JP5178598B2 - 熱式流量計 - Google Patents

熱式流量計 Download PDF

Info

Publication number
JP5178598B2
JP5178598B2 JP2009071127A JP2009071127A JP5178598B2 JP 5178598 B2 JP5178598 B2 JP 5178598B2 JP 2009071127 A JP2009071127 A JP 2009071127A JP 2009071127 A JP2009071127 A JP 2009071127A JP 5178598 B2 JP5178598 B2 JP 5178598B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heating resistor
fluid
resistor
temperature
cavity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009071127A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010223747A (ja
Inventor
洋 中野
昌大 松本
恵二 半沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Astemo Ltd
Original Assignee
Hitachi Automotive Systems Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Automotive Systems Ltd filed Critical Hitachi Automotive Systems Ltd
Priority to JP2009071127A priority Critical patent/JP5178598B2/ja
Priority to EP10153913.8A priority patent/EP2233896B1/en
Priority to US12/708,387 priority patent/US8186213B2/en
Priority to CN2010101174360A priority patent/CN101852630B/zh
Publication of JP2010223747A publication Critical patent/JP2010223747A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5178598B2 publication Critical patent/JP5178598B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01FMEASURING VOLUME, VOLUME FLOW, MASS FLOW OR LIQUID LEVEL; METERING BY VOLUME
    • G01F5/00Measuring a proportion of the volume flow
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01FMEASURING VOLUME, VOLUME FLOW, MASS FLOW OR LIQUID LEVEL; METERING BY VOLUME
    • G01F1/00Measuring the volume flow or mass flow of fluid or fluent solid material wherein the fluid passes through a meter in a continuous flow
    • G01F1/68Measuring the volume flow or mass flow of fluid or fluent solid material wherein the fluid passes through a meter in a continuous flow by using thermal effects
    • G01F1/684Structural arrangements; Mounting of elements, e.g. in relation to fluid flow
    • G01F1/688Structural arrangements; Mounting of elements, e.g. in relation to fluid flow using a particular type of heating, cooling or sensing element
    • G01F1/69Structural arrangements; Mounting of elements, e.g. in relation to fluid flow using a particular type of heating, cooling or sensing element of resistive type
    • G01F1/692Thin-film arrangements
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01FMEASURING VOLUME, VOLUME FLOW, MASS FLOW OR LIQUID LEVEL; METERING BY VOLUME
    • G01F1/00Measuring the volume flow or mass flow of fluid or fluent solid material wherein the fluid passes through a meter in a continuous flow
    • G01F1/68Measuring the volume flow or mass flow of fluid or fluent solid material wherein the fluid passes through a meter in a continuous flow by using thermal effects
    • G01F1/696Circuits therefor, e.g. constant-current flow meters
    • G01F1/698Feedback or rebalancing circuits, e.g. self heated constant temperature flowmeters

Description

本発明は、被計測流体中に発熱抵抗体を設置し流量を測定する熱式流量計に係り、特に、自動車の内燃機関の吸入空気流量や排ガス流量の測定に好適な熱式流量計に関わる。
自動車などの内燃機関の吸入空気量を検出する空気流量計として、質量流量を直接測定できる熱式の空気流量計が主流になっている。
近年では、マイクロマシン技術を用いてシリコン(Si)などの半導体基板上に熱式流量計のセンサ素子を製造するものが提案されている。このような半導体タイプのセンサ素子は、半導体基板の一部を矩形状に除去した空洞部を形成し、この空洞部に形成した数ミクロンの電気絶縁膜上に発熱抵抗体を形成している。発熱抵抗体の大きさは数百ミクロンと微細であり、薄膜状に形成されることから、熱容量が小さく高速応答・低消費電力化が可能である。また、発熱抵抗体の近傍の上下流に温度センサ(測温抵抗体)を形成し、発熱抵抗体の上下流の温度差から流量を検出する温度差方式により、順流と逆流の判別も可能である。
自動車などの内燃機関に上記のような空気流量計を搭載して過酷な環境条件において長期間使用する場合、センサ素子の汚損に対する信頼性を確保することが重要である。熱式流量計を長期間吸入空気流に晒した場合、センサ素子の空洞部上の電気絶縁膜にカーボンなどの浮遊性粒子が熱泳動効果により堆積し、計測精度が損なわれる。このような汚損に対応した従来技術としては、特許文献1に記載されたものがある。
特許文献1に記載の技術は、電気絶縁膜上の発熱抵抗体の加熱温度と、発熱抵抗体の端部から空洞部上の電気絶縁膜の端部までの距離を規定し、前記発熱抵抗体の端部から上流側の電気絶縁膜の端部までの温度分布が緩やかに変化するようにしている。これにより、熱泳動現象による汚損物の堆積が緩和される。
特開2006−52944号公報
しかし、特許文献1のような構成により対策する場合、発熱抵抗体の加熱温度を低く設定するか、空洞部を広げ薄膜部を拡大することが必要である。発熱抵抗体の加熱温度を低く設定すると、被計測流体の流れにより生じる発熱抵抗体の上下流の温度差が小さくなり流量の検出感度が低下してしまう。また、空洞部を広げる場合、薄膜部の面積が拡大し強度が低下するという課題がある。
本発明の目的は、自動車などの内燃機関に搭載し、過酷な汚損環境にて長期間使用した場合でも、センサ素子の発熱抵抗体が形成される薄膜部にカーボンなどの浮遊性粒子の堆積を防止することができ、高感度な熱式流量計を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の熱式流量計は、内燃機関の吸気管路内に設置し前記吸気管路内を流れる吸気の一部を採り込む通路と、前記通路内に配置され被計測流体の流量を計測するセンサ素子とを備え、前記センサ素子が半導体基板と、前記半導体基板に形成された空洞部と、前記空洞部上に電気絶縁膜を介して形成された発熱抵抗体とを有し、前記発熱抵抗体から被計測流体に放熱することにより前記内燃機関の吸気の流量を計測する熱式流量計において、前記センサ素子上を流れる流体の流れ方向に対して垂直方向における前記発熱抵抗体の長さをLhとし、前記センサ素子上を流れる流体の流れ方向における前記発熱抵抗体の上流側端部から前記空洞部の周縁までの最近接距離をWd、被計測流体の流れ方向に対して垂直方向における前記発熱抵抗体の端部から前記空洞部の周縁までの最近接距離をLdとするとき、LhとWdとの関係をWd≧0.Lhとし、LhとLdとの関係がLd≧0.5Lhとしたものである。
また、被計測流体の流れ方向に対して垂直方向における前記発熱抵抗体の端部から前記空洞部の周縁までの最近接距離をLdとするとき、LhとLdとの関係をLd≧0.4Lhにするとよい。好ましくはLhとLdとの関係をLd≧0.5Lhにするとよい。こうすることで、発熱抵抗体の加熱温度を上げることにより、カーボンなどの浮遊性微粒子の付着がより低減される構成となる。
従来技術では、発熱抵抗体の加熱温度を上げると熱泳動効果が促進され付着量が増大するが、上記の構成とすることで浮遊性微粒子の付着を抑制できるので、発熱抵抗体の加熱温度を上げセンサ素子の流量検出感度を向上することが容易になる。また、発熱抵抗体を小型にできることから消費電力を小さくできセンサ素子を低電力で駆動することが可能である。
また、WdとLdとの関係はLd≧Wdであるとよい。これにより、より効果的に浮遊性微粒子の付着を抑制できる。さらに、電気絶縁膜3bに浮遊性微粒子が付着することにより発熱抵抗体5から半導体基板2への熱伝導が増加するが、電気絶縁膜3bへの浮遊性微粒子の付着を低減できるので、発熱抵抗体5から半導体基板2への熱伝導を低減することができ、低消費電力化が可能である。
また、前記発熱抵抗体の上流側と下流側とにそれぞれ形成された測温抵抗体を備え、被計測流体の流れ方向に対して垂直方向における前記測温抵抗体の長さが被計測流体の流れ方向に対して垂直方向における前記発熱抵抗体の長さ以下であるとよい。これにより、空洞部(ダイアフラム)上の温度分布は発熱抵抗体の中心がピーク温度になることから、上流側の側温抵抗体と下流側の側温抵抗体の長さを短くし、発熱抵抗体の中心付近に集約することにより、流量計測感度を向上することができる。また、被計測流体の流れ方向が傾くなどの偏流が発生したことによる浮遊性微粒子の付着箇所の変化などに対する計測精度の悪化を低減することができる。
前記空洞部は被計測流体の流れ方向に沿うように形成された短辺と前記短辺に垂直な長辺とを有する長方形に形成され、前記発熱抵抗体は前記長辺に沿う方向に延設されると共に延設方向の端部で折り返すことによって前記電気絶縁膜上に平行に並んだ複数の抵抗体部分を有し、前記抵抗体部分の延設方向における長さを平行に並んだ前記複数の抵抗体部分の全幅よりも大きくするとよい。
前記発熱抵抗体の加熱温度が被計測流体の温度よりも200℃以上高くなるように加熱制御するとよい。これにより、自動車などの内燃機関に使用するオイルが吸入空気中に混入した場合でも、オイルを蒸発させることができ、オイルなどの付着によるカーボンなどの付着の促進を抑制することができる。
さらに、本発明の熱式流量計は、内燃機関の吸気管路内に設置し前記吸気管路内を流れる吸気の一部を採り込む通路と、前記通路内に配置され流量を計測するセンサ素子とを備え、前記センサ素子は、半導体基板と、前記半導体基板に形成された空洞部と、前記空洞部上に電気絶縁膜を介して形成された発熱抵抗体と、前記流れ方向における前記発熱抵抗体の上流側と下流側とに設けられ前記空洞部上に位置するように前記電気絶縁膜上に形成された測温抵抗体とを有し、前記空洞部は前記流れ方向に沿うように形成された短辺と前記短辺に垂直な長辺とを有する長方形に形成され、前記発熱抵抗体は、前記長辺に沿う方向に延設され、延設方向の端部で折り返すことによって前記電気絶縁膜上に平行に並んだ複数の抵抗体部分を有すると共に、前記抵抗体部分の延設方向における長さの方が平行に並んだ前記複数の抵抗体部分の全幅よりも大きくなるように形成され、前記測温抵抗体は、前記流れ方向に対して垂直方向における長さが前記流れ方向に対して垂直方向における前記発熱抵抗体の長さ以下に形成され、前記流れ方向に対して垂直方向の前記発熱抵抗体の長さをLhとし、前記流れ方向における前記発熱抵抗体の上流側端部から前記空洞部の周縁までの最近接距離をWdとし前記流れ方向に対して垂直方向における前記発熱抵抗体の端部から前記空洞部の周縁までの最近接距離をLdとするとき、LhとWdとの関係がWd≧0.Lhであり、LhとLdとの関係がLd≧0.Lhであるとよい。

本発明によれば、熱泳動効果によるカーボンなどの浮遊性微粒子が付着することを防止することができ信頼性を向上できるとともに、高感度で低消費電力な熱式流量センサを提供できる。
本発明の第1実施例である熱式流量センサのセンサ素子1の平面を示す図である。 図1のセンサ素子1のX−X′断面を示す図である。 図1のセンサ素子1を駆動する電気回路である。 熱式流量センサのセンサ素子1の実装構造を示す図である。 図1のセンサ素子1のダイアフラム4部の拡大図である。 ダイアフラム部の温度分布を示す図である。 ダイアフラム部に付着した浮遊性微粒子などの分布を示す図である。 浮遊性微粒子などの付着によって発生した熱式流量センサの計測誤差の実験結果を示す図である。 本発明の第2実施例である熱式流量センサのセンサ素子のダイアフラム部4の拡大図である。 本発明の第3実施例である熱式流量センサのセンサ素子のダイアフラム部31の拡大図である。
以下、本発明に係る実施例について説明する。
本発明に係る第1の実施例について以下説明する。
本実施例による熱式流量計のセンサ素子1の構成を図1,図2により説明する。図1は、センサ素子1を示す平面図である。また図2は、図1におけるX−X′線に沿った断面図を示す。センサ素子1の基板2は、シリコンやセラミックなどの熱伝導率の良い材料で構成される。そして、基板2上に電気絶縁膜3aを形成し、基板2を裏面からエッチングすることで空洞部を形成しダイアフラム4を形成する。
ダイアフラム4上の電気絶縁膜3aの中心付近の表面には発熱抵抗体5を形成する。発熱抵抗体5の周囲に発熱抵抗体5の加熱温度を検出する加熱温度センサ8が、発熱抵抗体5を取り巻くように形成される。発熱抵抗体5の温度を加熱温度センサ7で検出し、空気流6の温度に対して一定温度高くなるように加熱制御されている。さらに加熱温度センサ7の両側には上流側温度センサ8a,8b,下流側温度センサ9a,9bを形成する。上流側温度センサ8a,8bは発熱抵抗体5よりも上流側,下流側温度センサ9a,9bは発熱抵抗体5よりも下流側に配置する。センサ素子1の最表面は電気絶縁膜3bによって覆われ、電気絶縁膜3bは電気的絶縁を行うほか、保護膜として働く。ダイアフラム4の外部の電気絶縁膜3a上には、空気流6の温度に応じて抵抗値が変化する感温抵抗体10,11,12を配置する。
これらの発熱抵抗体5,加熱温度センサ7,上流側温度センサ8a,8b,下流側温度センサ9a,9b,感温抵抗体10,11,12は温度によって抵抗値が変化する比較的抵抗温度係数が大きい材料で形成する。例えば、不純物をドープした多結晶シリコンや単結晶シリコンなどの半導体材料、また白金,モリブデン,タングステン,ニッケル合金などの金属材料などで形成すると良い。また、電気絶縁膜3a,3bは二酸化ケイ素(SiO2)や窒化ケイ素(Si34)により約2ミクロン厚の薄膜状に形成し、熱絶縁効果が十分に得られる構造とする。
上記のように、発熱抵抗体5,加熱温度センサ7,上流側温度センサ8a,8b,下流側温度センサ9a,9bも、感温抵抗体10,11,12と同様に、感温抵抗体である。
さらにセンサ素子1の端部には、発熱抵抗体5,加熱温度センサ7,上流側温度センサ8a,8b,下流側温度センサ9a,9b,感温抵抗体10,11,12を構成する各抵抗体を駆動・検出回路と接続するための電極が形成された電極パッド部13を設ける。尚、電極はアルミなどで形成する。
本発明の実施例である熱式流量計は、以下のように動作する。
図2に示したセンサ素子1の断面構成と共に示した温度分布14はセンサ素子1の表面温度の分布である。温度分布14の実線は無風時のダイアフラム4の温度分布を示す。発熱抵抗体5は、空気流6の温度よりもΔTh高くなるように加熱する。温度分布14の破線は、空気流6が発生したときのダイアフラム4の温度分布である。空気流6が発生することにより、発熱抵抗体5の上流側は空気流6により冷却され温度が下がり、下流側は発熱抵抗体5を通過し加熱された空気が流れることから温度が上がる。したがって、上流温度センサ8a,8bと下流温度センサ9a,9bとによって発熱抵抗体5の上下流の温度差ΔTsを測定することにより、流量が計測される。
次に、センサ素子1の駆動・検出回路について説明する。
図3に、センサ素子1の駆動・検出回路を示す。発熱抵抗体5の温度によって抵抗値が変化する加熱温度センサ7と感温抵抗体10とからなる直列回路と、感温抵抗体11と感温抵抗体12とからなる直列回路とを並列に接続したブリッジ回路を構成し、各直列回路に基準電圧Vrefを印加する。これらの直列回路の中間電圧を取り出し、増幅器15に接続する。増幅器15の出力は、トランジスタ16のベースに接続する。トランジスタ16のコレクタは電源VBに接続し、エミッタは発熱抵抗体5に接続し、フィードバック回路を構成する。これにより、発熱抵抗体5の温度Thは空気流6の温度Taに対して一定温度ΔTh(=Th−Ta)高くなるように制御される。
そして、上流温度センサ8aと下流温度センサ9aとからなる直列回路と、下流温度センサ9bと上流温度センサ8bとからなる直列回路とを並列に接続したブリッジ回路を構成し、各直列回路に基準電圧Vrefを印加する。空気流により上流温度センサ8a,8bと下流温度センサ9a,9bとに温度差が発生すると、ブリッジ回路の抵抗バランスが変化して差電圧が発生する。この差電圧から増幅器17によって空気流量に応じた出力が得られる。
次に、自動車などの内燃機関の吸気管路内にセンサ素子1、駆動・検出回路を実装した実施例を図4に示す。図4において、吸気管路18の壁面から突出するようにベース部材19を設ける。ベース部材19には、吸気管路18を流れる吸気20の一部を取り込む副通路21を形成する。副通路21内に形成した矩形状の凹部に、センサ素子1を設置する。センサ素子1を設置する部分の副通路21は流路を直線状とし、その上流側および下流側では流路を湾曲した形状とする。また、ベース部材19には、センサ素子1の駆動・検出回路を搭載した回路基板22が設けられ、金線ボンディングワイヤー23によりセンサ素子1と回路基板22を電気的に接続する。さらに、駆動回路の電源供給,出力信号の取り出しのための端子24を設け、アルミボンディングワイヤー25により回路基板22と端子24を電気的に接続する。
図5にセンサ素子1のダイアフラム4の近傍の拡大図を示す。
図5において、空気流6の流れ方向に対して垂直方向の発熱抵抗体5の長さをLhとする。また空気流6の流れ方向において発熱抵抗体5の上流側端部からダイアフラム4の上流側端部(辺4c)までの最近接距離をWdとする。また、空気流6に対して垂直方向の発熱抵抗体5の端部からダイアフラム4の端部(辺4b又は4d)までの最近接距離をLdとする。これらLh,Wd,Ldの関係について本実施例ではWd≧0.5LhかつLd≧0.5Lhとなるように構成している。言い換えれば、発熱抵抗体5の外周からダイアフラム4の外周までの最近接距離Xdが、少なくともXd≧0.5Lhになるように形成している。すなわち、発熱抵抗体5のLhは短くし、ダイアフラム4の幅及び長さは大きくなるように形成する。
ここで、発熱抵抗体5の領域は、ダイアフラム4上の発熱の主となる部分であり、図5に示した配線部30i,30jのような幅広になる部位や、発熱抵抗体5に電気的に接続されていたとしても、流れる電流が著しく小さくなる抵抗体などは含まれない。或いは、図5に示した発熱抵抗体5のように、発熱の主となり、形状がU字やM字になるような1回または複数回の折り返しがある領域である。
また本実施例では、ダイアフラム4を辺4a,4b,4c,4dからなる四角形に形成している。すなわち、辺4a,4b,4c,4dはダイアフラム4の外周縁を構成する。特に、辺4a,4cを辺4b,4dに対して長くした長方形にしている。長い辺4a,4cは空気の流れ方向を横切る方向に沿うように、また短い辺4b,4dは空気の流れ方向に沿うように、ダイアフラム4を形成している。このとき、理想的には辺4a,4cは空気の流れ方向に対して垂直になり、辺4b,4dは空気の流れ方向に平行になる。
発熱抵抗体5は長い辺4a,4cに沿う方向に延設し、延設方向(空気の流れ方向に対して垂直方向)の端部で折り返すことによって、電気絶縁膜3a上に平行に並んだ複数の抵抗体部分5a〜5dを有するように形成する。そして抵抗体部分5a〜5dの延設方向における長さLhを平行に並んだ複数の抵抗体部分5a〜5dの全幅W5よりも大きくする。
これにより、発熱抵抗体5の形状を適正化しつつ、ダイアフラム4の大きさを徒に大きくする必要が無い。そしてダイアフラム4を小さくできれば、ダイアフラム4の強度が低下するのを防ぐことができる。
上記の構成とした場合に、熱式流量計のセンサ素子1にカーボンなどの浮遊性微粒子が付着しにくくなる効果について、以下説明する。
図6は、発熱抵抗体を加熱制御したときのダイアフラム上の温度分布の形状を表すための等温線を示している。図6(a)は従来の構成、図6(b)は本実施例による構成である。
図6(a)に示した従来の構成のダイアフラム27上の温度分布は、発熱抵抗体26の中心をピーク温度とした同心円状の温度分布を示す。また、発熱抵抗体26の長さに沿った縦長の楕円形状をした等温線となる。このような形状をもったセンサ素子にカーボンなどの浮遊性微粒子が空気流によって運ばれてくると、発熱抵抗体26の発熱により周辺の空気の熱運動が活発になって熱的な障壁ができ、発熱抵抗体26の上流側のダイアフラム27の端部に沿って微粒子の付着が起きる。さらに、発熱抵抗体26の加熱温度を上げると熱泳動効果が高まり、微粒子の付着が促進する。
一方、図6(b)に示した本実施例の構成におけるダイアフラム4上の温度分布は発熱抵抗体5の中心をピーク温度とした同心円状になるが、その等温線の形状は真円に近い。このような形状をもったセンサ素子にカーボンなどの浮遊性微粒子が空気流によって運ばれてくると、浮遊性微粒子は発熱抵抗体5の発熱による熱的な障壁に当たり、その後、発熱抵抗体5を回避するように、すなわち空気流に対して垂直方向の発熱抵抗体5の端部側を回りこむように流れる。これは、従来構成に比べ本実施例のダイアフラム4上の上流側の等温線の曲率が大きいためである。従来構成においても、空気流に対して垂直方向の発熱抵抗体26の端部付近では、浮遊性微粒子の周り込みがあり熱的な障壁を回避できるが、ほとんどの浮遊性微粒子は発熱抵抗体26による熱的な障壁に阻まれてしまうため、ダイアフラム27の上流側の端部付近に停滞し付着してしまう。
また、Ld≧0.5Lhとすることにより、浮遊性微粒子がヒータ5から離れた場所を通過するため、ヒータ5付近への付着を低減することが可能になる。
以下、ディーゼルエンジンの排気ガスの流れの中に熱式流量計を設置し、排気ガス中のカーボンやオイルなどによるセンサ素子の汚損状態を実験した結果について説明する。熱泳動現象による上流側のダイアフラム端部への浮遊性微粒子の付着は、被計測流体の流速が比較的低いときに付着する。このことから、本実験に用いたディーゼルエンジンはアイドリング状態とした。このときの被計測流体の流速はおよそ1.5m/secである。また、熱式流量計を排ガス中に晒した時間は1時間である。この実験によりセンサ素子は、実際に自動車の吸気管に熱式流量計を設置し数万km走行した場合のセンサ素子の汚損状態と似た状態に汚損される。
図7は、上記実験によりダイアフラムに付着した浮遊性微粒子の分布の概略図を示す。図7(a)は、従来のダイアフラム部の構成において、発熱抵抗体の加熱温度(ΔTh)を100℃に設定したときの浮遊性微粒子の付着形状である。発熱抵抗体26の上流側のダイアフラム27の端部への付着が最も多い(図中の28(a))。また、ダイアフラム26の全方向の端部に沿ってに薄く付着している(図中の28(b))。図中の28(a)への付着は、発熱抵抗体26の加熱による熱泳動効果による付着が支配的であり、図中28(b)はダイアフラム27周辺の浮遊性微粒子の拡散によるもの支配的である。
図7(b)は本実施例のダイアフラム部の構成において、発熱抵抗体の加熱温度(ΔTh)を100℃に設定したときの浮遊性微粒子の付着形状である。本実施例の構成では、浮遊性微粒子の付着は、ダイアフラム4の端部に沿った図中28(c)部に薄く付着しており拡散による付着が支配的である。従来の構成で顕著であった熱泳動効果による発熱抵抗体5の上流側のダイアフラム4の端部への付着が低減されている。
図7(c)は、本実施例のダイアフラム部の構成において、発熱抵抗体5の加熱温度(ΔTh)を300℃に設定したものである。本発明の構成では、ΔThを上げても熱泳動効果による付着は促進されない。また、ΔThを上げたことにより、ダイアフラム4上の空気の熱運動が活発になることにより、ダイアフラム4周辺から発熱抵抗体4へ向かう浮遊性微粒子の拡散が低減され、ダイアフラム4周辺部の付着域が外側に退く効果が得られる。また、ディーゼルエンジンなどの排ガス中にはオイルが含まれており、オイルが付着することによいカーボンなどの微粒子がさらに付着しやすくなるが、発熱抵抗体5の加熱温度ΔThをあげ、オイルを200℃以上に加熱することによりオイルが蒸発し、浮遊性微粒子の付着がさらに低減される。
また、本実施例の構成においては浮遊性微粒子の拡散が支配的となることから、発熱抵抗体5からダイアフラム4の端部までの距離を大きくとる(Ld,Wdを大きくとる)ことによって、拡散によるダイアフラム4周辺の浮遊性微粒子の付着領域から発熱抵抗体5までの距離を遠ざけることができ、さら浮遊性微粒子の付着により生じる熱式流量センサの計測誤差を低減することができる。
図8は、上記実験の汚損によって生じた熱式流量計の計測誤差の比較を示す。浮遊性微粒子の付着によりダイアフラム26の温度分布が変化した場合、特に低流量域における熱式流量計の計測誤差に影響する。理由は、低流量域では空気流による上流温度センサ8a,8bと下流温度センサ9a,9bの温度差が微小であるためである。このことから、図8に示した流量計測誤差は、空気流の流速が1.5m/s程度での実験結果である。また、図8に示した測定点(a),(b),(c)は、図7におけるセンサ素子のダイアフラム形状(a),(b),(c)を用いた実験結果に対応している。また、グラフの横軸は、ダイアフラム4のXd/Lhである。Xdはこれらのダイアフラム形状において、発熱抵抗体からダイアフラム端部まで最近接距離となる値である。
図8において、従来の構成を用いた場合の計測誤差を示す測定点(a)は15%のプラス誤差となる。これは、熱泳動効果により空気流に対して上流側のダイアフラム26の端部の汚損が大きいためであり、発熱抵抗体26の上流側に形成した上流側温度センサ8a,8bの温度が低下したためである。一方、本実施例での構成を用いた場合の計測誤差を示す測定点(b)は、わずかにマイナス誤差に変化するが従来の構成に比べ十分小さい値である。
また、汚損によって生じた計測誤差とXd/Lhとの関係を見ると、Xd/Lhがおよそ0.4以下と汚損による計測誤差が急激に増大する。このことから、汚損による計測誤差を±5%以下とするには、Xd/Lhを0.4以上に設定することが必要である。
また、Xd/Lhが0.5以下では計測誤差がプラス誤差に、Xd/Lhがおよそ0.5以上では計測誤差がマイナス誤差になる。これは、計測誤差がプラス誤差となる範囲では、空気流に対して上流側のダイアフラム端部への浮遊性微粒子の付着が大きく熱泳動効果による汚損が支配的であることを意味する。計測誤差がマイナス誤差となる範囲では、浮遊性微粒子の拡散や周り込みによりダイアフラム下流側への付着が上流側にくらべ相対的に大きくなる。しかし、拡散などによる微粒子の付着厚さは熱泳動効果の場合にくらべ薄いことから計測誤差への影響も小さい。
また、Xd/Lhがおよそ0.5となるときは、ダイアフラム4に付着した微粒子が発熱抵抗体5の上流側と下流側とで同程度になる。この場合、微粒子の付着によるダイアフラム4上の温度変化は、発熱抵抗体4の上流側と下流側とで対称になり、上流温度センサ8a,8bと下流温度センサ9a,9bの温度差は変化しない。そのため、浮遊性微粒子の付着により発生する計測誤差が小さくなる。したがって、本実施例の構成は、発熱抵抗体の上流側と下流側の温度差を検出する少なくとも一対の測温抵抗体が前記発熱抵抗体の上流側と下流側に形成され、前記一対の測温抵抗体の温度差を用いて被計測流体の流量を計測する熱式流量センサに適用することにより特に効果が得られる。
図8の測定点(c)は、本実施例の構成を用い発熱抵抗体5の加熱温度(ΔTh)を300℃に上げた場合の計測誤差である。また測定点(d)は従来の構成において発熱抵抗体の加熱温度(ΔTh)を200℃に上げた場合の計測誤差である。測定点(d)に示すように従来の構成において発熱抵抗体の加熱温度(ΔTh)を上げると、熱泳動効果による浮遊性微粒子の付着がいっそう増大し計測誤差が大きくなる。一方、測定点(c)に示すように本実施例の構成において発熱抵抗体の加熱温度(ΔTh)を上げると計測誤差が小さくなることがわかる。すなわち、Xd/Lhが0.5以下では、ΔThを上げると熱泳動効果の影響が増大し、Xd/Lhが0.5以上ではΔThを上げても熱泳動効果の影響を受けることがない。
以上の結果から、本実施例の構成のように発熱抵抗体5の外周からダイアフラム4の外周までの最近接距離Xdとし、空気流に対し垂直方向の発熱抵抗体5の長さをLhとしたとき、Xd/Lhが0.5以上になることで、熱泳動現象による浮遊性微粒子の付着を抑制でき、発熱抵抗体5の加熱温度を上げ流量計測感度を向上することができる。さらに望ましくは、センサ素子の製造バラツキや空気流の乱れなどのバラツキを考慮して、Xd/Lhを0.6以上にすると良い。
さらに望ましくは、図5において、上流側温度センサ8a,8bと下流側温度センサ9a,9bの被計測流体に対して垂直方向の最大長さLsが、発熱抵抗体5の長さLhよりも短くなるように設定する。これにより、ダイアフラム4の空気流に対して垂直方向の端部付近に付着した微粒子から、上流側温度センサ8a,8b,下流側温度センサ9a,9bを遠ざけることができ、より浮遊性微粒子の付着の影響を低減することができる。また、ダイアフラム4上の温度分布は発熱抵抗体5の中心がピーク温度になることから、上流側温度センサ8a,8bと下流側温度センサ9a,9bの長さを短くして発熱抵抗体5の中心付近に集約することにより、流量計測感度を向上することができる。また、被計測流体の流れ方向が傾くなどの偏流が発生したことによるカーボンなどの浮遊性微粒子の付着箇所の変化などに対する計測精度の悪化を低減することができる。
ダイアフラム4の形状を、発熱抵抗体5の長手方向、すなわち空気の流れ方向に垂直な方向の辺を長くした長方形とすることにより、発熱抵抗体5の形状を適正化しつつ、ダイアフラム4の大きさを徒に大きくする必要が無い。このとき、Xd/Lhを0.4以上、好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.6以上にすれば、浮遊性微粒子の付着の影響を低減できることが分かったので、Xdを最低でもこの関係を満たす範囲のできるだけ小さい値に選定することにより、ダイアフラム4の強度が低下するのを防ぐことができる。
また、基板2の大きさは有限であり、ダイアフラム4を広くすると強度的に問題がるので、Xd/Lhの上限値は無限大ということは有り得ず、有限な値に収まる。すなわち、Xd/Lhの上限値は基板2の大きさや強度的な問題から決まる設計的な事項であり、各センサ素子毎に適宜適当な値を採用し得るものである。
図9は、本発明の第2の実施例である熱式流量センサ素子1のダイアフラム4の拡大図である。図5の第1の実施例と異なるのは、発熱抵抗体32の中央部が、空気流6の方向に膨らんだ形状としたことである。これにより、発熱抵抗体32の形状が略十字または略円形となり、ダイアフラム4の温度分布が発熱抵抗体32の中心をピークとしたより円形の温度分布にすることができる。円形の温度分布になることにより、カーボンなどの浮遊性微粒子の付着を防止することができる。
図10は、本発明の第3の実施例である熱式流量センサ素子1のダイアフラム31の拡大図である。図5の第1の実施例と異なるのは、空気流の方向に対してダイアフラム31の上流側端部と下流側端部の中央が膨らむ形状になっていることである。これにより、ダイアフラム31の形状が略円形となり、ダイアフラム31上の温度分布が発熱抵抗体32の中心をピークとしたより円形の温度分布にすることができる。円形の温度分布になることにより、カーボンなどの浮遊性微粒子の付着を防止することができる。
次に、第1〜3実施例のセンサ素子1の製造方法に関して説明する。
基板としては、単結晶ケイ素(Si)などの半導体基板2を用いる。ベースとなる単結晶ケイ素(Si)基板2の表面を、熱酸化あるいはCVD法などにより所定の厚さ約1μmの電気絶縁膜3aとなる二酸化ケイ素(SiO2)と窒化ケイ素(Si34)を形成する。次に、抵抗体として、厚さ約1μmの多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜をCVD法などにより積層する。
次に、多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜に不純物拡散を行い、所定の抵抗率となるように高濃度ドープ処理を行う。更に、公知のホトリソグラフィ技術によりレジストを所定の形状に形成した後反応性イオンエッチングなどの方法により、多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜をパターニングし、所定の抵抗体5,7,8a,8b,9a,9b,10,11,12と配線部30a〜30nが得られる。
その後工程では、保護膜として電気絶縁膜3bを電気絶縁膜3aと同様に、二酸化ケイ素(SiO2)と窒化ケイ素(Si34)を約1ミクロン厚にCVD法などにより形成する。
次に、外部回路との接続のための端子となる端子電極が電極パッド部13に保護膜3bを除去し、アルミニウム,金などで形成される。また、各抵抗体と端子を接続するための配線部30a〜30nを、多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜とアルミニウム,金などの多層膜構成としてもかまわない。
最終工程では、単結晶ケイ素(Si)半導体基板2の裏面にエッチングのマスク材を所定の形状にパターニングし、水酸化カリウム(KOH)などのエッチング液を用いて異方性エッチングすることにより空洞29を形成して、ダイアフラム4を形成する。
以上の工程により、センサ素子1が完成する。
上記各実施例では、抵抗体として多結晶ケイ素(Si)半導体薄膜を用いた実施例に関して説明したが、白金などの金属材料を用いた場合でも同様の効果が得られる。
また、発熱抵抗体5として、ダイアフラム部4上に略M字状としたが、略U字状の形状でも、ミアンダ状(蛇行状)でも同様の効果が得られる。
また、上記各実施例では、発熱抵抗体5の上下流に配した二対の測温抵抗体8a,8b,9a,9bについて説明したが、一対の測温抵抗体の構成でも同様の効果が得られる。
また、上記各実施例では、発熱抵抗体5の周囲に配した加熱温度センサ7の抵抗変化により発熱抵抗体5の温度を検出し、発熱抵抗体5の加熱温度を制御する方式としたが、直接発熱抵抗体5の抵抗変化から発熱抵抗体5の温度を検出し、発熱抵抗体5の加熱温度を制御する方式としても同様な効果が得られる。
また、上記各実施例では、発熱抵抗体5の上下流に配した温度センサの温度差から流量および流れの方向を計測する温度差方式を説明したが、発熱抵抗体5の加熱電流や抵抗変化から流量および方向を計測する方式においても、同様の効果が得られる。
上述した実施例を要約すると、以下の構成を有する。
被計測流体を採り込む通路21と、通路21内に配置され被計測流体の流量を計測するセンサ素子1とを備え、センサ素子1が半導体基板2と、半導体基板2に形成された空洞部29と、空洞部29上に電気絶縁膜3aを介して形成された発熱抵抗体5とを有し、発熱抵抗体5から被計測流体に放熱することにより被計測流体の流量を計測する熱式流量計において、被計測流体の流れ方向6に対して垂直方向における発熱抵抗体5の長さをLhとし、被計測流体の流れ方向における発熱抵抗体5の上流側端部から空洞部29の周縁29a(ダイアフラムの外周縁4a)までの最近接距離をWdとするとき、LhとWdとの関係をWd≧0.4Lhとしたものである。こうすることで、発熱抵抗体5の加熱温度を上げることにより、カーボンなどの浮遊性微粒子の付着がより低減される構成となる。好ましくはLhとWdとの関係をWd≧0.5Lhにするとよい。
また、被計測流体の流れ方向6に対して垂直方向における発熱抵抗体5の端部から空洞部29の周縁29a(4a)までの最近接距離をLdとするとき、LhとLdとの関係をLd≧0.4Lhとする。好ましくはLhとLdとの関係をLd≧0.5Lhにするとよい。こうすることで、発熱抵抗体5の加熱温度を上げることにより、浮遊性微粒子の付着がより低減される構成となる。
従来技術では、発熱抵抗体の加熱温度を上げると熱泳動効果が促進され付着量が増大するが、上記の構成とすることで浮遊性微粒子の付着を抑制できるので、発熱抵抗体5の加熱温度を上げセンサ素子1の流量検出感度を向上することが容易になる。また、発熱抵抗体5を小型にできることから消費電力を小さくできセンサ素子1を低電力で駆動することが可能である。
また、WdとLdとの関係をLd≧Wdとする。これにより、より効果的に浮遊性微粒子の付着を抑制できる。さらに、電気絶縁膜3bに浮遊性微粒子が付着することにより発熱抵抗体5から半導体基板2への熱伝導が増加するが、電気絶縁膜3bへの浮遊性微粒子の付着を低減できるので、発熱抵抗体5から半導体基板2への熱伝導を低減することができ、低消費電力化が可能である。
また、発熱抵抗体5の上流側と下流側とにそれぞれ形成された測温抵抗体8a,8b,9a,9bを備え、被計測流体の流れ方向6に対して垂直方向における測温抵抗体8a,8b,9a,9bの長さLsが被計測流体の流れ方向6に対して垂直方向における発熱抵抗体5の長さLh以下である。これにより、空洞部29(ダイアフラム4)上の温度分布は発熱抵抗体5の中心がピーク温度になることから、上流側の側温抵抗体8a,8bと下流側の側温抵抗体9a,9bの長さを短くし、発熱抵抗体5の中心付近に集約することにより、流量計測感度を向上することができる。また、被計測流体の流れ方向6が傾くなどの偏流が発生したことによる浮遊性微粒子の付着箇所の変化などに対する計測精度の悪化を低減することができる。
空洞部29は被計測流体の流れ方向6に沿うように形成された短辺4b,4dと短辺4b,4dに垂直な長辺4a,4cとを有する長方形に形成され、発熱抵抗体5は長辺4a,4cに沿う方向に延設されると共に延設方向の端部で折り返すことによって電気絶縁膜3a上に平行に並んだ複数の抵抗体部分5a〜5dを有し、抵抗体部分5a〜5dの延設方向における長さLhを平行に並んだ複数の抵抗体部分5a〜5dの全幅W5よりも大きくする。
発熱抵抗体5の加熱温度が被計測流体の温度よりも200℃以上高くなるように加熱制御することにより、自動車などの内燃機関に使用するオイルが吸入空気中に混入した場合でも、オイルを蒸発させることができ、オイルなどの付着によるカーボンなどの付着の促進を抑制することができる。
さらに、本発明に係る熱式流量計は、被計測流体を採り込む通路21と、通路21内に配置され被計測流体の流量を計測するセンサ素子1とを備え、センサ素子1は、半導体基板2と、半導体基板2に形成された空洞部29と、空洞部29上に電気絶縁膜3aを介して形成された発熱抵抗体5と、被計測流体の流れ方向6における発熱抵抗体5の上流側と下流側とに設けられ空洞部29上に位置するように電気絶縁膜3a上に形成された測温抵抗体8a,8b,9a,9bとを有し、空洞部29は被計測流体の流れ方向6に沿うように形成された短辺4b,4dと短辺4b,4dに垂直な長辺4a,4cとを有する長方形に形成され、発熱抵抗体5は、長辺4a,4cに沿う方向に延設され、延設方向の端部で折り返すことによって電気絶縁膜3a上に平行に並んだ複数の抵抗体部分5a〜5dを有すると共に、抵抗体部分5a〜5dの延設方向における長さLhの方が平行に並んだ複数の抵抗体部分5a〜5dの全幅W5よりも大きくなるように形成され、測温抵抗体8a,8b,9a,9bは、被計測流体の流れ方向6に対して垂直方向における長さが被計測流体の流れ方向に対して垂直方向における発熱抵抗体5の長さ以下に形成され、被計測流体の流れ方向6に対して垂直方向の発熱抵抗体5の長さをLhとし、被計測流体の流れ方向6における発熱抵抗体5の上流側端部から空洞部29の周縁29a(4a)までの最近接距離をWdとし、被計測流体の流れ方向6に対して垂直方向における発熱抵抗体5の端部から空洞部29の周縁29a(4a)までの最近接距離をLdとするとき、LhとWdとの関係をWd≧0.4Lhとし、LhとLdとの関係をLd≧0.4Lhとする。
1 センサ素子
2 基板
3a,3b 電気絶縁膜
4,31 ダイアフラム
5,32 発熱抵抗体
6 空気流
7 加熱温度センサ
8a,8b 上流側温度センサ
9a,9b 下流側温度センサ
10,11,12 感温抵抗体
13 電極パッド部
14 温度分布
15,17 増幅器
16 トランジスタ
18 吸気管路
19 ベース部材
20 吸気
21 副通路
22 回路基板
23 金線ボンディングワイヤー
24 端子
25 アルミボンディングワイヤー
26 従来の発熱抵抗体
27 従来のダイアフラム
28 浮遊性微粒子の付着部
29 空洞部
30a〜n 配線部

Claims (6)

  1. 内燃機関の吸気管路内に設置し前記吸気管路内を流れる吸気の一部を採り込む通路と、前記通路内に配置され流体の流量を計測するセンサ素子とを備え、前記センサ素子が半導体基板と、前記半導体基板に形成された空洞部と、前記空洞部上に電気絶縁膜を介して形成された発熱抵抗体とを有し、前記発熱抵抗体から被計測流体に放熱することにより前記内燃機関の吸気の流量を計測する熱式流量計において、
    前記センサ素子上を流れる流体の流れ方向に対して垂直方向における前記発熱抵抗体の長さをLhとし、前記センサ素子上を流れる流体の流れ方向における前記発熱抵抗体の上流側端部から前記空洞部の周縁までの最近接距離をWd、被計測流体の流れ方向に対して垂直方向における前記発熱抵抗体の端部から前記空洞部の周縁までの最近接距離をLdとするとき、LhとWdとの関係がWd≧0.Lhであり、LhとLdとの関係がLd≧0.5Lhであることを特徴とする熱式流量計。
  2. 請求項1に記載の熱式流量計において、WdとLdとの関係がLd≧Wdであることを特徴とする熱式流量計。
  3. 請求項1または2に記載の熱式流量計において、前記発熱抵抗体の上流側と下流側とにそれぞれ形成された測温抵抗体を備え、被計測流体の流れ方向に対して垂直方向における前記測温抵抗体の長さが被計測流体の流れ方向に対して垂直方向における前記発熱抵抗体の長さ以下であることを特徴とする熱式流量計。
  4. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の熱式流量計において、前記空洞部は被計測流体の流れ方向に沿うように形成された短辺と前記短辺に垂直な長辺とを有する長方形に形成され、前記発熱抵抗体は前記長辺に沿う方向に延設されると共に延設方向の端部で折り返すことによって前記電気絶縁膜上に平行に並んだ複数の抵抗体部分を有し、前記抵抗体部分の延設方向における長さが平行に並んだ前記複数の抵抗体部分の全幅よりも大きいことを特徴とする熱式流量計。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の熱式流量計において、前記発熱抵抗体の加熱温度が被計測流体の温度よりも200℃以上高くなるように加熱制御されることを特徴とする熱式流量計。
  6. 内燃機関の吸気管路内に設置し前記吸気管路内を流れる吸気の一部を採り込む通路と、前記通路内に配置され流体の流量を計測するセンサ素子とを備え、
    前記センサ素子は、半導体基板と、前記半導体基板に形成された空洞部と、前記空洞部上に電気絶縁膜を介して形成された発熱抵抗体と、前記流体の流れ方向における前記発熱抵抗体の上流側と下流側とに設けられ前記空洞部上に位置するように前記電気絶縁膜上に形成された測温抵抗体とを有し、
    前記空洞部は前記流体の流れ方向に沿うように形成された短辺と前記短辺に垂直な長辺とを有する長方形に形成され、
    前記発熱抵抗体は、前記長辺に沿う方向に延設され、延設方向の端部で折り返すことによって前記電気絶縁膜上に平行に並んだ複数の抵抗体部分を有すると共に、前記抵抗体部分の延設方向における長さの方が平行に並んだ前記複数の抵抗体部分の全幅よりも大きくなるように形成され、
    前記測温抵抗体は、前記流れ方向に対して垂直方向における長さが前記流体の流れ方向に対して垂直方向における前記発熱抵抗体の長さ以下に形成され、
    前記流体の流れ方向に対して垂直方向の前記発熱抵抗体の長さをLhとし、前記流体の流れ方向における前記発熱抵抗体の上流側端部から前記空洞部の周縁までの最近接距離をWdとし、前記流体の流れ方向に対して垂直方向における前記発熱抵抗体の端部から前記空洞部の周縁までの最近接距離をLdとするとき、LhとWdとの関係がWd≧0.Lhであり、LhとLdとの関係がLd≧0.Lhであることを特徴とする熱式流量計。
JP2009071127A 2009-03-24 2009-03-24 熱式流量計 Active JP5178598B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009071127A JP5178598B2 (ja) 2009-03-24 2009-03-24 熱式流量計
EP10153913.8A EP2233896B1 (en) 2009-03-24 2010-02-18 Thermal-type flowmeter
US12/708,387 US8186213B2 (en) 2009-03-24 2010-02-18 Thermal-type flowmeter
CN2010101174360A CN101852630B (zh) 2009-03-24 2010-02-20 热式流量计

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009071127A JP5178598B2 (ja) 2009-03-24 2009-03-24 熱式流量計

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010223747A JP2010223747A (ja) 2010-10-07
JP5178598B2 true JP5178598B2 (ja) 2013-04-10

Family

ID=42354628

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009071127A Active JP5178598B2 (ja) 2009-03-24 2009-03-24 熱式流量計

Country Status (4)

Country Link
US (1) US8186213B2 (ja)
EP (1) EP2233896B1 (ja)
JP (1) JP5178598B2 (ja)
CN (1) CN101852630B (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9072464B2 (en) * 2009-07-22 2015-07-07 Koninklijke Philips N.V. Thermal flow sensor integrated circuit with low response time and high sensitivity
JP5315304B2 (ja) * 2010-07-30 2013-10-16 日立オートモティブシステムズ株式会社 熱式流量計
EP2426925A3 (en) 2010-09-02 2013-01-30 Panasonic Corporation Image display apparatus
US8356514B2 (en) * 2011-01-13 2013-01-22 Honeywell International Inc. Sensor with improved thermal stability
JP5372976B2 (ja) * 2011-01-31 2013-12-18 日立オートモティブシステムズ株式会社 熱式流量センサ
JP5915026B2 (ja) * 2011-08-26 2016-05-11 住友大阪セメント株式会社 温度測定用板状体及びそれを備えた温度測定装置
JP5675716B2 (ja) * 2012-06-29 2015-02-25 日立オートモティブシステムズ株式会社 熱式空気流量センサ
CN103592461B (zh) * 2013-10-31 2017-01-11 清华大学 二维流速矢量测量传感器及其制作方法、信号的处理方法
CN104406644B (zh) * 2014-12-05 2018-04-10 北京时代民芯科技有限公司 一种mems热式流量传感器及其制造方法
CN106092234B (zh) * 2016-06-02 2019-05-10 苏州容启传感器科技有限公司 带有整流结构的镂空热膜式流量传感器及其制作方法
WO2019220715A1 (ja) * 2018-05-17 2019-11-21 日立オートモティブシステムズ株式会社 物理量検出装置
JP2020085463A (ja) * 2018-11-15 2020-06-04 株式会社デンソー 流量計測装置
CN113532561A (zh) * 2020-04-16 2021-10-22 纬湃汽车电子(长春)有限公司 气体流量传感器
WO2023145568A1 (ja) * 2022-01-26 2023-08-03 ミネベアミツミ株式会社 流体センサ

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4895616A (en) * 1987-12-07 1990-01-23 Honeywell Inc. Method for making thin film orthogonal microsensor for air flow
US4914742A (en) * 1987-12-07 1990-04-03 Honeywell Inc. Thin film orthogonal microsensor for air flow and method
EP0452134B1 (en) * 1990-04-13 1995-08-23 Yamatake-Honeywell Co. Ltd. Diaphragm-type sensor
WO1997049998A1 (en) * 1996-06-26 1997-12-31 Simon Fraser University Accelerometer without proof mass
JP3817497B2 (ja) * 2002-06-10 2006-09-06 株式会社日立製作所 熱式流量計測装置
JP2004061412A (ja) * 2002-07-31 2004-02-26 Horiba Ltd 流体センサ
JP4292026B2 (ja) * 2003-05-30 2009-07-08 株式会社日立製作所 熱式流量センサ
JP2004361271A (ja) * 2003-06-05 2004-12-24 Hitachi Ltd 熱式空気流量計
DE102005028143A1 (de) * 2005-06-17 2006-12-28 Robert Bosch Gmbh Thermischer Luftmassenmesser mit geringer Kontaminationsempfindlichkeit
JP4790405B2 (ja) * 2005-12-16 2011-10-12 三菱電機株式会社 熱式流量センサ
JP5210491B2 (ja) * 2006-02-03 2013-06-12 日立オートモティブシステムズ株式会社 熱式流量センサ
JP2006177972A (ja) * 2006-02-06 2006-07-06 Yazaki Corp 雰囲気センサ
JP4298722B2 (ja) * 2006-06-09 2009-07-22 株式会社日立製作所 エンジン制御装置
JP4341651B2 (ja) * 2006-07-28 2009-10-07 株式会社日立製作所 熱式ガス流量計
JP4850105B2 (ja) * 2007-03-23 2012-01-11 日立オートモティブシステムズ株式会社 熱式流量計
JP4836864B2 (ja) 2007-05-16 2011-12-14 日立オートモティブシステムズ株式会社 熱式流量計

Also Published As

Publication number Publication date
CN101852630A (zh) 2010-10-06
JP2010223747A (ja) 2010-10-07
EP2233896A1 (en) 2010-09-29
US8186213B2 (en) 2012-05-29
EP2233896B1 (en) 2017-04-12
US20100242591A1 (en) 2010-09-30
CN101852630B (zh) 2012-05-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5178598B2 (ja) 熱式流量計
JP5683192B2 (ja) 熱式流量センサ
JP5315304B2 (ja) 熱式流量計
JP4576444B2 (ja) 熱式流量計
JP4836864B2 (ja) 熱式流量計
JP5895006B2 (ja) 熱式流量計
JP4292026B2 (ja) 熱式流量センサ
JP4850105B2 (ja) 熱式流量計
JP2006098057A (ja) 流量センサ
JPWO2012117446A1 (ja) 熱式流量計
JP3706358B2 (ja) 気体流量・温度測定素子
JP2002328053A (ja) 感熱式流量センサ
JP5492834B2 (ja) 熱式流量計
JP5108158B2 (ja) 流量センサ
JP2010271328A (ja) 流量センサ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110209

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110209

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110603

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110614

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110803

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120626

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120827

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121211

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130108

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5178598

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250