JP5178080B2 - 塗装ガン - Google Patents
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Description
ところが、上記従来の塗装ガンでは、タービン用エアの供給と軸受用エアの供給とを別々に制御していたため、タービン用エアが供給され続けている状態において軸受用エアの供給が停止した場合には、焼き付きを生じることが懸念される。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、回転軸と軸受部との間の焼き付きを防止することを目的とする。
請求項4の発明は、請求項3に記載のものにおいて、前記回転軸には、前記回転軸の軸線方向において前記オリフィスの形成位置とは異なる部分を拡径させた拡径部が形成されており、前記回転軸における前記拡径部の近傍位置には、前記回転軸の外周から内周に貫通する逃がし孔が形成されているところに特徴を有する。
請求項6の発明は、請求項5に記載のものにおいて、前記回転軸における前記タービン部の近傍位置には、前記回転軸の外周から内周に貫通する逃がし孔が形成されているところに特徴を有する。
開閉弁を閉弁状態に切り換えると、軸受用エアの供給が停止するのであるが、同時にタービン用エアの供給が停止して回転軸の回転速度が低下するので、回転軸と軸受部との間で焼き付きが生じる虞はない。
また、エア流路は1本で済むので、ガン本体にタービン用エア専用のエア流路と軸受用エア専用のエア流路とが別々に接続された形態のものに比べると、ガン本体の取り回しが容易となる。
<請求項2の発明>
シェーピング用エア供給路を、ガン本体の内部において軸受用エア供給路及びタービン用エア供給路とに連通させたので、ガン本体に接続するエア流路は1本で済む。
回転軸が低速回転している時には回転軸と軸受部とが接触するため、摩擦による粉塵が発生して回転軸の表面に付着する虞があるが、この粉塵がオリフィスの開口部に詰まると、軸受用エアの供給に支障が生じることになる。その点、本発明では、オリフィスと対応するように溝を形成し、回転軸の表面がオリフィスの開口部に対して接近して対向しないようにしているので、回転軸の表面に付着している粉塵がオリフィスの開口部内に進入する虞はない。
オリフィスから吐出された軸受用エアの一部は、拡径部に向かって軸線方向に流れて拡径部の側面で跳ね返されるのであるが、跳ね返された軸受用エアは、溝に沿って生成されている空気流の存在のために、溝を横断して流れることができず、オリフィスと拡径部との間で滞留することが懸念される。
その点、本発明では、拡径部の近傍位置に回転軸の外周から内周に貫通する逃がし孔を形成し、オリフィスと拡径部近傍との間に軸受用エアの圧力差が生じるようにしているので、オリフィスから吐出された軸受用エアは、拡径部に向かって軸線方向へ円滑に流れる。したがって、軸受用エアの圧力による軸受機能の信頼性に優れている。
オリフィスから吐出された軸受用エアの一部は、回転軸の外周に向かって径方向に流れて回転軸の外周面で跳ね返されるのであるが、跳ね返された軸受用エアは、溝に沿って生成されている空気流の存在のために、溝を横断して径方向外方へ流れることができず、オリフィスと回転軸の外周面との間で滞留することが懸念される。
その点、本発明では、回転軸におけるタービン部の近傍位置に回転軸の外周から内周に貫通する逃がし孔を形成し、オリフィスと回転軸の外周面との間に軸受用エアの圧力差が生じるようにしているので、オリフィスから吐出された軸受用エアは、タービン部に向かって径方向へ円滑に流れる。したがって、軸受用エアの圧力による軸受機能の信頼性に優れている。
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図6を参照して説明する。本実施形態の塗装ガンAは、ガン本体10と、ガン本体10にエアを供給するためのエア流路50とを備えて構成されている。
ガン本体10は、全体として前後方向に長い銃身部11と、銃身部11の後端から下方へ延出するグリップ部12とから構成される。グリップ部12内には、その下端部から銃身部11の後端部に至るエア流入孔13が形成されている。エア流入孔13の下端部には、可撓性を有するホースからなるエア流路50の下流端が接続されている。エア流路50は、その上流端から下流端に至る全長に亘って1本の共通流路となっており、このエア流路50の上流端は、エア供給源51に接続されている。また、エア流路50の途中には、エア流路50におけるエアの流動を許容する開弁状態と、エア流路50におけるエアの流動を遮断する閉弁状態との間で切り換わる開閉弁52が設けられている。
ガン本体10の前端部には、前後方向に延びる塗料流路14が形成され、塗料流路14の後端部には、塗料流入孔15との間を開閉するためのニードル17が設けられている。塗料流路14の前端部は、後述する回転霧化頭23に臨む塗料吐出口となっている。ニードル弁17を構成する弁棒18は、後方へ延出されて、後述する連通路25内を前後に貫通している。トリガ19を操作すると、弁棒18が後方へ移動してニードル弁17が開弁し、塗料流入孔15に供給された塗料が、塗料流路14を通って回転霧化頭23に供給されるようになっている。尚、塗料流路14を流れる間に、塗料には、銃身部11に内蔵された高電圧印加装置20により静電気を印加される。
塗装を行う際には、トリガ19を開操作せずにニードル弁17を閉弁状態に保つた状態で、エア流路50の開閉弁52を開弁して連通路25内に加圧エアを供給する。連通路25内に供給されたエアは、共通供給路29を通って軸受用エア供給路34とタービン用エア供給路43とに分岐して送られ、軸受用エアが、軸受用エア供給路34から軸受部21F,21Rの内周と回転軸22の軸本体35F,35Rの外周との隙間に供給され始めると同時に、タービン用エアが、タービン用エア供給路43からタービンの受圧部40に吐出されて、その吐出圧力によりタービン部36が回転を開始する。エアの供給の開始直後は、軸受用エアの圧力が低いため、軸受部21F,21Rは、回転軸22の軸本体35F,35Rと接触して滑り軸受として機能するのであるが、タービン用エアの圧力も低く、回転軸22の回転速度が遅いので、軸受部21F,21Rと軸本体35F,35Rとの間で焼き付きが生じることはない。
その点、本実施形態においては、軸受用エアを軸受用エア供給路34に供給するためのエア流路50と、タービン用エアをタービン用エア供給路43に供給するためのエア流路50を1本の共通流路とし、この共通流路(エア流路50)に、エア流路50におけるエアの流動を許容する開弁状態とエアの流動を遮断する閉弁状態とに切り換わる開閉弁52を設けている。このようにしたことにより、軸受用エアの供給が停止すると、これと同時にタービン用エアの供給も停止して回転軸22の回転速度が低下するようになっているので、回転軸22と軸受部21F,21Rとの間で焼き付きが生じる虞はない。
さらに、本実施形態では、シェーピング用エア供給路26を、ガン本体10の内部において軸受用エア供給路34及びタービン用エア供給路43とに連通させたので、ガン本体10に接続するエア流路50は1本で済む。
同様に、軸方向オリフィス33F,33Rからタービン部36の前面と後面に向けて吐出された軸受用エアの一部も、回転軸22の外周に向かって径方向に流れて回転軸22の外周面で跳ね返されるため、跳ね返された軸受用エアは、溝39F,39Rに沿って生成されている空気流の存在のために、溝39F,39Rを横断して径方向外方へ流れることができず、軸方向オリフィス33F,33Rと回転軸22の外周面との間で滞留することが懸念される。
この点に鑑み、本実施形態では、軸本体35F,35Rにおけるタービン部36の近傍位置に軸本体35F,35Rの外周から内周に貫通する逃がし孔38F,38Rを形成し、径方向オリフィス32F,32R及び軸方向オリフィス33F,33Rから逃がし孔38F,38Rに向かって軸受用エアが円滑に流れるようにした。これにより、径方向オリフィス32F,32Rとタービン部36の近傍位置との間に軸受用エアの圧力差が生じるとともに、軸方向オリフィス33F,33Rとタービン部36の近傍位置との間にも軸受用エアの圧力差が生じるようになり、軸受用エアの圧力によって信頼性の高い軸受機能が発揮される。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(2)回転軸の外周と対向するオリフィスをタービン部の近傍に配置した場合には、逃がし孔を形成しない形態とすることもできる。
(3)タービン部と対向するオリフィスを回転軸の外周面の近傍に配置した場合には、逃がし孔を形成しない形態とすることもできる。
(4)シェーピング用エアをガン本体に供給するためのエア流路は、軸受用エア及びタービン用エアのエア流路とは別個に設けてもよい。
(5)上記実施形態では回転軸における径方向オリフィスの形成位置とは異なる部分を拡径させた形態の拡径部がタービン部である場合について説明したが、本発明によれば、拡径部がタービン部としての機能を有しない部位であってもよい。
<参考例>
(1)エア流路は、そのエア供給源側の部分のみが共通流路となっていて、共通流路の下流端とガン本体との間では、タービン用エア専用の流路と、軸受用エア専用の流路とに分かれた形態とすることもできる。
21F,21R…軸受部
22…回転軸
23…回転霧化頭
25…連通路
26…シェーピング用エア供給路
28…切換弁
32F,32R…径方向オリフィス
33F,33R…軸方向オリフィス
34…軸受用エア供給路
36…タービン部(拡径部)
37F,37R,39F,39R…溝
38F,38R…逃がし孔
43…タービン用エア供給路
50…エア流路
52…開閉弁
Claims (6)
- ガン本体と、前記ガン本体にエアを供給するためのエア流路とを備え、
前記ガン本体内は、軸受部により回転可能に支持された回転軸と、前記エア流路を通って流入した軸受用エアを前記軸受部と前記回転軸との隙間に供給するための軸受用エア供給路と、前記回転軸の前端に固着された回転霧化頭と、前記エア流路を通って流入したタービン用エアを前記回転軸に設けたタービン部に供給するためのタービン用エア供給路とを備えており、
前記エア流路のうち前記エア供給源から前記ガン本体に至る全領域が、1本の共通流路となっており、
前記共通流路には、前記エア流路におけるエアの流動を許容する開弁状態とエアの流動を遮断する閉弁状態とに切り換わる開閉弁が設けられ、
前記開閉弁の開閉により、前記タービン用エア供給路における前記タービン用エアの圧力と、前記軸受用エア供給路における前記軸受用エアの圧力が、同時に上昇又は同時に低下するように制御されることを特徴とする塗装ガン。 - 前記ガン本体内には、
前記軸受用エア供給路の上流端と前記タービン用エア供給路の上流端とに連通する連通路と、
前記回転霧化頭から噴出される霧化塗料に向けてシェーピング用エアを吐出するためのシェーピング用エア供給路と、
前記連通路から前記シェーピング用エア供給路へのエアの流通を許容する開弁状態と前記連通路から前記シェーピング用エア供給路へのエアの流通を遮断する閉弁状態との間で切り換わる切換弁とが設けられていることを特徴とする請求項1記載の塗装ガン。 - 前記軸受部には、前記回転軸と対向する周面に開口して前記軸受用エア供給路を構成するオリフィスが形成されており、
前記回転軸における前記軸受部との対向周面には、前記オリフィスと対向するように周方向の溝が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗装ガン。 - 前記回転軸には、前記回転軸の軸線方向において前記オリフィスの形成位置とは異なる部分を拡径させた拡径部が形成されており、
前記回転軸における前記拡径部の近傍位置には、前記回転軸の外周から内周に貫通する逃がし孔が形成されていることを特徴とする請求項3記載の塗装ガン。 - 前記タービン部は、前記回転軸を拡径させた形態となっており、
前記軸受部には、前記タービン部と対向する端面に開口して前記軸受用エア供給路を構成するオリフィスが形成されており、
前記タービン部における前記軸受部との対向面には、前記オリフィスと対向するように周方向の溝が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の塗装ガン。 - 前記回転軸における前記タービン部の近傍位置には、前記回転軸の外周から内周に貫通する逃がし孔が形成されていることを特徴とする請求項5記載の塗装ガン。
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