JP5181213B2 - 線材の変状検知装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ロックボルト、アースアンカー、鉄筋などのように母材(岩盤、地盤、コンクリートなど)に埋設されている線材の伸縮変状を検知し、その伸縮の大きさにかかる情報を出力する線材の変状検知装置に関するものである。
ロックボルトやアースアンカー、鉄筋などは地盤工学、岩盤工学、コンクリート工学において頻繁に用いられる補強材である。ロックボルトはトンネル壁面などに打ち込み、またアンカーボルトは切土斜面などに打ち込んで、崩落や地滑りなどの災害を防止するための補強がなされる。これらは施工後も長期にわたってその強度を保持し、構造物の安定を保持するために重要な役割を果たすものである。
しかし、ロックボルトやアースアンカーなどの補強材を用いた場合でも、経時的な劣化や予期しない地盤変動のために、崩落や地滑りなどの災害を生じることがある。このような災害が生じる前に、通常予兆的な規模の小さい崩落又は地滑りが先行することが多いことから、ロックボルトやアースアンカーなどの補強材を用いたトンネル壁面や切土斜面などに、歪みゲージやロードセルを設けて、異常をモニタリングしている(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、歪みゲージやロードセルを用いたモニタリングは、コストが高価であり、また、測定値から危険度を判定するのに時間及びコストがかかることから、迅速な処置が困難であるという問題が指摘されている。
そこで、高価な歪みゲージやロードセルに代えて、安価かつ容易に地殻異常を感知できる装置が知られている(特許文献2)。かかる装置を用いることにより、測定値から危険度を判定するためのデータ処理を要することなく、着色頭部の露出や報知用LEDの点灯など、視覚的かつ直感的に地殻異常を感知できるため、対応策を講じるための時間及びコストが少なく、迅速な対応が望まれる補強したトンネル壁面、切土斜面に対して適切なモニタリングが行えるものである。
このように、社会インフラが経年化し、ロックボルトやアースアンカーなどの補強材の機能が保持されているかどうかを検証する必要に迫られており、今後施工するロックボルトやアースアンカーなどについては、現状把握、変状検知などの機能を低コストで実現できることが要望されている。
先行技術文献
特開2002−54922号公報 特開2004−163118号公報
上記特許文献2で開示されている装置では、追従する打抜突起部と、ロックボルトなどの露出端に追従する被打抜変位部とからなり、トンネル壁面等、打抜突起部、被打抜変位部の順に積層し、ロックボルト又はアンカーボルトの変位又は変形によって、打抜突起部が被打抜変位部を貫通することで、地殻異常を感知するように構成されている。そのため、トンネル壁面などの露出部に近い部分の挙動1つを観察しているにすぎないことが課題として挙げられる。すなわち、ロックボルトなどは長いものでは全長が10m程度に及ぶため、ロックボルトなどの全長にわたって複数の変位を検知し、それぞれの変位情報を露出部周辺に表示することができることが望まれる。
また、岩盤内には幾つもの不連続面があり、そのどれか特定のものがずれることがある。これは、岩盤の安定性を脅かす現象であるが、それが表面からどの深さで起こっているかを知ることは非常に重要である。これを達成するためには、ロックボルトなどの全長にわたって複数の変位を観察し、それらのデータを比較し、局所的変形がどこに集中しているかを見極めることから達成されることになる。
また、上記特許文献2で開示されている装置では、測定値から危険度を判定するためのデータ処理回路を要することなく、着色頭部の露出や報知用LEDの点灯など、視覚的かつ直感的に地殻異常を感知できるのであるが、露出部の不具合やLED点灯回路などに不具合が生じたときのバックアップ検知機能が設けられていない。
数年にわたるモニタリングをする場合には、電気系統に不具合が生じることはある程度覚悟しなければならない。その時のための現実的なバックアップ検知機能を持っていることは実務上非常に重要である。
さらに、上記特許文献2で開示されている装置では、片側が露出していることが前提になっているため、両端が埋設されている場合などに対する対応が困難である。鉄筋などのように両端が埋設されている場合においても、検知機能が発揮できるように、柔軟な設計が可能な装置が望まれている。
上述した課題を解決すべく、本発明は、母材に埋設されている線材の全長ないしは任意の2点間の伸縮変状を検知し、その伸縮の大きさにかかる情報を原位置で情報出力できる装置を提供する。
特に、伸縮の大きさにかかる情報を原位置で光の色で表示する装置を提供する。
また、電気系統に不具合が生じることを想定し、全く電気系統を使用しないバックアップ検知機能を備えた装置を提供する。
本発明者は、鋭意研究を行い、改良を重ねた結果、本発明の線材の変状検知装置を完成した。
本発明の第1の観点からは、母材に埋設されている線材の伸縮変状の検知装置であって、以下の1a)〜1e)の特徴を有する線材変状検知装置が提供される。
1a)線材の長手方向にケーシング部材が設けられ、
1b)ケーシング部材内部には、線材の両端に設けられた固定部材の間に第1の剛性ケーブルと弾性体が直列に連結されており、
1c)弾性体につながる固定部材にスイッチ部が固定形成され、
1d)スイッチ部が第1の剛性ケーブル上の接触点との相対変位を検出し、
1e)上記変位に応じて情報を出力する情報出力回路が備えられている。
上記1a)〜1e)の特徴を有することにより、線材が長手方向に伸縮変状を生じた場合に、弾性体が伸縮変状し、接触点がスイッチ部に対して相対変位することで、情報出力回路から情報出力される。
また、本発明の第2の観点からは、母材に埋設されている線材の伸縮変状の検知装置であって、以下の2a)〜2e)の特徴を有する線材変状検知装置が提供される。
2a)線材の長手方向にケーシング部材が設けられ、
2b)ケーシング部材内部には、線材の長手方向の任意の2点間に設けられた固定部材の間に第1の剛性ケーブルと弾性体が直列に連結されており、
2c)弾性体につながる固定部材にスイッチ部が固定形成され、
2d)スイッチ部が第1の剛性ケーブル上の接触点との相対変位を検出し、
2e)上記変位に応じて情報を出力する情報出力回路が備えられている。
上記2a)〜2e)の特徴を有することにより、線材が長手方向に伸縮変状を生じた場合に、弾性体が伸縮変状し、接触点がスイッチ部に対して相対変位することで、情報出力回路から情報出力される。
また、本発明の第3の観点からは、母材に埋設されている線材の伸縮変状の検知装置であって、以下の3a)〜3g)の特徴を有する線材変状検知装置が提供される。
3a)線材の長手方向にケーシング部材が設けられ、
3b)ケーシング部材内部には、線材の長手方向の任意の2点間に設けられた固定部材の間に、もしくは、線材の長手方向の任意の2点間に設けられた固定部材の間に、第1の剛性ケーブルと弾性体が直列に連結されており、
3c)弾性体につながる固定部材にスイッチ部が固定形成され、
3d)スイッチ部が第1の剛性ケーブル上の接触点との相対変位を検出し、
3e)第1の剛性ケーブルにおいて、弾性体と連結される端部に、径がテーパ状に拡がる第2の剛性ケーブルが連結され、
3f)第1の剛性ケーブルの露出部で、第1の剛性ケーブルもしくは第2の剛性ケーブルの側面の接触点との相対変位を検出する第2のスイッチ部を備え、
3g)上記変位に応じて情報を出力する情報出力回路が備えられている。
上記3a)〜3g)の特徴を有することにより、線材が長手方向に伸縮変状を生じた場合に、第1のスイッチ部及び/又は第2のスイッチ部を介して、情報出力回路から情報出力される。
鉱山などにおいては採掘現場が深部(地下数百m、あるいはそれよりも深い場所)になるにつれ、岩盤内に蓄えられているひずみエネルギーが大きいため、ロックボルト等の線材を挿入した後に、周辺領域でいわゆる山はね現象(rock burst)が発生することがある。これは、地山内の特定箇所に蓄えられたひずみエネルギーが一挙に解放される不安定現象であり、その際に岩盤が破壊される他、既に存在している不連続面などに変形が生じて、ロックボルト等の線材には非常に大きな伸びが生じることが知られている。
この時、場合によっては100〜300mm程度の伸びが一瞬でロックボルトに発生することがある。かかる場合においても、破断しないロックボルト等の線材が開発されるなどして、地下深部における鉱山採掘の現場の安全性が保たれるような技術開発が現在も整備されつつある。このような、極端な現象が生じる場合、ロックボルトはある程度破壊している岩盤をかろうじて安定させる貴重な補強部材として位置づけられることになり、その状態における伸びの状況を正確に把握することは非常に重要になる。上記の構成要件3e)及び3f)により形成される第2のスイッチ部を更に設けることで、1mm以下の変位から300mm程度の変位までの大きな変形に対応することができる。
また、本発明の第4の観点からは、母材に埋設されている線材の伸縮変状の検知装置であって、以下の4a)〜4f)の特徴を有する線材変状検知装置が提供される。
4a)線材の長手方向に少なくとも対向する2本のケーシング部材が設けられ、
4b)ケーシング部材内部には、それぞれ同じように、線材の両端に設けられた固定部材の間に、及び/又は、線材の長手方向の任意の2点間に設けられた固定部材の間に、少なくとも1組の第1の剛性ケーブルと弾性体が直列に連結されており、
4c)弾性体につながる固定部材にスイッチ部が固定形成され、
4d)スイッチ部が第1の剛性ケーブル上の接触点との相対変位を検出し、
4e)各々のケーシング部材からの相対変位の差から曲げ変位を検出し、
4f)上記変位に応じて情報を出力する情報出力回路が備えられている。
上記4a)〜4f)の特徴を有することにより、線材が長手方向に伸縮変状を生じた場合に、弾性体が伸縮変状し、接触点がスイッチ部に対して相対変位すること、また、各々のケーシング部材からの相対変位の差から曲げ変位を検出することで、情報出力回路から情報出力される。
土質材料の場合には応力集中などによって発生する破壊面が不連続面となり、その面にそってずれ変形が生じることから、不連続面と交差する線状のロックボルトやグランドアンカー等の線材は伸び縮みだけではなく、曲げ変形も発生することになる。このため、線材の長手方向の伸縮変状のみならず、曲げ変位も検出することとしたものである。
ここで、母材に埋設される線材には中空のものとソリッドのものが存在する。中空のものについては、その空間内に剛性ケーブルを設置する。また、ソリッドなものについてはその側面と母材の間にケーブルに固定する形で小径のパイプを取り付けて、そのパイプの中に変位計測のための剛性ケーブルを設置する。
また、スイッチ部は、接触点の移動部位に導電体が形成され、該導電体が情報出力回路の電源供給ポイントとなるものが好ましい態様である。
また、スイッチ部は、第1の剛性ケーブルを滑車輪軸に巻きつけ、該輪軸の側周部に情報出力回路の電源供給ポイントとなる導電体を設けたものが好ましい態様である。
また、スイッチ部は、接触点の移動部位に可変抵抗部が形成され、該可変抵抗部の抵抗値を接触点の相対変位に応じて変化させるものが好ましい態様である。
また、第1の剛性ケーブルの露出部もしくは第1の剛性ケーブルに設けられた長尺棒の露出部の位置を計測することにより、母材に埋設されている線材の伸縮変状を検知することが好ましい態様である。
全く電気系統を使用しないバックアップ検知機能を、第1の剛性ケーブルを用いて実現したものである。
また、ケーシング部材の内部に、挿入方向側の端部のみ固定された第2の剛性ケーブルを更に備え、第2の剛性ケーブルの自由端部の位置を計測することにより、母材に埋設されている線材の伸縮変状を検知することが好ましい態様である。
全く電気系統を使用しないバックアップ検知機能を、第1の剛性ケーブルとは独立に実現したものである。なお、線材の中空間に余裕がある場合には用いられる態様である。
また、第1の剛性ケーブルの露出部に設けられた色付き反射シールを観測することにより、母材に埋設されている線材の伸縮変状を検知することが好ましい態様である。
かかる態様によれば、電気系統に故障が生じた場合においても、バックアップ検知機能として色付き反射シールが露出部に設けられているので、視覚的に色で変形量を確認することができる。
ここで、第1の剛性ケーブル又は第2の剛性ケーブルは、温度計測手段を備えていることが好ましい。温度計測手段を備えることにより、温度変化に伴う膨張・収縮を考慮して、線材の伸縮変状を検知することが可能となる。
また、上記の線材は、具体的には、ロックボルト,アースアンカー,若しくはコンクリート内に埋設される鉄筋材である。
また、情報出力回路は、発光ダイオードの発光回路であることが好ましい態様である。線材の伸縮量を、原位置でいつでも光の色によって確認できるようにするものである。
また、情報出力回路は、発光ダイオードの発光回路であり、伸縮変位もしくは曲げ変位の時間変化率を算出し、所定の閾値より大きな変化率の場合に、前記発光ダイオードの発光パターンを一時的に変更することを特徴とすることが好ましい態様である。
かかる態様によれば、通常の状態においては一定時間間隔でデータを記憶し、変位(あるいは曲げ)を記憶すると共に、その時間変化率を計算し、それらが管理基準値に照らし合わせて、警告を発するレベルである状態になった場合は、発光ダイオードの発光表示パターンを一時的に変更し、点滅、あるいは警告音を発するなどして周辺に危険を周知することができる。
また、情報出力回路は、伸縮変位もしくは曲げ変位の時間変化率を算出し、所定の閾値より大きな変化率の場合に、予め設定されたインターバルの時間よりも短い時間インターバルで伸縮変位もしくは曲げ変位の変位データを記憶することが好ましい態様である。
かかる態様によれば、地震などにより急激な加振があった場合には、その瞬間から一定時間、例えば60秒程度、短い時間インターバルで全データ(変位、加速度など)を自動でメモリにデータ保存するようにし、このデータ保存作業が終了した後は、通常のモニタリング状態に戻ることができる。
本発明の線材変状検知装置では、母材に埋設されている線材の全長ないしは任意の2点間の伸縮変状を検知し、その伸縮の大きさにかかる情報を原位置で情報出力できるといった効果を有する。
また、伸縮の大きさにかかる情報を原位置で光の色で表示できる。
さらに、電気系統に不具合が生じた場合に、電気系統を使用しないバックアップ検知機能が作動していることから、伸縮の大きさを目視で確認が行える。
実施例1の線材変状検知装置の構造模式図 片側が露出している線材(ロックボルト)に装着する場合の説明図 ロックボルトのケーシングの位置の説明図 実施例1の線材変状検知装置をロックボルトに装着した様子の側面断面図 実施例1の線材変状検知装置をロックボルトに装着した様子を示す模式図 スイッチの構造説明図 スイッチの動作説明図 スイッチの詳細説明図 実施例1の線材変状検知装置の電気配線図 実施例1の線材変状検知装置の全体構成図 中空のロックボルトを用いた装着の様子を示す図 実施例2の線材変状検知装置をロックボルトに装着した様子の側面断面図 実施例2の線材変状検知装置をロックボルトに装着した様子を示す模式図 実施例3の線材変状検知装置の説明図 実施例4の線材変状検知装置の説明図 鉄筋コンクリートの適用例 岩盤不連続面における適用例 実施例5のテーパを有する部分を持つ剛性ケーブルの説明図 実施例5の弾性体から構成される第1のスイッチ部および第2のスイッチ部と、テーパを有する部分を持つ剛性ケーブルの説明図 実施例5の第2のスイッチ部の動作説明図であり、(1)は小変形が生じた状態であり、(2)は大変形が生じた状態である。 実施例5の装置模式図 実施例6の色付き反射シールを第1の剛性ケーブルに取り付けたイメージ図 実施例6の色付き反射シールと併用する窓の例 実施例6の変形量を色付き反射シールによって視認する例 実施例6の色付き反射シールを第1の剛性ケーブルに装着したスイッチの構造(バックアップ機能部分のみ)を示している。 実施例7の覆工コンクリートの表面に軸力モニタリングユニットを設置する構成の説明図 実施例8のデータ処理プログラムのフローチャート 実施例9の曲げを含む変形を受けるロックボルト等の線材の模式図 実施例9の壁面近くの不連続面に沿ってずれが生じた場合の説明図 実施例9の奥側の不連続面に沿ってずれが生じた場合の説明図 実施例9の複数のペアの剛性ケーブル配置 実施例9の変位計測用の剛性ケーブル配置(1) 実施例9の変位計測用の剛性ケーブル配置(2)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明していく。
実施例1の線材変状検知装置は、相対変位を光の色に変換するものである。
図1に、実施例1の線材変状検知装置の構造模式図を示している。実施例1の線材変状検知装置は、図1に示すように、線材10の両端に設けられた固定部材の間に、変位計測線として用いる第1の剛性ケーブル21と弾性体41が直列に連結されており、弾性体41につながる固定部材となるベースプレート100に、スイッチ部16が固定形成され、スイッチ部16が第1の剛性ケーブル21上の接触点(スイッチ部16に接する矢印で示す部位)との相対変位の変化を検出し、その変化に応じて発光ダイオードでフルカラーの色を表示できるLED発光部13により構成されている。
実施例1の線材変状検知装置は、上記構成を有することにより、線材10が長手方向に伸縮変状を生じた場合に、弾性体41が伸縮変状し、接触点がスイッチ部16に対して相対変位することで、LED発光部13から情報出力される。
すなわち、第1の剛性ケーブル21と相対変位を光の色に変換するスイッチ部16および相対変位によって光の色を発するLED発光部13が、線材10の両端A,Bの2点間に設けられており、スイッチ部16によって、線材10の両端A,Bの2点間の伸縮量を検知し、LED発光部13によって原位置で光の色で表示するものである。
実施例1の線材変状検知装置の具体例構造を説明するために、片側が露出して埋設されている線材としてロックボルトの装着例について図2を参照して説明する。図2に示すように、ロックボルト1は通常岩盤内に掘削された直径数cmの穴に挿入され、この余空間にセメントグラウト2が注入される。セメントグラウト2が固化した後に、岩盤に変形が生じると、ロックボルト1がその変形を抑制する効果を発揮する。露出している端部にはフェイスプレート4とナット5が装着され、表面での変位抑制効果を確実なものにしている。
図3にロックボルトの設置状況を軸方向から見た図を示す。図3(a)は岩盤内に掘削されている孔、ロックボルト1、および本発明の線材変状検知装置を挿入するためのケーシング6を示す。図3(2)に示すように、この状態で表面にフェイスプレート4とナット5が装着されロックボルト1が完成する。
図4は、ロックボルトの設置状態の側面断面図を示している。ケーシング6は最奥部でロックボルト端部に固定部材7を用いて固定する。
図5に線材変状検知装置をロックボルト1に装着ものの構成模式図を側面断面図として示したものである。ケーシング6で確保した空間を利用して、ロックボルト1の最奥部に変位計測用の第1の剛性ケーブル21を固定する。この第1の剛性ケーブル21には温度計測機能を付けておくことが望ましい。
なお、第1の剛性ケーブル21そのものに装着しなくても、別に温度計測装置をケーシング6内などに配備することも可能である。この第1の剛性ケーブル21の表面側端部は相対変位を光の色に変換するスイッチ部16に連結させる。また、変位計測結果を表示させるLED発光部13を設けている。
次に、図6を参照して、相対変位を計測し、その結果を光の色に変換するスイッチの一例を説明する。図6のA側のベースプレート51に回転体42を取り付け、これに図6のB側から変位計測のための剛性ケーブルを添わせ、その終点を緊張力導入のバネなどの弾性体につないでいる。回転体42には4本の接触点(44R,44G,44B,44R')を設けている。これらの4本の接触点は、それぞれ、フルカラーLED50(Red, Green,
Blue)に電力を供給するための接触点である。4つめのRed は、1つめのRedと同じ場所を指す。これらの接触点に接触できる位置に、電源(図示しない)からの電力供給ポイントを設置する。この電力供給ポイントは、ベースプレート51に固定しているばねなどの弾性体52に取り付けられており、一定の圧力を持って4つの接触点に接する構造となっている。
次に、上記スイッチの一例の動作について説明する。
図7(1)は、上記スイッチの一例の初期状態を示している。この状態では、電力供給ポイントは、接触点44Rに接しており、LEDは赤く点灯している。
図7(2)は、AB間が少し伸びた状態を示している。回転体が回転し、電力供給ポイントが接触点44Rと接触点44Gに接し、赤色と緑色のLED回路に電力を供給している。この状態ではLEDは黄色に点灯する。電力供給ポイントは弾性体に取り付けられているため、このように2つの接触点に接触している状態は瞬間的ではなく、一定期間持続する。
次に、図7(3)は、さらに変形が増大した状態を示している。回転が進むため、電力供給ポイントは接触点44Gのみに接触する状態となる。以後、回転が進むごとに電力は1点、もしくは2点に供給されることになり、単独色もしくは混合色が点灯されることとなる。
図8に、回転体42と接触点(44R,44G,44B,44R')の拡大図を示す。電力供給の状態の変化により、図8のように4つの接触点を設けた場合には、6色の色が概ねP/2の変位ごとに表示されることになる。ここで、Pは接触ポイントの設置ピッチである。なお、このピッチは回転体の直径D、接触ポイントの直径Dなどを勘案して決めるものであるが、これが小さくなればなるほど変位計測の精度は向上することになる。
図9に、実施例1の線材変状検知装置の機能を発揮するための電気配線図を示す。ここに示した例は、相対変位を光の色に変換するスイッチの一例であり、この他にも変位計測精度、測定ストローク、変位と色の設定などについては状況に応じて様々な方式が考えられる。
図10に、実施例1の線材変状検知装置の全体像を示す。また図11に、中空のボルトを用いた場合を示す。この場合は、ロックボルト1自身の中空スペースに剛性ケーブル40を通せばよいだけで、それ以外はケーシング6を用いる場合と基本的に差はない。
次に、実施例2の線材変状検知装置について説明する。実施例2の線材変状検知装置は、電源供給、発光ダイオードを用いた電気回路、スイッチ接触部分の腐食などの現象が生じる場合を想定して、バックアップ機能を設けたものである。最も簡素で、信頼できる変位計測機能としては、図12と図13に示されるように、剛性ケーブル60にものさし61(実際にはノギスを装着することが望ましい)を装着した構造である。
ロックボルト1の伸縮はナット5、あるいはフェイスプレート4にマーキングしている固定ポイント(図中の三角形のポイント63)と、その前を横切るものさし61の目盛りで読み取ることができる。
ロックボルトなどにおいて、その両端間の変位を計測すれば、それがどのような力を受けて伸縮しているかに関する全体像が判明する。ただ、ロックボルトなどのようにセメントグラウトに固着されている線材の場合、その部分によって伸縮状態が異なるのが現状である。また、岩盤内における特定の個所の亀裂付近で大きな変位が生じた場合、その箇所だけでロックボルトが局所的に伸縮する場合がある。このような状況を正確に把握することも、非常に重要である。これを可能にする一例として、ケーブルケーシングを複数個設置する例を示す。図14(1)は、フェイスプレート4に3つのケーシング(6a,6b,6c)を設け、3つの相対変位を計測する例である。
図14(2)にその側面図を示す。3個のケーシングを利用して、同様の線材変状検知装置を3セット用意し、AB間、AC間、AD間の相対変位を計測し、それらをすべて発光ダイオードによって光の色として表示させている。
次に、実施例4の線材変状検知装置について説明する。
図15は、実施例4の線材変状検知装置の模式図を示している。実施例4の線材変状検知装置においては、接触点81の移動部位に可変抵抗部となるスライド抵抗80が設けられ、接触点81がスライド抵抗80の抵抗値を変化させるつまみをスライド移動させることにより、スライド抵抗80の抵抗値を接触点81の相対変位に応じて変化させている。
また、その抵抗値をデジタル化して、LEDの点滅パターンを決めるマイコン82が搭載されており、マイコン82からLED発光部13に信号が送られる。
また、鉄筋コンクリートにおいては、通常、鉄筋を外側から見ることはできない。しかしながら、図16(1)に示すように、例えば梁構造において鉄筋の端部を露出させることは構造上可能である。図16(2)は、本発明の線材変状検知装置を中空鉄筋に対して使用する例を示す。また、両端が埋設されている場合においても、図16(3)に示すように、本発明の線材変状検知装置を内蔵する細いケーシングを設置することによって、同様の計測システムを構築することが可能である。
また、図17に示すように、岩盤内には幾つもの不連続面があり、そのどれか特定のものがずれることがある。これは、岩盤の安定性を脅かす現象であるが、それが表面からどの深さで起こっているかを知ることは非常に重要である。実施例4の線材変状検知装置の構成にすれば、ロックボルトの全長に渡って複数の変位を観察でき、そのデータを比較して、局所的変形がどこに集中しているかを見極めることが可能である。
実施例5では、上述の本発明の第3の観点の線材の伸縮変状の検知装置について説明する。特に、大変形に対応するため上述の実施例に追加として設けられる第2のスイッチ部の構成、すなわち、第1の剛性ケーブルにおいて、弾性体と連結される端部に、径がテーパ状に拡がる第2の剛性ケーブルが連結されている具体的な実施形態と、第1の剛性ケーブルの露出部で、第1の剛性ケーブルもしくは第2の剛性ケーブルの側面の接触点との相対変位を検出する第2のスイッチ部の具体的な実施形態について説明する。
先ず、第1の剛性ケーブルにおいて、弾性体と連結される端部に、径がテーパ状に拡がる第2の剛性ケーブルが連結されている具体的な実施形態について、図18を参照して説明する。図18は、大変形に対応するために必要なテーパ(位置により断面の大きさが異なる形状)を有する部分を持つ剛性ケーブルを示している。これは、長さL1の第1の剛性ケーブル21(直径D1)の一端がテーパを有する長さL2の第2の剛性ケーブル22に直結されている構成とされるものである。テーパを有する第2の剛性ケーブル22は、第1の剛性ケーブル21との結合部23では直径D1であるが、他端では直径D2を有している。なお、第2の剛性ケーブル22は、第1の剛性ケーブル21の構成材料とは異なる材料(例えば、プラスチックや柔軟なワイヤーなど)で形成されるものでもよく、第1の剛性ケーブルと同様に、長手方向の伸縮の剛性が高いものであってもよい。
次に、第1の剛性ケーブルの露出部で、第1の剛性ケーブルもしくは第2の剛性ケーブルの側面の接触点との相対変位を検出する第2のスイッチ部の具体的な実施形態について、図19を参照して説明する。図19は、バネなど弾性体から構成される第1のスイッチ部および第2のスイッチ部と、テーパを有する部分を持つ剛性ケーブルを示している。図19では、通常のロックボルト等の線材の伸びを計る方向がx軸方向としている。
また、図19において、弾性体41は、1F(41a)でロックボルト等の線材の基盤に固定されており、1M(41b)はx軸方向における稼働点となり、ロックボルト等の線材の伸び(変形が例えば30mm程度以下の範囲)を計測するものとする。
また、第2のスイッチ部として新たに設置される弾性体71は、2F(71a)でロックボルト等の線材の基盤に固定されており、2M(71b)はy軸方向における稼働点となり、稼働点2M(71b)は隙間を介して固定部72と対面している。この弾性体71から構成される第2のスイッチ部により、大変形(30mm程度以上から300mm程度)を計測する機能を果たすことになる。
図19は、弾性体41で構成される第1のスイッチ部と弾性体71で構成される第2のスイッチ部に、第1の剛性ケーブル21とテーパを有する第2の剛性ケーブル22が結合されたケーブルを装着した様子を示している。ここで、図19の右端より右側は岩盤の領域であるが、図では省略している。変位を計測するために、第1の剛性ケーブル21と第2の剛性ケーブル22の結合部23を1Mに連結する。この時、テーパを有する部分は、引っ張りに対する剛性は高いものの、曲げに対する剛性は低いものを想定しているために、装置内で空きスペースに力を受けない状態で静置されている。第1の剛性ケーブル21(直径D1)は2Mと固定部72の間の隙間を通るように配置される。
次に、大変形に対応する第2のスイッチ部の動作について、図20を参照して説明する。図20(1)は小変形が生じた状態であり、図20(2)は大変形が生じた状態である。先ず、図20(1)では、ロックボルト等の線材に伸び変形u1(小変形)が生じた状態を示している。図20(1)に示されるように、第1のスイッチ部を構成する弾性体41に伸びu1が生じて、第1の剛性ケーブル21の図19に示される通常位置(図中のOriginal position of 1M)から地山内にu1だけ引き込まれた状態になった際、第2のスイッチ部を構成する弾性体71には変形は生じていない。また、第2の剛性ケーブル22のテーパ部にも、力はかかっていない状態である。この状態は変形量u1の大きさが限界値(例えば、30mm程度)に達するまで継続する。
一方、図20の(2)では、第1のスイッチ部の計測レンジを超えた大変形が生じた状態を示している。第1のスイッチ部の弾性体41の端部(41b)は自動的に第1の剛性ケーブル21の結合部23から離れ、もはや機能していない状態になる。第1の剛性ケーブル21は大きく地山内に引き込まれた状態となり、テーパの付いている部分が第2のスイッチ部を構成する弾性体71の2M(71b)と固定部72の間に押し入り、その距離を広げた状態になる。
この時、最初の設置位置から全体としてu2という大変形が生じているとした場合、第2のスイッチ部を構成する弾性体71のはテーパの度合いから決まる量として、u3という縮みの変形を生じることになる。すなわち、x軸方向の大変形u2を、y軸方向のu3に縮小して捉えていることに相当する。
次に、図21に2つのスイッチを有する実施例5の装置模式図を示す。第1のスイッチ部を構成する弾性体41のと第2のスイッチ部を構成する弾性体71のそれぞれに、例えば最初の30mm程度までと、例えば30mm以上300mm程度までの異なるレンジの変形を計測させるのが基本である。それぞれのバネの変位計測稼働点は、ポテンショメータ(75,80)に接続され、それらに捕えられた変位はマイクロプロセッサ(CPU)91を通して処理される。そして、小変形の計測結果はLED1の表示部92に、また大変形が生じた場合の計測結果はLED2の表示部93に、それぞれ色の変化を用いて表示されるようになっている。
(色付き反射シールによる変状確認)
実施例6では、上述の実施例において、変位計測用ケーブルの露出部に色付き反射シールを設け、その色を観測することにより、母材に埋設されている線材の伸縮変状を検知する具体的態様について説明する。色付き反射シールは、第1の剛性ケーブルの露出部に設けることにより、電気系統に故障が生じた場合においても、視覚的に色で変形量を遠方からでも確認することができ、自らが光る機能を失った場合のバックアップ機能として用いられる。色付き反射シールは、光を当てると変位を認識できるものである。
この反射シールの大きさは特に限定しないが、反射シールのそれぞれの色幅は数mm程度から数cmである。これらは、昼間においては目視確認でき、夜間においてはライトを当てることによって、視認できる特性をもったものを利用する。図22は、色付き反射シール110を変位計測用ケーブル120に取り付けたイメージ図を示している。
この色付き反射シール110について、図23に示すような窓112を有する部品111(線材変状検知装置の基盤に固定する)と併用することにより、変位計測用ケーブル120の動きに応じて、窓112の向こう側に来る色付き反射シール110の色を視認することにより、電気系統に故障が生じた場合においても、視覚的に色で変形量を確認することができる。
図24は、変形量を色付き反射シールによって視認する例を示している。変位計測用ケーブル120が伸縮し、色付き反射シールの中央の緑色の部分(G)が左,右へと移動することにより、窓112から視認される色が水色(S)、黄色(Y)と変化することで、変形量を確認することができる。
図25は、色付き反射シール111を変位計測用ケーブル120に装着したスイッチの構造(バックアップ機能部分のみ)を示している。
通常、トンネル工事などで使われるロックボルトは最終的に防水シートで覆われた後に、覆工コンクリートが打設されるため、その表面を見ることはできなくなる。したがって、軸力を可視化する装置を埋設したままにするか、あるいはそれを取り外すことが考えられる。
そのため、岩盤内にある第1の剛性ケーブルはそのままにし、それ以外の部分、すなわち、図26(1)における軸力モニタリングユニット90を着脱可能にすれば、覆工コンクリート打設後においても岩盤内と覆工の厚さを加えた部分(通常300mm程度)の相対変位をモニタリングできる状態になる。
そこで、覆工コンクリートが打設された後は、図26(2)に示されるような軸力モニタリングユニット90(図示せず)を取り外した状態ではなく、図26(3)に示されるように覆工コンクリート9内部にシース管121を設けて第1の剛性ケーブル21の露出部の端部に新たに変位計測用のケーブル120を第1の剛性ケーブル21と端部122で結合させて敷設し、覆工コンクリート9の表面に軸力モニタリングユニット90を再設置することにするものである。
かかる状態とすることにより、覆工コンクリートが打設後も岩盤内部の情報を含めたトンネル構造全体の状態が最終表面において光の色等で監視できる状態になる。
図27にデータ処理プログラムのフローチャートを示す。通常状態においては一定時間間隔でデータを記憶し、変位もしくは曲げ変状をメモリにデータ保存すると共に、その時間変化率を計算する(ステップS1〜S3)。それらを管理基準値と比較し(ステップS4,S6)、警告を発するレベルであると判断した場合は、LEDの表示パターンを一時的に変更し、点滅、あるいは警告音を発するなどして周辺に危険を告知する(ステップS5,S7)。
また、地震などにより急激な加振があった場合(ステップS8)には、その瞬間から一定時間、例えば60秒程度、短い時間インターバルで全データ(変位、加速度など)をメモリにデータ保存するようにする(ステップS9)。このデータ保存処理が終了した後は、通常のモニタリングモードに変えるものとする(ステップS10)。
上記のデータ保存は、地震時あるいは鉱山などにおいて起こるロックバースト(岩盤の局所的破壊によって起こる小規模な地震)が対象となるが、ロックボルトの構造が地震時にどのように挙動したかを記録・分析することは、安全性確認に非常に有用である。
(線材の曲げ変状を検知する構造)
地盤内の不連続面は、岩盤などの場合、当初から存在する岩盤の亀裂であることが多い。
一方、土質材料の場合には応力集中などによって発生する破壊面が不連続面となり、その面にそってずれ変形が生じる。その際、不連続面と交差する線状のロックボルトやグランドアンカー等の線材は伸び縮みだけではなく、曲げ変形も発生することになる。
図28に曲げを含む変形を受けるロックボルト等の線材の模式図を示す。変形を受けていない長さLのロックボルト1(Original form)に伸縮および曲げ変形が同時に作用し、Deformedの状態になっている。この際、ロックボルト1の中心線に沿って全体としてΔLの伸縮(伸びであるか、縮みであるかは、個別のケースによる)をしている。変位計測ケーブルを1本使うだけであれば、それを配置した個所における伸縮量のみが検知できることになる。
一方、図29に示すように、ロックボルト1の上下に2本の変位計測用の剛性ケーブル(t1−t2,b1−b2)を配置した場合、上下の剛性ケーブルは曲げによる影響を受けて異なる伸縮量を計測することになる。この時に検知される変位の差は、曲げ変形の大きさを示す指標となり、地盤内に不連続面が生じ、それに沿ってずれ変形が生じていることを確認する根拠となる。これは、地盤の変形の状態や、安定性を評価する上できわめて重要な情報となる。
また、複数の変位計測用の剛性ケーブルを装着する場合には、地盤内のどのあたりにずれ変形が生じているかを知ることができる。図30に示すように、壁面(左側とする)近くに不連続面が生じてずれ変形が発生している場合、Ut1−t2(t1―t2間の変位)とUb1−b2(b1―b2間の変位)の差によりそれが確認できる。この時、Ut1−t2とUb1−b2に殆ど差異が生じないことは図からも明らかにわかる。
一方、図31のように奥側に不連続面が発生してずれが認められる場合には、Ut1−t2とUb1−b2には殆ど違いが無く、Ut1−t2とUb1−b2に有意な差が検知できることでそれを確認することができる。このように、ロックボルト1の両側にペアとなる変位ケーブルを配置することによって、曲げ変形の大きさ、およびその発生位置を特定できることがわかる。
また、不連続面に沿う地盤のずれ変形は必ずしも縦方向に生じるとは限らない。そのような場合、図32(1)(2)に示されるように、複数のペアケーブル(130,131)を装着することで、それぞれの方向における曲げの程度を確認することができるため、それらの結果から総合的にずれ変形の方向を特定することが可能となる。かかる場合、通常のロックボルト1においてケーブルがボルトの外側に設置される場合(図32(1)参照)と、中空のロックボルト1Aにおいてケーブルが内壁に設置される場合(図32(2)参照)が存在する。なお、図中において、2はセメントグラウトを示している。
以上のような背景から、地盤の奥行き方向に短いケーブル(132S〜125S)、長いケーブル(132L〜125L)の2種類のケーブルを設置し、縦と横の曲げ変形をとらえる目的を達成したい場合には、図33(1)と図33(2)に示されるように、合計8本の変位計測用の剛性ケーブルを設置すればよいことがわかる。図33において、(1)は通常のロックボルト1においてケーブルがボルトの外側に設置される場合であり、(2)は中空のロックボルト1Aにおいてケーブルが内壁に設置される場合である。なお、図中において、2はセメントグラウトを示している。
本発明の線材変状検知装置は、母材に埋設されている線材の伸縮量をモニタリングするシステムに有用である。
符号の説明
1 ロックボルト
2 セメントグラウト
3 母材
4 フェイスプレート
5 ナット
6 ケーシング
10 線材
13 情報出力回路(LED発光部)
16 スイッチ部
21 第1の剛性ケーブル
41,52 弾性体
80 スライド抵抗
81 接触点
82 マイコン
100 ベースプレート

Claims (16)

  1. 母材に埋設されている線材の伸縮変状の検知装置であって、
    前記線材の長手方向にケーシング部材が設けられ、
    前記ケーシング部材内部には、前記線材の両端に設けられた固定部材の間に第1の剛性ケーブルと弾性体が直列に連結されており、
    前記弾性体につながる固定部材にスイッチ部が固定形成され、
    前記スイッチ部が第1の剛性ケーブル上の接触点との相対変位を検出し、その変位に応じて情報を出力する情報出力回路が備えられ、
    前記線材が長手方向に伸縮変状を生じた場合に、前記情報出力回路から情報出力されることを特徴とする線材変状検知装置。
  2. 母材に埋設されている線材の伸縮変状の検知装置であって、
    前記線材の長手方向にケーシング部材が設けられ、
    前記ケーシング部材内部には、前記線材の長手方向の任意の2点間に設けられた固定部材の間に第1の剛性ケーブルと弾性体が直列に連結されており、
    前記弾性体につながる固定部材にスイッチ部が固定形成され、
    前記スイッチ部が第1の剛性ケーブル上の接触点との相対変位を検出し、その変位に応じて情報を出力する情報出力回路が備えられ、
    前記線材が長手方向に伸縮変状を生じた場合に、前記情報出力回路から情報出力されることを特徴とする線材変状検知装置。
  3. 母材に埋設されている線材の伸縮変状の検知装置であって、
    前記線材の長手方向にケーシング部材が設けられ、
    前記ケーシング部材内部には、前記線材の両端に設けられた固定部材の間に、もしくは、前記線材の長手方向の任意の2点間に設けられた固定部材の間に、第1の剛性ケーブルと弾性体が直列に連結されており、
    前記弾性体につながる固定部材に第1のスイッチ部が固定形成され、
    前記第1のスイッチ部が前記第1の剛性ケーブル上の接触点との相対変位を検出し、
    更に、前記第1の剛性ケーブルにおいて、弾性体と連結される端部に、径がテーパ状に拡がる第2の剛性ケーブルが連結され、
    前記第1の剛性ケーブルの露出部で、前記第1の剛性ケーブルもしくは前記第2の剛性ケーブルの側面の接触点との相対変位を検出する第2のスイッチ部を備え、前記第1のスイッチ部及び/又は前記第2のスイッチ部の状態に応じて情報を出力する情報出力回路が備えられ、
    前記線材が長手方向に伸縮変状を生じた場合に、前記第1のスイッチ部及び/又は前記第2のスイッチ部を介して、前記情報出力回路から情報出力されることを特徴とする線材変状検知装置。
  4. 母材に埋設されている線材の伸縮変状の検知装置であって、
    前記線材の長手方向に少なくとも対向する2本のケーシング部材が設けられ、
    前記ケーシング部材内部には、それぞれ同じように、前記線材の両端に設けられた固定部材の間に、及び/又は、前記線材の長手方向の任意の2点間に設けられた固定部材の間に、少なくとも1組の第1の剛性ケーブルと弾性体が直列に連結されており、
    前記弾性体につながる固定部材にスイッチ部が固定形成され、
    前記スイッチ部が第1の剛性ケーブル上の接触点との相対変位を検出し、
    各々のケーシング部材からの相対変位の差から曲げ変位を検出し、
    その変位に応じて情報を出力する情報出力回路が備えられ、
    前記線材が長手方向に伸縮変状もしくは曲げ変状を生じた場合に、前記情報出力回路から情報出力されることを特徴とする線材変状検知装置。
  5. 前記ケーシング部材は、前記線材の中空に設けられる、若しくは前記線材の中空をケーシング部材として用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の線材変状検知装置。
  6. 前記スイッチ部は、前記接触点の移動部位に導電体が形成され、該導電体が前記情報出力回路の電源供給ポイントとなるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の線材変状検知装置。
  7. 前記スイッチ部は、第1の剛性ケーブルを滑車輪軸に巻きつけ、該輪軸の側周部に前記情報出力回路の電源供給ポイントとなる前記導電体を設けたものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の線材変状検知装置。
  8. 前記スイッチ部は、前記接触点の移動部位に可変抵抗部が形成され、該可変抵抗部の抵抗値を前記接触点の相対変位に応じて変化させるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の線材変状検知装置。
  9. 前記第1の剛性ケーブルの露出部もしくは前記第1の剛性ケーブルに設けられた長尺棒の露出部の位置を計測することにより、母材に埋設されている線材の伸縮変状を検知することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の線材変状検知装置。
  10. 前記第1の剛性ケーブルの露出部に設けられた色付き反射シールを観測することにより、母材に埋設されている線材の伸縮変状を検知することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の線材変状検知装置。
  11. 前記ケーシング部材の内部に、挿入方向側の端部のみ固定された第3の剛性ケーブルを更に備え、前記第3の剛性ケーブルの自由端部の位置を計測することにより、母材に埋設されている線材の伸縮変状を検知することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の線材変状検知装置。
  12. 前記第1の剛性ケーブルもしくは第3の剛性ケーブルは、温度計測手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の線材変状検知装置。
  13. 前記線材は、ロックボルト,アースアンカー,若しくはコンクリート内に埋設される鉄筋材であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の線材変状検知装置。
  14. 前記情報出力回路は、発光ダイオードの発光回路であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の線材変状検知装置。
  15. 前記情報出力回路は、発光ダイオードの発光回路であり、伸縮変位もしくは曲げ変位の時間変化率を算出し、所定の閾値より大きな変化率の場合に、前記発光ダイオードの発光パターンを一時的に変更することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の線材変状検知装置。
  16. 前記情報出力回路は、伸縮変位もしくは曲げ変位の時間変化率を算出し、所定の閾値より大きな変化率の場合に、予め設定されたインターバルの時間よりも短い時間インターバルで伸縮変位もしくは曲げ変位の変位データを記憶することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の線材変状検知装置。
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