-3.0Ag-0.5Cu)を使用した場合の結果を表4に示す。従来のはんだ組成品(Sn-3.0Ag-0.5Cu)ははんだフィレットのほぼ全域に光沢は見られなかった。
Figure 0005182258
Figure 0005182258
次に、はんだ接続信頼性試験 (耐久試験) を行ったが、これは上述した製造工程を経て製造されたモジュールについて、表5に記載した試験を実施後、モジュールとしての電気的特性評価および部品はんだ付け部の外観観察を行った。なお、この耐久試験は、外観試験で従来のはんだ合金は満足ゆく結果が得られなかったので、行わなかった。
信頼性試験の結果を表5に示す。いずれの試験においても不良発生は確認されなかった。電気的特性において規格値を満足すること、部品はんだ付け部にクラックの発生なきこと (実体顕微鏡にて20倍の倍率で外観観察) を判断基準とし、いずれをも満足する場合を合格とした。
Figure 0005182258
本発明の実施例の結果を示すグラフである。 本発明の実施例で用いたリフロー炉の加熱プロファイルを示す線図である。

Claims (5)

  1. Ag:3.8質量%超4.2 質量%以下、Cu:0.8〜1.2 質量%、残部Snからなる、金属光沢を有する引け巣フリーのはんだ付け部形成用のはんだ合金。
  2. 得られるはんだ付け部の耐酸化性を向上させるために、さらに、それぞれ0.0 3質量%以下のP、Ge、およびGaの少なくとも1種を含有する請求項1記載のはんだ合金。
  3. 請求項1または2に記載のはんだ合金の粉末とフラックス成分とを有する、金属光沢を有する引け巣フリーのはんだ付け部形成用のはんだペースト。
  4. 請求項1または2に記載のはんだ合金によるはんだ付け部を備えたことを特徴とする電子機器用モジュール部品。
  5. 請求項3記載のはんだペーストによるはんだ付け部を備えたことを特徴とする電子機器用モジュール部品。
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